JP3392275B2 - 広帯域型光ファイバカプラ - Google Patents

広帯域型光ファイバカプラ

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JP3392275B2 JP32922895A JP32922895A JP3392275B2 JP 3392275 B2 JP3392275 B2 JP 3392275B2 JP 32922895 A JP32922895 A JP 32922895A JP 32922895 A JP32922895 A JP 32922895A JP 3392275 B2 JP3392275 B2 JP 3392275B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は光通信ネットワーク
等で光信号を分岐あるいは合流させるために用いられる
光ファイバカプラの中で、光結合度の波長依存性が小さ
い広帯域型光ファイバに関する。 【0002】 【従来の技術】図6は融着延伸型光ファイバカプラの一
例を示したものである。このような融着延伸型の光ファ
イバカプラは、一般に次のようにして製造される。まず
適当な長さの光ファイバ11,12を2本用意し、これ
ら光ファイバ11,12の中央部分の被覆層を数十mm
にわたって除去してクラッド13,14をむき出しにす
る。次にむき出しにされたクラッド13,14の周面ど
うしを接触させ、その接触部分を加熱することによって
クラッド13,14どうしを融着する。続いて、さらに
加熱しながら融着部分を延伸すると、融着部分はなだら
かなテーパ状に形成される。この部分は融着延伸部15
と呼ばれている。 【0003】このようにして得られる融着延伸型光ファ
イバカプラにあっては、1本の光ファイバ11の一端側
から光を入射すると融着延伸部15で光のしみだしが生
じ、しみだした光が隣の光ファイバに結合される現象が
起こる。したがって、入射光パワーの何%かが他の光フ
ァイバ12に結合されるように構成すれば、入射光を所
望の割合で分岐して出射させることができる。この入射
光パワーが各光ファイバにそれぞれ結合される割合(結
合度)は、融着延伸部15の形状によって変化するの
で、融着延伸時の加熱量や延伸量によって制御すること
ができる。 【0004】図7は、融着延伸型光ファイバカプラの一
例における延伸量対結合度の特性を示したものである。
ここでは光を入射した光ファイバ11の隣の光ファイバ
12から出射する光について、波長1.31μmと波長
1.55μmにおける特性を示している。この図に示さ
れるように、融着延伸部15の延伸量が小さい場合に
は、光ファイバのコアからのしみだしが少ないため隣の
光ファイバ12への結合度は小さい。そして延伸が進む
にしたがって結合度は次第に大きくなり100%にまで
達する。この後さらに延伸を進めていくと今度は結合度
は減少して0%になる。そして、さらにまた延伸を進め
ると結合度は増加する、というように融着延伸型光ファ
イバカプラの結合度は延伸量の増加にしたがって周期的
に変化する。 【0005】また図7に示した例では、融着延伸型光フ
ァイバカプラの結合度は、同じ延伸量でも波長によって
異なっている。したがってこの特性を生かして、図中a
で示す点で延伸を終了させれば、一方の光ファイバの波
長1.31μmにおける結合度が100%で、波長1.
