JP4123009B2 - 錠剤容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は錠剤を収納する容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、螺合式のキャップ付きの壜内に錠剤を入れておき、キャップを螺脱して壜内錠剤を壜口部から取出し、該錠剤取出し後に再びキャップを壜口部に螺合することが行われているが、キャップ着脱の煩わしいさをなくすために、たとえば特許文献1、特許文献2には、容器に設けた押釦の押下げにより取出し孔が開孔し、又押釦を離すと押釦を有する板バネ部材が弾性復帰して、該板バネ部材が有する開閉板が上記取出し孔を自動的に閉塞するよう設けた容器に関する記載がある。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−70980号公報
【特許文献2】
特開平11−100080号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の錠剤容器、特に小粒の錠剤を収納する容器では、錠剤の振り出し操作の際、手の平の一定の位置に容易に振り出すのが難しいのでこぼしやすい、また容器から錠剤を一旦手の平にある程度の量を振り出し、量を確認してから口に含むが、容器から振り出す際にどれだけの量が吐出しているかが容器の陰に隠れて見難く出し過ぎる、出し過ぎた錠剤を容易に容器内部に戻すことが難しい等の問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、錠剤の吐出位置を容易に決めることができ、吐出量が確認し易く、また出し過ぎても容易に容器内に戻すことが可能な使い勝手の優れた錠剤容器の提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決する本発明の手段のうち、請求項1記載の発明の手段は、
左右両側壁と底壁と後面壁から形成される容器本体と、容器本体に嵌合して前面壁を形成する前面部と、起立姿勢で内容物の取出し口機能を、また前倒姿勢で蓋部の機能を発揮する筒状のノズル部からなる容器であって、
前面部の前面壁の内側面、上端部から容器内で隔壁板となる板バネ状の矩形薄板片を略水平方向に突設すること、
ノズル部の下端部の前面を円弧面とすること、
ノズル部の後部下端部を容器本体の後部上端部に前後方向への回動可能に組み付けた状態で、薄板片の先端部が、ノズル部の円弧面から前部下端面にかけての部分に摺動可能に接触する構成とすること、
にある。
【0007】
容器本体の左右両側壁と底壁、後面壁および前面部の前面壁の計5ケの壁により上部を開口した容器の収納部が形成され、薄板片およびノズル部が上部開口部を覆うと共に、ノズル部は錠剤の取出し口としての機能を発揮する。
【0008】
容器の組み立ては通常、まずノズル部の後部下端部を前後方向への回動可能に容器本体の後部上端部に組み付けてノズル部の姿勢を前倒した状態で容器の上部開口部を覆って、次に容器本体の前面開口部から収納物を収納して最後に前面部の前面壁を容器本体の前部に嵌合組み付ける。
【0009】
また、ノズル部を起立させた状態(必ずしも直上方向である必要はなく目的に応じて傾斜した姿勢とすることもできる。)では、筒状のノズル部が収納物の取出し口となるが、ノズル部の姿勢に係わらず、前面壁の内側面、上端部から略水平方向に突設された板バネ状の矩形薄板片の先端部を、ノズル部の下端部前面の円弧面に接触させることができ、この容器本体の左右両側壁間距離と略同じ幅を有する薄板片が隔壁板としての機能を発揮してノズル以外の部分からの収納物がこぼれるのを防止する。
【0010】
ノズル部の姿勢を変える際には、薄板片の先端部がノズル部の円弧面に沿って摺動しながら移動するが、板バネ状の薄板片の肉厚、突設長さ、円弧面の形状等を決めることにより、目的に応じてノズル部の動き、起立姿勢等を設定することが可能である。
【0011】
そして、収納物の取出しがノズル部で行なわれるので、収納物の振り出しを手の平の所定の位置に、取り出された量を確認しながら実施すると共に、たとえ多く振り出しすぎても、ノズル部の先端部分を利用して容易に容器内に戻すことが可能となる。
【0012】
また使用後は、ノズル部を容器の上部に蓋部として収納することができ使い勝手の優れた錠剤容器を提供することができる。
【0013】
請求項2記載の発明の手段は、請求項1記載の発明において、薄板片の先端部上面が、ノズル部の円弧面から前部下端面にかけての部分に摺動可能に接触する構成とすることにある。
【0014】
