JP4134614B2 - 光送信器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、出力される光の波長を一定に保つことができる光送信器に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体レーザから出力される波長は半導体レーザが形成されたチップの温度に依存して変化するが、出力波長を一定に保つことができる光送信器が従来から知られている。
【0003】
図3は、従来の光送信器の構成を示すブロック図である。従来の光送信器3は、半導体レーザ(LD)31の後方向のモニタ用の光をコリメートレンズ(CL)33で平行光にした後、スプリッタ(ST)34で分岐し、分岐された一方の光をモニタ用の第1のフォトダイオード36で受光し、分岐された他方の光を波長可変性のあるエタロン35を透過させた後にモニタ用の第2のフォトダイオード37で受光する。そして、第1のフォトダイオード36での受光量に基づいて自動パワー制御部(APC)38が半導体レーザドライバ(DRV)32に信号を送信して半導体レーザ31のパワーを制御し、第2のフォトダイオード37での受光量に基づいて自動温度制御部(ATC)39が温度制御素子40に信号を送信して半導体レーザ31のチップの温度を制御することで半導体レーザ31から出力される光の波長を制御していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した光送信器3は2個のモニタ用のフォトダイオード36,37を備え、それらのフォトダイオード36,37に光を入射させるために部品の配置が複雑なものとなり、光送信器3を構成するスペースが広がってしまうという問題があった。また、光送信器3を構成する部品点数が多いという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決し、部品点数を減らすと共に部品の配置を効率化し、小型化した光送信器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光送信器は、半導体レーザと、半導体レーザが形成されたチップにモノリシックに搭載された電界吸収型光変調器と、半導体レーザから電界吸収型光変調器を通過して出力される光の光軸上に配置され、受光量に応じた信号を出力するフォトダイオードと、フォトダイオードに接続されると共に半導体レーザのパワーを制御するパワー制御部と、フォトダイオードに接続されると共にチップの温度を制御する温度制御部と、電界吸収型光変調器に印加する電圧を変化させ、半導体レーザから出力された光をすべて透過させる第1のモードと、半導体レーザから出力された光の一部を透過させる第2のモードと、を切り替える光変調器制御部と、を備え、パワー制御部は、光変調器制御部によって電界吸収型光変調器を第1のモードにしたときにフォトダイオードから出力される信号に基づいて、半導体レーザから出力される光のパワーが一定となるように制御し、温度制御部は、光変調器制御部によって電界吸収型光変調器を第2のモードにしたときにフォトダイオードから出力される信号に基づいて、半導体レーザから出力される光の波長が一定となるようにチップの温度を制御する、ことを特徴とする。
【0007】
このように半導体レーザから電界吸収型光変調器を通過して出力された光の光軸上にフォトダイオードを配置する。そして、電界吸収型光変調器に印加する電圧を変化させることにより、半導体レーザからの光をすべて透過してフォトダイオードに入射させる第1のモードと、半導体レーザからの光の一部を透過してフォトダイオードに入射させる第2のモードとを切り替える。なお、「半導体レーザから出力された光の一部を透過させる」とは、電界吸収型光変調器の吸収端波長を半導体レーザから出力される光の波長を含むようにシフトさせ、通過する光の一部を吸収する状態を意味する。吸収端波長においては、電界吸収型光変調器を通過する光の透過率(吸収率)は、波長が変化することに伴って変化するので、その透過率から光の波長を算出することができる。すなわち、第2のモードのときには、フォトダイオードが受光する光量によって半導体レーザから出力される光の波長をモニタすることができる。また、第1のモードのときにはフォトダイオードが受光する光量によって半導体レーザから出力される光のパワーをモニタすることができる。従って、それぞれのモードのときにフォトダイオードから出力された信号に基づいて、パワー制御部によるパワー制御及び温度制御部による温度制御を行うことができる。このような構成を採用することにより、モニタ用のフォトダイオードを一つにし、部品の点数を減らすことができる。また、一のフォトダイオードに半導体レーザからの出力光を入射させれば良いので、部品の配置が簡便なものとなり、光送信器の小型化を図ることができる。また、電界吸収型光変調器は半導体レーザのチップにモノリシックに搭載されているので、さらに小型化を図ることができる。
【0008】
