JP4133450B2 - 収納家具の天板、収納家具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、収納庫やロッカー等の収納家具において、所定の収納空間を形成する収納部本体の天板、及び収納家具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、収納庫やロッカー等の収納家具において、所定の収納空間を形成する収納部本体の内側面を構成する内パネルを、収納部本体の外側面を構成する板材に取り付ける態様のものが知られている。具体的には、収納具本体の側面を形成する側板本体の内面の前縁及び後縁に沿って、内方へ突出させてなる補強枠をそれぞれ設け、補強枠間に形成される凹部に、内パネルを収容した状態で、適宜箇所を溶接したり、あるいはネジや適宜の取付具を用いて内パネルを側板本体に取り付けているものが挙げられる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−186534号公報(第1〜4頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の収納家具には、側板に限らず、天板にも、その下面側の前縁及び後縁に沿って補強枠をそれぞれ設けているものがある。
【0005】
しかしながら、天板の補強枠間に形成される凹部に、内パネル等を取り付ける構造は採用されていない。このような天板を有する収納家具を、上下方向に複数積み重ねて使用する場合、上方に位置する収納部本体の前方が開放した状態においては、前記天板の補強枠及び凹部が、凸凹状となり煩雑な印象を与え、意匠的にも好ましくない。また、収納部本体に収納した収納物を取り出す際に、収納物が前記補強枠と干渉し、収納物をスムーズに取り出すことができないという不具合が生じる。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、天板の下面の高さ位置をほぼ同一にして、複数の収納家具を上下に積み重ねて使用する場合、上方に位置する収納部本体の前面が開放された状態であっても、煩雑な印象を与えることがない収納家具の天板及び収納家具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の収納家具の天板は、収納庫やロッカー等の収納家具において、所定の収納空間を形成する収納部本体の天板であって、前記天板が、前記収納部本体の上面を形成する本体板及びこの本体板の下面側において前縁及び後縁に沿って下方へ突出させて設けられる一対の補強部とを有する天板本体と、前記本体板の下面側において前記補強部間に形成される凹部に取り付けられる内パネルとを具備するものであり、前記内パネルが、一方の補強部に向けて突出する第1係合爪と、他方の補強部に向けて突出し且つ前記第1係合爪よりも突出寸法を大きく設定した第2係合爪とをそれぞれ一体的に有するものであり、前記各補強部が、前記係合爪が係合可能な係合孔を有するものであり、前記内パネルを前傾させた状態で、前記補強部に向けて斜め上方に押し上げ、前記第2係合爪を前記係合孔に挿入し、前記内パネルが略水平姿勢となる位置まで内パネルの前端側を上方に回転させ前記第2係合爪を係合孔に漸次深く挿入し、前記内パネルを前記補強部に向けて前方に略水平にスライド移動させて、前記第1係合爪を係合孔に挿入し、各係合爪をそれぞれ対応する係合孔に係わり合わせることにより、前記内パネルの下面と補強部の下面とを略面一とした状態で内パネルを天板本体に取り付けていることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、複数の収納家具を上下に積み重ねて使用する場合、上方に位置する収納部本体の前面が開放した状態であっても、天板の下面がほぼ面一であるため、見えがかりが良く、煩雑な印象を与えることがない。また、例えば、内パネルを天板本体に一体的に取り付けている場合は、内パネルが天板を補強する機能を奏し、天板本体の補強部と相まって収納部本体の強度を有効に高めることも可能である。
【0009】
特に、前記補強部を、前記本体板の対向する一対の縁部に沿う位置にそれぞれ設け、これら補強部間に凹部を形成し、この凹部内に前記内パネルを収容した位置において内パネルを天板本体に取り付けた状態で、内パネルの下面と補強部の下面とを略同一高さとなるように内パネルを天板本体に取り付けているものであれば、収納物の出し入れをスムーズに行うことができる。
【0010】
具体的な実施態様としては、前記補強部を、前記本体板の前縁及び後縁に沿う位置にそれぞれ設け、これら補強部間に凹部を形成し、凹部内に内パネルを収容した位置において内パネルを天板本体に取り付けた状態で、前記内パネルの下面と補強部の下面とを略同一高さとなるように内パネルを天板本体に取り付けているものが挙げられる。
