JP4130313B2 - 偏波保持光ファイバカプラの製造方法 - Google Patents

偏波保持光ファイバカプラの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ通信分野、光ファイバを利用したセンサ分野などにおいて有用な偏波保持光ファイバカプラに関し、特に異なる偏波の結合、分岐に用いられる偏波ビームコンバイナ(以下、PBCと略記する)と偏波ビームスプリッタ(以下、PBSと略記する)として有用な偏波保持光ファイバの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、融着延伸型の光ファイバカプラは、外部の光ファイバと低損失で接続することができ、製造性、信頼性、高パワー耐性などの点において優れていることが知られている。
偏波保持光ファイバとしては種々のものが提案されているが、代表的なものとしてPANDA型光ファイバ(Polarization maintaining AND Absorption reducing fiber)が知られている。
【0003】
図1(a)、図1(b)はPANDA型光ファイバの一例を示したもので、図1(a)は光ファイバの長さ方向と直交方向に切断した断面図、図1(b)は屈折率プロファイルを示した図である。このPANDA型光ファイバ10は、中心に設けられたコア11と、このコア11の周囲に、このコア11と同心円状に設けられ、かつこのコア11よりも低い屈折率のクラッド12とを備えている。また、このクラッド12内には、前記コア11を中心に対称配置され、かつこのクラッド12よりも低い屈折率の断面円形のふたつの応力付与部13,13が設けられている。
この例において、コア11はゲルマニウム添加石英ガラス、クラッド12は純石英ガラス、応力付与部13はホウ素が比較的大量に添加された石英ガラスからそれぞれ構成されている。コア11の外径、応力付与部13の外径、コア11とクラッド12との比屈折率差、クラッド12と応力付与部13との比屈折率差は所望の特性などによって適宜設定される。クラッド12の外径は通常約125μmとされる。
【0004】
前記応力付与部13は、クラッド12よりも大きな熱膨張係数を有している。そのため、光ファイバの製造時に線引きした光ファイバが冷却される過程で、ファイバ断面において、応力付与部13に起因する歪みを生じる。
そして、この歪みはコア11に対して異方性歪みを発生させる。その結果、偏波の縮退が解ける。ここで便宜上、光を構成するふたつの直交する偏波をX偏波、Y偏波とすると、X偏波の伝搬定数とY偏波の伝搬定数が異なる値となり、当然、これらの偏波の電磁界の分布も異なるものとなる。その結果、X偏波とY偏波が保存された状態で伝搬する特性が得られる。
【0005】
図2は偏波保持光ファイバカプラの一例を示したもので、この偏波保持光ファイバカプラ14は、2本のPANDA型光ファイバ10、10を、必要に応じてその表面に設けられたプラスチックなどからなる被覆層の一部を除去した後、各々の偏波軸が平行になるように整合させて並列させ、これらPANDA型光ファイバ10、10の途中のクラッド12,12を接触させ、加熱、溶融するとともに、その長さ方向に延伸することによって融着延伸部(光結合部)3を形成したものである。なお、偏波軸とは、各々のPANDA型光ファイバ10において、応力付与部13、13の中心を通る線をいう。
【0006】
この偏波保持光ファイバカプラにおいては、X偏波はPANDA型光ファイバ10,10の偏波軸方向に電界ベクトルを保持して伝搬し、Y偏波はこれと直交する電界ベクトルを保持してPANDA型光ファイバ10,10内を伝搬する。なお、本明細書では、便宜上、偏波軸をSlow軸(X偏波軸)、これに直交する軸をFast軸(Y偏波軸)という場合がある。
そして、途中の融着延伸部3のX偏波の結合度とY偏波の結合度との差が大きいと、この融着延伸部3において、X偏波とY偏波の結合、分岐が行われ、PBCおよびPBSとしての特性が得られる。
【0007】
図2にはひとつのポートAからX偏波とY偏波が結合した光が入力し、融着延伸部3においてこれらが分岐し、ふたつのポートB、CからX偏波とY偏波がそれぞれ出力するPBS動作が矢印で示されている。PBC動作の場合は反対にふたつのポートB、CからX偏波とY偏波がそれぞれ入力し、融着延伸部3にて結合し、ひとつのポートAからこれらが結合した光が出力する。
なお、結合度とは一方のPANDA型光ファイバ10から他方のPANDA型光ファイバ10に結合する光の割合をいい、具体的には図2に示したポートB、Cからそれぞれ出力する光の和に対する、ポートBまたはポートCから出力する光のパワーの比率を示したものである。
