JP4134517B2 - アルミニウム箔およびその製造方法 - Google Patents

アルミニウム箔およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、煙草包装用、食料品包装用、化学包装用及び薬品包装用等に使用されるアルミニウム箔に関し、特に厚さ10μm以下でピンホールの少ない極薄のアルミニウム箔およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、薄箔用のアルミニウム箔は、例えばJIS1N30等の純アルミニウム及び8079合金又は8021合金等のアルミニウム合金が使用されている。なお、本明細書では、純アルミニウム及びアルミニウム合金を総称してアルミニウムという。アルミニウム箔は、一般的に、アルミニウム鋳塊に均質化処理、熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延を施し0.3mm前後の箔地とし、該アルミニウム箔地をさらに冷間で箔圧延し、最後に仕上げ箔圧延と呼ばれる最終パスを施して薄いアルミニウム箔としている。また、必要により最終焼鈍することもある。
【0003】
アルミニウム箔の製品は多種あるが、厚さ10μm以下の薄箔は、プレーン箔として、またはフィルム等と貼り合わせて煙草包装用、食料品包装用、化学包装用、ペーパーコンデンサー等に使用されている。厚さが10μm以下の薄箔は、ピンホールが発生し易く、箔に求められる光、気体及び液体等に対する遮断性が低下することが知られている。
【0004】
薄箔の場合、一般的には、アルミニウム箔を1枚で仕上げ箔圧延すると箔厚を薄くするのが困難になってくる。そのため、10μm程度より薄い、たとえば7μm以下に薄くする場合は、通常2枚の箔を重ねて圧延するいわゆる合わせ箔圧延により行われることが多い。仕上げ箔圧延により得られたアルミニウム箔は、1枚で仕上げ箔圧延した場合は箔の両面がいずれもワークロールと直接接触して箔圧延された面となり、合わせ箔圧延した場合は箔の一方の面はワークロールと直接接触して圧延された面となり、箔の他方の面はアルミニウム箔同士が接した状態で圧延された面となる。
【0005】
仕上げ箔圧延は、図8に模式的に示したように、一般的な板の圧延として説明される。符号1はワークロール(図では上下一対のうち上側のワークロールのみを示す)、符号2はワークロール入側の箔、符号3はワークロール出側の箔である。即ち、ワークロール入側の箔2は上下にあるワークロール1、1で圧延されてワークロール出側の箔3となる。通常ワークロール1の直径は200〜330mm程度のものが使用されている。ワークロール入側から、厚さ10〜20μm程度の箔が、一枚単独で、または二枚重ねて、ワークロール1、1間に挿入される。ワークロール入側の箔2はワークロール入口4で最初にワークロール1の圧延面と接し、圧延されながらワークロール出口5でワークロール1から離れる。ワークロール出側の箔3の厚さは用途によって異なるが典型的には6〜10μmである。箔2がワークロール1に接している長さの投影距離を接触長さ6と呼んでいる。この接触長さ6は上述した通常の装置で2mm程度である。
【0006】
ここで、ワークロールの周速をV、ワークロール入側の箔2の速度(入口速度)をV1、ワークロール出側の箔3の速度(出口速度)をV2とすると、これら3者の間には、V1<V<V2の関係がある。すなわち、圧延中の箔速度は入口速度V1から出口速度V2まで増加する過程でワークロール周速Vに等しくなる点があり、この点は中立点7と呼ばれる。箔速度は接触長さ6の領域内で増加して、中立点7でワークロール周速に等しくなる。したがって、ワークロール入口4から中立点までの箔8の速度は、ワークロール1の周速の方が速く、その結果その部分の箔8の表面は、ワークロール1との接触面で圧延方向の引張力を受ける。一方、中立点7からワークロール出側5までの箔9の速度は、ワークロール1の周速の方が遅く、その結果その部分の箔9の表面は、ワークロール1との接触面で圧延方向とは逆の引き戻し力を受ける。
