JP4134657B2 - 現像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複写機やプリンター等の画像形成装置において、像担持体に形成された静電潜像を現像するのに使用する現像装置に係り、特に、帯電されたトナーをトナー担持体によって像担持体と対向する現像領域に搬送し、このトナー担持体に電源から直流電圧に交流電圧が重畳されたバイアス電圧を印加させて像担持体に形成された静電潜像を現像し、現像後におけるトナー担持体に保持されたトナーを接触部材に接触させて除電させると共に、この接触部材を通してトナーを装置本体内に戻すようにした現像装置において、現像後におけるトナーが接触部材との接触によって適切に除電されると共に、接触部材を通してうまく装置本体内に戻されるようにした点に特徴を有するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、複写機やプリンター等の画像形成装置において、像担持体に形成された静電潜像を現像するのに様々な現像装置が使用されていた。
【0003】
そして、このような現像装置の一つとして、図1に示すようなものが用いられている。
【0004】
ここで、この現像装置においては、装置本体10内に収容されたトナーtをトナー送り部材11によって像担持体1と対向するように設けられたローラ状のトナー担持体12に供給し、このトナー担持体12を回転させて、供給されたトナーtを像担持体1と対向する現像領域に搬送させる途中において、このトナー担持体12の表面に規制部材13を圧接させ、トナー担持体12によって現像領域に搬送させるトナーtの量を規制すると共にトナーtを摩擦帯電させるようにしている。
【0005】
そして、このように規制されて摩擦帯電されたトナーtをトナー担持体12により像担持体1と対向する現像領域に導き、このトナー担持体12に電源14から直流電圧に交流電圧が重畳されたバイアス電圧を印加させて、トナーtを像担持体1に形成された静電潜像の部分に供給して現像を行うようにしている。
【0006】
また、このようにトナーtを像担持体1に形成された静電潜像の部分に供給して現像を行った後は、トナー担持体12に残った現像後のトナーtを装置本体10に設けた接触部材15に接触させて除電させると共に、このトナーtを接触部材15を通して装置本体10内に戻すようにしている。
【0007】
ここで、上記のような現像装置において、トナー担持体12に残ったトナーtを接触部材15に接触させて除電させるにあたっては、一般に、図1に示すように、この接触部材15に対して上記の電源14からトナー担持体12と同じバイアス電圧を印加させるようにしたり、トナー担持体12よりもトナーtの帯電極性と逆極性側の電位を高くしたバイアス電圧を印加させるようにしていた。
【0008】
しかし、このように接触部材15に対してトナー担持体12と同じバイアス電圧を印加させるようにしたり、トナー担持体12よりもトナーtの帯電極性と逆極性側の電位を高くしたバイアス電圧を印加させるようにした場合、トナーtが次第に劣化してその帯電量が低下すると、トナー担持体12に対するトナーtの付着力が弱くなり、現像後のトナーtが上記の接触部材15をうまく通過せずに、トナーtの一部が接触部材15との接触部分に残り、これが次第に増加して現像装置からこぼれ落ち、記録紙や画像形成装置内が汚れたりするという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、帯電されたトナーをトナー担持体によって像担持体と対向する現像領域に搬送し、このトナー担持体に電源から直流電圧に交流電圧が重畳されたバイアス電圧を印加させて像担持体に形成された静電潜像を現像し、現像後におけるトナー担持体に保持されたトナーを接触部材に接触させて除電させると共に、この接触部材を通してトナーを装置本体内に戻すようにした現像装置における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0010】
すなわち、この発明においては、上記のような現像装置において、トナーが次第に劣化してその帯電量が低下し、トナー担持体に対するトナーの付着力が弱くなった場合においても、現像後のトナーが接触部材を通してうまく装置本体内に戻されるようにすると共に、その除電も適切に行われるようにすることを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明における現像装置においては、上記のような課題を解決するため、帯電されたトナーをトナー担持体によって像担持体と対向する現像領域に搬送し、このトナー担持体に電源から直流電圧に交流電圧が重畳されたバイアス電圧を印加させて像担持体に形成された静電潜像を現像し、現像後におけるトナー担持体に保持されたトナーを、トナーが収容された装置本体内に戻す位置に設けられた接触部材に接触させて除電させると共に、この接触部材とトナー担持体との間を通過させてトナーを装置本体内に戻すようにした現像装置において、上記の電源に上記の接触部材を接続させると共に、この電源と接触部材との間に、トナーの帯電極性と逆極性の交流電圧の電位を低下させる整流素子を設けるようにしたのである。
