JP4130144B2 - 内燃機関の燃料供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、複数の異なる性質を有する液体を混合してエマルジョン化させた混合燃料を燃料噴射ノズルへ供給する内燃機関の燃料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、ディーゼルエンジン等の内燃機関の運転条件は、必要とされる動力や安全上及び環境上の理由によって変更される。変更される運転条件は、燃料供給量、吸気量、回転数等であり、火花点火機関においては、点火時期、ディーゼルエンジンにおいては、噴射時期等も含まれる。また、使用する燃料を変更するという手段もあり、その一例としては、燃料中に水を分散させた水エマルジョン燃料が公知であり、一部で実用化されている。このようなエマルジョン燃料を内燃機関に供給する一般的なエマルジョン燃料の供給装置は、例えば単一燃料を貯蔵する燃料タンクと、燃料に混合するための水を貯蔵するタンクと、燃料と水とを適切な混合比で混合してエマルジョン化させて水エマルジョン燃料を生成する手段と、生成した水エマルジョン燃料を貯蔵しておく手段を備えている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
水エマルジョン燃料等のエマルジョン燃料は、単一燃料では得られない運転状態を実現することが可能であるが、上述したように複数の単一燃料や水等の液体を適切な混合比で混合するための大掛かりな混合装置と混合後のエマルジョン燃料を貯蔵するためのタンクとが別途必要である。さらに、混合比の異なるエマルジョン燃料を使用する場合には、その分混合後のエマルジョン燃料を貯蔵するタンクを複数設置する必要がある。また、混合後のエマルジョン燃料を貯蔵するタンクには、エマルジョン燃料がタンク内で分離、変質することを防止するための特別な装置を設置して、エマルジョン燃料の状態を常時管理する必要がある。そのため、単一燃料を供給する燃料供給装置と比較して燃料供給装置が高コストで大型化してしまうという問題があった。
【0004】
また、燃料と水とを適切な混合比で混合してエマルジョン化させてエマルジョン燃料を生成し、生成したエマルジョン燃料を貯蔵するタンクから内燃機関へ供給するので、内燃機関の運転状態等に応じてエマルジョン燃料の混合比を迅速に切り換えることができない。内燃機関に応じた最適な混合比で混合されたエマルジョン燃料は、単一燃料では得られない低燃費性と排ガス清浄効果を得ることができるが、その最適な混合比は、内燃機関の運転状態にも左右される。そのため、例えば特許文献1に開示されている従来技術においては、内燃機関の運転状態に応じてエマルジョン燃料の混合比を迅速に切り換えることができないので、エマルジョン燃料を燃料とすることによって得られる低燃費性と排ガス清浄効果には限界があった。
【0005】
そこで、内燃機関の燃料噴射ノズルの直近に燃料混合手段を設け、燃料噴射ノズルから燃料を噴射する直前に燃料に水を混合するエマルジョン燃料生成システムが提案され公知となっている(例えば特許文献2を参照)。内燃機関の燃料噴射ノズルの直近に燃料生成室を設けて、燃料噴射ノズルから燃料を噴射する直前に燃料生成室にて燃料に水を混合してエマルジョン燃料を生成する構成であることによって、例えば特許文献1に開示されている一般的なエマルジョン燃料供給装置におけるエマルジョン燃料を貯蔵するタンク、及びエマルジョン燃料がタンク内で分離、変質することを防止するための特別な装置を設置する必要がなくなり、エマルジョン燃料供給装置の低コスト化及び小型化が可能になる。また、燃料噴射ノズルから燃料を噴射する直前に燃料に水を混合することによって、内燃機関の運転状態等に応じてエマルジョン燃料の燃料と水の混合比を迅速に切り換えることができる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−257335号公報
【特許文献2】
