JP4133091B2 - ガラスブランク、情報記録媒体用基板および情報記録媒体それぞれの製造方法 - Google Patents

ガラスブランク、情報記録媒体用基板および情報記録媒体それぞれの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスブランク、情報記録媒体用基板および情報記録媒体それぞれの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、中心穴加工を容易に施すことができ、情報記録媒体用基板を生産性よく作製し得る中心穴付きガラスブランクの製造方法、前記ガラスブランクから情報記録媒体用基板を製造する方法、および前記基板を用いて磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光記録媒体などの情報記録媒体を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パソコンなどに内蔵された固定型のメモリディスクの基板には様々な理由から、ガラス製あるいはガラスを結晶化して得られたガラスセラミックス製の基板が使用されている。このような情報記録媒体用基板は、中心部に貫通穴をもつ円板形状を有している。そして、ガラス製の基板は、一般に薄板ガラスを作り、このガラスの中心部分を機械的な方法でくり貫き、薄板表面に研削、研磨処理を施して平坦かつ平滑、しかも両面が互いに高い平行度になるように機械加工を施すことにより、作製されている。
【0003】
このように、従来の方法においては、基板を作製する際にドリルや研削、切断などの何れかの手段により中心穴を形成する工程が必要であるが、このような加工は時間と手間がかかり、生産性の向上や生産コスト低減の障害となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、中心穴加工を容易に施すことができ、情報記録媒体用基板を生産性よく作製し得る中心穴付きガラスブランクの製造方法、前記ガラスブランクから情報記録媒体用基板を製造する方法、および前記基板を用いて情報記録媒体を製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する高温状態の円板状薄板ガラス全体を急冷して、環状の亀裂を発生させたのち、中心穴を形成することにより、情報記録媒体用基板を生産性よく作製し得る中心穴付きガラスブランクが得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)円板状の薄板ガラスから中心穴を有するガラスブランクを製造する方法において、
前記円板状の薄板ガラスとして、中心穴を設けようとする部分に中心肉厚部を有し、かつ該中心肉厚部の周辺にその中心肉厚部よりも肉厚が薄い周辺肉薄部を有すると共に、中心肉厚部と周辺肉薄部の境界に段差を有する高温状態の薄板ガラスを用い、
前記薄板ガラス全体を急冷して、前記段差に沿って環状の亀裂を発生させ、次いで中心穴を形成することを特徴とする円板形状を有するガラスブランクの製造方法、
【0007】
(2)円板の中心軸に直交する任意の面に対し、非対称形状の薄板ガラスを用いる上記(1)項に記載のガラスブランクの製造方法、
(3)円板状の薄板ガラスから中心穴を有するガラスブランクを製造する方法において、
前記円板状の薄板ガラスとして、中心穴を設けようとする部分に中心肉厚部を有し、かつ該中心肉厚部の周辺にその中心肉厚部よりも肉厚が薄い周辺肉薄部を有すると共に、中心肉厚部と周辺肉薄部の境界に段差を有し、一方の面において中心肉厚部が周辺肉薄部に対して凸状であり、他方の面において中心肉厚部が周辺肉薄部に対して凹状である高温状態の薄板ガラスを用い、
前記薄板ガラス全体を急冷して、前記段差に沿って環状の亀裂を発生させ、次いで中心穴を形成することを特徴とする円板形状を有するガラスブランクの製造方法、
【0008】
(4)円板状の薄板ガラスから中心穴を有するガラスブランクを製造する方法において、
前記円板状の薄板ガラスとして、中心穴を設けようとする部分に中心肉厚部を有し、かつ該中心肉厚部の周辺にその中心肉厚部よりも肉厚が薄い周辺肉薄部を有すると共に、中心肉厚部と周辺肉薄部の境界に段差を有し、両面において中心肉厚部が周辺肉薄部に対して凸状であり、かつ両面間において前記段差の高さが異なる高温状態の薄板ガラスを用い、
前記薄板ガラス全体を急冷して、前記段差に沿って環状の亀裂を発生させ、次いで中心穴を形成することを特徴とする円板形状を有するガラスブランクの製造方法、
【0009】
(5)円板状の薄板ガラスから中心穴を有するガラスブランクを製造する方法において、
前記円板状の薄板ガラスとして、中心穴を設けようとする部分に中心肉厚部を有し、かつ該中心肉厚部の周辺にその中心肉厚部よりも肉厚が薄い周辺肉薄部を有すると共に、中心肉厚部と周辺肉薄部の境界に段差を有し、一方の面において中心肉厚部が周辺肉薄部に対して凸状であり、他方の面が平坦若しくは中心肉厚部と周辺肉薄部の境界に溝が形成された高温状態の薄板ガラスを用い、
