JP4125864B2 - 電界効果トランジスタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電界効果トランジスタに関し、特に、高耐圧低抵抗の電界効果トランジスタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電流を基板の厚み方向に流す電界効果トランジスタが電力制御素子として用いられている。
【0003】
図27を参照し、符号105は、従来型の電界効果トランジスタの一例であり、シリコン単結晶基板111を有している。単結晶基板111の表面に、エピタキシャル成長によって形成されたドレイン層112が配置されている。
【0004】
シリコン単結晶基板111内には、N型の不純物が高濃度にドープされており、その裏面には、ドレイン電極膜148が形成されている。また、ドレイン層112内には、N型の不純物が低濃度にドープされており、その表面近傍には、P型のベース領域154が形成されている。
ベース領域154内には、更に、その表面からN型の不純物が拡散され、ソース領域161が形成されている。
【0005】
符号110は、ソース領域161の縁部分とベース領域154の縁部分との間に位置するチャネル領域である。このチャネル領域110の上部には、ゲート絶縁膜126とゲート電極膜127とがこの順序で配置されている。
ゲート電極膜127の表面及び側面には、層間絶縁膜141が形成されており、その表面には、ソース電極膜144が配置されている。
【0006】
上記のようなベース領域154は、ドレイン領域112表面近傍に島状に配置されており、1個のベース領域154と、そのベース領域154内に配置されたソース領域161及びチャネル領域110とで、1個のセル101が形成されている。
図28は、ドレイン領域112の表面を示す平面図であり、矩形形状のセル101が複数個行列状に配置されている。
【0007】
この電界効果トランジスタ105を使用する場合、ソース電極膜144を接地電位に置き、ドレイン電極膜148に正電圧を印加し、ゲート電極膜127にスレッショルド電圧以上のゲート電圧(正電圧)を印加すると、P型のチャネル領域110表面にN型の反転層が形成され、ソース領域161と導電領域111とがその反転層によって接続され、電界効果トランジスタ105は導通する。
その状態からゲート電極膜127にスレッショルド電圧以下の電圧(例えば接地電位)を印加すると、反転層は消滅し、電界効果トランジスタ105は遮断する。
【0008】
しかしながら上記のようなセル101を多数配置した場合、耐圧を上げようとするとセル101間の距離が大きくなり、単位面積当たりのゲート電極幅が小さくなるため、導通抵抗が増大してしまう。
また、耐圧はセル101の角部分で決定されてしまい、セル101間の距離を大きくしても、期待するほど耐圧は向上しないという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、高耐圧低抵抗の電界効果トランジスタを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、第1導電型の高抵抗層に形成され、前記高抵抗層の表面に配置された第2導電型の拡散領域と、前記拡散領域内に形成され、その表面に配置された第1導電型のソース領域と、前記拡散領域の一部であって、該拡散領域の縁と前記ソース領域の縁との間に位置するチャネル領域と、少なくとも前記チャネル領域表面に配置されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜表面に配置されたゲート電極膜とを有し、前記ゲート電極膜に印加された電圧により、前記チャネル領域表面が第1導電型に反転すると、前記チャネル領域の外側に位置する高抵抗層からなるドレイン領域と、前記ソース領域とが電気的に接続される電界効果トランジスタであって、前記拡散領域は、細長の幹部を少なくとも一本と、前記幹部に一端が接続された複数の枝部とを有し、前記ソース領域は環状に形成され、その外縁部分が前記拡散領域の外縁部分より所定距離だけ内側に位置するように構成され、前記枝部の先端部分は前記高抵抗層とPN接合を形成し、前記先端部分では前記高抵抗層内を空乏層が拡がるようにしながら、前記枝部と前記枝部の間の前記ドレイン領域内部の表面側に、前記高抵抗層よりも抵抗が低い第1導電型の導電層が配置されている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電界効果トランジスタであって、前記ドレイン領域内部の表面側には、前記チャネル領域とは非接触の第2導電型の浮遊電位領域が配置されている。