JP4133508B2 - 多極子レンズの製造方法及び多極子レンズ並びに多極子レンズを備えた観察装置 - Google Patents
多極子レンズの製造方法及び多極子レンズ並びに多極子レンズを備えた観察装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する分野】
本発明は、8極子や12極子等の多極子を有する多極子レンズの製造方法及び多極子レンズ並びに多極子レンズを備えた観察装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
走査型電子顕微鏡等の観察装置において、荷電粒子ビームである電子ビームを試料に照射する際に、試料の観察像を適切に検出する目的で、電子ビームの収差を補正して試料に照射することが行われている。このような観察装置内で、電子ビームの収差を補正するために、収差補正器として多極子レンズを設けている。
【0003】
この多極子レンズとして、8個や12個等の複数個の極子を有し、これらの極子は、環状の保持部材と、この保持部材の外側に配置されたヨークとによって支持されている構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、当該特許文献1に記載された多極子レンズ(多極素子)を参照しながら説明する。特許文献1における図1(FIG1)に示された多極子レンズは、取付け棒と当該取付け棒の先端部に結合された磁極とからなる複数の極子と、これらの極子の取付け棒を通すための気密孔が設けられたビーム管と、このビーム管の外側に配置された環状のヨーク(リング状鉄回路)とを備えている。
【0005】
極子は、取付け棒の先端部を磁極にねじ込んだり、両者を接着もしくは溶着して連結することにより構成される。ここで、極子を構成する取付け棒及び磁極は磁性材料から作られている。また、ビーム管は電気絶縁材料等により作られており、気密孔の周囲に金属被膜が設けられている。
そして、極子における取付け棒は、その基端部においてヨークと堅く連結されている。また、当該取付け棒は、ビーム管の気密孔内において、上記金属被膜を介した溶接により気密に固着され、これにより当該溶接部は真空密封体とされている。
【0006】
取付け棒におけるビーム管とヨークとの間に位置する部分には、コイルが設けられている、そして、このコイルに電流を流すことにより、取付け棒の先端部に接合された磁極が励磁される。なお、取付け棒の基端部は、絶縁体を介してヨークの穴に配置され、それぞれに電気端子が接続されて電圧が供給されるようになっている。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−230647号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような構成からなる多極子レンズの製造工程においては、極子を構成する取付け棒とビーム管の気密孔とを溶着により固着することとなる。このとき、極子は所望の位置に位置決めされた状態となっているが、少なくとも溶着される部分は加熱されることとなり、この溶着の際に加えられた熱は、ビーム管にも熱伝導により伝わるとともに、極子を構成する取付け棒及びその先端部の磁極にも伝わる。
【0009】
このため、溶接の際に、極子及びビーム管が熱膨張を起こすこととなり、その後放熱されて常温に戻っても、極子及びビーム管が元の形状に完全に復帰しないことがある。この場合、極子は、予め位置決めされた状態から変形されていることとなるので、溶着工程の後、切削加工等により極子の形状を修正する必要があり、手間がかかり製造効率が良くなかった。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、簡易な方法で効率良く製造できる多極子レンズの製造方法を提供することを目的とするものであり、さらに、当該製造方法による多極子レンズ及び多極子レンズを備えた観察装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に基づく多極子レンズの製造方法は、被保持部を有する複数の極子と、極子の被保持部を保持するための貫通口が形成された環状の保持部材と、保持部材の外側に配置され、極子の基端部に磁気的に結合する環状のヨークとを有する多極子レンズの製造方法であって、極子が挿通しているシール部材を保持部材の貫通口の両端部に気密に配置しておき、当該貫通口内に