JP4125164B2 - 電子写真現像剤用キャリア及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真現像剤用キャリア及びその製造方法に関し、詳しくはフルカラー用現像剤に使用したときに、画像特性等に優れ、かつ長寿命化を達成した電子写真現像剤用キャリア及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
電子写真法では、帯電、露光工程で感光体上に静電潜像を形成し、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像し、転写、定着工程を経て可視化される。ここで用いられる現像剤は、トナーとキャリアからなる2成分現像剤と、磁性トナー等のように単独で使用される1成分現像剤がある。
【0003】
この中で、キャリアを用いた2成分現像剤は画質が優れている等の利点によりフルカラー用現像剤、高速機用現像剤等に幅広く使用されている。
【0004】
近年、急増しているフルカラー用現像剤は、補給されたトナーに素早く帯電を付与し、広い印字面積を連続して現像する能力を要求されている。さらに装置のコンパクト化が進み現像スリーブ径が細く、現像剤の量も少なくなり現像剤用キャリアはさらなる帯電能力の向上、長寿命化、高画質化が求められている。
【0005】
このような現状において、キャリアに求められる要求性状としては、トナーの保持性、帯電付与能力、磁気ブラシをソフトにするための小粒径化が挙げられる。しかし、小粒径化による弊害としてキャリア飛散の問題が常にクローズアップされ、これらの対策が多く提案されている。
【0006】
特許文献1では、高速現像においてキャリア付着による画像欠陥が生じないキャリア及び現像剤の提案がなされている。
【0007】
特許文献1では、キャリア飛散の防止のために原料の一次粒子の大きさを数平均一次粒子径(Dv)、体積平均一次粒子径(Dn)で磁化の均一化を図っている。しかしながら、特許文献1に記載のDv/Dnの比1.0〜2.0では平均粒径20〜45μmの小粒径フェライトに対してキャリア飛散を防止することはできなかった。
【0008】
すなわち、特許文献1の実施例では、平均粒径65μmのキャリアコア粒子による試験であり、キャリア飛散が生じやすい平均粒径20〜45μmではそれらの効果が低減されるものと考えられる。さらに、キャリアの平均粒径が小さくなればそれに応じて構成される原料の粒径も小粒径化が必要であることが推定される。
【0009】
また、磁気ブラシにキャリア粒子を保持するための磁気特性、粒径分布に関しては多くの提案がある。
【0010】
特許文献2では、キャリアの重量平均粒径が35〜55μm、22μm未満:0〜15%、88μm以上:0〜5%であって、特定の樹脂コートを施し、磁場1KOeにおける磁化70〜120emu/gのキャリアが提案されている。確かに磁気特性は高い方がキャリア飛散に関してマージンがあるが、反面磁気ブラシが硬くなり高品位なソフト現像が困難になってくる。
【0011】
また微粉側の含有量も少ない方がキャリア飛散に関して良好な傾向にあることは多くの報告がなされている。しかしながら、分級技術、歩留まり等の技術面、価格面の課題も多くあり総合的に満足な性能を有しているとは言い難い。
【0012】
一方、小粒径キャリアに関する提案は多くあるが、従来の平均粒径が60μm以上のフェライトキャリアにおける技術を、その延長線上として平均粒径20〜45μmのフェライトキャリアに適用したとしても、キャリア飛散に関して充分に対応することができなかった。
【0013】
従って、本発明の目的は、小粒径化が達成され、かつキャリア飛散等の問題が解消され、フルカラー用現像剤に使用したときに、画像特性等に優れる電子写真現像剤用キャリア及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
【特許文献1】
特開平9−197721号公報
【特許文献2】
特開2001−27828号公報
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、均一なフェライト化反応を行う工程を採用することによりキャリア粒子間の磁気特性の均一化が可能になり、シャープな磁気特性によりキャリア飛散のマージンを上げた電子写真現像剤用キャリアの設計が可能になった。
【0016】
