JP4126136B2 - 多回転式ポテンショメータの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多回転式のポテンショメータの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多回転式ポテンショメータの一般的構造を図21に示す。この多回転式ポテンショメータは、図21(a)に示すように、ケース101内に螺旋状に配置された抵抗体102と、この抵抗体102に摺動接触する摺動接点部103aを有するリング状の回転体103とを備えている。回転体103は、ロータ軸109aに挿通されており、シャフト109bを回転させることにより、図中横方向にスライドしながら回転して、その摺動接点部103aを抵抗体102に沿って摺動移動させる。抵抗体102の両端は、それぞれ第一端子105及び第三端子107に接続され、摺動接点部103aは、コレクタ103b及び摺動片103cを介して、第二端子106に接続されている。抵抗体102に対する摺動接点部103aの接触位置を変えることで、第二端子106と第一端子105(又は第三端子107)との間の抵抗値を可変とすることができる。ここで、抵抗体102は、図21(b)に示すように、銅(Cu)線の表面に絶縁処理を施した絶縁線材102aにNi-CrやCu-Ni等の抵抗線材102bを螺旋状に巻き付けたものであり、このような抵抗体102がケース101内に螺旋状に配置されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような多回転式ポテンショメータでは、抵抗体102に巻き付けられた抵抗線材102bと摺動接点部103aとの接触位置により抵抗値が変わるので、構造上その抵抗値は階段状に変化する。この階段状に変化する抵抗値の一段分の抵抗値がポテンショメータの分解能となるが、微細な変動を検出するために分解能を更に小さくしたいという要望があった。また、このような多回転式ポテンショメータは、上述した抵抗体102の製造に非常に手間がかかり、ポテンショメータ全体の生産性を向上させる上での障害となっていた。また、硬度が同等レベルの抵抗線材102bと摺動接点部103aとが摺動されるため、抵抗線材102bが摩耗しやすく、隣接する抵抗線材102b同士でショートが発生してしまうなど、耐久性からも更なる向上が望まれていた。また、構造上摺動する接点〔抵抗体102と摺動接点部103aとの間、摺動接点部103aとコレクタ103bとの間、摺動片103cと第二端子106との間〕が多く、この部分で発生する接触抵抗が摺動を繰り返すに従って増加し、ポテンショメータとしての経時的信頼性を低下させる要因となっていた。また、前述したポテンショメータを組立てるにあたって、抵抗体102をケース101内に組み込むに際し、抵抗体102を螺旋状に成形した後、抵抗体102の径を圧し縮めるようにして、ケース内に押し込み、抵抗体102の弾性復元力によってケースの内壁面に固定する方法を採用している。
【0004】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、分解能を向上させると共に、その生産性・耐久性・信頼性を向上させることのできる多回転式ポテンショメータを簡単に組立て得る製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、内面に沿う螺旋状の抵抗体保持溝を有すると共に複数に分割させた抵抗体ホルダと、抵抗体保持溝内に収容させると共にテープ状絶縁ベース材の表面上にコンダクティブプラスチック層を積層させている螺旋状の抵抗体と、抵抗体の表面に摺動接触する摺動接点部を有する回転体とを備えた多回転式ポテンショメータであって、抵抗体保持溝と同じピッチを有する螺旋状の抵抗体保持凸部をもった抵抗体組付け治具に、弾性復元力を有するテープ状の抵抗体を巻き付けるにあたって、抵抗体保持凸部の頂部にテープ状の抵抗体を沿わせながら巻き付ける工程と、その巻き付け状態を保持した後、抵抗体が抵抗体ホルダ内の抵抗体保持溝内に嵌まり込むように