55μmにおける結合度が0%の光ファイバカプラを得
ることができる。このような光ファイバカプラはWDM
型カプラ(WDM:Wavelength division multiplexin
g)と呼ばれている。なお、融着延伸型光ファイバカプ
ラを構成する光ファイバは2本に限らず、これ以上とす
ることが可能である。 【0006】ところで、光ファイバネットワークに用い
られる光ファイバカプラとしては、結合度が波長によっ
てあまり変化しない広帯域型光ファイバカプラ(WF
C:Wavelength Flattened Coupler、以下WFCと略記
する)に対する要求も大きい。従来よりWFCを製造す
るためには、光学特性が異なる光ファイバのクラッドど
うしを融着延伸する方法が用いられていた。そして光学
特性が異なる光ファイバを用意する方法としては次の3
通りの方法が一般的に用いられていた。 異種パラメータ法:異なった光ファイバパラメータ
(屈折率差、コア径)を有する光ファイバをそれぞれ用
意する方法。 予備延伸法:まず同一の光ファイバを用意し、それら
の被覆層を除去した後、融着延伸前に、一方の光ファイ
バを加熱延伸してクラッド径を細くする方法。 クラッド細径化法:まず同一の光ファイバを用意し、
それらの被覆層を除去した後、融着延伸前に、一方の光
ファイバのクラッド径をエッチングや研磨によって細く
する方法。 【0007】従来の、光学特性が異なった2本の光ファ
イバを融着延伸して得られるWFCにあっては、例えば
図8に示されるような延伸量対結合度の特性が得られ
る。この図の例では、延伸が進むにしたがって結合度が
0〜約50%の間で周期的に変化しており、かつ1.3
1μm波長における結合度と1.55μmにおける結合
度との差が比較的小さくなっている。したがって、図中
bで示す点で延伸を終了させれば、図9に示すように
1.31〜1.55μmの波長範囲で結合度がほぼ等し
いWFCが得られる。なお、図8の例では結合度の上限
が約50%となっているが、使用する光ファイバの光学
的特性を変化させれば、この値は変化する。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように光学特性が異なる光ファイバを用いて構成される
WFCにおいては、次のような製造上の問題点があっ
た。 異種パラメータ法では、光ファイバパラメータが異な
る光ファイバをそれぞれ製造する必要があるので、製造
工程が複雑化し、材料コストも増大する。 予備延伸法では、同一の光ファイバを用いることがで
きるが、融着延伸前に予備延伸を行うので製造工程が増
える。また得ようとするWFCの光結合特性に応じて設
定されるクラッド径を、延伸によって精度良く得ること
は難しく、製造歩留まりが悪化し製造コスト増大の原因
となる。 クラッド細径化法では、同一の光ファイバを用いるこ
とができるが、融着延伸前にエッチングや研磨を行うの
で製造工程が増える。また得ようとするWFCの光結合
特性に応じて設定されるクラッド径を、エッチングや研
磨によって精度良く得ることは難しく、製造歩留まりが
悪化し製造コスト増大の原因となる。 【0009】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、光学特性が同一の光ファイバどうしを用いることが
できて、しかも製造工程を増やさずに効率良く製造でき
るようにしたWFCを提供することを特徴とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、複数本の光ファイバのクラ
ッド周面を互いに融着延伸してなる融着延伸部を有する
光ファイバカプラであって、上記光ファイバは、コアが
純粋SiO からなり、クラッドが弗素を添加したSi
からなり、かつ融着延伸部のコアの屈折率が、融着
延伸部形成時にコアに加えられた残留応力により、非延
伸時のコアの屈折率よりも低下して、融着延伸部におい
てはコアとクラッドとの屈折率差がなくなって、光学的
にコアが消滅する程度に、コア材料の軟化点がクラッド
材料の軟化点よりも高くされたものであり、上記複数本
の光ファイバは、それぞれ同一の構造を有するものであ
り、上記融着延伸部における各光ファイバの断面形状
