JP4132370B2 - オシレーション装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クランクシャフト等のワークのオシレーション研削に用いるオシレーション装置に関し、更に詳細には、主軸台に軸支したスピンドルの先端のチャックに把持されるワークをスピンドルを介してスピンドルの軸方向たるX軸方向にオシレーションさせるオシレーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のオシレーション装置として、主軸台の台本体内に、スピンドルよりもX軸方向尾方に位置させて、位相が180°異なる1対の偏心部を軸方向に並設して成る駆動軸をX軸方向に直交する向きで軸支すると共に、駆動軸よりもX軸方向尾方に位置させて、バランスウェイトをX軸方向に遊動自在に収納し、両偏心部の一方と他方とにスピンドルとバランスウェイトとを夫々各別のコンロッドを介して連結して、駆動軸の回転によりスピンドルとバランスウェイトとを互に逆位相でX軸方向にオシレーションさせるようにしたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例によれば、バランスウェイトの重量をスピンドルとワークの総重量に合わせて設定しておくことにより、スピンドルとワークのオシレーションによる振動力をバランスウェイトのオシレーションによる振動力で相殺して、主軸台の振動を防止することができる。
【0004】
然し、ワークの機種変更でワークの重量が変化すると、バランスウェイトの重量の過不足で振動力を完全には相殺できなくなり、主軸台の振動を生じて加工精度が悪化する。この場合、ワークの重量変化に合わせてバランスウェイトの重量を調整することが考えられるが、バランスウェイトは主軸台の台本体内に収納されているため、バランスウェイトの重量調整には手間がかかり、ワークの機種変更に容易に対処できなくなる。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、ワークの機種変更に容易に対処し得るようにしたオシレーション装置を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明は、主軸台に軸支したスピンドルの先端のチャックに把持されるワークをスピンドルを介してスピンドルの軸方向たるX軸方向にオシレーションさせるオシレーション装置であって、主軸台の台本体内に、スピンドルよりもX軸方向尾方に位置させて、位相が180°異なる1対の偏心部を軸方向に並設して成る駆動軸をX軸方向に直交する向きで軸支すると共に、駆動軸よりもX軸方向尾方に位置させて、バランスウェイトをX軸方向に遊動自在に収納し、両偏心部の一方と他方とにスピンドルとバランスウェイトとを夫々各別のコンロッドを介して連結して、駆動軸の回転によりスピンドルとバランスウェイトとを互に逆位相でX軸方向にオシレーションさせるようにしたものにおいて、バランスウェイトに台本体の外面に突出する連結部を設け、該連結部にサブウェイトを着脱自在としている。
【0007】
これによれば、重量の異なる数々のサブウェイトを用意して、ワークの重量に適合するサブウェイトを連結部に付け換えることにより、スピンドルとワークのオシレーションによる振動力をバランスウェイトとサブウェイトのオシレーションによる振動力で確実に相殺できる。かくて、ワークの機種変更に際してはサブウェイトを交換するだけで良く、而も、サブウェイトを取付ける連結部は台本体の外面に突出しているため、台本体をいじらずにサブウェイトを交換でき、ワークの機種変更に容易に対処できる。
【0008】
また、前記バランスウェイトを前記台本体のX軸方向尾方の端壁部に摺動自在に貫通させたガイドバーを介してX軸方向に遊動自在に支持し、該ガイドバーで前記連結部を構成すれば、連結部を別途設けずに済み、構造が簡単になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1及び図2を参照して、1はクランクシャフトWの仕上げ加工装置の機台であり、機台1の横幅方向をX軸方向、奥行方向をY軸方向として、機台1のY軸方向手前側に、主軸台2と、機台1上のガイドレール3aにX軸方向に摺動自在に支持され、サーボモータ3bによりボールねじ機構3cを介して主軸台2に向けてX軸方向に進退される心押台3とを配置すると共に、主軸台2と心押台3との間に、クランクシャフトWを軸線がX軸方向に沿うように、且つ、クランクシャフトWの各ピン部Wbが水平面上に位置する所定の位相になるように位置決めしてセット自在なワーク受け4を配置している。ワーク受け4は、シリンダ4aにより枢軸4bを支点にして上下方向に揺動される揺動枠4cにX軸方向に摺動自在に支持されており、心押台3を主軸台2に向けてX軸方向に前進させてワーク受け4上のクランクシャフトWを主軸台2側に押動させる際、ワーク受け4がクランクシャフトWに連れ動きし、クランクシャフトWがワーク受け4に支持されたまま主軸台2と心押台3との間に挟持されるようにしている。クランクシャフトWを主軸台2と心押台3との間に挟持した後は、揺動枠4cの揺動でワーク受け4を下方に退避させる。
【0010】
機台1のY軸方向奥側には、クランクシャフトWのジャーナル部Waとピン部Wbとに第1段階の仕上げ加工を施すジャーナル用とピン用の加工工具6J,6Pを有する第1加工ユニット51と、ジャーナル部Waとピン部Wbとに第2段階の仕上げ加工を施すジャーナル用とピン用の加工工具7J,7Pを有する第2加工ユニット52とが機台1上の共通のガイドレール5aに沿ってX軸方向に移動自在に配置されており、主軸台2と心押台3との間に支持されるクランクシャフトWに臨む加工位置に両加工ユニット51,52を選択的に移動して、ジャーナル部Wa及びピン部Wbの第1段階の仕上げ加工と第2段階の仕上げ加工とを行うようにしている。
【0011】