【0011】
簡単な作業によって内パネルを天板本体に取り付けるには、前記内パネルまたは前記補強部の一方に係合爪を形成し、この係合爪と係わり合わせるべく他方に係合孔を形成し、これら係合爪と係合孔とを係わり合わせることにより内パネルを天板本体に取り付けるようにすればよい。
【0012】
また、前記内パネルが、一方の補強部に向けて突出する第1係合爪と、他方の補強部に向けて突出する第2係合爪とをそれぞれ一体的に有し、第1係合爪の突出寸法と、第2係合爪の突出寸法とを相互に異ならせているものであれば、内パネルの前後を簡単かつ明確に識別することができる。
【0013】
さらに、前記内パネルが、一方の補強部に向けて突出する一対の第1係合爪と、他方の補強部に向けて突出する一対の第2係合爪とをそれぞれ一体的に有し、第1係合爪間の離間距離と、第2係合爪間の離間距離とを相互に異ならせているものであれば、内パネルの前後をより簡単かつ明確に識別することができる。
【0014】
係合孔の具体的態様としては、前記本体板の前縁及び後縁に沿ってそれぞれ補強部を設け、各補強部に前記第1係合爪及び第2係合爪何れをも係合させ得る係合孔をそれぞれ形成しているものや、前記本体板の前縁及び後縁に沿ってそれぞれ補強部を設け、前縁の補強部に、前記第1係合爪のみを係合させる第1係合孔を設けるとともに、後縁の補強部に、前記第2係合爪のみを係合させる第2係合孔を設けているものが挙げられる。
【0015】
簡単な作業により係合爪を形成するためには、前記内パネルが、パネル本体と、パネル本体の対向する一対の縁部の所定箇所に取り付けられる一組の係合板とを具備し、各係合板の端部を屈曲して前記各補強部に向けて突出させることにより一方の係合板に前記第1係合爪を形成するとともに、他方の係合板に前記第2係合爪を形成すればよい。
【0016】
特に、前記各係合板の両端部を屈曲して前記各補強部に向けて突出させることにより一方の係合板に前記第1係合爪を形成するとともに、他方の係合板に前記第2係合爪を形成しているものが好ましい。
【0017】
前記一組の係合板が、同一の構成を有する薄板状の部材からそれぞれ成形されたものであれば、各係合板を同じパーツを共用することができる。
【0018】
また、前記内パネルを前記天板本体に固定する固定手段を備えていれば、良好な取付状態を実現することができる。
【0019】
固定手段の具体的態様としては、前記内パネルを固定している状態では内パネルの側面と前記本体板との間に形成される目地に収納される固定部材を有するものであり、この固定部材が、前記固定状態では前記目地に収納され、固定状態を解除した状態では目地から突出される把手部を有することが挙げられる。
【0020】
また、本発明の収納家具は、収納庫やロッカー等の収納家具であって、所定の収納空間を形成する収納部本体の上面を形成する本体板と、本体板の下面側の一部に下方へ突出させて設けられる補強部とを有する天板本体と、前記本体板の下面側に取り付けられる内パネルとを備えた天板を具備するものであり、前記内パネルの下面と補強部の下面とを略面一とした状態で同一高さとなるように内パネルを天板本体に取り付けていることを特徴とする。
【0021】
このようなものであれば、前述した通り、複数の収納家具を上下に積み重ねて使用する場合、天板の下面が略フラットな面になっているため、煩雑な印象を与えることなく、良好な美観を醸し出すことができる。
【0022】
また、前記収納部本体の底板が、前記収納部本体の底面を形成する本体板及びこの本体板の上面側の一部に上方へ突出させて設けられる補強部とを有する底板本体と、前記本体板の上面側に取り付けられる内パネルとを具備するものであり、前記内パネルの上面と補強部の上面とを略面同一とした状態で内パネルを底板本体に取り付けているものであれば、天板の下面のみならず底板の上面の見えがかりをも良好なものとすることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0024】
本実施形態に係る収納庫Lは、図1、図2等に図示するように、所定の収納空間Sを形成する収納部本体1と、この収納部本体1の前面開口を回転して開閉可能とする左右の扉D1、D2とを備えてなるものである。
【0025】
