JP4132922B2 - キャニスタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はキャニスタに関するもので、詳しくは、燃料タンク等から発生する蒸発燃料を吸着捕集するキャニスタにおけるヒータの装着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車に搭載された燃料タンクの液面から発生する蒸発燃料を大気中へ放出させないために、前記の蒸発燃料を一旦捕集し、エンジンの運転時に吸気マニホールドへパージさせるキャニスタが用いられている。
【0003】
このようなキャニスタにおいて、そのキャニスタに内蔵した活性炭の蒸発燃料の吸着作用及び脱離作用を高めるために、従来図12に示すように、活性炭からなる吸着材101を充填したキャニスタケース102の上壁103から加熱装置の放熱部104を貫通挿入して該放熱部104を吸着材101の層内に配置し、該放熱部104の放熱により吸着材101を加熱するようにしたキャニスタが、例えば特開平8−4606号公報に開示されている。なお、図12において、105は蒸発燃料の流入ポート、106はパージポート、107は大気ポートを示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記のようなキャニスタにおいては、通常、その内蔵された吸着材101を保持するために、その吸着材101の層の上下端面に図13に示すようなフィルタ108を配設し、該フィルタ108と蒸発燃料の流入ポート105及びパージポート106との間に室109,110が形成されている。
【0005】
このようなフィルタ108を有するキャニスタにおいて、前記従来のように、加熱装置の放熱部104を、蒸発燃料及び空気の流れ方向にある上壁103から貫通挿入すると、図13に示すように、その放熱部104とフィルタ108におけるヒータ挿入穴108aの端面とが接触することになり、フィルタ108が放熱部104により加熱されて熱による劣化、変形をきたすおそれがある。
【0006】
更に、図13に示すように、流入ポート105とパージポート106との間に、吸着材101の層内に突入させたベーパガイド111を配設したキャニスタにおいては、該ベーパガイド111に囲まれた蒸発燃料流入部112の吸着材には放熱部104からの熱がベーパガイド111に遮られて伝熱されにくくなり、該蒸発燃料流入部112における吸着材101の加熱が不十分になるばかりか、パージ時においてパージ空気の流通が悪くなり、蒸発燃料の脱離が低下する。そのため、加熱装置による蒸発燃料の吸着、脱離効果が薄れる問題もある。また、この蒸発燃料流入部112は、蒸発燃料中の高沸点成分が吸着材に吸着してその吸着材の劣化が最も起こりやすい部分であるため、前記のように、蒸発燃料流入部112における蒸発燃料の脱離量が少ないことは、吸着材の劣化を早める問題もある。
【0007】
そこで本発明は、前記従来の問題を解消するキャニスタを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の第1の発明は、ケース内に吸着材を充填するとともに、吸着材層における蒸発燃料の流入側にベーパガイドにより囲まれた流入部を設けたキャニスタにおいて、前記流入部内に加熱装置の放熱部を配設し、吸着材層における流体の流れ方向と直交する方向に位置するケースの壁側から前記放熱部を支持することを特徴とするキャニスタである。
通常、ベーパガイドで囲まれる蒸発燃料の流入部は、パージ時におけるパージ空気の流通が悪くなり、蒸発燃料の脱離量が低下するが、本発明のように、前記流入部に放熱部を配設することにより、その流入部における吸着材を加熱して、その吸着材における蒸発燃料の脱離を促進させることができる。したがって、パージ空気の流通量が少ない流入部において、少量のパージ空気によっても該流入部での蒸発燃料を多量に脱離し、次に行われる蒸発燃料の吸着効率を高めることができる。
【0009】
