JP4124697B2 - 膝保護用エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載されて、着座した乗員の膝を保護可能な膝保護用エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、運転者等を含めた乗員の膝を保護する膝保護用エアバッグ装置としては、乗員の膝を保護するためにステアリングコラムの下方位置に配置されて、作動時に上方へ向かって展開膨張するエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、エアバッグとインフレーターとを収納するケースと、収納されたエアバッグを突出可能に覆うエアバッグカバーと、を備えて構成されるものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような構成のエアバッグ装置では、着座した乗員の前方側に配置されるニーパネル(ニーボルスターともいう)に、大きく展開膨張したエアバッグを支持させることが必要となる。
【0004】
また、折り畳まれたエアバッグを覆うエアバッグカバーは、膨張時のエアバッグを突出可能として、ケースに強固に保持させることが望ましく、ケースの外周面側に設けられたフックに係止させる取付片を、設けて構成され、取付片は、ニーパネルに設けられた貫通孔を経て、フックに係止されていた(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−123863号公報
【特許文献2】
特開2003−40069公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、フックに係止させる取付片では、エアバッグカバーが、展開膨張時のエアバッグに急激に押されても、ケースに強固に保持されて、ケースから外れないものの、停止されるようにフックに対して連結され難く、エアバッグカバーの取付片付近が車両の前後方向に移動して、エアバッグカバーにおけるエアバッグを覆うカバー本体部付近の建付け性に、課題があった。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、エアバッグカバーにおけるエアバッグを覆うカバー本体部付近の前後方向への移動を抑えて、カバー本体部付近の建付け性が良好となる膝保護用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る膝保護用エアバッグ装置は、着座した乗員の膝の前方側に、折り畳まれたエアバッグと、折り畳まれたエアバッグを収納するケースと、折り畳まれたエアバッグを突出可能に覆うエアバッグカバーと、が配設され、
エアバッグカバーが、折り畳まれたエアバッグを覆うカバー本体部と、ケースの周囲に配置されるニーパネルの車両後方側を覆うパネルカバー部と、を備えるとともに、ニーパネルの貫通孔を貫通する取付片を備え、取付片を車両後方側から貫通孔に貫通させて、ケースの外周面側に配設されたフックに係止させ、ケースに保持される構成の膝保護用エアバッグ装置であって、
エアバッグカバーが、前後方向の移動を規制されてケースに保持可能に、取付片の貫通孔への挿入時に、貫通孔の内周縁にばね弾性的に撓んで係止されて車両後方側への抜けを規制される係止脚と、係止脚における貫通孔の内周縁への係止時に、ニーパネルの車両後方側の面に当接する支持部と、を備えて構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る膝保護用エアバッグ装置では、エアバッグカバーの取付片をニーパネルの貫通孔を経て、ケースの外周面側のフックに係止させる際、係止脚が、ばね弾性的に撓んで貫通孔の内周縁に係止され、車両後方側への抜けを規制され、かつ、支持部が、ニーパネルの車両後方側の面に当接されることから、エアバッグカバーにおける取付片近傍のカバー本体部は、係止脚の貫通孔内周縁への係止より、車両後方側への移動が規制され、また、支持部のニーパネルへの当接により、車両前方側への移動も規制される。
【0010】