【0007】
仕上げ箔圧延には、通常の圧延と同様に潤滑剤として圧延油が用いられると共に、箔の圧延仕上げ面の平面性を確保するために、ワークロール面を鏡面仕上げしたワークロールが用いられる。
【0008】
ワークロールと直接接触して圧延された箔表面には、ひび割れ状の窪みが発生する。これはオイルピットと呼ばれ、図3の写真とそのスケッチである図4に示したように圧延方向に対して直角に細長く延びた溝状の窪みであり、ワークロールと箔の間に挟まれた圧延油が逃げ場を失い、箔面に押し込まれるために生じて、中立点7よりワークロール入側の箔部分8(図8)で発生しかつ成長すると本発明者は考える。
【0009】
通常、厚さ7μmの箔には、最大長さ1.5〜60μm程度のオイルピットが発生し、最大長さ20μmを超えるものが60個/mm2 程度存在する。オイルピットの深さは、長さの増加に伴い増加する傾向があり、長さ20μm程度の場合は深さ0.6μm程度である。オイルピットは後述のように一般に細長い亀裂状をしており、上記の「最大長さ」とはその長径方向の寸法をいう。
【0010】
また、箔を2枚重ねて圧延した場合、アルミニウム箔同士が接していた面には、図5に示すように多数の波状のうねりが形成される。
【0011】
図6に示すように、ピンホールHの発生の原因は、仕上げ箔圧延の際における、図6(1)に示すワークロールとの直接接触面に形成されたオイルピットP同士の連結、あるいは図6(2)に示すアルミニウム箔同士の接触面に形成された波状うねりWと上記オイルピットPとの連結によると考えられる。
【0012】
そこで、アルミニウム箔同士の接触面に形成される波状うねりを低減させるべく、特開昭63−26322号公報には、Fe含有量の増加や均質化処理以降の製造条件の調整により、Fe固溶量を減少させ、アルミニウム箔の結晶粒を微細化することにより、箔圧延時の箔の加工硬化を抑制しながら圧延する箔の圧延技術が提案されている。
【0013】
また、特開2000−54094号公報には、特定量のFe,Siを含有するAl溶湯を鋳造凝固時の冷却速度、均質化処理温度、熱間圧延終了温度および中間焼鈍の製造条件の調整により、金属間化合物粒子のサイズおよび平均粒子間距離を制御した箔地とし、該箔地を70〜110℃の温度範囲で箔圧延することにより、アルミニウム箔同士の接触面における大きな波状うねりの数を低減する技術が提案されている。
【0014】
一方、ワークロールとの直接接触面におけるオイルピットの生成については、軽金属学会第70回春期大会講演概要33,34,35に、圧下率や後方張力といった箔圧延条件の影響が大きいことが示されており、箔圧延条件を変えることでオイルピットの生成を制御できることが示唆されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の解決方法はいずれも組成や圧延方法を変えるものであって、特定の組成および製造条件に限定する必要があり、どのような組成、どのような製造方法にも適応できる汎用性はない。
そこで本発明は、組成および製造条件を限定する必要がなく高い汎用性を備え、ピンホールの発生を大幅に低減したアルミニウム箔およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、仕上げ箔圧延のワークロールと、これに接触して圧延される箔表面とに挟まれた圧延油の挙動を適切に制御すれば、組成や圧延方法を変えることなくピンホールの少ないアルミニウム箔が得られることを見いだして本発明を完成したものである。
【0017】
