JP4129848B2 - 溶接構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の被溶接部材を突き合わせて溶接することによって得られる溶接構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば複写機等の電子装置のフレームを構成する角パイプは図14又は図15に示すように溶接によって構成されていた。
【0003】
即ち、図14及び図15は角パイプ110,210の部分斜視図であり、図14に示す角パイプ110はチャンネル材101の上面にプレート102を突き合わせて両者の突き合わせ部を部分的又は連続的に溶接することによって構成され、図15に示す角パイプ210は断面L字状の2つのアングル材201,202同士を突き合わせてその突き合わせ部を溶接することによって構成されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図14に示す角パイプ110及び図15に示す角パイプ210にあっては、それぞれの接合部に溶接ビードX,Yが盛り上がるため、仕上げ加工によってこれらの溶接ビードX,Yを研削する必要があり、加工工数が増大して製造コストがアップする他、溶接面積の減少や溶接ビードX,Yの劣化のために溶接強度が低下するという問題があった。
【0005】
又、両部材101,102又は201,202の突き合わせ部はすみ肉溶接されるため、これらの部材101,102,201,202の溶接部以外の部分も溶接熱の影響を大きく受けて熱変形し、この結果、角パイプ110,210の平面度が悪化するという問題もあった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、仕上げ加工が不要で加工工数の削減と製造コストの低減を図るとともに、高い溶接強度と精度を確保することができる溶接構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、被溶接部材の少なくとも一方の他方への付き合わせ部に絞り加工によって複数の凹部を形成し、前記凹部と他方の突き合わせ部とで溶着金属を埋没させる凹部を形成し、該凹部を溶接することによって被溶接部材を接合することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記凹部を2つの被溶接部材の突き合わせ部に交互に形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記被溶接部材にピンが挿通すべき位置決め孔を形成したことを特徴とする。
【0010】
従って、請求項1又は2記載の発明によれば、被溶接部材の一方に形成された凹部と他方の被溶接部材の突き合わせ部とで、溶着金属を埋没させる凹部を形成し、該凹部を溶接することによって被溶接部材同士を接合するようにしたため、溶着金属が凹部に埋没して被溶接部材の外表面から突出することがなく、この結果、溶接後の仕上げ加工が不要となり、加工工数の削減と製造コストの低減を図ることができる。又、仕上げ加工による溶接面積の減少が防がれる一方、凹部の他部材への突き合わせによって溶接面積が拡大するために溶接強度が高められる。更に、溶接は絞り加工部分にスポット的になされるため、被溶接部材への溶接熱の影響は局部的となる。従って、被溶接部材の熱変形が小さく抑えられて溶接構造物に高い精度が確保される。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、被溶接部材にピンが挿通すべき位置決め孔を形成したため、溶接に際して位置決め孔にピンを差し込んで被溶接部材同士を正確に位置決めすることができ、寸法制度の高い溶接構造物を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は溶接前の角パイプの分解斜視図、図2は図1のA部拡大詳細図、図3は溶接前の角パイプの斜視図、図4は図3のB部拡大平面図、図5は図4のC−C線断面図、図6は図4のD−D線断面図、図7は溶接後の角パイプの平面図、図8は図7のE−E線断面図、図9は図8のF部拡大詳細図である。
【0014】
図1において、1は被溶接部材である金属製のチャンネル材であって、これの底部の幅方向中央にはピン3が挿通すべき位置決め孔1aが穿設されている。又、2は同じく被溶接部材である金属製のプレートであって、その幅方向中央には前記ピン3が挿通すべき位置決め孔2aが穿設されている。
【0015】
ところで、上記プレート2は前記チャンネル材1の上部に突き合わされ、両者は本発明に係る溶接構造によって接合されて図7及び図8に示す角パイプ10が得られるが、プレート2のチャンネル材1への突き合せ部である幅方向両端縁には断面V字状の複数(本実施の形態では片側15個)の凹部2bが長さ方向に形成されている。
【0016】
図2及び図4に詳細に示すように、プレート2の両端縁の前記凹部2bが形成される部分には、凹部2bの幅bと同一幅の切り欠き2cがチャンネル材1の板厚t1 に等しい深さで形成されている。尚、本実施の形態では、チャンネル材1の板厚t1 とプレート2の板厚t2 とは共に2.6mm、チャンネル材1の幅Bは70mm、高さHは15mm、長さLは540mm(図1参照)、プレート2に形成された各凹部2bの長さaは6mm、幅bは10mm(図4参照)、深さdは6mmである(図2参照)。
【0017】
