JP4132894B2 - 自吸式ポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、給湯器の中に組み込まれて風呂の追い焚き用の循環ポンプ等に使用される自吸式ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
図6及び図7は、メカニカルシールを軸装して成る従来の自吸式ポンプを示す。図6は原動機側を省略した状態を示す縦断側面図、図7(a)は図6中のE−E線に沿って見た状態を示すインペラケースの正面図、図7(b)は図6中のF−F線に沿って見た状態を示すポンプカバーの背面図、図7(c)は図6中のE−E線に沿って見た状態を示す仕切板の正面図である。
【0003】
この自吸式ポンプは、図6に示す如く、原動機を内蔵するモータハウジング1の正面側端面に継ぎ合う縦長略矩形状のインペラケース(ポンプケーシング)2と、そのインペラケース2の正面側端面に仕切板5及びゴムパッキン6を挟んで重ね合わせた縦長略矩形状のポンプカバー(エンドケーシング)3とを有し、取付ボルト(図示せず)等で相互連結した積層型構造となっている。
【0004】
インペラケース2は、図7(a)に示す如く、遠心型インペラ4の背面側に画成されメカニカルシール室18内でメカニカルシール7を軸装して遠心型インペラ4を回転駆動可能に収容して成る円盤状空部を持つインペラ室15と、インペラ室15の外周壁の一部欠口から斜め上方に配向する吐出流路16と、この吐出流路16の上部放口とインペラ室15の外周壁との間に区画され、自吸運転時にその放口から吐き出される気水混合流体を気体と水に分離する気水分離室17と、インペラ室15の外周壁の一部に切欠き形成され、気水分離室17からの水をインペラ室15内に戻す還流溝30とを備えている。遠心型インペラ4は、背面板4cに固着した複数の螺旋状羽根4dと、螺旋状羽根4dの正面外周側を覆う環状板の前面シュラウド4eとを有する。
【0005】
メカニカルシール7はインペラケース2の軸貫通孔の周りに固定された固定環19と筒状のインペラボス22に外嵌した回転環20とを有する。水切り板8a付きシャフト8の先端側は筒状のインペラボス22に挿入されており、シャフト8の先端雄ねじ部8bはインペラ4の円錐状央部4aにインサートしたインサートボス21に螺着している。回転環20はばね受け環状溝4bに収めたコイルばね20aによりスラスト方向に弾力付勢されている。回転環20の背面側にはシールリング20bとフローティングシート20cが位置し、このフローティングシート20cとシールリング20bとの摺接部に流体膜が形成されて、インペラ室4内からモータハウジング1への漏水を有効に防止している。
【0006】
ポンプカバー3は、図7(b)に示す如く、上部に突出する吸入接手部28及び吐出接手部29と、軸方向に配向する外壁及び内壁13により区画され、吸入接手部28に連通する吸入室9と、上記外壁及び内壁13の開環状壁14により区画され、吸入室9とインペラ室15とに連通してインペラ4の円錐状央部4aが一部陥入する流体導入部11と、上記外壁及び内壁13により区画され、吐出接手部29に連通する吐出室10と、吐出室17の概ね下部側に位置して少なくとも自吸運転時にインペラ室15へ補給するための呼び水を貯留する水溜空間12とを備えている。なお、12aは水抜き孔であり、通常は止栓されている。
【0007】
仕切板5は、図7(c)に示す如く、流体導入部11に対応する円形貫通口24と、少なくとも自吸運転時に水溜空間12内の呼び水をインペラ室15へ補給する補給口27と、気水分離室17の水を吐出室10へ戻す還流口26と、気水分離室17内の上部流体を吐出室10の上部へ通す切欠き状の流通口25とを備えている。平面不図示のゴムパッキン6もこの仕切板5と同様な開口を有している。
【0008】