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の電界効果トランジスタであって、前記高抵抗層は、第1導電型で前記高抵抗層よりも抵抗が低い低抵抗層上に配置され、前記低抵抗層の裏面には、前記低抵抗層とオーミック接合を形成するドレイン電極膜が配置されている。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の電界効果トランジスタであって、前記高抵抗層の裏面には、該高抵抗層とショットキー接合を形成するアノード電極膜が配置され、前記アノード電極膜をアノードとし、前記高抵抗層をカソードとするダイオードが形成されている。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の電界効果トランジスタであって、前記高抵抗層は、第2導電型のコレクタ層上に配置され、前記コレクタ層の裏面には、前記コレクタ層とオーミック接合を形成するコレクタ電極膜が配置されている。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の電界効果トランジスタを図面を用いて説明する。
図21(a)、(b)を参照し、符号1は本発明の一例の電界効果トランジスタを示している。この図21(a)と同図(b)は、電界効果トランジスタ1の互いに直角な方向の断面図である。
【0012】
この電界効果トランジスタ1は、シリコンウェハーである基板9を有している。該基板9は、不純物が比較的高濃度に添加されたシリコン単結晶から成る低抵抗層11と、その低抵抗層11上にエピタキシャル法によって成長され、比較的高抵抗の高抵抗層12とで構成されている。
【0013】
この基板9の高抵抗層12表面近傍には、図22に示すように、比較的高濃度のN型の導電層26が配置されている。N型の導電層26表面には、P型のベース領域29が配置され、その中央部分には、P型であってベース領域29よりも高濃度のオーミック領域33が配置されている。ベース領域29とオーミック領域33は、本発明の拡散領域を構成している。図22の符号98に、その拡散領域を示す。拡散領域98の外縁部分は、後述するチャネル領域40の外縁部分と一致している。
【0014】
この拡散領域98は、それぞれ細長に形成された二本の幹部821、822と一本の接続部83と複数本の枝部84とを有している。
二本の幹部821、822は、それぞれが平行になるように配置されており、それぞれの一端部に、接続部83が接続されている。各幹部821、822には、複数の枝部84の端部が接続されている。接続部83と各枝部84とは、幹部821、822に対して垂直になっている。
【0015】
オーミック領域33は、この拡散領域98より小さく、拡散領域98と相似形になっており、その外周表面には、N型のソース領域39が位置している。ソース領域39の更に外周の表面には、ソース領域39と接した状態でソース領域39を取り囲むように、P型のチャネル領域40が位置している。
【0016】
ソース領域39は、チャネル領域40と連通するP型の領域内に形成されており、チャネル領域40の表面がN型に反転した場合にソース領域39と導電層26とが電気的に接続されるようになっている。
【0017】
この電界効果トランジスタの製造工程を説明する。図1(a)〜(c)を参照し、先ず、N型の低抵抗層11と、N型の高抵抗層12とが積層された基板9を用意し、高抵抗層12の表面に、部分的にP型の不純物を注入し、拡散してP型のガードリング領域13を形成した後、表面にシリコン酸化膜を形成し、パターニングしてフィールド絶縁膜16を形成する。図1(a)〜(c)はその状態の基板9を示しており、図1(a)は、基板9の高抵抗層12表面側の平面図であり、図1(b)は、基板9のA−A線截断面図、図1(c)は、B−B線截断面図である。
【0018】
ガードリング領域13の底面は、低抵抗層11とは接触しないようになっている。このガードリング領域13は、浮遊電位に置かれている。
符号17は、この基板9内で、1個の電界効果トランジスタを構成させる領域の縁部分を示している。基板9内には、電界効果トランジスタは複数形成され、ダイシング工程において、その縁部分17よりも外側の位置で互いに切り離されるようになっている。
【0019】
ガードリング領域13は、縁部分17の近傍にリング状に配置されており、その内側が、後述するベース領域やソース領域等を配置する活性領域になっている。
活性領域の略中央には、平面形状が長方形状の浮遊電位領域15が配置されている。この浮遊電位領域15は、ガードリング領域13の形成工程と同時に形成され、その底面は、ガードリング領域13の底面と同じ深さになっている。浮遊電位領域15は、その一端が、ガードリング領域13の内側の一辺と接触し、他端はガードリング領域13とは接触しないように配置されており、ガードリング領域13とともに浮遊電位に置かれている。