勿論、取付片はフックに係止されることから、エアバッグが展開膨張して、エアバッグカバーがエアバッグの強い力で車両後方側に押されて、係止脚の係止が外れても、エアバッグカバーは、取付片のフックによる係止によって、ケースとの連結状態を維持し、所定の扉部等を開口させて、エアバッグを突出させることができる。
【0011】
したがって、本発明に係る膝保護用エアバッグ装置では、エアバッグカバーにおけるエアバッグを覆うカバー本体部付近の前後方向への移動を抑えて、カバー本体部付近の建付け性を良好にすることができる。
【0012】
そして、係止脚が、エアバッグカバーの左右方向への移動を規制可能に、配設されていれば、カバー本体部付近の左右方向への移動も規制されることから、一層、カバー本体部付近の建付け性を良好にすることができる。
【0013】
また、係止脚が、ケースの少なくとも上縁側に、配設されている構成とすれば、膝保護用エアバッグ装置が、乗員の膝の前方側に配置される構成であって、乗員の目の下方位置に配置されることから、係止脚が、ケースの上縁側に配置されていれば、エアバッグカバーのカバー本体部の上縁側の建付け性が良好となって、乗員の目に触れ易い箇所の建付け性を良好にすることができ、膝保護用エアバッグ装置の意匠性を良好にすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sは、図1〜3に示すように、乗員としての運転者Mの膝Kを保護できるように、運転者Mの車両前方側であるステアリングコラム3の下方に配設されている。
【0015】
なお、本明細書における上下、左右、及び、前後は、膝保護用エアバッグ装置Sを車両に搭載させた際の車両の上下・左右・前後に対応するものである。
【0016】
ステアリングコラム3は、図1に示すように、ステアリングホイール1に連結されるメインシャフト4と、メインシャフト4の周囲を覆うコラムチューブ5と、これらのメインシャフト4とコラムチューブ5とを覆うコラムカバー6と、を備えて構成されている。コラムカバー6は、略四角筒形状等の合成樹脂製として、メインシャフト4の軸方向に沿って配設されている。即ち、コラムカバー6は、車両前方側を下方に配置させて、車両後方側を上方に配置させるように、後上がりに傾斜して配設されている。そして、コラムカバー6におけるインストルメントパネル(以下、インパネとする)8から突出する部位の下面6aは、略長方形形状とし、車両前後方向で、後上がりの曲面状に形成されている。
【0017】
膝保護用エアバッグ装置Sは、折り畳まれたエアバッグ49、エアバッグ49に膨張用ガスを供給するインフレーター44、折り畳まれたエアバッグ49を覆うエアバッグカバー27、折り畳まれたエアバッグ49とインフレーター44とを収納するケース22、及び、ニーパネル13、を備えて構成されている。そして、実施形態のエアバッグ装置Sでは、ケース22とニーパネル13とが、相互に固着された取付ベース部材11を形成し、エアバッグ49、インフレーター44、及び、エアバッグカバー27が、この取付ベース部材11に組み付けられて、エアバッグ組付体SAが形成され、エアバッグ組付体SAとした状態で、車両に搭載されている。
【0018】
取付ベース部材11は、板金製として、図2〜5に示すように、平板状のニーパネル13と箱形状のケース22とを一体化させて形成されている。ニーパネル13は、外周縁の複数箇所に、車両のボディ側に固定するための取付孔14aを有した取付ブラケット部14を配設させている。各取付孔14aには、ボディ側の所定のねじ孔に螺合するボルトが挿入されることとなる。
【0019】
ケース22は、車両後方側の開口22aを設けた有底の箱形状としている。実施形態の場合、ケース22は、略長方形形状の底壁部24と略四角筒形状の周壁部23とを備えた略直方体の箱形状として、開口22aを囲む周壁部23には、車両の左右方向で対向する側壁部23a・23aの一方(右方側の壁部23a)に、インフレーター44の一端を突出させるための貫通孔23bが開口している。底壁部24には、インフレーター44をケース22に取り付けるための貫通孔24aが2箇所に配設されている。各貫通孔24aには、インフレーター44のボルト44dが挿通される。
