JP4131175B2 - 音声切換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、集合住宅のインターホンシステムなどに用いられる拡声通話端末において使用される音声切換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、通話時にハンドセットを持つ必要がなく、通話端末から離れた通話者に対して相手側の通話端末から伝送されてくる音声信号をスピーカにより送出し、かつ、上記通話者の発する音声をマイクロホンにより集音して相手側通話端末へ伝送することで半二重通話を可能とする拡声通話システムが提供されている。このような拡声通話システムにおいては、その構成要素であるスピーカ−マイクロホン間の音響結合や、音声信号の伝送路が2線の形態で構成される場合に必要となる2線−4線変換ハイブリッド回路におけるインピーダンスの不整合により生じる送話信号路から受話信号路への回り込み、及び相手側の通話端末におけるスピーカ−マイクロホン間の音響結合等によって通話路上に閉ループが形成され、この閉ループの一巡利得が1倍以上になるとハウリングが生じ、ハウリングが生じた場合には通話を継続することができないため、これを抑圧する手段が必要となる。
【0003】
そこで従来は、送話信号及び受話信号を監視することにより通話状態が受話状態または送話状態の何れであるかを判別し、判別された通話状態に応じて送話信号路又は受話信号路の少なくとも一方に損失を挿入することにより、閉ループの一巡利得を低減させてハウリングを防止する音声切換装置(いわゆる音声スイッチ)が拡声通話端末に広く用いられてきた。音声切換装置の基本的な動作は、送話信号及び受話信号のパワーを推定し、これらの大小関係を比較して瞬時パワーの小さい側に対して所定量の損失を挿入するというものである。
【0004】
図21は特許文献1に開示されている従来の音声切換装置を示すブロック図である。この従来例は、拡声通話端末のマイクロホン(図示せず)で集音する送話信号を回線へ伝送するための送話側信号経路L1に損失を挿入する送話側損失挿入手段1と、回線から受信した受話信号を拡声通話端末のスピーカ(図示せず)へ伝送するための受話側信号経路L2に損失を挿入する受話側損失挿入手段2と、送話側損失挿入手段1に入力される送話信号を取り出して増幅する送話偏重モード設定用増幅器6と、受話側損失挿入手段2に入力される受話信号を取り出して増幅する受話偏重モード設定用増幅器7と、送話偏重モード設定用増幅器6並びに受話偏重モード設定用増幅器7で増幅された送話信号及び受話信号に基づいて通話モードを推定するとともに該推定結果に応じて送話側損失挿入手段1並びに受話側損失挿入手段2が各経路L1,L2に挿入する損失量を制御して通話モードを送話モード、受話モード並びに中立モードに切り換える挿入損失量制御手段3と、送話信号に含まれる近端側の雑音パワーを推定する近端側雑音パワー推定手段4と、受話信号に含まれる遠端側の雑音パワーを推定する遠端側雑音パワー推定手段5と、遠端側雑音パワー並びに近端側雑音パワーの各推定値PFn,PNnに応じて送話偏重モード設定用増幅器6並びに受話偏重モード設定用増幅器7の各利得を調整する偏重モード制御手段8’とを備えている。
【0005】
遠端側雑音パワー推定手段5並びに近端側雑音パワー推定手段4は、何れも立ち上がりが緩やかであり且つ立ち下がりが急峻な特性をもつ積分回路又はデジタルフィルタ等によって実現され、遠端側雑音パワー推定手段5では受話信号中に定常的に存在する暗騒音(背景雑音)パワーを推定し、近端側雑音パワー推定手段4では送話信号中に定常的に存在する雑音パワーを推定する。
【0006】
偏重モード制御手段8’は、遠端側雑音パワーの推定値PFnが近端側雑音パワーの推定値PNnよりも充分に大きい値であれば(PFn≫PNn)、送話偏重モード設定用増幅器6の利得GTをG(>0)[dB]、受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRを0[dB]とすることで通話モードを送話偏重モードに設定し、近端側雑音パワーの推定値PNnが遠端側雑音パワーの推定値PFnよりも充分に大きい値であれば(PNn≫PFn)、受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRをG[dB]、送話偏重モード設定用増幅器6の利得GTを0[dB]とすることで通話モードを受話偏重モードに設定し、遠端側雑音パワーの推定値PFnと近端側雑音パワーの推定値PNnの差が充分に大きい値でなければ、受話偏重モード設定用増幅器7並びに送話偏重モード設定用増幅器6の各利得GR,GTを0[dB]として中立モードに設定する。
【0007】
すなわち、遠端側の周囲騒音レベルと近端側の周囲騒音レベルとの差が大きい場合、送話信号及び受話信号を監視して通話状態を推定する挿入損失量制御手段3では、例えば遠端側の周囲騒音レベルが大きい状況においては常に受話状態と判定し、近端側の周囲騒音レベルが大きい状況においては常に送話状態と判定してしまい、実際の通話状態に関係なく、受話状態又は送話状態の何れか一方に通話状態を固定してしまう現象(所謂片倒れ)が生じることがある。
【0008】
これに対して上記従来例では、上述のように偏重モード制御手段8’が遠端側雑音パワーの推定値PFnと近端側雑音パワーの推定値PNnを比較し、遠端側雑音パワーの推定値PFnの方が充分に大きい場合は挿入損失量制御手段3で監視する送話信号を送話偏重モード設定用増幅器6で利得G[dB]だけ増幅することにより、挿入損失量制御手段3が送話状態と判定し易い状態(送話偏重モード)に設定し、反対に近端側雑音パワーの推定値PNnの方が充分に大きい場合は挿入損失量制御手段3で監視する受話信号を受話偏重モード設定用増幅器7で利得G[dB]だけ増幅することにより、挿入損失量制御手段3が受話状態と判定し易い状態(受話偏重モード)に設定することにより、上記片倒れを抑制して良好な切換特性を得ることができるようになっている。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−359580号公報(段落0081−段落0085、第21図)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記従来例においては、例えば近端側から一方的に発声している場合に近端側雑音パワーの推定値PNnが徐々に増加し、近端側及び遠端側における各周囲騒音レベルの差が小さくても偏重モード制御手段8’により受話偏重モードに設定され、近端側の話者が発声しているにもかかわらず挿入損失量制御手段3が送話モードから受話モードに誤って切り換えてしまい、音声が途切れたり不自然な抑揚が生じる虞がある。同様に、遠端側から一方的に発声している場合には遠端側雑音パワーの推定値PFnが徐々に増加して偏重モード制御手段8’により送話偏重モードに設定され、遠端側の話者が発声しているにもかかわらず挿入損失量制御手段3が受話モードから送話モードに誤って切り換えてしまい、音声が途切れたり不自然な抑揚が生じる虞がある。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、誤った通話モードに設定されるのを防いで音声の途切れや抑揚を抑えることができる音声切換装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、マイクロホン及びスピーカを有する拡声通話端末が他の通話端末又は拡声通話端末に有線で接続される拡声通話系の前記拡声通話端末に用いられ、前記マイクロホンで集音する送話信号を回線へ伝送するための送話側信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、回線から受信した受話信号を前記スピーカへ伝送するための受話側信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、前記送話側損失挿入手段に入力される送話信号を取り出して増幅する送話偏重モード設定用増幅手段と、前記受話側損失挿入手段に入力される受話信号を取り出して増幅する受話偏重モード設定用増幅手段と、前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段で増幅された送話信号及び受話信号に基づいて通話モードを推定するとともに該推定結果に応じて前記送話側損失挿入手段並びに受話側損失挿入手段が前記経路に挿入する損失量を制御して前記通話モードを送話モードと受話モードに切り換える挿入損失量制御手段と、送話信号に含まれる近端側の雑音パワーを推定する近端側雑音パワー推定手段と、受話信号に含まれる遠端側の雑音パワーを推定する遠端側雑音パワー推定手段と、遠端側雑音パワー並びに近端側雑音パワーの各推定値に応じて前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段の各利得を調整する偏重モード制御手段と、送話信号の音声区間を検出する送話信号音声区間検出手段とを備え、前記偏重モード制御手段は、前記送話偏重モード設定用増幅手段及び前記受話偏重モード設定用増幅手段の各利得をほぼ等しくする中立モードと前記受話偏重モード設定用増幅手段の利得を前記送話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させる受話偏重モードの何れかに設定するものであって、前記近端側雑音パワーの推定値が前記遠端側雑音パワーの推定値と所定の第1の雑音パワー比係数との積以上の値となり且つ前記送話信号音声区間検出手段によって音声区間が検出されない状態の継続時間を計時し、前記継続時間が第1の所定時間以上となったときに受話偏重モード設定用増幅手段の利得を送話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させて受話偏重モードに設定し、前記近端側雑音パワーの推定値と前記遠端側雑音パワーの推定値の差が充分に大きい値でなければ中立モードに設定することを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明は、記目的を達成するために、マイクロホン及びスピーカを有する拡声通話端末が他の通話端末又は拡声通話端末に有線で接続される拡声通話系の前記拡声通話端末に用いられ、前記マイクロホンで集音する送話信号を回線へ伝送するための送話側信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、回線から受信した受話信号を前記スピーカへ伝送するための受話側信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、前記送話側損失挿入手段に入力される送話信号を取り出して増幅する送話偏重モード設定用増幅手段と、前記受話側損失挿入手段に入力される受話信号を取り出して増幅する受話偏重モード設定用増幅手段と、前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段で増幅された送話信号及び受話信号に基づいて通話モードを推定するとともに該推定結果に応じて前記送話側損失挿入手段並びに受話側損失挿入手段が前記経路に挿入する損失量を制御して前記通話モードを送話モードと受話モードに切り換える挿入損失量制御手段と、送話信号に含まれる近端側の雑音パワーを推定する近端側雑音パワー推定手段と、受話信号に含まれる遠端側の雑音パワーを推定する遠端側雑音パワー推定手段と、遠端側雑音パワー並びに近端側雑音パワーの各推定値に応じて前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段の各利得を調整する偏重モード制御手段と、受話信号の音声区間を検出する受話信号音声区間検出手段とを備え、前記偏重モード制御手段は、遠端側並びに近端側の各雑音パワーの推定値の大小関係と前記受話信号音声区間検出手段の検出結果に基づいて、前記送話偏重モード設定用増幅手段及び前記受話偏重モード設定用増幅手段の各利得をほぼ等しくする中立モードと前記送話偏重モード設定用増幅手段の利得を前記受話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させる送話偏重モードの何れかに設定するものであって、前記遠端側雑音パワーの推定値が前記近端側雑音パワーの推定値と所定の第2の雑音パワー比係数との積以上の値となり且つ前記受話信号音声区間検出手段によって音声区間が検出されない状態の継続時間を計時し、前記継続時間が第2の所定時間以上となったときに送話偏重モード設定用増幅手段の利得を受話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させて送話偏重モードに設定し、前記近端側雑音パワーの推定値と前記遠端側雑音パワーの推定値の差が充分に大きい値でなければ中立モードに設定することを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、上記目的を達成するために、マイクロホン及びスピーカを有する拡声通話端末が他の通話端末又は拡声通話端末に有線で接続される拡声通話系の前記拡声通話端末に用いられ、前記マイクロホンで集音する送話信号を回線へ伝送するための送話側信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、回線から受信した受話信号を前記スピーカへ伝送するための受話側信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、前記送話側損失挿入手段に入力される送話信号を取り出して増幅する送話偏重モード設定用増幅手段と、前記受話側損失挿入手段に入力される受話信号を取り出して増幅する受話偏重モード設定用増幅手段と、前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段で増幅された送話信号及び受話信号に基づいて通話モードを推定するとともに該推定結果に応じて前記送話側損失挿入手段並びに受話側損失挿入手段が前記経路に挿入する損失量を制御して前記通話モードを送話モードと受話モードに切り換える挿入損失量制御手段と、送話信号に含まれる近端側の雑音パワーを推定する近端側雑音パワー推定手段と、受話信号に含まれる遠端側の雑音パワーを推定する遠端側雑音パワー推定手段と、遠端側雑音パワー並びに近端側雑音パワーの各推定値に応じて前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段の各利得を調整する偏重モード制御手段と、受話信号の音声区間を検出する受話信号音声区間検出手段と、送話信号の音声区間を検出する送話信号音声区間検出手段とを備え、前記偏重モード制御手段は、遠端側並びに近端側の各雑音パワーの推定値の大小関係と前記受話信号音声区間検出手段の検出結果に基づいて、前記送話偏重モード設定用増幅手段及び前記受話偏重モード設定用増幅手段の各利得をほぼ等しくする中立モードと前記受話偏重モード設定用増幅手段の利得を前記送話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させる受話偏重モードと前記送話偏重モード設定用増幅手段の利得を前記受話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させる送話偏重モードの何れかに設定するものであって、前記近端側雑音パワーの推定値が前記遠端側雑音パワーの推定値と所定の第1の雑音パワー比係数との積以上の値となり且つ前記送話信号音声区間検出手段によって音声区間が検出されない状態の継続時間を計時し、前記継続時間が第1の所定時間以上となったときに受話偏重モード設定用増幅手段の利得を送話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させて受話偏重モードに設定し、前記遠端側雑音パワーの推定値が前記近端側雑音パワーの推定値と所定の第2の雑音パワー比係数との積以上の値となり且つ前記受話信号音声区間検出手段によって音声区間が検出されない状態の継続時間を計時し、前記継続時間が第2の所定時間以上となったときに送話偏重モード設定用増幅手段の利得を受話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させて送話偏重モードに設定し、前記近端側雑音パワーの推定値と前記遠端側雑音パワーの推定値の差が充分に大きい値でなければ中立モードに設定することを特徴とする。