なお、偏波保持光ファイバカプラには、この様にふたつの偏波の結合、分岐を行うものの他、所望の比率で光パワーの分岐を行う光パワー合分岐型、波長ごとに光を分岐させる波長合分岐型のものなどもある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、融着延伸型の偏波保持光ファイバカプラにおいては、過剰損失が大きくなりやすいという問題があった。
本発明は前記事情に鑑てなされたもので、過剰損失の小さい偏波保持光ファイバカプラを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、2本の偏波保持光ファイバを並列させ、その長さ方向の一部を加熱し、この長さ方向に延伸して融着延伸部を形成する形成工程と、
形成工程と同時に、使用波長域の光および使用波長域よりも長波長側の光を、前記2本の偏波保持光ファイバのうちの一方の入力ポートに入力して、前記2本の偏波保持光ファイバの両方の出力ポートから出力させ、使用波長のY偏波の結合度の延伸に伴う周期的な変動と、使用波長のY偏波の過剰損失の延伸に伴う周期的な変動とをモニターしながら、使用波長において、Y偏波の結合度が100%に達する延伸長ポイントと過剰損失が最小値となる延伸長ポイントとが一致するように、前記融着延伸部の加熱条件を調整することにより、前記融着延伸部の形状を規定するアスペクト比を調整する調整工程とを有し、
使用波長域よりも長波長側でモニターすることにより、
使用波長における結合度が100%に達する延伸長ポイントが、使用波長における過剰損失が最小値となる延伸長ポイントよりも後に現れると予測された場合、前記調整工程において、アスペクト比を小さくするために前記融着延伸部の加熱温度を高くし、使用波長における結合度が100%に達する延伸長ポイントが、使用波長における過剰損失が最小値となる延伸長ポイントよりも前に現れると予測された場合、前記調整工程において、アスペクト比を大きくするために前記融着延伸部の加熱温度を低くすることを特徴とする偏波保持光ファイバカプラの製造方法である。
の発明は、前記第1の発明の偏波保持光ファイバカプラの製造方法において、前記偏波保持光ファイバカプラが偏波ビームコンバイナまたは偏波ビームスプリッタであることを特徴とする偏波保持光ファイバカプラの製造方法である。
の発明は、前記偏波保持光ファイバがPANDA型光ファイバであることを特徴とする前記第1または2の発明の偏波保持光ファイバカプラの製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明について説明するに当たって、まず図1(a)、図1(b)、および図2も利用して偏波保持光ファイバカプラにおいて過剰損失が大きくなる理由について説明する。
すなわち、図3(a)に示した様に、1本のPANDA型光ファイバ10において、基本モードはコア11を導波する。
ついで、これを加熱、延伸すると、PANDA型光ファイバ10が細径化する。その結果、コア11を導波する基本モードがクラッド12に染み出し、図3(c)に示した様な、クラッドモードに結合する。この場合は過剰損失にならない。しかし、図3(a)に示した基本モードが図3(b)に示した様な高次モードと結合すると、このモードは再びコア11を伝搬する基本モードに完全には戻ることはなく、過剰損失の原因となる。
なお、PANDA型光ファイバ10において、偏波軸では応力付与部13,13が存在するため、基本モードが高次モードに結合して過剰損失となる現象が生じるが、該偏波軸と直交する軸においては、応力付与部13,13が存在しないため、延伸によりPANDA型光ファイバ10が細径化しても基本モードは高次モードに結合しにくく、過剰損失の問題は生じにくい。
【0011】
PANDA型光ファイバ10においては、応力付与部13、13が存在し、また、その外径がクラッド12の外径に対して例えば1/3〜1/4程度であり、大きい。そのため、クラッド12に染み出した光が高次モードに結合しやすく、過剰損失が大きくなりやすい。この様に応力付与部13、13の存在によって過剰損失が大きくなり易いのは、PANDA型光ファイバ10に限らず、他のBow−Tieファイバ、楕円ジャケットファイバなどの偏波保持光ファイバにおいても同様である。そして、このように応力付与部13,13に起因する損失は、種々の光ファイバの中でも偏波保持光ファイバ固有の現象である。