、複数分割した抵抗体ホルダを一体化させるように組立てる工程と、抵抗体ホルダの組立て状態を保持した後、抵抗体を抵抗体保持凸部から離し、抵抗体の弾性復元力により、抵抗体ホルダの抵抗体保持溝内にテープ状の抵抗体を収容させる工程と、抵抗体組付け治具を回転させながら、抵抗体ホルダから抵抗体組付け治具を抜き取る工程とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明は、テープ状絶縁ベース材の表面上にコンダクティブプラスチック(CP)層を積層させている抵抗体を螺旋状に維持した状態で、分割型の抵抗体ホルダ内にテープ状の抵抗体を取り付ける際の作業性の向上に着目したものである。先ず、螺旋状の抵抗体保持凸部をもった抵抗体組付け治具を準備する。そして、抵抗体保持凸部の頂部に沿わせるようにテープ状の抵抗体を巻き付けていく。その後、螺旋状に巻かれた抵抗体が抵抗体ホルダの抵抗体保持溝内に嵌まり込むように、分割した抵抗体ホルダを一体化させる。その後、抵抗体組付け治具から抵抗体を離脱させるように、抵抗体の保持解除を行うと、抵抗体の弾性復元力により、抵抗体は外方へ広がろうとする。その結果、抵抗体は、抵抗体ホルダの抵抗体保持溝内に収まることになり、抵抗体はその弾性力によって抵抗体保持溝内で螺旋形状が維持されることになる。また、抵抗体と抵抗体組付け治具とは分離させた状態になっているので、抵抗体組付け治具を所定方向に回転させることで、抵抗体組付け治具自体が抵抗体ホルダから抜け出て、抵抗体ホルダ内に抵抗体が残されることになる。このようにして多回転式のポテンショメータを組立てると、螺旋状の抵抗体を抵抗体ホルダ内に簡単に組み込むことができ、作業性の向上に大きく寄与する。また、抵抗体組付け治具を利用すると、CPが塗布された抵抗体を必要以上に湾曲させる虞れがなく、CP層の破損防止及び剥離防止に寄与する。更に、製品が小型化しても、螺旋状の抵抗体を精度良く容易に組み込むことができ、組立て作業性の向上に伴って生産性の向上を招来するものである。
【0007】
請求項2記載の発明において、抵抗体組付け治具は、テープ状の抵抗体を抵抗体保持凸部に巻き付ける際、抵抗体の端部を抵抗体保持凸部の頂部に固定させる留め部材を含むと好ましい。この場合、抵抗体の巻始めの部分を留め部材を介して抵抗体組付け治具に固定しておくことができ、抵抗体保持凸部の頂部に沿って、抵抗体を螺旋状に簡単に巻き付けることができる。
【0008】
請求項3記載の発明において、抵抗体組付け治具の両端を、抵抗体保持凸部の回転軸線上で支持させながら、抵抗体を抵抗体保持凸部に巻き付けると好ましい。この場合、抵抗体組付け治具を回転させながら巻付け作業することができ、この作業にあたって、テープ状の抵抗体を、抵抗体保持凸部の接線方向に指で軽く引っ張りながら行うことで、抵抗体保持凸部の螺旋形状に沿って確実に且つスピーディに抵抗体を巻き付けることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に係る多回転式ポテンショメータの製造方法の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
図1及び図2に示す多回転式ポテンショメータにおいて、ケース1内には、テープ状で螺旋形状にした抵抗体2と、この抵抗体2に摺動接触する摺動接点部3aをもった回転体3とが配置されている。この回転体3は、シャフト9のロータ軸9aに沿って、回転しながら図中横方向にスライドする。ケース1は、合成樹脂製の抵抗体ホルダ10とモールド成形したハウジング11とからなっている。ハウジング11の後端部には、抵抗体ホルダ10の外径に等しい直径を有する円形のプレート4が接着剤Rを介して固定されている。
【0011】
抵抗体2は、図3及び図4に示すように、絶縁ベース材2a上にコンダクティブプラスチック層(以下、「CP層」とも言う)2bが形成されており、抵抗体2の両端には、CP層2b上にコンタクト層2cが積層されている。CP層2bは、導電性を確保するために、炭素混入させた熱硬化性樹脂を絶縁ベース材2a上に塗布され、これを加熱焼成して硬化させたものである。絶縁ベース材2aは、加熱焼成に耐え得る耐熱性を有すると共に、適度な柔軟変形性を有するフィルムが用いられる。