【0012】
そして、この発明における現像装置のように、上記の電源と接触部材との間にトナーの帯電極性と逆極性の交流電圧の電位を低下させる整流素子を設けると、上記の電源からこの接触部材にトナーの帯電極性と逆極性の交流電圧が印加される時点では、上記の整流素子の作用により、接触部材に作用する交流電圧の電位が低下して、トナー担持体に作用する交流電圧の電位よりも低くなり、これにより接触部材とトナー担持体との間に、トナーをトナー担持体に押し付ける方向の電界が作用して、トナーがトナー担持体に押し付けられるようになる。
【0013】
このため、トナーが次第に劣化してその帯電量が低下し、トナー担持体に対するトナーの付着力が弱くなった場合においても、現像後のトナーがこの接触部材と接触すると、トナーの帯電極性と逆極性の交流電圧が作用する時点においては、このトナーがトナー担持体に押し付けられ、現像後のトナーがこのトナー担持体により接触部材を通して装置本体内に適切に戻されるようになり、トナーの一部が接触部材との接触部分に残るのが防止され、従来のように接触部材との接触部分に残ったトナーが溜り、このトナーが現像装置からこぼれ落ちたりするのが抑制されるようになる。
【0014】
また、この発明における現像装置において、上記の電源から接触部材とトナー担持体とにトナーの帯電極性と同極性の交流電圧が印加された場合には、接触部材とトナー担持体とが同電位になり、現像後のトナーがこの接触部材と接触すると、このトナーが接触部材により適切に除電され、このように除電されたトナーが上記のように装置本体内に適切に戻されるようになり、安定した現像が行えるようになる。すなわち、トナーの帯電極性と同極性の交流電圧が印加される場合において、接触部材の電位がトナー担持体よりも高くなると、トナーが接触部材との接触によって除電されにくくなり、このように除電されていないトナーが再度現像に使用されて、ゴーストと呼ばれるかぶりが発生し易くなる。一方、トナーの帯電極性と同極性の交流電圧が印加される場合において、接触部材の電位がトナー担持体よりも低くなると、トナーがトナー担持体から接触部材に押し付けられるようになり、現像後のトナーがこの接触部材を通過しにくくなり、トナーの一部が接触部材との接触部分に残って溜り、このトナーが現像装置からこぼれ落ちたりする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態に係る現像装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0016】
この実施形態における現像装置においては、図2に示すように、装置本体10内にトナーtを収容させると共に、この装置本体10内にトナー送り部材11を設け、このトナー送り部材11を回転させて、装置本体10内に収容されたトナーtを仕切り部材16に設けられた供給口16aを通して、この仕切り部材16によって分離されたトナー供給部10aに送り込むようにしている。
【0017】
ここで、上記のようにトナー送り部材11により、トナーtを仕切り部材16に設けた供給口16aを通してトナー供給部10aに送り込むにあたり、この実施形態における現像装置においては、図3に示すように、仕切り部材16の両側部に供給口16aを設けると共に、各供給口16aの部分に開閉部材19を取り付け、上記のトナー送り部材11によって送られてきたトナーtにより各開閉部材19を押して各供給口16を開き、この両側の供給口16aからトナーtをトナー供給部10aに送り込むようにしている。
【0018】
そして、このように両側の供給口16aからトナー供給部10aに送り込まれたトナーtを、このトナー供給部10a内において中央部に導くようにすると共に、像担持体1と対向して設けられたローラ状のトナー担持体12と接触しながら回転するトナー供給ロール17により、トナーtをトナー担持体12に供給するようにしている。
【0019】