各加工ユニット51,52の支持台は、図3に示す如く、ガイドレール5aに摺動自在に支持される、X軸方向に2分割された第1と第2の1対の可動台50,51で構成されている。ここで、各加工ユニット51,52の第1と第2の各可動台50,51の他の可動台寄りの方向をX軸方向内方として、各可動台50,51のX軸方向内方の側部には固定支持板50a,51aが立設されており、また、各可動台50,51上には、固定支持板50a,51aのX軸方向外方に対向する可動支持板50b,51bが各可動台50,51上のガイドレール50c,51cに沿ってX軸方向に移動自在に支持されている。そして、各加工ユニット51,52の第1可動台50上の固定支持板50aのX軸方向外側面にピン用加工工具6P,7Pと、各加工ユニット51,52の第1可動台50上の可動支持板50bのX軸方向内側面にジャーナル用加工工具6J,7Jと、各加工ユニット51,52の第2可動台51上の固定支持板51aのX軸方向外側面にジャーナル用加工工具6J,7Jと、各加工ユニット51,52の第2可動台51の可動支持板51bのX軸方向内側面にピン用加工工具6P,7Pとを夫々クランクシャフトWに向けてY軸方向に進退自在に支持している。
【0012】
両加工ユニット51,52の計4個の可動台50,51は、第2加工ユニット52の第1可動台50と第1加工ユニット51の第2可動台51とをX軸方向に隣り合わせた状態でX軸方向に列設されている。そして、第2加工ユニット52の第2可動台51をモータ5bによりボールねじ機構5cを介してX軸方向に駆動自在とすると共に、図4に示す如く、両加工ユニット51,52の第1可動台50,50同士と第2可動台51,51同士とを夫々各別のタイロッド521,522を介して連結し、更に、第1加工ユニット51の第2可動台51に固定の軸受53aに軸支されるX軸方向に長手の第1ねじ部材53を設けて、第1ねじ部材53を第2加工ユニット52の第1可動台50に固定のナット53bに螺挿し、第1加工ユニット51の第2可動台51と第2加工ユニット52の第1可動台50とを第1ねじ部材53を介してX軸方向に接近離間自在に連結している。第1ねじ部材53をその端部のハンドル53cの操作で正逆転させて、第1加工ユニット51の第2可動台51に対し第2加工ユニット52の第1可動台50をX軸方向に接近・離間させると、第2加工ユニット52の第1可動台50にタイロッド521を介して連結される第1加工ユニット51の第1可動台50が第1加工ユニット51の第2可動台51に対しX軸方向に離間・接近すると共に、第1加工ユニット51の第2可動台51にタイロッド522を介して連結される第2加工ユニット52の第2可動台51に対し第2加工ユニット52の第1可動台50がX軸方向に離間・接近して、各加工ユニット51,52の第1可動台50上のピン用加工工具6P,7Pと第2可動台51上のジャーナル用加工工具6J,7JとのX軸方向ピッチP1が同期して変化する。また、両加工ユニット51,52の計4個の可動台50,51のうちの1個、図示例では第2加工ユニット52の第2可動台51をモータ5bによりボールねじ機構5cを介してX軸方向に移動すると、タイトロッド521,522及び第1ねじ部材53を介して残りの3個の可動台もX軸方向に同期移動し、かくて、両加工ユニット51,52が全体的にX軸方向にシフトする。
【0013】
更に、本実施形態では、第1加工ユニット51の第1可動台50に固定の軸受54aに軸支されるX軸方向に長手の第2ねじ部材54を設けて、第2ねじ部材54を第1加工ユニット51の第1可動台50上の可動支持板50bに固定したナット54bと、第2加工ユニット52の第1可動台50上の可動支持板50bに固定したナット54cとに螺挿すると共に、第2加工ユニット52の第2可動台51に固定の軸受55aに軸支されるX軸方向に長手の第3ねじ部材55を設けて、第3ねじ部材55を第2加工ユニット52の第2可動台51上の可動支持板51bに固定したナット55bと、第1加工ユニット51の第2可動台51上の可動支持板51bに固定したナット55cとに螺挿し、第2ねじ部材54と第3ねじ部材55とを、第2ねじ部材54に固定のギア56aとこれに噛合する第3ねじ部材55に固定のギア56bとから成る同期ギア56を介して連結している。第2ねじ部材54をその端部のハンドル54dの操作で正逆転すると、両加工ユニット51,52の第1可動台50,50上の可動支持板50b,50bが第1可動台50,50上の固定支持板50a,50aに対しX軸方向に接近・離間すると共に、同期ギア56を介して第3ねじ部材55が同期回転して、両加工ユニット51,52の第2可動台51,51上の可動支持板51b,51bが第2可動台51,51上の固定支持板51a,51aに対しX軸方向に接近・離間し、各加工ユニット51,52の第1可動台50上のジャーナル用加工工具6J,7Jとピン用加工工具6P,7PとのX軸方向ピッチと第2可動台51上のジャーナル用加工工具6J,7Jとピン用加工工具6P,7PとのX軸方向ピッチとが互に等しいピッチP2になるように同期して変化する。
【0014】
ここで、各加工ユニット51,52の各可動台50,51上のジャーナル用加工工具6J,7Jとピン用加工工具6P,7Pは各可動台50,51上の固定支持板50a,51aと可動支持板50b,51bの対向面間にX軸方向に隣り合わせて配置されるため、可動支持板50b,51bを固定支持板50a,51aに向けてX軸方向内方に移動することにより、各可動台50,51上のジャーナル用加工工具6J,7Jとピン用加工工具6P,7PとのX軸方向ピッチP2をかなり狭めることができる。一方、各加工ユニット51,52の第1可動台50上のピン用加工工具6P,7Pと第2可動台51上のジャーナル用加工工具6J,7JとのX軸方向ピッチP1は、両者間に両可動台50,51の固定支持板50a,51aが存在するため、前記ピッチP2程には狭めることはできないが、両可動台50,51を最接近させることにより、前記ピッチP2の最小値の3倍程度には狭めることができる。かくて、ピッチP2をクランクシャフトWのジャーナル部Waとピン部Wbとのピッチに等しくなるように調整し、ピッチP1をジャーナル部Waとピン部Wbとのピッチの3倍になるように調整することで、クランクシャフトWの機種変更に対処できる。