【0015】
請求項の発明は、請求項1〜の何れかの発明において、前記音声区間検出手段は、送話側又は受話側の損失挿入手段への入力信号の瞬時パワーを推定する瞬時パワー推定部と、前記損失挿入手段への入力信号に含まれる雑音パワーを推定する雑音パワー推定部と、前記瞬時パワー推定値を所定のしきい値並びに前記雑音パワー推定値と所定値の積とそれぞれ比較するとともに前記瞬時パワー推定値が前記しきい値より大きく且つ前記瞬時パワー推定値が前記積よりも大きいときに前記損失挿入手段への入力信号を音声信号と判定するとともに大きくないときに非音声信号と判定する音声/非音声判定部とを具備し、前記しきい値並びに前記所定値を外部から設定可能としたことを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明は、請求項の発明において、前記しきい値及び所定値又は前記パラメータを前記送話側又は受話側の音声区間検出手段に対して外部から個別に設定可能としたことを特徴とする。
【0017】
請求項の発明は、請求項の発明において、前記しきい値及び所定値又は前記パラメータを前記他の通話端末の種類に応じて各々異なる値に設定可能としたことを特徴とする。
【0018】
請求項7の発明は、請求項1〜3の何れかの発明において、前記音声区間検出手段は、送話側又は受話側の損失挿入手段への入力信号の瞬時パワーを推定する瞬時パワー推定部と、前記損失挿入手段への入力信号に含まれる雑音パワーを推定する雑音パワー推定部と、前記瞬時パワー推定値を所定のしきい値並びに前記雑音パワー推定値と所定値の積とそれぞれ比較するとともに前記瞬時パワー推定値が前記しきい値より大きく且つ前記瞬時パワー推定値が前記積よりも大きいときに前記損失挿入手段への入力信号を音声信号と判定するとともに大きくないときに非音声信号と判定する音声/非音声判定部とを具備し、前記瞬時パワー推定部は立ち上がりが急峻で立ち下がりが緩やかな特性を有するフィルタからなり、前記雑音パワー推定部は立ち上がりが緩やかで立ち下がりが急峻な特性を有するフィルタからなり、該フィルタの前記特性を決定するパラメータを外部から設定可能としたことを特徴とする。
【0019】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記パラメータを前記送話側又は受話側の音声区間検出手段に対して外部から個別に設定可能としたことを特徴とする。
【0020】
請求項9の発明は、請求項7の発明において、前記パラメータを前記他の通話端末の種類に応じて各々異なる値に設定可能としたことを特徴とする。
【0021】
請求項10の発明は、請求項1又は3の発明において、前記偏重モード制御手段は、前記継続時間が前記第1の所定時間未満であっても、前記近端側雑音パワーの推定値が前記遠端側雑音パワーの推定値と前記第1の雑音パワー比係数よりも大きい所定の第3の雑音パワー比係数との積以上となる状態が前記第1の所定時間よりも長い所定の第3の所定時間以上継続したときには受話偏重モードに設定することを特徴とする。
【0022】
請求項11の発明は、請求項2又は3の発明において、前記偏重モード制御手段は、前記継続時間が前記第2の所定時間未満であっても、前記遠端側雑音パワーの推定値が前記近端側雑音パワーの推定値と前記第2の雑音パワー比係数よりも大きい所定の第4の雑音パワー比係数との積以上となる状態が前記第2の所定時間よりも長い所定の第4の所定時間以上継続したときには送話偏重モードに設定することを特徴とする。
【0023】
請求項12の発明は、請求項2又は3の発明において、前記受話側損失挿入手段の出力点から近端側の音響エコー経路を介して前記送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定する音響側帰還利得推定手段を備え、前記偏重モード制御手段は、音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以下となる状態が一定時間以上継続しなければ送話偏重モードに移行しないことを特徴とする。
【0024】
請求項13の発明は、請求項12の発明において、前記偏重モード制御手段は、前記遠端側雑音パワーの推定値が前記近端側雑音パワーの推定値と前記第2の雑音パワー比係数との積以上であり、前記受話信号音声区間検出手段の検出結果が非音声区間であり、且つ前記音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値未満である状態が所定時間以上継続したときに送話偏重モードに設定することを特徴とする。
【0025】
請求項14の発明は、請求項1又は3の発明において、前記送話側損失挿入手段の出力点から遠端側の回線エコー経路を介して前記受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定する回線側帰還利得推定手段を備え、前記偏重モード制御手段は、回線側帰還利得の推定値が所定値以下となる状態が一定時間以上継続しなければ受話偏重モードに移行しないことを特徴とする。
【0026】
請求項15の発明は、請求項14の発明において、前記偏重モード制御手段は、前記近端側雑音パワーの推定値が前記遠端側雑音パワーの推定値と前記第1の雑音パワー比係数との積以上であり、前記送話信号音声区間検出手段の検出結果が非音声区間であり、且つ前記回線側帰還利得の推定値が所定のしきい値未満である状態が所定時間以上継続したときに受話偏重モードに設定することを特徴とする。
【0027】
請求項16の発明は、請求項の発明において、前記送話側損失挿入手段の出力点から遠端側の回線エコー経路を介して前記受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定する回線側帰還利得推定手段と、前記受話側損失挿入手段の出力点から近端側の音響エコー経路を介して前記送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定する音響側帰還利得推定手段とを備え、前記偏重モード制御手段は、回線側帰還利得の推定値が所定のしきい値未満である状態が所定時間以上継続しなければ受話偏重モードに移行せず、且つ音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以下となる状態が一定時間以上継続しなければ送話偏重モードに移行せず、前記送話側及び受話側の各音声区間検出手段は、送話側又は受話側の損失挿入手段への入力信号の瞬時パワーを推定する瞬時パワー推定部と、前記損失挿入手段への入力信号に含まれる雑音パワーを推定する雑音パワー推定部と、前記瞬時パワー推定値を所定のしきい値並びに前記雑音パワー推定値と所定値の積とそれぞれ比較するとともに前記瞬時パワー推定値が前記しきい値より大きく且つ前記瞬時パワー推定値が前記積よりも大きいときに前記損失挿入手段への入力信号を音声信号と判定するとともに大きくないときに非音声信号と判定する音声/非音声判定部とを具備し、前記送話側及び受話側の各音声区間検出手段は、前記音響側並びに回線側の各帰還利得推定手段の推定値に応じて前記しきい値及び所定値が変更されることを特徴とする。
【0028】
請求項17の発明は、請求項の発明において、前記送話側損失挿入手段の出力点から遠端側の回線エコー経路を介して前記受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定する回線側帰還利得推定手段と、前記受話側損失挿入手段の出力点から近端側の音響エコー経路を介して前記送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定する音響側帰還利得推定手段とを備え、前記偏重モード制御手段は、回線側帰還利得の推定値が所定のしきい値未満である状態が所定時間以上継続しなければ受話偏重モードに移行せず、且つ音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以下となる状態が一定時間以上継続しなければ送話偏重モードに移行せず、前記送話側及び受話側の各音声区間検出手段は、送話側又は受話側の損失挿入手段への入力信号の瞬時パワーを推定する瞬時パワー推定部と、前記挿入手段への入力信号に含まれる雑音パワーを推定する雑音パワー推定部と、前記瞬時パワー推定値を所定のしきい値並びに前記雑音パワー推定値と所定値の積とそれぞれ比較するとともに前記瞬時パワー推定値が前記しきい値より大きく且つ前記瞬時パワー推定値が前記積よりも大きいときに前記損失挿入手段への入力信号を音声信号と判定するとともに大きくないときに非音声信号と判定する音声/非音声判定部とを具備し、前記瞬時パワー推定部は立ち上がりが急峻で立ち下がりが緩やかな特性を有するフィルタからなり、前記雑音パワー推定部は立ち上がりが緩やかで立ち下がりが急峻な特性を有するフィルタからなり、前記送話側及び受話側の各音声区間検出手段は、前記音響側並びに回線側の各帰還利得推定手段の推定値に応じて前記特性を決定するパラメータが変更されることを特徴とする。
【0029】
請求項18の発明は、請求項17の発明において、前記しきい値及び所定値と前記パラメータを前記送話側並びに受話側の各音声区間検出手段に対して外部から個別に設定可能としたことを特徴とする。
【0030】
請求項19の発明は、請求項17の発明において、前記しきい値及び所定値と前記パラメータを前記他の通話端末の種類に応じて各々異なる値に設定可能としたことを特徴とする。
【0031】
請求項20の発明は、請求項の発明において、前記送話側損失挿入手段の出力点から遠端側の回線エコー経路を介して前記受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定する回線側帰還利得推定手段と、前記受話側損失挿入手段の出力点から近端側の音響エコー経路を介して前記送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定する音響側帰還利得推定手段とを備え、前記偏重モード制御手段は、回線側帰還利得の推定値が所定のしきい値未満である状態が所定時間以上継続しなければ受話偏重モードに移行せず、且つ音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以下となる状態が一定時間以上継続しなければ送話偏重モードに移行せず、前記近端側雑音パワーの推定値と前記遠端側雑音パワーの推定値との差と、前記音響側並びに回線側の帰還利得推定値を参照して前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段の利得を適応的に更新することを特徴とする。
【0032】
請求項21の発明は、請求項20の発明において、前記偏重モード制御手段により適応的に更新される前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段の利得に上限値を設定したことを特徴とする。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する前に、本発明の実施形態と基本構成が共通である参考例について説明する。
参考例1)
参考例は、図1に示すように基本的な構成が従来例と共通であるから共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、本参考例の特徴となる構成についてのみ説明する。本参考例では、送話信号の音声区間を検出する送話信号音声区間検出手段9を備え、偏重モード制御手段8が、遠端側並びに近端側の各雑音パワーの推定値PFn,PNnの大小関係と送話信号音声区間検出手段9の検出結果SDF1に基づいて受話偏重モード又は中立モードの何れかに設定する点に特徴がある。
【0034】
送話信号音声区間検出手段9は、図2に示すように送話側損失挿入手段1への入力信号(以下、「参照信号」と呼ぶ)inの瞬時パワーを推定する瞬時パワー推定部91と、参照信号inに含まれる背景雑音(定常雑音)成分のパワーを推定する背景雑音パワー推定部92と、瞬時パワー推定部91で推定される瞬時パワー推定値Ps並びに背景雑音パワー推定部92で推定される背景雑音パワー推定値Pnに基づいて参照信号inが音声信号であるか非音声信号であるかを判定し、音声信号と判定した場合には判定結果(判定フラグ)SDF1を1とし、非音声信号と判定した場合には判定結果SDF1を0とするとともに、判定結果SDF1が更新されるまで前回の判定結果SDF1を保持する音声/非音声判定部93とを具備する。
【0035】
瞬時パワー推定部91は、立ち上がりが急峻であり、且つ立ち下がりが緩やかな特性をもつ積分回路又はデジタルフィルタによって構成される。また、背景雑音パワー推定部92は、立ち上がりが緩やかであり、且つ立ち下がりが急峻な特性をもつ積分回路又はデジタルフィルタによって構成される。なお、背景雑音パワー推定部92は参照信号inを参照して逐次背景雑音パワー推定値Pnを更新し、更新するまでは前の推定値Pnを保持している。
【0036】
一方音声/非音声判定部93は、例えば、瞬時パワー推定部91から出力される瞬時パワー推定値Psを所定のしきい値Ps0と比較し、瞬時パワー推定値Psと背景雑音パワー推定部92から出力される背景雑音パワー推定値Pnとの比Ps/Pnを所定のしきい値δと比較するとともに、瞬時パワー推定値Psがしきい値Ps0よりも大きく(Ps>Ps0)、且つ前記比Ps/Pnがしきい値δよりも大きい(Ps/Pn>δ)場合に音声信号と判定して判定結果SDF1を1とし、その他の場合に非音声信号と判定して判定結果SDF1を0とする。ここで、しきい値Ps0は音声信号の最小レベルを規定するしきい値であり、しきい値δは音声信号レベルと背景雑音レベルとの最小比を規定するしきい値である。
【0037】
次に、図3のフローチャートを参照して本参考例における偏重モード制御手段8の動作を説明する。
【0038】
まず、送話信号音声区間検出手段9の検出結果(判定結果)を判断し(ステップ1)、音声区間が検出されていなければ(SDF1=0であれば)、中立モードから受話偏重モードへの移行判定を行い(ステップ2)、移行条件をクリアしているか否かを判断する(ステップ3)。なお、ここでの移行条件は従来例における中立モードから受話偏重モードへの移行条件と同一である。そして、上記移行条件をクリアしていれば受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRをG[dB]、送話偏重モード設定用増幅器6の利得GTを0[dB]とすることで受話偏重モードに設定する(ステップ6)。
【0039】
一方、ステップ1において送話信号音声区間検出手段9により音声区間が検出されている場合、若しくはステップ3において移行条件をクリアしていない場合には、中立モードから送話偏重モードへの移行判定を行い(ステップ4)、移行条件をクリアしているか否かを判断する(ステップ5)。なお、ここでの移行条件も従来例における中立モードから送話偏重モードへの移行条件と同一である。そして、上記移行条件をクリアしていれば送話偏重モード設定用増幅器6の利得GTをG[dB]、受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRを0[dB]とすることで送話偏重モードに設定し(ステップ7)、移行条件をクリアしなければ、送話偏重モード設定用増幅器6の利得GT及び受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRを何れも0[dB]とすることで中立モードに設定する(ステップ8)。
【0040】
而して本参考例においては、近端側端末(本参考例の音声切換装置を具備している拡声通話端末)の話者が一方的に発声している場合に、送話信号音声区間検出手段9で音声区間が検出されているときには2つの雑音パワー推定手段4,5の推定値PFn,PNnにかかわらず、偏重モード制御手段8が受話偏重モードに設定しないから、挿入損失量制御手段3により送話側損失挿入手段1による挿入損失量が最大且つ受話側損失挿入手段2による挿入損失量が最小となるように制御されて通話モードが送話モードに設定されるため、近端側の話者が発声しているにもかかわらず挿入損失量制御手段3が中間モードから受話モードに誤って切り換えてしまうのを防ぎ、音声が途切れたり不自然な抑揚が生じるのを抑えることができる。なお、中間モードとは、送話側及び受話側の損失挿入手段1,2の各挿入損失量が略同一である状態であって、いわゆるアイドルモード(例えば、送話側及び受話側とも無音の状況)として扱われる場合である。