連通する開口部を介して、保持部材の貫通口に樹脂を注入し、注入された樹脂を硬化させることにより、極子の被保持部を貫通口内において保持部材に固定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に基づく他の多極子レンズの製造方法は、被保持部を有する複数の極子と、極子の被保持部を保持するための貫通口が形成された環状の保持部材と、保持部材の外側に配置され、極子の基端部に磁気的に結合する環状のヨークとを有する多極子レンズの製造方法であって、2つのシール部材が通されている極子の被保持部を保持部材の貫通口に挿通させるとともに、当該シール部材を保持部材の貫通口の両端部に気密に配置する工程と、保持部材に形成された貫通口内に連通する開口部に、樹脂が収容された樹脂注入手段の吐出口を接して配置する工程と、極子の被保持部が貫通口に挿通された状態で保持部材を樹脂注入手段とともに真空雰囲気内に配置し、真空雰囲気内において保持部材の貫通口内の気体が当該開口部及び当該吐出口を介して排気されて樹脂を当該貫通口内に注入する工程と、保持部材の貫通口に注入された樹脂を硬化させる工程とを有することを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明に基づく多極子レンズは、被保持部を有する複数の極子と、極子の被保持部が挿通され、樹脂により充填された貫通口を有する環状の保持部材と、保持部材の外側に配置され、極子の基端部に磁気的に結合する環状のヨークとを具備する多極子レンズであって、極子が挿通しているシール部材が保持部材の貫通口の両端部に気密に配置されているとともに、当該貫通口に連通して当該貫通口内に樹脂を注入するための開口部が保持部材に形成されていることを特徴とする。
【0014】
そして、本発明に基づく観察装置は、荷電粒子ビーム源と、荷電粒子ビームから放出された荷電粒子ビームを制御して試料に照射するための照射系レンズと、荷電粒子ビームが照射された試料の観察像を検出するための検出器と、荷電粒子ビームの収差を補正するための多極子レンズとを備えた観察装置であって、当該多極子レンズが、被保持部を有する複数の極子と、極子の被保持部が挿通され、樹脂により充填された貫通口を有する環状の保持部材と、保持部材の外側に配置され、極子の基端部に磁気的に結合する環状のヨークとを具備し、極子が挿通しているシール部材が保持部材の貫通口の両端部に気密に配置されているとともに、当該保持部材の貫通口に連通して当該貫通口内に樹脂を注入するための開口部が当該保持部材に形成されていることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明における多極子レンズを備えた観察装置を示す概略構成図であり、本実施の形態においては走査型電子顕微鏡の例である。同図において、1は走査型電子顕微鏡であり、当該走査型電子顕微鏡1は、荷電粒子ビーム源としての電子銃2と、集束レンズ3aと、収差補正器4と、走査コイル5と、対物レンズ3bと、検出器8とを備えている。
【0017】
この走査型電子顕微鏡1において、電子銃2から放出されて加速された電子ビーム(荷電粒子ビーム)9は、集束レンズ3a及び対物レンズ3bより構成される照射系レンズ3により制御されて細く集束されて試料7の被観察面7aに照射される。その際に、電子ビーム9は、走査コイル5により適宜偏向され、試料7の被観察面7a上を走査される。
【0018】
そして、電子ビーム9が照射された試料7の被観察面7aから、当該被観察面7aに応じて2次電子もしくは反射電子等の被検出電子10が発生し、当該被検出電子10は試料7の観察像として検出器8によって検出される。検出器8によって検出された被検出電子10の検出信号(観察像信号)は、適宜増幅されて図示しない制御回路に送られ、当該制御回路を介してCRT(陰極線管)やLCD(液晶ディスプレイ)等の表示手段(図示せず)に送信されて観察像として画像表示される。
【0019】
電子ビーム9が、照射系レンズ3により集束されて試料7の被観察面7aに照射される際には、収差補正器4を通過する。この収差補正器4は電子ビーム9の収差を補正するためのものであり、本実施の形態においては、4段の多極子レンズ4aから構成されている。
【0020】
