JP4131895B2 - サーマルヘッドおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビデオプリンタやカード印刷機、製版機等に用いられるサーマルヘッドに関し、特に、表面に帯電防止用の導電層が設けられたサーマルヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来のサーマルヘッドの構造を示す上面図である。サーマルヘッドには、凸部状の発熱部3aが複数形成されており、発熱部3aを挟んで一方の側に共通電極4が形成され、他方に個別電極5が形成されている。個別電極5上にはパッド部8が形成され、このパッド部8と保護層6の境界との間には、キズ等を防止する目的でソルダーレジスト21等がスクリーン印刷法で形成されている。パッド部8とサーマルヘッドを駆動制御するドライバIC11とは、ボンディングワイヤ10により接続されている。
【0003】
最近のサーマルヘッドは、小型化や高画質化の要求により、電極配線パターンを高密度実装する傾向にあり、高密度実装により電極間の距離が縮小するとともに、ボンディングパッド周辺のパターンが複雑化する傾向にある。
【0004】
例えば、図7に示すように、ボンディングパッドを3列に配置する場合には、パッド間に多数の個別電極5用のパターンを配置しなければならず、パターンの形状が複雑かつ長くなる。
【0005】
また、ボンディングワイヤ10の数も増えるため、ボンディングワイヤ10がねじれたり、垂れたり、ステッチ形状になったりする。これにより、ボンディングワイヤ10が電極配線パターンに接触したり、隣接するボンディングワイヤ10同士が接触したりし、配線不良が起きやすくなる。
【0006】
さらに、ボンディングワイヤ10の結線部をシリコン樹脂で封止する際にも、断線や短絡等の配線不良が起きやすくなる。
【0007】
また、電極配線パターンの破損を防止するため、従来は、図6のようなソルダーレジスト等電極配線パターンで覆っていたが、スクリーン印刷法を用いていたため、高精度で再現性の高い塗布を行うのは困難であり、耐蝕性に劣るという問題もある。
【0008】
また、発熱抵抗体層の発熱部3aを保護する保護層6は通常、マスクスパッタ法により形成されるが、マスク治具を使用する際に電極配線パターンにキズができやすく、パーティクルの原因になる。その上、品種ごとに異なったマスク治具を用いなければならず、メンテナンスが煩わしく、コストアップが避けられない。また、マスクスパッタ法では一般に成膜レートが3割程度減少するため、生産性が低下し、ターゲット材料費が余計にかかってしまう。
【0009】
そこで、図8に示すように、ボンディングパッド開口部以外を全面的に、無機の保護層6、例えばSiON系のスパッタ膜で被覆する構造が提案されている(特開平11-48514号公報参照)。
【0010】
図8のサーマルヘッドは、基板全面に例えばSiON保護膜を形成するため、マスク治具が不要になる。また、SiON膜は、遮蔽性および耐摩耗性などの点で非常に優れているため、信頼性が向上する。
【0011】
ところで、最近、ビデオプリンタ用のサーマルヘッドが普及しており、それに伴い、熱転写型リボンの利用頻度も増えてきた。熱転写型リボンは通常、ポリエチレンテレフタレート(PET)等より成るトナーフイルムの上に、熱転写される塗料を塗布して形成される。
【0012】
図9は従来のサーマルヘッドの感熱記録部周辺の構造を示す断面図である。アルミナ等の支持基体1上に、保温および平滑層としてグレーズ層2が形成され、その上面に発熱抵抗体層3が形成される。発熱抵抗体層3は、TaSiOやNbSiO等からなり、アレイ状に配列されている。
【0013】
発熱抵抗体層3の上面には、凸部状の発熱部3aを挟んで一方の側に共通電極4が形成され、他方に個別電極5が形成される。発熱抵抗体層3の発熱部3a周辺は、保護層6で覆われている。
【0014】
また、サーマルヘッドに対向配置されるプラテン22には、熱転写用インクシート23と、このインクシート23が転写される受像紙24とが巻き付けられる。プラテン22をサーマルヘッドの発熱部3aに圧接してプラテン22を回転させることにより、受像紙24への印画が行われる。
