JP4132138B2 - オーバロックミシン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、オーバロックミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
オーバロックミシンにおいて、縫い目形態を構成するためには、1本又は2本の針と上ルーパ及び下ルーパ等の器具を必要とし、また機種によってはこれらに加えて2重環ルーパ等の4〜5個の器具を必要とする。そして、これらの器具に糸を導くための糸道と糸調子器を器具毎に備えるのがふつうである。
これらの器具は、すべて必ず使用するわけではなく、縫い目形態に応じて使用したり使用しなかったりする。そのため、縫い目形態に応じて使用される器具には糸を通し、使用されない器具については糸を外す必要があり、更に糸調子を使用される器具について調整する必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、使用される器具を縫い目形態毎に判断して糸の取り付けや取り外しを行い、且つ該当する糸調子器の設定を行う際に、選択する縫い目形態において使用される器具と使用されない器具の判別、糸道と器具との対応関係、器具と糸調子器の対応関係等を正確に把握する必要があり、この点が従来よりユーザの大きな負担になっていた。
そのため、糸道と糸調子器を器具毎に色分けする等の工夫がなされているが、使用される器具と使用されない器具の判別は色分けではできず、ユーザの負担軽減効果は不十分であった。
また、近年動力を用いた自動糸調子装置を備えたものが市販されているが、糸調子調整のためのキーと糸調子器の関係及び調整した数値との関係が不明確であり、ユーザが混乱を起こす問題があった。
本発明は上記従来技術の欠点を改善することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで発明者は、前記課題を解決すべく、鋭意、研究を重ねた結果、その発明を、縫い目を形成するための針とルーパ等の糸を通した複数の部材と、該夫々の部材に導かれる糸の複数の糸道と、該夫々の部材に導かれる糸に与える夫々の張力を調整するための複数の糸調子器と、を備えたオーバロックミシンにおいて;
縫い目を選択するための手段(21)と、
各部材に対応する糸調子器の糸調子を設定するためのキー(28)と、
該キーにより設定された糸調子に基づいて対応する糸調子器を駆動するための手段(12、13)と、
前記選択するための手段により選択された縫い目を形成するための部材に対応する前記キーのみを稼働状態とするための手段(26、27、28、50)と、
選択されたキーと前記複数の部材とを表示するための手段(20)と、
該表示するための手段に前記選択するための手段により選択されて稼動状態とされたキーと該キーに対応する針とルーパ等の糸を通した複数の部材とを識別可能に表示するようにしたこと
を特徴とするオーバロックミシンとすることにより課題を解決した。
さらに本発明は、前記糸調子を設定するためのキーにより設定された糸調子の数値を前記選択された部材と対応させて表示する手段、
を更に備えることで、課題を解決することができた。
さらに本発明は、前記選択された縫い目に対応する糸道を該糸道近傍において指示するための手段を更に備えることで、課題を解決することができた。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は機能ブロック図、図2は外観斜視図である。
CPU50はこのオーバロックミシン全体の制御を行っており、例えばS/Sキー57及びスピードコントローラ58からの指令に応じてミシンモータ駆動回路53を制御し、ミシンモータ54を介して縫い目形成機構55により縫いを実行させるようになっている。縫い目形成機構55には2本の針1、1が設けられており、この2本又は1本の針1により縫いが実行されるようになっている。51は基本的な動作を制御するためのプログラムを記憶する記憶装置である。また52は一時記憶装置である。
図2において、アーム部の正面側には液晶表示と透明接触スイッチからなるタッチパネル20が設けられており、後述するようにこのタッチパネル20を介して種々の表示及び操作指令の入力がなされるようになっている。
また本体の正面側には複数の糸溝7が設けられており、この近傍には夫々LED6が設けられ、使用する器具に応じた糸溝7がLED6により指示されるようになっている。
【0006】
タッチパネル20は表示部16とこれに重ねられた操作部17を有しており、CPU50は表示制御装置15を介して種々の表示を表示部16に行わせると共に、操作部17からの操作指令に従って種々の制御を行うようになっている。操作部17からの指令は表示部16の表示状態により異なるため、操作内容判別装置32により操作部17の操作の内容が判別されるようになっている。
【0007】