【0012】
また、コンタクト層2cは、抵抗体2の両端に電圧を印加させるための電極となる銀(Ag)のパターンである。コンタクト層2cの形成にあたっては、銀ペーストを用いて加熱焼成させて硬化させる。コンタクト層2cの形成は、CP層2bの長さLを規制して、検出可能な角度(有効電気角)を得る事と、後述する端子バネ5b,7bとの接続を容易かつ確実にするために行われる。CP層2bやコンタクト層2cは、スクリーン印刷法やドローイング法による塗布方法によって形成させると、均一な層厚さが実現される。CP層2bの層厚さを均一にすると、単位長さ当たりの抵抗値が異なることが適切に回避される。
【0013】
抵抗体2の製造時には、シート状の絶縁ベース材2a上にCP層2bを形成させ、対向する両端縁にコンタクト層2cを形成させ、これをテープ状に切断することにより、多数本の抵抗体2を一度に容易に製造することができる。これに対して、図11(b)に示すような従来用いられていた抵抗体102の場合は、抵抗体102とするまでの部品点数が多く、工程が複雑となるばかりでなく、一本ずつ製造しなくてはならないため、非常に手間もコストもかかるものであった。このことは、ポテンショメータが多回転式であると抵抗体102の長さが長くなるので、特に顕著である。これに対して、図1に示す多回転式ポテンショメータは、飛躍的にその生産性を向上させることができる。
【0014】
抵抗体2が取り付けられる樹脂製の分割型抵抗体ホルダ10は、図5及び図6に示すように、二分割され、半円筒状の抵抗体ホルダ部10Aを2個組み付けることで構成される。そして、螺旋状の抵抗体2は、2個の抵抗体ホルダ部10Aで挟み込むようにして抵抗体ホルダ10内に収容されることになる。
【0015】
図7及び図8に示すように、抵抗体ホルダ10の内面には螺旋状の抵抗体保持溝10aが形成されている。各抵抗体ホルダ部10Aは同一の形状にすることで、部品の共有化を達成させている。また、各抵抗体ホルダ部10Aの左右の連結面10bには、突出するボス部15A,15Bと相手側のボス部15A,15Bが嵌まり込む縦溝状のボス受け部16A,16Bが形成され、2個の抵抗体ホルダ部10A同士の凹凸嵌合を可能にし、互いを確実に組み付けできるようにする。この場合、一方の抵抗体ホルダ部10Aのボス部15Aと相手側の抵抗体ホルダ部10Aのボス受け部16Aとが嵌合し、同様に、ボス部15Bとボス受け部16Bとが嵌合する。
【0016】
また、左右の連結面10b上において、ボス部15Aとボス受け部16Aの間隔L1と、ボス部15Bとボス受け部16Bの間隔L2とは異ならせている。これは、同一形状の2個の抵抗体ホルダ部10A同士を組み付ける際の組み付け方向を常に一定にするための方策である。これによって、作業者の組み付け誤認を排除することができ、抵抗体ホルダ10内で確実な螺旋状の抵抗体保持溝10aを作り出すことができる。
【0017】
なお、抵抗体保持溝10aの底部10cの幅は、抵抗体2の幅とほぼ等しく形成され、これに対し、抵抗体保持溝10aの開口部10dの幅は、その底部の幅よりも広く形成されている。このため、抵抗体保持溝10aの断面は、底部に向けて徐々に狭くなる凹状となり、抵抗体保持溝10aに抵抗体2を収納させるときに、抵抗体2をガイドするので収納作業を行い易い。
【0018】
そして、抵抗体保持溝10a内に抵抗体2を収容させると、抵抗体2がテープ状であり且つ自らの弾性復元力によりケース1内面に密着するので、摺動接点部3aは、テープ状の抵抗体2の表面を円滑に摺動させることができる。また、抵抗体2は、自らの弾性復元力により抵抗体保持溝10aに沿って螺旋状の形態を保持する。
【0019】