【0015】
インクシート23と保護層6はいずれも電気絶縁材料で形成されており、常時摩擦動しているため、静電気が生じる。この静電気は、誘電体である保護層6に帯電し、電極層3や発熱抵抗体層2に異符号の電荷を誘起させる。その結果、保護層6内に高電界が発生する。この電界は、保護層6の絶縁耐圧を容易に上回るため、絶縁破壊を起こし、保護層6は本来の機能を失い、サーマルヘッドが破壊するおそれがある。
【0016】
そこで、本出願人は、特開平10-34990号公報に記載されているように、保護層6上に、3A〜7A族から選択された1種以上の金属元素、珪素および酸素を主成分とするサーメット層を帯電防止用の導電層7として形成することを起案し、実用化して期待通りの効果を得ている。
【0017】
サーメット層は、具体的には、例えばTaSiOやNbSiOなどの、高融点金属、珪素および酸素を主成分とし、帯電防止層として機能するのに必要な導電性と、優れた耐磨耗性を備えることが可能であり、従ってその層厚を増さずとも実用的な期間摩耗せず、サーマルヘッドの静電破壊を招かない。
【0018】
また、発熱抵抗体と材料を共有できるから、生産性およびコスト面でも有利である。当該導電層7のパターニングは、保護膜のエッチング開口工程後にマスクスパッタ法によってなされる。また帯電防止効果の信頼性を高めるために、前記導電層7と共通電極4とを接続する場合も多い。
【0019】
サーマルヘッドの製造コストを削減し、かつ小型化を図るには、支持基体を小型化するのが望ましい。特に、ビデオプリンタ用のサーマルヘッドは、製造コスト削減と小型化が必須である。具体的には、アルミナ支持基体の短手方向長あるいは副走査方向長を、従来の6.5mm以上から3mm以下にするのが望ましい。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来は、導電層7のパターンニング精度が低かったため、アルミナ支持基体の短手方向長あるいは副走査方向長を3mm以下にすると、導電層7による帯電防止機能が不十分になるという問題があった。この問題に対処するために、以下の2案が試みられている。
【0021】
第1案は、保護層6と導電層7を、それぞれ別々の写真食刻法によりパターンニングするものである。具体的には、基板全面に保護層6を形成した後、その表面にドライフィルム・レジストをラミネートして露光現像を行い、リアクティブ・イオンエッチング(RIE)法にて、保護層6を選択的に開口してボンディングパッドや共通電極4を形成する。次に、剥離液を用いて、保護層6上のドライフィルムを除去する。
【0022】
ところが、第1案は、▲1▼工程数が極端に増加する、▲2▼二度のエッチングにより、特に保護層6の開口部のダメージが深刻で、ボンディング不良(不着やプル強度低下など)が増発する、▲3▼二度のエッチングにより、露光現像不良やエッチング過不足に伴う歩留まり低下が顕著になる、という問題がある。
【0023】
第2案は、保護層6と導電層7を一括してエッチングし、後にAuボールや半田で両者の接続を図るものである。例えば、基板全面に保護層6を形成した後、さらに基板全面に導電層7を着膜し、その表面にドライフィルム・レジストをラミネートし、露光現像を行った後、リアクティブ・イオンエッチング(RIE)法により、ボンディングパッド部8や共通電極4部分の保護層6と導電層7を一括して選択除去する。次に、剥離液を用いて保護層6上のドライフィルム・レジストを除去した後、Auボールや半田で保護層6と導電層7とを接合する。
【0024】
しかしながら、導電層7には、TaやNbといったフッ化物の蒸気圧の低い金属元素が含まれているため、本質的にエッチングレートは低い。したがって、一括エッチングの際にレジストの耐久性が不足し、エッチング禁止領域までもがエッチングされるおそれがある。また、レジストの耐久性を確保するためにレジストを厚くすると、パターンニングの解像度が低下し、所望のパターンが得られなくなる。
【0025】
さらに、保護層6と導電層7とを接合する際、保護層6と導電層7を密着させるのが難しく、ショットキーバリアにより、両者の接触抵抗が高くなって、コンタクト不良が起きやすくなる。また、ボンディングパッド間の保護層6の上面にも導電層7が残存するため、パッドに接続されたボンディングワイヤ10が接触して短絡不良が起きるおそれがある。