特開平6−147019号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特許文献2に開示されているエマルジョン燃料生成システムは、アルコール水噴出孔を燃料生成室の中心軸からずらして燃料生成室内に旋回流を作り出して混合することで、アルコール水と燃料とをエマルジョン化できるとしている。しかしながら、上述した特許文献2に開示されているエマルジョン燃料生成システムは、燃料生成室内に圧力変化が生じない状態で混合される。すなわち、アルコール水噴出孔から噴出したアルコール水は、燃料生成室の液体に撹拌エネルギーをほとんど与えることができないと思われ、ほとんど或いは全くエマルジョン化することができないと考えられる。よって、特許文献2に開示されている燃料生成室における燃料と水の混合方法では、燃料と水とをある程度均一に混合して混合燃料を生成することはできても瞬時にエマルジョン化させることは極めて難しいと考えられ、当該文献に開示されている燃料生成室で瞬時に燃料と水を混合してエマルジョン化できるかは疑問であると言わざるを得ない。
【0008】
また、本来は、エマルジョン化された混合燃料とは、燃焼室に噴射された混合燃料中の水が燃料より先に蒸発気化して周囲の燃料を飛散させ、燃料を超微細化させる、いわゆるマイクロエクスプロージョン効果が得られるまでに水及び燃料の粒径が小さい状態で混合されている混合燃料を意味していると考えるべきである。エマルジョン化されている水エマルジョン燃料は、内燃機関の燃焼室に噴射されると、噴射された各液滴が水の周囲を単一燃料が取り囲んでいる状態で噴射される。そして、各液滴は、外側から熱を受けて水が気化すると、水の周囲を取り囲んでいた単一燃料が超微細化して飛散し、瞬時に気化して燃焼する。これが公知のマイクロエクスプロージョン効果の原理であり、このマイクロエクスプロージョン効果によって、NOxやCOの低減、燃費向上、排ガス中の煤の低減等、大幅な燃焼改善が可能になる。尚、ここでの超微細化とは、噴射した水エマルジョン燃料の粒径よりも小さくなることを意味している。したがって、上述した特許文献2に開示されているエマルジョン燃料生成システムは、燃料生成室において単に均一に水と燃料を混合しただけのエマルジョン化されていない混合燃料を生成することしかできず、上述したような燃焼改善効果をほとんど得ることができないと考えられる。
【0009】
本願発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、複数の燃料や水等の液体を混合するための大掛かりな装置、及び混合後のエマルジョン燃料を貯蔵するタンクを設けることなく、エマルジョン燃料を内燃機関の燃料噴射ノズルへ供給することが可能な内燃機関の燃料供給装置を提供することにある。
【0010】
また、本願発明の課題は、内燃機関の燃料噴射ノズルへ供給するエマルジョン燃料の混合比を内燃機関の運転状態に応じて迅速に変更することが可能な内燃機関の燃料供給装置を実現し、単一燃料では得られないエマルジョン燃料による低燃費性と排ガス清浄効果を最大限得ることを可能にすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、複数の異なる性質を有する液体を混合してエマルジョン化させた混合燃料を燃料噴射ノズルへ供給する内燃機関の燃料供給装置であって、各液体を個別に貯蔵した複数の液体タンクと、各液体タンクから前記燃料噴射ノズルへ個別に液体を圧送供給する液体供給手段と、前記燃料噴射ノズルから噴射する直前に複数の液体を混合して瞬時にエマルジョン化させ、前記燃料噴射ノズル内へ送出する液体混合手段とを備え、前記液体混合手段は、第1液体の流路から分岐する100μm以下の幅を有する多数の第1液体分岐路と、第2液体の流路から分岐する100μm以下の幅を有する多数の第2液体分岐路とが平行に交互に隣接して配置された液体混合部と、前記第1液体分岐路及び前記第2液体分岐路に対して直交する方向に長尺に前記液体混合部に形成された放出スリットとを有し、前記第1液体及び前記第2液体を前記液体混合部へ圧送することによって、100μm以下の厚さで交互に重畳された前記第1液体と前記第2液体とが前記放出スリットから放出されて前記第1液体と前記第2液体とが瞬時にエマルジョン化される構成を成している、ことを特徴とした内燃機関の燃料供給装置である。
【0012】
このように、混合前の各液体を燃料噴射ノズルへ個別に圧送供給し、燃料噴射ノズルから噴射する直前に液体混合手段によって複数の液体を混合して瞬時にエマルジョン化した混合燃料を燃料噴射ノズル内へ供給して噴射するので、混合燃料を貯蔵するためのタンクを別途設ける必要がない。混合燃料を貯蔵するタンクを設ける必要がないので、混合燃料がタンク内で分離、変質することを防止するための特別な装置を設置して混合燃料の状態を常時管理する必要もない。したがって、複数の燃料や水等の液体を混合するための大掛かりな装置、及び混合後の混合燃料を貯蔵するタンクを設けることなく、エマルジョン化した混合燃料を内燃機関の燃料噴射ノズルへ供給することができるという作用効果が得られる。
