JP4126664B2 - アンテナ装置及びこれを用いた通信機器 - Google Patents
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Description
一方、携帯電話のシステムには、例えば主に欧州で盛んなEGSM(Extended Global System for Mobile Communications)方式およびDCS(Digital Cellular System)方式、米国で盛んなPCS(Personal Communication Service)方式、日本で採用されているPDC(Personal Digital Cellular )方式などの時分割マルチプルアクセス(TDMA)を用いた様々なシステムがある。昨今の携帯電話の急激な普及に伴い、特に先進国の主要な大都市部においては各システムに割り当てられた周波数帯域ではシステム利用者を賄いきれず、接続が困難であったり、通話途中で接続が切断するなどの問題が生じている。そこで、利用者が複数のシステムを利用できるようにして、実質的に利用可能な周波数の増加を図り、さらにサービス区域の拡充や各システムの通信インフラを有効活用することが提唱されている。その為、1個のアンテナで2つ以上の周波数帯を共用するマルチバンド(multi-band)のニーズが増大している。例えば、携帯電話の多機能化のニーズに伴い、通話向けシステムであるセルラ(Cellular:国によって異なるが例えば送信周波数:824〜849 MHz、受信周波数:869〜894 MHz)と、位置検出の機能を果すGPS(Global Positioning System:中心周波数1575MHz帯)のデュアルバンド(dual-band)、また、あるいはEGSM(送信周波数:880〜915MHz、受信周波数:925〜960MHz)と、DCS(送信周波数:1710〜1785MHz、受信周波数:1805〜1880MHz)及びPCS(送信周波数:1850〜1910MHz、受信周波数:1930〜1990MHz)の各システムを取り扱うトリプルバンドに対応できるようなマルチバンド対応の小型アンテナ装置の実現が望まれている。
しかし、従来アンテナ基体に複数の放射電極を形成してマルチバンド化しようとする場合、各放射電極間に生じる静電容量のため、アイソレーションを保つことが困難になると言う問題がある。具体的には、放射電極間の静電容量が増加するほど、互いの高周波電流が反対方向に流れる結果、電磁波の放射を互いに弱め合うことになり、結果、利得(感度)が低下するという問題があった。
また、最近では健康面から、携帯電話等から入放射される電磁波が人体(頭部)に与える影響の軽減が重要視されてきており、電磁波吸収率(SAR:Specific Absorption Rate)を低減するアンテナ装置が望まれている。
このように実装基板のグランド部と離間し、その間に空間部分を介在させるようにして、第1の放射電極と、第2の放射電極を立体的に設けたことにより、実装基板のグランド部と前記第1、第2の放射電極間の容量結合量を小さくすることができ、Q値が小さくなると共にアイソレーションが保たれ共振電流の損失が小さくなる。その結果、帯域幅が広く利得の高いアンテナ装置を得ることができる。また、第1、第2の放射電極を実装基板から離して配置することができることにより、液晶ディスプレイや頭部からの距離が遠くなるように配置することが容易となりノイズ低減や人体頭部に与える電界の集中を緩和させることができる。
また、前記副基板と実装基板との間の電気的接続は、導電性の板バネを介して行うことが望ましい。
ルチバンド対応の通信機器を提供することができる。また、このとき、副基板と実装基板との間にバッテリーを配置し、この副基板と実装基板の距離を離すとともに、その間の空間の有効利用を行うこともできる。
よって、帯域幅が広く且つ平均利得も高いマルチバンド対応のアンテナ装置及びこれを用いた通信機器の提供できる。
図1は、本発明のアンテナ装置の実装基板と副基板及びチップアンテナの形態を示す斜視図、図2は図1の側面図、図3は副基板を上から見た上面図である。この実施例では、副基板25は厚み0.6mmのPCB基板でグランド部はなく、非グランド部に相当する実装面(上面)にチップアンテナ10を搭載している。チップアンテナ10は基体11の外周面に螺旋状の放射電極12を導体パターンで印刷形成しており、その一端は側面まで延び給電電極13に繋がっている。他端は図示できていないが、図4(a)に示すように端子電極14に非接続であるが、容量結合的に繋がっている。さらに端子電極14の一部は副基板25の裏面に設けた第2の放射電極40に対しスルーホール19を介して接続されている。この第2の放射電極40は、第1の放射電極12と上から透過的に見て重ならず、実装基板20のグランド部21(21a、21b)からより遠くなるように、チップアンテナ10の後ろ側の位置に、端子電極14から折り返して第1の放射電極12と略並行に設けられている。一方、給電用電極13側は、副基板側の給電電極61aを介して実装基板20から立設する支柱兼用の給電ピン65に接続されている。この給電ピン65は給電電極61bを介して給電源62へと繋がっている。以上のように第1の放射電極と第2の放射電極を設けることにより帯域幅が広がり広帯域化に対応可能となる。