【0015】
また、本実施形態では、第2加工ユニット52の第1可動台50に、ナット53bの端面に摺接する回動操作自在なストッパプレート571を設けると共に、第1加工ユニット51の第1可動台50上の可動支持板50bに、ナット54bの端面に摺接する回動操作自在なストッパプレート572を設け、各ストッパプレート571,572に、X軸方向長さが異る複数のストッパ57aを周方向に間隔を存して取付けて、クランクシャフトWの機種に応じた所要の長さのストッパ57aを軸受53a,54aの端面に臨む作動位置に選択し、第1と第2の各ねじ部材53,54を軸受53a,54aの端面にストッパ57aが当接するまで回転させることにより、ピッチP1,P2をクランクシャフトWの機種に応じた所要の値に正確に調整し得るようにしている。また、各可動台50,51に、各可動支持板50b,51bに取付けたX軸方向に長手の突片58aをY軸方向両側から挟圧可能なピストン(図示せず)を内蔵するブレーキシリンダ58を設け、ピッチP1,P2の調整後、各可動支持板50b,51bを調整位置に制止し得るようにしている。
【0016】
第1加工ユニット51に搭載するジャーナル用とピン用の加工工具6J,6Pは、ラッピングテープによる研磨を行うラッピング工具で構成されている。ジャーナル用ラッピング工具6Jは、図5及び図6に示す如く、工具キャリア60に支持される工具本体61に、Y軸方向先方にのびてジャーナル部Waを把持する上下1対のクランプアーム62,62をY軸方向尾端部において、X軸方向の枢支ピン62a,62aにより上下方向たるZ軸方向に開閉自在に枢支し、両クランプアーム62,62のZ軸方向の対向面にラッピングテープ63を張設して成るものである。両クランプアーム62,62は、工具本体61に組込んだシリンダ64によりトグルリンク64aを介して開閉動作されるようになっており、両クランプアーム62,62を閉じてジャーナル部Waを把持することによりラッピングテープ63をジャーナル部Waの周面に圧接し、この状態でクランクシャフトWを回転させてジャーナル部Waを研磨する。また、工具キャリア60には、ラッピングテープ63用の下側の繰出リール630と、上側の巻取リール631とが設けられており、両リール630,631間において複数のガイドプーリ632を介して両クランプアーム62,62の対向面間にラッピングテープ63を張り渡し、更に、シリンダ633aで駆動される巻取機構633を工具キャリア60に搭載して、ラッピングテープ63を定期的に一定長さ宛巻取リール631に巻取るようにしている。
【0017】
ピン用ラッピング工具6Pは、図7及び図8に示す通りであり、上記ジャーナル用ラッピング工具6Jと共通する部材については上記と同一の符号を付してその説明を省略する。ピン用ラッピング工具6Pのジャーナル用ラッピング工具6Jに対する主な相違点は、クランクシャフトWの回転によるピン部Wbの公転運動に追従して工具本体61がZ軸方向及びY軸方向に振れ動きするよう、工具本体61に、工具キャリア60に固定の支持ピン61aに係合するY軸方向に長手の長穴61bを形成し、工具キャリア60に工具本体61をY軸方向に遊動自在に、且つ、Z軸方向に揺動自在に支持させた点である。
【0018】
ところで、ジャーナル部Wa及びピン部Wbの仕上げ加工に際しては、主軸台2に組込んだ後記詳述するオシレーション装置によりクランクシャフトWをX軸方向にオシレーションさせて、ジャーナル部Wa及びピン部Wbの周面に周方向の研磨筋が付かないようにしている。ここで、クランクシャフトWのジャーナル部Waやピン部Wbから成る被加工部を両クランプアーム62,62により把持した状態で被加工部を中心にして描かれるクランクシャフトWのアーム部Wcの回転軌跡円aより内側のクランプアーム62の部分のX軸方向の厚さ寸法は、アーム部Wcに干渉しないように、被加工部の軸長よりオシレーションの振幅分だけ小さくする必要があり、被加工部の軸長が短いクランクシャフトにも対処し得るようにするには、クランプアーム62の厚さをかなり薄くする必要がある。そのため、クランプアーム62のX軸方向の曲げ剛性が低下すると共に、工具本体61に対する枢支部におけるクランプアーム62のX軸方向の支持剛性が低下し、クランクシャフトWをX軸方向にオシレーションしたとき、クランプアーム62のX軸方向の撓みや枢支部におけるX軸方向の傾きでクランプアーム62がX軸方向に連れ動きし、加工精度が悪化する。
【0019】
そこで、本実施形態では、各ラッピング工具6J,6Pの各クランプアーム62に、前記回転軌跡円aより外側に位置させて、各クランプアーム62のY軸方向尾端部からY軸方向先端部に亘って延在する、他部よりY軸方向の厚さを大きくしたリム部62bを形成して、各クランプアーム62のX軸方向の曲げ剛性を強化している。また、ジャーナル用ラッピング工具6Jの工具キャリア60の板状のキャリア本体を、両クランプアーム62,62のY軸方向尾端部のX軸方向一側面に摺接するように形成すると共に、工具キャリア60に、両クランプアーム62,62の尾端部のZ軸方向外縁部に形成した段付係合部62c,62cのX軸方向他側面に摺接する1対のガイド片60a,60aを取付け、キャリア本体と両ガイド片60a,60aとで両クランプアーム62,62のY軸方向尾端部をX軸方向両側から摺動自在に挟持するサイドガイド部を構成している。これによれば、両クランプアーム62,62のY軸方向尾端部に設けた枢支ピン62a,62aで構成される枢支部における両クランプアーム62,62のX軸方向への傾動がサイドガイド部によって阻止され、リム部62bによるクランプアーム62の曲げ剛性の強化と相俟って、オシレーションに際してのクランプアーム62のX軸方向への連れ動きが防止され、加工精度が向上する。