而して、チャンネル材1とプレート2との溶接に際しては、図3に示すように、両者にそれぞれ形成された前記位置決め孔1a,2aに前記ピン3を挿通して両者を位置決めし、プレート2をチャンネル材1の上部に載せてこれを突き合わせる。すると、図4〜図6に示すようにプレート2に形成された各凹部2bの端面がチャンネル材1の内面に当接する。
【0018】
上記状態においてプレート2の各凹部2bをMIG溶接すれば、該プレート2の幅方向両端部が長さ方向に沿ってスポット的にチャンネル材1に接合されて図7及び図8に示す角パイプ10が得られるが、図9に詳細に示すように、溶着金属4がプレート2の各凹部2bに埋没してチャンネル材1とプレート2の外表面から突出することがないため、溶接後の仕上げ加工が不要となり、この結果、加工工数が削減されて製造コストが低く抑えられる。
【0019】
又、上述のように溶接後の仕上げ加工が省略されるために仕上げ加工によるチャンネル材1とプレート2との溶接面積の減少が防がれる一方、プレート2に形成された各凹部2bの端面のチャンネル材1の内面への突き合わせによって溶接面積が拡大するために、角パイプ10には高い溶接強度が確保される。
【0020】
更に、溶接は連続的ではなくスポット的になされるため、チャンネル材1及びプレート2が溶接熱の影響を受けにくく、それらの熱変形が小さく抑えられて製品である角パイプ10に高い精度が確保される。具体的には、長さ540mmの角パイプにおいて従来発生していた5mmの撓み変形量を1〜2mmに抑えることができた。
【0021】
そして、本実施の形態では、チャンネル材1とプレート2に位置決め孔1a,2aをそれぞれ形成し、溶接に際してこれらの位置決め孔1a,2aにピン3を差し込んでチャンネル材1とプレート2を正確に位置決めするようにしたため、寸法精度の高い角パイプ10を得ることができる。
【0022】
尚、以上の実施の形態ではプレート2側に凹部2bを形成したが、図10に示すようにチャンネル材1のプレート2への突き合わせ部に複数の凹部1bをピンポイント的に形成しても良く、或は図11に示すようにチャンネル材1とプレート2の双方に凹部1b,2bを交互に形成しても良い。
【0023】
又、以上の実施の形態では凹部2bの断面形状をV字状としたが、その断面形状は任意であって、例えば図12に示すようにU字状としたり、図13に示すように箱形としても良い。
【0024】
更に、以上は溶接構造物として特に角パイプを例として説明したが、本発明に係る溶接構造は他の任意の溶接構造物を得る際に同様に採用し得ることは勿論である。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、請求項1又は2記載の発明によれば、被溶接部材の一方に形成された凹部と他方の被溶接部材の突き合わせ部とで、溶着金属を埋没させる凹部を形成し、該凹部を溶接することによって被溶接部材同士を接合するようにしたため、溶着金属が凹部に埋没して被溶接部材の外表面から突出することがなく、この結果、溶接後の仕上げ加工が不要となり、加工工数の削減と製造コストの低減を図ることができる。又、仕上げ加工による溶接面積の減少が防がれる一方、凹部の他部材への突き合わせによって溶接面積が拡大するために溶接強度が高められる。更に、溶接は絞り加工部分にスポット的になされるため、被溶接部材への溶接熱の影響は局部的となる。従って、被溶接部材の熱変形が小さく抑えられて溶接構造物に高い精度が確保される。
【0026】
請求項3記載の発明によれば、被溶接部材にピンが挿通すべき位置決め孔を形成したため、溶接に際して位置決め孔にピンを差し込んで被溶接部材同士を正確に位置決めすることができ、寸法制度の高い溶接構造物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶接前の角パイプの分解斜視図である。
【図2】図1のA部拡大詳細図である。
【図3】溶接前の角パイプの斜視図である。
【図4】図3のB部拡大平面図である。
【図5】図4のC−C線断面図である。
【図6】図4のD−D線断面図である。
【図7】溶接後の角パイプの平面図である。
【図8】図7のE−E線断面図である。
【図9】図8のF部拡大詳細図である。
【図10】本発明の別形態を示す溶接前の角パイプの分解斜視図である。
【図11】本発明の別形態を示す溶接前の角パイプの分解斜視図である。
【図12】凹部の別形態を示す部分斜視図である。
【図13】凹部の別形態を示す部分斜視図である。
【図14】従来の溶接構造を有する角パイプの斜視図である。
【図15】従来の溶接構造を有する角パイプの斜視図である。
【符号の説明】
1 チャンネル材(被溶接部材)
2 プレート(被溶接部材)
1a,2a 位置決め孔
1b,2b 凹部
3 ピン
4 溶着金属
10 角パイプ

Claims (3)

  1. 被溶接部材の少なくとも一方の他方への付き合わせ部に絞り加工によって複数の凹部を形成し、前記凹部と他方の突き合わせ部とで溶着金属を埋没させる凹部を形成し、該凹部を溶接することによって被溶接部材を接合することを特徴とする溶接構造。
  2. 前記凹部を2つの被溶接部材の突き合わせ部に交互に形成したことを特徴とする請求項1記載の溶接構造。
  3. 前記被溶接部材にピンが挿通すべき位置決め孔を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の溶接構造。
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