前記薄板ガラス全体を急冷して、前記段差に沿って環状の亀裂を発生させ、次いで中心穴を形成することを特徴とする円板形状を有するガラスブランクの製造方法、
【0010】
(6)中心肉厚部と周辺肉薄部の境界をなす段差が円形状であって、薄板ガラスの両面間において前記段差の高さが大きい方の径を、前記段差の高さが小さい方の径よりも大きくする上記(2)ないし(5)項のいずれか1項に記載のガラスブランクの製造方法、
(7)亀裂を発生させたのち、中心肉厚部に力を加え、段差が高い方の面から中心肉厚部のガラスを抜き取り、中心穴を形成する上記(6)項に記載のガラスブランクの製造方法、
【0011】
(8)円板状の薄板ガラスが、溶融ガラスを型に供給してプレス成形してなるものである上記(1)ないし(7)項のいずれか1項に記載のガラスブランクの製造方法、
(9)上記(1)ないし(8)項のいずれか1項に記載の方法で作製されたガラスブランクに、機械加工を含む加工を施すことを特徴とする情報記録媒体用基板の製造方法、および
(10)上記(9)項に記載の方法により作製された基板に情報記録層を設けることを特徴とする情報記録媒体の製造方法、
を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のガラスブランクの製造方法においては、円板状の薄板ガラスから中心穴を有するガラスブランクを製造するに際し、前記円板状薄板ガラスとして、中心穴を設けようとする部分に中心肉厚部を有し、かつ該中心肉厚部の周辺にその中心肉厚部よりも肉厚が薄い周辺肉薄部を有すると共に、中心肉厚部と周辺肉薄部の境界に段差を有する高温状態の薄板ガラスを用い、この薄板ガラス全体を急冷して、前記段差に沿って環状の亀裂を発生させ、次いで中心穴を形成させる。
【0013】
なお、本発明において、ガラスブランクとは、機械加工を含む加工を施すことにより、情報記録媒体用基板となるガラス製中間成形体のことを示す。
本発明においては、前記円板状薄板ガラスとして、該円板の中心軸に直交する任意の面に対し、非対称形状の薄板ガラスを用いることができる。
【0014】
このような円板状薄板ガラスとしては、具体的には、以下に示す3つの態様、すなわち、(1)中心穴を設けようとする部分に中心肉厚部を有し、かつ該中心肉厚部の周辺にその中心肉厚部よりも肉厚が薄い周辺肉薄部を有すると共に、中心肉厚部と周辺肉薄部の境界に段差を有し、一方の面において中心肉厚部が周辺肉薄部に対して凸状であり、他方の面において中心肉厚部が周辺肉薄部に対して凹状である薄板ガラス、(2)中心穴を設けようとする部分に中心肉厚部を有し、かつ該中心肉厚部の周辺にその中心肉厚部よりも肉厚が薄い周辺肉薄部を有すると共に、中心肉厚部と周辺肉薄部の境界に段差を有し、両面において中心肉厚部が周辺肉薄部に対して凸状であり、かつ両面間において前記段差の高さが異なる薄板ガラス、及び(3)中心穴を設けようとする部分に中心肉厚部を有し、かつ該中心肉厚部の周辺にその中心肉厚部よりも肉厚が薄い周辺肉薄部を有すると共に、中心肉厚部と周辺肉薄部の境界に段差を有し、一方の面において中心肉厚部が周辺肉薄部に対して凸状であり、他方の面が平坦若しくは中心肉厚部と周辺肉薄部の境界に溝が形成された薄板ガラスを挙げることができる。
【0015】
次に、前記各態様について添付図面に従って説明する。
図1は、本発明の方法において、ガラスブランクの作製に用いられる円板状薄板ガラスの異なる態様の例を示す断面図であり、図1に示される断面は、円板の回転対称軸を含む平面におけるものである。
【0016】
図1の(a)に例示した薄板ガラスは、前記態様(1)の薄板ガラスであり、中心穴を設けようとする部分の肉厚が周囲の肉厚よりも厚くなっている。周囲の肉厚は一定であり、中心の肉厚部分1(以下、中心肉厚部1という。)は一方の面が凸状1−1、他方の面が凹状1−2になっており、凸部の高さは凹部の深さよりも大きくなっている。(凸部の周縁にある段差のほうが凹部の周縁にある段差よりも高い。)凸部および凹部の平面視形状はともに円であり、その円周が中心肉厚部とその周囲を囲む中心肉厚部よりも肉薄の部分2(以下、周辺肉薄部2という。)の境界をなす段差3となっている。前記凸部の周縁と前記凹部の周縁は薄板ガラスの表裏でほぼ対向する位置関係になっているが、凸部の外径φの方が凹部の内径φよりも少し大きく作られている。外径φの中心と内径φの中心はともに前記円板の回転対称軸上に位置している。中心肉厚部の両面と周辺肉薄部の両面は相互に平行となっている。
【0017】
図1の(b)に例示した薄板ガラスは、前記態様(2)の薄板ガラスであり、中心穴を設けようとする中心肉厚部1の肉厚が周囲の周辺肉薄部2の肉厚よりも厚くなっている点、中心肉厚部の肉厚および周辺肉薄部の肉厚が一定である点、中心肉厚部の両面と周辺肉薄部の両面が相互に平行になっている点は図1の(a)と共通する。中心肉厚部は両面とも凸部になっているが、凸部の高さ(段差の高さ)は異なり、かつ径も異なることが望ましく、特に、(b)のような上下凸形状の場合、中心穴をあける際に中心肉厚部のガラスを抜く方向を一定にする上で効果が大きい。両凸部とも平面視形状は円であるが、段差が高い方の凸部1−3の外径φの方が、段差が低い方の凸部1−4の外径φよりも少し大きく作られている。外径φの中心と外径φの中心はともに前記円板の回転対称軸上に位置している。