先ず、この左右の扉D1、D2について簡単に説明しておくと、この扉D1、D2は、図1、図2及び図8に示すように、固定端である側板2側に設けたヒンジ機構Hを利用して回転する観音開き式の回転扉であり、主として前面側を構成する前枠材と、主として後面側を構成する後枠材とを樹脂製の適宜の取付部材を用いて組み合わせて成形してなる正面視矩形状のものである。また、右扉D2の自由端側の縁部に沿って略全域に亘って設けた引手Tと、引手Tの上下端部近傍において右扉D2を収納部本体1の一部に係留する一対のラッチ機構Rとを備えている。引手Tは、例えば合成樹脂素材を押し出し成形してなり、上端から下端に亘って前面側に開口する操作部を一体に形成したものである。操作部は、その一部に指先を掛けて操作できるように標準的な成人の指先が十分に入るスペースを有するものである。このような構成を有する引手Tの操作によって、各々のラッチ機構Rを同期作動可能に連結している。なお、図2は、収納庫Lを下方から見た斜視図であり、図8は、収納庫Lを上方から見た斜視図である。また図2及び図8においては、左扉を省略している。
【0026】
収納具本体1は、図1及び図2等に図示するように、左右に離間して設けた一対の側板2と、両側板2の後端部間に設けた背板3と、両側板2の上端部間及び下端部間に架け渡して設けた天板4及び底板5とを篭形に組み上げ、前方を開放させた収納空間Sを形成しているものである。なお、説明の便宜上、以下の説明においては、開放させている一端を前縁(前縁部)とし、背板3が位置する一端を後縁(後縁部)とする。
【0027】
側板2は、例えばスチール素材を折り曲げて成形してなるものであり、収納具本体1の側面を形成する側板本体21と、側板本体21の内面側において前縁及び後縁に沿って設けた補強部22とを一体的に備え、補強部22間に形成された凹部に内パネル23を収容した状態で取り付けてなるものである。
【0028】
背板3は、例えばスチール素材等を折り曲げて成形してなるものであり、正面視略矩形状をなすものである。
【0029】
しかして本実施形態に係る天板4は、主として、天板本体6と、内パネル7とを具備してなるものである。
【0030】
詳述すると、天板本体6は、収納部本体1の上面を形成するものであり、平板部61a及び平板部61aの各縁部を内方へ折り返して折曲部61bを有する本体板61と、この本体板61の下面側において前縁及び後縁に沿って下方へ突出させて設けられる一対の補強部62、63とを有する(図6参照)。
【0031】
各補強部62、63は、側面視略上向きコ字形状の補強部本体62a、63aを有し、各補強部本体62a、63aの一端を前記本体板61の平板部61aに当たる位置まで延ばし、さらにその位置から平板部61aに沿って折り曲げるとともに、他端を折曲部61bの下面と略面一となる高さ位置で屈曲して一部を折曲部61bに支持させ、さらに折り曲げて平板部61aに当接する位置まで延ばしてなる。このような構成を有する各補強部62、63を本体板61の前縁及び後縁に沿ってそれぞれ取り付けた状態において、対向する補強部本体62a、63aの内壁62A、63Aの所定位置に略矩形状の係合孔62K、63Kを幅方向略中央部を挟んで左右一対にそれぞれ形成している。この一対に設けた係合孔62K、63Kは、後述する第1係合爪72K及び第2係合爪73K何れをも係合させ得るようにその開口寸法を設定したものである。また、天板本体6の下面側において両側縁に沿って下方へ突出させて設けられる第2補強部64を有している。各第2補強部64の内壁の幅方向略中央部には、他方の第2補強部に向けて突出する円柱状のロック部64bをそれぞれ一体的に設けている。これら各補強部62、63及び各第2補強部64によって包囲される領域に、本体板61側に窪ませて下向きに凹陥状をなす凹部65を形成している。なお、本体板61の前縁に沿って設けた補強部62は、収納部本体1の前面開口を閉止した状態において、前記左右の扉D1、D2が当たる戸当たり部として機能し、補強部本体62aに前記ラッチ機構Rの一部を構成する係留爪R1が係留可能な被係留部62Rを形成している。
【0032】
内パネル7は、前記凹部65に収容可能なものであり、本体板61の下面側に取り付けられるものである。この内パネル7は、図3に示すように、パネル本体71と、パネル本体71の前縁及び後縁の所定箇所にそれぞれ取り付けられる第1係合板72及び第2係合板73とを有する。
【0033】
パネル本体71は、略矩形の下面71aの前縁部及び後縁部を上方へ折り曲げて前壁71A及び後壁71Bを形成するとともに、両縁部を上方へ折り曲げて側壁71Cを形成している。内パネル7を前記天板本体6に取り付けた状態において、パネル本体71の下面71aと、補強部62、63の下面62c、63cとが略同一高さとなるように、前壁71A、後壁71B及び側壁71Cの各高さ寸法を適宜設定している。各側壁71Cには、奥行き方向略中央部に貫通孔71bを形成している。
【0034】