図2に示した融着延伸型の偏波保持光ファイバカプラにおいても、1本、1本のPANDA型光ファイバ10、10において、それぞれ過剰損失が生じ、結果として偏波保持光ファイバカプラの過剰損失が大きくなる。
【0012】
以下、本発明の一実施例について説明することにより、本発明の構成および効果を明らかにする。
本発明者らは特願2000−89814号において、2本の偏波保持光ファイバ(PANDA型光ファイバ10,10)のコア11,11をできるだけ近づけないようにして加熱、溶融、延伸して融着延伸部3を形成することにより、図4に示した様に、延伸が進行し、光の結合が生じ始める時点からふたつの偏波の結合度の差を大きくすることができる偏波保持光ファイバカプラの製造方法を提案した。なお、結合度はX偏波、Y偏波のそれぞれにおいて、延伸が進行するにしたがって増加し、100%付近に到達した後、減少し、0%付近に到達した後、再び増加する周期的な変動を繰り返し、波状の曲線を描く。
この製造方法においては、以下のような効果が得られる。
(1)延伸長が短いため、機械的強度の大きい偏波保持光ファイバカプラが得られる。
(2)X偏波あるいはY偏波が、一方の偏波保持光ファイバから他方の偏波保持光ファイバに結合する回数(移行回数)を少なくすることができるため、低損失である。
(3)広い波長帯域で結合度の偏波依存性の大きい偏波保持光ファイバカプラが得られる。
【0013】
そこで、この製造方法によってPANDA型光ファイバ10、10の細径化による過剰損失に留意せずに偏波保持光ファイバカプラを製造したときの状態を図5に示した。
図5に示したグラフから分かるように、上述の様な基本モードの高次モードへの結合による過剰損失は、PANDA型光ファイバ10の延伸長の拡大、すなわち、細径化に伴って周期的に増減を繰り返し、波型の曲線を描く。なお、この損失のピーク値は、偏波保持光ファイバの屈折率プロファイルにもよるが、経験的に3〜10dB程度である。また、高次モードヘの結合による過剰損失の変動の周期は、応力付与部13、13が近距離にあるために、隣のPANDA型光ファイバ10のコア11ヘと結合する結合度の変動の周期に比べて短くなる。
【0014】
すなわち、延伸長に伴い、結合度の変動と、過剰損失の変動は、それぞれの周期で独立して繰り返される。
図4に示した偏波保持光ファイバカプラにおいては、Slow軸の結合が殆どゼロのときに、Fast軸の結合がほぼ100%に到達しており、この所望の結合特性が得られる理想的な偏波結合ポイントにおいて、ふたつの偏波を分岐するPBS動作(PBC動作と同義)を生じさせることができることが明らかである。
そして、図5に示した様に、結合度の変動と、過剰損失の変動において、この理想的な偏波結合ポイントと過剰損失が大きくなる点とが一致すると過剰損失が大きい偏波保持光ファイバカプラとなる。
【0015】
一方、図6に示した様に、理想的な偏波結合ポイントと過剰損失が小さくなる点とが一致すると過剰損失が小さい偏波保持光ファイバカプラとなる。
すなわち、理想的な偏波結合ポイントにおいて、偏波保持光ファイバの応力付与部に起因する過剰損失がほぼ最小になる様に偏波保持光ファイバカプラの設計を行うことにより、過剰損失の小さな偏波保持光ファイバカプラを得ることができる。
そこで、例えば融着延伸部3の形成の後、またはこの形成と同時に、使用波長域の光をこの偏波保持光ファイバカプラに入力し、結合度をモニターするとともに過剰損失をモニターし、理想的な偏波結合ポイントと過剰損失が最小値となるポイントとが一致する様に融着延伸部3を加熱し、調整する。
なお、使用波長域は特に限定されないが、例えば900〜1650nm程度の範囲から適宜選択される。
【0016】
この調整時に物理的に変化し、結合度や過剰損失の値に影響するのは融着延伸部3の形状である。この形状を規定するパラメータは、融着延伸部3の最小外径、融着延伸部3の長さ、アスペクト比などである。なお、本発明においてアスペクト比とは、図2に示した様に融着延伸部3の長さ方向の中央において、その断面の最大外径bの最小外径aに対する比(b/a)である。通常、最小外径aは偏波軸に略平行方向の長さであり、最大外径bはこれに直交する方向の長さである。
【0017】
具体的には結合度の変動の周期はコア11,11の距離によって変化し、過剰損失の変動の周期は1本1本のPANDA型光ファイバ10の外径によって変化する。
例えば、PANDA型光ファイバ10の外径を変化させずにアスペクト比を大きくすると、1本のPANDA型光ファイバ10の外径のみで決定される高次モードヘの結合による過剰損失の変動の周期は変化しないが、2本のコア11、11間の距離が大きくなる。その結果、延伸に伴って2本のPANDA型光ファイバ10、10の間で生じる光の結合が遅くなり、結果として結合度の変動の周期が長くなる。
