JP3645171B2 - 根太補強金物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は根太補強金物に関し、特にたとえば、スチールハウスのような建造物に適用されるリップ溝形鋼で形成された根太を補強する、根太補強金物に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5に示す従来の根太補強金物1は、平板状の鋼板により構成される。リップ溝形鋼で形成された根太2の両端は、図示しないクリップアングルを介して胴差し3にドリリングタッピングねじ4によりねじ止めされる。また、根太2の上フランジ5は、二点鎖線で示される床合板6にねじ止めされている。この根太補強金物1は、根太2の上リップ7および下リップ8にねじ止めされ、根太2を補強していた。具体的には、根太2にたわみやねじれ等が発生するのを防止していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術では、根太補強金物1は平板状の鋼板であるため、根太2にねじ止めする際に、クランプ等の固定治具を用いて根太補強金物1を仮止めしなければならず、作業が面倒であり、現場での施工性が悪かった。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、簡単に取り付けることができる、根太補強金物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上下両端に第1リップおよび第2リップを有するリップ溝形鋼で形成された根太を補強するための根太補強金物であって、底板、底板の対向する1対の端縁から立ち上げられるかつ第1リップおよび第2リップ間の間隔と同じかほぼ同じ間隔を有して形成される第1側板および第2側板、および第1側板および第2側板のそれぞれの立ち上がり先端縁から連続的に形成されるかつ第1リップおよび第2リップにそれぞれ当接される第1係止部および第2係止部を備える、根太補強金物である。
【0006】
【作用】
第1側板および第2側板が根太に設けられた第1リップと第2リップとの間(溝内)に嵌まり、この根太補強金物が第1リップと第2リップとによって挟持される。このとき、第1係止部および第2係止部が第1リップおよび第2リップに当接される。そして、第1係止部および第2係止部と第1リップおよび第2リップを、ドリリングタッピングねじで、ねじ止めすることによって、金物が根太に取り付けられる。
【0007】
また、第3側板および第4側板を、さらに底板の他の1対の端縁から立ち上げて設けるようにしてもよい。この場合には、金物自体の強度が上がるとともに補強度を高めることができる。
【0008】
【発明の効果】
この発明によれば、根太のリップ間で挟持して仮止めできるので、クランプ等の固定治具を用いて仮止めする必要がなく、したがって、現場での施工性が向上する。
【0009】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0010】
【実施例】
図1を参照して、この実施例の根太補強金物10は、図2に示すようなスチールハウス100に適用されるリップ溝形鋼で形成された根太12を補強するものであり、矩形状の底板14を含む。
【0011】
底板14には、対向する1対の端縁から立ち上がって第1側板16および第2側板18が形成され、他の1対の端縁から立ち上がって第3側板20および第4側板22が形成される。第1側板16および第2側板18の外面の間隔は、根太12の第1リップ(上リップ)24および第2リップ(下リップ)26間の間隔と同じかほぼ同じに設定される。第1側板16および第2側板18には、それぞれの立ち上がり先端縁から折り返して、第1係止部28および第2係止部30が連続的に形成される。
【0012】
この根太補強金物10を製造する際には、1枚の鋼板を準備する。ただし、この鋼板は、スチールハウス100を構成するリップ溝形鋼および溝形鋼等の各構造部材と同様に、0.8〜1.6mm程度の厚みを有するものである。次に、この鋼板を、根太補強金物10が展開された形状すなわち底板14,第1側板16,第2側板18,第3側板20,第4側板22,第1係止部28および第2係止部30が含まれる所定の形状に切断する。続いて、所定形状にされた鋼板を、底板14の各端縁に相当する部分において、底板14にほぼ直角になるように曲げ加工する(立ち上げる)。また、第1側板16および第2側板18の各立ち上がり先端縁に相当する部分おいて、第1側板16および第2側板18にほぼ直角になるように、かつ、第1側板16および第2側板18を立ち上げた方向とは逆方向に曲げ加工する(折り返す)。そして、第1側板16,第2側板18,第3側板18および第4側板20の立ち上がり側端縁を溶接することによりこれらを接合する。このとき、この根太補強金物10の内面P側から溶接し、外面Q側に接合部の填充材がはみ出さないようにする必要がある。
【0013】
なお、この根太補強金物10を製造する方法は、上述のものに限定されない。たとえば、1枚の鋼板を曲げ加工して、底板14,第1側板16,第2側板18,第1係止部28および第2係止部30を形成し、これに別途準備した平板状の第3側板20および第4側板22を溶接するようにしてもよい。また、所定形状の型を用いて1枚の鋼板をプレス成形することにより製造してもよい。