すなわち、本発明は、酸化鉄を主成分とし、主にスピネル構造を有した体積平均粒径が20〜45μmのフェライトキャリアであって、下記の特性又は性状を有することを特徴とする電子写真現像剤用キャリアを提供するものである。
(1) キャリアコア材の磁場1KOeにおける磁化が65〜80emu/g、
(2) キャリアコア材の電流値が50〜150μA、
(3) キャリアコア材の表面平滑均一度が75%以上、
(4) 樹脂被覆が施されており、被覆量がキャリアコア材に対して0.1〜5.0重量%。
【0017】
また、本発明は、スラリー原料を造粒し、造粒物とした後、焼成した後、解砕、分級し、得られるキャリアコア材に樹脂を被覆する電子写真現像剤用キャリアの製造方法において、
上記スラリー原料の1次粒子径が下記の関係にあり、上記造粒物の焼成を行う前に微粉を取り除く工程、及び該造粒物中の添加物を加熱により除去する工程を有し、上記焼成時の酸素濃度が0.05%以下、焼成温度が1100〜1350℃、最高温度の滞留時間1〜6時間であり、焼成雰囲気を解除する時の焼成物温度が400℃以下であることを特徴とする上記電子写真現像剤用キャリアの製造方法を提供するものである。
Ds90≦1μm
2.0≦Ds10/Ds90≦10.0
(構成原料粉砕時の10%体積粒径:Ds10、構成原料粉砕時の90%体積粒径:Ds90)
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電子写真現像剤用キャリア及びその製造方法の実施の形態について説明する。
【0019】
本発明の電子写真現像剤用キャリアは、酸化鉄を主成分とし、主にスピネル構造を有した体積平均粒径が20〜45μmのフェライトキャリアである。この体積平均粒径は、現在要求されているキャリアの小粒径化に対応したものである。体積平均粒径は、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分析計(Model19320−X100)を用いて測定される。
【0020】
また、本発明の電子写真現像剤用キャリアは、下記の特性又は性状を有することが必要である。
【0021】
(1) 磁場1KOeにおける磁化が65〜80emu/gである。磁場1KOeにおける磁化は、振動型磁力測定機VSM−P7東英工業株式会社製を用いて測定される。磁化が65emu/gより下回るとキャリア粒子がマグネットロールに保持される力が小さくなりキャリア飛散が生じる。磁化が80emu/gを超えると磁気ブラシが硬くなりソフトな現像ができなくなる。
【0022】
(2) キャリアコア材の電流値が50〜150μAである。キャリアコア材の電流値は、アルミ素管に対向させた現像機にキャリアコア材を500gセットし、直流電圧を200V印加した時の導通電流の値を読みとることにより測定する。電流値が50μAを下回ると現像性が低下し、150μAを超えるとリーク等の問題がでてくる。
【0023】
(3) 表面平滑均一度が75%以上である。ここでいう表面平滑均一度とは、SEMの倍率200倍の視野において、視野中の、粒子表面の1/2以上が平滑なコア粒子の個数と、全粒子個数を数え、(粒子表面の1/2以上が平滑なコア粒子の個数)/(全粒子個数)×100(%)により算出した割合である。表面平滑均一度が75%未満では、キャリア粒子間のフェライト化反応に差があり、低磁化粒子によるキャリア飛散が発生しやすくなる。
【0024】
(4) 樹脂被覆が施されており、被覆量がキャリアコア材に対して0.1〜5.0重量%である。被覆量が0.1重量%を下回ると被覆樹脂の効果による帯電量制御、抵抗制御の効果が小さくなり、5.0重量%を超えると帯電量の立ち上がり不良、粒子間の付着による歩留まりの低下等の不具合を生じる。
【0025】
キャリアコア材を被覆する樹脂は、使用するトナーより適宜選択すればよいが、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ストレートシリコーン樹脂及びその変性品、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニデン等のフッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独或いは混合、変性して使用できる。高画質、長寿命等よりトナー汚染に対して優れているシリコーン系樹脂又はフッ素系樹脂を含む樹脂材料が好ましい。
【0026】
被覆樹脂として絶縁樹脂を用いると高抵抗になるので、必要に応じてカーボンブラック、酸化チタン等の公知の導電剤を樹脂中に分散して使用することができる。