ここで、最適なアスペクト比を求めるためには、例えば以下の様な方法を適用すると好ましい。
すなわち、融着延伸部3を形成した後、あるいは形成と同時に、使用波長域の光を偏波保持光ファイバカプラに入力し、結合度をモニターするとともに、過剰損失をモニターし、理想的な偏波結合ポイントと過剰損失が最小値となるポイントがほぼ一致する様に、融着延伸部3の加熱条件を調整する。
一般に強加熱(加熱温度が高い)であれば、小さなアスペクト比、弱加熱(加熱温度が低い)であれば、大きなアスペクト比が得られる。
したがって、図5、図6に示した様な結合度の曲線を、例えばグラフ中の左側にシフトさせて、より短い延伸長のときに結合度を大きくしたいときには強加熱を行い、逆の場合には、弱加熱で溶融を行う。
このようにして、結合度の変動の周期と過剰損失の変動の周期を、所望の結合度が得られ、かつ過剰損失が最小値になる様に整合させることにより、使用波長域において、図6に示した様な特性を備えた過剰損失の小さい偏波保持光ファイバカプラが得られる。
【0018】
なお、最適なアスペクト比は、所望の偏波保持光ファイバカプラの特性や、使用する偏波保持光ファイバ(PANDA型光ファイバ10)によっても異なる。そのため、通常は、製品種類毎、あるいは使用する偏波保持光ファイバのロット毎に個別に設定する必要が生じる。
【0019】
この他、上述の形状を規定する最小外径や融着延伸部3の長さをパラメータとして調整することによっても、結合度の変動の周期と過剰損失の変動の周期の最適化を図ることができ、過剰損失の小さい偏波保持光ファイバカプラを得ることができる。なお、本実施例においてはY偏波の結合度のみを挙げて説明したが、必要に応じてX偏波、またはX偏波とY偏波の両方の結合度をモニターして調整工程を行うこともできる。
【0020】
図7はこの様にして得られた偏波保持光ファイバカプラの波長と過剰損失との関係の例を示したグラフである。波長との関係(波長特性)においても、延伸長との関係と同様に、過剰損失は増加と減少を繰り返し、波状の曲線を描く。
そして、この偏波保持光ファイバカプラにおいては、過剰損失が破線Aで示される場合には、使用波長域の中心波長が理想的な結合ポイントと一致しており、かつ過剰損失の最小値が得られる波長がこの中心波長と一致している。したがって、使用波長域において、理想的な偏波合成が得られ、かつ過剰損失が最小値となっている。
一方、破線Bは、過剰損失の最小値が、使用波長域の中心波長よりも20nm短波長側にシフトしているものである。この場合、使用波長域における過剰損失が1dB増加する。よって、過剰損失を、使用上好ましい1dB以下に抑えるためには、使用波長域の中心波長と、過剰損失の最小値が得られる波長との差が20nm以下になる様に調整することが好ましい。
なお、出来上がった偏波保持光ファイバカプラの過剰損失が最小値をとる位置が最適な偏波合成ポイントをとる波長域とずれている場合は、調整工程における条件を微調整したり、さらに加熱し、調整を行うことによって、結合度の変動の周期と過剰損失の周期を調整し、過剰損失の小さい偏波保持光ファイバカプラを得ることができる。
【0021】
また、偏波保持光ファイバカプラの延伸に伴って進行する光結合は、長波長側で速く進行し、短波長側で遅く進行する。
そこで、結合度の波長依存性と、過剰損失の波長依存性をモニターすると、延伸に伴う結合度と過剰損失の変化を予測することができる。
すなわち、通常は、偏波保持光ファイバカプラの製造において、理想的な偏波合成ポイントと、過剰損失が最小値をとる位置とを一致させたい波長がある。
そして、上述の結合度と過剰損失の波長依存性において、現時点のこの所望の波長よりも長波長側で生じている現象は、現時点よりも延伸を進行させたときの、未来のこの所望の波長で生じる現象が現れている。逆に、短波長側で生じている現象は、現時点よりも延伸が進行していなかったときの、過去のこの所望の波長で生じていた現象が現れている、と言える。
したがって、結合度と過剰損失の波長依存性をモニターし、特に所望の波長よりも長波長側の結合度と過剰損失の状態を観察することにより、上述の様に、延伸に伴う結合度と過剰損失の変化を予測することができ、これを基に調整を行って、所望の波長において、理想的な偏波結合ポイントと、過剰損失が最小値をとる位置とを一致させることができる。
