JP4132809B2 - 根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物 - Google Patents

根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、歯科の根管治療に於いて根管内に充填されるガッタパーチャポイントと根管壁との隙間を封鎖するために使用する根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯髄疾患や根尖歯周疾患等の歯科治療を行うに際し、抜髄後の根管内に材質的に安定な物質を充填し、根管内の空隙を封鎖し根管と歯周組織や、根管と口腔との間の感染経路を遮断する根管治療が広く行われている。この処置を行う際に現在最も多く用いられている方法は、抜髄後の根管内にガッタパ−チャと酸化亜鉛とを主成分とするガッタパーチャポイントと呼ばれる細い針状の根管充填材を充填し、セメントなどで封鎖する方法である。このガッタパーチャポイントを用いた根管の充填方法は、複数本のガッタパーチャポイントを順次根管内に充填する側方加圧充填法と呼ばれる方法が一般的に行われている。このとき、ガッタパーチャポイントを根管内に緻密に充填することが必要であるが、ガッタパーチャポイントは根管壁に対する密着性が不充分であるので、ガッタパーチャポイントに根管充填用シーラーと呼ばれる材料を塗布してから根管内に充填して根管壁とガッタパーチャポイントとの隙間を埋めて封鎖性を高めることが行われている。
【0003】
この根管充填用シーラーとして現在広く使用されているものは、酸化亜鉛とユージノールとを主成分とした材料である。しかし、酸化亜鉛・ユージノール系の根管充填用シーラー組成物は、根管壁とガッタパーチャポイントとの隙間を埋めることはできるが、根管壁及びガッタパ−チャ−ポイント双方に対する接着性がないことから臨床に於いて根管の封鎖性が充分ではないという欠点があった。また、ユージノールは生体に対する為害作用があり、安全性にも問題があった。
【0004】
一方、歯科の充填治療や合着に用いられている歯科用グラスアイオノマーセメントを根管充填用シーラー組成物として利用した製品も販売されており、この根管充填用シーラーとして用いられる歯科用グラスアイオノマーセメントは、歯牙に対する接着力がありまたガッタパーチャポイントとも接着することから根管の封鎖性に優れ、更に生体親和性が高いことから安全性にも優れている。しかし、次に述べる理由により一般には殆ど使用されていない。
【0005】
一般的に根管は複雑な形状をしており、歯牙の種類によっては1歯当り3〜4本の根管が存在し、しかもその形状も扁平状,樽状,湾曲状など個々の歯牙により種々様々であるため、前述のようにガッタパーチャポイントと根管充填用シーラーとを用いて治療を行っても根管の隅々まで完全に密封し細菌の侵入を防止することは難しく、細菌等の侵入により歯痛や歯肉の腫れが起きてしまうことがあった。このような場合、根管治療を再度やり直すことが必要となり、その場合には根管に充填されているガッタパーチャポイント及び根管充填用シーラーをリーマーやファイルで取り除き、再度前記側方加圧充填法等を用いてガッタパーチャポイントを充填し直すのである。
【0006】
しかし、根管充填用シーラーとしてグラスアイオノマーセメントを用いた場合は、ガッタパーチャポイント及び歯質との接着性が高く且つ強度も高いため(圧縮強さは110MPa程度、酸化亜鉛・ユージノール系の根管充填用シーラー組成物の圧縮強さは10〜30MPa程度)、リーマーやファイルを使用して切削しながら除去することが非常に難しく、根管からのガッタパーチャポイントの除去を諦めて抜歯せねばならないことがあったのである。更に、一般的な歯科用グラスアイオノマーセメントは、粉成分と液成分とで構成されており、計量及び練和等の操作の煩雑さは勿論、粉と液とを練和するには熟練を要するため練りムラが発生した場合には部分的に流動性が悪化し根管の細部にまで行き渡らなかったり物性的にも劣る問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、前記した従来技術の欠点を解消するため従来のグラスアイオノマーセメントの優れた封鎖性や生体親和性を有しながら、根管の再治療が必要なときには容易に根管から取り除くことが可能であり、計量や練和操作が容易な根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、根管充填用シーラーを2ペースト状のグラスアイオノマー系の根管充填用シーラー組成物とし、更にα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しないポリマー及び/又は無機充填材を配合するとグラスアイオノマーセメントの優れた特長を有しながら、計量や練和操作が容易で且つ必要なときには根管から除去することが容易な根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物を得ることが可能であることを究明して本発明を完成した。