即ち第1の発明は、厚さが10μm以下のアルミニウム箔であって、ワークロールと直接接触して圧延された面は圧延方向に沿って延びた畝状凸部を有し、該畝状凸部の90%以上は、高さが0.05μm以上、幅が1〜10μm、長さが0.5mm以上であり、かつ近接する該畝状凸部の間隔が100μm以下であることを特徴とするアルミニウム箔である。図7に、本発明のアルミニウム箔Fの畝状凸部Bについて、高さhB、幅wB、間隔dBを示す。
【0018】
箔表面に上述のような畝状の長い凸部を設けて圧延油を分散し、しかもこの長い畝状凸部に、微細に分散しないで集合して滞留した余分な圧延油が起因となって発生するオイルピットの大部分を集めた箔とすることにより、オイルピットの発生箇所の箔厚さが厚いから箔を貫通し難く、ピンホールの少ないアルミニウム箔とすることができる。
【0019】
また第2の発明は、ワークロールの面がワークロール回転方向に沿って延びた溝状凹部を有し、該溝状凹部の90%以上は、深さが0.05μm以上、幅が1〜10μm、長さが0.5mm以上であり、かつ近接する該溝状凹部の間隔が100μm以下であるワークロールを用いて厚さが10μm以下のアルミニウム箔に仕上げ箔圧延をすることを特徴とするアルミニウム箔の製造方法である。図7に、本発明のワークロールRの溝状凹部Dについて、深さhD、幅wD、間隔dDを示す。
【0020】
ワークロール表面に長い溝状凹部を設けた仕上げ圧延用のワークロールで仕上げ箔圧延することにより、余分な圧延油が確実に分散されて溝状凹部に吸収させ、しかも箔圧延時に長い溝状凹部に吸収された圧延油を、圧延方向とは逆の方向に押し出してオイルピットの発生原因となる圧延油を少なくし、発生するオイルピットの大部分を長い溝状凹部で圧延される箇所に集め、ピンホールの少ないアルミニウム箔を得ることができる。なお、ここで90%以上とは、測定したもののうち90%以上のものが、規定値を満たすことを意味する。
【0021】
【発明の実施の形態】
図7に、本発明によるアルミニウム箔の畝状凸部およびワークロールの溝状凹部を示す。本発明のアルミニウム箔Fは、ワークロールRと直接接触して圧延された面に、圧延方向に沿って長く延びた畝状凸部Bが多数存在する。この長い畝状凸部BはワークロールRの溝状凹部Dによって形成されるものであって、圧延中に圧延油がワークロールRの溝状凹部Dに優先的に入り込み、箔Fの凸部BにオイルピットP(図6)を優先的に発生させる。発生したオイルピットPは、凸部Bの高さhBの分だけ底上げされた形になるため、凸部Bの基底部すなわち箔表面から内部に入り込むオイルピットPの深さが大幅に減ずる。その結果、箔両面のオイルピットP同士の連結を防ぎ、あるいはオイルピットPと波状うねりWとの連結を防ぎピンホールの発生を減少せしめる。
アルミニウム箔表面に上述の如き長い畝状の凸部を設けるには、箔の最終段階の圧延に相当する仕上げ箔圧延のワークロール面に、大きく長い溝状の凹を均等に分散して設けて圧延油を分散し、しかもその溝に圧延油を吸収させ仕上げ箔圧延することにより達成できる。
【0022】
以下、本発明におけるアルミニウム箔の箔厚さおよび箔表面の形状限定理由について説明する。
【0023】
〔アルミニウム箔の厚さ:10μm以下〕
アルミニウム箔の厚さは、ピンホール発生に大きく関係するものであり、厚さが10μmを超えるとピンホールの発生が起き難く、特にアルミニウム箔の表面形状を規定する必要がない。即ち箔の厚さが厚ければ、オイルピットが裏側に貫通することが少ないからである。従って、アルミニウム箔の厚さは、10μm以下とする。箔厚さが薄ければ薄いほど本発明の効果が発揮できる。好ましくは、9μm以下、順次8μm以下、7μm以下、6μm以下である。箔厚さが薄くなればなるほどオイルピットを原因とするピンホールの発生割合は増加するが、同じ厚さであれば、本発明箔と従来箔とでは有意差がある。従って箔厚さの下限は限定するものではないが、箔圧延技術から今のところ5μm程度である。