【0014】
図2から分かるように、根太12は、たとえばスチールハウス100の上階と下階の境界部分において、一定間隔を隔てて複数設けられる。根太12の両端部は、図示しないクリップアングルを介してドリリングタッピングねじ(以下、「ねじ」という。)32により胴差し34に固着される。また、根太12の上フランジ36は、二点鎖線で示される上階の床合板38にねじ止めされる。なお、胴差し34は、下階に設けられた複数の柱40の上端部を繋ぐ上枠42の上面に設置されている。
【0015】
この根太補強金物10を根太12に取り付ける際には、第1側板16および第2側板18が根太12の上フランジ36および下フランジ44に平行になるようにして、外面Q側から根太12の溝内に差し込む。すると、第1側板16および第2側板18が根太12の上リップ24と下リップ26との間に嵌まり、この根太補強金物10が上リップ24と下リップ26とによって挟持される。このとき、第1係止部28および第2係止部30が上リップ24および下リップ26に当接される。そして、第1係止部28および第2係止部30と上リップ24および下リップ26とをねじ32で固着する。
【0016】
根太補強金物10が取り付けられた根太12では、図3からよく分かるように、この根太補強金物10によって、根太12の開放されていたリップ間が閉塞されて上リップ24が支持される。したがって、曲げ剛性,ねじり剛性および座屈強度等が補強されるので、根太12に上階の床合板32から圧縮力が作用しても、たわみ,ねじれおよび座屈等が発生しにくくなる。
【0017】
この実施例によれば、根太12のリップ間で挟持して仮止めできるので、クランプ等の固定治具を用いて仮止めする必要がない。すなわち、簡単に取り付けることができる。したがって、現場での施工性を向上できる。
【0018】
また、第3側板20および第4側板22が設けられるので、根太補強金物10自体の強度が上がるとともに、補強度を高めることができる。なお、場合によっては、この第3側板20および第4側板22は設けられなくてもよい。
【0019】
なお、上述の実施例では、第1側板16および第2側板18の立ち上がり先端縁間が開放されているが、図4に示す他の実施例の根太補強金物10のように、この間は閉塞されてもよい。
【0020】
この根太補強金物10では、図1実施例と異なり、第1側板16および第2側板18の立ち上がり先端縁から、それぞれ第1接続部46および第2接続部48が互いに向き合うように立ち上がって形成される。そして、この第1接続部46および第2接続部48には、天板50がねじ32により接合される。また、第1側板16および第2側板18から突出される天板50の第1端部52および第2端部54が、図1実施例の第1係止部28および第2係止部30に相当し、根太12の上リップ24および下リップ26に当接される。
【0021】
この根太補強金物10を製造する際には、2枚の鋼板を準備し、まず1の鋼板を曲げ加工することにより底板14,第1側板16,第2側板18,第1接続部46および第2接続部48を形成する。そして、天板50となる他の鋼板を第1接続部46および第2接続部48にねじ32により固着する。このように、この根太補強金物10は、溶接することなく製造できる。
【0022】
この実施例によっても、根太12のリップ間で挟持して仮止めできるので、簡単に取り付けることができる。したがって、現場での施工性が向上する。また、天板50により第1側板16と第2側板18との間が閉塞されて第1側板16が支持されるので、この根太補強金物10自体の強度が上がるとともに、補強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す図解図である。
【図2】図1実施例の根太補強金物の使用形態を示す図解図である。
【図3】図1実施例の根太補強金物を根太に取り付けた状態を示す図解図である。
【図4】この発明の他の実施例を示す図解図である。
【図5】従来技術を示す図解図である。
【符号の説明】
10 …根太補強金物
12 …根太
14 …底板
16 …第1側板
18 …第2側板
20 …第3側板
22 …第4側板
24 …第1リップ(上リップ)
26 …第2リップ(下リップ)
28 …第1係止部
30 …第2係止部
50 …天板
Claims (3)
- 上下両端に第1リップおよび第2リップを有するリップ溝形鋼で形成された根太を補強するための根太補強金物であって、
底板、
前記底板の対向する1対の端縁から立ち上げられるかつ前記第1リップおよび前記第2リップ間の間隔と同じかほぼ同じ間隔を有して形成される第1側板および第2側板、および
前記第1側板および前記第2側板のそれぞれの立ち上がり先端縁から連続的に形成されるかつ前記第1リップおよび前記第2リップにそれぞれ当接される第1係止部および第2係止部を備える、根太補強金物。 - 前記底板の他の1対の端縁から立ち上げられる第3側板および第4側板をさらに備える、請求項1記載の根太補強金物。
- 前記第1係止部および前記第2係止部はそれぞれ前記第1側板および前記第2側板の前記先端縁から折り返されて形成される、請求項1または2記載の根太補強金物。
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