【0009】
【発明の実施の形態】
即ち本発明に係る根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物は、第一ペースト1に対して第二ペーストを重量比で0.5〜3の範囲内の所定割合で混合して使用する根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物であって、第一ペーストが、α−β不飽和カルボン酸の重合体:30〜70重量%と,α−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しないポリマー及び/又はα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しない無機充填材:10重量%以下と,残部の水とから成り、第二ペーストが、フルオロアルミノシリケートガラス粉末:50〜85重量%と,α−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しないポリマー及び/又はα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しない無機充填材:10重量%以下と,水溶性の増粘剤:0.05〜5重量%と,残部の水とから成り、両ペースト中のα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しないポリマー及び/又はα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しない無機充填材の合計量が使用する際の混合物中に0.5重量%以上となるように配合されていることを特徴とする根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物であり、α−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しないポリマーはミツロウ,天然ガッタパーチャ,カルナバワックス,カスターワックス,セラック,ダンマルゴム,コーパルゴム,ポリイソプレン,ポリイソプレン共重合体,ポリスチレンから選ばれる少なくとも1種であり、α−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しない無機充填材は珪藻土,タルク,パーライトから選ばれる少なくとも1種であることが好ましいのである。
【0010】
本発明の第一ペーストで使用するα−β不飽和カルボン酸の重合体は、従来のグラスアイオノマーセメントに使用されていたα−β不飽和モノカルボン酸又はα−β不飽和ジカルボン酸の重合体が特に限定されずに使用可能である。α−β不飽和カルボン酸の重合体は、アクリル酸,メタアクリル酸,2−クロロアクリル酸,3−クロロアクリル酸,アコニット酸,メサコン酸,マレイン酸,イタコン酸,フマール酸,グルタコン酸,シトラコン酸の中から選ばれた1種以上を含む共重合体又は単独重合体であって重合可能なエチレン性不飽和二重結合を含まない重量平均分子量3000〜40000の重合体であることが好ましい。これらのα−β不飽和カルボン酸の重合体に於いて3000未満の重量平均分子量を有する重合体を使用した場合は、硬化組成物の強度が低くなり易く、また歯質への接着力も低下する傾向がある。40000を超える重量平均分子量を有する重合体を使用した場合は、練和時の稠度が大き過ぎて練和が困難になる傾向がある。このようなα−β不飽和カルボン酸の重合体の第一ペースト中の割合は30〜70重量%である。30重量%未満では歯科用グラスアイオノマーとしての特長である歯質接着性が低下し、70重量%を超えるとペーストの粘度が高くなり練和及び操作感が低下する。
【0011】
本発明の第一ペーストで使用する水は後述する第二ペースト中のフルオロアルミノシリケートガラス粉末と第一ペースト中のα−β不飽和カルボン酸の重合体との中和反応のため必要であり、第一ペースト中のα−β不飽和カルボン酸の重合体と更に配合されることがあるα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しないポリマー及び/又はα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しない無機充填材との残部であり、その配合割合が少なすぎるとペーストの粘度が高くなりすぎ、多すぎると歯質接着性が低下する。
【0012】
第二ペーストで使用するフルオロアルミノシリケートガラス粉末は、具体的には特公平6−27047号公報に開示されているようなシリカとアルミナを主成分とし、それにフッ化カルシウム,フッ化アルミニウム,リン酸アルミニウム等を混合して溶融し冷却した後に粉砕するという公知のガラス粉末作製法により作製したフルオロアルミノシリケートガラス粉末等を挙げることができる。このフルオロアルミノシリケートガラス粉末は、第二ペースト中に50〜85重量%の範囲で配合される。50重量%未満では硬化体の物性が劣り、85重量%を超えると第二ペーストが堅くなり混合時の操作性が悪化する。