ここで、上記のように両側の供給口16aからトナー供給部10aに送り込まれたトナーtをこのトナー供給部10a内において中央部に導くにあたり、この実施形態における現像装置においては、トナー供給部10a内において上記の仕切り部材16側からトナー供給ロール17の下に伸びた複数の案内部材18をトナー供給部10aの中央部を境にして逆方向に傾斜するように設け、上記のトナー供給ロール17の回転に伴って、トナー供給部10aの両側に供給されたトナーtが上記の各案内部材18によりトナー供給部10aの中央部に導かれるようにしている。なお、上記のような案内部材18に代えて、両側に供給されたトナーtをトナー供給部10aの中央部に導くようなスクリュウ部材(図示せず)を設けるようにすることも可能である。
【0020】
そして、上記のようにトナー担持体12に供給されたトナーtを、回転するトナー担持体12によって像担持体1と対向する現像領域に搬送させる途中において、このトナー担持体12の表面に規制部材13を圧接させ、トナー担持体12によって現像領域に搬送させるトナーtの量を規制すると共に、このトナーtを摩擦帯電させるようにしている。
【0021】
そして、このように規制されて摩擦帯電されたトナーtをトナー担持体12により像担持体1と対向する現像領域に導き、このトナー担持体12に電源14から直流電圧に交流電圧が重畳されたバイアス電圧を印加させて、トナーtを像担持体1に形成された静電潜像の部分に供給して現像を行うようにしている。
【0022】
また、このようにトナーtを像担持体1に形成された静電潜像の部分に供給して現像を行った後は、トナー担持体12に残った現像後のトナーtを、このトナー担持体12と同じ電源14に接続された接触部材15に接触させて除電させると共に、この接触部材15を通して現像後のトナーtをトナー担持体12によって装置本体10内に戻すようにしている。
【0023】
ここで、この実施形態の現像装置においては、上記のようにトナー担持体12と同じ電源14に接触部材15を接続させて、電源14からこの接触部材15に直流電圧に交流電圧が重畳されたバイアス電圧を印加させるにあたり、この電源14と接触部材15との間に、トナーtの帯電極性と逆極性の交流電圧の電位を低下させる整流素子20として、ツェナーダイオード20を設けている。
【0024】
そして、このようにトナーtの帯電極性と逆極性の交流電圧の電位を低下させるようにして、電源14と接触部材15との間にツェナーダイオード20を設けると、電源15からトナーtの帯電極性と逆極性の交流電圧が印加される場合においては、上記のツェナーダイオード20が作用して、トナー担持体12の電位よりも接触部材15の電位が低くなり、トナー担持体12と接触部材15との間において、トナーtをトナー担持体12に送る方向の電界が作用し、トナーtがトナー担持体12に押し付けられるようになる一方、トナーtの帯電極性と逆極性の交流電圧が印加される場合においては、トナー担持体12と接触部材15とが同電位になる。
【0025】
ここで、−に帯電するトナーtを用いた場合において、上記の電源14からトナー担持体12と接触部材15とに直流電圧(−VDC)とパルス状の交流電圧とを重畳させてバイアス電圧を印加させると、図4に示すように、トナーtの帯電極性と逆極性の+の交流電圧が作用する時点においては、上記のツェナーダイオード20の作用により、接触部材15の電位V2 がトナー担持体12の電位V1 よりもツェナー電圧ΔVだけ低くなり、−に帯電したトナーtがトナー担持体12に押し付けられるようになる。一方、トナーtの帯電極性と同極性の−の交流電圧が作用する時点においては、上記のツェナーダイオード20が作用せず、接触部材15とトナー担持体12とが同じ電位になる。
【0026】
このため、トナーtが次第に劣化してその帯電量が低下し、トナー担持体12に対するトナーtの付着力が弱くなった場合においても、現像後のトナーtがトナー担持体12によって搬送されて上記の接触部材15と接触すると、上記のようにトナーtと逆極性の交流電圧が作用する時点において、トナーtがトナー担持体12に押し付けられるようになると共に、トナーtの帯電極性と同極性の交流電圧が作用する時点においては、接触部材15とトナー担持体12とが同じ電位になっているため、現像後のトナーtが接触部材15側に押し付けられることなく、この接触部材15との接触によってトナーtが適切に除電されるようになる。
【0027】
この結果、現像後のトナーtが適切に除電された状態で接触部材15を通して装置本体10内に適切に戻されるようになり、トナーtが接触部材15との接触部分に溜ってこぼれ落ちたりするのが抑制されると共に、現像後のトナーtが適切に除電されて良好な現像が安定して行えるようになる。
【0028】
【実施例】
次に、上記のような現像装置において、上記の電源14と接触部材15との間に、ツェナー電圧ΔVの異なるツェナーダイオード20を設けた実施例1〜3の現像装置と、ツェナーダイオード20を設けていない比較例の現像装置とを用いて実験を行い、実施例1〜3の現像装置が比較例の現像装置よりも優れていることを明らかにする。