【0018】
図1の(c)に例示した薄板ガラスは、前記態様(3)の薄板ガラスであり、中心穴を設けようとする中心肉厚部1の肉厚が周囲の周辺肉薄部2の肉厚よりも厚くなっている点、中心肉厚部の肉厚および周辺肉薄部の肉厚が一定である点、中心肉厚部の両面と周辺肉薄部の両面が相互に平行になっている点は図1の(a)、(b)と共通する。中心肉厚部は一方の面のみが凸部1−5となっており、この凸部の円周縁に対向する裏面に円環状の溝1−6が形成されている。この凸部の高さ(段差の高さ)は溝の深さよりも高いことが望ましい。
【0019】
図1の(a)〜(c)に示された薄板ガラスはいずれも、円板の回転対称軸と直交する任意の平面に対して非対称になっている。図1に示された薄板ガラスはいずれも周辺肉薄部分については、円板の回転対称軸と直交する対称面(以下、周辺肉薄部の対称面という。)が存在する。(図1におけるA−A’を結ぶ線に沿って紙面に垂直な平面が上記対称面に相当する。)この対称面を基準に中心肉厚部を見ると、ガラスの体積配分は均等ではなくいずれか一方に偏っている。
【0020】
一般に高温状態にあるガラス全体を冷却すると、表面に比べて内部の温度低下が遅れる。ガラスは比較的熱伝導性が低いので、この遅れが顕著である。ガラスの表面と内部の温度差はガラスの肉厚が大きい部分ほど著しい。ガラスの温度を屈伏点よりも高温とし、このガラスを冷却すると、まず表面温度が屈伏点以下に低下する。屈伏点以下に温度低下した部分はもはや、粘性流動しないから応力が加わっても粘性流動によってその応力は緩和されない。さらに冷却が進むとガラスは体積収縮し、その収縮によってガラス表面の応力が増加する。本発明では、この表面に発生する応力を利用して所望の位置に亀裂を発生させるが、亀裂を発生させる位置の制御はガラスの形状を所定のものにすることによって行う。本発明においては、薄板ガラスの形状を中心肉厚部と周辺肉薄部を有するものとし、その境界部分に亀裂を発生させる。中心肉厚部と周辺肉薄部の境界に亀裂が発生する理由は次のとおりである。ガラス全体を冷却すると、冷却による体積収縮量は大きな体積を占める部分ほど大きい。したがって、中心肉厚部の体積収縮量の方が周辺肉薄部の体積収縮量よりも大きくなる。また、周辺肉薄部の内部が冷えた後、収縮量の大きい中心肉厚部の内部が収縮するので周辺肉薄部と中心肉厚部の境界付近に引張応力が発生する。この応力は上記のように前記境界の表面付近、特に前記境界にある段差の基部に集中しやすい。この引張応力がガラスの破壊強度を上回ると、上記段差基部に沿って円環状の亀裂を発生させることができる。
【0021】
後述するように、溶融ガラスをプレス成形型でプレス成形する場合は、成形型に接触するガラス表面は急冷されることになり、薄板ガラスに成形された後には少なくともガラス表面は粘性流動しない温度にまで低下する。しかし、この状態では薄板ガラスの内部、特に中心肉厚部の内部はかなりの高温となっている。それから中心肉厚部の内部の冷却による体積収縮が進み、上記段差の基部に引張応力が集中して亀裂を発生することができる。
【0022】
薄板ガラスがその回転対称軸(中心軸)に直交する任意の面に対し非対称形状である場合、周辺肉薄部の対称面を基準に中心肉厚部の体積が大きい側のガラス表面付近、特に中心肉厚部と周辺肉薄部の間の段差基部により大きな引張応力が集中することになる。上記対称面を基準に中心肉厚部の体積の偏りが大きいほど、急冷の度合いが大きいほど、瞬間的、局所的に発生、集中する応力は大きくなるものと考えられる。
【0023】
亀裂は亀裂発生面の裏面に向かって成長するが、成長方向をより安定させるために、図1の(a)〜(c)のように上記段差を裏面に凹部周縁、凸部周縁、溝に相当する段差を設けることが好ましい。引張応力発生により、薄板ガラスの両面に設けられた段差基部に応力が集中し、熱衝撃による亀裂はこれら段差基部を結ぶ方向に成長しやすくなり、亀裂の方向が安定する。
【0024】
さらに、上記のような段差基部、溝底部ではその傾斜がなだらかに変化する形状よりは急に変化する形状の方がより引張応力を局所的に集中させやすくなると考えられる。
亀裂発生の条件、亀裂の成長度合いの制御は、薄板ガラスの周辺肉薄部の厚さ、ガラスの種類、熱衝撃の大きさ、上記周辺肉薄部の対称面を基準にしたときの中心肉厚部におけるガラスの体積の偏りの大小などによって適宜、行えばよい。
【0025】
本発明は、外径φ0に比べて周辺肉薄部の肉厚tが十分薄い薄板ガラスに適用することが望ましい。このようなサイズとして好ましいものを幾つかを例示する。
φ0が27.4〜30mmの場合(直径1インチの情報記録媒体基板用)、tは0.6〜0.8mmであることが好ましい。φ0が65〜68mmの場合(直径2.5インチの情報記録媒体基板用)、tは0.8〜1.2mmであることが好ましい。φ0が95〜98mmの場合(直径1インチの情報記録媒体基板用)、tは1.2〜1.6mmであることが好ましい。