ポンプ始動(自吸運転:呼び水状態)時には、水溜空間12内の呼び水がインペラ室15内に補給されるため、インペラ4の攪拌作用により生じた水と空気の気水混合流体が吐出流路16を介してその放口から上部反跳障壁に衝突し、空気は流通口25を介して吐出接手部29へ送り出されると共に、分離水は流通口25又は還流口26を介して水溜空間12に戻る。このような気水分離による空気の排気と呼び水の回収との繰り返しにより、吸入室9内が減圧され、吸入室9内から流体導入部11を介してインペラ室15へ水が流入するため、呼び水状態での運転が終了し、吸送水運転(揚水運転)に移行する。なお、Wは水流を示し、Iはインペラ4の回転方向を示す。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
呼び水運転は始動から終了まで数十秒程度を要するものであるが、その間、インペラ室15内の呼び水はインペラ4の高速攪拌による遠心力でインペラ室を画する外周壁へ押し遣られるため、逆にインペラ4の背面側のメカニカルシール18には空気が取り残されて貯留し、インペラ4の背面側にある軸周りのメカニカルシール7には呼び水が回らないので、メカニカルシール7の摺接部には有効な流体膜が形成されずに空運転状態が持続する。このため、呼び水運転時には、メカニカルシール7の高温化による焼き付き、材料劣化による水漏れ、異常音の発生等を招く。
【0010】
この点を解決するものとして、インペラケースにおいて、インペラ背面に面するインペラ室底面上にインペラ室外周壁から回転中心方向に亘る連続した突起又は溝を形成して、呼び水運転時に外周壁に沿う循環流を突起又は溝で遮り、回転中心に向けて案内してメカニカルシール7へ給水する方法が知られているが(特開2000−297776号、特開2001−73979号)、インペラ室内に発生させた折角の循環流を遮ると、その遮り量だけ、揚水時では流動抵抗損失の増加が持続する。
【0011】
そこで、本発明の課題は、インペラ室内の循環流の遮りを生じさせずに、呼び水運転時にメカニカルシールに対し呼び水を自動給水してメカニカルシールの空運転状態の流体膜切れを回避できる自吸式ポンプを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る自吸式ポンプにおいて、インペラ室には遠心型インペラの背面側にメカニカルシールを軸装して遠心型インペラを回転駆動可能に収容して成る。流体導入部が吸入室とインペラ室とを連通して遠心型インペラの央部正面側に位置する。インペラ室及び流体導入部と吐出室とを画成する隔壁が存在し、吐出室の概ね下部側に位置して少なくとも自吸運転時にインペラ室へ補給するための呼び水を貯留する水溜空間とを備える。凡そかような構成において、本発明は、第1の通水手段と第の通水手段との連係関係を統整原理とし、水溜空間内の呼び水を遠心型インペラの央部側正面へ向けて噴水するための第1の通水手段と、遠心型インペラの央部側正面で受ける水を導入して遠心型インペラの背面側へ導出するための第2の通水手段を有して成ることを特徴とする。
【0013】
自吸運転時には、インペラの回転によって吐出室内が加圧状態になるか、或いは流体導入室及びインペラ室内におけるインペラの央部側正面寄りが減圧状態となるため、第1の通水手段によって水溜空間内の呼び水が自ずと遠心型インペラの央部側正面へ噴水し、第2の通水手段がこの噴水を導入して遠心型インペラの背面側へ導出するので、遠心型インペラの背面側にあるメカニカルシールが給水冷却される。呼び水運転時でも、メカニカルシールの摺接部に流体膜が形成されていることになるため、メカニカルシールの空運転状態を無くすことができ、メカニカルシールの焼き付き、材料劣化による水漏れ、或いは異常音の発生等を防止できる。本発明によるとインペラ室内の循環流の遮りが生じない。むしろ、呼び水運転時には、インペラ室への呼び水補給量が増量するのは勿論のこと、第1の通水手段による噴水が遠心型インペラの央部側正面に当たるため、遠心型インペラの回転中心寄りでも気水攪拌作用が生じ、自吸性能が向上する。また、揚水時では流動損失が生じない。なお、本自吸式ポンプの取り扱う流体としては、水や湯水に限らず、油や液剤などの一般流体で構わない。
【0014】