なお、箔の厚さは畝状の凸部の頂点と裏側の畝状の凸部の頂点との間隔、または畝状の凸部の頂点と裏側のうねりの頂点(図6(2)の矢印Tの位置)との間隔をいうものとする。
【0024】
以下において、畝状凸部の高さ、幅、長さ、間隔および溝状凹部の深さ、幅、長さ、間隔について、測定したもののうち90%以上のものが各規定値を満たす必要がある。
〔畝状凸部Bの高さhBが0.05μm以上〕
アルミニウム箔FにおけるワークロールRと直接接触して圧延された面に設ける圧延方向と平行な長い畝状の凸部Bの高さhBは、仕上げ箔圧延時のワークロール面に設けられた長い溝状の凹部Dで形成される。前述したように粗大なオイルピットPの発生は、図1の写真およびそのスケッチである図2に示すように、箔面の長い畝状の凸部Bに集中する。従って図7に示す畝状凸部Bの高さhBは、以下に説明するように、その長さに大きく左右されるが、高さhBの高い方がオイルピットPの深さを吸収できてオイルピットPに起因するピンホールHの防止には有利である。しかし高さhBが高くなると光の乱反射が大きく、箔の光沢度が低下して箔の用途を限定するので、箔の光沢度からのみ判断すれば、好ましくは0.6μm以下、順次0.5μm以下、0.4μm以下、0.3μm以下である。
一方、凸部Bの高さhBが下限値未満では、圧延油を好ましい状態に分散吸収できず、粗大なオイルピットPが発生し、ピンホール数を減少できない。好ましくは0.1μm以上である。
【0025】
ところで畝状凸部の詳細を観察すれば、小さな凸部即ち0.05μmに達しないものも若干数存在するわけで、そのようなものを取り上げては本発明は成り立たず、本発明の主旨から外れる。本発明を把握するには大部分のものにおいてどの様になっているかが肝要である。従って本発明では、大部分を90%以上のものと定め、上述した要件を例にとれば、測定したものの内90%以上のものが、その高さにおいて0.05μm以上であることをいう。この考え方は本明細書全体に共通する。
【0026】
〔畝状凸部Bの幅wBが1〜10μm〕
長い畝状凸部Bを設けて圧延油を分散し、この凸部BにオイルピットPの発生を集中させ、しかも発生したオイルピットPの最大長さをこの凸部Bの幅wB内に制限できる傾向にあり、その結果、粗大なオイルピットPの発生を抑止するものであるから、畝状凸部Bの幅wBを狭くして畝状凸部Bの数が多いほど効果は期待できる。幅wBが広いと畝状凸部Bの本数が少なくなって効果が減少、また発生したオイルピットPの最大長さが20μmを超えないように、畝状凸部Bの幅wBの上限を10μmとする。好ましくは9μm以下、順次8μm以下、7μm以下、6μm以下、5μm以下である。しかし狭くなると分散した圧延油のワークロール面に設けた溝内への吸収量が少なくなって効果が減少するので、幅wBの下限を1μmとする。
【0027】
〔畝状凸部Bの長さが0.5mm以上〕
畝状凸部BにオイルピットPの発生を集中させることによってピンホールHの発生を抑止するものであるから、畝状凸部Bが連続して長いほど圧延油の分散が適切に行われ、効果が期待できる。この効果が得られるのは畝状凸部Bの長さが0.5mm以上である。好ましくは0.6mm以上、順次0.7以上、0.8以上、0.9以上、1.0以上であって、上限は限定されるものではない。この長さはワークロールRの径その他の箔圧延条件で異なるが、中立点7よりロール入側の箔部分8(図8)の長さ以上、即ち1.3mm以上は効果が飽和するので特に必要がない。しかしこの凸部の長さが大きいと短い凸部の数が少なくなって、オイルピットの発生の機会が少なくなり好ましい。測定は特定視野内の全数を観察した。
【0028】
〔近接する畝状凸部Bの間隔dBが100μm以下〕