【0041】
(実施形態
本実施形態は偏重モード制御手段8に特徴があり、これ以外の構成については参考例1と同一であるから図示並びに説明を省略する。
【0042】
本実施形態における偏重モード制御手段8は、図4に示すように遠端側雑音パワーの推定値PFnと所定の第1の雑音パワー比係数X1との積を求める乗算器82と、この積と近端側雑音パワーの推定値PNnとを比較する第1の比較器81と、送話信号音声区間検出手段9の検出結果SDF1を反転するインバータ83と、第1の比較器81の比較結果とインバータ83で反転された検出結果SDF1の論理積iを求めるアンドゲート84と、この論理積iが1のときにインクリメントされるとともに0のときにリセットされるカウンタからなる計時手段85と、計時手段85によって計時される継続時間(カウント値)T’と第1の所定時間T1を比較する第2の比較器86と、第2の比較器86の比較結果Zに応じて送話偏重モード設定用増幅器6の利得GT及び受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRをそれぞれG[dB]又は0[dB]に設定する利得設定部87とを具備する。
【0043】
偏重モード制御手段8の動作を具体的に説明すると、遠端側雑音パワーの推定値PFnと第1の雑音パワー比係数X1の積と近端側雑音パワーの推定値PNnとが第1の比較器81において比較され、PFn×X1<PNnのときに1、PFn×X1≧PNnのときに0の比較結果がアンドゲート84に出力される。そして、近端側背景雑音パワーの推定値PNnが前記積よりも大きい値であり、且つ送話信号音声区間検出手段9により音声区間が検出されていない場合にのみアンドゲート84の出力(論理積)iが1となり、計時手段85における継続時間T’がインクリメントされ、近端側背景雑音パワーの推定値PNnが前記積以下になるか、あるいは送話信号音声区間検出手段9により音声区間が検出されるか、何れかの条件が成立するとアンドゲート84の出力iが0となって計時手段85における継続時間T’がリセットされる。計時手段85による継続時間T’は第2の比較器86にて第1の所定時間T1と比較されており、継続時間T’が第1の所定時間T1を超えたときに第2の比較器86の出力(比較結果)Zが1となり、継続時間T’が第1の所定時間T1を超えなければ出力Zは0となる。そして、第2の比較器86の出力Zが1の場合に利得設定部87が送話偏重モード設定用増幅器6の利得GTを0[dB]、受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRをG[dB]に設定することで受話偏重モードに設定され、出力Zが0の場合に利得設定部87が送話偏重モード設定用増幅器6の利得GT及び受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRを何れも0[dB]に設定することで中立モードに設定される。
【0044】
このように本実施形態の偏重モード制御手段8では、近端側雑音パワーの推定値PNnが遠端側雑音パワーの推定値PFnと第1の雑音パワー比係数X1との積よりも大きい値となり且つ送話信号音声区間検出手段9によって音声区間が検出されない状態の継続時間T’を計時し、継続時間T’が第1の所定時間T1以上となったときに受話偏重モード設定用増幅手段7の利得GRをG[dB]、送話偏重モード設定用増幅手段6の利得GTを0[dB]として受話偏重モードに設定するため、第1の雑音パワー比係数X1と第1の所定時間T1を適切な値に設定することで偏重モード制御手段8による中立モードから受話偏重モードへの移行のしやすさを調整することができ、本実施形態の音声切換装置を搭載する拡声通話端末の周囲騒音に対する切換特性を任意に設定することができる。
【0045】
参考例2
参考例は、図5に示すように基本的な構成が従来例と共通であるから共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、本参考例の特徴となる構成についてのみ説明する。本参考例では、受話信号の音声区間を検出する受話信号音声区間検出手段10を備え、偏重モード制御手段8が、遠端側並びに近端側の各雑音パワーの推定値PFn,PNnの大小関係と受話信号音声区間検出手段10の検出結果SDF2に基づいて送話偏重モード又は中立モードの何れかに設定する点に特徴がある。
【0046】
受話信号音声区間検出手段10は参考例1における送話信号音声区間検出手段9と共通の構成を有するものであって、受話側損失挿入手段2への入力信号(参照信号)の瞬時パワーを推定する瞬時パワー推定部と、参照信号に含まれる背景雑音(定常雑音)成分のパワーを推定する背景雑音パワー推定部と、瞬時パワー推定部で推定される瞬時パワー推定値並びに背景雑音パワー推定部で推定される背景雑音パワー推定値に基づいて参照信号が音声信号であるか非音声信号であるかを判定し、音声信号と判定した場合には判定結果(判定フラグ)SDF2を1とし、非音声信号と判定した場合には判定結果SDF2を0とするとともに、判定結果SDF2が更新されるまで前回の判定結果SDF2を保持する音声/非音声判定部とを具備する。なお、瞬時パワー推定部、背景雑音パワー推定部並びに音声/非音声判定部の構成及び動作も参考例1と共通であるから説明は省略する。
【0047】
次に、図6のフローチャートを参照して本参考例における偏重モード制御手段8の動作を説明する。
【0048】
まず、受話信号音声区間検出手段10の検出結果(判定結果)を判断し(ステップ1)、音声区間が検出されていなければ(SDF2=0であれば)、中立モードから送話偏重モードへの移行判定を行い(ステップ2)、移行条件をクリアしているか否かを判断する(ステップ3)。なお、ここでの移行条件は従来例における中立モードから送話偏重モードへの移行条件と同一である。そして、上記移行条件をクリアしていれば受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRを0[dB]、送話偏重モード設定用増幅器6の利得GTをG[dB]とすることで送話偏重モードに設定する(ステップ6)。
【0049】
一方、ステップ1において受話信号音声区間検出手段10により音声区間が検出されている場合、若しくはステップ3において移行条件をクリアしていない場合には、中立モードから受話偏重モードへの移行判定を行い(ステップ4)、移行条件をクリアしているか否かを判断する(ステップ5)。なお、ここでの移行条件も従来例における中立モードから受話偏重モードへの移行条件と同一である。そして、上記移行条件をクリアしていれば送話偏重モード設定用増幅器6の利得GTを0[dB]、受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRをG[dB]とすることで受話偏重モードに設定し(ステップ7)、移行条件をクリアしなければ、送話偏重モード設定用増幅器6の利得GT及び受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRを何れも0[dB]とすることで中立モードに設定する(ステップ8)。
【0050】
而して本参考例においては、遠端側端末(本参考例の音声切換装置を具備している拡声通話端末と拡声通話システムを構成する他の通話端末)の話者が一方的に発声している場合に、受話信号音声区間検出手段10で音声区間が検出されているときには2つの雑音パワー推定手段4,5の推定値PFn,PNnにかかわらず、偏重モード制御手段8が送話偏重モードに設定しないから、挿入損失量制御手段3により送話側損失挿入手段1による挿入損失量が最小且つ受話側損失挿入手段2による挿入損失量が最大となるように制御されて通話モードが受話モードに設定されるため、遠端側の話者が発声しているにもかかわらず挿入損失量制御手段3が中立モードから送話モードに誤って切り換えてしまうのを防ぎ、音声が途切れたり不自然な抑揚が生じるのを抑えることができる。
【0051】
なお、参考例1と同様に送話信号の音声区間を検出する送話信号音声区間検出手段9を備え、偏重モード制御手段8が、遠端側並びに近端側の各雑音パワーの推定値PFn,PNnの大小関係と送話信号音声区間検出手段9の検出結果SDF1に基づいて受話偏重モード又は中立モードの何れかに設定するようにすれば、挿入損失量制御手段3が中立モードから送話モード又は受話モードに誤って切り換えてしまうのを防いで音声が途切れたり不自然な抑揚が生じるのをより確実に抑えることができる。
【0052】
(実施形態
本実施形態は偏重モード制御手段8に特徴があり、これ以外の構成については参考例2と同一であるから図示並びに説明を省略する。
【0053】
本実施形態における偏重モード制御手段8は、図7に示すように近端側雑音パワーの推定値PNnと所定の第2の雑音パワー比係数X2との積を求める乗算器82’と、この積と遠端側雑音パワーの推定値PFnとを比較する第3の比較器81’と、受話信号音声区間検出手段10の検出結果SDF2を反転するインバータ83’と、第3の比較器81’の比較結果とインバータ83’で反転された検出結果SDF2の論理積i’を求めるアンドゲート84’と、この論理積i’が1のときにインクリメントされるとともに0のときにリセットされるカウンタからなる計時手段85’と、計時手段85’による計時時間(カウント値)T”と第2の所定時間T2を比較する第4の比較器86’と、第4の比較器86’の比較結果Z’に応じて送話偏重モード設定用増幅器6の利得GT及び受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRをそれぞれG[dB]又は0[dB]に設定する利得設定部87’とを具備する。
【0054】
偏重モード制御手段8の動作を具体的に説明すると、近端側雑音パワーの推定値PNnと第2の雑音パワー比係数X2の積と遠端側雑音パワーの推定値PFnとが第3の比較器81’において比較され、PNn×X2<PFnのときに1、PNn×X2≧PFnのときに0の比較結果がアンドゲート84’に出力される。そして、遠端側背景雑音パワーの推定値PFnが前記積よりも大きい値であり、且つ受話信号音声区間検出手段10により音声区間が検出されていない場合にのみアンドゲート84’の出力(論理積)i’が1となり、計時手段85’における継続時間T”がインクリメントされ、遠端側背景雑音パワーの推定値PFnが前記積よりも大きくなくなるか、あるいは受話信号音声区間検出手段10により音声区間が検出されるか、何れかの条件が成立するとアンドゲート84’の出力i’が0となって計時手段85’における継続時間T”がリセットされる。計時手段85’による継続時間T”は第4の比較器86’にて第2の所定時間T2と比較されており、継続時間T”が第2の所定時間T2を超えたときに第4の比較器86’の出力(比較結果)Z’が1となり、継続時間T”が第2の所定時間T2を超えなければ出力Z’は0となる。そして、第4の比較器86’の出力Z’が1の場合に利得設定部87’が送話偏重モード設定用増幅器6の利得GTをG[dB]、受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRを0[dB]に設定することで送話偏重モードに設定され、出力Z’が0の場合に利得設定部87’が送話偏重モード設定用増幅器6の利得GT及び受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRを何れも0[dB]に設定することで中立モードに設定される。
【0055】
このように本実施形態の偏重モード制御手段8では、遠端側雑音パワーの推定値PFnが近端側雑音パワーの推定値PNnと第2の雑音パワー比係数X2との積よりも大きい値となり且つ受話信号音声区間検出手段10によって音声区間が検出されない状態の継続時間T”を計時し、継続時間T”が第2の所定時間T2以上となったときに受話偏重モード設定用増幅手段7の利得GRを0[dB]、送話偏重モード設定用増幅手段6の利得GTをG[dB]として送話偏重モードに設定するため、第2の雑音パワー比係数X2と第2の所定時間T2を適切な値に設定することで偏重モード制御手段8による中立モードから送話偏重モードへの移行のしやすさを調整することができ、本実施形態の音声切換装置を搭載する拡声通話端末の周囲騒音に対する切換特性を任意に設定することができる。
【0056】
(実施形態
ところで、上述の実施形態1,2の音声切換装置は個々の手段をハードウェアで構成することは勿論可能ではあるが、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)のような単一のプロセッサを用い、DSPのハードウェアを専用のソフトウェアで制御することによって上記各手段を実現することが望ましい。そして、本実施形態の音声切換装置VSはDSPと専用のソフトウェアの組み合わせで実現されるものである。
【0057】
図8は本実施形態の音声切換装置VSを備えた拡声通話端末の概略構成を示している。DSP100は、一連の通話処理機能と、報知音や警報音あるいは警報音声を生成する機能を有している。音声切換装置VSはDSP100の機能の一部として構成される。また、図中の200はCPUであって、例えば相手側の通話端末からの呼出を検出してDSP100に通話処理を開始させる制御を行う機能をROM201に格納された専用のソフトウェアをメモリに読み込んで実行することによって実現している。なお、DSP100とCPU200とはシリアルポートあるいはパラレルポートなどの通信用のインタフェースを介して接続されている。
【0058】
本実施形態における拡声通話端末では、通話を開始する際にCPU200からDSP100に対して、送話信号音声区間検出手段9又は受話信号音声区間検出手段10において音声区間の検出に用いるしきい値Ps0,δのデータをCPU200から前記通信用インタフェースを介してDSP100に送信し、これをDSP100に設けたしきい値設定手段101により音声区間検出手段9,10を実現するソフトウェアモジュールに対して初期設定する。これらしきい値Ps0,δの値(データ)が初期化された後、DSP100が音声切換装置VSやエコーキャンセラ等を起動して通話処理を開始し、CPU200が拡声通話端末のハードウェアを制御して相手側の通話端末との間の通話を形成する。なお、しきい値設定手段101もソフトウェアで実現されるものである。
【0059】
本実施形態は上述のように構成したものであって、送話信号音声区間検出手段9又は受話信号音声区間検出手段10において音声区間の検出に用いるしきい値Ps0,δを外部(CPU200)から設定可能としたので、音声切換装置VSの汎用性が高まり、種々の拡声通話端末に容易に適応可能になる。
【0060】
(実施形態
図9は本実施形態の音声切換装置VSを備えた拡声通話端末の概略構成を示しており、実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付している。
【0061】
本実施形態における拡声通話端末では、通話を開始する際にCPU200からDSP100に対して、送話信号音声区間検出手段9又は受話信号音声区間検出手段10において音声区間の検出に用いるパラメータ、具体的には瞬時パワー推定部91や背景雑音パワー推定部92の演算で使用される時定数(デジタルフィルタの立ち上がり及び立ち下がりの特性を決定するパラメータ)のデータをCPU200から通信用インタフェースを介してDSP100に送信し、これをDSP100に設けた時定数設定手段102により音声区間検出手段9,10を実現するソフトウェアモジュールに対して初期設定する。これらの時定数が初期化された後、DSP100が音声切換装置VSやエコーキャンセラ等を起動して通話処理を開始し、CPU200が拡声通話端末のハードウェアを制御して相手側の通話端末との間の通話を形成する。なお、時定数設定手段102もDSP100のハードウェアをソフトウェアで制御することによって実現されるものである。