【0026】
また、中心肉厚部の厚さt/周辺肉薄部の厚さtの比を1.3〜1.8にするのが好ましい。周辺肉薄部の厚さが増加すると亀裂を発生させるために要する力も増加する傾向がある。そこで、熱衝撃時の中心肉厚部の体積収縮量を大きくして発生する引張応力を増加させるために、中心肉厚部の厚さも増加させることが好ましい。なお、亀裂の成長度合いを増加させる場合も中心肉厚部の厚さを大きくし、熱衝撃時の中心肉厚部の体積収縮量を大きくして大きな引張応力を発生させることが好ましく、周辺肉薄部の対称面の中心肉厚部におけるガラスの体積の偏りを大きくすることが好ましい。
【0027】
次に上記φとφの関係について説明する。熱衝撃によって発生する亀裂はガラスの収縮による引張応力によって発生するので、亀裂を成長させたい方向に対して引張応力の方向が垂直に近くなるようにすることが望ましい。亀裂が発生する付近において引張応力は周辺肉薄部と中心肉厚部の体積中心部分を結ぶ方向にほぼ放射状に働くと推測される。したがって、周辺肉薄部の対称面を基準にした中心肉厚部のガラス体積の偏りが大きいと上記対称面に対し引張応力の働く方向の角度が増加して亀裂の成長方向は対称面に対し寝てくる。前記偏りが小さいと対称面に対し引張応力の働く方向の角度が減少し、亀裂の成長する方向が対称面に対して立ってくる。φを亀裂の成長方向に合わせて決めれば、亀裂の方向性をより安定に定めることができる。このような考えに基づき、上記ガラス体積の偏りが大きい場合は、φ>φとしつつφとφの差を大きくし、偏りが小さい場合は、φ>φとしつつφとφの差を小さくすることが望ましいことが理解される。
【0028】
亀裂発生の難易の面から薄板ガラスを構成するガラス材料について説明すると、低熱膨張性ガラスよりも、100〜300℃における平均線膨張係数が60×10−7〜120×10−7/Kのガラスが収縮による適度な引張応力を発生しやすいので好ましい。より好ましい平均線膨張係数の範囲は、70×10−7〜110×10−7/Kである。
【0029】
また、亀裂発生において大きく影響を与える温度域は300℃〜ガラス転移温度(Tg)の範囲とガラス転移温度(Tg)〜(Tg+45℃)における熱膨張特性である。300℃〜ガラス転移温度(Tg)の範囲内でガラスの伸び率が温度変化に対して比例する領域における線膨張係数が65×10−7〜125×10−7/Kであることが好ましく、75×10−7〜115×10−7/Kであることがより好ましい。ガラス転移温度(Tg)〜(Tg+45℃)の範囲内でガラスの伸び率が温度変化に対して比例する領域における線膨張係数が250×10−7〜460×10−7/Kであることが好ましく、270×10−7〜430×10−7/Kであることがより好ましい。
【0030】
また、亀裂を安定させて発生させる上から珪酸塩ガラス、アルミノ珪酸塩ガラス、硼珪酸塩ガラス、アルミノ硼珪酸塩ガラス、および上記各ガラスであってアルカリ土類金属酸化物を含有するガラスが好ましい。さらに熱膨張特性を安定した亀裂の発生に適するようにし、ガラスの溶解を良好にする観点から、アルカリ金属酸化物を含有するガラスが好ましい。このようなガラスとしては、上記の亀裂を安定して発生させる上で好ましい各ガラスにアルカリ金属酸化物を加えたものを例示できる。
【0031】
なお、上記ガラス材料を結晶化させずに情報記録媒体用基板として使用する場合は、前記平均線膨張係数の範囲は、基板を情報記録装置に取りつけるため基板の中心穴に取りつけられる固定金属と基板の熱膨張特性を合わせる観点からも好ましいと言える。
【0032】
亀裂の深さによって中心肉厚部の除去方法は適宜選択される。例えば、中心肉厚部の厚さを大きくすることによって、熱衝撃を加えるだけで環状の亀裂を薄板ガラスの一方の面から裏側の他方の面へ貫通させれば、中心肉厚部を押圧しなくても、自然に中心肉厚部を取り外すことができる。
【0033】
また、熱衝撃を加える時点では亀裂発生にとどめ、基板に仕上げるための機械加工を施す前に中心肉厚部を除去する場合は、中心肉厚部の厚さを調整して亀裂が環状全周にわたり薄板ガラスを貫通しないようにし、中心穴を開ける際に中心肉厚部に力を加えてこの部分を取り出せばよい。ガラスを破損させない上から薄板ガラスの環状亀裂の直径が大きい面から中心肉厚部を取り出す方が好ましい。したがって、中心肉厚部の片面のみに凸部が形成された薄板ガラスでは、その凸部が形成されている面の裏面側から、両面に凸部が形成された薄板ガラスでは、高さの低い凸部が形成されている面側から中心肉厚部を押圧することが望ましい。具体的には押圧棒を薄板ガラスの中心肉厚部に当接し、押圧棒に振動(例えば超音波振動など)を加えながら中心肉厚部を押圧してこの部分を抜き取る方法を例示することができる。
【0034】