表示部16には、表示データ記憶装置30に記憶された縫い目形態の表示が表示されるようになっている。図3はその表示の一例を示すものであり、合計15の縫い目形態の種類が縫い目形態表示/キー21によって表示されるようになっている。22は次画面指定表示/キーであって、この次画面指定表示/キー22をタッチすることにより画面が(A)(B)(C)の順に切り替わるようになっている。
【0008】
図3に示す画面において、縫い目形態表示/キー21により縫い目形態が選択されると、該選択操作は操作内容判別装置32により解読されて、CPU50に送られ、所定の処理が行われるようになっている。
CPU50は選択された縫い目形態に応じた縫い目データを縫い目形態データ記憶装置31から読み込んで、一時記憶装置52に一時記憶すると共に、設定制御装置10を制御して選択した縫い目形態の形成に使用する器具を稼働状態とするように構成されている。即ち、ここでは上ルーパ2と下ルーパ3及び2重環ルーパ4の中、選択した縫い目形態に対応するものをアクチュエータ11により稼働状態とするようになっている。
【0009】
同時に、CPU50は糸調子設定データ記憶装置33から選択した縫い目形態に対応した標準的な糸調子のデータを読み出し、このデータに応じて糸調子制御装置12、アクチュエータ13により使用する各器具の糸調子器5の糸調子を自動的に設定するようになっている。
【0010】
この実施形態では更に糸道指示装置35を備えており、糸道指示制御装置14を介してLED6を選択的に点灯させ、選択された縫い目形態に使用する糸溝7をLED6により指示するように構成されている。なお、このLED6は色分けによって導かれる器具と対応している。
【0011】
この実施形態では更に糸種指定装置36を備えており、表示部16に選択された縫い目形態に適合する糸種を器具毎に表示するようになっている。
【0012】
図4に縫い目形態が選択されたときの表示部16の表示の一例を示す。選択縫い目形態表示23が表示されると共に、糸調子設定データ記憶装置33に記憶された標準的な糸調子が自動設定されていることが自動糸調子表示24により示されている。
表示部16の下側には固定された絵により器具表示27が描かれており、ここでは針1、針2と上ルーパ2,下ルーパ3及び2重環ルーパ4が絵と色により区分されて表示されている。なお、器具表示27は表示部16内の表示の一部として表示するように構成することも可能である。
該器具表示27の直上には糸種類指定表示26がなされており、各器具に適合する糸種が示されるようになっている。そして、糸種が示されていない器具は選択された縫い目形態では使用しないことを意味するように構成されている。ここでは、2重環ルーパ4を使用しないため、2重環ルーパ4に相当する糸種類指定表示26は空欄になっている。
【0013】
図5は異なる他の縫い目形態が選択された場合の表示部16の例であり、ここでは針1と2重環ルーパ4が使用されないことが示されている。
なお、図4と図5において29は送り量表示、29’は差動量表示であり、40は縫い幅切換キーである。
【0014】
図4と図5において、自動的に設定された糸調子では満足できないときには、マニュアル糸調子選択キー25をタッチすることにより、糸調子を手動設定できるように構成されている。
CPU50は表示データ記憶装置30からのデータに基づいて表示部16に図6に示す表示を行わせるようになっている。
図6は図4の画面においてマニュアル糸調子選択キー25を操作したときに表れる画面であって、器具表示27の上に糸調子設定表示/キー28が表示されるように構成されている。糸調子設定表示/キー28は使用される器具表示27の上にのみ表示され、図示するようにプラスとマイナスのキーから構成され、それぞれのキーを操作することにより自動設定された現在の糸調子を増減できるように構成されている。各糸調子設定表示/キー28の上には更に糸調子数値表示41が設けられており、現在の糸調子の数値が逐次表示され、ユーザは糸調子の数値を器具表示27に示された器具と対応させて簡単にしかも明瞭に把握できるように構成されている。
糸調子設定表示/キー28が操作されると、CPU50は糸調子設定データ生成装置34に操作に応じた糸調子データを生成させ、このデータに基づいて糸調子制御装置12を制御して各糸調子器5をアクチュエータ13により調整するようになっている。
【0015】
図7のフローチャート図によりこの実施形態の動作を説明する。
最初に図3に示すような縫い目形態表示がなされ(ステップS1)、次画面指定表示/キー22により次画面の指示があれば次画面が表示される(ステップS2)。そして、縫い目形態の選択がなされると(ステップS3)、図4又は図5に示す自動糸調子画面が表示され、選択縫い目形態表示23、自動糸調子表示24や器具表示27の上に糸種類指定表示26の表示がなされ、糸種と共に使用する器具と使用しない器具が示される(ステップS4)。CPU50は同時に図2に示すように使用する糸溝7の近傍のLED6を点灯して、使用する糸溝7を指示する(ステップS5)。