【0013】
尚、液体混合手段は、少なくとも内燃機関の1サイクルに噴射する量の混合燃料を内燃機関の1サイクルの時間内で混合、エマルジョン化して、内燃機関の燃料噴射ノズルへ安定供給できることが必要であり、ここでの「瞬時にエマルジョン化させる」とは、少なくとも内燃機関の1サイクルに噴射する量の混合燃料を内燃機関の1サイクルの時間内にエマルジョン化させることを意味するものである。
【0015】
また、液体混合手段は、第1液体を100μm以下の幅を有する多数の第1液体分岐路へ圧送し、第1液体分岐路と平行に交互に隣接して配置された第2分岐路へ第2液体を圧送することによって、第1液体と第2液体とが100μm以下の幅で交互に重畳された状態となる。そして、その重畳された状態の第1の液体及び第2の液体が、第1液体分岐路及び第2液体分岐路に対して直交する方向に長尺に形成された放出スリットから圧送されて放出される。それによって、第1の液体と第2の液体とが互いに100μm以下の距離で高度に分散した状態になり、その後直ちにエマルジョン化され、第1の液体と第2の液体とを粒径100μm以下に瞬時にエマルジョン化して混合することができる。
【0016】
本願請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記内燃機関の運転状態に応じて前記液体供給手段を制御して前記燃料噴射ノズルへ供給する複数の液体の供給量を調節し、前記混合燃料の混合比を調節する混合比制御手段とを有している、ことを特徴とした内燃機関の燃料供給装置である。
【0017】
このように、内燃機関の運転状態に応じて燃料噴射ノズルへ供給する複数の液体の供給量を調節することによって、液体混合手段によってエマルジョン化された混合燃料の混合比を内燃機関の運転状態に応じて調節することができる。したがって、内燃機関の燃料噴射ノズルへ供給する混合燃料の混合比を内燃機関の運転状態に応じて迅速に変更することができ、それによって、単一燃料では得られない混合燃料による低燃費性と排ガス清浄効果を最大限得ることが可能になるという作用効果が得られる。
【0018】
本願請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記液体供給手段は、各液体タンクと前記燃料噴射ノズルとを個別に連結する配管と、該配管の流量を検出するセンサと、前記配管の流量を増減させるバルブとを有し、前記混合比制御手段は、前記センサにて検出した前記配管の流量に基づいて前記バルブを制御して前記配管の流量を調節する、ことを特徴とした内燃機関の燃料供給装置である。
【0019】
このように、各液体タンクと燃料噴射ノズルとを個別に配管で連結し、各配管の流量を検出するセンサと各配管の流量を調節するバルブとを配設して、センサで検出した配管の流量に基づいてバルブを制御して各配管の流量を調節することによって、前述した本願請求項3に記載の発明による作用効果を得ることができる。
【0020】
本願請求項4に記載の発明は、請求項2又は3において、前記混合比制御手段は、運転中の前記内燃機関の負荷状態に応じて前記混合燃料の混合比を調節する手段を有している、ことを特徴とした内燃機関の燃料供給装置である。
【0021】
混合燃料の最適な混合比は、運転中の内燃機関の負荷状態によって異なってくるので、運転中の内燃機関の負荷状態に応じて混合燃料の混合比を調節することによって、混合燃料による低燃費性と排ガス清浄効果をより向上させることができる。
【0022】
本願請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか1項において、前記混合比制御手段は、前記内燃機関の排ガス中の窒素酸化物濃度に応じて前記混合燃料の混合比を調節する手段を有している、ことを特徴とした内燃機関の燃料供給装置である。
【0023】
混合燃料の混合比が適切でないと内燃機関の排ガス中の窒素酸化物濃度が増加する。したがって、内燃機関の排ガス中の窒素酸化物濃度によって混合燃料の混合比が適切であるかを識別することができるので、排ガス中の窒素酸化物濃度に応じて混合燃料の混合比を調節することによって、混合燃料による低燃費性と排ガス清浄効果をより向上させることができる。
【0024】
本願請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか1項において、前記混合燃料は、燃料と水とを混合してエマルジョン化した水エマルジョン燃料であり、前記混合比制御手段は、前記内燃機関の始動時及び停止直前には燃料に水を混合しない手段を有している、ことを特徴とした内燃機関の燃料供給装置である。