中心肉厚部を除去することにより、薄板ガラスに中心穴が形成され、ガラスブランクとなる。この中心穴はそのまま基板の中心穴として使用することもできるが、所望の内径を有する面取り加工が施された中心穴に加工されることになる。したがって、基板の中心穴の内径を基準にし、これに上記加工による取り代を考慮した内径の環状亀裂が発生するよう、前述のφ、φを定めればよい。
【0035】
次に薄板ガラスの急冷について説明する。この急冷は高温状態の薄板ガラス全体を急激に冷却することにより行われる。急冷の度合いは薄板ガラスの形状、サイズ、高温状態におけるガラスの温度、ガラスの特性を勘案して調整すればよい。上述した薄板ガラスの形状、サイズにおいては、高温状態の薄板ガラスを空冷する場合は数℃/秒程度であればよい。
【0036】
高温状態の所定形状を有する薄板ガラスを作製する方法として好ましいものは、次のとおりである。まず、所定量の溶融ガラスをプレス成形型に供給し、このプレス成形型で供給された前記ガラスが軟化状態にある間にプレスして薄板ガラスに成形する。成形された薄板ガラスは高温状態かつ所定形状を有している。この方法では、薄板ガラスをプレス成形によって作るので、凸部、凹部、溝、段差の形状はプレス成形後の離型が可能な形状となるよう配慮する。この方法によれば出発材料として溶融ガラスを用いるので、省エネルギー、生産性、コストなどの面で有利である。また、高温状態を作り出すためのみに加熱することもしないので、薄板ガラスが軟化して変形してしまう心配もない。溶融ガラスを受けるプレス成形型の温度をガラスの軟化温度よりも低く設定することにより、溶融ガラスのプレス成形型への融着を防止することができ、ガラスを薄板ガラスに成形するとともに、薄板ガラス全体から熱を奪うことができるので、薄板ガラスの急冷を開始することができる。
【0037】
プレス成形した薄板ガラスの温度が概ねガラス転移温度付近にまで下がってから、プレス成形型よりガラスを取り出し、冷却すれば、薄板ガラスを変形させることなく熱衝撃を加えることができる。従来のプレス成形では成形された薄板ガラスの変形や破損について十分検討がなされてきた。しかし、成形されたガラス全体を冷却した際に発生するガラス内の応力を所望の部分に集中させて中心穴を開けるための亀裂を作ること、亀裂の位置をコントロールすることについては全く新しい発想である。
【0038】
この方法で使用されるプレス成形方法は、予め成形されたガラス成形予備体を加熱、軟化して成形型によりプレス成形する方法(リヒートプレス成形という。)や、溶融ガラスを成形型に供給し、供給されたガラスが軟化状態にある間に成形型によりプレスする方法(ダイレクトプレス成形という。)が例示できる。
【0039】
図2は、ダイレクトプレス成形により薄板ガラスを成形する方法の1例を示す概略工程図である(但し、成形面や薄板ガラスの微小部分の形状は省略している。)。プレス成形に使用される下型11の成形面は平坦であるが、中央にはガラスブランクに設ける中心穴の内径よりも少し小さめの内径φを有する窪み12を設けてある(a)。一方、下型11に対向する上型13の成形面も平坦であるが、中央には下型成形面の窪み12の内径φよりもわずかに小さい外径φの出っ張り14を備えている。下型成形面の窪み12の深さは上型成形面の出っ張り14の高さよりも大きくする。
【0040】
ガラス溶解設備に連結された白金製のフィーダー15の下方に搬入された下型11の成形面中央に所定重量の溶融ガラス塊16が供給され[(b)、(c)]、そのガラス塊16が軟化状態にある間に下型11と上型13でガラスをプレスして円板状の薄板ガラスに成形する[(d)、(e)]。プレス成形によって薄板ガラスには下型成形面と上型成形面が転写される。すなわち、薄板ガラスの下面中央には下型成形面の窪み12を反転した形状の直径φの凸部が形成され、上面中央には上型成形面の出っ張り14を反転した形状の内径φの凹部が形成される。薄板ガラスの上面に形成された凹部の周縁は円環状に段差を形成する。なお、下型成形面の窪み12の深さは上型成形面の出っ張り14の高さよりも大きいので、薄板ガラスの中心部はその周辺部よりも肉厚になる。
【0041】
下型成形面上に供給される溶融ガラスの粘度は概ね40Pa・s、下型の温度はガラスの焼き付きを防止しつつ、ガラスがプレスにより十分広がる温度に保たれるよう、供給されるガラスの転移温度よりも数十℃高い温度に設定されている。プレス成形された薄板ガラスも高温状態になっている。プレス成形後、上型13を上方へ退避させて上型13から薄板ガラスを離型し(f)、その後に下型11上から薄板ガラス20を取り出す[(g)、(h)]。取り出し時に薄板ガラスが変形しないよう、取り出しはガラス転移温度付近にまでガラスが冷却されてから行う。取り出された薄板ガラス20はガラス転移温度付近にあり、そのガラスを室温雰囲気中(例えば大気中)に取り出すので、薄板ガラス20は全体が急冷され、凸部の周縁の段差基部に沿って円環状の亀裂が裏面に向けて成長する。凹部周縁の段差基部においても円環状の亀裂が発生し、上記亀裂の発生起点を結ぶ方向に安定して亀裂が成長することになる。
【0042】