この第1の通水手段としては、例えば、遠心型インペラの央部正面に撫で付けて濡らす浸透布や輸送管等を用いることができるが、構成の簡素化の利益において、隔壁を水溜空間側からインペラ室側又は導入部側へ貫通して成る1つ以上の第1の通水孔とするのが望ましい。また、第2の通水手段としても、構成の簡素化の利益において、遠心型インペラの央部側を正面側から背面側へ貫通して成る1つ以上の第2の通水孔とするのが望ましい。これらの通水孔は小孔である。第1の通水孔の孔径が大きすぎると、揚水運転時でも水溜空間側からインペラ室への補給量(還流量)が多くなり、揚水性能の低下を招く虞れがある。また、第2の通水孔の孔径が大きすぎると、インペラの掻き出し作用が当然低下する。第2の通水孔が小孔であるとき、インペラの回転中に第2の通水孔が第1の通水孔からの噴水に曝されると、毛細管現象で第2の通水孔内に水溜りが生じる。そして、第2の通水孔での遠心力で第2の通水孔内の水がインペラ背面方向に振り切られる。この振り切りのときは、第2の通水孔の入水口が噴水に曝されている最中か、或いはインペラ1回転後に曝されているときと推測できる。そして、振り切られた水のインペラ背面方向に当たる濡れ部位は、実験の結果、第1の通水孔の位置から遅角を持っていることが判明した。例えば、回転数1700rpmでの遅角は約40°、回転数3500rpmでの遅角は約90〜100°であった。第2の通水孔の孔としては毛細管現象の発生するほどのものが好適である。孔付近又は孔内は濡れ性の高いのが良い。第2の通水孔はスリットでも構わない。これを敷衍すれば、第2の通水孔は単独の貫通孔に限らず、複数の連続孔を有する多孔質,繊維質,スポンジ等の材質で第2の通水手段を構成し得るものである。なお、揚水運転時には、第2の通水孔がインペラの正面側と背面側との圧力バランス孔として機能し、インペラ自身の受けるスラスト力を低減し、回転安定性に資する。
【0015】
例えば、相互別体のインペラケースとポンプカバーとを重ね合わせた積層構造のポンプでは、上記の隔壁として、遠心型インペラの軸線方向に略配向して流体導入部と吐出室とを画成する第1の隔壁と、軸線方向に対し直交する横断方向に略配向してインペラ室と吐出室とを画成する第2の隔壁とを有する。斯かる隔壁構造では、第1の通水孔は、第1の隔壁と第2の隔壁とが会合する角部付近に形成するのが望ましい。インペラの央部正面側に至近距離を以って対峙できるからであり、噴水圧を第2の通水孔内の水溜まりの押出し圧に利用できる。
【0016】
この場合、第1の通水孔は、例えば、略軸線方向に向けて開口する出水口を有して成る。具体的に、第2の隔壁は、第1の隔壁の先端面に衝合して固定された仕切板とパッキンとから成る積層体であり、第1の隔壁の一部で流体導入部側に膨出すると共に軸線方向に略配向し、第1の隔壁の先端面よりも突出して成る棒状添着部を有し、第1の通水孔は、軸方向に略配向して棒状添着部の突出部分に形成されて成る小空部と、この小空部に連通して第1の隔壁の先端面に切り欠き形成されて成る溝部とを有し、小空部のうち流体導入部側が突出部分で囲まれていると共に小空部の水溜空間が積層体の貫通口の内周面の一部で閉じられており、溝部が積層体の前記一部に隣接する縁部で覆われている。ポンプカバーの成形型を細部修正するだけで第1の通水孔を形成することができる。
【0017】
第1の通水孔は、略横断方向に向けて開口する出水口を有して成るものでも、軸線方向と横断方向との間に向けて開口する出水口を有して成るものでも良い。
【0018】
呼び水を間断なく、噴水させるためには、第1の通水孔は水溜空間のうち第1の隔壁の下部側に形成されていることが望ましい。
【0019】
第1の通水孔内の水溜りをインペラ背面方向へ効率的に振り切るためには、第2の通水孔は第1の通水孔の出水口に臨む入水口を有して成ることが望ましい。噴水圧を利用して第1の通水孔内の水溜りをインペラ背面方向へ押し込むことができるからである。
【0020】
第2の通水孔からの噴水量は比較的小量であることから、限られた個数の第2の通水孔に水を集める工夫もまた必要となる。その一つとして、第2の通水孔は、インペラの複数の羽根の内周端付近に形成されていることが望ましい。羽根間に回転中心側からの水が集まるからである。斯かる場合、第2の通水孔は、複数の羽根のうち相隣接する先行羽根と後行羽根との間にあって、先行羽根よりも後行羽根に接近する位置に形成されていることが望ましい。先行羽根の水切り作用によりその背後には水の当たらない影の領域が形成されるため、この影の領域を避けた後行羽根寄りに形成する。