【0020】
ピン用ラッピング工具6Pでは、ピン部Wbを両クランプアーム62,62により把持した状態でピン部Wbを工具キャリア60に対しY軸方向に最接近する近死点位置からY軸方向に最離間する遠死点位置に公転させたときの両クランプアーム62,62の工具本体61に対する枢支部、即ち、枢支ピン62a,62aのY軸方向移動ストロークが完全に収まるY軸方向範囲を設定し、工具キャリア60の板状のキャリア本体に、両クランプアーム62,62のY軸方向尾端部のX軸方向一側面に摺接する摺接面を前記Y軸方向範囲の全域に亘って形成すると共に、工具キャリア60に、両クランプアームのY軸方向尾端部のX軸方向他側面に摺接する、前記Y軸方向範囲の全域に亘るガイド板60bを取付け、キャリア本体とガイド板60bとで両クランプアーム62,62のY軸方向尾端部をX軸方向両側から摺動自在に挟持するサイドガイド部を構成している。これによれば、両クランプアーム62,62が工具キャリア60のY軸方向先方に最も大きく引き出される遠死点位置にピン部Wbが公転されたときにも、両クランプアーム62,62の工具本体61に対する枢支部をサイドガイド部によりX軸方向両側から挟持して、両クランプアーム62,62のX軸方向の傾動を阻止できる。 第2加工ユニット52に搭載するジャーナル用とピン用の加工工具7J,7Pは、超仕上げ砥石による研削を行う研削工具で構成されている。ジャーナル用研削工具7Jは、図9及び図10に示す如く、工具キャリア70に支持される工具本体71のY軸方向先端部に、ジャーナル部Waを受け入れる、Y軸方向先方に開口する略C形のヘッド部71aを形成し、ヘッド部71aの周方向3箇所に、ジャーナル部Waに向けて放射方向に進退自在なスライドバー72を挿設して、各スライドバー72の先端に超仕上げ砥石73を取付けて成るものである。ヘッド部71aには、シリンダ74aにより周方向に回動される略C形のカム板74が設けられており、カム板74に、各スライドバー72に植設したピン72aを挿入するスクロール状のカム溝74bを形成し、図9に示す状態からカム板74を時計方向に回動させたとき、各スライドバー72が放射方向内方に前進して、ジャーナル部Waの周面に砥石73が当接するようにしている。
【0021】
工具キャリア70には、ヘッド部71aのY軸方向尾端部のZ軸方向外縁部に取付けた突片71b,71bをキャリア本体との間にX軸方向両側から挟む1対のガイド片70a,70aが取付けられており、ヘッド部71aのX軸方向支持剛性を向上して、ヘッド部71aがクランクシャフトWのX軸方向オシレーションでX軸方向に連れ動きすることを防止している。尚、図中74cはカム板74の押え板である。
【0022】
砥石73は、該砥石73を挟持するねじ締め式のクランプ部材731を有するホルダ730を介してスライドバー72に取付けられている。そして、ホルダ730の尾端に、図11に示す如く、長さの長い第1ピン732と長さの短い第2ピン733とを突設すると共に、スライドバー72に、第1ピン732を挿入する長さの長い第1ピン穴734と、第2ピン733を挿入する長さの短い第2ピン穴735とを夫々スライドバー72の先端面に開口するように形成し、更に、第1ピン732の周面に形成した溝部732aに係合するボールと内部の付勢スプリングとを有するボールプランジャ736をスライドバー72に設けている。かくて、第1と第2の両ピン732,733を第1と第2の両ピン穴734,735に挿入すれば、ホルダ730、即ち、砥石73をスライドバー72に回り止めし、且つ、ボールプランジャ736により抜け止めした状態で取付けることができ、また、ホルダ730を或る程度以上の力で引張ると、前記溝部732aに対するボールプランジャ736の係合が解除され、砥石73をスライドバー72から取外すことができる。このように、1対のピン732,733を1対のピン穴734,735に抜き差しするだけで砥石73をスライドバー72に脱着できるため、砥石73の交換が容易になり、更に、第1ピン732が第1ピン穴734に合致する向きでしか砥石73を取付けられなくなるため、砥石73の逆付けも防止できる。尚、ホルダ730に砥石73を接着することも可能であるが、これでは接着強度のばらつきによる砥石73の脱落を生じ易く、上記の如く砥石73をホルダ730にクランプ部材731で挟持することが望ましい。
【0023】
ピン用研削工具7Pは、図12に示す通りであり、上記ジャーナル用研削工具7Jと共用する部材については上記と同一の符号を付してその説明を省略する。ピン用研削工具7Pでは、ピン用ラッピング工具6Pと同様にピン部Wbの公転運動に追従して工具本体71がZ軸方向及びY軸方向に振れ動きするよう、工具本体71に、工具キャリア70に固定の支持ピン71cに係合するY軸方向に長手の長穴71dを形成して、工具キャリア70に工具本体71をY軸方向に遊動自在に、且つ、Z軸方向に揺動自在に支持させ、また、工具キャリア70に、ピン部Wbが遠心点位置に存する状態で工具本体71をヘッド部71aのY軸方向尾端部に亘ってキャリア本体との間にX軸方向両側から挟持し得るガイド板70bを設け、ピン部Wbが遠死点位置に存する状態でも、クランクシャフトWのX軸方向オシレーションでヘッド部71aがX軸方向に連れ動きすることを防止し得るようにしている。
【0024】
