JP4124904B2 - 足場板およびその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築現場において用いられる足場板およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9および図10に示すように、従来、アルミニウム押出形材製の足場板(51)として、外縁に足止め兼部品落下防止用の側壁(52)を有する左右2枚の足場板構成部材(53)(54)よりなるものが知られている。
【0003】
そして、左側構成部材(53)の内縁には、嵌合凹形部(55)と凹形部(55)の右側壁(55a) から下方へ伸びた右側壁延長部(56)とが設けられ、また凹形部(55)の右側壁(55a) の上端が当該左側構成部材(53)の上面よりも板厚分だけ低く形成されていた。一方、右側構成部材(54)の内縁には、上記左側構成部材(53)の凹形部(55)に嵌め入れられる突出壁(57)が設けられ、また右側構成部材(54)の下面における突出壁(57)と所要間隔をあけて垂下壁(58)が形成され、該垂下壁(58)の下端には左方へ伸びる水平壁(59)および水平壁(59)の先端から上方へ突出する突起(61)が設けられ、突起(61)と水平壁(59)と垂下壁(58)下部とによって下側嵌合凹部(62)が構成され、右側構成部材(54)における上記突出壁(57)と垂下壁(58)上部との間には上記下側嵌合凹部(62)と対向する上側嵌合凹部(63)が形成されていた。
【0004】
そして、左側構成部材(53)の嵌合凹形部(55)に右側構成部材(54)の突出壁(57)を嵌め入れると共に、右側構成部材(54)の対向する上下の嵌合凹部(62)(63)間に左側構成部材(53)の凹形部(55)の右側壁(55a) およびその延長部(56)を嵌め入れるように、左側構成部材(53)の一端から他端へ右側構成部材(54)をスライドさせた後、左側構成部材(53)の凹形部(55)の左側壁(55b) と右側構成部材(54)の突出壁(57)とを溶接(64)していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように、左右の構成部材(53)(54)が結合される足場板(51)では、アルミニウム押出形材よりなる左右構成部材(53)(54)の曲がりや捩じれが比較的大きい場合には、左右構成部材(53)(54)の上述したスライド嵌合が非常に行い難くなるため、作業者にかなりの熟練が要求された。
【0006】
また、長尺な足場板(51)の長さ方向に適当な間隔をあけて、上述した溶接(64)を行うのに工数がかかると共に、その際の溶接ひずみを修正する作業も必要となることから、作業能率の低下を招き、しかも溶接作業に伴う作業環境の悪化の問題もあった。
【0007】
本発明の目的は、左右の構成部材同士を上述したスライド嵌合および溶接によらずに結合することができる足場板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明による足場板は、 所要数の板状部材の縁部同士が結合されてなる足場板であって、隣り合う板状部材のうち、その左側板状部材の右縁に厚肉部が設けられ、厚肉部の側面下部に第1突起が設けられ、厚肉部の下面左縁には第1垂下壁および第1垂下壁の右側面から突出する第2突起が設けられ、第2突起と第1垂下壁と厚肉部とによって第1凹部が形成されており、右側板状部材の下面には、その左縁寄り部分から垂下する第2垂下壁および第2垂下壁の下端から左方へ伸びる第3突起が設けられ、第3突起と第2垂下壁と右側板状部材の左縁部とによって第2凹部が形成され、第1突起と第2凹部、並びに第1凹部と第3突起とがそれぞれ嵌め合わされた状態で、厚肉部の下面および第3突起の上面に、ピン孔形成用溝が相互に向かい合って設けられており、第1突起と第2凹部、並びに第1凹部と第3突起とがそれぞれ嵌め合わされると共に対向するピン孔形成用溝によって形成されたピン孔に結合ピンが圧入されて、左側板状部材と右側板状部材とが結合されているものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の足場板において、結合ピンがステンレススチール製であるものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の足場板において、板状部材がアルミニウム押出形材製であるものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1、2または3記載の足場板において、対向するピン孔形成用溝が横断面凹弧状であるものである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1、2または3記載の足場板において、対向するピン孔形成用溝が横断面凹弧状であって2つの小凹溝が間隔をあけて2本設けられているものである。