【0020】
さらに、周壁部23の上下で対向する上壁部23cと下壁部23dとは、開口22aの面を斜め下の後方側に向けるように、下壁部23dが上壁部23cより車両後方側の端部を前方側に位置させている。そして、上壁部23cと下壁部23dとには、それぞれ、複数のフック18・19が形成されている。各フック18・19は、壁部23c・23dから離れた先端18a・19a側を車両前方側に向けるように、断面略逆L字状に形成されている。これらのフック18・19は、エアバッグカバー27を、強い力が作用するエアバッグ49の展開膨張時にも、強固にケース22に保持するために配設されるものである。
【0021】
また、周壁部23の下壁部23dの左右には、下方に延びるように、2個の係止片20が突設されている。これらの係止片20は、首部20aと首部20aより幅広となるとともに下端を先細りとした係止頭部20bと備え、車両後方側から見て、逆T字形状の板状としている。これらの係止片20は、エアバッグカバー27の取付片40における係止孔40cの周縁に係止されるように、構成されている。
【0022】
そして、実施形態の場合、各フック18・19や係止片20は、ケース22における周壁部23の外周面側に配置されているものの、ニーパネル13を形成する部材11a側に、配設されている。なお、取付ベース部材11は、ニーパネル13を形成するパネル部11aとケース22を形成するケース部11dとの2つの板金部材から形成されて、パネル部11aのケース22を配設させるための開口11bの内周縁には、ケース22の外周面に溶接させるための溶接部位11cとフック18・19や係止片20を形成するための部位とが、配設されている。また、ケース部11dは、1枚の板金を折曲させて所定部位を溶接することにより、ケース22の箱形状を形成している。
【0023】
さらに、ニーパネル13には、エアバッグカバー27のパネルカバー部33を係止するための略正方形形状に開口する係止孔15が、左右の2箇所に形成されるとともに、ケース22の上縁側に、前後方向に貫通し、左右方向に延びて長方形形状に開口した4個の貫通孔16が、形成されている。
【0024】
エアバッグカバー27は、ポリオレフィン系等の熱可塑性エラストマーから形成されて、図2〜4・6に示すように、ケース22の開口22aを覆うカバー本体部28と、ニーパネル13の車両後方側を覆うパネルカバー部33と、を備えて構成されている。カバー本体部28には、上下に開く二つの扉部30が配設されている。扉部30・30の周囲には、エアバッグ49に押されて容易に破断する薄肉の破断予定部29が、車両後方側から見て略H字形状に、配設されている。上下の扉部30・30のそれぞれの上縁と下縁とは、破断予定部29が破断して上下の扉部30・30が開く際のヒンジ部31・31としており、これらのヒンジ部31は、各扉部30が容易に開くように、破断しない程度の薄肉としている。
【0025】
パネルカバー部33には、ニーパネル13の各係止孔15の周縁に係止される係止脚34が形成されるとともに、各係止脚34の近傍には、係止孔15の内周面に当接させて、係止脚34の挿入を案内する案内ロッド35が配設されている(図6・11参照)。
【0026】
また、エアバッグカバー27におけるカバー本体部28の上縁28a側には、ニーパネル13の各貫通孔16に挿入されて、各フック18に係止させる4つの取付片37が、車両前方側に延びるように配設されている。各取付片37は、略長方形の板状とし、それぞれ、上下方向に貫通して、略長方形に開口する係止孔37aを備えている。なお、各係止孔37aの内周面には、各フック18に係止された後の各フック18からの外れを防止する外れ防止片37bが、車両前方側から後方側へ突設されている。
【0027】
そして、各取付片37の左右両端側の取付片37A・37Bには、相互の対向する側面側に、それぞれ、係止脚38が、ケース22の左右方向の中央側に、突設されている(図6・7参照)。各係止脚38は、各取付片37が各フック18に係止可能な位置まで貫通孔16を貫通した際に、ばね弾性的に撓んだ後に復元して、ニーパネル13の車両前方側の面13aとした貫通孔16の車両前方側の周縁に、係止されるように形成されている。また、二つの係止脚38は、貫通孔16の内周面における左右方向の面17を係止するように、先端に、係止突起38aを備えている。