【0020】
フィールド絶縁膜16は、ガードリング領域13及び浮遊電位領域15の表面を覆うように配置されており、浮遊電位領域15上に配置された部分では、細長の長方形状になっている。また、フィールド絶縁膜16は、大面積に形成されたパット部27を有しており、このパット部27上に、後述するゲートパッドが形成されるようになっている。
【0021】
次に、基板表面にフィールド絶縁膜16とその近傍の領域とを被覆するレジスト膜91を形成する。図2(a)は、その状態の高抵抗層12表面の平面図であり、図2(b)、(c)は、それぞれ図2(a)のA−A線截断面図、B−B線截断面図である。
【0022】
次いで、このレジスト膜91をマスクにして、基板表面にN型の不純物を照射すると、高抵抗層12表面にその不純物が注入される。図3(a)は、その状態の高抵抗層12表面の平面図であり、符号18は、N型の不純物の注入によって形成された高濃度不純物層を示している。ガードリング領域13上には、フィールド絶縁膜16が配置されているため、その部分には、高濃度不純物層18は形成されない。
図3(b)、(c)は、それぞれ図2(a)のA−A線截断面図、B−B線截断面図である。
【0023】
次に、レジスト膜91を除去した後、熱酸化法によって基板9表面を酸化すると、図4(a)〜(c)に示すように、ガードリング領域13の内周側表面部分と高濃度不純物層18の表面とに、シリコン酸化膜から成るゲート絶縁膜19が形成される。
図4(b)、(c)は、それぞれ図4(a)のA−A線截断面図、B−B線截断面図である。
【0024】
この状態の基板9の表面に、CVD法により、ポリシリコン薄膜を全面成膜した後、パターニングし、ゲート電極膜を形成する。図5(a)〜(c)の符号21は、そのゲート電極膜を示している。
【0025】
このゲート電極膜21は、矩形状に形成され、その外縁部が基板の縁部分17から所定距離だけ離間している。このゲート電極膜21の内部には、櫛状の開口95が形成されている。この開口95は、それぞれ細長に形成された二本の幹状開口部221、222と一本の接続開口部23と複数本の枝状開口部24とを有している。
【0026】
二本の幹状開口部221、222は、それぞれが浮遊電位領域15と平行になり、かつ互いに平行になるように配置されており、それぞれの一端部に、接続開口部23が接続されている。各幹状開口部221、222には、複数の枝状開口部24の端部が接続されている。接続開口部23と各枝状開口部24とは、幹状開口部221、222に対して垂直になっている。
【0027】
次に、ゲート絶縁膜19上に配置されたゲート電極膜21をマスクとして用い、ゲート絶縁膜19をエッチングすると、ゲート絶縁膜19は、図6(a)、(b)に示すように、ゲート電極膜21と同じ平面形状にパターニングされる。この図6や、後述する図7〜図9等では、平面図は省略する。
【0028】
次いで、熱処理により、高濃度不純物層18を拡散すると、図7(a)、(b)に示すような導電層26が形成される。この導電層26は、高抵抗層12と同じ導電型であるが、高抵抗層12よりも不純物濃度が高いため、高抵抗層12よりも低抵抗になっている。
高濃度不純物層18は、ゲート絶縁膜19の下方にも配置されており、導電層26は、ガードリング領域13の内側の活性領域内に形成される。
【0029】
導電層26の形成後、基板9の表面にP型の不純物を照射する。不純物はゲート電極膜21やフィールド絶縁膜16を透過しないので、フィールド絶縁膜16の内側では、ゲート電極膜21がマスクとなり、ガードリング領域13の内周部分の表面や導電層26が露出した部分に、その不純物が注入される。
【0030】
その結果、図8(a)、(b)に示すように、ゲート絶縁膜19の周囲に、P型の高濃度不純物層28が形成される。即ち、ゲート絶縁膜19及びその表面のゲート電極膜21や、ゲート絶縁膜19直下の導電層26の部分は、高濃度不純物層28で取り囲まれる。
【0031】
次いで、熱処理により、高濃度不純物層28を拡散させると、図9(a)、(b)に示すように、P型のベース領域29が形成される。
高濃度不純物層28は横方向にも拡散するので、ベース領域29の外周端部は、ゲート絶縁膜19の外周端部の下方まで潜り込む。
【0032】
次に、基板表面に、図10(a)〜(c)に示すように、パターニングしたレジスト膜31を形成し、ゲート電極膜21の表面とその近傍に位置するベース領域29の表面とを覆っておく。
【0033】