上記説明では下型成形面の中央部に凸部を成形する窪み12を設け、上型成形面の中央部に凹部を成形する出っ張り14を設けた成形型を使用したが、下型11で凹部を成形し、上型13で凸部を成形するようにしてもよい。同様にして、成形型の成形面の形状、寸法を調整し、薄板ガラスの両面に凸部を形成したり、一方の面に凸部、他方の面に溝を形成したりできる。
なお、符号17は胴型、18は切断刃である。
【0043】
この方法における薄板ガラス20の形状としては前述の図1の(a)〜(c)に示した形状を例示することができる。
好ましいガラスの特性、組成はプレス成形性が良好なものという条件が付加される。このようなガラスとしては前述のガラスを例示することができる。
【0044】
亀裂発生後の中心肉厚部の除去工程は上記のとおりであるが、プレス成形工程を含む方法においては亀裂発生後に薄板ガラスをアニールして除歪し、その後に前記除去工程を行う手法(手法1)、亀裂発生後に前記除去工程を行って中心穴付きガラスブランクを得、このブランクをアニールして除歪する手法(手法2)、亀裂を貫通させて自然に中心部分を除去してからアニールして除歪する手法(手法3)などがあるが、中心穴を安定して形成する上から残留歪が大きい状態の薄板ガラスに大きな力を加えずに済む手法1、3のいずれかが好ましい。
【0045】
次に薄板ガラスの中心部分が除去され中心穴が設けられたガラスブランクの加工について説明する。
ガラスブランクは以下の機械加工が施される前にアニールなどによって十分除歪されている。このブランクの両面は概ね平坦かつ平滑、互いに平行である。まず、ブランクの両面をラッピング加工し、次いで外径部分と中心穴部分を研削加工により所望の寸法、形状にする(面取り加工も含む。)。それから先のラッピング加工よりも細かい研磨剤を用いて第2のラッピング加工を行う。さらに両面を研磨加工した後に両面を仕上げの精密研磨加工を加える。
【0046】
先に説明したように本発明は肉薄のガラスブランクを作製する際に好適であるから、上記のようなブランクのラッピングによる取り代を削減することも可能であり、取り代が50μm以下の基板製造に特に好適であり、その場合は、上記ラッピング工程の一部を省略することもできる。薄板ガラスの厚みが取り代の削減によって減少すると、中心穴を開ける際の力が大きいと破損する可能性が増加するが、上記の各方法によれば、大きな力を加えることなしにブランクの中心穴開け加工を行うことができ、ガラス破損の可能性を低減することができる。
【0047】
このように機械加工が加えられたガラス基板は洗浄され、必要に応じて化学強化される。なお、結晶化ガラス基板を得る場合は、上記機械加工の工程の前後、途中に結晶化のための熱処理工程を設ける。それぞれの機械加工、化学強化、結晶化の各工程は公知の方法を用いればよい。
なお、結晶化を行う場合に適したガラスとしては、チタン含有のガラス、リチウム含有のガラスなどを例示することができる。
【0048】
このようにして得られた情報記録媒体用基板の主表面上に情報記録層を含む多層膜を形成して情報記録媒体を得ることができる。多層膜の形成方法、多層膜の種類は公知のものを使用することができる。
情報記録媒体としては磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体などを例示できる。
【0049】
このような本発明の方法によれば、従来の方法のようにドリルや研削、切断などによって中心穴を形成する必要がないので、ガラスブランクを高い生産性のもと、低コストで提供することができる。また、中心穴形成時に無理な力がかかるのを防止することができるので、中心穴開け加工時のガラスの破損を低減することができ、歩留まりを向上させることもできる。このような効果はガラスブランクのみならずガラスブランクを使用して製造される情報記録媒体用基板や情報記録媒体の製造においても生産性の向上、コストの削減などをもたらし、当該技術分野において画期的な技術となるものと期待できる。
【0050】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0051】
実施例1〜7
まず、周知のガラス溶解方法により溶融ガラスを用意し、鋳鉄からなる金型を上型、下型、胴型に用いてダイレクトプレス成形によって薄板ガラスを成形した。薄板ガラスを構成するガラス材料は、転移温度(Tg)485℃、100〜300℃における平均線膨張係数が95×10-7/K、300℃〜Tgの範囲内でガラスの伸び率が温度変化に対して比例する範囲における線膨張係数が98×10-7/K、Tg〜530℃の範囲内でガラスの伸び率が温度変化に対して比例する範囲における線膨張係数が37×10-6/KであるSiO、Al、LiO、NaO、ZrOからなるガラスとした。成形の条件は、溶融ガラス塊を受ける下型の温度を500℃、下型上に投入される溶融ガラスの粘度を40Pa・s、プレス時間(ガラスに圧力を加える時間)を1秒以内とした。上型を上方へ退避して、成形された薄板ガラスの上面から上型を離し、下型成形面上にて薄板ガラスの温度がガラス転移温度付近まで下がるのを待つ。この間に、下型上で薄板ガラスが反るのを修正するため、ガラスが塑性変形可能な状態にある間、適宜、押圧体により上面から圧力を加えて反りを直すとともに、押圧体により薄板ガラスから熱を奪って冷却を早めてもよい。薄板ガラスの温度がガラス転移温度付近まで下がってから、下型上の薄板ガラスを大気中へ取り出す。ダイレクトプレス成形は大気中で行われるが、薄板ガラスは高温の下型に接している間は急冷されないが、その下型から取り出された瞬間にガラス転移温度付近から全面が室温雰囲気に晒されることになり、急冷される。成形された薄板ガラス表面の冷却速度は2℃/秒であった。この急冷が熱衝撃となって、薄板ガラスの両面の中心肉厚部を円環状に取り囲む段差基部に亀裂が発生する。亀裂は、ガラスの表裏段差の基部を結ぶ方向に成長する。