【0027】
本発明で用いるキャリアコア材は、上記のように表面性が均一なため、被覆工程においても被膜の膜厚が一定に成りやすく、帯電量分布、耐久性等に非常に優れた性能を有した樹脂被覆キャリアとなる。
【0028】
被覆の方法は、樹脂溶液中にキャリアコア材を浸漬させ乾燥させる方法、キャリアコア材を流動させて樹脂溶液を噴霧する流動床コート、樹脂とキャリアコア材を混合しながら加熱させてキャリアコア材に被覆する乾式方法等を用いることができる。
【0029】
次に、本発明の電子写真現像剤用キャリアの製造方法について説明する。
本発明では、スラリー原料を造粒し、造粒物とした後、焼成した後、解砕、分級し、得られるキャリアコア材に樹脂を被覆する。
【0030】
本発明の製造方法では、上記スラリー原料の1次粒子径が下記の関係にあることが必要である。
Ds90≦1μm
2.0≦Ds10/Ds90≦10.0
(構成原料粉砕時の10%体積粒径:Ds10、構成原料粉砕時の90%体積粒径:Ds90)
【0031】
Ds10は、粒子径の累積分布において、累積10%の時の粒子径を表す。またDs90は、粒子径の累積分布において、累積90%の時の粒子径を表す。キャリアコア材の製造において、Ds90とDs10の比率により造粒物を均一組成の状態に最密充填することが重要であることが判明した。
【0032】
上述した特許文献1では、体積平均一次粒子径(Mv)/数平均一次粒子径(Mn)を1.0〜2.0にすることを提案している。粉砕条件を一般的な水準から強化していくと、表1に示す状態で変化することが判明した。これらは上記マイクロトラック粒度分析計によって測定された値である。
【0033】
【表1】
【0034】
表1に示されるように、粉砕条件3レベルでは、従来技術の範疇であるが、さらに粉砕強度を上げていくと粉砕条件4及び5で変化があることが確認された。これらの粉砕状態では、微粉側にもう一つの分布が存在する2ピークの分布を示している。これにより粉砕条件3以下と粉砕条件4及び5(Ds10/Ds90=2.0〜10.0)の状態による造粒物との特性の差が生じたと思われる。
【0035】
上記粉砕条件別で平均粒径20〜45μmの造粒物を焼成した場合、粉砕条件を強化することにより、キャリアコア材の表面性、球形度が大きく変わることが確認された。粉砕条件4及び5の1次粒子径を用いることによってキャリアコア材の表面性、球形度が著しく向上された。
【0036】
また、キャリアの飛散物量を測定した結果、粉砕条件4及び5の1次粒子径を用いたキャリアは、粉砕条件1〜3の1次粒子径を用いたキャリアに比べて少ないことが確認された。
【0037】
これは、粉砕条件1〜3レベルの1次粒子径を用いた場合、従来の平均粒径が80μm付近のキャリアコア材であれば、均一な表面性と球形度が可能であったが、キャリアコア材の平均粒径が小さくなることによって造粒物を構成する1次粒子が従来と同じレベルだと構成原料の偏析、熱履歴の変動が生じてフェライト化反応が不均一になり、磁気特性に関しても低磁化品の発生があり、キャリアの飛散物が多くなったと思われる。
【0038】
従って、Ds90≦1μm、2.0≦Ds10/Ds90≦10.0であることが必要であり、Ds90が1μmを超えたり、Ds10/Ds90が2.0未満では、構成粒子が大きくなり、粒子間のフェライト化反応にバラツキが生じ、キャリア飛散が増加する。Ds10/Ds90が10.0を超えると、原料粒子の反応性が高くなり、焼成時に粒子間の付着が発生し、形状が悪化してしまう。
【0039】
さらに、本発明の製造方法では、均一なフェライト化反応を付与するために、以下の工程を採用することが望ましい。
【0040】
すなわち、上記造粒物を焼成する前に微粉を除去する工程を採用することが望ましい。フェライトの造粒物は粒径が小さい程、熱に対して反応性が高く、これらを含んだ状態で焼成すると粒子間の熱に対する反応性分布が広くなり均一な焼成が困難になる。また、微粉が他の粒子間の空隙に入り込み結果、空隙が小さく密な状態での焼成となり、熱が均一に焼成物に伝わりにくくなり、均一な焼成を阻害する。さらに、微粉は他粒子に付着し、キャリア飛散の原因、形状の悪化(球形度低下)の原因になる。そこで、上記のように微粉を除去することが望ましいが、微粉のみならず、粗粉を除去してもよい。
【0041】
さらに、微粉除去後、バインダー等の添加物は、焼成時還元性ガスを発生しフェライト化反応のバラ付きの原因となるので、700〜900℃で加熱し除去する工程を採ることが望ましい。