このレジスト膜31は、ゲート電極膜21の開口95上に配置され、開口95と相似形であって、開口95よりも小さい開口57を有している。この開口57は、ゲート電極膜21の開口95内に位置している。
【0034】
この状態では、ベース領域29の表面は、部分的に基板9上に露出しており、その状態の基板9の表面にP型不純物を照射すると、図11(a)〜(c)に示すように、ベース領域29の露出部分に不純物が注入され、P型の高濃度不純物層32が形成される。
【0035】
次に、レジスト膜31を除去した後、熱処理し、P型の高濃度不純物層32を拡散させると、図12(a)、(b)に示すように、P型のオーミック領域33が形成される。このオーミック領域33は、ベース領域29の一部を成している。
【0036】
このオーミック領域33の端部とゲート電極膜21及びゲート酸化膜19の端部とは、略レジスト膜31の幅だけ離れており、オーミック領域33の平面形状は、ゲート電極膜21の開口95と相似形になり、かつ開口95よりも小さくなっている。
また、このオーミック領域33の底部は、導電層26内に位置しているが、ベース領域29の底部よりも深い位置まで拡散されている。
【0037】
なお、オーミック領域33の表面濃度はベース領域29の表面濃度よりも大きくなっており、後述するソース電極膜は、このオーミック領域33とオーミック接続され、その結果、ベース領域29が低抵抗でソース電極膜に接続されるようになっている。
【0038】
次に、図13(a)〜(c)に示すように、基板9の表面にパターニングしたレジスト膜35を形成する。このレジスト膜35は、ゲート電極膜21の開口95から露出するオーミック領域33上に配置されており、その外縁部分が、オーミック領域33の外縁部から所定距離だけ内側に位置するようになっている。即ち、このレジスト膜35は、その平面形状が、オーミック領域33よりも一回り小さい相似形になっており、ゲート電極膜21と接触しないようになっている。
【0039】
図13(a)の符号wは、ゲート電極膜21の内側端部と、オーミック領域33上に配置されたレジスト膜35の外縁部との間の距離である。この距離wの範囲には、ベース領域29の表面と、オーミック領域33の一部表面が露出している。
【0040】
その状態で基板上にN型の不純物を照射すると、ゲート電極膜21及びレジスト膜35がマスクとなり、それらで覆われていない部分にN型不純物が注入される。図14(a)、(b)の符号38は、その不純物の注入によって形成されたN型の高濃度不純物層を示している。このN型の高濃度不純物層38は、ベース領域29とオーミック領域33の表面に配置されている。
【0041】
次に、レジスト膜35を除去した後、熱処理し、高濃度不純物層38を拡散させると、図15(a)、(b)に示すように、N型のソース領域39が形成される。
高濃度不純物層38は、オーミック領域33の周囲に形成されているから、ソース領域39は、オーミック領域33を取り囲んでおり、全体がリング状に連続して形成されている。この状態ではオーミック領域33の中央部分は露出している。
【0042】
また、横方向拡散により、ソース領域39のゲート絶縁膜19側の端部、即ちリング状のソース領域39の外周側の端部は、ゲート絶縁膜19の下方位置まで潜り込んでいるが、ベース領域29よりも内側の位置に止まっている。従って、N型のソース領域39全体が、ベース領域29とオーミック領域33とが形成するP型の領域の内部に位置している。
【0043】
このソース領域39の内周側の端部とベース領域29の縁部分との間には、ベース領域29の外周部分が存しており、この部分の表面には、ゲート絶縁膜19とゲート電極膜21とが配置されている。
【0044】
図15の符号40は、ソース領域39の外周側の端部とベース領域29の縁部分との間のベース領域29であり、ゲート電極膜21に正電圧が印加されると表面がN型に反転し、ソース領域39と導電層26とが電気的に接続されるので、チャネル領域と呼ばれている。
【0045】
チャネル領域40は、活性領域内のゲート電極膜21の開口95の縁部分に沿って配置されており、従って、チャネル領域40は、ゲート電極膜21の開口95の形状に従った凹凸を有するリング形状になっている。
【0046】
次に、CVD法によって基板表面にシリコン酸化膜を形成した後、エッチングによってパターニングし、層間絶縁膜を形成する。図16(a)、(b)の符号41は、その層間絶縁膜を示しており、この層間絶縁膜41には、開口42a、42bが形成されている。
【0047】
二つの開口42a、42bは、互いに分離されており、第1の開口42aは、フィールド絶縁膜16よりも内側の活性領域内に配置されており、その底面には、オーミック領域33の表面と、ソース領域39の表面とが露出されている。