が、融着延伸部前の光ファイバの断面形状と略相似形を
保っており、波長を横軸とし、結合度を縦軸として描い
た結合度と波長との関係を示す曲線が、1100〜17
00nmの波長範囲で、上に凸の山形または下に凸の弓
形を示し、該波長範囲における結合度の最大値と最小値
との差が8.8%以下であることを特徴とするWFCで
ある。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のWFCには、コアが純粋SiO からなり、ク
ラッドが弗素を添加したSiO からなる光ファイバで
あって、かつコア材料の軟化点がクラッド材料の軟化点
よりも高くされた光ファイバが用いられる。ここで、コ
ア材料の軟化点がクラッド材料の軟化点よりも高くされ
たとは、後述するように、融着延伸部のコアの屈折率
が、融着延伸部形成時にコアに加えられた残留応力によ
り、非延伸時のコアの屈折率よりも低下して、融着延伸
部においてはコアとクラッドとの屈折率差がなくなっ
て、光学的にコアが消滅する程度に、コア材料の軟化点
がクラッド材料の軟化点よりも高いことを言う。この条
件を満たすには、クラッドに適当量の弗素を添加するこ
とで可能になる。弗素をSiO に添加することで、そ
の軟化点が低下し、かつ屈折率が低下する。 【0012】 本発明のWFCを構成する光ファイバとし
て、上述のようにコアが純粋SiOからなり、クラッ
ドが弗素を添加したSiOからなる光ファイバが用い
られる。この光ファイバの屈折率プロファイル(コア径
/クラッド径比、比屈折率差等)は、得ようとするWF
Cの光学的特性に応じて適宜設計することができる。 【0013】本発明のWFCは、例えば以下のようにし
て製造することができる。図3は融着延伸工程を例示し
た説明図である。図3中符号1は入射側の第1の光ファ
イバ、2は入射側の第2の光ファイバ、3は出射側の第
1の光ファイバ、4は出射側の第2の光ファイバ、5は
第1の光ファイバのクラッド、6は第2の光ファイバの
クラッド、7は融着延伸部をそれぞれ示す。なお、ここ
では本発明の好適な実施例として、コアが純粋SiO2
からなり、クラッドが弗素を添加したSiO2からなる
光ファイバを2本用いてWFCを構成した例を挙げる。 【0014】まず、所望の屈折率プロファイルに構成さ
れた純粋SiO2コア−弗素添加SiO2クラッドからな
る光ファイバを2本用意する(第1の光ファイバ1,
3、第2の光ファイバ2,4)。これら2本の光ファイ
バは光学的特性が等しいものを使用することができる。
光ファイバの長さは適宜設定することができるが、一般
には数m程度である。次いで、各光ファイバの被覆層を
一部除去してクラッドをむき出しにする。この被覆層を
除去する位置および長さは、特に限定されないが、一般
には光ファイバ中央部分で、長さ10〜30mm程度に
わたって被覆層を除去する。 【0015】この後、むき出しにされたクラッドが互い
に接触するように2本の光ファイバを平行に配し、図3
に示すように融着延伸装置8にセットする。また入射側
の第1の光ファイバ1に光スイッチ20を介して波長の
異なる2つの光源21,22を接続し、入射側の第1の
光ファイバ1に2種類の波長の光を切り換えながら入射
できるようにする。一方、出射側の第1の光ファイバ3
および第2の光ファイバ4には光パワーメータ23,2
4をそれぞれ接続し、出射光量をそれぞれ測定できるよ
うにする。ここで用いられる2種類の波長は、得ようと
するWFCの光学的特性に応じて設定される。 【0016】次に、酸水素バーナ9でクラッド5,6の
接触部分を加熱して、これらを融着させる。続いて、さ
らに加熱しながら融着部分に引っ張り張力を加えて延伸
し、融着延伸部7を形成する。この時、融着延伸部の形
状を融着延伸前の形状に保つことが重要である。すなわ
ち、融着延伸時には2本の円柱状の光ファイバがそれら
のクラッドを互いに接触させた状態となっており、これ
らの円柱状の形状をできるだけ保ったままで融着延伸を
行うようにする。具体的には、比較的低温で融着延伸を
行えばよい。これにより融着延伸後の融着延伸部の断面
形状は、断面形状が融着延伸前と略相似な2本の円柱状