【0021】
第2の通水孔は遠心型インペラの円錐状央部に形成されていても、第2の通水孔内にはある程度の水溜まりが形成される。必要な量を確保するには、第2の通水孔の個数を増やせば良い。そして、遠心型インペラの円錐状央部のうち、第2の通水孔の位置よりも回転中心寄りの表面には当該表面上の着水を第2の通水孔へ誘導する案内手段を設けることも有効な手段である。この案内手段としては連続又は離間的に形成された凹部とすることができる。この凹部とは線状溝,スリットや窪み群等を指す。また逆に、連続又は離散的に凸部でも良い。この凸部とは突条や突起群等を指す。例えば、螺旋状の突条は攪拌作用に資する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施例に係るメカニカルシールを軸装して成る自吸式ポンプにおいて原動機側を省略した状態を示す縦断側面図である。図2(a)は図1中のC−C線に沿って見た状態を示すポンプカバーの背面図、図2(b)は図2(a)に示すポンプカバーにゴムパッキン及び仕切板を組み付けた状態を示す背面図、図2(c)は図1中のB−B線に沿って見た状態を示すインペラケースの正面図である。なお、本例を示す図1及び図2において、図6及び図7に示す部分と同一の部分は同一参照符号を付し、繰り返しを避けるため、ここではその説明を割愛する(「従来の技術」の欄参照のこと)。
【0023】
インペラ4の軸線方向に配向する開環状壁14(第1の隔壁)はポンプカバー3の流体導入部11と水溜空間12とを画成し、また、その軸線方向に直交する横断方向に配向する仕切板5及びゴムパッキン6(第2の隔壁)はインペラケース2のインペラ室15とポンプカバー3の吐出室10(水溜空間12)とを画成するものであるが、第3図に示すように、開環状壁14の最下部と仕切板5及びゴムパッキン6とが会合する角部付近において、水溜空間12内の呼び水を遠心型インペラ4の円錐状央部4a側正面へ向けて噴水するための第1の通水孔33が設けられている。開環状壁14の最下部には棒状添着部23が形成されている。この棒状添着部23は、流体導入部11側に膨出すると共に軸線方向に略配向し、開環状壁14の先端面よりも突出して成る。第1の通水孔33は、棒状添着部23の突出部分23aに形成されて軸線方向に配向する小空部34と、この小空部34に連通して開環状壁1の先端面に切り欠き形成されて成る溝部32とを有する。小空部34のうち流体導入部11側が突出部分23aで囲まれていると共に小空部34の水溜空間12側が仕切板5及びゴムパッキン6の円形貫通口24の内周面の一部で閉じられており、溝部32が仕切板5及びゴムパッキン6の上記一部に隣接する縁部で覆われている。
【0024】
また、図2(c)に示すように、インペラ4の複数の羽根4dを取着して成る背面板4cのうち羽根4dの内周端付近には、180°間隔で都合2個の第2の通水孔40が形成されている。各第2の通水孔40は、円錐状央部4a上の立ち上がり寄りに形成されているが、複数の羽根4dのうち相隣接する先行羽根4daと後行羽根4dbとの間に位置し、先行羽根4daよりも後行羽根4dbに接近する位置に形成されている。先行羽根4daの水切り作用によりその背後には水の当たらない影の領域が形成されるため、この影の領域を避けた後行羽根4db寄りに形成する。
【0025】
そして、インペラの回転中は、第2の通水孔40の入水口が第1の通水孔33の出水口に臨んで横切るようになっている。
【0026】
自吸運転時には、インペラ4の回転によって吐出室10内が加圧状態になるか、或いは流体導入室11及びインペラ室15内におけるインペラ4の央部側正面寄りが減圧状態となるため、第1の通水孔33によって水溜空間12内の呼び水が自ずと勢い良く遠心型インペラ4の円錐状央部側正面へ噴水し、第2の通水孔40の入水口が第1の通水孔33の出水口近辺を横切る度に、第2の通水孔40がその噴水を導入して押込み圧で遠心型インペラ4の背面側へ導出するので、背面側にあるメカニカルシール7が給水冷却される。呼び水運転時でも、メカニカルシール7の摺接部に流体膜が形成されていることになるため、メカニカルシール7の空運転状態を無くすことができ、メカニカルシール7の焼き付き、材料劣化による水漏れ、或いは異常音の発生等を防止できる。また、この給水においては、インペラ室15内の循環流の遮りが生じない。むしろ、呼び水運転時には、インペラ室15への呼び水補給量が増量するのは勿論のこと、第1の通水孔33による噴水が遠心型インペラ4の央部側正面に当たるため、遠心型インペラ4の回転中心寄りでも気水攪拌作用が生じ、自吸性能が向上する。また、揚水時では流動損失を生じない。なお、揚水運転時には、第2の通水孔40がインペラ4の正面側と背面側との圧力バランス孔として機能し、インペラ4の受けるスラスト力を低減し、回転安定性に資する。