【0048】
第2の開口42bは、フィールド絶縁膜16上のゲート電極膜21上に配置されており、その底面には、フィールド絶縁膜16上に配置されたゲート電極膜21の表面が露出されている。
【0049】
次に、基板9の表面にアルミニウム薄膜を全面成膜した後にパターニングし、図17に示すように、ソース電極膜45とゲート接続膜46とを形成する。ソース電極膜45とゲート接続膜46とは、パターニングの際に互いに分離されており、電気的に絶縁されている。ソース電極膜45とゲート接続膜46の間には、層間絶縁膜41表面が露出している。
【0050】
図18(a)、(b)は、図17のA−A線、B−B線の截断面図である。この図18(a)、(b)に示されるとおり、ソース電極膜45は、オーミック領域33とソース領域39とに接続されている。従って、チャネル領域40を含むベース領域29とオーミック領域33とから成るP型の領域と、N型のソース領域39とは電気的に短絡されている。
【0051】
このソース電極膜45は、層間絶縁膜41の第1の開口42aから露出するオーミック領域33とソース領域39との全域を被覆するとともに、浮遊電位領域15が配置され、細長の長方形状のフィールド絶縁膜16が形成された領域ではくびれて形成されている。そのゲート接続膜46が張り出している。図17の符号51に、張り出した部分のゲート接続膜46を示している。浮遊電位領域15が配置され、細長の長方形状のフィールド絶縁膜16が配置された領域では、層間絶縁膜41に図示しない開口が形成され、その領域でゲート電極膜21が露出している。この露出した部分で、上述した張り出した部分のゲート接続膜51がゲート電極膜21と接触し、電気的に接続されている。
【0052】
また、ゲート接続膜46は、フィールド絶縁膜16の大面積に形成された部分27の上では大面積に形成されており、この部分がゲートパッドとして用いられるようになっている。
【0053】
次に、CVD法により、基板9の表面(ソース電極膜45とゲート接続膜46と層間絶縁膜41の表面)にシリコン酸化物薄膜を形成し、パターニングして図19、図20(a)、(b)に示すように、保護膜48を形成する。図20(a)、(b)は、それぞれが図19のA−A線、B−B線の截断面図である。この保護膜48は、開口を2個有しており、一方の開口53の底面に、ソース電極膜45を露出させてソースパッドとし、他方の開口54の底面にゲート接続膜46表面を露出させ、ゲートパッドとし、後工程において、ソースパッドとゲートパッドにそれぞれ金属細線の一端を接続し、他端をリードに接続すると、ソース電極膜45とゲート電極膜21とがそれぞれ外部回路に接続できるようになる。
【0054】
保護膜48の形成後、基板9の裏面側に露出した低抵抗層11の表面に、低抵抗層11とオーミック接合を形成する金属膜を成膜し、図21(a)、(b)に示すように、ドレイン電極膜49とすると、本発明の電界効果トランジスタ1が得られる。
【0055】
この電界効果トランジスタ1は、1枚のシリコンウェハー内に複数個形成されており、各電界効果トランジスタ1は、後工程であるダイシング工程において、バラバラに切り離される。
【0056】
この電界効果トランジスタ1は、ソース電極膜45が接地電位に接続され、ドレイン電極膜49に正電圧が印加された状態で、ゲート電極膜21に、スレッショルド電圧以上の正電圧を印加すると、P型のチャネル領域40表面にN型の反転層が形成され、チャネル領域40の外側に位置するドレイン領域と、チャネル領域40の内側に位置するソース領域39とが反転層で接続され、電界効果トランジスタ1が導通する。
その導通した状態からゲート電極膜21を接地電位に接続すると、反転層は消滅し、電界効果トランジスタ1は遮断する。
【0057】
ソース電極膜45が接地電位に接続され、ドレイン電極膜49に正電圧が印加された状態では、チャネル領域40を含むP型のベース領域29及びオーミック領域33と、N型の導電層26及び高抵抗層12の間のPN接合は逆バイアスされており、空乏層は導電層26側に向かって伸びている。即ち、空乏層は、チャネル領域40の外側に位置するドレイン領域の内部に向かって伸びている。
【0058】
ガードリング領域13は浮遊電位に置かれており、導電層26と非接触の状態で導電層26のくびれた部分に張り出した浮遊電位領域もまた浮遊電位に置かれている。このため、浮遊電位領域15は、ガードリング領域13が高抵抗層12内に形成される空乏層の表面を伸ばすのと同じように、導電層26内に形成される空乏層を伸ばし、耐圧を向上させる。
【0059】