の光ファイバ(クラッド)が、その周面を互いに融着さ
せた形状となる。またこの延伸時には、入射側の第1の
光ファイバ1に2種類の波長の光を切換ながら入射さ
せ、出射側の第1の光ファイバ3および第2の光ファイ
バ4からの出射光量を光パワーメータ23,24で測定
する。そして2種類の波長の光の結合度がそれぞれ所望
の値となった時点で、延伸を止める。 【0017】図4は、本実施例のWFCにおける延伸量
対結合度の特性を例示したものである。図中実線および
破線は、2つの異なる波長における特性をそれぞれ示し
ている。この図に示されるように、本実施例のWFCに
おいては、2つの異なる波長における結合度が常にほと
んど等しくなっている。したがって、これらの波長の結
合度が所望の値に達した点で延伸を停止すれば、所望の
結合度を有する広帯域性に優れたWFCが得られる。例
えば図4中cで示す点、すなわち両波長の結合度がとも
に50%となる点で延伸を終了させれば、図5に示すよ
うに波長が変化しても結合度は50%でほぼ一定であ
り、非常に広帯域性に富んだWFCが得られる。なお、
図4中のc点に達する前で延伸を停止すれば、結合度が
0〜50%の任意の結合度を有する良好なWFCが得ら
れる。 【0018】このように本実施例によれば、光学的特性
が等しい2本の光ファイバを融着延伸するだけでWFC
を得ることができる。以下、その原理について説明す
る。本実施例では、WFCを構成する2本の光ファイバ
として、コアが純粋SiO2からなり、クラッドが弗素
を添加したSiO2からなる光ファイバが用いられてい
る。クラッドに添加されている弗素は、SiO2ガラス
の屈折率を下げるとともに軟化温度を下げる性質を有し
ており、この光ファイバは、コアの軟化温度よりもクラ
ッドの軟化温度のほうが低くなっている。したがって、
融着延伸時に加熱されると、クラッドを構成している弗
素添加SiO2は約1300℃で急激に軟らかくなる。
一方、コアを構成している純粋SiO2は、軟化温度が
約1700℃と高いので硬度を保った状態となり、延伸
中の張力の全てがコアに分担され、クラッドが硬化した
後にはクラッドの断面積がコアの断面積に対して大きい
のでコアは縮むことができずにコアに残留応力が残る。
光ファイバではコアに応力がかかるとコアの屈折率が低
くなる性質があるので、延伸時にコアの屈折率が減少す
る。その結果、融着延伸部においてはコアとクラッドと
の屈折率差がなくなって、光学的にコアが消滅するとい
う現象が起こる。 【0019】このようにしてコアが消滅した部分では、
それまでのクラッドが周囲の空気をクラッド(以下、エ
アクラッドという)とするコア(以下、新コアという)
となる。図1は、融着延伸部7に新コア−エアクラッド
構造が形成されたときの光パワーの伝搬状態を模式的に
示したもので、(a)は平面図、(b)は断面図であ
る。図1中符号30はコアを示す。 【0020】この図に示されるように、第1の光ファイ
バのクラッド5を伝送されてきた入射光パワーは、コア
30を中心に伝搬して融着延伸部7に達する。融着延伸
部7の始端部分7aから中央部7bにかけては、延伸時
にコア30に加えられた張力が徐々に大きくなり、それ
にしたがってコア30の屈折率が次第に低下してコア3
0が消滅していく。したがって、ここで光パワーはコア
外へ徐々に広がり、次第にクラッド5(新コア)全体に
広がっていく。そして融着延伸部7の中央部7bでは、
クラッド5(新コア)に広がった光パワーが隣接してい
る第2の光ファイバのクラッド6(新コア)に結合し、
融着延伸部7の終端部分(図示略)においては、光パワ
ーの一部が第2の光ファイバのクラッド6に移行された
状態となる。このような原理に基づく光パワーの伝送状
態は、光の波長が異なってもほとんど同様となるので、
結合度の波長依存性はほとんどなくなり、優れた広帯域
特性を有するWFCが得られる。 【0021】また、本実施例のWFCを構成している光
ファイバは、クラッド5,6に熱拡散係数が比較的大き
い弗素が添加されているので、融着延伸時の加熱により
この弗素がコア30に拡散し、これによっても良好な広
帯域特性が得られる。すなわち、融着延伸時の加熱によ
ってクラッド5,6内の弗素がコア30に拡散すると、