【0042】
次に、焼成工程において、焼成時の酸素濃度を0.05%以下で焼成することが望ましい。高磁化フェライトの焼成においては、低酸素濃度の不活性な安定した焼成条件により均一な焼成が可能になる。また、焼成温度は1100〜1350℃、最高温度の滞留時間は1〜6時間であることが望ましい。
【0043】
また、焼成雰囲気の解除は、焼成物の温度が400℃以下で行うことより不均一な状態を避けることができる。400℃を超えた温度での解除は、再酸化等により低磁化品の発生に繋がる。
【0044】
以上の工程又は条件を設定することにより、焼成物の組成、熱履歴、反応性を均一化し、これにより磁気特性、電気抵抗等も必然的に均一になる。この結果、均一な表面性、一定の球形度を有するキャリアコア材を得ることができる。
【0045】
また、解砕、分級後、大気中で400〜600℃でキャリアコア材の表面を均一に熱処理を行い、次にメカノケミカル処理により表面の抵抗をさらに均一化させることが好ましい。
【0046】
最後に、得られるキャリアコア材に樹脂を被覆し、電子写真現像剤用キャリアとする。
【0047】
このような本発明の製造方法によって、表面性、磁気特性、抵抗のバラツキが小さく、表面平滑均一度が高く、キャリア飛散のマージンが高い小粒径キャリアを良好な生産性をもって得ることができる。
【0048】
本発明の電子写真現像剤は、上記キャリアと平均粒径4〜10μmのトナーを少なくとも混合してなる。また、必要に応じて平均粒径1.0μm以下の無機微粒子を混合する。
【0049】
本発明で使用される上記トナーは、結着物質と着色剤により構成される。結着物質としては、特に限定されるものではないが、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、オレフィン系樹脂、酢酸ビニル重合体、ポリエーテルポリウレタン、パラフィンワックス及びそれらの共重合体等を単独でまたは混合して使用できる。
【0050】
着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシン、アニリンブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、パーマネントレッド、ハンザイエロー等を広く使用することができる。
【0051】
また、平均粒径1.0μm以下の無機微粒子、すなわち流動化剤や帯電量調整剤等も必要に応じて添加することができる。
【0052】
本発明の電子写真現像方法は、内部にマグネットを有する現像スリーブ上に、上記現像剤で磁気ブラシを形成させ、該磁気ブラシにより静電潜像担持体に担持された静電潜像を顕像化するものである。
【0053】
【実施例】
以下、実施例等に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0054】
〔実施例1〕
酸化鉄55mol%、酸化マンガン40mol%、酸化マグネシウム5mol%及び酸化ストロンチウムを酸化鉄、酸化マンガン及び酸化マグネシウムに対して、0.8mol%添加し、固形分55%でアトライターにより湿式粉砕を行った。このスラリー中には、バインダー及び分散剤、消泡剤が添加されている。スラリー原料の粉砕分散を行い、表2示すように、マイクロトラック粒度分析計によるDs10=2.14μm、Ds90=0.24μm、Ds10/Ds90=8.92であるスラリー1を作製した。また、Mv、Mn、Mv/Mnを表2に示す。
【0055】
作製したスラリーをスプレードライヤーにより平均粒径30μmの球状造粒乾燥物を得た。造粒物の微粉を気流分級により20μm以下を除去した。次にロータリーキルンによりバインダー等の添加物を700℃で除去した。焼成雰囲気が調整可能な電気炉を用いて、酸素濃度0.05%以下、焼成温度1300℃、最高温度の焼成時間5時間、焼成雰囲気を解除する時の焼成物温度350℃である条件で焼成した。焼成物を解砕、分級した後、平均粒径35μmのキャリア芯材を得た。キャリア芯材を回転式連続炉で内部の酸素濃度21%、温度500℃で熱処理し表面処理を行った後、さらに回転式容器で回転しメカノケミカルストレスを与え、キャリア芯材表面の抵抗を上げた。
【0056】
得られたキャリア芯材の表面平滑均一度は85%であった。また、各種物性(表面平滑均一度、平均粒径、磁気特性、電流値)を表3に示す。これらの測定方法は、上述した通りである。
【0057】