また、抵抗体2のCP層2bは、抵抗体2の表面全体に形成されているため、この抵抗体2のCP層2bに対する摺動接点部3aの接触位置を変更して抵抗値を変化させるときに、その分解能は理論的には無限に小さくなる。このため、微細な変動を検出することができる。また、抵抗体2がテープ状であるため、摺動性に優れ、摩耗しにくく、耐久性及び経時的信頼性が向上する。また、抵抗体2がテープ状であるため、摺動接点部3aとの接触状態が安定しており、この点からも信頼性が向上する。抵抗体保持溝10aに保持された抵抗体2は、その幅が抵抗体保持溝10aの底部の幅と等しくされているため、自らの弾性復元力による形態保持効果に加えて、抵抗体保持溝10aに収納されると確実にその位置が保持される。
【0020】
抵抗体2の抵抗体保持溝10a内での収納状態は、CP層2bの表面側が螺旋内側となるようにされているが、このときの螺旋径に留意する必要がある。螺旋径が小さすぎると、CP層2bに加わる応力が大きくなり、CP層2bにクラックが発生しやすくなる。一方、螺旋径があまりにも大きい場合は、抵抗体2の弾性復元力が有効に作用せず、抵抗体保持溝10aの底部にしっかりと密着させにくくなる。
【0021】
抵抗体2の両端は、それぞれコンタクト層2cにおいて、2個の端子バネ部5a,7aにより抵抗体ホルダ10に把持固定され、第一端子5及び第三端子7に電気的に接続されている。そして、各端子バネ部5a,7aは、第一端子5及び第三端子7にそれぞれ一体に形成されている(図20参照)。なお、リード線を介して、抵抗体ホルダ10の各端部と各端子5,7とを接続させる場合もある。このポテンショメータでは、第一端子5及び第三端子7の双方を、プレート4の挿入孔17及び18(図10参照)から露出させるような構成としている。プレート4は、図9に示されるように、合成樹脂により形成させたほぼ円盤状の部材である。このプレート4には、L字型に屈曲させた第二端子6が固定され、この第二端子6は、第一端子及び第三端子7同様に外部に露出させている。
【0022】
図9及び図10に示すように、回転体3は、抵抗体2に摺動接触する摺動接点部3aが先端に形成されているアーム部3bと、このアーム部3bが片持ち状態で取り付けられる円板部3cと、この円板部3cが取り付けられる本体部3dとからなっている。摺動接点3aは、アーム部3bの先端が二つに分岐されてブラシ状に形成されている。アーム部3bは、弾性復元力を有する金属板で形成されている。また、円板部3cは、導電性を有する金属により形成されており、中央に正方形の孔を有している。円板部3cは、その周縁の一部に形成された舌片に上述したアーム部3bの基端が溶接により導電性を確保した状態で結合されている。
【0023】
円板部3cは、本体部3dから突出する凸部3g,3gの熱カシメによって本体部3dに固定されている。また、本体部3dの外周には、180度の位相角度をもつ一対のガイド凸部3e,3eが径方向に突出されている。一対のガイド凸部3e,3eは、抵抗体保持溝10aの凹溝に対応した凸部として形成されている。このため、回転体3を抵抗体ホルダ10に取り付けたとき、ガイド凸部3e,3eは、それぞれ抵抗体保持溝10a内をスライドし、回転体3の回転及びスライドを案内する。回転体3の中央には、矩形の挿通孔3fが形成され、これに、断面矩形のロータ軸9aを挿入させることで、シャフト9と回転体3とが一体に回転することになる。
【0024】
また、回転体3とプレート4との間には、コイルバネ8が配置され、自然長の状態で中央のコイル部分が密となるような引張りバネである。コイルバネ8の一端は、コイルバネ8の中心軸に平行となるように直線状に延出され、その他端は、コイルバネ8の中心軸から外方向に放射状に延出されている。ただし、コイルバネ8がポテンショメータに組み込まれている状態では、回転体3を最もプレート4側に位置させた場合であっても、コイル部8aがある程度伸張されて各巻周間には、常に隙間が形成された状態となる。
【0025】
また、コイルバネ8の一端は、円板部3cに半田付けされているが、その他端は、プレート4に取り付けられた第二端子6に半田付けされている。このため、摺動接点部3aと第二端子6とは、アーム部3b・円板部3c・コイルバネ8を介して直接的に接続される。この結果、このポテンショメータにおいては、摺動する接点が抵抗体2と摺動接点部3aとの間だけとなり、接触抵抗の増加を防止することができ、経時的信頼性を向上させることができる。