更に、本発明のように、吸着材を充填するケースにおける流体(蒸発燃料やパージ空気)の流れ方向と直交する方向の壁側から放熱部を支持することにより、放熱部を吸着材以外の構成部品、例えばフィルタなどと干渉することなく配設して支持することができる。
【0010】
したがって、例えば従来のように放熱部がフィルタと接触してそのフィルタが熱により劣化したり変形することを防止できる。
【0011】
請求項2記載の第2の発明は、ケース内に吸着材を充填するとともに、吸着材層における蒸発燃料の流入側にベーパガイドにより囲まれた流入部を設けたキャニスタにおいて、前記流入部内に加熱装置の放熱部を配設し、吸着材層における流体の流れ方向と直交する方向に位置するケースの壁に挿入穴を形成し、前記加熱装置の放熱部を、前記挿入穴を閉塞する蓋板に付設し、前記放熱部を前記挿入穴からケース内に挿入するとともに蓋板を前記挿入穴部を閉塞するようにケースの壁に固着することを特徴とするキャニスタである。
【0012】
本発明においても前記第1の発明と同様の作用、効果を発揮する。
【0013】
請求項3記載の第3の発明は、ケース内に吸着材を充填するとともに、吸着材層における蒸発燃料の流入側にベーパガイドにより囲まれた流入部を設けたキャニスタにおいて、前記流入部内に加熱装置の放熱部を配設し、吸着材層における流体の流れ方向と直交する方向に位置するケースの壁にアダプタ挿入孔を形成し、該アダプタ挿入孔にアダプタを挿入して固設し、前記放熱部をケース内において前記アダプタに接続し、加熱体をケース外から前記アダプタに接続することを特徴とするキャニスタである。
【0014】
本発明においても前記第1の発明と同様の作用、効果を発揮する。
【0015】
請求項4記載の第4の発明は、前記第1又は第2又は第3の発明において、前記放熱部を平板状に形成したキャニスタである。
【0016】
本発明においては、放熱部の放熱面積を多くして、吸着材の加熱効果を高めることができる。
【0017】
請求項5記載の第5の発明は、前記第1又は第2又は第3の発明において、前記放熱部を平板状に形成してその表裏面が吸着材層における流体の流れ方向と略直交する方向におかれるように配設したキャニスタである。
【0018】
本発明においても前記の作用を発揮する。
【0019】
請求項6記載の第6の発明は、前記第1又は第2又は第3の発明において、前記放熱部を平板状に形成してその表裏面が吸着材層における流体の流れ方向に沿うように配設したキャニスタである。
【0020】
本発明においては、放熱部を流体の流れ方向に沿って配設したので、前記のような吸着材の加熱効果を発揮し、かつ、吸着材層における蒸発燃料やパージ空気の流れに対する放熱部の通気抵抗を少なくすることができる。
【0023】
請求項7記載の第7の発明は、前記第1乃至6のいずれかの発明において、前記流入部内に配置する放熱部を、流入部以外の吸着材層に配置する放熱部を延長して形成したキャニスタである。
【0024】
本発明においては、吸着材層と流入部への放熱部の配置が容易に行える。
【0025】
請求項8記載の第8の発明は、前記第1乃至第7のいずれかの発明において、前記放熱部に、その表裏側へ貫通する通気孔を形成したキャニスタである。
【0026】
本発明においては、放熱部に通気孔を形成することによってパージ空気の流れの阻害を小さくすることができる。したがって、加熱による脱離作用が有効に行われる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の望ましい実施の形態を図1乃至図11に示す実施例に基づいて説明する。
【0028】
図1及び図2は本発明を縦置き型のキャニスタに適用した第1実施例を示す。
【0029】
図1はキャニスタの縦断面図、図2は図1のA−A線断面図で、この図において、キャニスタ1を構成するケース2は、下端が開口する筒状に形成され、そのケース1内は、上壁3から垂下する画壁4により第1室5と第2室6に区画されている。