【0062】
本実施形態は上述のように構成したものであって、送話信号音声区間検出手段9又は受話信号音声区間検出手段10において音声区間の検出に用いる時定数を外部(CPU200)から設定可能としたので、音声切換装置VSの汎用性が高まり、種々の拡声通話端末に容易に適応可能になる。
【0063】
(実施形態
図10は本実施形態の音声切換装置VSを備えた拡声通話端末の概略構成を示しており、実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付している。
【0064】
本実施形態における拡声通話端末では、送話信号音声区間検出手段9に対するしきい値Ps0,δ(これらを「送話側しきい値」と呼ぶ)並びに時定数(これを「送話側時定数」と呼ぶ)と、受話信号音声区間検出手段10に対するしきい値Ps0,δ(これらを「受話側しきい値」と呼ぶ)並びに時定数(これを「受話側時定数」と呼ぶ)とをフラッシュメモリ110に格納している。
【0065】
一方DSP100は、通信用インタフェースを介してCPU200からコマンドを受信するとともに該コマンドを解釈して必要な処理を行うコマンド処理手段103と、音声切換装置VSに対して送話側及び受話側の各しきい値と時定数を音声区間検出手段9,10を実現するソフトウェアモジュールに対して設定するパラメータ設定手段104とを備えている。但し、コマンド処理手段103やパラメータ設定手段104もソフトウェアで実現可能である。
【0066】
通話を開始する際には、まずCPU200からDSP100に対して通話開始要求コマンドを通信用インタフェースを介して送信し、この通話開始要求コマンドを受け取ったコマンド処理手段103がその内容を解釈し、送話信号音声区間検出手段9並びに受話信号音声区間検出手段10において用いる上記パラメータの格納場所を示すアドレスデータをパラメータ設定手段104に与える。パラメータ設定手段104では受け取ったアドレスデータに基づいて送話側及び受話側のしきい値並びに時定数のデータをフラッシュメモリ110から読み込み、音声区間検出手段9,10を実現するソフトウェアモジュールに対して初期設定する。これら初期設定が完了した後、パラメータ設定手段104はパラメータの初期化が完了したことを示すフラグをセットし、このフラグのセットを受けてコマンド処理手段103が応答コマンドをCPU200に対して送信する。
【0067】
而して、近端側端末(本実施形態における拡声通話端末)のマイクロホン(図示せず)から音声切換装置VSにおける送話信号の参照点までの伝達特性と遠端側端末のマイクロホン(図示せず)から受信信号の参照点までの伝達特性は一般に異なるが、本実施形態においては送話信号音声区間検出手段9並びに受話信号送信音声区間検出部10に対するしきい値Ps0,δ及び時定数が外部(CPU200)から各々個別に設定可能であるから、上述のような2つの伝達特性の差を簡単に補正することができる。
【0068】
(実施形態
図11は本実施形態の音声切換装置VSを備えた拡声通話端末の概略構成を示しており、実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付している。
【0069】
本発明の音声切換装置が用いられる通話システムとして、マンションなどの集合住宅における玄関ロビーに設置されたロビーインターホン、並びに各住戸の玄関に設置されるドアホンと、各住戸内に設置される親機との間で相互に拡声通話を行うものがある。このような通話システムにおいては、実施形態で説明した受話信号の参照点までの伝達特性が相手側の端末によって異なっている。すなわち、音声切換装置VSを備えた拡声通話端末が上記親機である場合にドアホンとの通話における受話信号の伝達特性と、ロビーインターホンとの通話における受話信号の伝達特性とは通話の線路長等の影響で異なっており、そのために送話信号の伝達特性と受話信号の伝達特性との差も当然に相手側の通話端末毎に異なることになる。
【0070】
そこで本実施形態では、相手側の通話端末の種類(上述の例であればドアホンとロビーインターホン)に応じて各々異なる値に設定可能としており、具体的にはフラッシュメモリ110の2つの領域M1,M2にそれぞれドアホン用のパラメータ(送話側及び受話側のしきい値並びに時定数)とロビーインターホン用のパラメータを格納している。そして、CPU200が呼出相手の通話端末の種類に応じたパラメータのアドレスをコマンドで指定し、パラメータ設定手段104が受け取ったアドレスデータに基づいて相手側の通話端末の種類に応じた送話側及び受話側のしきい値並びに時定数のデータをフラッシュメモリ110の領域M1,M2から選択して読み込み、音声区間検出手段9,10を実現するソフトウェアモジュールに対して初期設定する。
【0071】
而して、本実施形態においては送話信号音声区間検出手段9並びに受話信号送信音声区間検出部10に対するしきい値Ps0,δ及び時定数が相手側の通話端末毎に外部(CPU200)から各々個別に設定可能であるから、相手側の通話端末毎に異なる2つの伝達特性の差を簡単に補正することができる。
【0072】
(実施形態
本実施形態は偏重モード制御手段8に特徴があり、これ以外の構成については参考例1と同一であるから図示並びに説明を省略する。
【0073】
本実施形態における偏重モード制御手段8は基本的な構成が実施形態と共通であって、図12に示すように第1の比較器81、乗算器82、インバータ83、アンドゲート84、計時手段85、第2の比較器86並びに利得設定部87に加えて、遠端側雑音パワーの推定値PFnと所定の第3の雑音パワー比係数X3との積を求める乗算器182と、この積と近端側雑音パワーの推定値PNnとを比較する第5の比較器181と、第5の比較器181の出力が1のときにインクリメントされるとともに0のときにリセットされるカウンタからなる計時手段183と、計時手段183による計時時間(カウント値)T’と第3の所定時間T3を比較する第6の比較器184と、第2の比較器86の比較結果Y1と第6の比較器184の比較結果Y2の論理和Zを求めるオアゲート88とを具備する。なお、第3の雑音パワー比係数X3は第1の雑音パワー比係数X1の数倍以上の値に設定され、第3の所定時間T3は第1の所定時間T1よりも大きい値に設定される。
【0074】
次に本実施形態における偏重モード制御手段80の動作を説明する。但し、実施形態と同一構成の部分についての動作説明は省略し、実施形態に対して本実施形態で追加された構成の動作及び全体の動作についてのみ説明する。
【0075】
遠端側雑音パワーの推定値PFnと第3の雑音パワー比係数X3の積と近端側雑音パワーの推定値PNnとが第5の比較器181において比較され、PFn×X3<PNnのときに1、PFn×X3≧PNnのときに0の比較結果が計時手段183に出力される。そして、近端側背景雑音パワーの推定値PNnが前記積よりも大きい値のときには、計時手段183における継続時間T’がインクリメントされ、近端側背景雑音パワーの推定値PNnが前記積よりも大きくなくなるか、あるいは送話信号音声区間検出手段9により音声区間が検出されるか、何れかの条件が成立すると計時手段183における継続時間T’がリセットされる。計時手段183による継続時間T’は第6の比較器184にて第3の所定時間T3と比較されており、継続時間T’が第3の所定時間T3を超えたときに第6の比較器184の出力(比較結果)Y2が1となり、継続時間T’が第3の所定時間T3を超えなければ出力Y2は0となる。
【0076】
そして、第6の比較器184の出力Y2と第2の比較器86の出力Y1がオアゲート88に入力されており、少なくとも何れか一方の出力Y1,Y2が1であればオアゲート88の出力Zが1となり、両出力Y1,Y2が0であればオアゲート88の出力Zも0となる。さらに、オアゲート88の出力Zが1の場合に利得設定部87が送話偏重モード設定用増幅器6の利得GTを0[dB]、受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRをG[dB]に設定することで受話偏重モードに設定され、出力Zが0の場合に利得設定部87が送話偏重モード設定用増幅器6の利得GT及び受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRを何れも0[dB]に設定することで中立モードに設定される。
【0077】
而して、実施形態においては、近端側の通話端末の周囲に高レベルの非定常騒音(例えば、テレビやラジオの放送音など)が存在する場合に送話信号音声区間検出手段9が音声区間を誤検出することで受話偏重モードに設定され難くなり、通話モードが送話モードに固定されてしまう現象(所謂片倒れ)が発生する虞がある。これに対して本実施形態における偏重モード制御手段8は、継続時間T’が第1の所定時間T1未満であっても、近端側雑音パワーの推定値PNnが遠端側雑音パワーの推定値PFnと第3の雑音パワー比係数X3との積よりも大きい状態が第3の所定時間T3以上継続したときに受話偏重モードに設定するので、上述のように近端側の通話端末の周囲に高レベルの非定常騒音が存在する場合でも受話偏重モードに設定され難くなるのを防いで片倒れの発生が防止できる。
【0078】
(実施形態
本実施形態は偏重モード制御手段8に特徴があり、これ以外の構成については参考例2と同一であるから図示並びに説明を省略する。
【0079】
本実施形態における偏重モード制御手段8は基本的な構成が実施形態と共通であって、図13に示すように第3の比較器81’、乗算器82’、インバータ83’、アンドゲート84’、計時手段85’、第4の比較器86’並びに利得設定部87’に加えて、近端側雑音パワーの推定値PNnと所定の第4の雑音パワー比係数X4との積を求める乗算器182’と、この積と遠端側雑音パワーの推定値PFnとを比較する第7の比較器181’と、第7の比較器181’の出力が1のときにインクリメントされるとともに0のときにリセットされるカウンタからなる計時手段183’と、計時手段183’による計時時間(カウント値)T”と第4の所定時間T4を比較する第8の比較器184’と、第4の比較器86’の比較結果Y3と第8の比較器184’の比較結果Y4の論理和Z’を求めるオアゲート88’とを具備する。なお、第4の雑音パワー比係数X4は第2の雑音パワー比係数X2の数倍以上の値に設定され、第4の所定時間T4は第2の所定時間T2よりも大きい値に設定される。
【0080】
次に本実施形態における偏重モード制御手段80の動作を説明する。但し、実施形態と同一構成の部分についての動作説明は省略し、実施形態に対して本実施形態で追加された構成の動作及び全体の動作についてのみ説明する。
【0081】
近端側雑音パワーの推定値PNnと第4の雑音パワー比係数X4の積と遠端側雑音パワーの推定値PFnとが第7の比較器181’において比較され、PNn×X4<PFnのときに1、PNn×X4≧PFnのときに0の比較結果が計時手段183’に出力される。そして、遠端側背景雑音パワーの推定値PFnが前記積よりも大きい値のときに、計時手段183’における継続時間T”がインクリメントされ、遠端側背景雑音パワーの推定値PFnが前記積よりも大きくなくなるか、あるいは受話信号音声区間検出手段10により音声区間が検出されるか、何れかの条件が成立すると計時手段183’における継続時間T”がリセットされる。計時手段183’による継続時間T”は第8の比較器184’にて第4の所定時間T4と比較されており、継続時間T”が第4の所定時間T4を超えたときに第8の比較器184’の出力(比較結果)Y4が1となり、継続時間T”が第4の所定時間T4を超えなければ出力Y4は0となる。
【0082】
そして、第8の比較器184’の出力Y4と第4の比較器86’の出力Y3がオアゲート88’に入力されており、少なくとも何れか一方の出力Y3,Y4が1であればオアゲート88’の出力Z’が1となり、両出力Y3,Y4が0であればオアゲート88’の出力Z’も0となる。さらに、オアゲート88’の出力Z’が1の場合に利得設定部87’が送話偏重モード設定用増幅器6の利得GTをG[dB]、受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRを0[dB]に設定することで送話偏重モードに設定され、出力Z’が0の場合に利得設定部87’が送話偏重モード設定用増幅器6の利得GT及び受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRを何れも0[dB]に設定することで中立モードに設定される。
【0083】
而して、実施形態においては、遠端側の通話端末の周囲に高レベルの非定常騒音(例えば、風きり音や工事に伴う騒音など)が存在する場合に受話信号音声区間検出手段10が音声区間を誤検出することで送話偏重モードに設定され難くなり、通話モードが受話モードに固定されてしまう現象(所謂片倒れ)が発生する虞がある。これに対して本実施形態における偏重モード制御手段8は、継続時間T”が第2の所定時間T2未満であっても、遠端側雑音パワーの推定値PFnが近端側雑音パワーの推定値PNnと第4の雑音パワー比係数X4との積よりも大きい状態が第4の所定時間T4以上継続したときには送話偏重モードに移行するので、上述のように遠端側の通話端末の周囲に高レベルの非定常騒音が存在する場合でも送話偏重モードに確実に移行するから、片倒れの発生が防止できる。
【0084】
(実施形態
本実施形態の音声切換装置は、図14に示すように参考例1の構成に加えて、参考例2の受話信号音声区間検出手段10と、受話側損失挿入手段2の出力点から近端側の音響エコー経路HACを介して送話側損失挿入手段1の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得αを推定する音響側帰還利得推定手段11とを備え、音響側帰還利得αの推定値|α’|が所定の条件を満たさなければ偏重モード制御手段8が受話偏重モードに移行しない点に特徴がある。
【0085】
音響側帰還利得推定手段11では、送話側損失挿入手段1の入力信号(送話信号)の短時間における時間平均パワーを推定するとともに、受話側損失挿入手段2の入力信号(受話信号)の短時間における時間平均パワーを推定し、さらに音響側帰還経路HACにて想定される最大遅延時間において受話側損失挿入手段2の出力信号の時間平均パワーの推定値の最小値を求め、この最小値で送話側損失挿入手段1の入力信号の時間平均パワーの推定値を除算した値を音響側帰還利得αの推定値|α’|としている。
【0086】
上述の各実施形態においては、送話偏重モードのときには送話偏重モード設定用増幅器6の利得を増大させているために所謂受話ブロッキングが生じ易くなる。ここで受話ブロッキングとは、近端側が無音の状態で遠端側より音声が入力されたときに、近端側のスピーカ−マイクロホン間の音響結合によって生じる音響エコー信号により挿入損失量制御手段3において受話モードと推定されなくなり、受話側損失挿入手段2に損失が挿入されるため、遠端側から入力された音声を近端側で受聴する際に不自然な途切れを生じたり、損失量が大きい場合には全く聞き取れなくなる現象を言う。これに対して本実施形態では、音響側帰還利得αの推定値|α’|が所定のしきい値α0以下となる状態が一定時間以上継続しなければ偏重モード制御手段8が送話偏重モードに移行しないため、受話ブロッキングを防止できる。
【0087】
なお、音響側帰還利得αの推定値|α’|の求め方は、上記方法に限定されるものではなく、本出願人が既に出願した特許出願の明細書に記載した従来既知の方法を採用しても構わない。
【0088】
(実施形態10
本実施形態は偏重モード制御手段8に特徴があり、これ以外の構成については実施形態と同一であるから図示並びに説明を省略する。
【0089】
本実施形態においては、偏重モード制御手段8が、遠端側雑音パワーの推定値PFnが近端側雑音パワーの推定値PNnと第2の雑音パワー比係数X2との積以上であり、受話信号音声区間検出手段10の検出結果SDF2が音声区間でなく、且つ音響側帰還利得αの推定値|α’|が所定のしきい値α0以下である状態が所定時間以上継続しなければ送話偏重モードに移行しないことにより、受話ブロッキングの発生を抑えている点に特徴がある。
【0090】
