JP4124511B2 - 充電ポンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、充電ポンプ(チャージ・ポンプ、charge pumps)と充電ポンプを含む回路とに関する。充電ポンプは、例えば、高周波での応用例のためのCMOS位相ロック・ループ(phase locked loop = PLL)回路を含む位相ロック・ループ回路において、用いる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
155MHzの可変データ速度に固定(ロック)するための位相ロック・ループ回路に関する従来の提案では、複数の充電ポンプが含まれている。充電ポンプは、基準電流源を含み、これがミラーされスイッチングされて電流パルスを提供し、容量性ノード上の電荷を維持する。平衡条件の下では、等しく逆向きの電流パルスを、PMOS及びNMOSトランジスタのスイッチングによって、交互に印加しなければならない。その際に、容量性ノードの正味(ネット)の電位状態は、スイッチングしている信号の間の相対的な時間差を反映する。充電ポンプの構成要素をその充電ポンプの動作を安定させるために可能な限り機能的に同様にするためには、レイアウト方法が用いられる。しかし、充電ポンプの製造過程及び動作での変数がその機能に影響を与えて、理想値から逸脱させることがあり得る。このような変数には、製造過程におけるプロセス変数や、使用の際の電圧及び温度変動が含まれる。高周波で動作させるために回路技術に対してなされる高度な要求の結果として、ある状況下では、電荷ノードは意図している平衡点とは異なる電位値を呈するが、これは、従属する回路を意図していないレベルで動作させる原因となりうる。更に高い周波数での動作が要求されるにつれて、一致した振る舞いを得る困難は、増大する。
【0003】
従って、本発明の目的は、製造過程や動作パラメータにおける変動をよりよく補償することができる改良された充電ポンプを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のある側面によると、主たる(メインの)第1及び第2のスイッチング・トランジスタを有する主たるポンプ回路と、補助ポンプ回路と、を備えており、充電ポンプは、補助ポンプ回路の動作に応答して、少なくとも第1のスイッチング・トランジスタに可変バイアスを提供する充電ポンプが提供される。
【0005】
補助ポンプ回路を別個に提供することによって、この回路が、制御の形式で用いられ、主たるポンプ回路のスイッチング・トランジスタの一方のバイアスを調整する信号を提供することが可能になる。補助ポンプ回路は、モニタすることができ、主たるポンプ回路を制御するモニタ制御信号から、バイアスを発生させることができる。このようにして、主たるポンプ回路のスイッチング・トランジスタの少なくとも1つの動作を、制御することができる。別個のPMOS及びNMOSスイッチング・トランジスタが存在する場合には、典型的には、PMOSトランジスタへのバイアスを制御することだけが、必要である。
【0006】
好ましくは、補助ポンプ回路は、補助的な第1及び第2のスイッチング・トランジスタを備えている。このようにして、主たるポンプ回路の構成を、補助ポンプ回路において、ミラーさせることができる。
【0007】
好ましくは、補助ポンプ回路の動作のモニタリングは、補助的な第1及び第2のスイッチング・トランジスタが補助電荷蓄積装置(charge storage)に結合されている又は結合可能であって電荷蓄積装置の充電レベルを制御するように構成することによって、達成される。電荷蓄積装置は、補助ポンプ回路の一部として又はそれに直ちに隣接するものとして形成される。電荷蓄積装置は、1又は複数のトランジスタ及び/又は1又は複数のキャパシタ(コンデンサ)とから構成され得る。あるいは、それ以外の任意の他の電荷蓄積装置の構成もあり得る(例えば、主たる充電ポンプの電荷蓄積装置に対して用いることができる2次のローパス・フィルタに類似する2次ローパス・フィルタなど)。
【0008】
好ましくは、補助充電ポンプ回路は、自己調整(self-regulating)フィードバック・ループを含む。このようにして、補助ポンプ回路は、それ自身の動作を効果的にモニタする。
【0009】