図2に、この収差補正器4を構成する1段分の多極子レンズ4aの断面図を示す。この多極子レンズ4aは、磁極21及び支持棒22からなる極子23と、極子23を保持するための環状の保持部材25と、保持部材25の外側に配置された環状のヨーク29とを備えている。極子23は、支持棒22の先端部22aに取付けられた磁極21から構成され、支持棒22及び磁極21はともにパーマロイや鉄等の磁性材料から形成されている。なお、支持棒22への磁極21の取付け方法は、ねじ込み、接着、溶着等の固定方法を用いることができる。
【0021】
極子23を構成する支持棒22の被保持部22cは、真鍮やリン青銅等の非磁性体からなる保持部材25に形成された貫通口25a内に挿通されており、この貫通口25aの両端部にはOリング等のシール部材26,27が配置されている。そして、貫通口25aの内部において、支持棒22の被保持部22cの外周面と貫通口25aの内周面との間の空間には樹脂24が充填されている。なお、当該樹脂24は、貫通口25a内部の当該空間内において硬化されている。よって、支持棒22の被保持部22cは硬化された樹脂24を介して保持部材25の貫通口25a内に固着されており、これによって極子23は当該被保持部22cにおいて保持部材25に位置決めされた状態で固定されている。
【0022】
また、極子23を構成する支持棒22の基端部22bは、パーマロイや鉄等の磁性体からなるヨーク29に嵌合している。ここで、ヨーク29には溝部29aが形成されており、支持棒22の基端部22bが当該溝部29aに挿通され、これにより極子23の支持棒22はヨーク29と磁気的に結合している。なお、支持棒22の基端部の端面には、所定の電圧を印加するための電源(図示せず)が接続されている。
【0023】
極子23の支持棒22において、保持部材25とヨーク29との間に位置する領域には、極子23を励磁するためのコイル31が配置されている。そして、このコイル31の位置を規制するために、コイル31とヨーク29との間に板バネ30が配置されている。なお、支持棒22の基端部22bにおいて、ヨーク29の溝部29a、板バネ30、及びコイル31に面する外周面には、管状の絶縁体28が設けられている。
【0024】
保持部材25には開口部32が形成されており、この開口部32は保持部材25の貫通口25aに連通されている。そして、当該貫通口25aに充填される樹脂24は、後述するように貫通口25aに連通された開口部32を介して注入される。
【0025】
ここで、図2におけるA−A断面図を図3に示す。図3に示すように、極子23は電子ビーム9の光軸を中心として放射状に配置されており、本実施の形態における極子レンズ4aでは12個の極子23を備えている。保持部材25には、極子23における支持棒22の被保持部22cが挿通する貫通口25aが、各々の極子23の支持棒22に対応して形成されている。そして、各々の貫通口25aに対応してそれに連通する開口部32が保持部材25に設けられている。各々の貫通口25aには、樹脂24が充填されている。
【0026】
以下、図4〜図6を参照して、本発明における多極子レンズの製造方法について説明する。ここで、図4は樹脂の注入前の状態を示す概略断面図であり、図5は樹脂を注入している状態を示す概略断面図であり、図6は樹脂を注入後の状態を示す概略断面図である。
【0027】
まず、図4に示すように、保持部材25に形成された貫通口25aに、磁極23を構成するための支持棒22を挿通させる。そして、それぞれの支持棒22の先端部22aに磁極21を取付け、これにより支持棒22及び磁極21からなる極子23が構成され、その後各々の極子23の位置決めを行う。このとき、支持棒22の所定箇所には予めOリングからなる2個のシール部材26,27が通されている。これにより、貫通口25aの両端部には当該シール部材26,27が気密に配置される。なお、本実施の形態においては、磁極23が12個あるので、保持部材25には、それぞれの磁極23に対応して12個の貫通口25aが形成されているとともに、それぞれの貫通口25aに対応して当該貫通口25aに連通する開口部32も12個形成されている。
【0028】