【0030】
前記第1室5内には第1上部フィルタ7と第1下部フィルタ8との間に活性炭からなる吸着材9が充填されている。前記第2室6内には第2上部フィルタ10と第2下部フィルタ11との間に活性炭からなる吸着材12が充填されている。
【0031】
前記ケース2の下端はカバー13で閉塞されており、該カバー13と前記両下部フィルタ8,11間にはスプリング14,15と多孔プレート16,17が介在されており、スプリング14,15の付勢力により、前記吸着材9が第1上部フィルタ7と第1下部フィルタ8とで保持され、前記吸着材12が第2上部フィルタ10と第2下部フィルタ11とで保持されている。前記吸着材9で構成された層を第1吸着材層9Aとし、前記吸着材12で構成された層を第2吸着材層12Aとする。
【0032】
前記第1室5と第2室6の下部は連通室18,19により連通されている。
【0033】
前記ケース2の上壁3には流入ポート20とパージポート21が配設され、該流入ポート20は、第1上部室22及び第1フィルタ7を通じて第1室5に連通し、パージポート21は、第2上部室23及び第1上部フィルタ7を通じて第1室5に連通している。更に、上壁3には大気ポート24が配設され、該大気ポート24は、第3上部室25及び第2上部フィルタ10を通じて第2室6に連通している。前記流入ポート20の他端は燃料タンクなどの蒸発燃料の発生源に連通され、前記パージポート21の他端はパージ流量をデューティ制御するバキュームスイッチングバルブ(VSV)26を介してエンジンの吸気マニホールドに連通され、前記大気ポート24の他端は大気に開口されている。
【0034】
前記第1上部室22と第2上部室23間における上壁3にはベーパガイド27が、第1室5の上部付近を区画するように垂設されている。
【0035】
前記ケース2における吸着材層での流体(蒸発燃料及びパージ空気)の流れ方向と直交する方向の壁、図に示す縦型のキャニスタにおいては第1室5を形成する部分の側壁2aには、後述する放熱部31を挿入できる挿入穴28が形成されている(図2参照)。
【0036】
加熱装置29は、前記挿入穴28を閉塞する蓋板30と、該蓋板30の前面に突設した熱伝導性の高い部材、例えばアルミニウムなどからなる放熱部31と、該放熱部31に設けた発熱体32と、該発熱体32を発熱駆動する駆動手段33とからなり、放熱部31を挿入穴28から第1室5内に挿入して蓋板30を側壁2aに固定することにより、放熱部31が第1室5内における吸着材層9A内に埋設されるように配設されている。更に、放熱部31は、第1吸着材層9A内の吸着材9を加熱するに十分な面積を有する平板で形成されているとともにその表裏面に貫通する通気孔31aが形成されており、その表裏面が略水平になるように配設されている。すなわち、その放熱部31の表裏面が蒸発燃料やパージ空気の流れ方向に対して略直交する方向におかれるように配置されている。更に、該放熱板31は、吸着材9以外の構成部品に干渉しない任意の位置に配設されるが、図の実施例では、ケース2における略中央部、すなわち、第1室5における蒸発燃料やパージ空気の流通方向の略中央部に配置されている。更に、該放熱板31の表面積は、図2に示すように、挿入穴28側を除く他の3側方に流通部34が形成され、かつ、可及的に発熱する表面積が多くなるように設定されている。
【0037】
また、前記発熱体32はPTC素子やニクロム線などのヒータを使用し、該発熱体32からの熱が放熱板31に伝熱して該放熱板31より放熱するようになっている。
【0038】
なお、前記蓋板30のケース側壁2aへの固定は、ケース2内の蒸発燃料及びパージ空気がケース2外へ漏出しないようにネジ35によりしっかりと固定されているが、この固定は溶接等でもよい。
【0039】
以上の構成において、エンジンの停止状態で燃料タンク内にガソリンを給油すると、燃料タンク内の蒸発燃料は流入ポート20からキャニスタの第1室5内に流入し、第1吸着材層9A、連通室18,19を経て第2吸着材層12Aに流れ、第1吸着材層9Aの吸着材9及び第2吸着材層12Aの吸着材12に吸着捕集される。