【0026】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型化が可能で、信頼性の高いサーマルヘッドの製造方法を提供することにある。
【0027】
本発明の一態様によれば、支持基体上にグレーズ層を形成する工程と、
前記グレーズ層をエッチング加工して凸部状の発熱部を複数形成する工程と、
基板上面全体に発熱抵抗体膜および電極膜を順に形成する工程と、
前記電極膜をパターンニングして、前記発熱部を挟んで一方の側に前記発熱部すべてに共通に接続される共通電極を形成し、かつ、他方の側に前記発熱部それぞれに個別に接続される複数の個別電極を形成する工程と、
基板上面全体に保護膜を形成する工程と、
基板上面全体に第1のレジスト膜を形成してフォトリソグラフィ法により前記保護膜をパターンニングして、前記共通電極の一部と前記複数の個別電極の一部とを露出させる工程と、
露出された前記複数の個別電極周辺の上面に第2のレジスト膜を形成する工程と、
基板上面全体に帯電防止用の導電層を形成し、前記共通電極と前記導電層とを界面接触させる工程と、
前記第2のレジスト膜上面の前記導電層をリフトオフ法により除去する工程と、を備えることを特徴とするサーマルヘッドの製造方法が提供される。
【0028】
請求項1の発明では、マスク治具を使用することなく、保護層と導電層を形成するため、製造工程を簡略化できるとともに、保護層と導電層のパターンニングの精度向上が図れる。
【0029】
請求項2の発明では、保護膜をパターンニングするためにドライフィルム・レジスト膜を用いるため、均一な膜を形成できるとともに、少ない露光量で感度よく現像を行うことができる。
【0030】
また、本発明は、支持基体と、この支持基体上に形成され、それぞれ発熱部を有する複数の発熱抵抗体と、前記複数の発熱抵抗体上に形成され、前記発熱部すべてに共通に接続される共通電極と、前記複数の発熱抵抗体上に形成され、前記発熱部それぞれに個別に接続される複数の個別電極と、前記複数の発熱抵抗体の少なくとも発熱部を被覆するように形成される電気絶縁性の保護層と、前記保護層上に形成される耐電防止用の導電層と、を備えたサーマルヘッドであって、前記共通電極および前記導電層は、互いに界面接触される。
【0031】
本発明では、共通電極と導電層とを互いに界面接触させるため、共通電極と導電層との接触抵抗を低くすることができ、コンタクト不良が起きにくくなる。
【0032】
また、本発明では、発熱抵抗体が並ぶ方向と略直交する方向、あるいは発熱抵抗体の短手方向長、あるいは副走査方向長を4mm以下にしたため、多数の発熱部を形成でき、解像度の向上が図れる。
【0033】
さらに、本発明では、パッド周辺の保護層上面に導電層を形成しないようにしたため、ボンディングワイヤ10の短絡不良を確実に防止できる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るサーマルヘッドについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0035】
図1は本発明に係るサーマルヘッドの一実施形態の上面図、図2は図1のA−A線断面図である。
【0036】
本実施形態のサーマルヘッドは、図2に示すように、支持基体1上に形成されるグレーズ層2と、グレーズ層2の上面に帯状に形成される複数の発熱抵抗体層3と、発熱抵抗体層3それぞれの上面に形成される共通電極4および複数の個別電極5と、発熱抵抗体層3の凸部状の発熱部3a周辺を覆う保護層6と、保護層6の上面に形成される帯電防止用の導電層7と、保護層6の一部を除去して個別電極5を露出させたボンディングパッド部8とを備えている。
【0037】
ボンディングパッド部8は、図1に示すように、例えば三列に形成されており、各パッド部8はボンディングワイヤ10を介してドライバIC11に接続されている。これにより、ドライバIC11からの電圧が個別電極5に供給される。
【0038】