本実施形態における偏重モード制御手段8は基本的な構成が実施形態と共通であって、図15に示すように第3の比較器81’、乗算器82’、インバータ83’、アンドゲート84’、計時手段85’、第4の比較器86’並びに利得設定部87’に加えて、音響側帰還利得αの推定値|α’|をしきい値α0と比較する第10の比較器185’と、アンドゲート84’の出力と第10の比較器185’の比較結果の論理積を求める第2のアンドゲート186’とを具備し、第2のアンドゲート186’の出力を計時手段85’の入力としている。
【0091】
次に本実施形態における偏重モード制御手段80の動作を説明する。但し、実施形態と同一構成の部分についての動作説明は省略し、実施形態に対して本実施形態で追加された構成の動作及び全体の動作についてのみ説明する。
【0092】
音響側帰還利得αの推定値|α’|としきい値α0とが第10の比較器185’で比較され、推定値|α’|がしきい値α0未満のときに1、推定値|α’|がしきい値α0以上のときに0の比較結果が第2のアンドゲート186’に出力される。したがって、遠端側背景雑音パワーの推定値PFnが前記積よりも大きい値であり、受話信号音声区間検出手段10により音声区間が検出されておらず、且つ音響側帰還利得αの推定値|α’|がしきい値α0未満の場合にのみ計時手段85’における継続時間T”がインクリメントされ、遠端側背景雑音パワーの推定値PFnが前記積よりも大きくなくなるか、受話信号音声区間検出手段10により音声区間が検出されるか、あるいは音響側帰還利得αの推定値|α’|がしきい値α0以上となるかの何れかの条件が成立すると計時手段85’における継続時間T”がリセットされる。そして、計時手段85’による継続時間T”が第2の所定時間T2を超えたときに第4の比較器86’の出力Z’が1となって利得設定部87’が送話偏重モード設定用増幅器6の利得GTをG[dB]、受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRを0[dB]に設定することで送話偏重モードに設定され、継続時間T”が第2の所定時間T2を超えなければ出力Z’は0となって利得設定部87’が送話偏重モード設定用増幅器6の利得GT及び受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRを何れも0[dB]に設定することで中立モードに設定される。
【0093】
而して、音響側帰還利得αの推定値|α’|がしきい値α0以上であるときには他の条件にかかわらず偏重モード制御手段8が常に中立モードに設定し、音響側帰還利得αが相対的に大きい状況では送話偏重モードに設定しないため、受話ブロッキングの発生を抑えることができる。さらに、しきい値α0を設定可変なパラメータとして利用できるので、機器の設置環境に応じて機器の性能を様々に設定することが可能である。
【0094】
(実施形態11
本実施形態の音声切換装置は、図16に示すように参考例2の構成に加えて、参考例1の送話信号音声区間検出手段9と、送話側損失挿入手段1の出力点から遠端側の回線エコー経路HLINを介して受話側損失挿入手段2の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得βを推定する回線側帰還利得推定手段12を備え、回線側帰還利得βの推定値|β’|が所定の条件を満たさなければ偏重モード制御手段8が送話偏重モードに移行しない点に特徴がある。
【0095】
回線側帰還利得推定手段12では、受話側損失挿入手段2の入力信号(受話信号)の短時間における時間平均パワーを推定するとともに、送話側損失挿入手段1の入力信号(送話信号)の短時間における時間平均パワーを推定し、さらに回線側帰還経路HLINにて想定される最大遅延時間において送話側損失挿入手段1の出力信号の時間平均パワーの推定値の最小値を求め、この最小値で受話側損失挿入手段2の入力信号の時間平均パワーの推定値を除算した値を回線側帰還利得βの推定値|β’|としている。
【0096】
上述の各実施形態においては、受話偏重モードのときには受話偏重モード設定用増幅器7の利得を増大させているために所謂送話ブロッキングが生じ易くなる。ここで送話ブロッキングとは、遠端側が無音の状態で近端側より音声が入力されたときに、遠端側における音響結合又は2線−4線変換回路における信号の回り込みによって生じる回線エコー信号により挿入損失量制御手段3において受話モードと推定されなくなり、送話側損失挿入手段1に損失が挿入されるため、近端側から入力された音声を遠端側で受聴する際に不自然な途切れを生じたり、損失量が大きい場合には全く聞き取れなくなる現象を言う。これに対して本実施形態では、回線側帰還利得βの推定値|β’|が所定値β0以下となる状態が一定時間以上継続しなければ偏重モード制御手段8が送話偏重モードに移行しないため、送話ブロッキングを防止できる。
【0097】
なお、回線側帰還利得βの推定値|β’|の求め方は、上記方法に限定されるものではなく、本出願人が既に出願した特許出願の明細書に記載した従来既知の方法を採用しても構わない。
【0098】
(実施形態12
本実施形態は偏重モード制御手段8に特徴があり、これ以外の構成については実施形態11と同一であるから図示並びに説明を省略する。
【0099】
本実施形態においては、偏重モード制御手段8が、近端側雑音パワーの推定値PNnが遠端側雑音パワーの推定値PFnと第1の雑音パワー比係数X1との積以上であり、送話信号音声区間検出手段9の検出結果SDF1が音声区間でなく、且つ回線側帰還利得βの推定値|β’|が所定のしきい値β0以下である状態が所定時間以上継続したときに受話偏重モードに設定することにより、送話ブロッキングの発生を抑えている点に特徴がある。
【0100】
本実施形態における偏重モード制御手段8は基本的な構成が実施形態と共通であって、図17に示すように第1の比較器81、乗算器82、インバータ83、アンドゲート84、計時手段85、第2の比較器86並びに利得設定部87に加えて、回線側帰還利得βの推定値|β’|をしきい値β0と比較する第9の比較器185と、アンドゲート84の出力と第9の比較器185の比較結果の論理積を求める第2のアンドゲート186とを具備し、第2のアンドゲート186の出力を計時手段85の入力としている。
【0101】
次に本実施形態における偏重モード制御手段8の動作を説明する。但し、実施形態と同一構成の部分についての動作説明は省略し、実施形態に対して本実施形態で追加された構成の動作及び全体の動作についてのみ説明する。
【0102】
回線側帰還利得βの推定値|β’|としきい値β0とが第9の比較器185で比較され、推定値|β’|がしきい値β0未満のときに1、推定値|β’|がしきい値β0以上のときに0の比較結果が第2のアンドゲート186に出力される。したがって、近端側背景雑音パワーの推定値PNnが前記積よりも大きい値であり、送話信号音声区間検出手段9により音声区間が検出されておらず、且つ回線側帰還利得βの推定値|β’|がしきい値β0未満の場合にのみ計時手段85における継続時間T’がインクリメントされ、近端側背景雑音パワーの推定値PNnが前記積以下になるか、送話信号音声区間検出手段9により音声区間が検出されるか、あるいは回線側帰還利得βの推定値|β’|がしきい値β0以上となるかの何れかの条件が成立すると計時手段85における継続時間T’がリセットされる。そして、計時手段85による継続時間T’が第1の所定時間T1を超えたときに第2の比較器86の出力Zが1となって利得設定部87が送話偏重モード設定用増幅器6の利得GTを0[dB]、受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRをG[dB]に設定することで受話偏重モードに設定され、継続時間T’が第1の所定時間T1を超えなければ出力Zは0となって利得設定部87が送話偏重モード設定用増幅器6の利得GT及び受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRを何れも0[dB]に設定することで中立モードに設定される。
【0103】
而して、回線側帰還利得βの推定値|β’|がしきい値β0以上であるときには他の条件にかかわらず偏重モード制御手段8が常に中立モードに設定し、回線側帰還利得βが相対的に大きい状況では受話偏重モードに設定しないため、送話ブロッキングの発生を抑えることができる。さらに、しきい値β0を設定可変なパラメータとして利用できるので、機器の設置環境に応じて機器の性能を様々に設定することが可能である。
【0104】
(実施形態13
本実施形態は、図18に示すように基本的な構成が実施形態並びに実施形態11と共通であるから共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、本実施形態の特徴となる構成についてのみ説明する。本実施形態では、音響側帰還利得推定手段11と回線側帰還利得推定手段12の両方を備え、送話信号音声区間検出手段9並びに受話信号音声区間検出手段10において、それぞれ回線側帰還利得βの推定値|β’|並びに音響側帰還利得αの推定値|α’|に応じて音声と非音声の判定に使用する送話側しきい値及び受話側しきい値Ps0,δが変更される点に特徴がある。なお、送話信号音声区間検出手段9及び受話信号音声区間検出手段10の構成は図2で示した参考例1のものと共通であるから図示並びに説明は省略する。
【0105】
受話信号音声区間検出手段10には音響側帰還利得αの推定値|α’|が入力されており、この推定値|α’|が所定の基準値よりも小さければ、音声/非音声判定部にて瞬時パワー推定値Psと比較されるしきい値Ps0並びに瞬時パワー推定値Psと背景雑音パワー推定値Pnとの比Ps/Pnと比較されるしきい値δが予め決められた最適値に設定され、推定値|α’|が基準値以上であれば、これら2つのしきい値Ps0,δが上記最適値よりも小さい値に設定される。これにより、音響側帰還利得αが相対的に大きい状況下において受話信号音声区間検出手段10によって音声区間が検出されやすくなり、音声区間が検出されている場合に送話偏重モードに設定されないために受話ブロッキングが生じにくくなる。
【0106】
一方、送話信号音声区間検出手段9には回線側帰還利得βの推定値|β’|が入力されており、この推定値|β’|が所定の基準値よりも小さければ、音声/非音声判定部にて瞬時パワー推定値Psと比較されるしきい値Ps0並びに瞬時パワー推定値Psと背景雑音パワー推定値Pnとの比Ps/Pnと比較されるしきい値δが予め決められた最適値に設定され、推定値|β’|が基準値以上であれば、これら2つのしきい値Ps0,δが上記最適値よりも小さい値に設定される。これにより、回線側帰還利得βが相対的に大きい状況下において送話信号音声区間検出手段9によって音声区間が検出されやすくなり、音声区間が検出されている場合に受話偏重モードに設定されないために送話ブロッキングが生じにくくなる。
【0107】
なお、帰還利得α,βの推定値|α’|,|β’|に応じて2つのしきい値Ps0,δを変更する代わりに、各音声区間検出手段9,10を構成する瞬時パワー推定部や背景雑音パワー推定部における演算で使用される時定数を変更するようにしても同様の効果を奏する。例えば、音響側帰還利得α,βの推定値|α’|,|β’|が所定の基準値よりも小さければ、時定数が予め決められた最適値に設定され、推定値|α’|,|β’|が基準値以上であれば、最適値に対して立ち上がり特性が遅く且つ立ち下がり特性が速くなるような値に時定数を設定すればよい。
【0108】
(実施形態14
図19は本実施形態の音声切換装置VSを備えた拡声通話端末の概略構成を示しており、実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付している。
【0109】
本実施形態における拡声通話端末では、実施形態と同様に送話信号音声区間検出手段9に対する送話側しきい値及び送話側時定数と、受話信号音声区間検出手段10に対する受話側しきい値及び送話側時定数とが、音響側帰還利得αの推定値|α’|としきい値α0の大小関係、並びに回線側帰還利得βの推定値|β’|としきい値β0の大小関係に応じた複数種類(本実施形態では2種類)の値としてフラッシュメモリ110に格納している。
【0110】
本実施形態における拡声通話端末では、実施形態と同様に、通話を開始する際にCPU200からDSP100に対して通話開始要求コマンドを通信用インタフェースを介して送信し、この通話開始要求コマンドを受け取ったコマンド処理手段103がその内容を解釈し、送話信号音声区間検出手段9並びに受話信号音声区間検出手段10において用いる上記パラメータ(送話側しきい値、送話側時定数、受話側しきい値、受話側時定数)の格納場所を示すアドレスデータをパラメータ設定手段104に与える。パラメータ設定手段104では受け取ったアドレスデータに基づいて送話側及び受話側のしきい値並びに時定数のデータをフラッシュメモリ110から読み込む。このとき、音響側帰還利得αの推定値|α’|としきい値α0の大小関係、並びに回線側帰還利得βの推定値|β’|としきい値β0の大小関係に応じた値のパラメータが選択され、パラメータ設定手段104により音声区間検出手段9,10を実現するソフトウェアモジュールに対して初期設定される。これら初期設定が完了した後、パラメータ設定手段104はパラメータの初期化が完了したことを示すフラグをセットし、このフラグのセットを受けてコマンド処理手段103が応答コマンドをCPU200に対して送信する。
【0111】
而して、本実施形態においては実施形態と同様に近端側の伝達特性と遠端側の伝達特性の差を簡単に補正できるとともに送話ブロッキング並びに受話ブロッキングを生じにくくできる。
【0112】
(実施形態15
図20は本実施形態の音声切換装置VSを備えた拡声通話端末の概略構成を示しており、実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付している。
【0113】
本実施形態では、送話信号音声区間検出手段9に対する送話側しきい値及び送話側時定数と、受話信号音声区間検出手段10に対する受話側しきい値及び送話側時定数とが、音響側帰還利得αの推定値|α’|としきい値α0の大小関係、並びに回線側帰還利得βの推定値|β’|としきい値β0の大小関係に応じた複数種類(本実施形態では2種類)の値に設定されるだけでなく、相手側の通話端末の種類(例えば、ドアホンとロビーインターホン)に応じて各々異なる値に設定可能としている。具体的には、実施形態と同様にフラッシュメモリ110の2つの領域M1,M2にそれぞれドアホン用のパラメータ(送話側及び受話側のしきい値並びに時定数)とロビーインターホン用のパラメータを格納している。そして、CPU200が呼出相手の通話端末の種類に応じたパラメータのアドレスをコマンドで指定し、パラメータ設定手段104が受け取ったアドレスデータに基づいて相手側の通話端末の種類に応じた送話側及び受話側のしきい値並びに時定数のデータをフラッシュメモリ110の領域M1,M2から読み込む。このとき、実施形態14と同様に音響側帰還利得αの推定値|α’|としきい値α0の大小関係、並びに回線側帰還利得βの推定値|β’|としきい値β0の大小関係に応じた値のパラメータが選択され、パラメータ設定手段104により音声区間検出手段9,10を実現するソフトウェアモジュールに対して初期設定される。
【0114】
而して、本実施形態においては送話信号音声区間検出手段9並びに受話信号送信音声区間検出部10に対する送話側及び受話側のしきい値及び時定数が相手側の通話端末毎に外部(CPU200)から各々個別に設定可能であるから、相手側の通話端末毎に異なる2つの伝達特性の差を簡単に補正することができるとともに送話ブロッキング並びに受話ブロッキングを生じにくくできる。
【0115】
(実施形態16
本実施形態は、偏重モード制御手段8が、近端側雑音パワーの推定値PNnと遠端側雑音パワーの推定値PFnとの差と、音響側並びに回線側の帰還利得推定値|α’|,|β’|を参照して送話偏重モード設定用増幅器6並びに受話偏重モード設定用増幅器7の利得GT,GRを適応的に更新する点に特徴がある。但し、全体の構成は実施形態13と同一であるから図示並びに説明は省略する。
【0116】