【0027】
図3における第1の通水孔33と第2の通水孔40との関係では、第1の通水孔33からの噴水は軸線方向に向かい、第2の通水孔40内の水溜りに対する押出し圧として機能する。また、第1の通水孔33の形成においては、ポンプカバー3の開環状壁14に棒状添着部23等を成形するための細部修正でまかなえるという利点がある。
【0028】
図4は第1の通水孔33と第2の通水孔40との第1の変形態様を示す破断面図である。本例では、図3に示すような棒状添着部23は存在せず、仕切板5及びゴムパッキン6の円形貫通口24側に切欠き5a及び6aを形成し、切欠き長さは切欠き5aよりも切欠き6aの方がやや長い。このため、第1の通水孔33は斜め通路となるため、噴水は軸線方向と横断方向との間に噴流する。また、インペラ4の円錐状央部の表面には第2の通水孔40に連絡する水切り案内溝40aが形成されている。斯かる構成でも、斜め噴流は水切り案内溝40aに集められて第2の通水孔40内に流れ込むため、インペラ背面方向へ給水できる。
【0029】
図5は第1の通水孔33と第2の通水孔40との第2の変形態様を示す破断面図である。本例では、開環状壁14の先端面に水溜空間12と流体導入部11とを連通する溝部32だけを形成したものである。流体導入部11からの吸い込み空気流の影響を無視すれば、噴流は略横断方向に向かう。そして、第2の通水孔40はばね受け環状溝4bに連通するように回転中心側に寄せて形成されている。また、円錐状央部4aの表面には第2の通水孔40に連絡する水切り案内溝40aが形成されている。斯かる構成によれば、第2の通水孔40から振り切られた水がコイルばね20aを伝ってメカニカルシール7に直接的に給水されることになる。また、第1の通水孔33に対して第2の通水孔40の入水口が張る立体角も広がる利益がある。第1の通水孔33の孔径を絞っても、噴水量を効率的に給水冷却水として活用でき、揚水能力の低下も招かない。
【0030】
なお、本発明は、第1の通水孔33の孔径を大径化し、又は孔数を増やすことにより、仕切板5及びゴムパッキン6の補給口27の機能を果たし得るため、補給口27の口径の小径化や個数の減数化を図ることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、第1の通水手段と第の通水手段との連係関係を統整原理とし、水溜空間内の呼び水を遠心型インペラの央部側正面へ向けて噴水するための第1の通水手段と、遠心型インペラの央部側正面で受ける水を導入して遠心型インペラの背面側へ導出するための第2の通水手段を有して成ることを特徴とするものであるから、インペラ室内の循環流の遮りを生じさせずに、自吸運転時にメカニカルシールの空運転状態を無くすことができる。また、呼び水運転時には、インペラ室への呼び水補給量が増量するのは勿論のこと、第1の通水手段による噴水が遠心型インペラの央部側正面に当たるため、遠心型インペラの回転中心寄りでも気水攪拌作用が生じ、自吸性能が向上する。また、揚水時では流動損失を生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るメカニカルシールを軸装して成る自吸式ポンプにおいて原動機側を省略した状態を示す縦断側面図である。
【図2】(a)は図1中のC−C線に沿って見た状態を示すポンプカバーの背面図、(b)は(a)に示すポンプカバーにゴムパッキン及び仕切板を組み付けた状態を示す背面図、(c)は図1中のB−B線に沿って見た状態を示すインペラケースの正面図である。
【図3】同実施例における第1の通水孔と第2の通水孔との態様を示す破断面図である。