上記光送信器において、半導体レーザは、設定により複数の所定波長の光を出力することが可能であり、電界吸収型光変調器を第1のモード及び第2のモードとするために電界吸収型光変調器に印加する電圧についての情報をそれぞれの所定波長ごとに格納したメモリをさらに備え、光変調器制御部は、メモリに格納された情報に基づいて電界吸収型光変調器に電圧を印加する、ことを特徴としても良い。
【0009】
半導体レーザが複数の所定波長の光を出力することが可能である場合には、それぞれの所定波長について、半導体レーザからの出力光をすべて透過する第1のモードにするための印加電圧と、出力光の一部を透過する第2のモードにするための印加電圧の情報とをメモリに格納しておくことにより、メモリに格納された情報を参照して、それぞれの所定波長に応じた電圧を電界吸収型光変調器に印加して第1のモードと第2のモードを切り替える制御を行うことができる。
【0010】
また、光送信器は、第1の端面から信号用の光を出力する半導体レーザと、半導体レーザが形成されたチップの第1の端面とは反対側の第2の端面付近にモノリシックに搭載された電界吸収型光変調器と、第2の端面から出力される光の光軸上に配置され、受光量に応じた信号を出力するフォトダイオードと、を備えてもよい
【0011】
このように半導体レーザが形成されたチップに、信号用の光が出力される第1の端面とは反対の第2の端面側に電界吸収型光変調器をモノリシックに搭載し、その電界吸収型光変調器を通過して第2の端面から出力される光の光軸にフォトダイオードを配置した構成を採用すれば、電界吸収型光変調器によって半導体レーザからの光をすべて透過させた第2の端面からの出力光をフォトダイオードに受光させ、半導体レーザの第1の端面から出力される信号用の光のパワーをモニタすることができ、電界吸収型光変調器によって半導体レーザからの光の一部を透過させた第2の端面からの出力光をフォトダイオードに受光させ、半導体レーザの第1の端面から出力される信号用の光の波長をモニタすることができる。
【0012】
光送受信器が上記光送信器を備えてもよい
【0013】
上記した光送信器を備えた光送受信器は、出力される光のパワー及び波長を一定に保つように調節することができるので好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明に係る光送信器の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る光送信器1の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、光送信器1は、半導体レーザ(LD)11と、半導体レーザドライバ(DRV)13と、電界吸収型光変調器(以下、単に「光変調器」という)12と、光変調器制御部(EA CTRL)15と、モニタ用のフォトダイオード(mPD)14と、スイッチ(SW)21と、自動パワー制御部(APC)16と、自動温度制御部(ATC)17と、TEC18と、CPU19と、メモリ20と、を備えている。
【0016】
半導体レーザ11と光変調器12とは、一のチップ10にモノリシックに形成されている。つまり、ここでは、いわゆる変調器集積型半導体レーザが用いられる。半導体レーザ11は、チップ10の一の端面(「第1の端面10A」という)から信号光を出力し、第1の端面10Aと反対側の端面(「第2の端面10B」という)から、光変調器12を通過したモニタ用の光を出力する。
【0017】
光変調器制御部15は光変調器12と接続されており、光変調器12に印加する電圧を変化させて、光変調器12によって吸収する光の波長をシフトさせる機能を有する。
【0018】
半導体レーザドライバ13は半導体レーザ11に接続されており、入力されたデータに基づいて半導体レーザ11を駆動する機能を有する。
【0019】
フォトダイオード14は、半導体レーザ11が形成されたチップの第2の端面10Bに対向して配置され、第2の端面10Bから出力された光を受光し、受光量に応じた信号を出力する機能を有する。
【0020】
自動パワー制御部16は、フォトダイオード14からの信号に基づいて半導体レーザドライバ13を制御し、半導体レーザ11から出力される信号光のパワーを一定に制御する機能を有する。
【0021】
自動温度制御部17は、フォトダイオード14からの信号に基づいてTEC18を制御し、半導体レーザ11から出力される信号光の波長を一定に制御する機能を有する。TEC18はペルチェ素子などの温度制御デバイスであり、TEC18にはチップ10及びフォトダイオード14が搭載されている。
【0022】
また、フォトダイオード14、自動パワー制御部16、及び自動温度制御部17の間には、スイッチ21が配置されている。スイッチ21は、フォトダイオード14の出力と接続される第1端子211と、自動パワー制御部16の入力と接続される第2端子212と、自動温度制御部17の入力と接続される第3端子213とを有し、第1端子211と第2端子212との間、又は第1端子211と第3端子213との間のいずれかに信号を通過させる機能を有する。また、スイッチ21はCPU19と接続され、CPU19によってスイッチ21の切り替え制御が行われる。