【0028】
さらに、エアバッグカバー27における各取付片37の間には、各係止脚38が貫通孔16の車両前方側の周縁に係止された際に、貫通孔16間におけるニーパネル13の車両後方側の面13bに当接されるように、前方側に隆起した3個の支持部42が形成されている。
【0029】
また、エアバッグカバー27におけるカバー本体部28の下縁28b側には、車両前方側に延びる1つの取付片40が形成されている。この取付片40は、ケース22の左右方向の幅寸法より僅かに小さくしている。そして、この取付片40には、各フック19に係止可能に、それぞれ、上下方向に貫通して、略長方形に開口する係止孔40aが形成されている。なお、各係止孔40aの内周面には、各フック19に係止された後の各フック19からの外れを防止する外れ防止片40bが、車両前方側から後方側へ突設されている。
【0030】
さらにまた、取付片40には、各係止片20を挿入させて周縁で係止する係止孔40cが、上下方向に貫通するように、2箇所に形成されている。各係止孔40cの左右両側には、係止片20の係止頭部20bを係止する係止棒部40d・40dが、配設されるとともに、各係止棒部40dの周囲には、係止頭部20bの係止孔40cへの挿入時に、各係止棒部40dが容易に撓むように、貫通孔40eが形成されている。
【0031】
さらに、係止孔40cの内周縁には、図6・9・10に示すように、各係止頭部20bの係止棒部40dへの係止時に、取付片40の車両後方側への移動を防止できるように、首部20aの車両前方側の面に当接する支持部40fが形成され、また、係止孔40cの周縁には、各係止頭部20bの係止棒部40dへの係止時に、取付片40の上方への移動を防止できるように、ケース22の下壁部23dの下面に当接する支持部40gが形成されている。
【0032】
なお、エアバッグカバー27は、アッパパネル8aとロアパネル8bとからなるインパネ8のロアパネル8bの下方側に配置されることとなる(図1・2参照)。
【0033】
インフレーター44は、図2・3に示すように、電気信号を入力させて膨張用ガスを吐出可能に構成されたシリンダタイプとして構成され、ガス吐出口44bを備えた円柱状の本体部44aと、本体部44aを保持する略円筒状とした板金製の取付ブラケット44cと、を備え、取付ブラケット44cには、インフレーター44をケース22に取り付けるための2本のボルト44dが突設されている。このインフレーター44は、取付ブラケット44cを、本体部44aに外装させて、縮径させるように塑性変形させることにより、本体部44aに取付ブラケット44cを結合させて、構成されている。そして、インフレーター44は、2本のボルト44dをケース22の貫通孔24aに挿通させて、各ボルト44dにナット45を締め付けることにより、ケース22に取り付けられている。なお、ケース22内への収納時には、インフレーター44は、本体部44aの一端とボルト44dとを突出させて、エアバッグ49に包まれた状態で、収納される。
【0034】
また、このインフレーター44は、ステアリングホイール1に搭載された図示しないエアバッグ装置を作動させる制御装置からの電気信号を、ステアリングホイール用エアバッグ装置と同時に入力させて、作動される。
【0035】
エアバッグ49は、図1に示すように、可撓性を有したポリエステルやポリアミド等の織布から形成されて、展開膨張完了時の形状を略長方形板状として、構成されている。そして、エアバッグ49は、図2・3に示すように、インフレーター44の各ボルト44dを挿通させる取付孔49a・49aと、インフレーター44のコネクタ46側の端部を突出させる貫通孔49bと、を備えて構成されている。なお、エアバッグ49は、一枚の織布を折って、折り重ねた外周縁相互を縫合して袋状に形成されており、外周縁の全周を縫合する前に、インフレーター44をエアバッグ49内に配設するとともに、膨張完了時のエアバッグ49の板形状を確保する図示しないテザーを配設させている。