【図4】同実施例における第1の通水孔と第2の通水孔との第1の変形態様を示す破断面図である。
【図5】同実施例における第1の通水孔と第2の通水孔との第2の変形態様を示す破断面図である。
【図6】従来のメカニカルシールを軸装して成る自吸式ポンプにおいて原動機側を省略した状態を示す縦断側面図である。
【図7】(a)は図7中のE−E線に沿って見た状態を示すインペラケースの正面図、(b)は図6中のF−F線に沿って見た状態を示すポンプカバーの背面図、(c)は図6中のE−E線に沿って見た状態を示す仕切板の正面図である。
【符号の説明】
1…モータハウジング
2…インペラケース(ポンプケーシング)
3…ポンプカバー(エンドケーシング)
4…遠心型インペラ
4a…円錐状央部
4b…ばね受け環状溝
4c…背面板
4d…螺旋状羽根
4e…シュラウド
5…仕切板
5a,6a…切欠き
6…ゴムパッキン
7…メカニカルシール
8…シャフト
8a…水切り板
8b…先端雄ねじ部
9…吸入室
10…吐出室
11…流体導入部
12…水溜空間
12a…水抜き孔
13…内壁
14…開環状壁
15…インペラ室
16…吐出流路
17…気水分離室
18…メカニカルシール室
19…固定環
20…回転環
20a…コイルスプリング
20b…シールリング
20c…フローティングシート
21…インサートボス
22…インペラボス
23…棒状添着部
23a…突出部分
24…円形貫通口
25…流通口
26…還流口
27…補給口
28…吸入接手部
29…吐出接手部
30…還流溝
32…溝部
33…第1の通水孔
34…小空部
40…第2の通水孔
40a…水切り案内溝

Claims (6)

  1. 遠心型インペラの背面側にメカニカルシールを軸装して前記遠心型インペラを回転駆動可能に収容して成るインペラ室と、吸入室と前記インペラ室とに連通して前記遠心型インペラの央部正面側に位置する流体導入部と、前記インペラ室及び前記流体導入部と吐出室とを画成する隔壁と、前記吐出室の概ね下部側に位置して少なくとも自吸運転時に前記インペラ室へ補給するための呼び水を貯留する水溜空間とを備える自吸式ポンプにおいて、
    前記水溜空間内の呼び水を前記遠心型インペラの央部側正面へ向けて噴水するための第1の通水手段と、前記央部側正面で受ける水を導入して前記遠心型インペラの背面側へ導出するための第2の通水手段を有して成ることを特徴とする自吸式ポンプ。
  2. 請求項1において、前記第1の通水手段は、前記隔壁を前記水溜空間側から前記インペラ室側又は前記流体導入部側へ貫通して成る1つ以上の第1の通水孔であることを特徴とする自吸式ポンプ。
  3. 請求項1又は請求項2において、前記第2の通水手段は、前記遠心型インペラの央部側を正面側から背面側へ貫通して成る1つ以上の第2の通水孔であることを特徴とする自吸式ポンプ。
  4. 請求項2又は請求項3において、前記隔壁は、前記遠心型インペラの軸線方向に略配向して前記流体導入部と前記吐出室とを画成する第1の隔壁と、前記軸線方向に対し直交する横断方向に略配向して前記インペラ室と前記吐出室とを画成する第2の隔壁とを有して成ることを特徴とする自吸式ポンプ。
  5. 請求項4において、前記第1の通水孔は、前記第1の隔壁と前記第2の隔壁とが会合する角部付近に形成されていることを特徴とする自吸式ポンプ。
  6. 請求項5において、前記第2の隔壁は、前記第1の隔壁の先端面に衝合して固定された仕切板とパッキンとから成る積層体であり、前記第1の隔壁の一部で前記流体導入部側に膨出すると共に前記軸線方向に略配向し、前記第1の隔壁の先端面よりも突出して成る棒状添着部を有し、前記第1の通水孔は、前記軸方向に略配向して前記棒状添着部の突出部分に形成されて成る小空部と、この小空部に連通して前記第1の隔壁の先端面に切り欠き形成されて成る溝部とを有し、前記小空部のうち前記流体導入部側が前記突出部分で囲まれていると共に前記小空部の前記水溜空間が前記積層体の貫通口の内周面の一部で閉じられており、前記溝部が前記積層体の前記一部に隣接する縁部で覆われていることを特徴とする自吸式ポンプ。
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