【0013】
本発明に係る根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物の第二ペースト中の水は、第二ペースト中のフルオロアルミノシリケートガラス粉末と後述する水溶性の増粘剤と更に配合されることがあるα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しないポリマー及び/又はα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しない無機充填材との残部であり、その配合割合が少なすぎるとグラスアイオノマーセメント由来の特長である歯質接着性が低下し、多すぎると硬化体の物性が低下する。
【0014】
本発明に係る根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物では、第二ペーストを操作性の高いペースト状とすることを目的として水溶性の増粘剤を用いる。本発明に用いる水溶性の増粘剤は物性に影響を与えない程の僅かな量、即ち第二ペースト中に1重量%以下、好ましくは0.4重量%以下の配合量であることが必要である。具体的には1重量%水溶液としたときに温度が25℃に於いてB型粘度計を用いて測定した値が500〜10000mPa・sとなる増粘効果を有する増粘剤であることが好ましい。1重量%水溶液としたときに温度が25℃に於いてB型粘度計を用いて測定した値が500mPa・s未満の増粘剤では少ない配合量で充分な増粘効果を得難い傾向がある。一方、1重量%水溶液としたときに温度が25℃に於いてB型粘度計を用いて測定した値が10000mPa・sを超える増粘剤ではペーストの練和性が低下する傾向がある。
【0015】
このような本発明に使用する水溶性の増粘剤としては、無機系,有機系のどちらを使用しても構わず、例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム,カルボキシメチルセルロースナトリウム,デンプン,デンプングリコール酸ナトリウム,デンプンリン酸エステルナトリウム,メチルセルロース,ポリアクリル酸ナトリウム,アルギン酸,アルギン酸ナトリウム,アルギン酸プロピレングリコールエステル,カゼイン,カゼインナトリウム,ポリエチレングリコール,エチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,グルテン,ローカストビーンガム,ゼラチン等が挙げることができ、中でもカルボキシメチルセルロースカルシウム,カルボキシメチルセルロースナトリウムが僅かな量でも増粘効果が高く且つ安価であるために好ましい。これらの水溶性の増粘剤は2種以上を混合して用いてもよいのは勿論である。水溶性の増粘剤は第二ペースト中に0.05〜5重量%の範囲で配合される。0.05重量%未満では増粘剤による効果が得られず、5重量%を超えると硬化体の物性が低下する傾向がある。
【0016】
本発明に係る根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物に用いられるα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しないポリマーとしては、セルロース等の天然ポリマーや合成ポリマー等を示すことができる。更に詳細に述べると、天然ポリマーとしては、例えばセルロースアセテート,セルロイド,カルボキシメチルセルロース,エチルセルロース,酢酸セルロース,プロピオンセルロース,硝酸セルロース等の水不溶性のセルロースが適しており、その他の天然ポリマーとして、ミツロウ,天然ガッタパーチャ,カルナバワックス,カスターワックス,セラック,ダンマルゴム,コーパルゴム,デンプン,ケラチン,アラビアゴム,エステルガム,ガゼイン,木ロウ,ロジン,天然ゴム等が使用可能である。
【0017】
また合成ポリマーとしては、ポリイソプレン,ポリブタジエン,ポリブチル,ポリクロロプレン,アクリルゴム,ヒドリンゴム,ウレタンゴム,多硫化ゴム,シリコーンゴム,フッ素ゴム等のゴム系ポリマー及びその共重合体、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブチレン等のオレフィン系ポリマー及びその共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸等のアクリル系ポリマー及びその共重合体、ポリスチレン,ポリ(アクリロニトリル−スチレン),ポリ(プタジエン−スチレン),ABS樹脂等のスチレン系ポリマー及びその共重合体、ポリ塩化ビニリデン,ポリ塩素化塩化ビニル,プロピレン塩化ビニル共重合体等のビニル系ポリマー及びその共重合体、ナイロン6,ナイロン66,ナイロン610,ナイロン612,ナイロン11,ナイロン12,ナイロン46等のアミド系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート等の不飽和ポリエステル樹脂、テトラフルオロエチレン,トリフルオロエチレン,ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系ポリマー及びその共重合体、その他ポリカーボネート,ポリアセタール,ポリエーテルスルホン,ポリフェニレンオキシド,ポリフェニレンスルファイド,ポリスルホンとその共重合体を挙げることができる。