上記実施例では、導電層26を形成させるN型の不純物は、図3(a)〜(c)に示したように、フィールド絶縁膜16が配置された部分以外の領域に、一続きの高濃度不純物層18を形成し、その高濃度不純物層18の拡散によって導電層26を形成した。
【0060】
従って、上記実施例の電界効果トランジスタ1では、チャネル領域40の内側のドレイン領域の表面には、導電層26が一続きに配置されていたが、本発明の電界効果トランジスタは、それに限定されるものではなく、ドレイン領域には、部分的に複数個の導電層26を配置することができる。
【0061】
図23は、その場合のチャネル領域40と導電層26との位置関係を示す図である。導電層26は、図23に示すように、チャネル領域40外縁の、ドレイン領域内へと突き出た部分における角部分55より所定距離Δdだけ奥まった部分にそれぞれ配置されており、角部分55の近傍には導電層26が配置されておらず、高抵抗層12表面が露出している。従って、角部分55では、チャネル領域40と高抵抗層12との間にPN接合が形成されるため、そのPN接合が逆バイアスされた場合には、角部分55から高抵抗層12内に向かい、空乏層が伸びやすくなっている。そのため、この構造の電界効果トランジスタでは耐圧が高くなる。
【0062】
次に、一層耐圧が高い電界効果トランジスタについて説明する。
その電界効果トランジスタは、上記電界効果トランジスタ1と同じ構造であり、異なる点は、活性領域内のゲート絶縁膜と、ゲート電極膜の平面形状である。
【0063】
各拡散層や薄膜は、上記工程と同じ工程で形成されるので、同じ符号を付すと、符号70は、二重の環を形成するソース領域39及びチャネル領域40と、チャネル領域40で囲われた高抵抗層12と、導電層26と、浮遊電位領域15とが形成する平面形状を示している。
【0064】
ソース領域39及びチャネル領域40の平面形状は、図22、図23に示した上記実施例のソース領域39及びチャネル領域40の平面形状とほぼ同様であり、環状に形成されたソース領域の外側に、環状に形成されたチャネル領域40が配置されて二重の環を形成する点では上記実施例と同じであるが、チャネル領域40の外側に位置し、高抵抗層12と導電層26とが形成するN型の領域へと膨出する部分(以下で外側膨出部分と称する。)におけるソース領域39及びチャネル領域40の平面形状が、ともに略半円状になっている点で上記実施例と異なる。図24の符号72に、その外側膨出部分を示す。
【0065】
従って、チャネル領域40とN型の領域とが形成するpn接合は、この外側膨出部分72では、球状接合よりも緩やかに曲がっており、球状接合のアバランシェ降伏電圧よりも大きな耐圧が得られるようになっている。
【0066】
他方、ソース領域39及びチャネル領域は、ソース領域39で囲まれたオーミック領域33の内部へも膨出しているが、この膨出した部分(以下で内側膨出部分と称する。)では、チャネル領域40の三辺75a、76、75bは直角に交わっている。図24の符号71に、内側膨出部分を示す。即ち、この内側膨出部分71では、チャネル領域40は直角に折れ曲がっている。
【0067】
内側膨出部分71では、チャネル領域40は導電層26に接しており、空乏層は導電層26の内側に拡がるから、三辺75a、76、75bの交点が形成する2個の頂点77a、77bの部分でも、アバランシェ降伏電圧は円筒接合よりも大きくなっている。
【0068】
各導電層26は、チャネル領域40で挟まれた領域内に位置し、それぞれが矩形状に配置されている。各導電層26の一端は、各内側膨出部分71でチャネル領域40と接しており、他端は、外側膨出部分72におけるチャネル領域40の先端より所定距離だけ奥まった位置に位置しており、外側膨出部分72の付近には配置されていない。従って、外側膨出部分72では高抵抗層12が配置され、チャネル領域40と高抵抗層12とがpn接合を形成するので、空乏層が高抵抗層12側に拡がりやすく、アバランシェ降伏電圧が高くなっている。
【0069】
また、この平面形状70では、内側膨出部分71におけるチャネル領域40が円形ではなく、矩形になっているため、チャネル領域40を円形にした場合に比してチャネル領域40が長くなっており、導通抵抗が低くなっている。
【0070】
図25の符号80は、図24で説明した内側膨出部分71におけるソース領域39、チャネル領域40の先端形状が、半円形状にされた場合の平面形状であり、符号73は、その内側膨出部分を示している。
【0071】
この内側膨出部分73における半円形状のチャネル領域40の半径をRとすると、この内側膨出部分73におけるチャネル幅はπ×Rであるのに対し、図23の平面形状70における内側膨出部分71では、チャネル幅は4×Rになるから、内側膨出部分におけるチャネル領域40の先端形状は、矩形である方が優れている。
【0072】