さらに、第2の放射電極40を、副基板25の裏面に設けているので、チップアンテナ10と第2の放射電極40との間の静電容量を、副基板25の厚み分だけ減少でき、アイソレーションが確保できると共に帯域幅やアンテナ利得をより向上できる。更に第2の放射電極40とチップアンテナ10の配置関係は、上から見て本実施例のように重ならず、かつ実装基板20のグランド部からより遠くなる位置に、端子電極14から折り返して第1の放射電極12と略並行に配置すると、容量結合分の上昇がなく広帯域と高利得を向上できる。逆に、上から見て第2の放射電極40をチップアンテナ10と重なるように配置すると、容量結合が増える分、周波数帯域は下がることになる。よって、このような重なり具合を増減することによって得ようとする中心周波数を調節することも可能である。また、第2の放射電極は複数本設けることも可能であるが、例えば副基板を多層構造にして、その層間に適宜設けて実施することなども出来る。
ヘリカルタイプのモノポールアンテナの代わりに例えば図4(b)のようなL字状、あるいはコ字状、クランク状や図4(c)のようなミアンダ状が用いられる。さらに(b)と(c)を組み合わせた形状も可能である。また台形状、階段状、曲線状等の構造を用いることもできる。ヘリカルやミアンダ構造にした場合、放射電極の長さを大きくすることができ、共振周波数の低い周波数まで対応できる。さらに副基板側に延長して第2の放射電極と組み合わせることによりさらに低い周波数まで対応できる。線状の電極の幅、長さを調整することにより共振周波数を容易に調整できる。本発明では、第2の放射電極は、線状の導体パターンを印刷形成することが望ましいが、これに限るものではなく、線の幅や長さには規制はなく、四角形、台形、三角形または曲面を有する種々の形状になることを妨げないものである。これらの形態は個々のアンテナ装置の状況や求める特性によって変化する。さらに導体パターンは、板金やフレキシブル基板などで放射電極となすことも出来る。板金を用いる場合には銅張り基板のエッチング工程が省略でき、フレキシブル基板を用いる場合には実装設計の自由度が向上する。
尚、本発明においては、第1の放射電極、給電用電極、端子電極とそれぞれ機能的な名称で表しているが、実際には電極はパターン印刷により一体形成することが多いので、これらの電極は機能的にも区別されるものではない。
また、このチップアンテナ120の斜視図を図11に示す。このチップアンテナ120は、基体132に第1の放射電極133が形成されており、その一端に給電用電極134が形成され、基体の他方端部に端子電極135が形成されている。この給電用電極134、端子電極135は、相対する電極136,137をそれぞれ用いることもできる。
この実施例の構造によると、第1の放射電極を有するチップアンテナ、第2の放射電極、又は第2のチップアンテナを、実装基板のグランド部や液晶表示素子と十分に離れて配置することができるので、良好なアンテナ特性を得ることができる。
本来、これらのアンテナ回路は周波数に依存した分布定数となるが、特定の周波数では図15に示すような、集中定数回路として等価回路で置き換えられる。この場合、アンテナの等価回路は3つの共振回路を含む系となる。すなわち、チップアンテナとして小形にも関わらず、3つの周波数に対応したトリプルバンド(GSM/DCS/PCS)用アンテナとして機能することが出来た。ここで、図14に示したように副基板とチップアンテナ側を含む全電極のインダクタンスと、副基板に設けた放射電極165の先端の静電容量C2との共振周波数がGSM帯に相当する。DCS帯では、チップアンテナ側のみの電極のインダクタンスと、静電容量C1の共振周波数に相当し、PCS帯ではチップアンテナ給電側の電極162のインダクタンスと、静電容量C3との共振周波数に相当する。これらの各々の電極長を調整することによって、マルチバンド用アンテナでの最適化が図ることが出来た。この実施例では、上記したトリプルバンド用アンテナとして、十分なアンテナ特性を得ることができた。
チップアンテナの基体に用いる材質として誘電体を用いる場合には、波長短縮効果によりチップアンテナを小型化できる。比誘電率εr=8のアルミナ系誘電体を用いることができるが、それに限定されるものではない。主成分がAl、Si、Sr、Tiの酸化物で構成され、Al、Si、Sr、TiをそれぞれAl2O3、SiO2、SrO、TiO2に換算し、合計100質量%としたとき、Al2O3換算で10〜60質量%、SiO2換算で25〜60質量%、SrO換算で7.5〜50質量%、TiO2換算で、20質量%以下のAl、Si、Sr、Tiを含有し、前記合計100質量%に対し副成分として、Bi2O3換算で0.1〜10質量%のBiを含有し、さらにNa2O換算で0.1〜5質量%のNa、K2O換算で0.1〜5質量%のK、CoO換算で0.1〜5質量%のCoのうち少なくとも1種以上を含有しているものなどが使える。
また、チップアンテナの材質として磁性体を用いる場合には、インダクタンスを大きくできるため、更に小型化できるとともに、さらにアンテナのQ値は低下し広帯域化できる。
チップアンテナの材質として誘電体と磁性体の混合物を用いる場合には、波長短縮効果によるアンテナの小型化と、アンテナのQ値を低下できることによる広帯域化が可能である。尚、この実施例の基体11の寸法は、幅4mm、長さ10mm、厚さ3mmである。