【0029】
ここで、実施例1においては、ツェナー電圧ΔVが10Vのツェナーダイオードを、実施例2においては、ツェナー電圧ΔVが50Vのツェナーダイオードを、実施例3においては、ツェナー電圧ΔVが100Vのツェナーダイオードを用いた。
【0030】
そして、上記の実施例1〜3及び比較例の各現像装置において、平均粒径が8.3μmになった−帯電のトナーtを用い、上記の電源14から−290Vの直流電圧VDCに、ピーク・ピーク値Vppが1.8kV,周波数が2kHzの矩形波からなる交流電圧を重畳させたバイアス電圧を印加させ、システム速度を160mm/sにして、黒の比率が1%の画像を1枚毎に間欠的にプリントし、トナーこぼれ及び除電不良による画像不良を調べた。
【0031】
この結果、実施例1〜3及び比較例の何れの現像装置においても、除電不良による画像不良は発生しなかったが、比較例の現像装置においては、1万2千枚のプリント時点においてトナーこぼれが発生した。
【0032】
これに対して、実施例1の現像装置においては、1万4千枚のプリント時点においてトナーこぼれが僅かに発生しただけであり、また実施例2の現像装置においては、2万枚のプリント時点においてトナーこぼれがごく僅かに発生しただけであり、さらに実施例3の現像装置においては、2万枚のプリント時点においてもトナーこぼれは全く発生しておらず、比較例の現像装置に比べてトナーこぼれの発生が抑制された。特に、ツェナー電圧ΔVが50V以上のツェナーダイオードを用いると、トナーこぼれの問題が殆ど生じなかった。
【0033】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明における現像装置においては、現像後におけるトナー担持体に保持されたトナーを接触部材に接触させて除電させると共に、この接触部材を通してトナーを装置本体内に戻すにあたり、トナー担持体に直流電圧に交流電圧が重畳されたバイアス電圧を印加させる電源を接触部材に接続させると共に、この電源と接触部材との間にトナーの帯電極性と逆極性の交流電圧の電位を低下させる整流素子を設けたため、この接触部材とトナー担持体とにトナーの帯電極性と同極性の交流電圧が印加される場合には、接触部材とトナー担持体とが同電位になり、現像後のトナーがこの接触部材と接触して適切に除電される一方、接触部材とトナー担持体とにトナーの帯電極性と逆極性の交流電圧が印加される場合には、整流素子の作用により、接触部材に作用する交流電圧の電位がトナー担持体に作用する交流電圧の電位よりも低くなり、トナーがトナー担持体に押し付けられるようになった。
【0034】
この結果、この発明における現像装置においては、トナーが次第に劣化してその帯電量が低下し、トナー担持体に対するトナーの付着力が弱くなった場合においても、現像後のトナーが適切に除電されると共に接触部材を通してうまく装置本体内に戻されるようになり、従来のように接触部材との接触部分に残ったトナーが溜って、現像装置からこぼれ落ちたりするのが抑制されると共に、現像後のトナーが適切に除電されて良好な現像が安定して行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の現像装置を示した概略説明図である。
【図2】この発明の一実施形態に係る現像装置を示した概略説明図である。
【図3】同実施形態の現像装置において、仕切り部材に設けられた供給口を通してトナー供給部内に送り込まれたトナーがトナー供給部内において送られる状態を示した概略説明図である。
【図4】同実施形態の現像装置において、トナー担持体と接触部材とに作用する電圧の波形を示した図である。
【符号の説明】
1 像担持体
10 装置本体
12 トナー担持体
14 電源
15 接触部材
20 整流素子(ツェナーダイオード)
t トナー
Claims (1)
- 帯電されたトナーをトナー担持体によって像担持体と対向する現像領域に搬送し、このトナー担持体に電源から直流電圧に交流電圧が重畳されたバイアス電圧を印加させて像担持体に形成された静電潜像を現像し、現像後におけるトナー担持体に保持されたトナーを、トナーが収容された装置本体内に戻す位置に設けられた接触部材に接触させて除電させると共に、この接触部材とトナー担持体との間を通過させてトナーを装置本体内に戻すようにした現像装置において、上記の電源に上記の接触部材を接続させると共に、この電源と接触部材との間に、トナーの帯電極性と逆極性の交流電圧の電位を低下させる整流素子を設けたことを特徴とする現像装置。
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