請求項2記載の上記構成により、ノズル部を前倒姿勢、すなわち蓋部としての姿勢から、起立姿勢にする初期段階ではノズル部の円弧面の作用により薄板片の先端部が下方に変形した状態であるが、この薄板片の板バネ状の反撥作用を利用して、蓋部の開放およびノズル部の起立動作をスムーズなものとすることができる。また、薄板片の弾力を強く設定する等により、ノズル部を予め設定した起立姿勢まで撥ね上げることができ、ワンタッチ状の操作により取出し口を突き出すことも可能である。
【0015】
請求項3記載の発明の手段は、請求項1記載の発明において、ノズル部の回動軸を中心軸として円弧面を形成、薄板片の先端が、前記円弧面から前部下端縁にかけての部分に摺動可能に接触する構成とすること、にある。
【0016】
請求項3記載の上記構成により、ノズル部の回動に従って、この回動の軸を中心として円弧面が回転するので、薄板片の先端と円弧面との摺動抵抗を略一定に維持することができ、ノズル部の姿勢を緩やかに一定の力で変えることが可能となる。
【0017】
請求項4記載の発明の手段は、請求項3記載の発明において、ノズル部の先端と円弧面との摺動抵抗の大きさを、任意の傾斜角度でのノズル部の起立姿勢の保持可能な範囲とすること、にある。
【0018】
請求項4記載の上記構成により、薄板片の先端と円弧面との摺動抵抗を略一定に維持することができ、この摺動抵抗の大きさを適度に大きくすることにより、ノズル部を必要に応じて任意の起立姿勢で止めて使用することが可能となる。
【0019】
請求項5記載の発明の手段は、請求項3または4記載の発明において、ヒンジ部を介して容器本体の底壁の前端に前面部の前面壁の下端部を連結し、ヒンジ部を回動軸とした回動による前面壁の開閉可能に容器本体と前面部を一体連設すること、にある。
【0020】
請求項5記載の上記構成により、容器を2つの部材から構成することができ、また前面壁の容器本体前面への嵌合組み付けを容易に実施できると共に、容器の前面壁の開閉をヒンジ部を回動軸として容易に実施することができ、収納物の詰め替えも容易な容器を提供することができる。
【0021】
請求項6記載の発明の手段は、請求項1、2、3、4または5記載の発明において、ノズル部後部の先端面に先端片を延設すること、にある。
【0022】
請求項6記載の上記構成により、ノズル部後部の先端面に先端片を延設することにより、この先端片を利用して余分に取出した錠剤をより容易に容器内に戻すことができると共に、この先端片で前面壁の上端部を覆う様にすることができるので蓋部として機能をより確実に発揮させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の錠剤容器の第1実施例を図1〜図4に示す。
本第1実施例の容器は小粒の錠剤を収納するための略中空直方体の容器であり、図1に示すように、容器本体1と前面部11とノズル部15の3部材から構成されるものであり、容器本体1は左右対称の形状であり、左右の側壁2と底壁3と後面壁4から形成され、側壁2の前部には前面部11の前面壁12が嵌入してアンダーカット状に固定するための溝状凹部6および小孔6aが計6箇所に形成されている。
【0024】
また、後面壁4の上部に後述するノズル部15の蝶番片18を収納する、収納凹部8が形成されており、側壁2の後部上端部には蝶番片18の軸片18aが嵌入する溝状凹部8および軸受け孔8bが形成されている。
【0025】
前面部11の前面壁12は上下に端面を有する縦長細の角溝状の形状であり、左右側面には容器本体1の小孔6aに嵌入する計6ケの突片13が突設されており、この前面壁12の上端部内側面からバネ板状の薄板片14を水平に突設しており、前面壁12および薄板片14は容器本体1の左右側面2の間に嵌入する横幅を有する。
【0026】
ノズル部15は全体として四角筒状であるが、後部下端部には左右側面に軸片18aを突設した蝶番片18を付設しており、また前面をノズル部15の前後方向への回動軸となるこの一対の軸片18a方向を中心軸とした円弧面19としている。
【0027】
またノズル部15の前部先端面には係止片16が付設されており、ノズル部15を前倒の姿勢とした際、すなわちノズル部15で蓋をした際に前面壁12の上端部に係止して、この前倒姿勢を確実に維持するようにしている。
【0028】
また後部先端面には先端片17が延設されており、この先端片17を利用して一旦外に出した錠剤を容易に容器内に戻すことができるようにしていると共に、ノズル部15で蓋をした際にはこの先端片17で前面壁12の上端部を覆う様にすることができるので蓋部としての機能をより確実に発揮させることができる。またこの先端片17を利用して、指先で容易に蓋部(ノズル部15)を開放することができる。