【0052】
ダイレクトプレス成形に使用する成形型成形面の形状は薄板ガラスに転写(反転)されるので、成形された薄板ガラスの形状、各部寸法をもとに、型成形面の形状、寸法は定めることができる。ダイレクトプレス成形された円板状の薄板ガラスの回転対称軸cを含む断面の概略は、前記図1(a)〜(c)に示すとおりである。ここで、φは円板状の薄板ガラスの外径、φは、図1(a)〜(c)の中心肉厚部の下面凸部の直径、φは、図1(a)においては中心肉厚部の上面凹部の直径、図1(b)においては中心肉厚部の上面凸部の直径、図1(c)の円環状の溝の直径であり、tは中央肉厚部の厚さ、tは周辺肉薄部の厚さ、dは下面における中心肉厚部と周辺肉薄部の段差、dは上面における中心肉厚部と周辺肉薄部の段差に相当する。
【0053】
実施例1〜7として表1に示す形状、寸法の薄板ガラスをダイレクトプレス成形により成形した。表1では図1(a)に相当する形状の場合は形状欄にaと示し、図1(b)に相当する形状の場合は形状欄にbと示し、図1(c)に相当する形状の場合は形状欄にcと示す。なお、形状(c)の場合、薄板ガラスの一方の面に形成された溝がなく、平坦なものであっても亀裂を発生させることはできたが、所望の亀裂を安定して形成する上から形状(c)のように溝を設けたほうが好ましい。
【0054】
亀裂が発生した薄板ガラスは、アニール炉へ入れられてアニールされ、歪が取り除かれる。それから、図1(a)〜(c)の上面に相当する側から中央肉厚部を押圧する。押圧は次のように行った。まず、底面が平坦な円柱状の金属棒を用意し、この金属棒の底面をぴったり薄板ガラスの押圧する表面に押し当てる。この棒に超音波を加えながら、金属棒で押圧し、亀裂を表裏間に貫通させて押圧した裏面から中央肉厚部のガラスを抜き取る。このような方法によって形成した中央穴の内径を表1に示す。
【0055】
このようにして中央穴を有し、ほぼ一定の厚さ(薄板ガラスの周辺肉薄部分の厚さ)の円板状ガラスブランクを作製した。いずれのガラスブランクにも破損は見られなかった。
【0056】
【表1】
Figure 0004133091
【0057】
上記実施例では、熱衝撃によって亀裂を表裏に貫通させなかったが、段差をより大きくしたり、下型から取り出された薄板ガラスに冷風を吹きかけ熱衝撃を大きくするなどして、熱衝撃を加えて亀裂を表裏間で貫通させ、中央肉厚部を抜き取ることもできる。
また、ダイレクトプレス成形でなくても、ガラス素材を加熱、軟化し、これをプレス成形する方法を用いてもよい。さらに予め表1に示す薄板ガラスを作製し、これを均一に加熱してから、全体を急冷する方法を用いてもよい。
【0058】
実施例8
実施例1〜7で得られたガラスブランクに、周知の方法により中心穴の形状を整える内径加工、円板外周の形状を整える外周加工、ガラスブランクの表裏面を平坦かつ平滑化するためのラッピング加工、ポリッシング加工を施して、表1に示す寸法のディスク状基板を作製した。これらの工程中、適宜、洗浄工程を入れることもできる。
得られたガラス基板には必要に応じて、アルカリ金属溶融塩に浸漬してイオン交換による化学強化を施してもよい。
【0059】
また、ガラスの種類を加熱処理によって結晶化ガラスが得られるもの、例えば、SiO、Al、TiO、NaO、MgO、CaO、Yなどの各成分を含むガラスが得られる溶融ガラスをダイレクトプレス成形し、実施例1〜7と同様にして中央穴を有する円板状ガラスブランクを作り、このガラスブランクに研削、研磨加工、結晶化のための熱処理工程を適宜施して、結晶化ガラスからなる中央穴付きディスク状基板を得ることもできる。
このようにして得られた各基板は磁気記録媒体用基板、光磁気記録媒体用基板、光ディスクなどの情報記録媒体用基板として好適である。
【0060】
実施例9
実施例8で得られたガラス基板および結晶化ガラス基板の表面に磁性層(情報記録層)を含む多層膜を形成して磁気記録媒体(磁気ディスク)を作製した。作製された媒体はいずれも良好に機能することが確認された。
【0061】
なお、情報記録層を含む多層膜の種類を周知の方法により適宜選択することにより光磁気記録媒体や光ディスクなどの他の情報記録媒体を作製することもできる。