また、図7及び図12を参照して、ピン用のラッピング工具6P及び研削工具7Pでは、工具キャリア60,70に、シリンダ65a,75aによりZ軸方向に揺動される工具本体61,71用の支持レバー65,75を設けると共に、工具本体61,71の下面にY軸方向に離間して1対の係合溝65b,65c,75b,75cを形成し、当初近死点位置に存するピン部Wbを加工する工具6P,7Pにおいては、支持レバー65,75に取付けた係合爪65d,75dにY軸方向先方の係合溝65b,75bを係合させて、工具本体61,71をY軸方向尾方に偏位させた状態で水平姿勢に支持し、当初遠心点位置に存するピン部Wbを加工する工具6P,7Pにおいては、係合爪65d,75dにY軸方向尾方の係合溝65c,75cを係合させて、工具本体61,71をY軸方向先方に偏位させた状態で水平姿勢に支持し、加工中は支持レバー65,75を下方に揺動退避させて、工具本体61,71がピン部Wbの公転運動に追従して振れ動きし得るようにしている。
【0025】
ジャーナル用のラッピング工具6J及び研削工具7Jの工具本体61,71は工具キャリア60,70に水平姿勢で固定しても良いが、本実施形態では、図5及び図9に示す如く、工具キャリア60,70に固定の支持ピン61a,71cに工具本体61,71をY軸方向尾端のピン穴において枢支すると共に、工具キャリア60,70に工具本体の下面に当接する支持ボルト66,76を取付けて、工具本体61,71を水平姿勢に支持している。
【0026】
前記各工具6J,6P,7J,7Pは、各加工ユニット51,52の各可動台50,51上の固定支持板50a,51aと可動支持板50b,51bとに固定したガイドレール6a,7aに工具キャリア60,70においてY軸方向に摺動自在に支持されている。そして、各支持板50a,50b,51a,51bのY軸方向尾端部に、シリンダ6b,7bと、シリンダ6b,7bによりラック6c,7cを介して正逆転されるピニオン6d,7dとを設け、ピニオン6d,7dに固定したレバー6e,7eと工具キャリア60,70とをリンク6f,7fを介して連結し、シリンダ6b,7bにより工具キャリア60,70、即ち、各工具6J,6P,7J,7PをY軸方向に進退させるようにしている。尚、ピン用のラッピング工具6P及び研削工具7Pでは、レバー6e,7eとリンク6f,7fとの連結ピンを取付けた駒片6g,7gをリンク6f,7fの尾端の長穴6h,7hに摺動自在に係合させ、駒片6g,7gを調整ねじ6i,7iにより位置調整して、各工具6P,7PのY軸方向の進退ストロークをクランクシャフトWのジャーナル部Waとピン部Wbとの間の径方向距離に合わせて調整し得るようにしている。
【0027】
主軸台2は、図13及び図14に示す如く、台本体20のX軸方向先端の軸受スリーブ20aに、クランクシャフトWの一端を把持する先端のワークチャック21を有するスピンドル22をX軸方向に摺動自在に軸支し、スピンドル22を、台本体20の下部に取付けたサーボモータ23によりギア列23aを介して回転駆動すると共に、オシレーション装置24によりX軸方向にオシレーションし得るように構成されている。尚、台本体20には、前記ギア列23a中のギア軸23bに連結されるトロコイド型のオイルポンプ25が設けられており、該ポンプ25からのオイルを軸受スリーブ20aに形成した潤滑油路25aを介してスピンドル22の軸支部に供給している。また、ワークチャック21には、図15に示す如く、3個のチャック片21aと、各チャック片21aを開閉する各1対の計6個の油圧シリンダ21bとが設けられており、これら油圧シリンダ21bに軸受スリーブ20aに形成した油路21cとスピンドル22に形成した油路21dとを介して圧油を供給し得るようにしている。
【0028】
前記オシレーション装置24は、スピンドル22よりもX軸方向尾方に位置させて台本体20内に軸支したY軸方向の駆動軸240を備えており、駆動軸240に位相が180°異なる第1と第2の1対の偏心部2411,2412を並設し、第1偏心部2411に、スピンドル22の尾端に軸支した連結子22aを第1コンロッド2421を介して連結すると共に、台本体20内に駆動軸240よりX軸方向尾方に位置させてバランスウェイト243をX軸方向に遊動自在に収納し、該バランスウェイト243を第2コンロッド2422を介して第2偏心部2412に連結している。かくて、駆動軸240の回転によれば、スピンドル22とバランスウェイト243とが互に逆位相でX軸方向にオシレーションされる。
【0029】
各偏心部2411,2412は、駆動軸240に一体の偏心軸241aと、偏心軸241aに外挿した偏心カラー241bとで構成されており、両偏心部2411,2412の偏心カラー241b,241bを互にオルダム継手を介して連結すると共に、第2偏心部2412の偏心カラー241bに、駆動軸240の非偏心部に外挿した筒軸240aをオルダム継手を介して連結し、かくて、筒軸240aと駆動軸240との相対回転によれば、各偏心カラー241bと各偏心軸241aとの相対位相が変化して、駆動軸240の軸心に対する各偏心カラー241bの偏心量、即ち、オシレーションの振幅が可変する。そして、筒軸240aと駆動軸240とを相対回転し得るよう、筒軸240aに、台本体20の上面に搭載したサーボモータ240bにベルト240cを介して連結されるプーリ240dを取付けると共に、筒軸240aから突出する駆動軸240の外端部に、プーリ240dの外側面に突設した係合ピン240eに係合可能な複数のピン穴240fを形成したクラッチ板240gをばね240hでプーリ240d側に付勢してキー240iより回り止め係合させ、更に、台本体20に固定のブラケット20bに、クラッチ板240gに係合する係合部材240jを介してクラッチ板240gをプーリ240dから引き離すシリンダ240kを取付けている。クラッチ板240gをプーリ240dから引き離すと、ピン穴240fから係合ピン240eが離脱してクラッチ板240gとプーリ240dとの連結が解かれると共に、何れかのピン穴240fにブラケット20bに突設した制止ピン240lが係合してクラッチ板240gが回り止めされ、この状態でサーボモータ240bを駆動すれば、駆動軸240に対し筒軸240aが回動されて、オシレーションの振幅調整が行われる。調整後は、クラッチ板240gをばね240hでプーリ240dに押し付けるもので、これによれば所定のピン穴240fに係合ピン240eが係合してクラッチ板240gがプーリ240dに連結され、この状態でサーボモータ240bを駆動すれば、プーリ240dとクラッチ板240gとを介して駆動軸240が回転され、スピンドル22を介してクランクシャフトWがX軸方向にオシレーションされる。