第1係合板72及び第2係合板73は、同一の構成を有する薄板状の平板部材Bから成形される。詳述すると、この平板部材Bは、図4に示すように、パネル本体71の前壁71A及び後壁71Bより若干小さい高さ寸法を有する基板部B1と、基板部B1の両側端から側方に突出する一対の突出部B2とを一体に備えたものである(同図(a)参照)。第1係合板72は、同図(b−1)に正面図、同図(b−2)に平面図で示すように、各突出部B2の幅方向略中央位置から先端に亘る部位を基板部B1に対して略直角に折り曲げ、両端部に一対の第1係合爪72Kを形成したものであり、一方、第2係合部73は、同図(c−1)に正面図、同図(c−2)に平面図で示すように、各突出部B2の基端から先端に亘る全部位を基板部B1に対して略直角にそれぞれ折り曲げ、両端部に一対の第2係合爪73Kを形成している。このように成形してなる第1係合板72と第2係合板73とを比較した場合、第2係合爪73Kの突出寸法d1を、第1係合爪72Kの突出寸法d2より大きく、また、第2係合爪73K間の離間距離d3を、第1係合爪72K間の離間距離d4より短く設定している。しかして、パネル本体71の前壁71Aに第1係合爪72K間の離間距離d4に対応させて一対の挿入孔71dを形成し、各挿入孔71dに、第1係合爪72Kをそれぞれ挿入し、これら第1係合爪72Kをパネル本体71の前方に突出させた状態でパネル本体71と第1係合板72とを例えば溶接により一体的に取り付けてる。一方、パネル本体71の後壁71Bに第2係合爪73K間の離間距離d3に対応させて一対の挿入孔71eを形成し、各挿入孔71eに第2係合爪73Kをそれぞれ挿入し、これら第2係合爪73Kをパネル本体71の後方に突出させた状態でパネル本体71と第2係合板73とを例えば溶接により一体的に取り付けている。
【0035】
また、前記本体板61において前記補強部62、63を設けた縁部とは異なる縁部、つまり本体板61の両側縁部と、前記内パネル7の両側縁部との間に、内パネル7を天板本体6に固定する固定手段8を備えている。この固定手段8は、パネル本体71の両側壁71Cに形成した貫通孔71bに取り付けた固定部材81を、本体板61の両側縁に位置する前記第2補強部64に固定することにより、内パネル7を天板本体6に固定可能に構成したものである(図7参照)。
【0036】
固定部材81は、図5に示すように、例えば合成樹脂素材から成形されたものであり、板状の本体部81aを備えている。本体部81aの上面略中央位置にパネル本体71に形成した前記貫通孔71bよりも小径である回転軸81bが立設されている。この回転軸81bの外周面には、軸心を挟んだ対称位置に、内方(軸心方向)に弾性変形可能な肉厚を有する一対の変形部81cが設けられている。この回転軸81bを、本体部81aの略中央部に形成した開口部81dに挿入すると、変形部81cが開口部81dを通過する際に内方に撓み変形し、所定の挿入深さに達したところでその復元力によって開口部81dの開口縁に係止する。そして、本体部81aに一体的に取り付けた回転軸81bを貫通孔71bに挿入すると、変形部81cが貫通孔71bを通過する際に内方に若干撓み変形するとともに、その復元力によって貫通孔71bの孔縁に係止する。以上の手順により、固定部材81をパネル本体71の側壁71Cに回転可能に取り付ける。また、本体部81aの外周面の一部に直線状の側壁81eが形成され、側壁81eの一端部に半円弧状の凹溝部81fが設けられている。この凹溝部81fに対し回転軸81bの軸心を挟んだ略対称位置に略半円弧状の把手部81gを設けている。また、側壁81eに対し回転軸81bの軸心を挟んだ略対称位置に平面視略C字状のフック部81hが設けられている。フック部81hの外周面上端部には、弾性変形可能な半球状の突部81iをその先端部に有するストッパ81jを突出させて設けている。このストッパ81jの肉厚は、本体部81aの肉厚より薄く設定されている。なお、固定部材81をパネル本体7に取り付けた状態において、突部81iを、前記貫通孔71bの斜め上方に形成した小孔71fに係止させている。
【0037】
次に、内パネル7を天板本体6に取り付ける手順について図6及び図7を参照して説明する。なお、図7は説明の便宜上、パネル本体71を想像線で示している。
【0038】
先ず、凹部65の下方に内パネル7を位置させ、先に内パネル7の後端部側を補強部63に取り付けるため、内パネル7を前傾させた状態で、補強部63に向けて斜め上方(図6に示す矢印A方向)に押し上げ、第2係合爪73Kを係合孔63Kに挿入する(図6(a))。次いで、内パネル7が略水平姿勢となる位置まで内パネル7の前端側を上方(同図に示す矢印B方向)に回転させ、第2係合爪73Kを係合孔63Kに漸次深く挿入する(同図(b)、(c))。そして、内パネル7を補強部62に向けて前方(同図に示す矢印C方向)に略水平にスライド移動させて、内パネル7の前方に突出する第1係合爪72Kを係合孔62Kに挿入し、各係合爪72K、73Kをそれぞれ対応する係合孔62K、63Kに係わり合わせる(同図(d))。