図1のサーマルヘッドは、支持基体1の短手方向長あるいは副走査方向長が4mm以下の小型のものであり、構造的には、保護層6と導電層7とを界面接触させる点に特徴がある。また、製法的には、リフトオフ法によりボンディングパッド部8を形成する点と、マスク治具を用いずに保護層6と導電層7を形成する点に特徴がある。
【0039】
図3および図4は図1のサーマルヘッドの製造工程を順に示す断面図である。以下、これらの図に基づいて、本実施形態の製造方法を説明する。
【0040】
まず、アルミナ板を材料とする支持基体1上に、厚さ200μmのグレーズ層2を形成し(図3(a))、HFを用いたエッチング・プロセスと、これに続く焼成プロセスを経て、幅1000μmで高さ40μmの凸部を形成する(図3(b))。
【0041】
次に、厚さ0.07μmの発熱抵抗体層(TaSiO)3を形成した後、厚さ0.8μmの電極膜Alをスパッタリング法により形成する。次に、写真食刻法によるパターンニングを行い、共通電極4および個別電極5の材料となる電極配線パターンを形成するとともに、その一部を除去して発熱抵抗体層3を凸部状に露出させて、発熱部3aを形成する(図3(c))。
【0042】
次に、マスク治具を用いずに、スパッタリング法にて、基板全面にSiON保護層6を形成する(図3(d))。このとき、ターゲットとしてSiON焼結体を用いるが、微量のMgO等を焼結助材としてターゲットに添加してもよい。
【0043】
発熱部3aに所定の耐摩耗性や耐酸化性を持たせるには、ある程度厚く保護層6を設ける必要がある。SiON系の場合だと、その膜厚はビデオプリンタ用で典型的には6μm程度が要求される。
【0044】
ただし、6μmもの厚さの保護層6を写真食刻法でエッチングするのは容易ではない。エッチングは通常、CF4等の雰囲気で、リアクティブ・イオンエッチング(RIE)が用いられるが、RIEは保護層6だけでなく、有機物を基本成分とするレジストもエッチングしてしまう。
【0045】
SiONやSiO2の対レジストエッチングレート比は、0.7〜1.3程度に留まる。実際には、この対レジストエッチングレート比に保護層6の層厚やレジスト厚のばらつきを考慮に入れて、マージンを取ってボンディングパッド部8の開口を行わなければならないので、実質的な比率は3〜4倍にも及ぶ。
【0046】
すなわち、6μmの保護層6をエッチングするには、24μmものレジストを塗布する必要があり、到底量産レベルにはならない。レジスト塗布法には、ロールコート法、スピンコート法、スプレーコート法などが知られているが、いずれの方法も、24μmのレジストを均一に塗布するのは非常に困難である。
【0047】
それに加えて、露光、現像およびRIEにも膨大な時間と手間がかかり、また、ボンディングパッド群を精度よく形成できなくなる。
【0048】
そこで、本実施形態では、通常の液状レジストに替えて、ドライフィルム・レジストを利用する。ここで、ドライフィルム・レジストとは、フィルム状のレジストのことで、一般には、バインダー高分子、モノマー、重合開始剤(促進剤等も含む)、および着色剤からなる。バインダー高分子としては、例えば、メタクリル酸メチル・アクリル酸共重合体、塩素化ポリエチレンとポリメタクリル酸メチルとの混合物、スチレン・マイレン共重合体等が用いられる。モノマーとしては、テトラ・エチレン・グリコール・ジアクリレート、ペンタ・エリトリトール・アクリレート、トリメチレン・プロパン・アクリレートなどのアクリル系モノマーなどが用いられる。重合開始剤としては、2,4−ジエチル・オキサントン、過酸化ベンゾイル、置換トリフェニル・ビイミダゾール等が用いられる。
【0049】
ドライフィルム・レジストを用いることにより、基板全面にわたって40〜50μm厚の均一なラミネートコーティングが可能になる。また、感光性がきわめて高いため、200〜300mj程度の露光量で迅速な現像が可能になる。
【0050】
