JP4130555B2 - ガス加湿装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)における燃料の加湿などに使用されるガス加湿装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融炭酸塩型燃料電池では、天然ガスなどの燃料ガスを蒸気で加湿した後、改質用触媒と反応させ、しかる後に電池セルへ供給する。ここにおける加湿は、従来は常温の燃料ガスと、ボイラーで発生させた蒸気とを、ボイラーとは別のユニットで混合することにより行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の加湿プロセスによると、ボイラーと混合器の2ユニットが必要になり、設備の大型化が避けられない。これを避けるために、蒸気発生プロセスと、発生した蒸気と燃料ガスを混合するプロセスとを1ユニットで行うガス加湿装置の開発が待たれている。
【0004】
本発明の目的は、蒸気発生とその蒸気による加湿を1ユニットで実行できる小型で効率的なガス加湿装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のガス加湿装置は、複数枚の縦型チューブプレートを厚み方向に所定間隔で積層して、水平方向に並列する複数の空間を形成し、それら空間の一つおきに加熱用の高温流体を下部から上部へ流通させ、他の空間に加湿すべきガスを上部から下部へ流通させる縦型で対向流形式のプレートフィン型の熱交換器コアと、前記ガスが上部から下部へ流通する前記他の空間のそれぞれに蒸気源である液体を散布するべく、前記他の空間のそれぞれの上部に両側のチューブプレートに沿って挿入されたインジェクションチューブと、インジェクションチューブに前記液体を供給するために、前記熱交換器コアから離れて該チューブに接続されたヘッダ管とを具備している。
【0006】
本発明のガス加湿装置においては、縦型で対向流形式の熱交換器コア内に形成された2種類の空間の一方に加熱用の高温流体が下部から上部へ流通し、他方に加湿すべきガスを上部から下部へ流通すると共に、他方の空間の上部においてインジェクションチューブ、より詳しくは、前記縦型の熱交換器コアの横から空間内へ両側のチューブプレートに沿ってほぼ水平に挿入されたインジェクションチューブにより、蒸気源である液体が供給される。これにより、その液体が蒸発し、蒸気となって加湿すべきガスに混じり、そのガスが加湿される。そして、インジェクションチューブに、蒸気源である液体を供給するヘッダ管が熱交換器コアから離れているので、ベーパーロックなどが効果的に防止され、その液体の安定供給が可能になる。
【0007】
より好ましくは、前記空間の上部に導入された加湿すべきガスの一部が熱交換器コアの外に流出し、その外に配置されたヘッダ管に接触するように構成する。この構成により、ヘッダ管が前記ガスを利用して冷却され、前記液体のより安定な供給が可能になる。
【0008】
熱交換器コアからヘッダ管までの離間距離は100〜300mmが好ましい。これが小さすぎるとベーパーロックなどを十分に防止できない。逆に大きすぎる場合はコンパクト性が損なわれる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示すガス加湿装置の側面図、図2は同ガス加湿装置の平面図、図3は同ガス加湿装置の底面図、図4は同ガス加湿装置における熱交換器コアの縦断側面図、図5は同熱交換器コアの横断平面図である。
【0010】
本実施形態のガス加湿装置は、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)における燃料の加湿プロセスに使用される。このガス加湿器は、プレートフィン型熱交換器を基本構造とする熱交換器コア100と、熱交換器コア100内に蒸気源としてのの水Cを供給する給水機構200とを備えている。
【0011】
熱交換器コア100は、基本的に、縦型で対向流形式のプレートフィン型熱交換器からなる直方体状のコア本体110と、コア本体110の上面に取り付けられた加熱用ガスAの導出ヘッダ120と、コア本体110の下面に取り付けられた加熱用ガスAの導入ヘッダ130と、コア本体110の上部正面に取り付けられた燃料ガスBの導入ヘッダ140と、コア本体110の下部背面に取り付けられた燃料ガスBの導出ヘッダ150とで構成されている。導出ヘッダ120及び導入ヘッダ130はドーム形、導入ヘッダ140及び導出ヘッダ140は蒲鉾形であり、いずれもコア本体110に直付けされている。
【0012】
コア本体110は、水平方向に所定の間隔で並列配置された多数枚の垂直なチューブプレート111,111・・と、隣接するチューブプレート111,111の間に縦向きの流体流通空間を形成するために、この間に配置された前後一対のスペーサバー112,112とを有している。
【0013】
前記流体流通空間は、水Cを蒸発させるための高温の加熱用ガスAが下から上へ流通する垂直な第1空間113Aと、加湿すべき燃料ガスBが加湿用の蒸気と共に上から下へ流通する垂直な第2空間113Bとを、チューブプレート111,111・・の配列方向に交互に積層した構成になっている。
【0014】
第1空間113Aには、水平方向に凹凸が繰り返された垂直方向のコルゲートフィン114が全高にわたって配置されている。これにより、第1空間113Aは導出ヘッダ120及び導入ヘッダ130と連通している。第2空間113Bには、垂直方向のコルゲートフィン115が、上部及び下部、並びにその他の一部分を除いて配置されている。第2空間113Bの上部及び下部には、導入ヘッダ140及び導出ヘッダ150に連通するように、水平方向のコルゲートフィン116が配置されている。コルゲートフィン115の上部には、当該フィンを除去して形成された空きスペース118が設けられており、この空きスペース118には、後述するインジェクションチューブが挿入されている。
【0015】