これらのα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しないポリマーは1種でも2種以上を混合して用いてもよく、各々の共重合体を用いてもよい。
【0018】
α−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しない無機充填材は、生体に対して為害作用を示さなければ特に限定されないが、通常歯科材料で使用されている珪藻土,タルク,パーライト,石英,クリストバライト,溶融石英,二酸化チタン,ヒュームドシリカ等の無機充填材が適しており、中でも比較的に無機充填材自体が柔らかい珪藻土,タルク,パーライトが適している。
【0019】
このようなα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しないポリマー及び/又はα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しない無機充填材は、硬化後の根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物の圧縮強さが10〜70MPaとなるようにその種類によって根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物の第一ペーストと第二ペーストの少なくとも一方に適宜配合される。硬化後の組成物の圧縮強さが10MPa未満では歯質やガッタパーチャポイントとの接着性が劣る傾向があり、70MPaを超えるとリーマーやファイルで切削して除去することが難しくなる。なお、根管充填後の歯牙には強度の高い歯科用補綴物が構築されるため根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物には高い強度は必要なく、実際に現在広く使用されている酸化亜鉛・ユージノール系の根管充填用シーラー組成物の強度は圧縮強さで10〜30MPa程度である。従って、本発明に係る根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物の強度は根管充填用シーラーとして充分機能できるものである。
【0020】
第一ペーストと第二ペーストとの少なくとも一方に配合されるα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しないポリマー及び/又はα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しない無機充填材は、使用する際の第一ペーストと第二ペーストとの混合物中に0.5重量%以上となるように配合され、且つ第一,第二の各ペースト中に配合される最大量は10重量%である。使用する際の混合物中に0.5重量%未満の配合量では硬化後の根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物の圧縮強さを低下させる効果が得られず、第一,第二の各ペースト中の配合量が10重量%を超えると各ペーストの練和操作性が悪化してしまう。
【0021】
α−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しないポリマーは、根管内で安定であれば粉末状,液状の何れの形態でも良いが、粉末状の場合には歯科で一般に用いられている充填材の粒径である0.1〜30μmの粉末状であることが好ましい。α−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しない無機充填材の形状も前記強度を得るものであれば特に限定されないが、歯科で一般に用いられている粒径である0.02〜30μmの粉末状の無機充填材を使用することが好ましい。
【0022】