なお、以上は、電界効果トランジスタを製造する場合について説明したが、図26(a)に示すように、低抵抗層11に代え、高抵抗層12を、N型で厚みが薄いダイオード構成層34上に形成し、そのダイオード構成層34の裏面に、ダイオード構成層34とショットキー接続する金属膜を形成し、アノード電極膜50とすると、ショットキー接合を用いたIGBT型の電界効果トランジスタ2が得られる。
【0073】
この場合、アノード電極膜50とダイオード構成層34との間に形成されるショットキーダイオードは、ドレイン電極膜50がアノードとなり、ダイオード構成層34がカソードとなる。高抵抗層12に、エピタキシャル成長させたシリコン単結晶層ではなく、引き上げ法によって形成した単結晶のシリコンウェハーそのものを用いる場合には、ダイオード構成層34を設けず、高抵抗層12の裏面にアノード電極膜50を形成し、ショットキーダイオードを構成させてもよい。
【0074】
また、図26(b)に示すように、N型のシリコン単結晶層11に替え、P型のシリコン単結晶基板を用いてコレクタ層20とし、コレクタ層20に、コレクタ層20とオーミック接続するコレクタ電極56を形成すると、PN接合を用いたIGBT型の電界効果トランジスタ3が得られる。この電界効果トランジスタ3も本発明に含まれる。
【0075】
また、上記の高抵抗層12は、低抵抗層11上にエピタキシャル成長させたものを用いたが、高抵抗のシリコンウェハー自体で高抵抗層12を構成させ、その高抵抗層12の裏面側から高抵抗層12と同じ導電型の不純物を拡散させ、高抵抗層12よりも低抵抗の低抵抗層11を構成させてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、本発明における第1導電型不純物をN型不純物とし、第2導電型不純物をP型不純物としたが、本発明の第1、第2導電型不純物はこれに限られるものではなく、逆に第1導電型不純物をP型不純物とし、第2導電型不純物をN型不純物としてもよい。
【0077】
【発明の効果】
導通抵抗が低く、耐圧が高い電界効果トランジスタが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c):本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(1)
【図2】(a)〜(c):本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(2)
【図3】(a)〜(c):本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(3)
【図4】(a)〜(c):本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(4)
【図5】(a)〜(c):本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(5)
【図6】(a)、(b):本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(6)
【図7】(a)、(b):本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(7)
【図8】(a)、(b):本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(8)
【図9】(a)、(b):本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(9)
【図10】(a)〜(c):本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(10)
【図11】(a)〜(c):本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(11)
【図12】(a)、(b):本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(12)
【図13】(a)〜(c):本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(13)
【図14】(a)、(b):本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(14)
【図15】(a)、(b):本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(15)
【図16】(a)、(b):本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(16)