近接する畝状凸部Bの間隔dBとは、図7に示すように相隣る畝状凸部Bの間隔dBを指す。間隔は畝状凸部Bの長さに直角方向(図7の左右方向)に直線を300μm引き、その間における畝状凸部の間隔を測定する。この間隔が広過ぎると、この広い間隔の部位が従来の箔圧延と同じ条件となって圧延油を好ましい状態に分散できず、粗大なオイルピットを生じるので、間隔の上限値を100μmとする。この凸部の間隔は狭い方がよく順次90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下が好ましいが、凸部の高さにもよるが、狭過ぎると光の乱反射が大きく、箔の光沢度を低下して箔の用途を限定するので、下限値は好ましくは5μm以上、順次10μm以上、15μm以上である。
【0029】
本発明のアルミニウム箔の製造については、仕上げ箔圧延に使用するワークロール面の溝形状を除き従来の方法を採用できる。
【0030】
〔仕上げ箔圧延に使用するワークロール面の溝状凹部Dの形状〕
箔面の長い畝状の凸部Bは、ワークロール面にワークロールRの回転方向に平行方向の溝状の凹部Dを設け、そのワークロールRで仕上げ箔圧延を施こすことで形成できる。ワークロール面の溝状の凹部Dは、砥石の粒子で削り取ったり或いはエッチングしたりすること等の手段で刻する事ができる。
【0031】
〔溝状凹部Dの深さhDが0.05μm以上〕
箔面に設ける畝状の凸部Bの高さhBは、ワークロール面に設けたこの溝状凹部Dの深さhDで決まる。しかし凹部Dには圧延滓が付着し、また圧延油も存在するので、凹部Dの深さhDが深くても凸部Bの高さhBが低くなることがある。ここで圧延滓の除去は肝要である。この凹部Dの深さhDが深いと圧延時余分な圧延油を凹部内に吸収し、粗大なオイルピットPの発生を抑制する。またオイルピットPが発生したとしても箔面の畝状凸部BにオイルピットPを集中させ、オイルピットPの深さを吸収できてオイルピットPに起因するピンホールHの個数を少なくできる。しかし、凹部Dの深さhDが深過ぎると箔Fの凸部Bの高さhBが高くなって、箔Fの光沢度を低下して箔Fの用途を限定する。凹部Dの深さhDが0.05μm未満では、圧延油を好ましい状態に分散吸収できず、粗大なオイルピットが発生し、ピンホールHの個数を減少できない。好ましくは0.1μm以上である。
【0032】
〔溝状凹部Dの幅wDが1〜10μm〕
ワークロール面に特定幅wDの溝状凹部Dを均等に多数設けて圧延油を分散し、余分の圧延油を凹部Dに吸収して圧延できるので、粗大なオイルピットPの発生を抑制できる。またオイルピットPが発生したとしても箔面の畝状凸部BにオイルピットPを集中させ、オイルピットPの深さを吸収できてオイルピットPに起因するピンホールHの個数を少なくできる。溝状凹部Dの幅wDが上限値を超えると、溝状凹部Dの本数が少なくなって効果が減少し、また凹部Dに吸収した圧延油量が多くなってオイルピットPが粗大化し易くなってオイルピットPに起因するピンホールHの個数を少なくできない。好ましくは9μm以下、順次8μm以下、7μm以下、6μm以下、5μm以下である。また下限値未満では、圧延油の吸収量が少なくなって効果が減少する。
【0033】
〔溝状凹部Dの長さが0.5mm以上〕
溝状凹部Dに圧延油の余分を吸収してオイルピットPの発生を抑制するものであるから、溝状凹部Dが連続して長いほど圧延油の分散が適切に行われ、効果が期待できる。板の圧延は上述した如く、中立点7(図8)を境にしてワークロール入側8とワークロール出側9では箔のワークロール1から受ける力の方向が相反する。即ち中立点7のワークロール入側の箔8の表面は、圧延方向の引張力をワークロール1から受け、一方中立点7のワークロール出側の箔9の表面は圧延方向とは逆の引き戻し力をワークロール1から受ける。ワークロール1が箔に接触している接触長さ6は約2mmであって、中立点7の位置は略中点である。