このようにして、ガラスを破損させることなく、高い生産性のもとにガラスブランクを作製することができ、その結果、このガラスブランクを用いることにより情報記録媒体用基板や情報記録媒体を生産性よく製造することができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、中心穴加工を容易に施すことができ、情報記録媒体用基板を生産性よく作製し得る中心穴付きガラスブランクの製造方法を提供することができる。また、前記ガラスブランクから情報記録媒体用基板を製造する方法ならびに前記基板を用いた情報記録媒体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法において、ガラスブランクの作製に用いられる円板状薄板ガラスの異なる態様の例を示す断面図である。
【図2】ダイレクトプレス成形により薄板ガラスを成形する方法の1例を示す概略工程図である。
【符号の説明】
1 中心肉厚部
1−1 凸状
1−2 凹状
1−3,1−4 凸部
1−5 凹部
1−6 溝
2 周辺肉薄部
3 段差
11 下型
12 窪み
13 上型
14 出っ張り
15 フィーダー
16 溶融ガラス塊
17 胴型
18 切断刃
20 薄板ガラス

Claims (10)

  1. 円板状の薄板ガラスから中心穴を有するガラスブランクを製造する方法において、
    前記円板状の薄板ガラスとして、中心穴を設けようとする部分に中心肉厚部を有し、かつ該中心肉厚部の周辺にその中心肉厚部よりも肉厚が薄い周辺肉薄部を有すると共に、中心肉厚部と周辺肉薄部の境界に段差を有する高温状態の薄板ガラスを用い、
    前記薄板ガラス全体を急冷して、前記段差に沿って環状の亀裂を発生させ、次いで中心穴を形成することを特徴とする円板形状を有するガラスブランクの製造方法。
  2. 円板の中心軸に直交する任意の面に対し、非対称形状の薄板ガラスを用いる請求項1に記載のガラスブランクの製造方法。
  3. 円板状の薄板ガラスから中心穴を有するガラスブランクを製造する方法において、
    前記円板状の薄板ガラスとして、中心穴を設けようとする部分に中心肉厚部を有し、かつ該中心肉厚部の周辺にその中心肉厚部よりも肉厚が薄い周辺肉薄部を有すると共に、中心肉厚部と周辺肉薄部の境界に段差を有し、一方の面において中心肉厚部が周辺肉薄部に対して凸状であり、他方の面において中心肉厚部が周辺肉薄部に対して凹状である高温状態の薄板ガラスを用い、
    前記薄板ガラス全体を急冷して、前記段差に沿って環状の亀裂を発生させ、次いで中心穴を形成することを特徴とする円板形状を有するガラスブランクの製造方法。
  4. 円板状の薄板ガラスから中心穴を有するガラスブランクを製造する方法において、
    前記円板状の薄板ガラスとして、中心穴を設けようとする部分に中心肉厚部を有し、かつ該中心肉厚部の周辺にその中心肉厚部よりも肉厚が薄い周辺肉薄部を有すると共に、中心肉厚部と周辺肉薄部の境界に段差を有し、両面において中心肉厚部が周辺肉薄部に対して凸状であり、かつ両面間において前記段差の高さが異なる高温状態の薄板ガラスを用い、
    前記薄板ガラス全体を急冷して、前記段差に沿って環状の亀裂を発生させ、次いで中心穴を形成することを特徴とする円板形状を有するガラスブランクの製造方法。
  5. 円板状の薄板ガラスから中心穴を有するガラスブランクを製造する方法において、
    前記円板状の薄板ガラスとして、中心穴を設けようとする部分に中心肉厚部を有し、かつ該中心肉厚部の周辺にその中心肉厚部よりも肉厚が薄い周辺肉薄部を有すると共に、中心肉厚部と周辺肉薄部の境界に段差を有し、一方の面において中心肉厚部が周辺肉薄部に対して凸状であり、他方の面が平坦若しくは中心肉厚部と周辺肉薄部の境界に溝が形成された高温状態の薄板ガラスを用い、
    前記薄板ガラス全体を急冷して、前記段差に沿って環状の亀裂を発生させ、次いで中心穴を形成することを特徴とする円板形状を有するガラスブランクの製造方法。
  6. 中心肉厚部と周辺肉薄部の境界をなす段差が円形状であって、薄板ガラスの両面間において前記段差の高さが大きい方の径を、前記段差の高さが小さい方の径よりも大きくする請求項2ないし5のいずれか1項に記載のガラスブランクの製造方法。
  7. 亀裂を発生させたのち、中心肉厚部に力を加え、段差が高い方の面から中心肉厚部のガラスを抜き取り、中心穴を形成する請求項6に記載のガラスブランクの製造方法。
  8. 円板状の薄板ガラスが、溶融ガラスを型に供給してプレス成形してなるものである請求項1ないし7のいずれか1項に記載のガラスブランクの製造方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法で作製されたガラスブランクに、機械加工を含む加工を施すことを特徴とする情報記録媒体用基板の製造方法。
  10. 請求項9に記載の方法により作製された基板に情報記録層を設けることを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
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