流動床コート装置を用いて、シリコーン樹脂(商品名:SR−2411、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)をキャリアコア材に対して、2.0重量%被覆した。被覆後、250℃で3時間焼き付けを行った後、250メッシュで分級し、磁力選鉱を行いキャリア1を製造した。
【0058】
(トナー作製)
プロポキシ化ビスフェノールとフマル酸を縮合して得られたポリエステル樹脂100重量部、フタロシアニン顔料4重量部、ジ−tert−ブチルサリチル酸のクロム錯体4重量部を原料とし、これをヘンシェルミキサーにより十分に予備混合を行い、2軸押し出式混練機により溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1.5μm程度に粗粉砕し、次にジェットミルにより微粉砕した。さらに微粉砕物を分級して、重量平均粒径が8.2μmのシアン色の粉体を得た。該粉体100重量部と平均粒径0.05μmの酸化チタン1重量部をヘンシルミキサーで混合しトナー1を得た。
【0059】
(実機評価)
キャリア1とトナー1をトナー濃度8重量%で混合し、現像剤を作製した。シャープフルカラー複写機ARC−250改造機を用いて現像剤及びトナーの初期及び10万枚の画像評価を下記に具体的に示す方法により行った。評価結果を表4に示す。下記評価方法において、△以上が実使用上問題ないレベルである。
【0060】
▲1▼画像濃度
適正露光条件下でコピーしIDの評価を行った。ベタ部の画像濃度をX−Rite(日本平版機材製)にて測定してランク付けを行った。
◎:非常によい
○:目標画像濃度の範囲である。
△:画像濃度が若干低めであるが使用可能。
×:目標下限を下回っている
××:画像濃度が非常に低く使用不可能。
【0061】
▲2▼カブリ
◎:0.5未満
○:0.5〜1.0
△:1.0〜1.5
×:1.5〜2.5
××:2.5以上
【0062】
▲3▼キャリア飛散
画像上のキャリア飛散、白斑のレベルを評価した。
◎:A3用紙10枚中に白斑が無いこと。
○:A3用紙10枚中に1〜5個
△:A3用紙10枚中に6〜10個
×:A3用紙10枚中に11〜20
××:A3用紙10枚中に21個以上
【0063】
▲4▼トナー飛散
◎:全く見られない
○:ごく微量確認された
△:限界レベル
×:多い
××:非常に多い
【0064】
▲5▼横細線再現性
◎:非常に良く再現している
○:ほぼ再現している
△:限界レベル
×:切れカスレが目立つ
××:全く再現していない
【0065】
▲6▼ハーフトーン均一性
◎:非常に均一である
○:均一でムラがない
△:若干ムラが見られるが限界レベル
×:ムラが目立ち不均一
××:ムラが非常に多く不均一
【0066】
▲7▼トナー濃度安定性
◎:非常に安定している
○:安定している
△:若干不安定
×:変動が見られる
××:変動が非常に大きい
【0067】
〔実施例2〕
酸化鉄55mol%、酸化マンガン40mol%、酸化マグネシウム5mol%及び酸化ストロンチウムを酸化鉄、酸化マンガン及び酸化マグネシウムに対して、0.8mol%添加し、固形分55%でアトライターにより湿式粉砕を行った。スラりー中には、バインダー及び分散剤、消泡剤が添加されている。スラリー原料の粉砕分散を行い、表2に示すように、マイクロトラック粒度分析計によるDs10=2.36μm、Ds90=0.96μm、Ds10/Ds90=2.46であるスラリー2を作製した。また、Mv、Mn、Mv/Mnを表2に示す。
【0068】
作製したスラリーをスプレードライヤーを用いて球状造粒乾燥物を得た。造粒物の微紛を気流分級により16μm以下を除去し、焼成温度を1280℃とした以外は、実施例1と同様な操作によりキャリアコア材の平均粒径が25μmで、樹脂被覆したキャリア2を得た。このキャリアコア材の表面平滑均一度は80%であった。キャリアコア材の物性と現像剤及びトナーの画像評価を実施例1と同様に評価し、その結果を表3及び4に示す。
【0069】
〔実施例3〕
実施例1と同様の原料を用いて、原料の粉砕分散を行い、表2に示すように、マイクロトラック粒度分析計によるDs10=1.76μm、Ds90=0.26μm、Ds10/Ds90=6.77であるスラリー3を作製した。また、Mv、Mn、Mv/Mnを表2に示す。
【0070】
作製したスラリーをスプレードライヤーを用いて球状造粒乾燥物を得た。造粒物の微粉を気流分級により24μm以下を除去した。次にロータリーキルンによりバインダー等を700℃で除去した。焼成温度を1320℃とする以外は実施例1と同様な操作によりコア材の平均粒径45μmで、樹脂被覆したキャリア3を得た。このキャリアコア材の表面平滑均一度は90%であった。キャリアコア材の物性と現像剤及びトナーの画像評価を実施例1と同様に評価し、その結果を表3及び4に示す。