弗素は屈折率を下げる性質を有するのでコア30の屈折
率が下がり、これによってもコア30の消滅が起こる。
したがって、融着延伸部7に新コア−エアクラッド構造
が形成されることになるので、上記と同様の原理に基づ
いた光パワーの結合が生じ、結合度の波長依存性が小さ
いWFCが得られる。よって、コアおよび/またはクラ
ッドに添加される添加剤として、熱拡散係数が高いもの
を用いることによって、広帯域特性に優れたWFCを得
ることができる。 【0022】これに対して、従来の融着延伸型光ファイ
バカプラを構成している光ファイバは、コアとクラッド
との軟化温度の差が少ないので、融着延伸部15でのコ
アの消滅は生じない。図2は、従来の融着延伸型光ファ
イバカプラ(WDM型カプラ)の融着延伸部15におけ
る光パワーの伝搬状態を模式的に示したもので、(a)
は平面図、(b)は断面図である。図2中符号31はコ
アを示す。この図に示されるように、従来の融着延伸型
光ファイバカプラは融着延伸部15にコア31が存在し
ているため、融着延伸部15における光パワーの分布は
コアに集中する傾向がある(図2参照)。この時の融着
延伸部15におけるコア径は2μm程度と小さいが、光
パワーを集中させる効果はある。このコア31に対する
光パワーの集中度は波長に影響されるので、結果として
カプラとしての結合度も波長に依存することになる。よ
って従来の融着延伸型光ファイバでは、光学的特性が等
しい光ファイバ2本を用いた場合にはWDM型カプラが
得られ、2本の光ファイバのパラメータを違えることに
よりWFCを得ていた。 【0023】このように、本実施例のWFCにあって
は、コア材料の軟化温度がクラッド材料の軟化温度より
高い光ファイバを用いることにより、複数本の光ファイ
バを融着延伸するだけで、広帯域性に優れたWFCを得
ることができる。このWFCを構成する複数本の光ファ
イバとしては、光学的特性が等しい、すなわち同じ構造
の光ファイバを用いることができるので、従来のWFC
のようにパラメータが異なる光ファイバを複数種類作製
したり、融着延伸前にクラッドを細径化したりする必要
がない。したがって本発明によれば、材料コストの低
減、製造工程の簡略化、容易化、歩留まりの向上、製造
コストの低減を実現できるとともに、従来のWFCより
も優れた広帯域性を有するWFCを得ることができる。
また、従来の融着延伸型カプラの融着延伸部の断面形状
には、2本のクラッドがその融着延伸前の形状(円柱
状)を保たずに、1つの楕円形状を形成しているものも
多いが、本発明において融着延伸部の断面形状をそのよ
うな楕円形状とすると、WFCを達成できない。なぜな
らば、融着延伸部の断面形状が1つの楕円形状である場
合には、光パワーの結合がこの楕円形状の内部で起こる
ので、光パワーの分布は波長に依存し、結果としてカプ
ラの結合度が波長に依存することになるからである。 【0024】 【実施例】 (実施例1)コアが純粋SiO2からなり、クラッドが
弗素を添加したSiO2からなる1.3μm帯シングル
モード光ファイバを2本用いてWFCを作製した。本実
施例で用いた2本の光ファイバは、いずれもコア径9μ
m、クラッド径125μm、被覆径250μmで、コア
−クラッド間の比屈折率差は約0.4%とした。まず、
上記のパラメータを有する光ファイバを2本用意し、そ
れらの中央部の被覆層を30mmにわたってそれぞれ除
去した。次いで、これら2本の光ファイバを平行に、か
つむき出しにされたクラッドどうしを接触させた状態で
融着延伸装置にセットした。また入射側の1本の光ファ
イバには、光スイッチを介して、1.31μmの光源と
1.55μmの光源を切換可能に接続した。一方、出射
側の2本の光ファイバにはそれぞれ光パワーメータを接
続した。 【0025】次に、酸水素バーナでクラッドどうしが接
触している部分を、光ファイバの円柱状の形状ができる
だけ保たれるように、比較的低温で加熱して、これらを
融着させた。続いて、さらに光ファイバの円柱状の形状
ができるだけ保たれるように比較的低温で加熱しながら
融着部分に引っ張り張力を加えて延伸し、融着延伸部を
形成した。この延伸時には、入射側の1本の光ファイバ
に1.31μmの光と1.55μmの光を切換ながら入