【0036】
このエアバッグ装置Sの車両への搭載について説明すると、まず、インフレーター44を収納した状態で、エアバッグ49を折り畳む。エアバッグ49の折り畳みは、実施形態の場合、ケース22の左右方向の幅寸法に対応するように、前後方向の折目を付けて折り畳む縦折りと、左右方向の折目を付けて折り畳む横折りと、の二種類の折り畳み方で折り畳んでおり、特に、横折り行程では、エアバッグ49の上縁側を膨張完了時の車両前方側となる面側で巻き付けるロール折りによって、折り畳んでいる。
【0037】
エアバッグ49の折り畳み後には、折り崩れ防止用の破断可能な図示しないラッピングフィルムにより、エアバッグ49をくるんでおく。なお、インフレーター44のコネクタ46側の端部やボルト44dは、ラッピングフィルムから突出させておく。
【0038】
そして、取付ベース部材11のケース22内に、エアバッグ49を収納するとともに、インフレーター44のコネクタ46側の端部を貫通孔23bから突出させ、かつ、各ボルト44dを、貫通孔24aから突出させて、突出したボルト44dにナット45を締め付ければ、インフレーター44とエアバッグ49とをケース22に取り付けることができる。
【0039】
その後、取付ベース部材11にエアバッグカバー27を取り付ける。この取り付けは、図8に示すように、まず、ニーパネル13の車両後方側から、各貫通孔16に対して、対応する取付片37を挿入させるとともに、図10に示すように、取付片40をケース23の下壁部23の下面側に被せる。
【0040】
この時、各取付片37を貫通孔16に挿入すれば、図7に示すように、各係止脚38が、ばね弾性的に撓んだ後に復元して、ニーパネル13の車両前方側の面13aにおける貫通孔16の車両前方側の周縁に、係止されるとともに、各支持部42が、各貫通孔16の周縁におけるニーパネル13の車両後方側の面13bに当接する。
【0041】
なお、各取付片37を貫通孔16に挿入する際には、エアバッグカバー27の各係止脚34と案内ロッド35とを所定の係止孔15に挿入させて、各係止孔15の周縁に係止脚34を係止させることも、併せて行なう。
【0042】
そしてさらに、取付片40の各係止孔40a内にフック19を挿入させるとともに、各係止孔40c内に係止片20を挿入させるように、カバー本体部28の下縁28b側を回転中心として回転させるように、取付片40をケース22の下壁部23d側に撓ませる(図10参照)。すると、各外れ防止片40bが撓んで、フック19の先端19aが、各外れ防止片40bの下方側に配置されて、各フック19が、取付片40の各係止孔40aの周縁を係止することができ、また、各係止片20が、係止頭部20bを係止孔40cの下方に突出させて、各係止頭部20bが係止棒部40dを係止することができる。
【0043】
さらに、各取付片37側でも、単に、貫通孔16に挿入させただけでは、図8の実線で示すように、フック18に係止されない。そのため、カバー本体部28の上縁28a側を回転中心として回転させるように、各取付片37をケース22の上壁部23c側に撓ませる。すると、各外れ防止片37bが撓んで、フック18の先端18aが、各外れ防止片37bの上方側に配置されて、各フック18が、取付片37の各係止孔37aの周縁を係止することができて、エアバッグカバー27が取付ベース部材11に取り付けられて、エアバッグ組付体SAを形成することができる。
【0044】
このようなエアバッグ組付体SAは、ニーパネル13の所定の取付ブラケット部14を、ボディ側の所定部位に固定すれば、車両に膝保護用エアバッグ装置Sを搭載することができる。
【0045】
なお、エアバッグ装置Sの車両搭載後には、リード線47を所定のエアバッグ作動回路に結線したコネクタ46を、インフレーター44の本体部44aに結合させるとともに、インパネ8のアッパパネル8aやロアパネル8b、さらには、アンダーカバー9(図1・2参照)を、車両に組み付けることとなる。
【0046】