そして、ユーザがマニュアル糸調子選択キー25を操作して手動糸調子設定を選択すると(ステップS6)、図6に示す画面を表示し(ステップS7)、ユーザが糸調子設定表示/キー28を操作して設定した糸調子を糸調子制御装置12により設定する(ステップS8)。
【0016】
以上説明した実施形態によれば、糸調子を設定するための糸調子設定表示/キー28は、選択された縫い目形態に使用される器具に対応するものだけが稼働状態となる上、該糸調子設定表示/キー28は対応する器具表示27の上に表示されるため、ユーザがどの器具に関して糸調子調節を行うのか明瞭に把握することが可能になる。また設定された糸調子の数値も糸調子設定表示/キー28の上に表示されるため糸調子の設定が更に簡単且つ確実に行える。
また、縫い目形態を選択することにより最初は標準的な糸調子を自動設定するようになっているため、自動設定で問題がなければ糸調子の設定を省略できる。更に選択された縫い目形態に応じて使用器具と色対応がなされた糸溝7をLED6により指示するようになっているため、ユーザは使用する糸道を確実に知ることができる。また器具に適合する糸種も表示されるため、糸の選択も簡単に行える等の効果がある。
【発明の効果】
以上説明したように本発明のオーバロックミシンによれば、糸調子の設定などの操作が使用する器具との関係で明確に且つ簡単に行える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の一実施形態を示す外観斜視図。
【図3】本発明の一実施形態を示す表示部16の一例の説明図。
【図4】本発明の一実施形態を示す表示部16の他の例の説明図。
【図5】本発明の一実施形態を示す表示部16の他の例の説明図。
【図6】本発明の一実施形態を示す表示部16の更に他の例の説明図。
【図7】本発明の一実施形態を示すフローチャート図。
【符号の説明】
1:針、2:上ルーパ、3:下ルーパ、4:2重環ルーパ、5:糸調子器、6:LED、7:糸溝、10:設定制御装置、11:アクチュエータ、12:糸調子制御装置、13:アクチュエータ、14:糸道指示制御装置、15:表示制御装置、16:表示部、17:操作部、20:タッチパネル、21:縫い目形態表示/キー、22:次画面指定表示/キー、23:選択縫い目形態表示、24:自動糸調子表示、25:マニュアル糸調子選択キー、26:糸種類指定表示、27:器具表示、28:糸調子設定表示/キー、29:送り量表示、29’:差動量表示、30:表示データ記憶装置、31:縫い目形態データ記憶装置、32:操作内容判別装置、33:糸調子設定データ記憶装置、34:糸調子設定データ生成装置、35:糸道指示装置、36:糸種指定装置、40:縫い幅切換キー、41:糸調子数値表示、50:CPU、51:プログラム記憶装置、52:一時記憶装置、53:ミシンモータ駆動回路、54:ミシンモータ、55:縫い目形成機構、56:回転センサ、57:S/Sキー、58:スピードコントローラ。
Claims (3)
- 縫い目を形成するための針とルーパ等の糸を通した複数の部材と、該夫々の部材に導かれる糸の複数の糸道と、該夫々の部材に導かれる糸に与える夫々の張力を調整するための複数の糸調子器と、を備えたオーバロックミシンにおいて;
縫い目を選択するための手段(21)と、
各部材に対応する糸調子器の糸調子を設定するためのキー(28)と、
該キーにより設定された糸調子に基づいて対応する糸調子器を駆動するための手段(12、13)と、
前記選択するための手段により選択された縫い目を形成するための部材に対応する前記キーのみを稼働状態とするための手段(26、27、28、50)と、
選択されたキーと前記複数の部材とを表示するための手段(20)と、
該表示するための手段に前記選択するための手段により選択されて稼動状態とされたキーと該キーに対応する針とルーパ等の糸を通した複数の部材とを識別可能に表示するようにしたこと
を特徴とするオーバロックミシン。 - 前記糸調子を設定するためのキーにより設定された糸調子の数値を前記選択された部材と対応させて表示する手段、
を更に備えた請求項1に記載のオーバロックミシン。 - 前記選択された縫い目に対応する糸道を該糸道近傍において指示するための手段、
を更に備えた請求項1に記載のオーバロックミシン。
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JP (1) | JP4132138B2 (ja) |
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1997
- 1997-07-01 JP JP19047897A patent/JP4132138B2/ja not_active Expired - Fee Related
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