しかしながら、ドライフィルム・レジストは、基本的にSiON系との密着性に劣る上、フィルム形態であるため、発熱抵抗体層3の40μm程度の凸部状発熱部3aの形状に追従させるのが困難である。すなわち、凸部状発熱部3aの裾野部分にドライフィルム・レジストの浮きが生じやすく、この浮き部分を起点として、現像時にドライフィルム・レジストが剥がれたり、浮き部分に閉じこめられたエアーがRIE時に破裂して、ドライフィルム・レジストに欠損が生じ、サーマルヘッド保護層6の所望外部位をエッチング破損させたり、破裂片のマスク効果により保護層6のエッチングが部分的に阻害され、ボンディングパッドの開口不良を招くおそれがある。ただし、ラミネートロールの硬度、温度および圧力等の諸条件を最適化することにより、量産に耐えうるプロセスが実現できる。
【0051】
本実施形態では、最適条件で保護層6上にドライフィルム・レジストをラミネートし、所定のネガマスクを用いて300mjで露光し、0.5wt%のNaOH水溶液で現像し、ボンディングパッド部8と共通電極4の一部以外のレジストを残存させた。
【0052】
次に、CF4=13Pa/100sccm、かつRFパワー密度3.0W/cm2の条件でRIEを実施した。実エッチング時間は、95分とした。
【0053】
RIEを行うことにより、図4(a)に示すように、ボンディングパッド部8上と一部分の共通電極4上の保護層6が除去されて開口部8aが形成され、開口部8aには電極配線パターンの材料であるAlが露出する。この開口部8aがボンディングパッド部8として用いられる。
【0054】
次に、RIEで変質したドライフィルム・レジストを、モノエタノール・アミンとジメチル・スルホシキドの混合液を加温した溶液を用いて剥離する。
【0055】
次に、帯電防止用の導電層7をリフトオフする目的で、再びレジストコーティングを行う。この導電層7は、0.3μmとそれほど厚くないため、ドライフィルム・レジストではなく、通常の液状レジスト(2.5μm)9を用いた。
【0056】
次に、所定のポジマスクを用いて200mjで露光し、0.5wt%のNaOH水溶液で現像し、ボンディングパッド部8およびその周辺部分のみ選択的にレジスト9を残存させる。
【0057】
次に、スパッタリング法により、帯電防止用の導電層7(例えば、TaSiO膜)を基板全面に0.3μm形成する。この導電層7は、発熱抵抗体層3と同じ材料を用いてもよく、その場合、発熱抵抗体層3を形成するのに用いたスパッタ装置や治具がそのまま利用できる。
【0058】
このように、導電層7を形成することにより、共通電極4上の保護層6の開口部を介して、共通電極4と帯電防止用の導電層7とが界面接触される。
【0059】
次に、上述した工程を経た基板を、モノエタノール・アミンとジメチル・スルホシキドの混合液を加温した槽の中に投じ、レジスト9を剥離する。このとき、リフトオフ法により、ボンディングパッド部8周辺の導電層7がレジスト9とともに除去され、ボンディングパッド部8にはAlが露出する。
【0060】
以上の工程で、サーマルヘッドの主要部分が出来上がる。その後の工程を簡単に説明すると、デバイス単位で支持基体1をダイシングし、不図示の放熱板とPCBとを合体させた後、ドライバIC11を実装して、ドライバIC11とサーマルヘッドのボンディングパッド部8とをボンディングワイヤ10で結線し、ボンディングワイヤ10周辺をシリコン樹脂等で封止し、所定の実装工程を経て、サーマルヘッドが完成する。
【0061】
このように、本実施形態では、帯電防止用の導電層7と共通電極4とを界面接触させるため、導電層7と共通電極4との接触抵抗を低くすることができ、コンタクト不良が起きにくくなる。
【0062】
また、基板全面に導電層7を形成した後、リフトオフ法によりボンディングパッド部8周辺の導電層7を除去するため、ボンディングパッド部8周辺の導電層7を簡易な製法で確実に除去できる。したがって、ボンディング不良が起きにくくなる。
【0063】
さらに、マスクスパッタ法を用いずに、基板全面に保護層6や導電層7を形成した後、それぞれ別々のRIEにより保護層6や導電層7をパターンニングするため、精度よくパターンニングを行うことができ、サーマルヘッドの小型化が可能になる。具体的には、支持基体1の短手方向長を4mm以下にすることができる。
【0064】
【実施例】
本出願人は、図3および図4に示した製法を利用してビデオフォトプリンタ用のサーマルヘッド(解像度300dpi、すなわち118dot per cm)を試作した。図5は、試作したサーマルヘッドを、従来の製法で製造した同品種のサーマルヘッドと歩留まりを比較した図である。