【0040】
次に、エンジンが運転されて図示しない吸気マニホールドに負圧が作用すると、その負圧がパージポート21に作用し、ケース外の空気が大気ポート24から流入して、第2吸着材層12A、連通室19,18、第1吸着材層9Aを流通し、パージポート21に導入される。このパージ空気の流通により、第2吸着材層12A及び第1吸着材層9Aの各吸着材12,9に吸着捕集されていた蒸発燃料は脱離し、パージ空気とともにパージポート21より吸気マニホールドへ排出される。
【0041】
このとき、平板状の放熱部31には複数(多数)の通気孔31aが形成されているため、前記の吸着作用時の蒸発燃料及びパージ時のパージ空気は通気孔31aにおいても流通する。そのため、放熱部31の存在による通気抵抗の増大を抑制して、十分な吸着作用及びパージ作用が行われる。
【0042】
また、このエンジンの運転時、すなわち、蒸発燃料のパージ時には、図示しない制御回路(CPU)からの信号を受けて駆動手段33が作動し、発熱体32に給電して発熱体32を発熱させる。これにより、発熱体32の熱が放熱部31に伝熱され、該放熱部31から放熱される。この放熱により第1吸着材層9Aの活性炭からなる吸着材9が加熱され、その吸着材9における蒸発燃料の脱離効率が高くなる。また、放熱部31が平板で形成されているため、放熱面が多くなり、吸着材9の加熱効果を高めて蒸発燃料の脱離効果を高めることができる。また、このように脱離効率が高くなることは、次に行われる蒸発燃料の吸着効率も高くなる。
【0043】
また、前記実施例のように、放熱部31を流体の流れ方向と直交する方向に位置する壁からケース2内に挿入して支持するようにしたことにより、その放熱部31を吸着材9以外の構成部品と干渉することなくケース2内に装着することができる。したがって、例えば、前記図13に示すように、放熱部がフィルタに接触してフィルタが熱で劣化したり変形することを防止できる。
【0044】
なお、前記実施例では平板状の放熱部31を1個設けたが、該放熱部31を複数個段状に配設してもよく、また、第2室6側にも設けてもよい。
【0045】
図3及び図4は第2実施例を示す。
【0046】
本第2実施例は、前記第1実施例における放熱部31の変形例で、前記の放熱部31と同様の平板状の放熱部31Aを、その表裏面が第1室5内における蒸発燃料及びパージ空気の流通方向に沿うようにして、すなわち略垂直方向に配置したものである。また、該放熱部31Aは図3,4に示すように、複数、図の例では3枚、略並行して配設されているとともに第1吸着材層9Aの吸着材9を加熱するに十分な総表面積を有するように形成されている。更に、各放熱部31Aには前記と同様に発熱体32が設けられ、各発熱体32は前記と同様に駆動手段33により発熱駆動されるようになっている。更に、各放熱部31Aの上端はベーパガイド27に達しない高さに設定され、下端は第1下部フィルタ8に達しない長さに設定されている。なお、放熱部31Aは、前記第1実施例における放熱部31の通気穴31aと同様の通気孔を形成したものであってもよく、また、該通気孔を形成しないものであってもよい。
【0047】
その他の構造は前記第1実施例と同様であるため、前記と同一部分には前記と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0048】
本第2実施例においては、前記第1実施例と同様の作用、効果に加え、平板状の放熱部31Aを蒸発燃料及びパージ空気の流通方向に沿って配設したことにより、第1吸着材層9A内での蒸発燃料及びパージ空気の流れに対する放熱部31Aの流通抵抗が、前記第1実施例に比べて極めて小さくなる。したがって、蒸発燃料のキャニスタ内での流通を伴う吸着作用及びパージ空気のキャニスタ内での流通を伴うパージ作用に対して放熱部31Aが妨げとなることがない。
【0049】