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1、2または3記載の足場板において、対向するピン孔形成用溝が横断面 V 形であるものである。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1、2または3記載の足場板において、対向するピン孔形成用溝が横断面凹形であるものである。
【0015】
請求項8の発明による足場板の製造方法は、所要数の板状部材の縁部同士を結合することによって得られる足場板の製造方法であって、隣り合う板状部材のうち、その左側板状部材の右縁に厚肉部を設け、厚肉部の側面下部に第1突起を設け、厚肉部の下面左縁に第1垂下壁および第1垂下壁の右側面から突出する第2突起を設け、第2突起と第1垂下壁と厚肉部とによって第1凹部を形成し、右側板状部材の下面に、その左縁寄り部分から垂下する第2垂下壁および第2垂下壁の下端から左方へ伸びる第3突起を設け、第3突起と第2垂下壁と右側板状部材の左縁部とによって第2凹部を形成し、第1突起と第2凹部、並びに第1凹部と第3突起とをそれぞれ嵌め合わせた状態で、厚肉部の下面および第3突起の上面に、ピン孔形成用溝を相互に向かい合うように設け、第1突起と第2凹部、並びに第1凹部と第3突起とをそれぞれ嵌め合わすと共に対向するピン孔形成用溝によって形成されたピン孔に結合ピンを圧入し、左側板状部材と右側板状部材とを結合することにより足場板を得るものである。
【0016】
上記請求項1の発明による足場板は、通常、左右2枚の板状部材で構成されるが、幅が広い足場板の場合には、3枚或いはそれ以上の枚数の板状部材で構成されるものである。請求項1の発明によれば、先ず、隣り合う板状部材同士をスライド嵌合によらずに嵌め合わせることができる。すなわち、隣り合う板状部材のうち、その左側板状部材の右縁と右側板状部材の左縁とを対向させて、第1突起と第2凹部、並びに第1凹部と第3突起とがそれぞれ嵌め合わせられる。そして、嵌め合わされた上記左右の板状部材は、溶接によらずに、左右の板状部材の対向するピン孔形成用溝によって形成されたピン孔に結合ピンを圧入するだけで、隣り合う板状部材同士が結合されて足場板が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。なお、本明細書において、上下、左右は図3を基準とし、上下は図3の上下を指し、左右は図3の左右を指すものとする。
【0018】
図1および図2に示すように、本実施形態のアルミニウム押出形材製足場板(1) は、作業足場における鉄骨柱(2)の前側に取付けられるものであり、足場板(1)下方の架台(4)には、多数の円筒状手すり受け部材(3)が所要間隔をあけて立設され、各円筒状手すり受け部材(3)の上端部は、足場板(1)を貫通して該足場板(1)の上面から突出しており、これら円筒状手すり受け部材(3)を介して架台(4)と足場板(1)が連結されている。そして、隣り合う円筒状手すり受け部材(3)に、枠状の手すり(5)の端部が挿入されて、足場板(1)の上面周縁に所要数の手すり(5)が立設されている。
【0019】
図2〜図4に示すように、足場板(1) は、2枚の左右板状部材(6)(7)の縁部同士が結合されてなるものである。すなわち、左側板状部材(6)の右縁に厚肉部(8) が設けられ、厚肉部(8)の側面下部に第1突起(9)が設けられ、厚肉部(8)の下面左縁には第1垂下壁(11)および第1垂下壁(11)の右側面から突出する第2突起(12)が設けられ、第2突起(12)と第1垂下壁(11)と厚肉部(8)とによって第1凹部(13)が形成されており、右側板状部材(7)の下面には、その左縁寄り部分から垂下する第2垂下壁(14)および第2垂下壁(14)の下端から左方へ伸びる第3突起(15)が設けられ、第3突起(15)と第2垂下壁(14)と右側板状部材(7)の左縁部とによって第2凹部(16)が形成され、第1突起(9)と第2凹部(16)、並びに第1凹部(13)と第3突起(15)とがそれぞれ嵌め合わされた状態で、厚肉部 (8) の下面(13a)および第3突起(15)の上面(15a)に、横断面凹弧状のピン孔形成用溝(17A)(17B)が相互に向かい合って設けられている。
【0020】