【0026】
上述したポテンショメータを使用するに際し、第一端子5と第三端子7との間に電圧を印加し、第一端子5(又は第三端子7)と第2端子との間で分圧された電圧を取り出す。このとき、シャフト9を回転させることで抵抗体2に対する摺動接点部3aの接触位置が変えられ、第一端子5(又は第三端子7)と第2端子との間の抵抗値を変えることができるので、取り出される分圧が変化することになる。
【0027】
次に、多回転式ポテンショメータの製造に利用する抵抗体組付け治具20について説明する。
【0028】
図11及び図12に示すように、抵抗体組付け治具20の中央部には螺旋状の抵抗体保持凸部21をもった本体部22が設けられている。この抵抗体保持凸部21は、抵抗体ホルダ10(図1参照)の内面に設けられた螺旋状の抵抗体保持溝10aの径より小さいが、抵抗体保持溝10aに嵌まり込む程度の径とピッチとを有している。
【0029】
また、本体部22の両側には、これと同心の円柱状軸部23,24が設けられ、各軸部23,24と本体部22は回転軸線Pを共有するものである。各軸部23,24の遊端には、抵抗体組付け治具20を回転軸線Pを中心にして回すことを考慮し、円錐形状のセンタ穴25,26が形成されている。そして、一方の軸部23には、抵抗体2の端部を抵抗体保持凸部21に押し付け固定させるための留め部材27が設けられ、この留め部材27は、テープ状の抵抗体2を抵抗体保持凸部21に沿わせる作業を行う場合に利用される。
【0030】
この留め部材27は、金属製板片の折り曲げ加工によってスライド固定金具を形成し、回転軸線P方向にスライドするものである。留め部材27は、軸部23の表面に沿って摺動する基部27aと、基部27aの抵抗体保持凸部21側の端部から立ち上がる連結部27bを介して回転軸線P方向に延びる爪部27cと、基部27aの他端から立ち上がる指掛け部27dとを有し、基部27aには回転軸線P方向に延在する長穴27eが形成されている。そして、爪部27cは、バネ性を有すると共に、抵抗体保持凸部21の頂部との協働により抵抗体2の端を固定させるように、回転軸線Pの方向に延在している。
【0031】
また、軸部23には止めネジ28が設けられ、止めネジ28は、この雄ネジ部分を長穴27e内に通すようにして軸部23に螺着させている。従って、止めネジ28を緩めることで、留め部材27は回転軸線P方向に自由に移動することができ、止めネジ28を締め込むことで、留め部材27がその位置に固定されることになる。よって、止めネジ28の締め込み作業によって、抵抗体保持凸部21の頂部と爪部27cとの間で抵抗体2の端部を挟み込み固定させることができ、止めネジ28を緩めることで、指掛け部27dを指で後退させることができ、抵抵抗体2を抗体保持凸部21からワンタッチで外すことができる。
【0032】
ここで、前述した抵抗体組付け治具20を利用した多回転式ポテンショメータの製造方法について説明する。
【0033】
先ず、抵抗体組付け治具20を準備し、この抵抗体組付け治具20の各センタ穴25,26に、図13及び図14に示すように、作業台30の左右のセンタ31,32を差し込んで治具20を水平状態にする。この状態で、抵抗体2のCP層2b(図3参照)が抵抗体保持凸部21の頂部に当接させるように、抵抗体保持凸部21の頂部と爪部27cとの間で抵抗体2の巻始めの部分(端部)を挟み込み固定させる。
【0034】
その後、抵抗体2を抵抗体保持凸部21に沿わせるため、抵抗体2を、抵抗体保持凸部21の接線方向に指で軽く引っ張るようにし、抵抗体組付け治具20を矢印の方向に回し続ける。その結果、抵抗体2が、抵抗体保持凸部21の頂部に沿いながら簡単かつ確実にしかもスピーディに巻き付けられることになる。そして、巻付け終了後、抵抗体2の巻終わりの部分を指で抵抗体保持凸部21の頂部に押付けておく。このように、抵抗体組付け治具20を利用すると、CP層2bが塗布された抵抗体2を必要以上に湾曲させる虞れがなく、CP層2bの破損防止及び剥離防止に寄与する。
【0035】