【0030】
このオシレーションに際し、バランスウェイト243が上記の如くスピンドル22とは逆位相でX軸方向にオシレーションされ、スピンドル22及びクランクシャフトWのオシレーションによる振動力がバランスウェイト243のオシレーションによる振動力で相殺される。然し、機種変更でクランクシャフトWの重量が変化すると、振動力を完全には相殺できなくなる。そこで、本実施形態では、バランスウェイト243の重量を、スピンドル22と最軽量のクランクシャフトとの総重量に等しく設定すると共に、バランスウェイト243に台本体20の外面に突出する連結部を設けて、連結部にサブウェイト244を着脱自在とし、機種変更に際し、次機種のクランクシャフトと最軽量のクランクシャフトとの重量差に等しい重量のサブウェイト244を連結部に取付け、機種変更でクランクシャフトWの重量が変化しても、振動力を完全に相殺し得るようにしている。ここで、バランスウェイト243は、台本体20のX軸方向尾端の端壁部20cに摺動自在に貫通させた1対のガイドバー243a,243aを介してX軸方向に遊動自在に支持されており、両ガイドバー243a,243aを前記連結部に兼用すべく、端壁部20cの外方に突出する両ガイドバー243a,243aの外端部にサブウェイト244を挿通し、両ガイドバー243a,243aの外端面にねじ244aで着脱自在に取付けられる押え板244bによりサブウェイト244を抜け止めしている。図中243bは各ガイドバー243aをバランスウェイト243に固定する止めねじである。
【0031】
主軸台2の外面には、クランクシャフトWの一端部のオイルシールを摺接させるシール面Wdに仕上げ加工を施すシール面用の加工工具81が設けられている。この加工工具81は、工具キャリア80に取付けた工具本体81にクランクシャフトWの放射方向に進退自在なスライドバー82を挿設して、スライドバー82の先端に超仕上げ砥石83を取付けて成る研削工具で構成されており、工具本体81に組込んだシリンダ84によりスライドバー82をクランクシャフトWに向けて放射方向内方に前進させて砥石83をシール面Wdに当接させるようにしている。尚、砥石83は、上記研削工具7J,7Pの砥石73用ホルダ730と同様のホルダ830にクランプ部材831によって挟持されており、ホルダ830の尾端に突設した長短1対のピン832,833をスライドバー82に形成した長短1対のピン穴834,835に挿入し、ピン832の周面に形成した溝部832aにスライドバー82に設けたボールプランジャ836を係合させて、砥石83をスライドバー82に取付けている。
【0032】
また、シール面用加工工具81は、主軸台2の台本体20のX軸方向先端部のY軸方向手前側を向く側面に設けたガイドレール8aに工具キャリア80においてX軸方向に摺動自在に支持されており、工具キャリア80をこれに形成したX軸方向の長穴80aに挿通する締付ボルト80bによりガイドレール8aに対しX軸方向に位置調整自在にボルト止めしている。かくて、クランクシャフトWの機種変更でその軸端とシール面Wdとの間の軸方向距離が変化しても、この変化に合わせて加工工具81をX軸方向に位置調整して、シール面Wdに砥石83を臨ませることができる。
【0033】
心押台3は、図16に示す如く、台本体30内に、クランクシャフトWの他端に当接する心押軸31をX軸方向に摺動自在に軸支すると共に、心押軸31を主軸台2側に向けてX軸方向先方に付勢するスプリング32を収納して成るものに構成されている。また、心押台3の外面には、クランクシャフトWの他端部のシール面Wdに仕上げ加工を施すシール面用の加工工具82が設けられている。この加工工具82は、図17及び図18に示す通りであり、上記加工工具81と共通する部材については上記と同一の符号を付してその説明を省略する。心押台3に設けるシール面用加工工具82は、台本体30の上面に設けたガイドレール8aに工具キャリア80においてX軸方向に摺動自在に支持されており、台本体30の上面に、工具キャリア80をX軸方向に進退するシリンダ85を設けると共に、長さの異る複数のストッパ86aを周方向に間隔を存して取付けたストッパプレート86を回動操作自在に設け、これらストッパ86aの任意の1個を工具キャリア80に設けたコンタクト部80cに対向する作動位置に選択し、この状態で工具キャリア80をシリンダ85によりX軸方向先方に前進させてコンタクト部80cを上記ストッパ86aに当接させるようにしている。かくて、作動位置に選択するストッパ86aの長さに応じて加工工具82がX軸方向に位置調整されることになり、クランクシャフトWの機種変更でその他端部のシール面Wdと軸端との間の軸方向距離が変化しても、この軸方向距離に対応する長さのストッパ86aを作動位置に選択することで、シール面Wdに砥石83を臨ませることができる。
【0034】
また、図1及び図2を参照して、心押台3には、前記加工ユニット51,52の配置部とはY軸方向逆側、即ち、Y軸方向手前側に張り出す支持台33が固定されており、支持台33に、クランクシャフトWの所定のジャーナル部Waの軸方向両側のスラスト受面We,Weに仕上げ加工を施すスラスト受面用の加工工具9をX軸方向に位置調整自在に搭載している。
【0035】