【0029】
容器の組み立ては、まずノズル部15の蝶番片18の軸片18aを容器本体1の溝状凹部8aを介して軸受け孔8bに嵌入して、ノズル部15を前後方向への回動可能に容器本体1に組み付け、ノズル部15前倒姿勢にして容器の上部開口部を覆って、次に容器本体1の前面開口部から錠剤Mを収納して最後に前面部11の前面壁12を、突片13を溝状凹部6を介して容器本体1の小孔6aに嵌入させて容器本体1の前部に嵌合組み付ける。(図1、図3参照)
【0030】
図2は上記のように3つの部材を組付けた容器の外観を示すものであり、図2(a)はノズル部15を前倒姿勢にして蓋をした状態であり、図2(b)はノズル部15を直上方向に起立させた状態を示す。
【0031】
また、図4は容器を縦断面図で、ノズル部15の前倒姿勢(a)から、斜め上方起立姿勢(b)、直上起立姿勢(c)への姿勢の変化に伴うノズル部15の円弧面19への薄板片14先端部の接触状態および薄板片14の変形様式を示すものである。
【0032】
前倒姿勢では薄板片14の先端部上面が円弧面19の略中央高さ位置に接触して下方に変形しており(図4(a)参照)、ノズル部15を起立させる力が作用するが、先端の係止片16の前面壁12上端部への係止機能により蓋をした状態で維持されるが、係止片16の係止状態を解除すると、上記薄板片14の板バネ状の反撥作用により、蓋部の開放およびノズル部15の起立動作をスムーズに達成することができ(図4(b)参照)、最終的にノズル部15がその後面を容器本体1の後面壁4の上端部に当接させて、直上起立姿勢となる(図4(c)参照)。
【0033】
このように、錠剤の取り出しがノズル部15を取出し口として行なわれるので、錠剤の振り出しを手の平の所定の位置に、取り出された量を確認しながら実施することができると共に、たとえ多く振り出しすぎても、ノズル部15の先端片16を利用して容易に容器内に戻すことが可能となる。
【0034】
図5および図6は本発明の容器の第2実施例を示すものであり、第1実施例と同様の形状および構成であるが、薄板片14の長さを短めにして、図5に示されるようにノズル部15の姿勢に係わらず薄板片14の先端が常に円弧面19に接するように構成したものである。
【0035】
本第2実施例のような構成では、ノズル部15の回動の軸を中心として円弧面19が回動するので、薄板片14の先端と円弧面19との摺動抵抗を略一定に維持することができ、ノズル部15の姿勢を緩やかに一定の力で変えることができ、さらには薄板片14の肉厚、先端形状、長さ等の調整によりこの摺動抵抗を適度に大きくすることにより、ノズル部を必要に応じて任意の起立姿勢で止めて使用することができる。(図6参照)
【0036】
図7、図8および図9は本発明の容器の第3実施例を示すものであり、ヒンジ部9を介して容器本体1の底壁3の前端に前面部11の前面壁12の下端部を連結し、ヒンジ部9を回動軸とした回動によって前面壁12の開閉が可能なように容器本体1と前面部11を一体連設し、また前面壁12の開閉に便利なように前面部11の上端部を摘み部12aとした構成であり、その他の部分の構成は略第2実施例と同様である。
【0037】
上記のような第3実施例の容器においては、容器を2つの部材から構成することができ、また前面壁12の容器本体1前面への嵌合組み付けを容易に実施できるので製造コストをより低減することができ、さらには容器の前面壁12の開閉をヒンジ部9を回動軸として、摘み部12aを利用しながら容易に実施することができるので、錠剤Mの詰め替えを容易に実施することができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明は上記構成とするものであり、請求項1記載発明にあっては、
収納物の取り出しがノズル部で行なわれるので、収納物の振り出しを手の平の所定の位置に、取り出された量を確認しながら実施することができると共に、たとえ多く振り出しすぎても、ノズル部の先端部分を利用して容易に容器内に戻すことができ、また使用後はノズル部を容器の上部に蓋部として収納することができ使い勝手の優れた錠剤容器を提供することができる。
【0039】
薄板片とノズル部の円弧面を常に接触させる構成により、使用目的に応じてノズル部の動き、起立姿勢等を設定することができると共に、薄板片がノズル部の姿勢に係わらず隔壁板としての機能を発揮してノズル部以外の部分から収納物がこぼれるのを防止することができる。
【0040】
