JP4126238B2 - ポリピロール誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高容量のリチウム二次電池の正極素材等として有用な、ポリスルフィド結合を有するポリピロール誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、リチウム二次電池の正極素材として、コバルト酸リチウムやマンガン酸リチウム等が知られている。しかし、これらの素材の実用容量は、負極素材である炭素材料等の実用容量に対して小さく、これらの正極素材を用いても大幅な容量の向上を期待できなかった。このため、高性能な電池システムを構築するためには新たな正極素材の開発が望まれている。
【0003】
近年、実用容量の大きいリチウム二次電池の正極素材として、有機化合物を用いる試みがなされている。例えば、π共役系導電性高分子であるポリピロールは、柔軟性があるため薄膜等への成形が容易なこと、使用後も焼却または化学的処理が可能であるため環境への影響が少ないこと、安価であること、また置換基の導入等により分子レベルでの設計が可能であること等の特徴を持ち、導電性の高い優れた二次電池の電極として実用化が期待されている。
【0004】
一方、スルフィド化合物は、硫黄原子上で1個の電子をやり取りする、すなわち電子を1つ受け取ることで、チオール基として安定化し、電子を1つ放出することで、分子内または分子間でスルフィドを形成する反応を繰り返し行うことができる。この反応を二次電池における充放電に利用することができれば、高エネルギー密度の二次電池が可能となる。
【0005】
このようなことから、近年、ピロール環の3位と4位に硫黄原子が複数結合してなるポリスルフィド結合を有するポリピロール誘導体が、高容量のリチウム二次電池の正極素材として注目されている(特許文献1)。
【0006】
ポリピロール誘導体の製造方法としては、非特許文献1に記載された、ポリピロールの製造方法が知られている。しかしながら、そこでは、ポリスルフィド結合を有するポリピロール誘導体の製造方法については触れられていない。また、特許文献2には、ジスルフィド結合を有するポリピロール誘導体の製造方法および電気化学的挙動が記載されている。しかしながら、その電池用材料としての特性には触れられておらず、重合収率向上等の検討もなされていない。
【0007】
従って、リチウム二次電池の正極素材として有用な、ポリスルフィド結合を有するポリピロール誘導体を実用化するためには、より高い重合収率で高い導電性を有するポリスルフィド結合を有するポリピロール誘導体を製造する方法の開発が望まれていた。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−141065号公報
【特許文献2】
GB2288799号
【非特許文献1】
Synthetic Metals.,31,311−318(1989)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、ピロール環の3位と4位に硫黄原子が複数結合したポリスルフィド結合を有するピロール誘導体から、優れた導電性を有するポリスルフィド結合を有するポリピロール誘導体を、高い重合収率で製造する方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、ポリスルフィド結合を有するピロール誘導体を化学酸化重合法により重合してポリスルフィド結合を有するポリピロール誘導体を製造する方法を鋭意検討した。その結果、溶媒としてエチレングリコール系溶媒を用い、酸化重合触媒として鉄系酸化剤を用いて化学酸化重合を行なうと、副反応である過酸化反応が抑制され、高い重合収率で、優れた導電性を有するポリピロール誘導体を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
かくして、本発明によれば、式(I)
【0012】
【化3】
【0013】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基を表し、nは2〜6のいずれかの整数を表す。)で表されるポリスルフィド結合を有するピロール誘導体を、グリコール系溶媒中、鉄系酸化剤の存在下に化学酸化重合することを特徴とする、式(II)
【0014】
【化4】
【0015】
(式中、R1、R2およびnは、前記と同じ意味を表す。mは、10〜10,000のいずれかの整数を表す。)で表されるポリスルフィド結合を有するポリピロール誘導体の製造方法が提供される。
【0016】
本発明の製造方法においては、前記鉄系酸化剤として塩化第二鉄を用いるのが好ましく、また、前記グリコール系溶媒としてエチレングリコール、特にその脱水溶媒を用いるのが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のポリスルフィド結合を有するポリピロール誘導体の製造方法について詳細に説明する。