車両へのエアバッグ装置Sの搭載後、インフレーター44に所定の電気信号が入力されれば、ガス吐出口44bから膨張用ガスが吐出されて、エアバッグ49は、膨張して、図示しないラッピングフィルムを破断するとともにエアバッグカバー27の扉部30・30を押し、破断予定部29を破断させて、上下の扉部30を、それぞれ、ヒンジ部31を回転中心として、上下に開かせ、その結果、エアバッグ49は、ケース22の開口22aから、車両後方側へ突出し、さらに、横折りと縦折りとを解消しつつ、コラムカバー下面6aに沿うように、上方に向かって大きく展開膨張して、乗員Mの膝Kを保護することができる(図1の二点鎖線参照)。
【0047】
そして、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、組み立て時において、エアバッグカバー29の各取付片37をニーパネル13の貫通孔16を経て、ケース22の外周面側のフック18に係止させる際、取付片37A・37Bの各係止脚38・38が、ばね弾性的に撓んで、貫通孔16を通過した後に復元して、貫通孔16の内周縁におけるニーパネル13の車両前方側の面13aに係止されることから、車両後方側への抜けを規制され、かつ、各支持部42が、ニーパネル13の車両後方側の面13bに当接される。そのため、エアバッグカバー27における取付片37の近傍のカバー本体部28は、係止脚38・38の貫通孔16の内周縁への係止より、車両後方側への移動が規制され、また、各支持部42のニーパネル13への当接により、車両前方側への移動も規制される。
【0048】
そして勿論、取付片37はフック18に係止されることから、エアバッグ49が展開膨張して、エアバッグカバー27がエアバッグ49の強い力で車両後方側に押されて、係止脚38の係止が外れても、エアバッグカバー27は、取付片37のフック18による係止や取付片40のフック19による係止によって、ケース22との連結状態を維持し、扉部30・30を開口させて、エアバッグ49を突出させることができる。
【0049】
したがって、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、エアバッグカバー27におけるエアバッグ49を覆うカバー本体部28付近の前後方向への移動を抑えて、カバー本体部28付近の建付け性を良好にすることができる。
【0050】
そして、実施形態では、2つの取付片37A・37Bにそれぞれ設けられた係止脚38・38が、左右方向で対向するように配設されて、各貫通孔16の相互に接近した左右方向の面17に当接する係止突起38aを備えて、エアバッグカバー27の左右方向への移動を規制可能に、配設されている。そのため、カバー本体部28付近は、左右方向への移動も規制されることとなって、一層、カバー本体部28付近の建付け性を良好にすることができる。
【0051】
なお、図例では、取付片37A・37Bに設けた係止脚38・38を、先端の係止突起38a相互を接近させるように、左右方向で対向させた場合を示したが、逆側の面、すなわち、取付片37A・38Bの相互の離れた側面側に、係止脚38・38を設けて、それらの係止脚38・38が挿入される貫通孔16相互の離隔方向側における左右方向の面に、係止突起38aを当接させるようして、カバー本体部28付近の左右方向への移動を規制するように構成してもよい。勿論、上記の作用効果の点を考慮しなければ、係止脚38を、取付片37の左右方向の部位でなく、上面側や下面側に設けてもよい。
【0052】
また、実施形態では、係止脚38が、ケース22の上縁側となるカバー本体部28の上縁28a側に、配設されている。そのため、膝保護用エアバッグ装置Sは、乗員Mの膝Kの前方側に配置される構成であって、乗員Mの目の下方位置に配置されることから、係止脚38が、ケース22の上縁側に配置されていれば、エアバッグカバー27のカバー本体部28の上縁28a側の建付け性が良好となって、乗員Mの目に触れ易い箇所の建付け性を良好にすることができ、膝保護用エアバッグ装置Sの意匠性を良好にすることができる。
【0053】
なお、実施形態のカバー本体部28の下縁28b側では、取付片40は、係止片20に係止軸部40dを係止させて、下方への移動が防止された状態で、支持部40fを係止片20の首部20aの前面に当接させて、車両後方側への移動が規制され、かつ、支持部40gを下壁部23dの下面に当接させて、上方への移動が防止されている。そのため、この下縁28b側でも、取付片40が、カバー本体部28の下縁28b側を回転中心とするような上下の回転を防止され、かつ、車両後方側への移動を防止されて、ガタツキを生ずることなく、ケース22に保持されている。