そして、第1突起(9)と第2凹部(16)、並びに第1凹部(13)と第3突起(15)とがそれぞれ嵌め合わされると共に対向するピン孔形成用溝(17A) (17B)によって形成されたピン孔(18)にステンレンススチール製の結合ピン(19)が圧入されて、左側板状部材(6)と右側板状部材(7)とが結合されている。
【0021】
上記結合ピン(19)は、足場板(1) の長さの半分以下の長さとして、上記ピン孔(18)の両端部にそれぞれ圧入されているが、本発明はこれに限定されず、結合ピン(19)を足場板(1)の長さに対応する長さとして、上記ピン孔(18)の全長にわたって圧入することもある。
【0022】
図3に示すように、足場板(1)の上面には、その幅方向に多数の滑り止め用凸条(10)が間隔をあけて設けられている。また、足場板(1)を構成する左右の板状部材(6)(7)の外縁には、足止め兼部品落下防止用の側壁(22)が当該板状部材(6)(7)と一体に設けられており、側壁(22)の上縁部および下縁寄り部分には、それぞれタッピングねじ挿入部(23)が形成されている。そして、図5に示すように、足場板(1)の両端部には垂直壁部(24a)と垂直壁部(24a)の内面下縁寄り部分に設けられた水平壁部(24b)とよりなる足止め兼部品落下防止用の端板(24)が配され、該両端板(24)は、これらの垂直壁部(24a)を貫通して上記側壁(22)におけるタッピングねじ挿入部(23)にねじ込まれるタッピングねじ(30)を介して側壁(22)の端部に固定されていると共に、端板(24)の水平壁部(24b)が足場板(1)の下面にリベット(26)を介して固定されている。
【0023】
また、図2および図5に示すように、足場板(1)下面における両端板(24)間には、所要間隔をあけて複数の横断面逆L字形補強部材(27)がリベット(28)によって取付けられている。上記各補強部材(27)は、図3に示すように、左右の板状部材(6)(7)下面の両側縁寄り部分にそれらの全長にわたって設けられた下方突出壁(29)間に位置し、補強部材(27)の下縁に形成されたタッピングねじ挿入部(31)に下方突出壁(29)を貫通してタッピングねじ(32)がねじ込まれることにより、補強部材(27)の両端が下方突出壁(29)に固定されている。また、補強部材(27)の上縁中央には、上記結合ピン(19)による結合部を避けるための凹形切欠部(27a)が設けられている。
【0024】
図2および図3に示すように、左側板状部材(6)下面の幅中央部分における鉄骨柱(2) 側には、アルミニウムよりなる帯板状の鉄骨柱取付用部材(33)が溶接されている。
【0025】
本実施形態では、ピン孔形成用溝(17A)(17B)は、横断面凹弧状となされているが、本発明は、これに限定されず、以下のように種々の形状とするものである。
【0026】
すなわち、図6に示すピン孔形成用溝(34A) (34B) は横断面凹弧状であって、2つの小凹溝(35)が間隔をあけて2本設けられているものである。
【0027】
図7に示すピン孔形成用溝(36A) (36B) は横断面V形となされており、また、図8に示すピン孔形成用溝(37A) (37B) は横断面凹形となされているものである。
【0028】
【発明の効果】
請求項1の発明は、所要数の板状部材の縁部同士が結合されてなる足場板であって、隣り合う板状部材のうち、その左側板状部材の右縁に厚肉部が設けられ、厚肉部の側面下部に第1突起が設けられ、厚肉部の下面左縁には第1垂下壁および第1垂下壁の右側面から突出する第2突起が設けられ、第2突起と第1垂下壁と厚肉部とによって第1凹部が形成されており、右側板状部材の下面には、その左縁寄り部分から垂下する第2垂下壁および第2垂下壁の下端から左方へ伸びる第3突起が設けられ、第3突起と第2垂下壁と右側板状部材の左縁部とによって第2凹部が形成され、第1突起と第2凹部、並びに第1凹部と第3突起とがそれぞれ嵌め合わされた状態で、第1凹部の上壁面および第3突起の上面に、ピン孔形成用溝が相互に向かい合って設けられているものである。
【0029】
そのため、請求項1の発明によれば、先ず、隣り合う板状部材同士を従来のようなスライド嵌合によらずに嵌め合わせることができる。すなわち、隣り合う板状部材のうち、その左側板状部材の右縁と右側板状部材の左縁とを対向させて、それらの第1突起と第2凹部、並びに第1凹部と第3突起とをそれぞれ嵌め合わせる。そして、嵌め合わされた上記左右の板状部材は、従来のような溶接によらずに、左右の板状部材の対向するピン孔形成用溝によって形成されたピン孔に結合ピンを圧入するだけで、隣り合う板状部材同士が結合されて足場板が得られるのである。