本発明は、前記式(I)で表されるポリスルフィド結合を有するピロール誘導体(以下、「ピロール誘導体(I)」という。)を、グリコール系溶媒中、鉄系酸化剤の存在下に化学酸化重合することを特徴とする、前記式(II)で表されるポリスルフィド結合を有するポリピロール誘導体の製造方法である。
前記式(I)中、R1、R2はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基を表す。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0018】
置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基(ここで、炭素数は、置換基の炭素数を含まないアルキレン基の炭素数である。)の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、1−メチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、2−メチルエチレン基、2,2−ジメチルエチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、3−メチルトリメチレン基(但し、ピロール環に結合している炭素を1とする。)等が挙げられる。
前記式(I)中、nは2〜6のいずれかの整数を表す。
ピロール誘導体(I)の具体例としては、下記第1表に示すものが挙げられる。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
【表5】
【0024】
【表6】
【0025】
【表7】
【0026】
本発明においては、これらの中でも、ピロール誘導体(I)としてはnが2または3であり、R1およびR2がそれぞれ、メチレン基、エチレン基またはトリメチレン基である化合物が好ましい。かかる化合物は、製造原料の入手および製造が容易であり、これらから優れた導電性を有する、前記式(II)で表されるポリピロール誘導体(以下、「ポリピロール誘導体(II)」という。)を、高い重合収率で製造することができるからである。
【0027】
ピロール誘導体(I)は、例えば、下記式に示すように、式(III)で表される化合物(以下、「化合物(III)」という。)を、アルカリ金属硫化物および硫黄と反応させて式(IV)で表される化合物(以下、化合物(IV)という。)を得、さらに保護基Zを脱離させることで製造することができる(特開2002−141065号公報)。
【0028】
【化5】
【0029】
(式中、R1およびR2は前記と同じ意味を表し、XおよびYはそれぞれ独立してハロゲン原子を表し、Zは窒素原子の保護基を表す。)
XおよびYの具体例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、Zの具体例としては、アルコキシカルボニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシメチル基、トリアルキルシリル基等が挙げられる。
【0030】
アルカリ金属硫化物の具体例としては、硫化ナトリウム、硫化カリウム等が挙げられ、予め調製された水和物、無水物のいずれを用いてもよい。また、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコラートと硫化水素を反応させて得られる反応液をそのまま使用することもできる。
アルカリ金属硫化物の使用量は、化合物(III)に対して1〜100倍モルの範囲である。
硫黄の使用量は、導入する硫黄原子の数nの値に応じて、アルカリ金属硫化物に対して1〜100倍モルの範囲である。
【0031】
化合物(III)から化合物(IV)を得る反応に用いる溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等の炭素数1〜6のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、グライム、ジグライム等のエーテル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド等の非プロトン性極性溶媒等;を挙げることができる。これらは単独で、あるいは2種類以上を混合して用いることができる。また、これらの2種類以上を使用して2相系溶媒として用いることもできる。
反応は、アルカリ金属硫化物と硫黄とを、溶媒中、室温から用いる溶媒の沸点の温度範囲で1〜72時間攪拌混合し、得られる反応液に化合物(III)を添加して行うのが好ましい。反応は、−10℃から用いる溶媒の沸点の温度範囲で円滑に進行する。
【0032】