【0054】
勿論、カバー本体部28の下縁28b側でも、取付片37のように、取付片40を、ニーパネル13の貫通孔に貫通させるように構成し、取付片40に設けた係止脚と支持部とにより、前後方向や左右方向の移動を規制するように構成してもよい。
【0055】
なお、実施形態では、運転者Mの膝Kを保護するために、運転者Mの車両前方側に配置されるエアバッグ装置Sを例に採り説明したが、助手席に着座した助手席搭乗者の膝を保護可能なエアバッグ装置に、本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である膝保護用エアバッグ装置の使用状態を示す車両前後方向の概略縦断面図である。
【図2】実施形態の膝保護用エアバッグ装置における車両前後方向の概略拡大縦断面図である。
【図3】実施形態の膝保護用エアバッグ装置の概略拡大横断面図であり、図2のIII−III部位の断面図である。
【図4】実施形態のニーパネル、ケース、及び、エアバッグカバーの分解斜視図である。
【図5】実施形態のニーパネルの拡大斜視図である。
【図6】実施形態のエアバッグカバーの拡大斜視図である。
【図7】実施形態のエアバッグカバーの係止脚における二−パネルへの係止状態を示す断面図であり、図2のVII−VII部位に対応する。
【図8】実施形態のエアバッグカバーの取付片におけるフックへの係止状態を示す図である。
【図9】実施形態のエアバッグカバーにおける下方側の取付片の係止片との係止状態を示す縦断面図であり、図3のIX−IX部位に対応する。
【図10】実施形態のエアバッグカバーにおける下方側の取付片のフックへの係止状態を示す図であり、図3のX−X部位に対応する。
【図11】実施形態のエアバッグカバーにおけるカバー本体部から離れた部位(パネルカバー部)のニーパネルへの取付状態を示す縦断面図であり、図3のXI−XI部位に対応する。
【符号の説明】
13…ニーパネル、
13a…車両前方側の面、
13b…車両後方側の面、
16…貫通孔、
18…フック、
22…ケース、
27…エアバッグカバー、
28…カバー本体部、
33…パネルカバー部、
37・37A・37B…取付片、
37a…係止孔、
38…係止脚、
38a…係止突起、
42…支持部、
M…乗員・運転者、
S…膝保護用エアバッグ装置。
Claims (3)
- 着座した乗員の膝の前方側に、折り畳まれたエアバッグと、折り畳まれた前記エアバッグを収納するケースと、折り畳まれた前記エアバッグを突出可能に覆うエアバッグカバーと、が配設され、
前記エアバッグカバーが、折り畳まれた前記エアバッグを覆うカバー本体部と、前記ケースの周囲に配置されるニーパネルの車両後方側を覆うパネルカバー部と、を備えるとともに、前記ニーパネルの貫通孔を貫通する取付片を備え、該取付片を車両後方側から前記貫通孔に貫通させて、前記ケースの外周面側に配設されたフックに係止させ、前記ケースに保持される構成の膝保護用エアバッグ装置であって、
前記エアバッグカバーが、前後方向の移動を規制されて前記ケースに保持可能に、前記取付片の前記貫通孔への挿入時に、前記貫通孔の内周縁にばね弾性的に撓んで係止されて車両後方側への抜けを規制される係止脚と、該係止脚における前記貫通孔の内周縁への係止時に、前記ニーパネルの車両後方側の面に当接する支持部と、を備えて構成されていることを特徴とする膝保護用エアバッグ装置。 - 前記係止脚が、前記エアバッグカバーの左右方向への移動を規制可能に、配設されていることを特徴とする請求項1に記載の膝保護用エアバッグ装置。
- 前記係止脚が、前記ケースの少なくとも上縁側に、配設されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の膝保護用エアバッグ装置。
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