射させ、出射側の2本の光ファイバからの出射光量を光
パワーメータでそれぞれ測定した。そして両波長の結合
度が50%となった時点で、延伸を停止してWFCを得
た。得られたWFCの融着延伸部の中央部におけるクラ
ッド径、すなわち新コア径は約20μmであり、新コア
とエアクラッドとの比屈折率差は約44%であった。得
られたWFCの結合度を、損失−波長測定器によって正
確に測定したところ、波長1100〜1700nmの範
囲で、結合度50%±4.4%であった。また1.31
μmと1.55μmでの過剰損失は、それぞれ0.06
dBと0.08dBであった。 【0026】(比較例1)比較例として従来のWFCを
作製した。すなわちWFCを構成する光ファイバとし
て、コアがGeO2を添加したSiO2からなり、クラッ
ドが純粋SiO2からなる1.3μm帯シングルモード
光ファイバを2本用いた。これらの光ファイバのコア
径、クラッド径、被覆径、およびコア−クラッド間の比
屈折率差は上記実施例1と同様とした。まず、上記のパ
ラメータを有する光ファイバを2本用意し、それらの中
央部の被覆層を30mmにわたってそれぞれ除去した。
次いで、2本の光ファイバのうちの1本について、むき
出しにされたクラッドを予備延伸加工してその外径を1
10μmとした。そして、これら2本の光ファイバを平
行に、かつむき出しにされたクラッドどうしを接触させ
た状態で融着延伸装置にセットした。また入射側の1本
の光ファイバには、光スイッチを介して、1.31μm
の光源と1.55μmの光源を切換可能に接続した。一
方、出射側の2本の光ファイバにはそれぞれ光パワーメ
ータを接続した。 【0027】次に、酸水素バーナでクラッドどうしが接
触している部分を加熱して、これらを融着させた。続い
て、さらに加熱しながら融着部分に引っ張り張力を加え
て延伸し、融着延伸部を形成した。この延伸時には入射
側の1本の光ファイバに1.31μmの光と1.55μ
mの光を切換ながら入射させ、出射側の2本の光ファイ
バからの出射光量をモニターしながら、両波長の結合度
が50%に近くなった時点で、延伸を停止してWFCを
得た。得られたWFCの融着延伸部の中央部におけるコ
ア径は約2μmであり、コアとクラッドとの比屈折率差
は約0.4%であった。得られたWFCの結合度を上記
実施例1と同様にして正確に測定したところ、波長11
00〜1700nmの範囲で、結合度50%±11.6
%であった。また1.31μmと1.55μmでの過剰
損失は、それぞれ0.06dBと0.07dBであっ
た。 【0028】上記実施例1および比較例1の結果より、
実施例1で得られたWFCは比較例1のものよりも優れ
た広帯域特性を有していた。また実施例1のWFCの
1.31μmと1.55μmでの過剰損失は、比較例1
のWFCの値と同程度がそれ以上と優れたものであっ
た。 【0029】 【発明の効果】以上説明したように、本発明のWFC
は、複数本の光ファイバのクラッド周面を互いに融着延
伸してなる融着延伸部を有する光ファイバカプラであっ
て、上記光ファイバは、コアが純粋SiO からなり、
クラッドが弗素を添加したSiO からなり、かつ融着
延伸部のコアの屈折率が、融着延伸部形成時にコアに加
えられた残留応力により、非延伸時のコアの屈折率より
も低下して、融着延伸部においてはコアとクラッドとの
屈折率差がなくなって、光学的にコアが消滅する程度
に、コア材料の軟化点がクラッド材料の軟化点よりも高
くされたものであり、上記複数本の光ファイバは、それ
ぞれ同一の構造を有するものであり、上記融着延伸部に
おける各光ファイバの断面形状が、融着延伸部前の光フ
ァイバの断面形状と略相似形を保っており、波長を横軸
とし、結合度を縦軸として描いた結合度と波長との関係
を示す曲線が、1100〜1700nmの波長範囲で、
上に凸の山形または下に凸の弓形を示し、該波長範囲に
おける結合度の最大値と最小値との差が8.8%以下で
あるものである。したがって、用いる複数本の光ファイ
バとして同一構成の光ファイバを用いることができるの
で、製造効率が良く、材料コストも低く抑えることがで
きる。また、融着延伸時にコアにかかる張力が増大され