請求項2記載の発明にあっては、薄板片の先端部上面が、ノズル部の円弧面から前部下端面にかけての部分に摺動可能に接触する構成とすることにより、この薄板片の板バネ状の反撥作用を利用して、蓋部の開放およびノズル部の起立動作をスムーズなものとすることができる。また、薄板片の弾力を強く設定する等により、ノズル部を予め設定した起立姿勢まで撥ね上げることができ、ワンタッチ状の操作により取出し口を突き出すことも可能である。
【0041】
請求項3記載の発明にあっては、ノズル部の回動の軸を中心として円弧面が回転するので、薄板片の先端と円弧面との摺動抵抗を略一定に維持することができ、ノズル部の姿勢を緩やかに一定の力で変えることができる。
【0042】
請求項4記載の発明にあっては、薄板片の先端と円弧面との摺動抵抗の大きさを適度に大きくすることにより、ノズル部を必要に応じて任意の起立姿勢で止めて使用することができる。
【0043】
請求項5記載の発明にあっては、容器を2つの部材から構成することができ、また前面壁の容器本体前面への嵌合組み付けを容易に実施できると共に、容器の前面壁の開閉をヒンジ部を回動軸として容易に実施することができ、収納物の詰め替えも容易な容器を提供することができる。
【0044】
請求項6記載の発明にあっては、先端片を利用して余分に取出した錠剤をより容易に容器内に戻すことができると共に、この先端片で前面壁の上端部を覆う様にすることができるので蓋部として機能をより確実に発揮させることができ、さらにはこの先端片を利用して、指先で容易に蓋部を開放することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の容器を分解して示す、斜視図。
【図2】本発明の第1実施例の容器をノズル部前倒姿勢(a)およびノズル部直上起立姿勢(b)で示す、斜視図。
【図3】本発明の第1実施例の容器の組み立て方法を縦断面図で示す説明図。
【図4】本発明の第1実施例の容器のノズル部の起立姿勢の変化を縦断面図で示す、説明図。
【図5】本発明の第2実施例の容器のノズル部の起立姿勢の変化を縦断面図で示す、説明図。
【図6】本発明の第2実施例の使用状態の一例を縦断面図で示す、説明図。
【図7】本発明の第3実施例の容器を分解して示す、斜視図。
【図8】本発明の第3実施例の容器をノズル部前倒姿勢(a)およびノズル部直上起立姿勢(b)で示す、斜視図。
【図9】本発明の第3実施例の容器の組み立て方法を縦断面図で示す説明図。
【符号の説明】
1 ; 容器本体
2 ; 側壁
3 ; 底壁
4 ; 後面壁
6 ; 溝状凹部
6a; 小孔
8 ; 収納凹部
8a; 溝状凹部
8b; 軸受け孔
9 ; ヒンジ部
11; 前面部
12; 前面壁
12a;摘み部
13; 突片
14; 薄板片
15; ノズル部
16; 係止突片
17; 先端片
18; 蝶番片
18a;軸片
19; 円弧面
M ; 錠剤
Claims (6)
- 左右両側壁(2)と底壁(3)と後面壁(4)から形成される容器本体(1)と、該容器本体(1)に嵌合して前面壁(12)を形成する前面部(11)と、起立姿勢で内容物の取出し口機能を、また前倒姿勢で蓋部の機能を発揮する筒状のノズル部(15)からなる容器であって、前記前面部(11)の前面壁(12)の内側面、上端部から容器内で隔壁板となる板バネ状の矩形薄板片(14)を略水平方向に突設し、前記ノズル部(15)の下端部の前面を円弧面(19)として、前記ノズル部(15)の後部下端部を前記容器本体(1)の後部上端部に前後方向への回動可能に組み付けた状態で、前記薄板片(14)の先端部が、ノズル部(15)の円弧面(19)から前部下端面にかけての部分に摺動可能に接触している構成とした錠剤容器。
- 薄板片(14)の先端部上面が、ノズル部(15)の円弧面(19)から前部下端面にかけての部分に摺動可能に接触する構成とした、請求項1記載の錠剤容器。
- ノズル部(15)の回動軸を中心軸として円弧面(19)を形成、薄板片(14)の先端が、前記円弧面(19)から前部下端縁にかけての部分に摺動可能に接触する構成とした、請求項1記載の錠剤容器。
- ノズル部(15)の先端と円弧面(19)との摺動抵抗の大きさを、任意の傾斜角度でのノズル部(15)の起立姿勢の保持可能な範囲とした、請求項3記載の錠剤容器。
- ヒンジ部(9)を介して容器本体(1)の底壁の前端に前面部(11)の前面壁(12)の下端部を連結し、前記ヒンジ部(9)を回動軸とした回動による前記前面壁(12)の開閉可能に前記容器本体(1)と前面部(11)を一体連設した、請求項3または4記載の錠剤容器。
- ノズル部(15)後部の先端面に先端片(17)を延設した請求項1、2、3、4または5記載の錠剤容器。
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