スラスト受面用加工工具9は、図19乃至図21に示す如く、工具キャリア90に支持される工具本体91のY軸方向先端部に、X軸方向に開閉自在な1対のアーム92,92を設け、両アーム92,92の外面に沿わせてラッピングテープ93を張設して成るラッピング工具で構成されており、両アーム92,92を所定のジャーナルWaの両側のアーム部Wc,Wc間にY軸方向から挿入して、両アーム92,92をX軸方向に開拡することによりラッピングテープ93をスラスト受面We,Weに圧接させるようにしている。工具キャリア90には、ラッピングテープ93用の繰出リール930と巻取リール931とが設けられており、両リール930,931間において複数のガイドプーリ932を介して両アーム92,92の外面にラッピングテープ93を張り渡し、更に、シリンダ933aで駆動される巻取機構933を工具キャリア90に搭載して、ラッピングテープ93を定期的に一定長さ宛巻取リール931に巻取るようにしている。
【0036】
両アーム92,92は、工具本体91のY軸方向先端部に1対のガイドバー92a,92aを介してX軸方向に摺動自在に支持させた1対のスライダ92b,92bに固定されており、一方のスライダ92b上に取付けたシリンダ92cのピストンロッド92dを他方のスライダ92b上の突片92eに連結し、かくて、シリンダ92cにより両アーム92,92をX軸方向に開閉動作し得るようにしている。
【0037】
工具本体91は、工具キャリア90に立設したガイドブロック91aに1対のガイドバー91b,91bを介してY軸方向に摺動自在に支持されており、工具キャリア90に搭載したオシレーションモータ91cの出力軸91dに設けた偏心部91eに工具本体91をコンロッド91fを介して連結して、オシレーションモータ91cにより工具本体91、即ち、前記両アーム92,92をY軸方向にオシレーションし得るようにしている。
【0038】
工具キャリア90は、前記支持台33に1対のガイドバー95a,95aを介してX軸方向に移動自在に支持される可動台95上に、シリンダ90aにより可動台95に固定のガイドレール90bに沿ってY軸方向に進退自在に支持されている。そして、可動台95に、長さの異なる複数のストッパ96aを周方向に間隔を存して取付けたストッパプレート96を回動操作自在に設け、これらストッパ96aの任意の1個を工具キャリア90に設けたコンタクト部90cに対向する作動位置に選択し、シリンダ90aによる工具キャリア90のクランクシャフトWに向けたY軸方向への前進を上記ストッパ96aへのコンタクト部90cの当接で規制し得るようにしている。かくて、クランクシャフトWの機種変更でジャーナル部Waの径が変化しても、この径に対応する長さのストッパ96aを作動位置に選択することにより、加工キャリア90の前進を前記アーム92,92の先端がジャーナル部Waの周面に当接する直前の位置で停止させることができる。
【0039】
また、可動台95には、支持台33側に向けてX軸方向にのびる調整プレート97が取付けられており、該プレート97のX軸方向複数箇所に、支持台33の定位置にねじ込まれる調整ボルト97aを挿通可能な調整穴97bを形成し、調整ボルト97aを挿通する調整穴97bを変えることで可動台95、即ち、スラスト受面用加工工具9をX軸方向に位置調整し得るようにしている。かくて、クランクシャフトWの機種変更により両側にスラスト受面We,Weを有する所定のジャーナル部Waと軸端との間の軸方向距離が変化しても、この距離に対応する調整穴97bを選択し、調整ボルト97aをこの調整穴97bを通して支持台33の定位置にねじ込むことにより、加工工具9のアーム92,92を所定のジャーナル部Waに臨ませることができる。
【0040】
図22に示す如き4気筒エンジン用のクランクシャフトWを仕上げ加工する場合は、各加工ユニット51,52の第1可動台50上のピン用加工工具6P,7Pの工具本体61,71を工具キャリア60,70に対しY軸方向尾方に偏位させた状態に支持すると共に、第2可動台51上のピン用加工工具6P,7Pの工具本体61,71を工具キャリア60,70に対しY軸方向先方に偏位させた状態に支持し、予め、第1加工ユニット51を第2可動台51上のジャーナル用加工工具6Jが心押台3側の軸端から1番目の#1のジャーナル部Waに臨む第1加工位置にシフトしておく。そして、ワーク受け4にセットされたクランクシャフトWを主軸台2と心押台3との間に支持した後、前記ジャーナル用加工工具6JをクランクシャフトWに向けてY軸方向に前進させ、次に、該加工工具6Jのクランプアーム62,62を閉じて#1のジャーナル部Waを把持し、次いでクランクシャフトWを主軸台2のスピンドル22を介して回転及びX軸方向にオシレーションさせ、#1のジャーナル部Waを研磨する。
【0041】
この研磨が完了すると、スピンドル22の回転を前記軸端から1番目と4番目の#1と#4のピン部Wbが遠死点位置、2番目と3番目の#2と#3のピン部Wbが近死点位置に存する位相で停止し、次に、前記加工工具6Jを一旦Y軸方向に後退させて、第1加工ユニット51を第1可動台50上のジャーナル用とピン用の加工工具6J,6Pが#4のジャーナル部Waと#3のピン部Wb、第2可動台51上のジャーナル用とピン用の加工工具6J,6Pが#2のジャーナル部Waと#1のピン部Wbに夫々臨む第2加工位置にシフトし、次いでこれら加工工具6J,6PをY軸方向に前進させてからこれら各加工工具6J,6Pのクランプアーム62,62を閉じてこれらジャーナル部Waとピン部Wbを把持し、この状態でクランクシャフトWを回転及びX軸方向にオシレーションさせ、これら#2と#4のジャーナル部Waと#1と#3のピン部Wbを研磨する。
【0042】
この研磨が完了すると、スピンドル22の回転を#1と#4のピン部Wbが遠死点位置、#2と#3のピン部Wbが近死点位置に存する位相で停止した後、前記各加工工具6J,6Pを一旦Y軸方向に後退させる。次に、#1と#4のピン部Wbが近死点位置、#2と#3のピン部Wbが遠死点位置に存する位相になるようにクランクシャフトWを半回転させると共に、第1加工ユニット51を第1可動台50上のジャーナル用とピン用の加工工具6J,6Pが#5のジャーナル部Waと#4のピン部Wb、第2可動台51上のジャーナル用とピン用の加工工具6J,6Pが#3のジャーナル部Waと#2のピン部Wbに夫々臨む第3加工位置にシフトし、次いでこれら加工工具6J,6PをY軸方向に前進させてからこれら各加工工具6J,6Pのクランプアーム62,62を閉じてこれらジャーナル部Waとピン部Wbを把持し、この状態でクランクシャフトWを回転及びX軸オシレーションさせ、これら#3と#5のジャーナル部Waと#2と#4のピン部Wbを研磨する。