その後、図15及び図16に示すように、螺旋状に巻かれた抵抗体2が、抵抗体ホルダ10の抵抗体保持溝10a内に嵌まり込むように、一方の抵抗体ホルダ部10Aのボス部15Aと相手側の抵抗体ホルダ部10Aのボス受け部16Aとを嵌合させ、同様に、ボス部15Bとボス受け部16Bとを嵌合させる。そして、抵抗体ホルダ10が開かないように、指で押えておく。このとき、抵抗体2の弾性力で抵抗体ホルダ10が広がらないように注意する。
【0036】
その後、図17に示すように、止めネジ28を緩め、指掛け部27dを指で後退させて、抵抗体保持凸部21から抵抗体2がワンタッチで外される。すると、抵抗体2は、それ自体の弾性復元力で径方向に広がろうとする。その結果、抵抗体2は、抵抗体ホルダ10の抵抗体保持溝10a内に必然的に収まり、抵抗体2は、その弾性力によって抵抗体保持溝10a内で螺旋形状が維持されることになる。
【0037】
その後、図18に示すように、片側のセンタ31を軸部23から外した状態で、抵抗体組付け治具20を矢印方向に回し続ける。すると、抵抗体ホルダ10内に抵抗体2が残されたまま、図19に示すように、抵抗体組付け治具20が抵抗体ホルダ10から抜け出ることになる。このようにして多回転式のポテンショメータを組立てると、螺旋状の抵抗体2を抵抗体ホルダ10内に簡単に組み込むことができる。更に、製品が小型化した場合でも、螺旋状の抵抗体2を精度良く容易に組み込むことができ、組立て作業性の向上に伴って生産性の向上を招来するものである。
【0038】
なお、抵抗体保持溝10a内で、抵抗体2の最終的な位置合わせを行うためには、分割した抵抗体ホルダ10の合わせ面を僅かに開いたり閉じたりすることで、抵抗体2は、それ自体の広がろうとする弾性力によって、抵抗体保持溝10aに沿うように少しずつ送られることになる。そして、抵抗体2の位置合わせ作業が終了した後、接着剤によって抵抗体ホルダ10が開かないようにし、抵抗体ホルダ10と抵抗体2との組付けを完成させる。
【0039】
次に、ポテンショメータの組立手順について図20を参照しつつ簡単に説明する。
【0040】
ハウジング11内にスリーブSを嵌め込んだ状態で、シャフト9をハウジング11内に差し込む。その後、前述したような組立てを行った抵抗体ホルダ10に対して、各端子バネ部5a,7aを介して第一端子5及び第三端子7を組付け、この状態で、ハウジング11内に抵抗体ホルダ10を装填する。また、プレート4に第二端子6を固定させ、コイルバネ8を介して回転体3を取り付け、この回転体3にアーム部3bをもった円板部3cを固定させて、一つの組立て部品Mを作り出す(図9参照)。そして、このような組立て部品Mがハウジング11内に装填される。このとき、ハウジング11の開口部分をプレート4で蓋をするようにし、各端子5,7をプレート4の挿入孔17,18内に差し込み、ハウジング11にプレート4を接着剤で固定させることにより、ポテンショメータの組立て作業が完了することになる。
【0041】
本発明の多回転式ポテンショメータの製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態におけるポテンショメータは、抵抗体ホルダ10が、2分割に限定されず、3分割以上であってもよいことは言うまでもない。
【0042】
【発明の効果】
本発明に係る多回転式ポテンショメータの製造方法は、抵抗体保持溝と同じピッチを有する螺旋状の抵抗体保持凸部をもった抵抗体組付け治具に、弾性復元力を有するテープ状の抵抗体を巻き付けるにあたって、抵抗体保持凸部の頂部にテープ状の抵抗体を沿わせながら巻き付ける工程と、その巻き付け状態を保持した後、抵抗体が抵抗体ホルダ内の抵抗体保持溝内に嵌まり込むように、複数分割した抵抗体ホルダを一体化させるように組立てる工程と、抵抗体ホルダの組立て状態を保持した後、抵抗体を抵抗体保持凸部から離し、抵抗体の弾性復元力により、抵抗体ホルダの抵抗体保持溝内にテープ状の抵抗体を収容させる工程と、抵抗体組付け治具を回転させながら、抵抗体ホルダから抵抗体組付け治具を抜き取る工程とを備えたことにより、分解能を向上させると共に、その生産性・耐久性・信頼性を向上させることのできる多回転式ポテンショメータを簡単に組立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法で作り出された多回転式ポテンショメータの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示したポテンショメータの背面図である。