【0025】
燃料と水とを混合してエマルジョン化した水エマルジョン燃料は、運転中の内燃機関においては、単一燃料では得られない低燃費性と排ガス清浄効果を得ることができるが、内燃機関の始動時には、内燃機関の温度が低いために燃料の着火性が悪くなり、燃焼が不安定になることがある。また、内燃機関の停止時に燃料噴射ノズル内やシリンダ内に水エマルジョン燃料が残留していると、水エマルジョン燃料から分離した水によって燃料噴射ノズルやシリンダ壁、ピストン、ピストンリング等が錆びてしまう虞がある。そこで、内燃機関の始動時と停止直前には、燃料に水を混入しないようにすることによって、内燃機関の始動時に燃料の着火性が悪化することを防止することができる。また、内燃機関が停止した状態で燃料噴射ノズル内に水が残留しないので、燃料噴射ノズルやシリンダ壁、ピストン、ピストンリング等が錆びてしまう虞をなくすことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本願発明に係る内燃機関の燃料供給装置を模式的に示したブロック図である。
【0027】
ディーゼルエンジン100は、複数の燃焼室13を備えており、各燃焼室13には、それぞれ燃料噴射ノズル1が配設されている。各燃料噴射ノズル1には、「液体混合手段」を構成するマイクロ混合器11が配設されている。マイクロ混合器11には、「第1液体」としての単一燃料が充填された燃料タンク2と、「第2液体」としての水が充填された水タンク3とが連結されている。燃料タンク2は、配管21によって燃料噴射ノズル1内のマイクロ混合器11に連結されており、配管21には、「混合比制御手段」としての制御部10にて開閉制御可能なバルブ22と、配管21の単一燃料の流量を検出して制御部10に出力するセンサ23とが配設されている。水タンク3は、配管31によって燃料噴射ノズル1内のマイクロ混合器11に連結されており、配管31には、制御部10にて開閉制御可能なバルブ32と、配管31の水の流量を検出して制御部10に出力するセンサ33とが配設されている。
【0028】
燃料タンク2内の単一燃料は、センサ23にて検出した配管21の単一燃料の流量に基づいて、制御部10によりバルブ22が開閉制御されることによって、制御部10に流量を制御されて符号Aで示した経路でマイクロ混合器11へ圧送される。水タンク3内の水は、センサ33にて検出した配管31の水の流量に基づいて、制御部10によりバルブ32が開閉制御されることによって、制御部10に流量を制御されて符号Bで示した経路でマイクロ混合器11へ圧送される。マイクロ混合器11に圧送された単一燃料及び水は、マイクロ混合器11内で瞬時にエマルジョン化されて水エマルジョン燃料となり、燃料噴射ノズル1の燃料噴射孔12から燃焼室13へ噴射される(符号C)。
【0029】
制御部10は、窒素酸化物(NOx)検出装置14にて検出したディーゼルエンジン100の排ガス中の窒素酸化物濃度と、負荷検出装置15にて検出した運転中のディーゼルエンジン100の負荷状態(出力)とに基づいて、マイクロ混合器11へ圧送される単一燃料と水の流量を個別に制御し、燃料噴射ノズル1から燃焼室13内へ噴射される水エマルジョン燃料の噴射量及び単一燃料と水との混合比を調節する。また、制御部10は、ディーゼルエンジン100の始動時及び停止直前には、バルブ32を閉じた状態に制御して単一燃料に水を混合しない。それによって、ディーゼルエンジン100の始動時に燃料の着火性が悪化することを防止することができる。また、ディーゼルエンジン100が停止した状態で燃料噴射孔12及び燃焼室13内に水が残留しないので、燃料噴射孔12や燃焼室13内が錆びてしまう虞をなくすことができる。
【0030】
つづいて、瞬時に水エマルジョン燃料を生成するマイクロ混合器11について説明する。
図2は、マイクロ混合器11を模式的に示した斜視図である。
【0031】
マイクロ混合器11は、「第1液体」としての単一燃料が圧送供給(符号A)される第1液体流路111と、「第2液体」としての水が圧送供給(符号B)される第2液体流路112とを有している。また、マイクロ混合器11は、第1液体流路111から分岐する多数の第1液体分岐路と、第2液体の流路から分岐する多数の第2液体分岐路とが平行に交互に隣接して配置された液体混合部114を有している。さらに、マイクロ混合器11は、第1液体分岐路及び第2液体分岐路に対して直交する方向に長尺に液体混合部114に形成された放出スリット115とを有している。尚、同図においてマイクロ混合器11は、内部構造を説明するために便宜上上面が開放された状態で示されているが、本来は放出スリット115以外の部分は全ての面が密閉された構造となっている。