保護基Zを脱離させる反応としては、特に制限はなく、公知の脱保護反応を用いることができる。例えば、塩酸、硫酸などの鉱酸類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、硫化ナトリウム、ナトリウムジスルフィドなどのアルカリ類を用いた加水分解;金属アルコラート類を用いた加アルコール分解;水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウムなどを用いた還元反応;などが挙げられる。また、化合物(IV)を単離することなく、続けて脱保護反応を行い、ピロール誘導体(I)を一挙に得ることもできる。
【0033】
本発明の製造方法は、このようにして得られたピロール誘導体(I)を化学酸化重合させ、ポリピロール誘導体(II)を製造するものである。
【0034】
本発明においては、化学酸化重合反応に用いる溶媒としてグリコール系溶媒を使用することを特徴とする。特に脱水溶媒を用いるのが好ましく、グリコール系溶媒の具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロペンタン1,2−ジオール等が挙げられる。これらの中でも、過酸化反応などの副反応が抑制され、導電性に優れるポリスルフィド結合を有するポリピロール誘導体が収率よく得られることから、エチレングリコールの使用がより好ましい。
グリコール系溶媒の使用量は、ピロール誘導体(I)1gに対して、通常1ミリリットルから数千ミリリットル、好ましくは10〜1000ミリリットルである。
【0035】
本発明においては、酸化重合触媒として鉄系酸化剤を用いることを特徴とする。鉄系酸化剤としてはFe(III)の塩が好ましい。具体的には、塩化第二鉄(FeCl3)、過塩素酸鉄(Fe(ClO4)3)、硝酸鉄(Fe(NO3)3)、パラトルエンスルホン酸第二鉄塩、硫酸第二鉄(Fe2(SO4)3)、テトラフルオロホウ酸鉄(Fe(BF4)3)等が挙げられる。これらの中でも、過酸化反応などの副反応が抑制され、導電性に優れるポリスルフィド結合を有するポリピロール誘導体が収率よく得られることから、塩化第二鉄の使用がより好ましい。
鉄系酸化剤の使用量は、ピロール誘導体(I)1モルに対して、通常1〜10モル、好ましくは2〜4モルである。
本発明においては、酸化重合触媒として無水塩化第二鉄を用い、かつ溶媒としてエチレングリコール、特にその脱水溶媒を用いるのが好ましい。
【0036】
化学酸化重合反応は、通常、常圧下で行われる。また、酸化反応を抑制する観点から、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行われるのが好ましい。反応温度は、用いる溶媒の融点から沸点までの温度範囲、好ましくは−10〜+50℃である。反応は、通常、数十分から数十時間で完結する。
【0037】
反応終了後は、通常の後処理を行うことにより目的物を単離することができる。例えば、反応溶液を上記溶媒に分散させ、該分散溶液を遠心分離する。得られた沈殿物をメタノール等の低沸点溶媒中に分散させ、再び遠心分離して沈殿物を回収する。この分散と遠心分離操作を繰り返した後、ろ過等により沈殿物を回収し、減圧乾燥等することにより、重合反応液から目的とするポリピロール誘導体(II)を単離することができる。
【0038】
前記式(II)中、R1、R2およびnは、前記と同じ意味を表し、mは、10〜10,000のいずれかの整数を表す。
【0039】
ピロール誘導体(I)を化学酸化重合する際、副反応である過酸化反応が起きると、カルボニル基等が生成する。生成する重合体中にカルボニル基等が存在する場合には、重合体の導電性が低下することが知られている。カルボニル基等の存在は、重合体のIRスペクトルを測定することにより確認することができる。本発明の製造方法によれば、カルボニル基等はほとんど存在しない重合体を得ることができる。すなわち、本発明の製造方法によれば、化学酸化重合反応の際、副反応である過酸化反応が抑えられ、高い重合収率で導電性に優れるポリピロール誘導体(II)を得ることができる。
【0040】
ポリピロール誘導体(II)は、分子内にポリスルフィド結合を有するため、高いエネルギー密度を有し、室温で速やかに酸化還元反応を行うことができ、繰り返し充放電が可能である。従って、本発明により得られるポリピロール誘導体(II)は、ポリマーリチウム二次電池の正極素材の活物質として有用である。
【0041】
ポリマーリチウム二次電池は、例えば、活物質であるポリピロール誘導体(II)および非水電解液を保持する機能を有するポリマー等が集電体に担持された構造の正極素材と、負極素材との間に電解質層素材を配置し、外装材で密封することにより得ることができる。正極素材は、活物質であるポリピロール誘導体(II)およびポリマー等を有機溶媒存在下で混練することによりペーストを調製し、該ペーストを集電体に塗布することにより作製することができる。
【0042】