なお、前記放熱部31Aは必要数設けるもので1個でもよい。更に、第2室6内に前記のように略垂直状態で設けてもよい。
【0050】
図5乃至図7は第3実施例を示す。
【0051】
本第3実施例は、吸着材層内の上部に前記のようなベーパガイド27を垂設したキャニスタにおいて、該ベーパガイド27で囲まれる流入ポート20側の蒸発燃料の流入部D内に放熱部を配設したものである。
【0052】
実施例においては、前記図3及び図4に示す第2実施例における前記流入部Dの下側に位置する平板状の放熱部31Aを上方へ延長して、その放熱部31Aの上部31bを流入部D内に配設したものである。また、該上部31bの上端は、第1上部フィルタ7に達しない位置に設定され、放熱部31Aが第1上部フィルタ7と非接触状態で、かつ、放熱部31Aの上端と第1上部フィルタ7との間に流通部Eが形成されるようになっている。
【0053】
また、前記各放熱部31Aは無孔板でもよいが、少なくとも前記流入部Dに位置する放熱部31Aの上部31bに前記第1実施例と同様の通気孔31aを形成すると良い。実施例においては、放熱部31Aの全体にわたって複数(多数)の通気孔31aが等間隔に設けられている。
【0054】
その他の構造は前記第2実施例と同様であるため、前記と同様の部分には前記と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0055】
本第3実施例においても前記第2実施例と同様の作用、効果を発揮するが、本第3実施例においては、更に次のような作用、効果を発揮できる。
【0056】
通常、前記のベーパガイド27を設けたキャニスタにおいては、パージ時において、ベーパガイド27により流入部D内でのパージ空気の流れが悪くなり、流入部D内の吸着材9に吸着されている蒸発燃料の脱離量が低下する。
【0057】
これに対し、本第3実施例においては、ベーパガイド27に囲まれた流入部D内に放熱部31Aを配設したので、パージ時において、放熱部31Aを加熱することにより、その上部31bで流入部D内の吸着材9をも加熱して、該吸着材9に吸着捕集されている蒸発燃料の脱離を促進させることができる。したがって、流入部Dの吸着材9における蒸発燃料の脱離量を多くして、次に行われる蒸発燃料の吸着作用における吸着量の低下を防ぐことができる。
【0058】
更に、該流入部Dは、蒸発燃料中の高沸点成分の吸着による吸着材の劣化が最も起こりやすい部分であるため、この流入部Dでの加熱による脱離量の増大は、吸着材の劣化防止上からも有効である。
【0059】
また、前記放熱部31Aの少なくともその上部31bに通気孔31aを形成したので、特にパージ時において、大気ポート24から流入したパージ空気が図7に示す矢印のように、放熱部31Aの上部31bに形成した通気孔31aを流通する。したがって、放熱部31Aを流入部D内に配設しても該流入部D内でのパージ空気の流れを妨げないため、蒸発燃料の脱離作用が良好に行われる。
【0060】
更に、流入部Dへ配置する放熱部は、第1吸着材層9A内に配置する放熱部31Aを延長するのみでよく、放熱部を流入部Dへ配置することが容易に行える。
【0061】
なお、本第3実施例では略垂直に配置した放熱部31Aの上部31bを流入部Dに配置したが、前記第1実施例に示すような略水平に配置する放熱部31を流入部Dに配設してもよい。
【0062】
また、前記実施例は本発明を縦置き型のキャニスタに適用した例であるが、蒸発燃料やパージ空気が水平方向に流通するようにした横置き型のキャニスタにおいては、蒸発燃料やパージ空気の流れに直交する方向である、例えばキャニスタケースの上側壁から前記のような放熱部を支持する構造にしてもよい。
【0063】
図8乃至図10はこのような横置き型のキャニスタに適用した第4実施例を示す。
この第4実施例について説明する。
【0064】