【0043】
以上の如くして全てのジャーナル部Waとピン部Wbの研磨を完了すると、次に第2加工ユニット52を上記と同様の第1加工位置にシフトして、第2加工ユニット52の第2可動台51上のジャーナル用加工工具7Jにより#1のジャーナル部Waの超仕上げ加工を行い、次に、第2加工ユニット52を上記と同様の第2加工位置にシフトして、第2加工ユニット52の第1可動台50上のジャーナル用とピン用の加工工具7J,7Pによる#4のジャーナル部Waと#3のピン部Wbの超仕上げ加工と、第2可動台51上のジャーナル用とピン用の加工工具7J,7Pによる#2のジャーナル部Waと#1のピン部Wbの超仕上げ加工とを行い、最後に第2加工ユニット52を上記と同様の第3加工位置にシフトして、第2加工ユニット52の第1可動台50上のジャーナル用とピン用の加工工具7J,7Pによる#5のジャーナル部Waと#4のピン部Wbの超仕上げ加工と、第2可動台51上のジャーナル用とピン用の加工工具7J,7Pによる#3のジャーナル部Waと#2のピン部Wbの超仕上げ加工とを行う。
【0044】
ところで、クランクシャフトWは上記超仕上げ加工に際してもX軸方向にオシレーションさせるが、シール面Wdの仕上げ加工に際しては、シール面WdにX軸方向、即ち、クランクシャフトWの軸方向の研削筋が付いてシール性に悪影響が及ぶことがないよう、クランクシャフトWのオシレーションを中止すべきである。そこで、第1加工ユニット51によるジャーナル部Wa及びピン部Wbの研磨完了後、第2加工ユニット52によるジャーナル部Wa及びピン部Wbの超仕上げ開始までの待ち時間を利用して、主軸台2と心押台3とに設けたシール面用加工工具81,82のスライドバー82を放射方向内方に前進させて砥石83を各シール面Wdに当接させると共に、スラスト受面用加工工具9をクランクシャフトWに向けて前進させてからアーム92,92を開拡させて、所定のジャーナル部、例えば、#2のジャーナル部Waの両側のスラスト受面We,Weにラッピングテープ93を当接させ、この状態でクランクシャフトWをX軸方向にオシレーションさせることなく単純に回転させて、シール面Wdとスラスト受面Weの仕上げ加工を行う。尚、この際、スラスト受面用加工工具9の工具本体91をY軸方向にオシレーションさせて、スラスト受面Weに周方向の研磨筋が付かないようにする。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ワークの重量が変化してもサブウェイトを交換することでワークのオシレーションによる振動力を相殺でき、而も、サブウェイトの交換は主軸台の台本体をいじらずに簡単に行うことができ、汎用性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明オシレーション装置を具備する主軸台を配置したクランクシャフトの仕上げ加工装置の一例の正面図
【図2】 図1の装置の平面図
【図3】 図2のIII-III線から見た加工ユニットの拡大正面図
【図4】 図3のIV-IV線截断平面図
【図5】 図3のV-V線で截断した工具前進状態の側面図
【図6】 図5のVI-VI線拡大截断面図
【図7】 図3のVII-VII線で截断した工具前進状態の側面図
【図8】 図7のVIII-VIII線拡大截断面図
【図9】 図3のIX-IX線で截断した工具前進状態の側面図
【図10】 図9のX-X線截断面図
【図11】 図10のXI-XI線拡大截断面図
【図12】 図3のXII-XII線で截断した工具前進状態の側面図
【図13】 図2のXIII-XIII線拡大截断面図
【図14】 図13のXIV-XIV線截断面図
【図15】 図14のXV-XV線截断面図
【図16】 図2のXVI-XVI線拡大截断面図
【図17】 図16の矢印XVII方向から見た平面図
【図18】 図16のXVIII-XVIII線截断面図
【図19】 スラスト受面用加工工具の部分截断拡大平面図
【図20】 図19の矢印XX方向から見た正面図
【図21】 図20のXXI-XXI線截断面図
【図22】 クランクシャフトの平面図
【符号の説明】
2 主軸台 20 台本体
20c 端壁部 21 チャック
22 スピンドル 24 オシレーション装置
240 駆動軸 2411,2412 偏心部
2421,2422 コンロッド 243 バランスウェイト
243a ガイドバー 244 サブウェイト
Claims (1)
- 主軸台に軸支したスピンドルの先端のチャックに把持されるワークをスピンドルを介してスピンドルの軸方向たるX軸方向にオシレーションさせるオシレーション装置であって、
主軸台の台本体内に、スピンドルよりもX軸方向尾方に位置させて、位相が180°異なる1対の偏心部を軸方向に並設して成る駆動軸をX軸方向に直交する向きで軸支すると共に、駆動軸よりもX軸方向尾方に位置させて、バランスウェイトをX軸方向に遊動自在に収納し、
両偏心部の一方と他方とにスピンドルとバランスウェイトとを夫々各別のコンロッドを介して連結して、駆動軸の回転によりスピンドルとバランスウェイトとを互に逆位相でX軸方向にオシレーションさせるようにしたものにおいて、
バランスウェイトに台本体の外面に突出する連結部を設け、該連結部にサブウェイトを着脱自在とし、
前記バランスウェイトを前記台本体のX軸方向尾方の端壁部に摺動自在に貫通させたガイドバーを介してX軸方向に遊動自在に支持し、該ガイドバーで前記連結部を構成することを特徴とするオシレーション装置。
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