【図3】図1に示したポテンショメータに適用させる抵抗体を示す平面図である。
【図4】図3に示した抵抗体の要部拡大斜視図である。
【図5】2分割した抵抗体ホルダを示す正面図である。
【図6】図5に示した抵抗体ホルダ及び抵抗体の側面図である。
【図7】2分割したうちの一方の抵抗体ホルダ部を示す側面図である。
【図8】図7に示した抵抗体ホルダ部の正面図である。
【図9】回転体とプレートとの間にコイルバネを介在させた組立体を示す側面図である。
【図10】図9に示した組立体の正面図である。
【図11】本発明に係る多回転式ポテンショメータの製造方法に利用される抵抗体組付け治具を示す平面図である。
【図12】図11の正面図である。
【図13】抵抗体組付け治具を作業台に取り付けた状態を示す平面図である。
【図14】図13の正面図である。
【図15】抵抗体組付け治具に抵抗体ホルダを組み付ける前の状態を示す平面図である。
【図16】図15の側面図である。
【図17】抵抗体組付け治具に抵抗体ホルダを組み付けた後の状態を示す正面図である。
【図18】抵抗体を抵抗体組付け治具から外した状態を示す正面図である。
【図19】抵抗体ホルダから抵抗体組付け治具を抜き出した状態を示す図である。
【図20】多回転式ポテンショメータの分解図である。
【図21】従来の多回転式ポテンショメータを示しており、(a)は断面図、(b)は抵抗体の一部断面拡大側面図である。
【符号の説明】
1…ケース、2…抵抗体、2a…絶縁ベース材、2b…コンダクティブプラスチック層(CP層)、3…回転体、3a…摺動接点部、10…抵抗体ホルダ、10A…抵抗体ホルダ部、10a…抵抗体保持溝、10c…底部、10d…開口部、11…ハウジング、15…ボス部、16…ボス受け部、20…抵抗体組付け治具、21…抵抗体保持凸部、27…留め部材。
Claims (3)
- 内面に沿う螺旋状の抵抗体保持溝を有すると共に複数に分割させた抵抗体ホルダと、前記抵抗体保持溝内に収容させると共にテープ状絶縁ベース材の表面上にコンダクティブプラスチック層を積層させている螺旋状の抵抗体と、前記抵抗体の表面に摺動接触する摺動接点部を有する回転体とを備えた多回転式ポテンショメータであって、
前記抵抗体保持溝と同じピッチを有する螺旋状の抵抗体保持凸部をもった抵抗体組付け治具に、弾性復元力を有するテープ状の前記抵抗体を巻き付けるにあたって、前記抵抗体保持凸部の頂部にテープ状の前記抵抗体を沿わせながら巻き付ける工程と、
その巻き付け状態を保持した後、前記抵抗体が前記抵抗体ホルダ内の抵抗体保持溝内に嵌まり込むように、複数分割した前記抵抗体ホルダを一体化させるように組立てる工程と、
前記抵抗体ホルダの組立て状態を保持した後、前記抵抗体を前記抵抗体保持凸部から離し、前記抵抗体の弾性復元力により、前記抵抗体ホルダの前記抵抗体保持溝内にテープ状の前記抵抗体を収容させる工程と、
前記抵抗体組付け治具を回転させながら、前記抵抗体ホルダから前記抵抗体組付け治具を抜き取る工程とを備えたことを特徴とする多回転式ポテンショメータの製造方法。 - 前記抵抗体組付け治具は、テープ状の前記抵抗体を前記抵抗体保持凸部に巻き付ける際、前記抵抗体の端部を前記抵抗体保持凸部の頂部に固定させる留め部材を含むことを特徴とする請求項1記載の多回転式ポテンショメータの製造方法。
- 前記抵抗体組付け治具の両端を、前記抵抗体保持凸部の回転軸線上で支持させながら、前記抵抗体を前記抵抗体保持凸部に巻き付けることを特徴とする請求項1又は2記載の多回転式ポテンショメータの製造方法。
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