水平方向に蒸発燃料や空気が流通する横置き型のキャニスタ1における側方が開口した筒状のケース2の上側壁2bにはアダプタ挿通孔41が形成されており、先ず、ケース2の側方の開口部2cから図9に示すような放熱部31Bをケース2内に挿入し、該放熱部31Bに形成したアダプタ接続穴42を前記アダプタ挿通孔41の下部に位置させる。
【0065】
次に、アダプタ43を前記アダプタ挿通孔41に、その外側から挿通し、そのアダプタ43の先部を前記放熱部31Bのアダプタ接続穴42に螺着或いは圧入により接続する。また、アダプタ43とアダプタ挿通孔41との間にはOリングなどのシール材44を介在する。
【0066】
また、前記アダプタ43の外側部にはPTCヒータなどの加熱体32Aを接続する。該加熱体32Aは、図8に示すように、コネクタ45により前記と同様の加熱駆動手段33に接続される。
【0067】
そして、前記のように放熱部31Bをケース2内に挿入配置した後、ケース2内に前記と同様の吸着剤を充填し、開口部2cをカバー13で閉塞する。
【0068】
なお、図8においては、大気ポート24は示されているが、前記のような流入ポート20、パージポート21などは省略されている。また、前記放熱部31B及びアダプタ43は熱伝導性の高い部材、例えばアルミニウムなどで形成されている。
【0069】
前記の構成により本第4実施例においても、流体の流れ方向と直交する方向の壁から放熱部31Bを支持するため、前記第1実施例と同様の作用、効果を発揮することができる。
【0070】
なお、本第4実施例においても、放熱部31Bを前記実施例のような平板に形成してもよく、更に、その平板を流体の流れ方向に対して直交或いは沿うように配置してもよい。
【0071】
図11は前記図1に示す縦置き型キャニスタにおいて、前記第4実施例と同様にアダプタ43を側壁2aから挿通して放熱部31Bを支持した第5実施例を示す。
【0072】
この第5実施例における加熱構造以外の構造は前記図1に示す第1実施例の構造と同様であるため、その同一部分には同一符号を示し、また、加熱構造は前記第4実施例と同様であるため、その同一部分には同一符号を付してその構造の説明は省略する。
【0073】
本第5実施例においてはケース2の開口部2c側から放熱部31Bを挿入した後、該放熱部31Bを前記第4実施例と同様に側壁2aから挿通したアダプタ43により支持し、その後吸着剤を充填し、開口部2cをカバー13で閉塞する。
【0074】
本第5実施例においても前記第1実施例と同様の作用、効果を発揮することができる。
【0075】
なお、本発明の放熱部の形状は、前記の各実施例で示した平板状の形状に限るものではなく、キャニスタのケース内形状によって変更されるもので、通気抵抗が小さくなるように配慮して棒状、楕円状等に形成してもよい。
【0076】
更に、前記第4実施例における横置き型のキャニスタにおいて、前記アダプタ43を側壁2aから挿通して放熱部31Bを支持してもよく、更に、前記のアダプタ43を使用することなく、前記第1実施例のように、ケース2の壁に挿入穴を形成して、該挿入穴から放熱部を挿入し、該挿入穴を蓋で閉塞するようにしてもよい。
【0077】
【発明の効果】
以上のようであるから本発明によれば、ベーパガイドを設けたキャニスタにおいて、そのベーパガイドに囲まれた流入部の吸着材を加熱して蒸発燃料の脱離を促進させることができ、これにより給油時における蒸発燃料の吸着効率を高めることができる。更に、該流入部は、蒸発燃料中の高沸点成分の吸着による吸着材の劣化が最も起こりやすい部分であるため、この流入部での加熱による脱離量の増大は、吸着材の劣化防止をも図ることができる。
更に、放熱部を、該放熱部により吸着材を加熱するとともに該放熱部が吸着材以外の構成部品と干渉することがないようにして配設できるため、例えば吸着材を保持するフィルタを熱により劣化させたり変形させることを防止することができる。
【0078】
また、請求項4に記載の発明のように放熱部を平板で形成することにより放熱面積を多くして吸着材の加熱効率を高めることができる。
【0079】