この状態においては、パネル本体71の後壁71Bと、補強部本体63aの内壁63Aとの間に若干の隙間S1が形成されるため、内パネル7が前後動し得る。そこで、引き続き、前記固定手段8により、内パネル7を天板本体6に対して前後動不能に固定する。具体的には、前記状態において、第2補強部64とパネル本体71の側壁71cとの間に形成される目地Mから下方に突出している把手部81gを図7に示す矢印Aの方向に回転させると、ストッパ81jが撓んで突部81iが小孔71fから離脱し、固定部材81が回転軸81bを軸として回転する(同図(a)参照)。そして、把手部81gを目地Mに収納する位置まで回転させると、同図(b)に示すように、フック部81hが第2補強部64に設けた前記ロック部64bに引っ掛かり、固定部材81のそれ以上の回転が禁止され内パネル7が固定される(ロック状態)。また、ほぼ同時に、突部81iがストッパ81jの弾性力により、パネル本体71の貫通孔71bの上方に形成した小溝71gに係止する。このロック状態では、固定部材81が前記目地Mに収納される。以上の手順により、内パネル7を天板本体6に取り付ける。この取付状態において、パネル本体71の下面71aと、補強部62、63の下面62c、63cとが略同一の高さ位置に位置する(図6(d)参照)。
【0039】
内パネル7を取り外すには、例えば硬貨等の円盤状の部材9を図7に示す矢印Bの方向から前記凹溝部81fに押し当てる(同図(b)参照)。すると、小溝71gに係止している突部81iがストッパ81jの弾力性により小溝71gから離脱し、固定部材81を同図に示す矢印Cの方向に回転してフック部81hがロック部64bから離れ、前記ロック状態が解除される。同時に目地Mに収納されていた把手部81gが目地Mから突出し、その把手部81gを摘んで所定位置まで固定部材81を回転させると、突部81iが小孔71fに係止して取付前の状態(同図(a))に戻る。引き続き、内パネル7を後方に移動させ、第1係合爪72Kと係合孔62Kとの係わり合いを解除し、内パネル7を前傾姿勢になるように回転させながら、第2係合爪73Kと係合孔63Kとの係わり合いをも解除することにより、内パネル7を天板本体6から取り外す。
【0040】
このように、本実施形態に係る収納庫Lの天板4は、収納部本体1の上面を形成する本体板61及びこの本体板61の下面側において下方へ突出させて設けられる補強部62、63とを有する天板本体6と、本体板61の下面側に取り付けられる内パネル7とを具備するものであり、内パネル7の下面71aと補強部62、63の下面62c、63cとを略面一とした状態で内パネル7を天板本体6に取り付けているため、複数の収納庫Lを上下に積み重ねて使用する場合、上方に位置する収納部本体1の前面が開放した状態であっても、天板4の下面がほぼ同一高さであるため、見えがかりが良く、煩雑な印象を与えることがない。
【0041】
また、補強部62、63を、前記本体板61の前縁及び後縁に沿う位置にそれぞれ設け、これら補強部62、63間に凹部65を形成し、この凹部65内に内パネル7を収容した位置において内パネル7を天板本体6に取り付けた状態で、内パネル7の下面71aと補強部62、63の下面62a、63aとを略同一高さとなるように内パネル7を天板本体6に取り付けているので、収納物を取り出す際に、収納物が凹部65に引っかかることがなく、よりスムーズに収納物の出し入れを行うことができる。
【0042】
特に、内パネル7に係合爪72K、73Kを形成し、この係合爪72K、73Kと係わり合わせるべく補強部62、63に係合孔62K、63Kを形成し、これら係合爪72K、73Kと係合孔62K、63Kとを係わり合わせることにより内パネル7を天板本体6に取り付けているため、簡単な作業によって内パネル7を天板本体6に取り付けることができる。
【0043】
内パネル7が、各補強部62、63に向けて突出する第1係合爪72K及び第2係合爪73Kをそれぞれ一体的に有し、第2係合爪73Kの突出寸法d1を第1係合爪72Kの突出寸法d2より大きく設定し、各突出寸法d1、d2を相互に異ならせているため、内パネル7の前後を簡単かつ明確に識別することができ、取付作業性の向上に寄与する。また、例えば各係合爪にシールを貼ったり、刻印する等、内パネルの前後を識別するための手間を有効に省くことができる。
【0044】
また、内パネル7が、一方の補強部62に向けて突出する一対の第1係合爪72Kと、他方の補強部63に向けて突出する一対の第2係合爪73Kとをそれぞれ一体的に有しているため、簡素な構造を用いて取付強度を有効に高めることができるとともに、第1係合爪72K間の離間距離d4と、第2係合爪73K間の離間距離d3とを相互に異ならせているため、内パネル7の前後をより簡単かつ明確に識別することができる。