【0032】
液体混合部114は、図示の如く一連の壁面が交互に折り重なるように形成されており、それによって、第1液体流路111から分岐する多数の第1液体分岐路と第2液体流路112から分岐する多数の第2液体分岐路とが平行に交互に隣接した状態で構成されている。第1液体分岐路及び第2液体分岐路は、符号dで示した略一定の流路幅で、図示の如く一定の波形形状の流路となっている。多数の第1液体分岐路には、第1液体流路111からそれぞれ単一燃料が流れ込み(符号A1、A2・・)、多数の第2液体分岐路には、第2液体流路112からそれぞれ水が流れ込み(符号B1、B2・・)、単一燃料と水を液体混合部114へ圧送することによって、多数の第1液体分岐路及び多数の第2液体分岐路に互い違いに流れ込んで、流路幅dの厚さで交互に重畳された単一燃料と水とが放出スリット115から一気に放出されて(符号C)、単一燃料と水とが瞬時に混合されてエマルジョン化し、水エマルジョン燃料が瞬時に生成される。
【0033】
尚、マイクロ混合器11は、少なくともディーゼルエンジン100の1サイクルに噴射する量の水エマルジョン燃料をディーゼルエンジン100の1サイクルの時間内で混合、エマルジョン化して燃料噴射ノズル1へ安定供給できることが必要である。例えば、出力45200kw、回転数102.9rpmで、1シリンダ当たり3本の燃料噴射ノズル1を有するシリンダを10本有し、燃費が171g/kwhの2サイクルのディーゼルエンジン100を例に説明すると、各燃料噴射ノズル1は、1サイクル当たり燃料を約41.7g噴射することになる。そして、単一燃料と水との最大混合比を2:1とすると、各燃料噴射ノズル1は、1サイクル当たり水エマルジョン燃料を最大約62.6g噴射することになる。回転数から1サイクルの時間は、約0.583秒になるので、マイクロ混合器11は、少なくとも1サイクルの時間約0.583秒以内に62.6g以上の水エマルジョン燃料を生成することができれば良いことになる。
【0034】
また、第1液体分岐路及び第2液体分岐路の流路幅dは、前述したマイクロエクスプロージョン効果を得るために、燃料噴射ノズルから噴射される水エマルジョン燃料の噴射滴の粒径より水エマルジョン燃料を構成する単一燃料と水の粒径が小さくなる幅に設定する必要があり、少なくとも100μm以下、さらには、可能な限り水エマルジョン燃料を構成する単一燃料と水の粒径が小さくなるように、可能な限り狭い幅に設定することによって、より良好なマイクロエクスプロージョン効果を得ることができ、より好ましい。また、マイクロ混合器11は、エマルジョン化した水エマルジョン燃料が滞留したり逆流したりしないので、水エマルジョン燃料を滞留させるための余分な空間や戻りラインを設ける必要がなく、燃料噴射ノズル1内に搭載することも可能なまでに小型化することが可能である。
【0035】
このようにして、単一燃料と水とを燃料噴射ノズル1へ個別に圧送供給し、燃料噴射ノズル1から噴射する直前に液体混合部114において、単一燃料と水とを混合して瞬時にエマルジョン化した水エマルジョン燃料を放出スリット115から燃料噴射ノズル1内へ供給して噴射するので、水エマルジョン燃料を貯蔵するためのタンクを別途設ける必要がない。水エマルジョン燃料を貯蔵するタンクを設ける必要がないので、水エマルジョン燃料がタンク内で分離、変質することを防止するための特別な装置を設置して水エマルジョン燃料の状態を常時管理する必要もない。したがって、単一燃料と水を混合してエマルジョン化するための大掛かりな装置、及び混合後の水エマルジョン燃料を貯蔵するタンクを設けることなく、エマルジョン化した水エマルジョン燃料をディーゼルエンジン100の燃料噴射ノズル1へ供給することできる。
【0036】
また、ディーゼルエンジン100の運転状態に応じて燃料噴射ノズル1へ供給する単一燃料及び水の供給量を調節することによって、水エマルジョン燃料の混合比をディーゼルエンジン100の運転状態に応じて調節することができる。したがって、ディーゼルエンジン100の燃料噴射ノズル1へ供給する水エマルジョン燃料の混合比をディーゼルエンジン100の運転状態に応じて迅速に変更することができ、それによって、単一燃料では得られない水エマルジョン燃料による低燃費性と排ガス清浄効果を最大限得ることが可能になる。
【0037】