【図17】本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(17)
【図18】(a)、(b):図17の断面図であり、本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(18)
【図19】本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(19)
【図20】(a)、(b):図19の断面図であり、本発明の一例の電界効果トランジスタの製造工程を説明するための図(20)
【図21】(a):本発明の一例の電界効果トランジスタを説明する第1の断面図
(b):本発明の一例の電界効果トランジスタを説明する第2の断面図
【図22】導電層とチャネル領域とソース領域の位置関係を説明するための図
【図23】ドレイン領域内に複数の導電層を部分的に形成した状態を説明するための図
【図24】本発明の電界効果トランジスタのチャネル領域とその内側の拡散層の平面形状の例(1)
【図25】本発明の電界効果トランジスタのチャネル領域とその内側の拡散層の平面形状の例(2)
【図26】(a):本発明の他の例であり、ショットキー接合を用いたIGBT型の電界効果トランジスタを説明するための図
(b):本発明の他の例であり、PN接合を用いたIGBT型の電界効果トランジスタを説明するための図
【図27】従来技術の電界効果トランジスタを説明するための図
【図28】その電界効果トランジスタのセルの配置を説明するための図
【符号の説明】
11……第1導電型の低抵抗層
12……第1導電型の高抵抗層
15……浮遊電位領域
19……ゲート絶縁膜
20……コレクタ層
21……ゲート電極膜
26……第1導電型の導電層
29……第2導電型のベース領域
34……ダイオード構成層
39……第1導電型のソース領域
40……チャネル領域
45……ソース電極膜
49……ドレイン電極膜
50……アノード電極膜
56……コレクタ電極膜
98……拡散領域
Claims (5)
- 第1導電型の高抵抗層に形成され、前記高抵抗層の表面に配置された第2導電型の拡散領域と、
前記拡散領域内に形成され、その表面に配置された第1導電型のソース領域と、
前記拡散領域の一部であって、該拡散領域の縁と前記ソース領域の縁との間に位置するチャネル領域と、
少なくとも前記チャネル領域表面に配置されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜表面に配置されたゲート電極膜とを有し、
前記ゲート電極膜に印加された電圧により、前記チャネル領域表面が第1導電型に反転すると、前記チャネル領域の外側に位置する高抵抗層からなるドレイン領域と、前記ソース領域とが電気的に接続される電界効果トランジスタであって、
前記拡散領域は、細長の幹部を少なくとも一本と、前記幹部に一端が接続された複数の枝部とを有し、
前記ソース領域は環状に形成され、その外縁部分が前記拡散領域の外縁部分より所定距離だけ内側に位置するように構成され、
前記枝部の先端部分は前記高抵抗層とPN接合を形成し、前記先端部分では前記高抵抗層内を空乏層が拡がるようにしながら、前記枝部と前記枝部の間の前記ドレイン領域内部の表面側に、前記高抵抗層よりも抵抗が低い第1導電型の導電層が配置された電界効果トランジスタ。 - 前記ドレイン領域内部の表面側には、前記チャネル領域とは非接触の第2導電型の浮遊電位領域が配置された請求項1記載の電界効果トランジスタ。
- 前記高抵抗層は、第1導電型で前記高抵抗層よりも抵抗が低い低抵抗層上に配置され、
前記低抵抗層の裏面には、前記低抵抗層とオーミック接合を形成するドレイン電極膜が配置された請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の電界効果トランジスタ。 - 前記高抵抗層の裏面には、該高抵抗層とショットキー接合を形成するアノード電極膜が配置され、前記アノード電極膜をアノードとし、前記高抵抗層をカソードとするダイオードが形成された請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の電界効果トランジスタ。
- 前記高抵抗層は、第2導電型のコレクタ層上に配置され、
前記コレクタ層の裏面には、前記コレクタ層とオーミック接合を形成するコレクタ電極膜が配置された請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の電界効果トランジスタ。
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