得られるポリマーリチウム二次電池は、例えば、ノートパソコン、携帯電話、コードレスフォン機、電子手帳、電卓、液晶テレビ、電気シェーバー、電動工具、電子翻訳機、音声入力器、メモリーカード、バックアップ電源、ラジオ、ヘッドホンステレオ、ナビゲーションシステム等の機器用の電源や、冷蔵庫、エアコン、テレビ、温水器、オーブン電子レンジ、食器洗い器、洗濯機、ゲーム機器、照明機器、玩具、医療機器、自動車、電動カート、電力貯蔵システム等の電力供給源として使用できる。
【0043】
【実施例】
次に、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、実施例および比較例により何ら限定されるものではない。
実施例1 ポリピロール誘導体( II −1)の製造
【0044】
【化6】
【0045】
窒素雰囲気下、100ml三口フラスコに脱水エチレングリコール20mlを加え、無水塩化鉄(FeCl3)1.23g(7.5mmol)を加えて溶解した。そこへ、脱水エチレングリコール10mlに溶解した化合物(I−1)(特開2002−141065号公報に記載の方法により合成したもの);500mg(3.2mmol)を室温でゆっくりと滴下した。さらに25℃で8時間撹拌した後、反応液を100mlのエチレングリコール溶媒中に分散させた。
この分散溶液を遠心分離(10,000rpm,20min)し、得られた沈殿物を100mlのメタノール中に分散させ、再び遠心分離して沈殿物を回収した。この分散と遠心分離操作を計2回行なった後、ろ過により沈殿物を回収し、室温下で減圧乾燥を行なったところ、ポリピロール誘導体(II−1)を黒色粉末として得た。収量および収率を第2表に示す。収率は、式:重合体収量/化合物(I−1)×100により算出した。
【0046】
比較例1〜3 ポリピロール誘導体( II −1)の製造
脱水エチレングリコールに代えて、脱水した、メタノール(比較例1)、アセトニトリル(比較例2)及び1−ペンタノール(比較例3)を用いたほかは、実施例1と同様の操作を行なった。得られたポリピロール誘導体(II−1)の収量および収率を第2表に示す。
なお、エチレングリコール(沸点193℃)および1−ペンタノール(沸点183℃)は沸点が高いため、得られた重合体に付着した状態で、または重合体に含まれた状態で残存している可能性がある。そのため、得られた重合体のIRスペクトル(KBr法、0.1重量%)と熱分析測定を行った。その結果、エチレングリコール、1−ペンタノールに由来するIRスペクトル吸収は観測されず、また、重量減少は確認されなかったため、得られたポリピロール誘導体には、溶媒が残存していないことがわかった。
【0047】
【表8】
【0048】
第2表から、溶媒としてエチレングリコールを用いた場合(実施例1)では、他の溶媒を用いた場合(比較例1〜3)に比較して、ポリピロール誘導体(II−1)を高収率で得られた。
また、実施例1および比較例1〜3で得られた各ポリピロール誘導体(II−1)について、IRスペクトル(KBr法、0.1重量%)を測定した。測定結果を図1に示す。図1中、縦軸は吸収強度を、横軸は波数(cm−1)をそれぞれ表す。
【0049】
図1において、実施例1(エチレングリコール溶媒)、比較例1(メタノール溶媒)および比較例3(1-ペンタノール溶媒)で得られたポリピロール誘導体(II−1)は、いずれも同じスペクトルパターンを示している。すなわち、ピロール環の伸縮振動(C=C,C=N)に由来する吸収が1300〜1600cm−1の領域に現れており、ピロール環構造が維持された重合体が得られたことがわかる。
【0050】
比較例1および3では、カルボニル基の吸収領域である1600〜1700cm−1に強い吸収が観測されている。比較例2でも、1607cm−1、1700cm−1に強い吸収が存在する。この吸収が強いことから、得られたポリピロール誘導体の過酸化の程度が著しく大きいことが示唆される。それに比して実施例1では、カルボニル基に由来する吸収は非常に小さく、エチレングリコールを溶媒として用いた場合には、重合の際に過酸化反応がほとんど進行していないことが分かった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、ポリスルフィド結合を有するポリピロール誘導体を高い重合収率で得ることができる。本発明の製造方法により得られるポリピロール誘導体は導電性に優れ、リチウム二次電池等の正極素材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1および比較例1〜3で得られたポリピロール誘導体のIRスペクトル図である。
Claims (3)
- 前記鉄系酸化剤として、塩化第二鉄を用いることを特徴とする請求項1に記載のポリピロール誘導体の製造方法。
- 前記グリコール系溶媒として、エチレングリコールを用いることを特徴とする請求項1または2に記載のポリピロール誘導体の製造方法。
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