各極子23の位置決めが終了した後、同図のごとく、樹脂注入手段50を保持部材25の上面に配置する。樹脂注入手段50の内部には、樹脂24が収容されており、また当該樹脂24を吐出するための吐出口51が当該樹脂注入手段50に設けられている。ここで、樹脂注入手段50の内部に収容された樹脂24は、一例として、2液エポキシ系の樹脂が用いられ、当該樹脂は所定時間の常温放置により硬化するもの(常温硬化型のもの)であり、このときの樹脂の粘度は、例えば10000〜80000mPa・s程度にされている。そして、樹脂注入手段50を保持部材25の上面に配置する際には、保持部材25における貫通口25aに連通する開口部32に、樹脂注入手段50の吐出口51が接するように配置する。なお、保持部材25に形成された12個の貫通口25a内に開口部32を介して樹脂24を同時に注入するため、樹脂注入手段50も貫通口25aの個数と同じ12個が用意される。そして、各々の樹脂注入手段50の吐出口51が、保持部材25の対応する開口部32に接するように、12個の樹脂注入手段50が配置される。
【0029】
その後、このように保持部材25の貫通口25aに極子23の支持棒22が挿通され、その上面に樹脂注入手段50が配置された状態で、当該保持部材25を樹脂注入手段50とともに真空槽内(図示せず)に配置する。そして、当該真空槽内を所定の真空度(圧力)に真空引きする。このときの真空度は、例えば13.3Pa(約0.1Torr)程度以下の圧力とし、これにより上述の状態で保持部材25が当該真空度の真空雰囲気に配置される。
【0030】
このような状態で保持部材25が所定の真空雰囲気に配置され、所定時間が経過すると、保持部材25に形成された貫通口25a内の気体(空気)が、開口部32及びそれに接する樹脂注入手段50の吐出口51を介して排気される。その後、真空槽内の雰囲気を常圧(大気圧)に戻すと、樹脂注入手段50内の樹脂24に大気圧が加わり、樹脂24の流動性により、図5に示すように、保持部材25の貫通口25内には開口部32及びそれに接する吐出口51を介して樹脂24が注入される。この結果、保持部材25の貫通口25a内は樹脂24により充填される。なお、上述のごとく、保持部材25に形成された貫通口25aの両端部には、シール部材26,27が気密に配置されているので、樹脂24が注入される工程において、貫通口25a内に気体がその両端部から流入することはない。
【0031】
このように保持部材25の貫通口25a内に樹脂24が充填された後、樹脂注入手段50が保持部材25の上面に配置された状態のままで真空槽から保持部材25を取り出す。
【0032】
なお、上記の樹脂24の注入工程は、上述のように、その上面に樹脂注入手段50が配置された状態の保持部材25を、真空槽内において真空雰囲気に配置して所定時間経過後、当該真空槽内を常圧よりも圧力が高い加圧雰囲気にして樹脂24を注入するようにしてもよい。この場合、加圧雰囲気において樹脂24の注入が終了した後、真空槽内を常圧に戻してから保持部材25を取り出す。
【0033】
この後、図6に示すように、保持部材25の上面に配置された各々の樹脂注入手段50を取り外す。そして、保持部材25の上面から樹脂注入手段50を取り外した状態で、常温にて所定時間放置する。保持部材25の各々の貫通口25aに注入され、これにより充填された樹脂24は常温硬化型の2液エポキシ系樹脂であるので、常温での所定時間放置後に樹脂24は硬化される。この結果、極子23は、その支持棒2における被保持部22cが保持部材25の貫通口25a内において樹脂24により固着(固定)されることにより、位置決めされた状態で固定されることとなる。
以上が本発明の多極子レンズの製造方法における極子23と保持部材25との固定方法である。
以下、図2に示すように、各極子23を構成するそれぞれの支持棒22の基端部22bに管状の絶縁体28を取付け、当該絶縁体の周囲にコイル31と板バネ30とを配置する。その後、環状の保持部材25の外側に環状のヨーク29を配置する。このとき、コイル31及び板バネ30は、保持部材25とヨーク29との間に位置することとなる。
【0034】
このように本発明においては、保持部材に形成された上記貫通口に極子を構成する支持棒の被保持部を挿通させ、当該貫通口内に連通する開口部を介して樹脂を注入し、注入された樹脂を硬化させることにより極子の被保持部をこの貫通口内で固定するので、簡易な手法で極子を固定することができ、効率よく多極子レンズを製造することができる。そして、保持部材の貫通口に注入される樹脂として常温硬化型の2液系エポキシ樹脂を用いているので、硬化の際に加熱をする必要がなく、位置決めされた極子や保持部材が熱膨張することがない。よって、切削加工等を用いて極子の形状を修正する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における多極子レンズを備えた観察装置を示す概略構成図である。