【0045】
加えて、各補強部62、63に前記第1係合爪72K及び第2係合爪73K何れをも係合させ得る係合孔62K、63Kをそれぞれ形成しているため、各補強部62、63に相互に異なる係合孔をそれぞれ別途形成することなく、各補強部62、63を共通の部材を用いて構成することができ、製作工程数の削減に役立つ。
【0046】
これに対応して、各補強部62、63に左右一対の係合孔62K、63Kをそれぞれ形成し、一対の各係合爪72K、73Kをそれぞれ一対の係合孔62K、63Kにそれぞれ係合させているため、前記同様、簡素な構造を用いて取付強度を有効に高めることができる。
【0047】
内パネル7が、パネル本体71と、パネル本体71の前縁及び後縁の所定箇所に取り付けられる一組の係合板72、73とを具備し、各係合板72、73の端部を屈曲して各補強部62、63に向けて突出させることにより一方の係合板72に第1係合爪72Kを形成するとともに、他方の係合板73に前記第2係合爪73Kを形成しているため、両端部を折り曲げるだけという極めて簡単な作業により各係合爪72K、73Kを形成することができる。
【0048】
加えて、一組の係合板72、73が、同一の構成を有する薄板状の平板部材Bからそれぞれ成形されたものであるため、各係合板72、73を同じパーツを共用することができ、それぞれ別々のパーツから成形する場合と比較して、コストの削減に資する。
【0049】
また、天板本体6の側縁部と内パネル7の側縁部との間に、内パネル7を天板本体6に固定する固定手段8を備えているため、係合爪72K、73Kと係合孔62K、63Kとをそれぞれ係わり合わせた状態において内パネル7が若干前後動し得る構成であっても、固定手段8により内パネル7の前後動を禁止することができ、より良好な取付状態を実現することができる。
【0050】
特に、固定手段8が、内パネル7を固定している状態ではパネル本体71の側壁71Cと第2補強部64の間に形成される目地Mに収納される固定部材81を有するものであるため、ロック状態においては、収納空間Sに固定部材81の全部または一部が突出することなく、収納物と固定部材81とが干渉することを防止することができる。また、収納空間Sが縮小されることもなく、さらに美観を損なうこともない。また、固定部材81が、ロック状態では前記目地Mに収納され、非ロック状態では目地Mから突出される把手部81gを有するものであるため、前記同様、ロック状態においては、収納空間Sを縮小することなく、良好な美観を維持することができるとともに、把手部81を操作することにより、非ロックからロック状態にすることが可能であり、極めて使い勝手のよいものとすることができる。
【0051】
特に、本実施形態においては、固定部材81を回転させるだけで内パネル7を固定させたり、ロック状態を解除させることができ、しかもロック解除操作は凹溝部81fを押圧するだけでよいため、内パネル7を天板本体6に取り付ける際の着脱作業をより簡単かつ確実に行うことができる。
【0052】
なお、本実施形態に係る収納庫Lは、前記収納部本体1の底板5が、前記天板4と略同一の構成を有するものである。
【0053】
簡単に説明すると、前記収納部本体1の底板5は、図8に示すように、前記収納部本体1の底面を形成する本体板511及びこの本体板511の上面側において前縁及び後縁に沿う位置に上方へ突出させて設けられる補強部512、513とを有する底板本体51と、本体板511の上面側に取り付けられる内パネル52とを具備するものである。各補強部512、513を本体板511に取り付けた状態において対向する補強部512、513の内壁には、それぞれ左右一対の係合孔512K、513Kを形成している。
【0054】
内パネル52は、前記内パネル7の奥行き寸法より若干奥行き寸法を大きく設定したものであり、前方に向けて突出させた第1係合爪521と、後方に向けて突出させた第2係合爪522とを一体的に有する。また、内パネル52の側壁には、固定部材81を回転可能に取り付けている。
【0055】
内パネル52を、補強部512、513間に形成された凹部514に取り付けるには、先ず、凹部514の上方に内パネル52を位置させ、内パネル52を後傾させた状態で、内パネル52の後端側から補強部513に係わり合わせるようにして第2係合爪522を係合孔513Kに挿入する。次いで、内パネル52を略水平姿勢となる位置まで回転させると、その動作に伴って第2係合爪522が係合孔513Kに漸次深く挿入され、内パネル52を前方に移動することにより、第1係合爪521を係合孔512Kに挿入させ、各係合爪521、522をそれぞれ対応する係合孔512K、513Kに係わり合わせる。この状態において、内パネル52の奥行き寸法を前記内パネル7の奥行き寸法より大きく設定しているため、内パネル52の後壁と、補強部513との間に形成される隙間は、天板4における前記隙間S1と比較して小さくなり、この隙間S2に収納物が落下したり、収納物を取り出す際に収納物が隙間に引っかかることを極力回避することができる。なお、本実施形態においても、固定部材81を用いて、内パネル52を底板本体51に対して前後動不能に固定する。以上の手順により、内パネル52を底板本体51に取り付けた状態において、内パネル52の上面52aと、補強部512、513の上面512a、513aとが略同一高さ位置に位置するように設定している。