なお、本発明の製造方法は、前記所望の波長において、過剰損失が最小値となる様に調整することを必須とするため、得られた製品の光学特性においては、必然的にこの所望の波長(使用波長域)において過剰損失が最小値となる図7に示した様な特性を示す。
【0022】
本実施例においては、PBS(またはPBC)を例として説明したが、所望の結合条件において過剰損失が延伸長、あるいは波長特性において最小値となるように作製するという点において、光パワー合分岐型、波長合分岐型などの全ての融着延伸型偏波保持光ファイバカプラに対して同様に適用可能である。
また、よく用いられている偏波保持光ファイバとしてPANDA型光ファイバを例として説明したが、これに限るものではなく、他のBow−Tieファイバ、楕円ジャケットファイバなどの偏波保持光ファイバを用いた場合についても適用可能である。
【0023】
また、この様にして、所望の特性が得られる偏波保持光ファイバカプラの製造条件を求めれば、この条件を用いて他の偏波保持光ファイバカプラを製造することにより、同様の特性の偏波保持光ファイバカプラを、繰り返して生産し、量産することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明においては、所望の結合度の変動の周期と過剰損失の変動の周期とを調整することにより、過剰損失の小さい偏波保持光ファイバカプラを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 PANDA型光ファイバの一例を示したもので、図1(a)は光ファイバの長さ方向と直交方向に切断した断面図、図1(b)は屈折率プロファイルを示した図である。
【図2】 偏波保持光ファイバカプラの一例を示した斜視図である。
【図3】 図3(a)〜図3(c)はPANDA型光ファイバを導波する光の状態を示した説明図であり、図3(a)は、1本のPANDA型光ファイバを導波する基本モードを示した説明図、図3(b)は高次モードを示した説明図、図3(c)は、細径化した後の基本モードのクラッドへの染みだしを示した説明図である。
【図4】 実施例に用いた偏波保持光ファイバカプラの結合度を示したグラフである。
【図5】 過剰損失に留意せずに偏波保持光ファイバカプラを製造したときの延伸長に対する結合度の変動と過剰損失の変動の関係を示したグラフである。
【図6】 延伸長に対する結合度の変動と過剰損失の変動を整合させたときの状態を示したグラフである。
【図7】 波長に対する過剰損失の変動を示したグラフである。
【符号の説明】
3…融着延伸部(光結合部)、
10…PANDA型光ファイバ(偏波保持光ファイバ)。

Claims (3)

  1. 2本の偏波保持光ファイバを並列させ、その長さ方向の一部を加熱し、この長さ方向に延伸して融着延伸部を形成する形成工程と、
    形成工程と同時に、使用波長域の光および使用波長域よりも長波長側の光を、前記2本の偏波保持光ファイバのうちの一方の入力ポートに入力して、前記2本の偏波保持光ファイバの両方の出力ポートから出力させ、使用波長のY偏波の結合度の延伸に伴う周期的な変動と、使用波長のY偏波の過剰損失の延伸に伴う周期的な変動とをモニターしながら、使用波長において、Y偏波の結合度が100%に達する延伸長ポイントと過剰損失が最小値となる延伸長ポイントとが一致するように、前記融着延伸部の加熱条件を調整することにより、前記融着延伸部の形状を規定するアスペクト比を調整する調整工程とを有し、
    使用波長域よりも長波長側でモニターすることにより、
    使用波長における結合度が100%に達する延伸長ポイントが、使用波長における過剰損失が最小値となる延伸長ポイントよりも後に現れると予測された場合、前記調整工程において、アスペクト比を小さくするために前記融着延伸部の加熱温度を高くし、使用波長における結合度が100%に達する延伸長ポイントが、使用波長における過剰損失が最小値となる延伸長ポイントよりも前に現れると予測された場合、前記調整工程において、アスペクト比を大きくするために前記融着延伸部の加熱温度を低くすることを特徴とする偏波保持光ファイバカプラの製造方法。
  2. 請求項1に記載の偏波保持光ファイバカプラの製造方法において、前記偏波保持光ファイバカプラが偏波ビームコンバイナまたは偏波ビームスプリッタであることを特徴とする偏波保持光ファイバカプラの製造方法。
  3. 前記偏波保持光ファイバがPANDA型光ファイバであることを特徴とする請求項1または2に記載の偏波保持光ファイバカプラの製造方法。
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