本発明に係る根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物は、従来の酸化亜鉛・ユージノール系根管充填用シーラー組成物と同程度の強度であることから再度根管治療が必要となった場合には根管内からリーマー・ファイル等を用いて容易に除去することが可能である。更に、α−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しないポリマーとして特定のポリマーを用い、根管から除去する際にはそのポリマーを溶解する溶剤でポリマーを溶解することにより更に根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物の強度が下がり、根管内からの除去を容易にすることができるのでより好ましい。例えば、ミツロウはクロロホルムに可溶であり、ポリイソプレン,ポリイソプレン共重合体,ポリスチレン,天然ガッタパーチャポイントはクロロホルム,ユーカリオイル,リモネン,キシレン等に可溶であり、カルナバワックス,カスターワックスはクロロホルム,エタノール,エーテル,リモネン,ユーカリオイルに、セラックはアルコールやエステル類に、ダンマルゴムはクロロホルム,ベンゼン,エーテルに、コーパルゴムはアルコールに可溶であるためこれらのポリマーと溶剤とを用いることが可能である。
【0023】
本発明に係る根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物は、第一ペースト1に対して第二ペーストを重量比で0.5〜3の範囲内の所定割合で混合して使用するものである。第一ペースト1に対する第二ペーストの混合比が0.5未満では硬化後の組成物の歯質への接着性が低下し、3を超えると根管の封鎖性やペーストの練和操作が悪化する。
【0024】
なお、本発明に係る根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物には必要に応じて通常用いられる無機イオン担持のゼオライト,シリカゲル,リン酸ジルコニウム,酸化チタン等の無機系、スルホン誘導体,イミダゾール誘導体等の有機系、茶カテキン,からし油等の天然の抗菌剤、陰イオン,陽イオン,両性,非イオンの各種界面活性剤、顔料等の着色剤を適宜配合することもできる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
<フルオロアルミノシリケートガラス粉末A>
酸化アルミニウム22g,無水珪酸23g,フッ化カルシウム12g,リン酸カルシウム15g及びフッ化ストロンチウム28gを乳鉢にて充分に混合・撹拌し、得られたバッチを磁器るつぼに入れ,電気炉にて約7℃/分の昇温速度にて1200℃に昇温した。溶融時間として3時間係留した後、融液を水中に流し出し急冷ガラスを得た。得られたガラスを粉砕してフルオロアルミノシリケートガラス粉末Aとした。この粉末の平均粒径は2.5μmであった。
【0026】
<フルオロアルミノシリケートガラス粉末B>
酸化アルミニウム23g,無水珪酸31g,フッ化カルシウム1g,クライオライト9g,リン酸アルミニウム2g及びフッ化ストロンチウム34gを乳鉢にて充分に混合・撹拌し、得られたバッチを磁器るつぼに入れ,電気炉にて約7℃/分の昇温速度にて1200℃に昇温した。溶融時間として3時間係留した後、融液を水中に流し出し急冷ガラスを得た。得られたガラスを粉砕してフルオロアルミノシリケートガラス粉末Aとした。この粉末の平均粒径は2.5μmであった。
【0027】
<フルオロアルミノシリケートガラス粉末C>
市販のグラスアイオノマーセメント用ガラス粉末(商品名:フジI(粉末),株式会社ジーシー製)をフルオロアルミノシリケートガラス粉末Cとした。
【0028】
<実施例1〜8>
表1に示す配合にて根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物を作製した。第一ペースト及び第二ペーストを表1に示した重量比で計り採り、練和紙上でスパチュラを用いて15秒間練和して以下の試験を行った。
【0029】
比較例1
市販の酸化亜鉛・ユージノール系根管充填用シーラー組成物として製品名「キャナルス」(昭和薬品化工株式会社製)を用いた。各試験は使用説明書に基づいて粉と液とを練和したものを用いて以下の試験を行った。
【0030】
比較例2
市販のグラスアイオノマーセメント系の根管充填用シーラー組成物として製品名「ケタックエンド」(エスペ社製)を用いた。各試験は製品の使用説明書に基づいて粉と液とを練和したものを用いて以下の試験を行った。
【0031】
<圧縮強度>
練和後の試料を内径4mm,高さ6mmの金属製割型に填入し、金属板にて上下を塞ぎクランプで圧接・固定した。これを37℃,湿度100%にて保存し1時間後に硬化した試料を型より外した。得られた円柱状の試料を37℃の蒸留水に24時間浸漬した。その後、万能試験機(商品名:オートグラフ,株式会社島津製作所製)にてクロスヘッドスピード1mm/分の条件にて圧縮試験を行った。この結果を表1に纏めて示す。
【0032】
<根管封鎖性>
抜歯後、10%ホルマリン溶液中に保存された標準的なヒト上顎側切歯を試料とし、切端を削除し髄室開拡後、通常の根管拡大操作で根管形成を行った。その根管に根管充填用シーラー組成物を塗布したガッタパ−チャポイント(製品名:ジーシーガッタパーチャポイント,株式会社ジーシー製)を側方加圧充填法にて充填した。その試料を37℃恒温器内で0.6%ロ−ダミン水溶液に7日浸漬後、歯牙を切断し、根管壁と根管充填用シーラー組成物間に進入した色素の長さを測定した。