【0023】
CPU19は、光変調器制御部15及びスイッチ21に指示を送信し、光変調器制御部15とスイッチ21との同期をとって制御する機能を有する。すなわち、第1のモードによる制御を行う場合には、CPU19は光変調制御部15に命令を送り、光変調器12に印加する電圧を制御して半導体レーザ11からの出力光のすべてが光変調器12を透過するようにすると共に、CPU19は第1端子211と第2端子212との間に信号を通過させてフォトダイオード14から出力される信号を自動パワー制御部16に入力させる。逆に、第2のモードによる制御を行う場合には、CPU19は光変調制御部15に命令を送り、光変調器12に印加する電圧を制御して半導体レーザ11からの出力光の一部が光変調器12を透過するようにすると共に、CPU19は第1端子211と第3端子213との間に信号を通過させてフォトダイオード14から出力される信号を自動温度制御部17に入力させる。
【0024】
CPU19に接続されたメモリ20は、光変調器12を第1のモード、第2のモードで切り替えるために、光変調器12に印加する電圧値の情報を格納する機能を有する。図2は、光変調器12を通過する波長とフォトダイオード14からの出力の関係を印加電圧VEAが高い(H)場合と低い(L)場合について示す図である。図2に示されるように、光変調器12に印加する電圧を高くすると、光変調器12を透過する波長は大きい方にシフトする。光変調器12を第1のモードにするための電圧値(H)は、半導体レーザ11からの出力光の目標となる波長λaより光変調器12の吸収端波長が大きくなるような電圧値である。これにより、半導体レーザ11から出力される波長λaの光はすべて光変調器12を透過する。また、光変調器12を第2のモードにするための電圧値(L)は、半導体レーザ11からの出力光の目標となる波長λaを光変調器12の吸収端波長が含むような電圧値である。メモリ20はこれらの電圧値VEAを格納している。半導体レーザ11が設定により複数の目標波長λaを有し、それらを切り替えることができる場合には、半導体レーザ11が出力できるそれぞれの所定波長に応じて複数の電圧値Hと電圧値Lを格納する。
【0025】
次に、本実施形態に係る光送信器1の動作について説明する。
【0026】
まず、半導体レーザドライバ13にデータが入力されると、半導体レーザドライバ13は半導体レーザ11を駆動して入力データに基づく信号光をチップ10の第1の端面10Aから出力させる。また、半導体レーザ11は第1の端面10Aとは反対方向に光を出力し、光変調器12を通過した光がチップ10の第2の端面10Bから出力される。第2の端面10Bから出力された光は、フォトダイオード14に入力される。CPU19は、光変調器制御部15を制御し、光変調器制御部15は光変調器12に電圧Hを印加して光変調器12を第1のモードにする。これにより、半導体レーザ11から出力された光はすべて光変調器12を透過してフォトダイオード14に入力される。また、CPU19はスイッチ21を制御し、第1端子211と第2端子212との間に信号を通過させる。これにより、フォトダイオード14から出力された信号は自動パワー制御部16に入力される。この場合、半導体レーザ11から出力されたすべての光がフォトダイオード14によって受光されるので、フォトダイオード14からの信号は半導体レーザ11からの出力光のパワーに比例する。自動パワー制御部16は、フォトダイオード14からの信号に基づいて半導体レーザドライバ13に命令を送信し、半導体レーザ11の出力光のパワーを制御する。
【0027】
次に、CPU19は、光変調器制御部15を制御し、光変調器制御部15は光変調器12に電圧Lを印加して光変調器12を第2のモードにする。これにより、半導体レーザ11から出力された光は光変調器12で一部が吸収され、一部が透過してフォトダイオード14に入力される。また、CPU19はスイッチ21を制御し、第1端子211と第3端子213との間に信号を通過させる。これにより、フォトダイオード14から出力された信号は自動温度制御部17に入力される。自動温度制御部17は、フォトダイオード14からの信号に基づいてTEC18に命令を送信し、半導体レーザ11の出力光の波長を制御する。この制御について詳しく説明する。図2に示されるように、第2のモードにおいては、光変調器12の吸収端波長が目標の波長λaを含むように制御される。半導体レーザ11からの出力光の波長が波長λaから変化した場合には、光変調器12を透過する光量は変化する。具体的には、波長が大きい方にずれると透過率は減少し、波長が小さい方にずれると透過率が増加する。従って、フォトダイオード14からの信号に基づいて、半導体レーザ11からの出力光の波長に関する情報を得ることができる。自動温度制御部17は、フォトダイオード14からの信号に基づいて出力光の波長が一定となるように制御する。