【0071】
〔比較例1〕
実施例1と同様な原料を用いて、原料の粉砕分散を行い、表2に示すように、マイクロトラック粒度分析計によるDs10=3.58μm、Ds90=2.10μm、Ds10/Ds90=1.70のスラリー4を得た。体積平均径(Mv)=2.80、数平均径(Mn)=2.467、Mv/Mn=1.13の1次粒子径であった。
【0072】
作製したスラリーをスプレードライヤーにより平均粒径30μmの球状造粒乾燥物を得た後は、実施例1と同様な操作によってキャリア4を得た。このキャリアコア材の表面平滑均一度は65%であった。キャリアコア材の物性と現像剤及びトナーの画像評価を実施例1と同様に評価し、その結果を表3及び4に示す。
【0073】
〔比較例2〕
酸化鉄50mol%、酸化マンガン40mol%、酸化マグネシウム10mol%及び酸化ストロンチウムを酸化鉄、酸化マンガン及び酸化マグネシウムに対して、0.5mol%添加とした以外は実施例1と同様にしてスラリー5を得た。
【0074】
このスラリーをスプレードライヤーで造粒した後、微粉除去を行わない以外は、実施例1と同様にしてキャリア5を得た。このキャリアコア材の表面平滑均一度は65%であった。キャリアコア材の物性と現像剤及びトナーの画像評価を実施例1と同様に評価し、その結果を表3及び4に示す。
【0075】
〔比較例3〕
酸化鉄80mol%、酸化マンガン20mol%を用いた以外は、実施例1と同様な操作によりキャリア6を得た。このキャリアコア材の表面平滑均一度は55%であった。キャリアコア材の物性と現像剤及びトナーの画像評価を実施例1と同様に評価し、その結果を表3及び4に示す。
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
表3に示されるように、実施例1〜3は、比較例1〜3に比して、高い表面平滑均一度を有し、磁気特性及び電流値も好適な範囲にある。また、表4に示されるように、実施例1〜3は、比較例1〜3に比して、現像剤及びトナーの初期及び10万枚の画像特性に優れる。
【0080】
【発明の効果】
本発明の電子写真現像剤用キャリアにより、小粒径化が達成され、かつキャリア飛散等の問題が解消され、フルカラー用現像剤に使用したときに、画像特性等に優れる。また、本発明の製造方法によって、上記キャリアが良好な生産性をもって得られる。
Claims (5)
- 酸化鉄を主成分とし、主にスピネル構造を有した体積平均粒径が20〜45μmのフェライトキャリアであって、下記の特性又は性状を有することを特徴とする電子写真現像剤用キャリア。
(1) キャリアコア材の磁場1KOeにおける磁化が65〜80emu/g、
(2) キャリアコア材の電流値が50〜150μA、
(3) キャリアコア材の表面平滑均一度が75%以上、
(4) 樹脂被覆が施されており、被覆量がキャリアコア材に対して0.1〜5.0重量%。 - スラリー原料を造粒し、造粒物とした後、焼成した後、解砕、分級し、得られるキャリアコア材に樹脂を被覆する電子写真現像剤用キャリアの製造方法において、
上記スラリー原料の1次粒子径が下記の関係にあり、上記造粒物の焼成を行う前に微粉を取り除く工程、及び該造粒物中の添加物を加熱により除去する工程を有し、上記焼成時の酸素濃度が0.05%以下、焼成温度が1100〜1350℃、最高温度の滞留時間1〜6時間であり、焼成雰囲気を解除する時の焼成物温度が400℃以下であることを特徴とする請求項1記載の電子写真現像剤用キャリアの製造方法。
Ds90≦1μm
2.0≦Ds10/Ds90≦10.0
(構成原料粉砕時の10%体積粒径:Ds10、構成原料粉砕時の90%体積粒径:Ds90) - 上記分級後、キャリアコア材の表面を熱処理及びメカノケミカル処理する工程を有する請求項2記載の電子写真現像剤用キャリアの製造方法。
- 請求項1記載のキャリアと平均粒径4〜10μmのトナーとを少なくとも混合してなる電子写真現像剤。
- 内部にマグネットを有する現像スリーブ上に、請求項4記載の現像剤で磁気ブラシを形成させ、該磁気ブラシにより静電潜像担持体に担持された静電潜像を顕像化することを特徴とする電子写真現像方法。
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