熱交換器コア100内に蒸気発生用の水Cを供給する給水機構200は、縦型で対向流形式のプレートフィン型熱交換器からなるコア本体110の背面側、すなわち縦型コアの横から複数の第2空間113B,113B・・内の各空きスペース118に水平に挿入された複数本のインジェクションチューブ210,210・・と、インジェクションチューブ210,210・・に直角に接続された水平なヘッダ管220とを有している。各インジェクションチューブ210は、空きスペース118にほぼ全長にわたって挿入されており、その挿入部の下面側には複数のノズル孔が所定間隔で設けられている。
【0016】
各インジェクションチューブ210の後部は、スペーサバー112に設けられた貫通孔を通ってコア本体110の背面側に突出しており、その突出部は、コア本体110の背面側にコア本体110から離れて配置された円管状のヘッダ管220に接続されている。そして、各突出部は、コア本体110の背面とヘッダ管220との間に設けられた横長のケース230内に収容されている。ここで、インジェクションチューブ210が貫通する貫通孔の内径は、インジェクションチューブ210の外径より十分に大きく設定されている。これにより、ケース230内は、インジェクションチューブ210の周囲に形成された環状の隙間を通して前記空きスペース118に連通している。
【0017】
次に、本実施形態のガス加湿装置の機能について説明する。
【0018】
熱交換器コア100のコア本体110においては、高温の加熱用ガスAが複数の垂直な第1空間113A,113A・・に下部から導入され、これらを下から上へ流通する。また、加湿すべき常温の燃料ガスBが、複数の垂直な第2空間113B,113B・・に上部から導入され、これらを上から下へ流通する。そして、第2空間113B,113B・・の各上部においては、インジェクションチューブ210から水Cが散布される。
【0019】
ここで、複数の垂直な第2空間113B,113B・・は、内部に配置されたコルゲートフィン115,116と共に高温に加熱されている。このため、インジェクションチューブ210から第2空間113Bの上部内に散布された水Cは直ちに蒸発し、高温の蒸気となる。これにより、第2空間113B,113B・・を上から下へ流通する燃料ガスBが高温の蒸気と混じる。かくして、加湿された燃料ガスBが生成され、導出ヘッダ150から排出される。
【0020】
また、複数本のインジェクションチューブ210,210・・に水Cを供給するヘッダ管220は、コア本体110の背面から離れている。コア本体110は高温であるため、他のヘッダのようにヘッダ管220がコア本体110に直接接触していると、ベーパーロックなどが生じやすい。燃料ガスBへの水Cの添加量は燃料ガスBの流量に応じて調節される。燃料ガスBの流量は、例えば10〜100%というような非常に広い範囲で変更される。ベーパーロックは、燃料ガスBの流量を少なくし、これに応じて水Cの添加量を極端に減らしたときに特に発生しやすい。
【0021】
しかしながら、本実施形態のガス加湿装置においては、ヘッダ管220をコア本体110の背面から離しているため、水Cの添加量を減らしたときもベーパーロックが効果的に防止され、水Cの安定添加、ひいては蒸気の安定な混合、安定加湿が可能になる。
【0022】
しかも、本実施形態においては、インジェクションチューブ210が貫通する貫通孔の内径が、インジェクションチューブ210の外径より十分に大きく設定され、両者の間に環状の隙間が形成されている。このため、第2空間113Bの上部に導入された比較的低温の燃料ガスBが、前記隙間を通してケース230内に流入し、インジェクションチューブ210の後部からヘッダ管220にかけての部分が強制的に冷却される。従って、ベーパーロックがより一層効果的に防止される。
【0023】
【発明の効果】
以上に説明したとおり、本発明のガス加湿装置は、プレートフィン型熱交換器からなるコアの、加湿すべきガスが上部から下部へ流通する空間に、その上部からインジェクションチューブにより、蒸気源である液体を供給すると共に、インジェクションチューブに液体を供給するヘッダ管を前記コアから離しているので、単に、蒸気発生とその蒸気による加湿を1ユニットで実施できるだけでなく、加湿すべきガスの流量を絞り、蒸気源である液体の供給量を減らしたときにも、安定な加湿を可能にし、これにより広範囲の流量変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すガス加湿装置の側面図である。
【図2】同ガス加湿装置の平面図である。
【図3】同ガス加湿装置の底面図である。
【図4】同ガス加湿装置における熱交換器コアの縦断側面図である。
【図5】同熱交換器コアの横断平面図である。
【符号の説明】
100 熱交換器コア
110 コア本体
111 チューブプレート
112 スペーサバー
113A,113B 空間
114,115,116,117 コルゲートフィン
118 空きスペース
120,130,140,150 ヘッダ
200 給水機構
210 インジェクションチューブ
220 ヘッダ管
230 ケース

Claims (3)

  1. 複数枚の縦型チューブプレートを厚み方向に所定間隔で積層して、水平方向に並列する複数の空間を形成し、それら空間の一つおきに加熱用の高温流体を下部から上部へ流通させ、他の空間に加湿すべきガスを上部から下部へ流通させる縦型で対向流形式のプレートフィン型の熱交換器コアと、前記ガスが上部から下部へ流通する前記他の空間のそれぞれに蒸気源である液体を散布するべく、前記他の空間のそれぞれの上部に両側のチューブプレートに沿って挿入されたインジェクションチューブと、インジェクションチューブに前記液体を供給するために、前記熱交換器コアから離れて該チューブに接続されたヘッダ管とを具備することを特徴とするガス加湿装置
  2. 前記他の空間の上部に導入された加湿すべきガスの一部が熱交換器コアの外に流出し、その外に配置されたヘッダ管に接触するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のガス加湿装置
  3. 前記インジェクションチューブは、前記熱交換器コアの横から前記他の空間に両側のチューブプレートに沿って挿入されている請求項1に記載のガス加湿装置。
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