【0030】
したがって、通常、アルミニウム押出形材よりなる左右板状部材に比較的大きな曲がりや捩じれがあっても、隣り合う板状部材同士を容易に嵌め合わせることができ、そのため作業者に熟練が要求されることもない。
【0030】
また、上述したように、請求項1の発明によれば、溶接作業が要らないため、従来のように、溶接の工数が一切省略でき、またその際の溶接ひずみの修正作業等も全く不要となって、作業能率の大幅な向上が図られ、更にまた作業環境の悪化の問題も解消される等、種々の優れた効果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態に係る足場板の使用状態を示す斜視図である。
【図2】 同じく実施形態に係る足場板の斜視図である。
【図3】 図2におけるIII −III 線にそう拡大断面図である。
【図4】 図3における足場板の左右板状部材同士の結合を示す拡大断面図である。
【図5】 図2におけるV−V線にそう拡大断面図である。
【図6】 ピン孔形成用溝の他の実施形態を示す横断面図である。
【図7】 ピン孔形成用溝の更に他の実施形態を示す横断面図である。
【図8】 ピン孔形成用溝の更に他の実施形態を示す横断面図である。
【図9】 従来例を示す足場板の斜視図である。
【図10】 同従来例における左右構成部材の結合構造を示す拡大横断面図である。
【符号の説明】
(1) : 足場板
(6) : 左側板状部材
(7) : 右側板状部材
(8) : 厚肉部
(9) : 第1突起
(11): 第1垂下壁
(12): 第2突起
(13): 第1凹部
(13a) 厚肉部の下面
(14): 第2垂下壁
(15): 第3突起
(15a) 第3突起の上面
(16): 第2凹部
(17A) (17B):ピン孔形成用溝
(18): ピン孔
(19): 結合ピン
Claims (8)
- 所要数の板状部材の縁部同士が結合されてなる足場板であって、隣り合う板状部材のうち、その左側板状部材の右縁に厚肉部が設けられ、厚肉部の側面下部に第1突起が設けられ、厚肉部の下面左縁には第1垂下壁および第1垂下壁の右側面から突出する第2突起が設けられ、第2突起と第1垂下壁と厚肉部とによって第1凹部が形成されており、右側板状部材の下面には、その左縁寄り部分から垂下する第2垂下壁および第2垂下壁の下端から左方へ伸びる第3突起が設けられ、第3突起と第2垂下壁と右側板状部材の左縁部とによって第2凹部が形成され、第1突起と第2凹部、並びに第1凹部と第3突起とがそれぞれ嵌め合わされた状態で、厚肉部の下面および第3突起の上面に、ピン孔形成用溝が相互に向かい合って設けられており、第1突起と第2凹部、並びに第1凹部と第3突起とがそれぞれ嵌め合わされると共に対向するピン孔形成用溝によって形成されたピン孔に結合ピンが圧入されて、左側板状部材と右側板状部材とが結合されている、足場板。
- 結合ピンがステンレススチール製である、請求項1記載の足場板。
- 板状部材がアルミニウム押出形材製である、請求項1または2記載の足場板。
- 対向するピン孔形成用溝が横断面凹弧状である、請求項1、2または3記載の足場板。
- 対向するピン孔形成用溝が横断面凹弧状であって2つの小凹溝が間隔をあけて2本設けられている、請求項1、2または3記載の足場板。
- 対向するピン孔形成用溝が横断面 V 形である、請求項1、2または3記載の足場板。
- 対向するピン孔形成用溝が横断面凹形である、請求項1、2または3記載の足場板。
- 所要数の板状部材の縁部同士を結合することによって得られる足場板の製造方法であって、隣り合う板状部材のうち、その左側板状部材の右縁に厚肉部を設け、厚肉部の側面下部に第1突起を設け、厚肉部の下面左縁に第1垂下壁および第1垂下壁の右側面から突出する第2突起を設け、第2突起と第1垂下壁と厚肉部とによって第1凹部を形成し、右側板状部材の下面に、その左縁寄り部分から垂下する第2垂下壁および第2垂下壁の下端から左方へ伸びる第3突起を設け、第3突起と第2垂下壁と右側板状部材の左縁部とによって第2凹部を形成し、第1突起と第2凹部、並びに第1凹部と第3突起とをそれぞれ嵌め合わせた状態で、厚肉部の下面および第3突起の上面に、ピン孔形成用溝を相互に向かい合うように設け、第1突起と第2凹部、並びに第1凹部と第3突起とをそれぞれ嵌め合わすと共に対向するピン孔形成用溝によって形成されたピン孔に結合ピンを圧入し、左側板状部材と右側板状部材とを結合することにより足場板を得る、足場板の製造方法。
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