この中立点7よりワークロール入側の箔8の表面が、圧延方向の引張力をワークロール1から受けるときに、発明者らの観察では、圧延油が箔とワークロールの間に巻き込まれて分散し、ワークロールから大きな力を受けてオイルピットを形成するものと理解される。従って圧延油が箔とワークロールの間に巻き込まれないように、あるいは巻き込まれてもその量がより少なくなるように、即ちワークロール面に長い溝状凹部を設けて、圧延されるにしたがって圧延油がこの溝状凹部を通路とし、排出させようとしたものである。通常のワークロール圧力では、溝状凹部の長さが0.5mm以上あると、圧延油が排出され、一部の圧延油が箔とワークロールの間に巻き込まれたとしてもその量が少なく、粗大オイルピット発生抑止の効果が得られる。好ましくは0.6mm以上であり、1.3mm以上は効果が飽和するので特に必要がない。しかしこの凹部の長さが長いと、短いものの数が少なくなって、オイルピットの発生の機会が少なくなって好ましい。測定は特定視野内の全数を測定する。
【0034】
〔近接する溝状凹部Dの間隔dDが100μm以下〕
溝状凹部Dの間隔dDは、溝状凹部Dの長さに対して直角の所定長さの線を引き、その間における凹部Dと凹部Dの間隔dDを測定する。この間隔dDが大き過ぎると、溝状凹部Dに吸収されない圧延油が存在し易くなって、その間隔dDの広い箇所で従来箔と同じ条件の部位となって、粗大なオイルピットを発生する。溝状凹部Dの間隔dDの上限値は100μmである。好ましくは90μm以下で、順次80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下である。しかし間隔が狭くなると箔の光沢度を低下して箔の用途を限定するので、好ましくは5μm以上、順次10μm以上、15μm以上、20μm以上である。
圧延中は溝状凹部に圧延滓が詰まり易いので、ブラシ等で圧延滓を取り除くとよい。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例について比較例と共に具体的に説明する。
【0036】
下記の表1に示す組成を有する厚さが12.8μmのアルミニウム箔を表2に示す溝状凹部を備えたワークロールを用いて仕上げ合わせ箔圧延し、厚さ6μmの箔を製作した。仕上げ合わせ箔圧延の条件は、後方張力4〜5kgf/mm2、ワークロールの回転周速度400〜500m/min および圧延油温度は55〜60℃である。
【0037】
ワークロール面は、ワークロールを回転させながら、砥石を用いて長い溝を刻した。該ワークロールの表面形状測定は、応研商事製“Bioden R.F.A.”アセチルセルローズフィルム(0.08mm)を用いて第1段レプリカを採取したものを、日立製イオンスパッター装置E102によってPt蒸着させ試料とした。得られた試料をレーザーテック製走査型レーザー顕微鏡1LM21Pによって、第1段レプリカの凸部における高さ、幅および間隔を測定し、ワークロール溝状凹部の寸法とした。また、同じ試料をオリンパス製実体顕微鏡SZH−PTにより倍率30倍によって撮影した写真から第1段レプリカの凸部における長さを測定し、ワークロール面の溝状凹部の長さとした。各ロールについてランダムに10点測定した。結果を表2に示す。
【0038】
また、箔表面の畝状凸部の形状測定は、試料をレーザーテック製走査型レーザー顕微鏡1LM21Pによって、凸部における高さ、幅および平均間隔を測定した。また、試料をオリンパス製実体顕微鏡SZH−PTにより倍率30倍によって撮影した写真から凸部における長さを測定した。箔面をランダムに10点測定した。結果を表2に示す。
【0039】
アルミニウム箔のオイルピット測定は、試料をニレコ製画像処理・解析装置LUZEX Fによって、最大長さ20〜50μm未満の個数、50μm以上におけるオイルピットの有無を測定した。結果を表2に示す。