そして、当該実施例に示したマイクロ混合器11を備えた内燃機関の燃料供給装置100においては、例えば、軽油とガソリンのように分離せず溶け合って完全に混ざり合う、すなわちエマルジョンにならない液体同士を混合して混合燃料を瞬時に生成し、燃料噴射ノズル1から噴射することも可能であり、混合する液体同士の蒸気圧差が大きく異なれば前述した水エマルジョン燃料と同じ効果(マイクロエクスプロージョン効果)を得ることができ、本発明による効果を得ることができるのは言うまでもないことである。
【0038】
尚、本願発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本願発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】
本願発明によれば、複数の燃料や水等の液体を混合するための大掛かりな装置、及び混合後のエマルジョン燃料を貯蔵するタンクを設けることなく、エマルジョン燃料を内燃機関の燃料噴射ノズルへ供給することが可能な内燃機関の燃料供給装置を提供することができる。
【0040】
また、内燃機関の燃料噴射ノズルへ供給するエマルジョン燃料の混合比を内燃機関の運転状態に応じて迅速に変更することが可能になり、単一燃料では得られないエマルジョン燃料による低燃費性と排ガス清浄効果を最大限得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る内燃機関の燃料供給装置を模式的に示したブロック図である。
【図2】マイクロ混合器を模式的に示した斜視図である。
【符号の説明】
1 燃料噴射ノズル
2 燃料タンク
3 水タンク
10 制御部
11 マイクロ混合器
21、31 配管
22、32 バルブ
23、33 センサ
100 ディーゼルエンジン
Claims (6)
- 複数の異なる性質を有する液体を混合してエマルジョン化させた混合燃料を燃料噴射ノズルへ供給する内燃機関の燃料供給装置であって、
各液体を個別に貯蔵した複数の液体タンクと、
各液体タンクから前記燃料噴射ノズルへ個別に液体を圧送供給する液体供給手段と、
前記燃料噴射ノズルから噴射する直前に複数の液体を混合して瞬時にエマルジョン化させ、前記燃料噴射ノズル内へ送出する液体混合手段とを備え、
前記液体混合手段は、第1液体の流路から分岐する100μm以下の幅を有する多数の第1液体分岐路と、第2液体の流路から分岐する100μm以下の幅を有する多数の第2液体分岐路とが平行に交互に隣接して配置された液体混合部と、前記第1液体分岐路及び前記第2液体分岐路に対して直交する方向に長尺に前記液体混合部に形成された放出スリットとを有し、前記第1液体及び前記第2液体を前記液体混合部へ圧送することによって、100μm以下の厚さで交互に重畳された前記第1液体と前記第2液体とが前記放出スリットから放出されて前記第1液体と前記第2液体とが瞬時にエマルジョン化される構成を成している、ことを特徴とした内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項1において、前記内燃機関の運転状態に応じて前記液体供給手段を制御して前記燃料噴射ノズルへ供給する複数の液体の供給量を調節し、前記混合燃料の混合比を調節する混合比制御手段とを有している、ことを特徴とした内燃機関の燃料供給装置。
- 請求項2において、前記液体供給手段は、各液体タンクと前記燃料噴射ノズルとを個別に連結する配管と、該配管の流量を検出するセンサと、前記配管の流量を増減させるバルブとを有し、前記混合比制御手段は、前記センサにて検出した前記配管の流量に基づいて前記バルブを制御して前記配管の流量を調節する、ことを特徴とした内燃機関の燃料供給装置。
- 請求項2又は3において、前記混合比制御手段は、運転中の前記内燃機関の負荷状態に応じて前記混合燃料の混合比を調節する手段を有している、ことを特徴とした内燃機関の燃料供給装置。
- 請求項2〜4のいずれか1項において、前記混合比制御手段は、前記内燃機関の排ガス中の窒素酸化物濃度に応じて前記混合燃料の混合比を調節する手段を有している、ことを特徴とした内燃機関の燃料供給装置。
- 請求項2〜5のいずれか1項において、前記混合燃料は、燃料と水とを混合してエマルジョン化した水エマルジョン燃料であり、前記混合比制御手段は、前記内燃機関の始動時及び停止直前には燃料に水を混合しない手段を有している、ことを特徴とした内燃機関の燃料供給装置。
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