偏重モード制御手段8は、送話偏重モードに設定する場合に近端側雑音パワーの推定値PNnと遠端側雑音パワーの推定値PFnとの差(=PFn−PNn)が大きいほど送話偏重モード設定用増幅器6の利得GTを大きくし、受話偏重モードに設定する場合に近端側雑音パワーの推定値PNnと遠端側雑音パワーの推定値PFnとの差(=PNn−PFn)が大きいほど受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRを小さくするような制御を行う。ここで、送話偏重モード設定用増幅器6の利得GTを増大するときは音響側帰還利得αの推定値|α’|がしきい値α0を下回っていることを条件とし、受話偏重モード設定用増幅器7の利得GRを増大するときは回線側帰還利得βの推定値|β’|がしきい値β0を下回っていることを条件とする。さらに両利得GT,GRの増減に応じて利得GTとしきい値α0の積及び利得GRとしきい値β0の積が何れもほぼ一定値となるように両しきい値α0,β0を増減させる。なお、両利得GT,GRの値を更新する場合、送話信号及び受話信号の各音声区間検出手段9,10が何れも音声区間を検出していないことを条件とする。
【0117】
上述のようにして偏重モード制御手段8が近端側雑音パワーの推定値PNnと遠端側雑音パワーの推定値PFnとの差と、音響側並びに回線側の帰還利得推定値|α’|,|β’|を参照して送話偏重モード設定用増幅器6並びに受話偏重モード設定用増幅器7の利得GT,GRを適応的に更新するものであり、これにより、通話中の不自然な言葉の途切れを発生させることが無く、通話モードを送話モード又は受話モードにバランスよく切り換えることができ、さらに通話モードの切り換えに必要な遠端側及び近端側の発声レベルを下げることができる。
【0118】
ところで、上述のように偏重モード制御手段8により適応的に更新される送話偏重モード設定用増幅器6並びに受話偏重モード設定用増幅器7の利得GT,GRには上限値を設定することが望ましい。すなわち、両利得GT,GRが必要以上に大きな値に設定されると受話ブロッキングや送話ブロッキングが生じてしまうことになるから、利得GT,GRに予め上限値を設定しておいて偏重モード制御手段8が両利得GT,GRを適応的に更新する際に上限値を超えないようにすることで受話ブロッキングや送話ブロッキングの発生を抑えることができるようになる。
【0119】
【発明の効果】
請求項1の発明は、マイクロホン及びスピーカを有する拡声通話端末が他の通話端末又は拡声通話端末に有線で接続される拡声通話系の前記拡声通話端末に用いられ、前記マイクロホンで集音する送話信号を回線へ伝送するための送話側信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、回線から受信した受話信号を前記スピーカへ伝送するための受話側信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、前記送話側損失挿入手段に入力される送話信号を取り出して増幅する送話偏重モード設定用増幅手段と、前記受話側損失挿入手段に入力される受話信号を取り出して増幅する受話偏重モード設定用増幅手段と、前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段で増幅された送話信号及び受話信号に基づいて通話モードを推定するとともに該推定結果に応じて前記送話側損失挿入手段並びに受話側損失挿入手段が前記経路に挿入する損失量を制御して前記通話モードを送話モードと受話モードに切り換える挿入損失量制御手段と、送話信号に含まれる近端側の雑音パワーを推定する近端側雑音パワー推定手段と、受話信号に含まれる遠端側の雑音パワーを推定する遠端側雑音パワー推定手段と、遠端側雑音パワー並びに近端側雑音パワーの各推定値に応じて前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段の各利得を調整する偏重モード制御手段と、送話信号の音声区間を検出する送話信号音声区間検出手段とを備え、前記偏重モード制御手段は、前記送話偏重モード設 定用増幅手段及び前記受話偏重モード設定用増幅手段の各利得をほぼ等しくする中立モードと前記受話偏重モード設定用増幅手段の利得を前記送話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させる受話偏重モードの何れかに設定するものであって、前記近端側雑音パワーの推定値が前記遠端側雑音パワーの推定値と所定の第1の雑音パワー比係数との積以上の値となり且つ前記送話信号音声区間検出手段によって音声区間が検出されない状態の継続時間を計時し、前記継続時間が第1の所定時間以上となったときに受話偏重モード設定用増幅手段の利得を送話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させて受話偏重モードに設定し、前記近端側雑音パワーの推定値と前記遠端側雑音パワーの推定値の差が充分に大きい値でなければ中立モードに設定することを特徴とし、従来のように近端側雑音パワー並びに遠端側雑音パワーの各推定値のみに基づいて偏重モードを設定するのではなく、遠端側並びに近端側の各雑音パワーの推定値の大小関係と送話信号音声区間検出手段の検出結果に基づいて偏重モード制御手段が偏重モードを設定するのであり、例えば近端側から一方的に発声している場合に偏重モード制御手段が受話偏重モードに設定しないから、近端側の話者が発声しているにもかかわらず挿入損失量制御手段が送話モードから受話モードに誤って切り換えてしまうのを防止することができ、音声の途切れや不自然な抑揚を抑えることができる。また、第1の雑音パワー比係数と第1の所定時間によって偏重モード制御手段による受話偏重モードへの切換特性を任意に設定することができる。
【0120】
請求項2の発明は、イクロホン及びスピーカを有する拡声通話端末が他の通話端末又は拡声通話端末に有線で接続される拡声通話系の前記拡声通話端末に用いられ、前記マイクロホンで集音する送話信号を回線へ伝送するための送話側信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、回線から受信した受話信号を前記スピーカへ伝送するための受話側信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、前記送話側損失挿入手段に入力される送話信号を取り出して増幅する送話偏重モード設定用増幅手段と、前記受話側損失挿入手段に入力される受話信号を取り出して増幅する受話偏重モード設定用増幅手段と、前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段で増幅された送話信号及び受話信号に基づいて通話モードを推定するとともに該推定結果に応じて前記送話側損失挿入手段並びに受話側損失挿入手段が前記経路に挿入する損失量を制御して前記通話モードを送話モードと受話モードに切り換える挿入損失量制御手段と、送話信号に含まれる近端側の雑音パワーを推定する近端側雑音パワー推定手段と、受話信号に含まれる遠端側の雑音パワーを推定する遠端側雑音パワー推定手段と、遠端側雑音パワー並びに近端側雑音パワーの各推定値に応じて前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段の各利得を調整する偏重モード制御手段と、受話信号の音声区間を検出する受話信号音声区間検出手段とを備え、前記偏重モード制御手段は、遠端側並びに近端側の各雑音パワーの推定値の大小関係と前記受話信号音声区間検出手段の検出結果に基づいて、前記送話偏重モード設定用増幅手段及び前記受話偏重モード設定用増幅手段の各利得をほぼ等しくする中立モードと前記送話偏重モード設定用増幅手段の利得を前記受話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させる送話偏重モードの何れかに設定するものであって、前記遠端側雑音パワーの推定値が前記近端側雑音パワーの推定値と所定の第2の雑音パワー比係数との積以上の値となり且つ前記受話信号音声区間検出手段によって音声区間が検出されない状態の継続時間を計時し、前記継続時間が第2の所定時間以上となったときに送話偏重モード設定用増幅手段の利得を受話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させて送話偏重モードに設定し、前記近端側雑音パワーの推定値と前記遠端側雑音パワーの推定値の差が充分に大きい値でなければ中立モードに設定することを特徴とし、従来のように近端側雑音パワー並びに遠端側雑音パワーの各推定値のみに基づいて偏重モードを設定するのではなく、遠端側並びに近端側の各雑音パワーの推定値の大小関係と受話信号音声区間検出手段の検出結果に基づいて偏重モード制御手段が偏重モードを設定するのであり、例えば遠端側から一方的に発声している場合に偏重モード制御手段が送話偏重モードに設定しないから、遠端側の話者が発声しているにもかかわらず挿入損失量制御手段が受話モードから送話モードに誤って切り換えてしまうのを防止することができ、音声の途切れや不自然な抑揚を抑えることができる。また、第2の雑音パワー比係数と第2の所定時間によって偏重モード制御手段による送話偏重モードへの切換特性を任意に設定することができる。
【0121】
請求項3の発明は、マイクロホン及びスピーカを有する拡声通話端末が他の通話端末又は拡声通話端末に有線で接続される拡声通話系の前記拡声通話端末に用いられ、前記マイクロホンで集音する送話信号を回線へ伝送するための送話側信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、回線から受信した受話信号を前記スピーカへ伝送するための受話側信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、前記送話側損失挿入手段に入力される送話信号を取り出して増幅する送話偏重モード設定用増幅手段と、前記受話側損失挿入手段に入力される受話信号を取り出して増幅する受話偏重モード設定用増幅手段と、前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段で増幅された送話信号及び受話信号に基づいて通話モードを推定するとともに該推定結果に応じて前記送話側損失挿入手段並びに受話側損失挿入手段が前記経路に挿入する損失量を制御して前記通話モードを送話モードと受話モードに切り換える挿入損失量制御手段と、送話信号に含まれる近端側の雑音パワーを推定する近端側雑音パワー推定手段と、受話信号に含まれる遠端側の雑音パワーを推定する遠端側雑音パワー推定手段と、遠端側雑音パワー並びに近端側雑音パワーの各推定値に応じて前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段の各利得を調整する偏重モード制御手段と、受話信号の音声区間を検出する受話信号音声区間検出手段と、送話信号の音声区間を検出する送話信号音声区間検出手段とを備え、前記偏重モード制御手段は、遠端側並びに近端側の各雑音パワーの推定値の大小関係と前記受話信号音声区間検出手段の検出結果に基づいて、前記送話偏重モード設定用増幅手段及び前記受話偏重モード設定用増幅手段の各利得をほぼ等しくする中立モードと前記受話偏重モード設定用増幅手段の利得を前記送話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させる受話偏重モードと前記送話偏重モード設定用増幅手段の利得を前記受話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させる送話偏重モードの何れかに設定するものであって、前記近端側雑音パワーの推定値が前記遠端側雑音パワーの推定値と所定の第1の雑音パワー比係数との積以上の値となり且つ前記送話信号音声区間検出手段によって音声区間が検出されない状態の継続時間を計時し、前記継続時間が第1の所定時間以上となったときに受話偏重モード設定用増幅手段の利得を送話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させて受話偏重モードに設定し、前記遠端側雑音パワーの推定値が前記近端側雑音パワーの推定値と所定の第2の雑音パワー比係数との積以上の値となり且つ前記受話信号音声区間検出手段によって音声区間が検出されない状態の継続時間を計時し、前記継続時間が第2の所定時間以上となったときに送話偏重モード設定用増幅手段の利得を受話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させて送話偏重モードに設定し、前記近端側雑音パワーの推定値と前記遠端側雑音パワーの推定値の差が充分に大きい値でなければ中立モードに設定することを特徴とし、従来のように近端側雑音パワー並びに遠端側雑音パワーの各推定値のみに基づいて偏重モードを設定するのではなく、遠端側並びに近端側の各雑音パワーの推定値の大小関係と送話信号音声区間検出手段の検出結果に基づいて偏重モード制御手段が偏重モードを設定するのであり、例えば近端側から一方的に発声している場合に偏重モード制御手段が受話偏重モードに設定しないから、近端側の話者が発声しているにもかかわらず挿入損失量制御手段が送話モードから受話モードに誤って切り換えてしまうのを防止することができ、音声の途切れや不自然な抑揚を抑えることができる。また、第1の雑音パワー比係数と第1の所定時間によって偏重モード制御手段による受話偏重モードへの切換特性を任意に設定することができるとともに、第2の雑音パワー比係数と第2の所定時間によって偏重モード制御手段による送話偏重モードへの切換特性を任意に設定することができる。
【0122】
請求項の発明は、請求項1〜の何れかの発明において、前記音声区間検出手段は、送話側又は受話側の損失挿入手段への入力信号の瞬時パワーを推定する瞬時パワー推定部と、前記損失挿入手段への入力信号に含まれる雑音パワーを推定する雑音パワー推定部と、前記瞬時パワー推定値を所定のしきい値並びに前記雑音パワー推定値と所定値の積とそれぞれ比較するとともに前記瞬時パワー推定値が前記しきい値より大きく且つ前記瞬時パワー推定値が前記積よりも大きいときに前記損失挿入手段への入力信号を音声信号と判定するとともに大きくないときに非音声信号と判定する音声/非音声判定部とを具備し、前記しきい値並びに前記所定値を外部から設定可能としたことを特徴とし、種々の拡声通話端末に容易に適応させることができる。
【0123】
請求項の発明は、請求項の発明において、前記しきい値及び所定値又は前記パラメータを前記送話側又は受話側の音声区間検出手段に対して外部から個別に設定可能としたことを特徴とし、近端側の伝達特性と遠端側の伝達特性との差が簡単に補正できる。
【0124】
請求項の発明は、請求項の発明において、前記しきい値及び所定値又は前記パラメータを前記他の通話端末の種類に応じて各々異なる値に設定可能としたことを特徴とし、相手側の通話端末毎に異なる近端側の伝達特性と遠端側の伝達特性との差が簡単に補正できる。
【0125】
請求項7の発明は、請求項1〜3の何れかの発明において、前記音声区間検出手段は、送話側又は受話側の損失挿入手段への入力信号の瞬時パワーを推定する瞬時パワー推定部と、前記損失挿入手段への入力信号に含まれる雑音パワーを推定する雑音パワー推定部と、前記瞬時パワー推定値を所定のしきい値並びに前記雑音パワー推定値と所定値の積とそれぞれ比較するとともに前記瞬時パワー推定値が前記しきい値より大きく且つ前記瞬時パワー推定値が前記積よりも大きいときに前記損失挿入手段への入力信号を音声信号と判定するとともに大きくないときに非音声信号と判定する音声/非音声判定部とを具備し、前記瞬時パワー推定部は立ち上がりが急峻で立ち下がりが緩やかな特性を有するフィルタからなり、前記雑音パワー推定部は立ち上がりが緩やかで立ち下がりが急峻な特性を有するフィルタからなり、該フィルタの前記特性を決定するパラメータを外部から設定可能としたことを特徴とし、種々の拡声通話端末に容易に適応させることができる。
【0126】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記パラメータを前記送話側又は受話側の音声区間検出手段に対して外部から個別に設定可能としたことを特徴とし、近端側の伝達特性と遠端側の伝達特性との差が簡単に補正できる。
【0127】
請求項9の発明は、請求項7の発明において、前記パラメータを前記他の通話端末の種類に応じて各々異なる値に設定可能としたことを特徴とし、相手側の通話端末毎に異なる近端側の伝達特性と遠端側の伝達特性との差が簡単に補正できる。