【0040】
試料をニレコ製画像処理・解析装置LUZEX Fによって、最大長さ1.5μm以上のオイルピットの面積率を測定した。結果を表2に示す。
【0041】
暗室内で該6μmのアルミニウム箔に、3000LUXの電球光を当て、光が透過したものを目視で数えた。測定できたピンホールのサイズは、5μm以上のものであった。更に、箔の光沢を目視官能評価した。結果を表2に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0004134517
【0043】
【表2】
Figure 0004134517
【0044】
上記表2に示すように、発明例は、アルミニウム箔の表面形状が本発明内であり、オイルピットを制御させ、ピンホール数がいずれも好ましい値であり、良好なアルミニウム箔を得ることができた。図1は試料番号1の箔面の顕微鏡写真であり、図2はそのスケッチである。
【0045】
一方、比較例はアルミニウム箔の表面形状が範囲外であり、オイルピットを制御できず、ピンホールがいずれも多発してしまい、良好なアルミニウム箔を得ることができなかった。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、アルミニウム箔表面に畝状凸部を形成することにより、ピンホールの発生が少ないアルミニウム箔を得ることができる。従って各種の箔に使用でき、しかもさらに薄箔にできる等の効果を有する発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】箔面に畝状凸部を形成した本発明の箔面の5,000倍のSEM写真。なお、本写真は、箔を湾曲させた部分を撮影する方法で観察した。
【図2】図1の写真に基づくスケッチ。
【図3】従来の鏡面加工したワークロールで仕上げ箔加工した面の5,000倍のSEM写真。なお、本写真は、図1と同じ方法で撮影したものである。
【図4】図3の写真に基づくスケッチ。
【図5】合わせ箔圧延した合わせ面の1,000倍のSEM写真。
【図6】(1)表裏面のオイルピット同士が連結してピンホールとなることを示す模式図および(2)オイルピットと波状うねりが連結してピンホールとなることを示す模式図。
【図7】本発明によるアルミニウム箔の畝状凸部およびワークロールの溝状凹部を示す断面図。
【図8】圧延中の箔とワークロールとの関係を示す断面図。
【符号の説明】
1…ワークロール
2…ワークロール入側の箔
3…ワークロール出側の箔
4…ワークロール入口
5…ワークロール出口
6…接触長さ
7…中立点
8…中立点より入側部分の箔
9…中立点より出側部分の箔
P…オイルピット
W…波状うねり
H…ピンホール
R…ワークロール
D…ワークロールRの溝状凹部
wD…溝状凹部Dの幅
hD…溝状凹部Dの深さ
dD…溝状凹部Dの間隔
F…箔
B…箔Fの畝状凸部
wB…畝状凸部Bの幅
hB…畝状凸部Bの高さ
dB…畝状凸部Bの間隔

Claims (2)

  1. 厚さが10μm以下のアルミニウム箔であって、ワークロールと直接接触して圧延された面に圧延方向に沿って延びた畝状凸部を有し、該畝状凸部の90%以上は、高さが0.05μm以上、幅が1〜10μm、長さが0.5mm以上であり、かつ近接する該畝状凸部の間隔が100μm以下であることを特徴とするアルミニウム箔。
  2. ワークロールのロール面全体にワークロール回転方向に沿って延びた溝状凹部を有し、該溝状凹部の90%以上は、深さが0.05μm以上、幅が1〜10μm、長さが0.5mm以上であり、かつ近接する該溝状凹部の間隔が100μm以下であるワークロールを用いて厚さが10μm以下のアルミニウム箔に仕上げ箔圧延することを特徴とするアルミニウム箔の製造方法。
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