図5(b)に示すように、本実施例は端末を開いた場合と閉じた場合の差が少なく、しかも広帯域化できている。即ち、端末を開いている場合、全使用周波数範囲においてVSWR=3以下であり、また広い周波数範囲にわたってVSWRが1に近い良好な特性を示している。例えば反射電力が10%程度に相当するVSWR=2で比較例よりも帯域幅が15〜20%程度広がっている。一方、端末を閉じた場合でも安定しており、VSWR=2以下の帯域が広がっており、ほぼ全帯域でVSWR=3以下の良好な特性を示している。図5(a)に示す比較例では、このような良好な特性は得られていない。
平均利得の測定に際しては、電波無響暗室内で被試験アンテナ(送信側)の給電端子に信号発生器を接続し、前記アンテナから放射された電力を受信用基準アンテナで受信することにより測定した。被試験アンテナからくる受信電力をPaとし、既知の利得Grを有する送信用基準アンテナにより測定した受信電力をPrとすると、被試験アンテナの利得Gaは、Ga=Gr×Pa/Prで表される。
図6(b)より本実施例のものは端末を閉じたときの利得、特に送信側周波数での利得が向上していることが分かる。比較例では送信帯域で利得が低下するのに比べおよそ2〜3dB利得が向上している。また、端末を開いている場合の利得も平均して十分な利得が得られており問題はない。
以上のように本発明の副基板を用いたアンテナ装置によれば、携帯端末を開いた場合でも、また閉じた場合でも特性の差が少ないものが得られる。これは、実装基板(主基板)との間に空間部を設けたことによる効果、また実装基板から離して配置したことにより携帯端末を閉じている場合と開いた場合とで、筐体や液晶ディスプレイ等との相対距離があまり変わらないことによる効果であると考えられる。
また、携帯電話から放射される電磁波(高周波の電界強度)から人体頭部Hが近接した状態では一部の電磁波が人体に吸収される。この人体で吸収された電磁波の影響により、頭部方向の空間に放射される電磁波が弱められることから、この方向で利得の低下が起こるといった問題がある。さらに人体の電磁波吸収により、最近では健康への悪影響が懸念されており、比吸収率(SAR)の法的規制が行われている。人体の電磁波吸収効果による利得低下を抑止すると共にSAR値の低減を図るためには、チップアンテナで発生する電界を人体頭部から出来る限り離すことが最も効果的な手段である。このため本発明では本体実装基板に対し、人体頭部と反対面にアンテナ装置を配置し、さらに空間部を介して副基板に実装することにより、より遠くに配置することができるので好ましい。
11、132:基体
12、133:放射電極
13:給電用電極
14:端子電極
19、130、152、166:スルーホール
20、121、143:実装基板
21:実装基板のグランド部
25、122、146、167:副基板
35:空間部
40、131、153、165:第2の放射電極
41:開放端
61:基板の給電電極
62:高周波信号源
65、123:給電ピン
80:アンテナ装置
144:給電ケーブル
151:整合回路
Claims (6)
- 基体と、該基体に形成された第1の放射電極と、該第1の放射電極の他端に接続又は非接続された給電用電極と、前記第1の放射電極の一端が接続又は非接続にされた端子電極とを有するチップアンテナと、グランド部と非グランド部を有する実装基板と、該実装基板とは別体の副基板とを有し、当該副基板に前記チップアンテナを搭載し、前記副基板には、前記チップアンテナの端子電極に接続又は非接続にされた少なくとも1つの第2の放射電極を形成し、当該第2の放射電極は、前記第1の放射電極と上から透過的に見て重ならず、かつ前記実装基板のグランド部からより遠くなる位置に、前記端子電極から折り返して前記第1の放射電極と略並行に設けられており、さらに当該副基板を前記実装基板から離間して配置することにより、前記チップアンテナ及び第2の放射電極と前記実装基板のグランド部との間に空間部分を設けてなることを特徴とするアンテナ装置。
- 前記第2の放射電極を前記副基板の内部または裏面に形成し、前記副基板に搭載したチップアンテナの端子電極と前記副基板に形成した第2の放射電極との接続を、前記副基板に形成したスルーホールを用いて行うことを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
- 前記第1の放射電極と第2の放射電極は、前記副基板および実装基板のグランド電極と上から透過的に見て重ならないことを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナ装置。
- 前記副基板に第2のチップアンテナが搭載されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアンテナ装置。
- 前記副基板と実装基板との間の電気的接続は、導電性の板バネを介して行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアンテナ装置。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のアンテナ装置を搭載し、前記副基板と前記実装基板との間に、バッテリーを配置したことを特徴とする通信機器。
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