【0128】
請求項10の発明は、請求項1又は3の発明において、前記偏重モード制御手段は、前記継続時間が前記第1の所定時間未満であっても、前記近端側雑音パワーの推定値が前記遠端側雑音パワーの推定値と前記第1の雑音パワー比係数よりも大きい所定の第3の雑音パワー比係数との積以上となる状態が前記第1の所定時間よりも長い所定の第3の所定時間以上継続したときには受話偏重モードに設定することを特徴とし、近端側の通話端末の周囲に高レベルの非定常騒音が存在する場合でも受話偏重モードに設定され難くなるのを防いで通話モードが送話モードに固定されてしまう、所謂片倒れの発生が防止できる。
【0129】
請求項11の発明は、請求項2又は3の発明において、前記偏重モード制御手段は、前記継続時間が前記第2の所定時間未満であっても、前記遠端側雑音パワーの推定値が前記近端側雑音パワーの推定値と前記第2の雑音パワー比係数よりも大きい所定の第4の雑音パワー比係数との積以上となる状態が前記第2の所定時間よりも長い所定の第4の所定時間以上継続したときには送話偏重モードに設定することを特徴とし、遠端側の通話端末の周囲に高レベルの非定常騒音が存在する場合でも送話偏重モードに設定され難くなるのを防いで通話モードが受話モードに固定されてしまう、所謂片倒れの発生が防止できる。
【0130】
請求項12の発明は、請求項2又は3の発明において、前記受話側損失挿入手段の出力点から近端側の音響エコー経路を介して前記送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定する音響側帰還利得推定手段を備え、前記偏重モード制御手段は、音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以下となる状態が一定時間以上継続しなければ送話偏重モードに移行しないことを特徴とし、受話ブロッキングを防止することができる。
【0131】
請求項13の発明は、請求項12の発明において、前記偏重モード制御手段は、前記遠端側雑音パワーの推定値が前記近端側雑音パワーの推定値と前記第2の雑音パワー比係数との積以上であり、前記受話信号音声区間検出手段の検出結果が非音声区間であり、且つ前記音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値未満である状態が所定時間以上継続したときに送話偏重モードに設定することを特徴とし、音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以上であるときには他の条件にかかわらず偏重モード制御手段が常に中立モードに設定し、音響側帰還利得が相対的に大きい状況では送話偏重モードに設定しないため、受話ブロッキングが防止できる。また、しきい値が設定可変なパラメータとして利用できるので、音声切換装置を利用する機器の設置環境に応じて当該機器の性能を様々に設定することが可能である。
【0132】
請求項14の発明は、請求項1又は3の発明において、前記送話側損失挿入手段の出力点から遠端側の回線エコー経路を介して前記受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定する回線側帰還利得推定手段を備え、前記偏重モード制御手段は、回線側帰還利得の推定値が所定値以下となる状態が一定時間以上継続しなければ受話偏重モードに移行しないことを特徴とし、送話ブロッキングを防止することができる。
【0133】
請求項15の発明は、請求項14の発明において、前記偏重モード制御手段は、前記近端側雑音パワーの推定値が前記遠端側雑音パワーの推定値と前記第1の雑音パワー比係数との積以上であり、前記送話信号音声区間検出手段の検出結果が非音声区間であり、且つ前記回線側帰還利得の推定値が所定のしきい値未満である状態が所定時間以上継続したときに受話偏重モードに設定することを特徴とし、回線側帰還利得の推定値が所定のしきい値以上であるときには他の条件にかかわらず偏重モード制御手段が常に中立モードに設定し、回線側帰還利得が相対的に大きい状況では受話偏重モードに設定しないため、送話ブロッキングが防止できる。また、しきい値が設定可変なパラメータとして利用できるので、音声切換装置を利用する機器の設置環境に応じて当該機器の性能を様々に設定することが可能である。
【0134】
請求項16の発明は、請求項の発明において、前記送話側損失挿入手段の出力点から遠端側の回線エコー経路を介して前記受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定する回線側帰還利得推定手段と、前記受話側損失挿入手段の出力点から近端側の音響エコー経路を介して前記送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定する音響側帰還利得推定手段とを備え、前記偏重モード制御手段は、回線側帰還利得の推定値が所定のしきい値未満である状態が所定時間以上継続しなければ受話偏重モードに移行せず、且つ音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以下となる状態が一定時間以上継続しなければ送話偏重モードに移行せず、前記送話側及び受話側の各音声区間検出手段は、送話側又は受話側の損失挿入手段への入力信号の瞬時パワーを推定する瞬時パワー推定部と、前記損失挿入手段への入力信号に含まれる雑音パワーを推定する雑音パワー推定部と、前記瞬時パワー推定値を所定のしきい値並びに前記雑音パワー推定値と所定値の積とそれぞれ比較するとともに前記瞬時パワー推定値が前記しきい値より大きく且つ前記瞬時パワー推定値が前記積よりも大きいときに前記損失挿入手段への入力信号を音声信号と判定するとともに大きくないときに非音声信号と判定する音声/非音声判定部とを具備し、前記送話側及び受話側の各音声区間検出手段は、前記音響側並びに回線側の各帰還利得推定手段の推定値に応じて前記しきい値及び所定値が変更されることを特徴とし、帰還利得が相対的に大きい状況下において音声区間検出手段によって音声区間が検出されやすくなり、音声区間が検出されている場合に偏重モードに設定されないために送話あるいは受話ブロッキングが生じにくくなる。
【0135】
請求項17の発明は、請求項の発明において、前記送話側損失挿入手段の出力点から遠端側の回線エコー経路を介して前記受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定する回線側帰還利得推定手段と、前記受話側損失挿入手段の出力点から近端側の音響エコー経路を介して前記送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定する音響側帰還利得推定手段とを備え、前記偏重モード制御手段は、回線側帰還利得の推定値が所定のしきい値未満である状態が所定時間以上継続しなければ受話偏重モードに移行せず、且つ音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以下となる状態が一定時間以上継続しなければ送話偏重モードに移行せず、前記送話側及び受話側の各音声区間検出手段は、送話側又は受話側の損失挿入手段への入力信号の瞬時パワーを推定する瞬時パワー推定部と、前記挿入手段への入力信号に含まれる雑音パワーを推定する雑音パワー推定部と、前記瞬時パワー推定値を所定のしきい値並びに前記雑音パワー推定値と所定値の積とそれぞれ比較するとともに前記瞬時パワー推定値が前記しきい値より大きく且つ前記瞬時パワー推定値が前記積よりも大きいときに前記損失挿入手段への入力信号を音声信号と判定するとともに大きくないときに非音声信号と判定する音声/非音声判定部とを具備し、前記瞬時パワー推定部は立ち上がりが急峻で立ち下がりが緩やかな特性を有するフィルタからなり、前記雑音パワー推定部は立ち上がりが緩やかで立ち下がりが急峻な特性を有するフィルタからなり、前記送話側及び受話側の各音声区間検出手段は、前記音響側並びに回線側の各帰還利得推定手段の推定値に応じて前記特性を決定するパラメータが変更されることを特徴とし、帰還利得が相対的に大きい状況下において音声区間検出手段によって音声区間が検出されやすくなり、音声区間が検出されている場合に偏重モードに設定されないために送話あるいは受話ブロッキングが生じにくくなる。
【0136】
請求項18の発明は、請求項17の発明において、前記しきい値及び所定値と前記パラメータを前記送話側並びに受話側の各音声区間検出手段に対して外部から個別に設定可能としたことを特徴とし、近端側の伝達特性と遠端側の伝達特性との差が簡単に補正できるとともに送話あるいは受話ブロッキングが生じにくくなる。
【0137】
請求項19の発明は、請求項17の発明において、前記しきい値及び所定値と前記パラメータを前記他の通話端末の種類に応じて各々異なる値に設定可能としたことを特徴とし、相手側の通話端末毎に異なる近端側と遠端側の2つの伝達特性の差を簡単に補正することができるとともに送話ブロッキング並びに受話ブロッキングを生じにくくできる。
【0138】
請求項20の発明は、請求項の発明において、前記送話側損失挿入手段の出力点から遠端側の回線エコー経路を介して前記受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定する回線側帰還利得推定手段と、前記受話側損失挿入手段の出力点から近端側の音響エコー経路を介して前記送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定する音響側帰還利得推定手段とを備え、前記偏重モード制御手段は、回線側帰還利得の推定値が所定のしきい値未満である状態が所定時間以上継続しなければ受話偏重モードに移行せず、且つ音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以下となる状態が一定時間以上継続しなければ送話偏重モードに移行せず、前記近端側雑音パワーの推定値と前記遠端側雑音パワーの推定値との差と、前記音響側並びに回線側の帰還利得推定値を参照して前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段の利得を適応的に更新することを特徴とし、通話中の不自然な言葉の途切れを発生させることが無く、通話モードを送話モード又は受話モードにバランスよく切り換えることができ、さらに通話モードの切り換えに必要な遠端側及び近端側の発声レベルを下げることができる。
【0139】
請求項21の発明は、請求項20の発明において、前記偏重モード制御手段により適応的に更新される前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段の利得に上限値を設定したことを特徴とし、偏重モード制御手段が両利得を適応的に更新する際に上限値を超えないようにすることで受話ブロッキングや送話ブロッキングの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例1を示すブロック図である。
【図2】 同上における送話信号音声区間検出手段のブロック図である。
【図3】 同上における偏重モード制御手段の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】 実施形態における偏重モード制御手段のブロック図である。
【図5】 参考例2を示すブロック図である。
【図6】 同上における偏重モード制御手段の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】 実施形態における偏重モード制御手段のブロック図である。
【図8】 実施形態の音声切換装置を備えた拡声通話端末を示す一部省略したブロック図である。
【図9】 実施形態の音声切換装置を備えた拡声通話端末を示す一部省略したブロック図である。
【図10】 実施形態の音声切換装置を備えた拡声通話端末を示す一部省略したブロック図である。
【図11】 実施形態の音声切換装置を備えた拡声通話端末を示す一部省略したブロック図である。
【図12】 実施形態における偏重モード制御手段のブロック図である。
【図13】 実施形態における偏重モード制御手段のブロック図である。
【図14】 実施形態を示すブロック図である。
【図15】 実施形態10における偏重モード制御手段のブロック図である。
【図16】 実施形態11を示すブロック図である。
【図17】 実施形態12における偏重モード制御手段のブロック図である。
【図18】 実施形態13を示すブロック図である。
【図19】 実施形態14の音声切換装置を備えた拡声通話端末を示す一部省略したブロック図である。
【図20】 実施形態15の音声切換装置を備えた拡声通話端末を示す一部省略したブロック図である。
【図21】 従来例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 送話側損失挿入手段
2 受話側損失挿入手段
3 挿入損失量制御手段
4 近端側雑音パワー推定手段
5 遠端側雑音パワー推定手段
6 送話偏重モード設定用増幅器
7 受話偏重モード設定用増幅器
8 偏重モード制御手段
9 送話信号音声区間検出手段

Claims (21)

  1. マイクロホン及びスピーカを有する拡声通話端末が他の通話端末又は拡声通話端末に有線で接続される拡声通話系の前記拡声通話端末に用いられ、前記マイクロホンで集音する送話信号を回線へ伝送するための送話側信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、回線から受信した受話信号を前記スピーカへ伝送するための受話側信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、前記送話側損失挿入手段に入力される送話信号を取り出して増幅する送話偏重モード設定用増幅手段と、前記受話側損失挿入手段に入力される受話信号を取り出して増幅する受話偏重モード設定用増幅手段と、前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段で増幅された送話信号及び受話信号に基づいて通話モードを推定するとともに該推定結果に応じて前記送話側損失挿入手段並びに受話側損失挿入手段が前記経路に挿入する損失量を制御して前記通話モードを送話モードと受話モードに切り換える挿入損失量制御手段と、送話信号に含まれる近端側の雑音パワーを推定する近端側雑音パワー推定手段と、受話信号に含まれる遠端側の雑音パワーを推定する遠端側雑音パワー推定手段と、遠端側雑音パワー並びに近端側雑音パワーの各推定値に応じて前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段の各利得を調整する偏重モード制御手段と、送話信号の音声区間を検出する送話信号音声区間検出手段とを備え、前記偏重モード制御手段は、前記送話偏重モード設定用増幅手段及び前記受話偏重モード設定用増幅手段の各利得をほぼ等しくする中立モードと前記受話偏重モード設定用増幅手段の利得を前記送話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させる受話偏重モードの何れかに設定するものであって、前記近端側雑音パワーの推定値が前記遠端側雑音パワーの推定値と所定の第1の雑音パワー比係数との積以上の値となり且つ前記送話信号音声区間検出手段によって音声区間が検出されない状態の継続時間を計時し、前記継続時間が第1の所定時間以上となったときに受話偏重モード設定用増幅手段の利得を送話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させて受話偏重モードに設定し、前記近端側雑音パワーの推定値と前記遠端側雑音パワーの推定値の差が充分に大きい値でなければ中立モードに設定することを特徴とする音声切換装置。