ることによってコアの屈折率が低下し、光パワーがクラ
ッド全体に分布するので、波長変化に対する結合度の変
化が少ない広帯域特性に優れたWFCが得られる。 【0030】また、融着延伸部における各光ファイバの
断面形状が、融着延伸前の光ファイバの断面形状と略相
似形を保つようにすることにより、融着延伸部における
光パワーの分布が波長に依存せず、波長変化に対する結
合度の変化が少ない広帯域特性に優れたWFCが得られ
る。さらに、クラッドに添加した弗素の熱拡散係数が大
きいことに起因して、融着延伸時にクラッド内の弗素が
コアに拡散することによってコアの屈折率が低下し、光
パワーがクラッド全体に分布する現象が促進される。し
たがって、結合度の波長依存性がより小さいWFCを得
ることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の広帯域型光ファイバカプラにおける
光パワーの伝搬状態を模式的に示した図である。 【図2】 従来の融着延伸型光ファイバカプラにおける
光パワーの伝搬状態を模式的に示した図である。 【図3】 本発明の広帯域型光ファイバカプラの実施例
における融着延伸工程の例を示した説明図である。 【図4】 本発明の広帯域型光ファイバカプラの実施例
における延伸量対結合度の特性を示したグラフである。 【図5】 本発明の広帯域型光ファイバカプラの実施例
における結合度の波長依存性を示したグラフである。 【図6】 融着延伸型光ファイバカプラの一例を示した
構成図である。 【図7】 従来のWDM型光ファイバカプラの例におけ
る延伸量対結合度の特性を示したグラフである。 【図8】 従来の広帯域型光ファイバカプラの例におけ
る延伸量対結合度の特性を示したグラフである。 【図9】 従来の広帯域型光ファイバカプラの例におけ
る結合度の波長依存性を示したグラフである。 【符号の説明】 1,3 第1の光ファイバ 2,4 第2の光ファイバ 5 クラッド 6 クラッド 7 融着延伸部 30 コア
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畔蒜 富夫 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フ ジクラ 佐倉工場内 (72)発明者 山内 良三 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フ ジクラ 佐倉工場内 (56)参考文献 特開 平2−110409(JP,A) 特開 昭58−172616(JP,A) 特表 平3−505008(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 6/28 - 6/293

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】複数本の光ファイバのクラッド周面を互い
    に融着延伸してなる融着延伸部を有する光ファイバカプ
    ラであって、 上記光ファイバは、コアが純粋SiO からなり、クラ
    ッドが弗素を添加したSiO からなり、かつ融着延伸
    部のコアの屈折率が、融着延伸部形成時にコアに加えら
    れた残留応力により、非延伸時のコアの屈折率よりも低
    下して、融着延伸部においてはコアとクラッドとの屈折
    率差がなくなって、光学的にコアが消滅する程度に、コ
    ア材料の軟化点がクラッド材料の軟化点よりも高くされ
    たものであり、 上記複数本の光ファイバは、それぞれ同一の構造を有す
    るものであり、 上記融着延伸部における各光ファイバの断面形状が、融
    着延伸部前の光ファイバの断面形状と略相似形を保って
    おり、 波長を横軸とし、結合度を縦軸として描いた結合度と波
    長との関係を示す曲線が、1100〜1700nmの波
    長範囲で、上に凸の山形または下に凸の弓形を示し、該
    波長範囲における結合度の最大値と最小値との差が8.
    8%以下であることを特徴とする広帯域型光ファイバカ
    プラ。
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