【0028】
本実施形態に係る光送信器1は、半導体レーザ11と光変調器12をモノリシックに集積化した変調器集積型半導体レーザと、光変調器12を通過して出力された光を受光するフォトダイオード14とを備え、光変調器12によって半導体レーザ11からの出力光の透過率を変化させることで、一のフォトダイオード14によって半導体レーザ11の出力光のパワーと波長の両方をモニタすることができる。これにより、半導体レーザ11からの出力光を受光するフォトダイオード14の配置を簡便なものにすることができ、光送信器1を狭いスペースで構成することができる。また、光送信器1を構成する部品点数を減らすこともできる。
【0029】
以上、本発明について実施形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0030】
本発明の光送信器1は、複数の所定波長の光を出力できる光送信器1に適用することができ、その場合にはそれぞれの所定波長ごとに光変調器12に印加する電圧値(H)と電圧値(L)の情報をメモリ20に格納しておき、出力する波長に基づいてCPU19は光変調器制御部15に命令を送信する。
【0031】
また、上記実施形態では光送信器1を例に挙げて説明したが、本発明は光送受信器に適用することとしてもよい。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、半導体レーザから電界吸収型光変調器を通過して出力された光の光軸上にフォトダイオードを配置し、電界吸収型光変調器に印加する電圧を変化させることにより、半導体レーザからの光をすべて透過してフォトダイオードに入射させる第1のモードと、半導体レーザからの光の一部を透過してフォトダイオードに入射させる第2のモードとを切り替える。これにより一のフォトダイオードによって出力光のパワーと波長の両方をモニタして、パワー及び波長を制御できるので、部品の点数を減らすことができる。また、一のフォトダイオードに半導体レーザからの出力光を入射させれば良いので、部品の配置が簡便なものとなり、光送信器の小型化を図ることができる。また、電界吸収型光変調器は半導体レーザのチップにモノリシックに搭載することにより、さらに小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る光送信器の構成を示す図である。
【図2】光変調器の吸収端とフォトダイオードからの出力の関係を示す図である。
【図3】従来の光送信器の構成を示す図である。
【符号の説明】
1…光送信器、10…チップ、11…半導体レーザ、12…光変調器、13…半導体レーザドライバ、14…フォトダイオード、15…光変調器制御部、16…自動パワー制御部、17…自動温度制御部、18…TEC、19…CPU、20…メモリ、21…スイッチ。

Claims (2)

  1. 半導体レーザと、
    前記半導体レーザが形成されたチップにモノリシックに搭載された電界吸収型光変調器と、
    前記半導体レーザから前記電界吸収型光変調器を通過して出力される光の光軸上に配置され、受光量に応じた信号を出力するフォトダイオードと、
    前記フォトダイオードに接続されると共に前記半導体レーザのパワーを制御するパワー制御部と、
    前記フォトダイオードに接続されると共に前記チップの温度を制御する温度制御部と、
    前記電界吸収型光変調器に印加する電圧を変化させ、前記半導体レーザから出力された光をすべて透過させる第1のモードと、前記半導体レーザから出力された光の一部を透過させる第2のモードと、を切り替える光変調器制御部と、
    を備え、
    前記パワー制御部は、前記光変調器制御部によって前記電界吸収型光変調器を第1のモードにしたときに前記フォトダイオードから出力される信号に基づいて、前記半導体レーザから出力される光のパワーが一定となるように制御し、
    前記温度制御部は、前記光変調器制御部によって前記電界吸収型光変調器を第2のモードにしたときに前記フォトダイオードから出力される信号に基づいて、前記半導体レーザから出力される光の波長が一定となるように前記チップの温度を制御する、
    ことを特徴とする光送信器。
  2. 前記半導体レーザは、設定により複数の所定波長の光を出力することが可能であり、
    前記電界吸収型光変調器を前記第1のモード及び前記第2のモードとするために前記電界吸収型光変調器に印加する電圧についての情報をそれぞれの前記所定波長ごとに格納したメモリをさらに備え、
    前記光変調器制御部は、前記メモリに格納された情報に基づいて前記電界吸収型光変調器に電圧を印加する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
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