【0065】
なお、試作したサーマルヘッドは、支持基体1の短手方向長が3.0mm、ボンディングパッドの開口部寸法が主走査方向は50μm、副走査方向は150μmである。
【0066】
従来は、マスクスパッタ法により導電層7を形成していたため、導電層7境界の位置精度が低く(約±0.7mm)、回り込みによりボンディングパッド部8上に導電層7が残存し、ボンディングワイヤ10との短絡不良などがボンディング不良が多発していたが、図3および図4の製法でサーマルヘッドを製造すると、ボンディングパッド部8周辺には導電層7が残存しなくなるため、ボンディング不良は起きなくなる。
【0067】
上述した実施形態では、ボンディングパッド部8を三列に配置する例を説明したが、ボンディングパッド部8の配置列数は三列に限らない。
【0068】
【発明の効果】
以上本発明によれば、基板全面に導電層を形成した後、リフトオフ法により第2のレジスト膜上面の導電層を除去するため、ボンディングワイヤ周辺の導電層を簡易な製法で確実に除去できる。したがって、ボンディング不良が起きにくくなる。
【0069】
また、共通電極と導電層とを互いに界面接触させるため、導電層と共通電極との接触抵抗を低くすることができ、コンタクト不良が起きにくくなる。また、保護層と導電層を形成する際にマスク治具を用いる必要がないため、製造工程を簡略化できるとともに、保護層や導電層のパターンの形状誤差が少なくなり、サーマルヘッドを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るサーマルヘッドの一実施形態の上面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】図1のサーマルヘッドの製造工程を順に示す断面図。
【図4】図3に続く製造工程を示す断面図。
【図5】試作したサーマルヘッドを、従来の製法で製造した同品種のサーマルヘッドと歩留まりを比較した図。
【図6】従来のサーマルヘッドの構造を示す上面図。
【図7】ボンディングパッドを3列に配置した従来例を示す上面図。
【図8】ボンディングパッド開口部以外を全面的に無機の保護層6で被覆した従来のサーマルヘッドの上面図。
【図9】従来のサーマルヘッドの感熱記録部周辺の構造を示す断面図。
【符号の説明】
1 支持基体
2 グレーズ層
3 発熱抵抗体層
3a 発熱部
4 共通電極
5 個別電極
6 保護層
7 導電層
8 ボンディングパッド部
9 レジスト膜
10 ボンディングワイヤ
11 ドライバIC
Claims (2)
- 支持基体上にグレーズ層を形成する工程と、
前記グレーズ層をエッチング加工して凸部状の発熱部を複数形成する工程と、
基板上面全体に発熱抵抗体膜および電極膜を順に形成する工程と、
前記電極膜をパターンニングして、前記発熱部を挟んで一方の側に前記発熱部すべてに共通に接続される共通電極を形成し、かつ、他方の側に前記発熱部それぞれに個別に接続される複数の個別電極を形成する工程と、
基板上面全体に保護膜を形成する工程と、
基板上面全体に第1のレジスト膜を形成してフォトリソグラフィ法により前記保護膜をパターンニングして、前記共通電極の一部と前記複数の個別電極の一部とを露出させる工程と、
露出された前記複数の個別電極周辺の上面に第2のレジスト膜を形成する工程と、
基板上面全体に帯電防止用の導電層を形成し、前記共通電極と前記導電層とを界面接触させる工程と、
前記第2のレジスト膜上面の前記導電層をリフトオフ法により除去する工程と、を備えることを特徴とするサーマルヘッドの製造方法。 - 前記第1のレジスト膜は、ドライフィルム・レジスト膜であることを特徴とする請求項1に記載のサーマルヘッドの製造方法。
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JPH06203958A (ja) * | 1992-12-28 | 1994-07-22 | Tokyo Kogyo Boeki Shokai:Kk | 面投影装置 |
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