  2. マイクロホン及びスピーカを有する拡声通話端末が他の通話端末又は拡声通話端末に有線で接続される拡声通話系の前記拡声通話端末に用いられ、前記マイクロホンで集音する送話信号を回線へ伝送するための送話側信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、回線から受信した受話信号を前記スピーカへ伝送するための受話側信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、前記送話側損失挿入手段に入力される送話信号を取り出して増幅する送話偏重モード設定用増幅手段と、前記受話側損失挿入手段に入力される受話信号を取り出して増幅する受話偏重モード設定用増幅手段と、前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段で増幅された送話信号及び受話信号に基づいて通話モードを推定するとともに該推定結果に応じて前記送話側損失挿入手段並びに受話側損失挿入手段が前記経路に挿入する損失量を制御して前記通話モードを送話モードと受話モードに切り換える挿入損失量制御手段と、送話信号に含まれる近端側の雑音パワーを推定する近端側雑音パワー推定手段と、受話信号に含まれる遠端側の雑音パワーを推定する遠端側雑音パワー推定手段と、遠端側雑音パワー並びに近端側雑音パワーの各推定値に応じて前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段の各利得を調整する偏重モード制御手段と、受話信号の音声区間を検出する受話信号音声区間検出手段とを備え、前記偏重モード制御手段は、遠端側並びに近端側の各雑音パワーの推定値の大小関係と前記受話信号音声区間検出手段の検出結果に基づいて、前記送話偏重モード設定用増幅手段及び前記受話偏重モード設定用増幅手段の各利得をほぼ等しくする中立モードと前記送話偏重モード設定用増幅手段の利得を前記受話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させる送話偏重モードの何れかに設定するものであって、前記遠端側雑音パワーの推定値が前記近端側雑音パワーの推定値と所定の第2の雑音パワー比係数との積以上の値となり且つ前記受話信号音声区間検出手段によって音声区間が検出されない状態の継続時間を計時し、前記継続時間が第2の所定時間以上となったときに送話偏重モード設定用増幅手段の利得を受話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させて送話偏重モードに設定し、前記近端側雑音パワーの推定値と前記遠端側雑音パワーの推定値の差が充分に大きい値でなければ中立モードに設定することを特徴とする音声切換装置。
  3. マイクロホン及びスピーカを有する拡声通話端末が他の通話端末又は拡声通話端末に有線で接続される拡声通話系の前記拡声通話端末に用いられ、前記マイクロホンで集音する送話信号を回線へ伝送するための送話側信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、回線から受信した受話信号を前記スピーカへ伝送するための受話側信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、前記送話側損失挿入手段に入力される送話信号を取り出して増幅する送話偏重モード設定用増幅手段と、前記受話側損失挿入手段に入力される受話信号を取り出して増幅する受話偏重モード設定用増幅手段と、前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段で増幅された送話信号及び受話信号に基づいて通話モードを推定するとともに該推定結果に応じて前記送話側損失挿入手段並びに受話側損失挿入手段が前記経路に挿入する損失量を制御して前記通話モードを送話モードと受話モードに切り換える挿入損失量制御手段と、送話信号に含まれる近端側の雑音パワーを推定する近端側雑音パワー推定手段と、受話信号に含まれる遠端側の雑音パワーを推定する遠端側雑音パワー推定手段と、遠端側雑音パワー並びに近端側雑音パワーの各推定値に応じて前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段の各利得を調整する偏重モード制御手段と、受話信号の音声区間を検出する受話信号音声区間検出手段と、送話信号の音声区間を検出する送話信号音声区間検出手段とを備え、前記偏重モード制御手段は、遠端側並びに近端側の各雑音パワーの推定値の大小関係と前記受話信号音声区間検出手段の検出結果に基づいて、前記送話偏重モード設定用増幅手段及び前記受話偏重モード設定用増幅手段の各利得をほぼ等しくする中立モードと前記受話偏重モード設定用増幅手段の利得を前記送話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させる受話偏重モードと前記送話偏重モード設定用増幅手段の利得を前記受話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させる送話偏重モードの何れかに設定するものであって、前記近端側雑音パワーの推定値が前記遠端側雑音パワーの推定値と所定の第1の雑音パワー比係数との積以上の値となり且つ前記送話信号音声区間検出手段によって音声区間が検出されない状態の継続時間を計時し、前記継続時間が第1の所定時間以上となったときに受話偏重モード設定用増幅手段の利得を送話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させて受話偏重モードに設定し、前記遠端側雑音パワーの推定値が前記近端側雑音パワーの推定値と所定の第2の雑音パワー比係数との積以上の値となり且つ前記受話信号音声区間検出手段によって音声区間が検出されない状態の継続時間を計時し、前記継続時間が第2の所定時間以上となったときに送話偏重モード設定用増幅手段の利得を受話偏重モード設定用増幅手段の利得よりも増大させて送話偏重モードに設定し、前記近端側雑音パワーの推定値と前記遠端側雑音パワーの推定値の差が充分に大きい値でなければ中立モードに設定することを特徴とする音声切換装置。
  4. 前記音声区間検出手段は、送話側又は受話側の損失挿入手段への入力信号の瞬時パワーを推定する瞬時パワー推定部と、前記損失挿入手段への入力信号に含まれる雑音パワーを推定する雑音パワー推定部と、前記瞬時パワー推定値を所定のしきい値並びに前記雑音パワー推定値と所定値の積とそれぞれ比較するとともに前記瞬時パワー推定値が前記しきい値より大きく且つ前記瞬時パワー推定値が前記積よりも大きいときに前記損失挿入手段への入力信号を音声信号と判定するとともに大きくないときに非音声信号と判定する音声/非音声判定部とを具備し、前記しきい値並びに前記所定値を外部から設定可能としたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の音声切換装置。
  5. 前記しきい値及び所定値を前記送話側又は受話側の音声区間検出手段に対して外部から個別に設定可能としたことを特徴とする請求項4記載の音声切換装置。
  6. 前記しきい値及び所定値を前記他の通話端末の種類に応じて各々異なる値に設定可能としたことを特徴とする請求項4記載の音声切換装置。
  7. 前記音声区間検出手段は、送話側又は受話側の損失挿入手段への入力信号の瞬時パワーを推定する瞬時パワー推定部と、前記損失挿入手段への入力信号に含まれる雑音パワーを推定する雑音パワー推定部と、前記瞬時パワー推定値を所定のしきい値並びに前記雑音パワー推定値と所定値の積とそれぞれ比較するとともに前記瞬時パワー推定値が前記しきい値より大きく且つ前記瞬時パワー推定値が前記積よりも大きいときに前記損失挿入手段への入力信号を音声信号と判定するとともに大きくないときに非音声信号と判定する音声/非音声判定部とを具備し、前記瞬時パワー推定部は立ち上がりが急峻で立ち下がりが緩やかな特性を有するフィルタからなり、前記雑音パワー推定部は立ち上がりが緩やかで立ち下がりが急峻な特性を有するフィルタからなり、該フィルタの前記特性を決定するパラメータを外部から設定可能としたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の音声切換装置。
  8. 前記パラメータを前記送話側又は受話側の音声区間検出手段に対して外部から個別に設定可能としたことを特徴とする請求項7記載の音声切換装置。
  9. 前記パラメータを前記他の通話端末の種類に応じて各々異なる値に設定可能としたことを特徴とする請求項7記載の音声切換装置。
  10. 前記偏重モード制御手段は、前記継続時間が前記第1の所定時間未満であっても、前記近端側雑音パワーの推定値が前記遠端側雑音パワーの推定値と前記第1の雑音パワー比係数よりも大きい所定の第3の雑音パワー比係数との積以上となる状態が前記第1の所定時間よりも長い所定の第3の所定時間以上継続したときには受話偏重モードに設定することを特徴とする請求項1又は3記載の音声切換装置。
  11. 前記偏重モード制御手段は、前記継続時間が前記第2の所定時間未満であっても、前記遠端側雑音パワーの推定値が前記近端側雑音パワーの推定値と前記第2の雑音パワー比係数よりも大きい所定の第4の雑音パワー比係数との積以上となる状態が前記第2の所定時間よりも長い所定の第4の所定時間以上継続したときには送話偏重モードに設定することを特徴とする請求項2又は3記載の音声切換装置。
  12. 前記受話側損失挿入手段の出力点から近端側の音響エコー経路を介して前記送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定する音響側帰還利得推定手段を備え、前記偏重モード制御手段は、音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以下となる状態が一定時間以上継続しなければ送話偏重モードに移行しないことを特徴とする請求項2又は3記載の音声切換装置。
  13. 前記偏重モード制御手段は、前記遠端側雑音パワーの推定値が前記近端側雑音パワーの推定値と前記第2の雑音パワー比係数との積以上であり、前記受話信号音声区間検出手段の検出結果が非音声区間であり、且つ前記音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値未満である状態が所定時間以上継続したときに送話偏重モードに設定することを特徴とする請求項12記載の音声切換装置。
  14. 前記送話側損失挿入手段の出力点から遠端側の回線エコー経路を介して前記受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定する回線側帰還利得推定手段を備え、前記偏重モード制御手段は、回線側帰還利得の推定値が所定値以下となる状態が一定時間以上継続しなければ受話偏重モードに移行しないことを特徴とする請求項1又は3記載の音声切換装置。
  15. 前記偏重モード制御手段は、前記近端側雑音パワーの推定値が前記遠端側雑音パワーの推定値と前記第1の雑音パワー比係数との積以上であり、前記送話信号音声区間検出手段の検出結果が非音声区間であり、且つ前記回線側帰還利得の推定値が所定のしきい値未満である状態が所定時間以上継続したときに受話偏重モードに設定することを特徴とする請求項14記載の音声切換装置。
  16. 前記送話側損失挿入手段の出力点から遠端側の回線エコー経路を介して前記受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定する回線側帰還利得推定手段と、前記受話側損失挿入手段の出力点から近端側の音響エコー経路を介して前記送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定する音響側帰還利得推定手段とを備え、前記偏重モード制御手段は、回線側帰還利得の推定値が所定のしきい値未満である状態が所定時間以上継続しなければ受話偏重モードに移行せず、且つ音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以下となる状態が一定時間以上継続しなければ送話偏重モードに移行せず、前記送話側及び受話側の各音声区間検出手段は、送話側又は受話側の損失挿入手段への入力信号の瞬時パワーを推定する瞬時パワー推定部と、前記損失挿入手段への入力信号に含まれる雑音パワーを推定する雑音パワー推定部と、前記瞬時パワー推定値を所定のしきい値並びに前記雑音パワー推定値と所定値の積とそれぞれ比較するとともに前記瞬時パワー推定値が前記しきい値より大きく且つ前記瞬時パワー推定値が前記積よりも大きいときに前記損失挿入手段への入力信号を音声信号と判定するとともに大きくないときに非音声信号と判定する音声/非音声判定部とを具備し、前記送話側及び受話側の各音声区間検出手段は、前記音響側並びに回線側の各帰還利得推定手段の推定値に応じて前記しきい値及び所定値が変更されることを特徴とする請求項記載の音声切換装置。
  17. 前記送話側損失挿入手段の出力点から遠端側の回線エコー経路を介して前記受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定する回線側帰還利得推定手段と、前記受話側損失挿入手段の出力点から近端側の音響エコー経路を介して前記送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定する音響側帰還利得推定手段とを備え、前記偏重モード制御手段は、回線側帰還利得の推定値が所定のしきい値未満である状態が所定時間以上継続しなければ受話偏重モードに移行せず、且つ音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以下となる状態が一定時間以上継続しなければ送話偏重モードに移行せず、前記送話側及び受話側の各音声区間検出手段は、送話側又は受話側の損失挿入手段への入力信号の瞬時パワーを推定する瞬時パワー推定部と、前記挿入手段への入力信号に含まれる雑音パワーを推定する雑音パワー推定部と、前記瞬時パワー推定値を所定のしきい値並びに前記雑音パワー推定値と所定値の積とそれぞれ比較するとともに前記瞬時パワー推定値が前記しきい値より大きく且つ前記瞬時パワー推定値が前記積よりも大きいときに前記損失挿入手段への入力信号を音声信号と判定するとともに大きくないときに非音声信号と判定する音声/非音声判定部とを具備し、前記瞬時パワー推定部は立ち上がりが急峻で立ち下がりが緩やかな特性を有するフィルタからなり、前記雑音パワー推定部は立ち上がりが緩やかで立ち下がりが急峻な特性を有するフィルタからなり、前記送話側及び受話側の各音声区間検出手段は、前記音響側並びに回線側の各帰還利得推定手段の推定値に応じて前記特性を決定するパラメータが変更されることを特徴とする請求項記載の音声切換装置。
  18. 前記しきい値及び所定値と前記パラメータを前記送話側並びに受話側の各音声区間検出手段に対して外部から個別に設定可能としたことを特徴とする請求項17記載の音声切換装置。
  19. 前記しきい値及び所定値と前記パラメータを前記他の通話端末の種類に応じて各々異なる値に設定可能としたことを特徴とする請求項17記載の音声切換装置。
  20. 前記送話側損失挿入手段の出力点から遠端側の回線エコー経路を介して前記受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定する回線側帰還利得推定手段と、前記受話側損失挿入手段の出力点から近端側の音響エコー経路を介して前記送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定する音響側帰還利得推定手段とを備え、前記偏重モード制御手段は、回線側帰還利得の推定値が所定のしきい値未満である状態が所定時間以上継続しなければ受話偏重モードに移行せず、且つ音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以下となる状態が一定時間以上継続しなければ送話偏重モードに移行せず、前記近端側雑音パワーの推定値と前記遠端側雑音パワーの推定値との差と、前記音響側並びに回線側の帰還利得推定値を参照して前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段の利得を適応的に更新することを特徴とする請求項記載の音声切換装置。
  21. 前記偏重モード制御手段により適応的に更新される前記送話偏重モード設定用増幅手段並びに受話偏重モード設定用増幅手段の利得に上限値を設定したことを特徴とする請求項20記載の音声切換装置。
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