また、請求項6に記載の発明によれば、給油時における蒸発燃料の導入やパージ時におけるパージ空気の流れに対する放熱部の通気抵抗が少なくなり、給油作用やパージ作用を阻害することなく前記の効果を発揮できる。
【0081】
請求項7に記載の発明によれば、流入部以外の吸着材層と流入部への放熱部の配置が容易に行える。
【0082】
請求項8に記載の発明によれば、放熱部によるパージ空気の流れの阻害を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す縦断面図。
【図2】図1におけるA−A線断面図。
【図3】本発明の第2実施例を示す縦断面図。
【図4】図3におけるB−B線断面図。
【図5】本発明の第3実施例を示す縦断面図。
【図6】図5におけるC−C線断面図。
【図7】図6の実施例におけるパージ時のパージ空気の流れを示す縦断面図。
【図8】本発明の第4実施例を示す縦断面図。
【図9】図8の放熱部を示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)におけるG−G線断面図。
【図10】図8のアダプタと加熱体を示すもので、(a)は平面図、(b)は側断面図。
【図11】本発明の第5実施例を示す側面図。
【図12】従来のキャニスタを示す縦断面図。
【図13】上部フィルタを備えた従来のキャニスタを示す要部縦断面図。
【符号の説明】
1 キャニスタ
2 ケース
2a 流れ方向と直交する面である側壁
7,8,10,11 フィルタ
9,12 吸着材
9A,12A 吸着材層
20 流入ポート
21 パージポート
24 大気ポート
27 ベーパガイド
28 挿入穴
29 加熱装置
30 蓋板
31,31A,31B 放熱部
31b 放熱部の上部
32 加熱体
D 流入部
41 アダプタ挿通孔
42 アダプタ接続穴
43 アダプタ
Claims (8)
- ケース内に吸着材を充填するとともに、吸着材層における蒸発燃料の流入側にベーパガイドにより囲まれた流入部を設けたキャニスタにおいて、前記流入部内に加熱装置の放熱部を配設し、吸着材層における流体の流れ方向と直交する方向に位置するケースの壁側から前記放熱部を支持することを特徴とするキャニスタ。
- ケース内に吸着材を充填するとともに、吸着材層における蒸発燃料の流入側にベーパガイドにより囲まれた流入部を設けたキャニスタにおいて、前記流入部内に加熱装置の放熱部を配設し、吸着材層における流体の流れ方向と直交する方向に位置するケースの壁に挿入穴を形成し、前記加熱装置の放熱部を、前記挿入穴を閉塞する蓋板に付設し、前記放熱部を前記挿入穴からケース内に挿入するとともに蓋板を前記挿入穴部を閉塞するようにケースの壁に固着することを特徴とするキャニスタ。
- ケース内に吸着材を充填するとともに、吸着材層における蒸発燃料の流入側にベーパガイドにより囲まれた流入部を設けたキャニスタにおいて、前記流入部内に加熱装置の放熱部を配設し、吸着材層における流体の流れ方向と直交する方向に位置するケースの壁にアダプタ挿入孔を形成し、該アダプタ挿入孔にアダプタを挿入して固設し、前記放熱部をケース内において前記アダプタに接続し、加熱体をケース外から前記アダプタに接続することを特徴とするキャニスタ。
- 前記放熱部を平板状に形成した請求項1又は2又は3に記載のキャニスタ。
- 前記放熱部を平板状に形成してその表裏面が吸着材層における流体の流れ方向と略直交する方向におかれるように配設した請求項1又は2又は3に記載のキャニスタ。
- 前記放熱部を平板状に形成してその表裏面が吸着材層における流体の流れ方向に沿うように配設した請求項1又は2又は3に記載のキャニスタ。
- 前記流入部内に配置する放熱部を、流入部以外の吸着材層に配置する放熱部を延長して形成した請求項1乃至6のいずれか1項に記載のキャニスタ。
- 前記放熱部に、その表裏側へ貫通する通気孔を形成した請求項1乃至7のいずれか1項に記載のキャニスタ。
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