【0056】
内パネル52を底板本体51から取り外すには、上記と逆の操作を行えばよい。
【0057】
このように、本実施形態に係る収納庫Lは、前記天板4の構成に加え、収納部本体1の底板5が、収納部本体1の底面を形成する本体板511及びこの本体板511の上面側に上方へ突出させて設けられる補強部512、513とを有する底板本体51と、本体板511の上面側に取り付けられる内パネル52とを具備するものであり、内パネル52の上面51aと補強部512、513の上面512a、513aとを略面一とした状態で内パネル52を底板本体51に取り付けているため、天板4のみならず、底板5の見えがかりをも良くすることができる。
【0058】
また、補強部512、513を、本体板511の前縁及び後縁に沿う位置にそれぞれ設け、これら補強部512、513間に凹部514を形成し、凹部514内に内パネル52を収容した位置において内パネル52を底板本体51に取り付けた状態で、内パネル52の上面51aと補強部512、513の上面512a、513aとを略面一とした状態で内パネル52を底板本体51に取り付けているので、収納物を取り出す際に、収納物が凹部514に引っかかることがなく、よりスムーズに収納物の出し入れを行うことができる。
【0059】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0061】
勿論、各係合爪は左右一対のものに限らず、単数のものや、また2以上有するものであってもよく、係合爪に合わせて、係合孔の数も適宜増減すれば好適に用いることができる。
【0063】
また、パネル部材の前後を間違えて取り付けることを確実に防止するためには、一方の補強部に、第1係合爪のみを係合させる第1係合孔を設けるとともに、他方の補強部に、第2係合爪のみを係合させる第2係合孔を設ければよい。
【0064】
さらに、一方の補強部に、第1係合爪間の離間距離に対応させて一対の第1係合孔を設けるとともに、他方の補強部に、前記第2係合爪間の離間距離に対応させて一対の第2係合孔を設ければ、パネル部材の前後を間違えて取り付けることを確実に防止することができるとともに、取付強度をも有効に高めることができる。
【0065】
また、固定手段として、補強部にねじ孔を設けるとともに、内パネルにねじ挿通孔を形成し、ねじ孔とねじ合わせ可能なネジをねじ挿通孔に挿入し、ねじ孔にねじ合わせすることにより、内パネルを天板本体または底板本体に固定可能に構成したものも挙げられる。
【0066】
底板の本体板に取り付けられる内パネルは、天板の本体板に取り付けられる内パネルと異なり、下方に落下することがないため、補強部間の内寸と略同一の奥行き寸法を有する内パネルを補強部間に嵌め込み、固定手段も利用して固定するようにしてもよい。この場合には、内パネルに係合爪を設ける必要がなく、部品点数の削減及びコストの削減を有効に図ることができる。なお、天板の本体板に取り付けられ内パネルについても、係合爪を設けることなく、固定手段のみで固定するようにしても構わない。
【0067】
また、収納家具として、上記実施形態における収納庫の代わりに、ロッカーやキャビネット等を用いてもよい。
【0068】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、複数の収納家具を上下に積み重ねて使用する場合、上方に位置する収納部本体の前面が開放した状態であっても、天板の下面がほぼ同一高さであるため、見えがかりが良く、煩雑な印象を与えることがなく、意匠的にも優れたものである。また、収納物を取り出す際に、収納物が天板下面の凹凸に引っかかることがなく、よりスムーズに収納物の出し入れを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における開口を閉止した状態の収納具を示す全体斜視図。
【図2】同実施形態における開口を開放した状態の収納具を一部省略して示す斜視図。
【図3】同実施形態における内パネルの分解斜視図。
【図4】同実施形態における各係合板の正面図及び平面図。
【図5】同実施形態における固定部材の全体斜視図。
【図6】同実施形態における作用説明図。