【0033】
<根管からの除去のし易さ>
根管封鎖性と同様の方法により根管充填を行った標準的なヒト上顎側切歯について、根管拡大操作によりガッタパーチャポイント及び根管充填用シーラー組成物をリーマー・ファイルを用いて取り除き、除去のし易さを確認した。また、実施例4〜8に関しては溶剤を塗布しながらガッタパーチャポイント及び硬化した根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物をリーマー・ファイルを用いて取り除いて根管壁からの除去のし易さを確認し、以下の基準で評価した。
A:象牙質よりも切削抵抗が小さいか同程度なので、リーマー・ファイルで容易に切削・除去できる。
B:切削抵抗がやや大きいが、リーマー・ファイルで切削・除去できる。
C:リーマー・ファイルでは殆ど切削できないため除去できない。
【0034】
実施例1〜8から明らかなように、本発明に係る根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物は、従来の根管充填用シーラー組成物と同等の封鎖性を有しながらリーマー・ファイルで簡単に根管壁から削り取って細部まで確実に除去することが可能であることが確認できた。特に、実施例4〜8ではクロロホルム等の溶剤により根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物中に含まれるポリイソプレン,天然ガッタパーチャポイント等のポリカルボン酸と反応しないポリマーの成分が溶解することにより、圧縮強度が或る程度高くても切削時には強度を低下させて簡単に根管内から除去することが可能であった。また、根管封鎖性に関しても従来のグラスアイオノマーセメント系の根管充填用シーラーと同等であることが確認できた。
【0035】
【表1】
Figure 0004132809
【0036】
【発明の効果】
以上に詳述した如く本発明に係る根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物は、グラスアイオノマーセメントの特長である生体親和性を有しながらペースト状であるため操作性が良く、ガッタパーチャポイントと根管壁との双方に接着性があるため根管の封鎖性に優れ、更に根管の再治療が必要なときには容易に根管から取り除くことが可能であり、歯科医療に貢献する価値の非常に大きなものである。

Claims (3)

  1. 第一ペースト1に対して第二ペーストを重量比で0.5〜3の範囲内の所定割合で混合して使用する根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物であって、第一ペーストが、α−β不飽和カルボン酸の重合体:30〜70重量%と,α−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しないポリマー及び/又はα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しない無機充填材:10重量%以下と,残部の水とから成り、第二ペーストが、フルオロアルミノシリケートガラス粉末:50〜85重量%と,α−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しないポリマー及び/又はα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しない無機充填材:10重量%以下と,水溶性の増粘剤:0.05〜5重量%と,残部の水とから成り、両ペースト中のα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しないポリマー及び/又はα−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しない無機充填材の合計量が使用する際の混合物中に0.5重量%以上となるように配合されていることを特徴とする根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物。
  2. α−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しないポリマーが、ミツロウ,天然ガッタパーチャ,カルナバワックス,カスターワックス,セラック,ダンマルゴム,コーパルゴム,ポリイソプレン,ポリイソプレン共重合体,ポリスチレンから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物。
  3. α−β不飽和カルボン酸の重合体と反応しない無機充填材が、珪藻土,タルク,パーライトから選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の根管充填用グラスアイオノマー系シーラー組成物。
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