【図2】 本発明における1段分の多極子レンズを示す断面図である。
【図3】 図2におけるA−A断面を示す断面図である。
【図4】 本発明の多極子レンズの製造方法において、樹脂の注入前の状態を示す概略断面図である。
【図5】 本発明の多極子レンズの製造方法において、樹脂を注入している状態を示す概略断面図である。
【図6】 本発明の多極子レンズの製造方法において、樹脂を注入後の状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…走査型電子顕微鏡(観察装置)、2…電子銃(荷電粒子ビーム源)、
3…照射系レンズ、3a…集束レンズ、3b…対物レンズ、4…収差補正器、
4a…多極子レンズ、5…走査コイル、7…試料、8…検出器、
9…電子ビーム(荷電粒子ビーム)、10…被検出電子、
21…磁極、22…支持棒、22a…先端部、22b…基端部、
22c…被保持部、23…極子、24…樹脂、25…保持部材、25a…貫通口、
26,27…シール部材、29…ヨーク、32…開口部
Claims (8)
- 被保持部を有する複数の極子と、極子の被保持部を保持するための貫通口が形成された環状の保持部材と、保持部材の外側に配置され、極子の基端部に磁気的に結合する環状のヨークとを有する多極子レンズの製造方法において、極子が挿通しているシール部材を保持部材の貫通口の両端部に気密に配置しておき、当該貫通口内に連通する開口部を介して、保持部材の貫通口に樹脂を注入し、注入された樹脂を硬化させることにより、極子の被保持部を貫通口内において保持部材に固定することを特徴とする多極子レンズの製造方法。
- 被保持部を有する複数の極子と、極子の被保持部を保持するための貫通口が形成された環状の保持部材と、保持部材の外側に配置され、極子の基端部に磁気的に結合する環状のヨークとを有する多極子レンズの製造方法において、2つのシール部材が通されている極子の被保持部を保持部材の貫通口に挿通させるとともに、当該シール部材を保持部材の貫通口の両端部に気密に配置する工程と、保持部材に形成された貫通口内に連通する開口部に、樹脂が収容された樹脂注入手段の吐出口を接して配置する工程と、極子の被保持部が貫通口に挿通された状態で保持部材を樹脂注入手段とともに真空雰囲気内に配置し、真空雰囲気内において保持部材の貫通口内の気体が当該開口部及び当該吐出口を介して排気されて樹脂を当該貫通口内に注入する工程と、保持部材の貫通口に注入された樹脂を硬化させる工程とを有することを特徴とする多極子レンズの製造方法。
- 注入される樹脂は2液エポキシ系の樹脂であることを特徴とする請求項1若しくは2記載の多極子レンズの製造方法。
- 被保持部を有する複数の極子と、極子の被保持部が挿通され、樹脂により充填された貫通口を有する環状の保持部材と、保持部材の外側に配置され、極子の基端部に磁気的に結合する環状のヨークとを具備する多極子レンズにおいて、極子が挿通しているシール部材が保持部材の貫通口の両端部に気密に配置されているとともに、当該貫通口に連通して当該貫通口内に樹脂を注入するための開口部が保持部材に形成されていることを特徴とする多極子レンズ。
- 保持部材の貫通口に充填された樹脂は、2液エポキシ系の樹脂であることを特徴とする請求項4記載の多極子レンズ。
- 荷電粒子ビーム源と、荷電粒子ビームから放出された荷電粒子ビームを制御して試料に照射するための照射系レンズと、荷電粒子ビームが照射された試料の観察像を検出するための検出器と、荷電粒子ビームの収差を補正するための多極子レンズとを備えた観察装置において、当該多極子レンズが、被保持部を有する複数の極子と、極子の被保持部が挿通され、樹脂により充填された貫通口を有する環状の保持部材と、保持部材の外側に配置され、極子の基端部に磁気的に結合する環状のヨークとを具備し、極子が挿通しているシール部材が保持部材の貫通口の両端部に気密に配置されているとともに、当該保持部材の貫通口に連通して当該貫通口内に樹脂を注入するための開口部が当該保持部材に形成されていることを特徴とする多極子レンズを備えた観察装置。
- 多極子レンズにおける保持部材の貫通口に充填された樹脂は、2液エポキシ系の樹脂であることを特徴とする請求項6記載の多極子レンズを備えた観察装置。
- 荷電粒子ビームは電子ビームであることを特徴とする請求項6若しくは7記載の多極子レンズを備えた観察装置。
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