【図7】同実施形態における作用説明図。
【図8】同実施形態における開口を開放した状態の収納具を一部省略して示す斜視図。
【符号の説明】
L…収納家具(収納庫)
1…収納部本体
4…天板
5…底板
51…底板本体
511…本体板
512、513…補強部
52…内パネル
6…天板本体
61…本体板
62、63…補強部
62K、63K…係合孔
65…凹部
7…内パネル
72K、73K…係合爪(第1係合爪、第2係合爪)
71…パネル本体
72、73…係合板
8…固定手段
81…固定部材
81g…把手部
B…薄板状の部材(平板部材)
M…目地

Claims (11)

  1. 収納庫やロッカー等の収納家具において、所定の収納空間を形成する収納部本体の天板であって、
    前記天板が、前記収納部本体の上面を形成する本体板及びこの本体板の下面側において前縁及び後縁に沿って下方へ突出させて設けられる一対の補強部を有する天板本体と、前記本体板の下面側において前記補強部間に形成される凹部に取り付けられる内パネルとを具備するものであり、
    前記内パネルが、一方の補強部に向けて突出する第1係合爪と、他方の補強部に向けて突出し且つ前記第1係合爪よりも突出寸法を大きく設定した第2係合爪とをそれぞれ一体的に有するものであり、
    前記各補強部が、前記係合爪が係合可能な係合孔を有するものであり、
    前記内パネルを前傾させた状態で、前記補強部に向けて斜め上方に押し上げ、前記第2係合爪を前記係合孔に挿入し、前記内パネルが略水平姿勢となる位置まで内パネルの前端側を上方に回転させ前記第2係合爪を係合孔に漸次深く挿入し、前記内パネルを前記補強部に向けて前方に略水平にスライド移動させて、前記第1係合爪を係合孔に挿入し、各係合爪をそれぞれ対応する係合孔に係わり合わせることにより、前記内パネルの下面と前記補強部の下面とを略面一とした状態で内パネルを前記天板本体に取り付けていることを特徴とする収納家具の天板。
  2. 前記内パネルが、一方の補強部に向けて突出する一対の第1係合爪と、他方の補強部に向けて突出する一対の第2係合爪とをそれぞれ一体的に有し、第1係合爪間の離間距離と、第2係合爪間の離間距離とを相互に異ならせている請求項1記載の収納家具の天板。
  3. 前記本体板の前縁及び後縁に沿ってそれぞれ補強部を設け、各補強部に前記第1係合爪及び第2係合爪何れをも係合させ得る係合孔をそれぞれ形成している請求項1又は2記載の収納家具の天板。
  4. 前記本体板の前縁及び後縁に沿ってそれぞれ補強部を設け、前縁の補強部に、前記第1係合爪のみを係合させる第1係合孔を設けるとともに、後縁の補強部に、前記第2係合爪のみを係合させる第2係合孔を設けている請求項1又は2記載の収納家具の天板。
  5. 前記内パネルが、パネル本体と、パネル本体の対向する一対の縁部の所定箇所に取り付けられる一組の係合板とを具備し、各係合板の端部を屈曲して前記各補強部に向けて突出させることにより一方の係合板に前記第1係合爪を形成するとともに、他方の係合板に前記第2係合爪を形成している請求項1、2、3又は4記載の収納家具の天板。
  6. 前記各係合板の両端部を屈曲して前記各補強部に向けて突出させることにより一方の係合板に前記第1係合爪を形成するとともに、他方の係合板に前記第2係合爪を形成している請求項5記載の収納家具の天板。
  7. 前記一組の係合板が、同一の構成を有する薄板状の部材からそれぞれ成形されたものである請求項5又は6記載の収納家具の天板。
  8. 前記内パネルを前記天板本体に固定する固定手段を備えてなる請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の収納家具の天板。
  9. 前記固定手段が、前記内パネルを固定している状態では内パネルの側面と前記本体板との間に形成される目地に収納される固定部材を有するものであり、該固定部材が、前記固定状態では前記目地に収納され、固定状態を解除した状態では目地から突出する把手部を有する請求項8記載の収納家具の天板。
  10. 収納庫やロッカー等の収納家具であって、前記請求項1〜9何れか1項記載の天板を具備したものであることを特徴とする収納家具。
  11. 前記収納部本体の底板が、前記収納部本体の底面を形成する本体板及びこの本体板の上面側おいて前縁及び後縁に沿って上方へ突出させて設けられる一対の補強部とを有する底板本体と、前記本体板の上面側において前記補強部間に形成される凹部に取り付けられる内パネルとを具備するものであり、
    前記内パネルの上面と補強部の上面とを略面一とした状態で内パネルを底板本体に取り付けている請求項10記載の収納家具。
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