ある実施例では、補助的で制御可能な電流源が、補助的な第1のスイッチング・トランジスタと電圧供給線との間に接続されており、補助的で制御可能な電流源は、電荷蓄積装置の充電レベルに応答して、自己調整バイアスを補助的な第1のスイッチング・トランジスタに提供する。この補助的で制御可能な電流源は、好ましくは、電荷蓄積装置の充電レベルに応答して自己調整バイアスを補助的な第1のスイッチング・トランジスタに提供するバイアス・トランジスタを備えている。
【0010】
この実施例では、主たる制御可能な電流源が、主たる第1のスイッチング・トランジスタと電圧供給線との間に接続され、主たる制御可能な電流源は、補助的なポンプ回路の動作に応答する。好ましくは、主たる制御可能な電流源は、電荷蓄積装置の充電レベル、すなわち、電荷蓄積装置への供給端子における電圧に応答して、自己調整バイアスを主たる第1のスイッチング・トランジスタに提供するバイアス・トランジスタを備えている。
【0011】
本発明のある実施例では、この充電ポンプは、別の主たる第1及び第2のスイッチング・トランジスタを有する別の主たるポンプ回路を備えており、この充電ポンプは、補助的なポンプ回路の動作に応答して可変バイアスを少なくとも別の主たる第1のスイッチング・トランジスタに提供するように構成されている。別の主たるポンプ回路もまた同じ補助ポンプ回路に応答することにより、回路の節約と動作の信頼性とを得ることができる。
【0012】
好ましくは、別の主たる制御可能な電流源は、電荷蓄積装置の充電レベル、すなわち、電荷蓄積装置への供給端子における電圧に応答して、自己調整バイアスを別の主たる第1のスイッチング・トランジスタに提供するバイアス・トランジスタを備えている。
【0013】
本発明の好適実施例では、第1のスイッチング・トランジスタは、PMOSトランジスタである。
【0014】
補助ポンプ回路は、好ましくは、補助的な第1及び第2のスイッチング・トランジスタのそれぞれのゲートが最大の動作周波数クロックに対応するクロック周波数によって駆動されるように構成することによって、この充電ポンプ回路に対する最大の動作周波数で動作可能であるように構成される。
【0015】
好ましくは、それぞれのポンプ回路は、実質的に同じ幾何学的構成(geometry)を有している。
【0016】
更に好ましくは、充電ポンプは、ミラー基準回路を備えている。
【0017】
本発明は、上述した充電ポンプを含む位相ロック・ループを提供する。この充電ポンプ回路及び/又は位相ロック・ループは、集積回路として集積することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を、添付の図面を参照することによって説明するが、複数の図面にまたがって、同じ構成要素には同じ参照番号が付されている。
【0019】
図1は、高速位相ロック・ループ10の概略的なブロック図である。
【0020】
この位相ロック・ループは、例えば、622MHzのデータ速度以上などの高周波の可変データ速度に位相ロックするように構成することができる。
【0021】
図1の位相ロック・ループは、マルチプレクサ30と、位相及び周波数検出器回路34と、第1の充電ポンプ36と、電圧制御発振器38と、バッファ回路40とを含む。また更に、8分割/選択回路42と、HOGGE4回路(すなわち、従来型の4相Hogge回路)44と、第2の充電ポンプ46とを含む。
【0022】
ここで、図1の回路の動作を、更に詳細に説明する。図1の回路は、MODE信号の制御の下で2つの位相(フェーズ)で動作する。図1の上部に、異なるモードを示すテーブルが示されている。
【0023】
第1のフェーズでは、回路は、固定された周波数(すなわち、622MHzのくロック)に固定され、第2のフェーズでは、回路は、切り換えられて、固定されたクロック周波数に基づくが可変のビット長を有するランダムなデータ・パターンを受け取る。
【0024】
第1のフェーズでは、固定された周波数(622/8=77MHz)での基準データREFINが、基準入力16において供給される。ハイであるMODEA信号が入力12に供給されると、それによって、マルチプレクサ30は、基準入力16を選択し、この基準入力を位相及び周波数検出器34のデータ入力DATAに与える。ハイであるMODEA信号により、位相及び周波数検出器34と第1の充電ポンプ36とがイネーブルされる。位相及び周波数検出器34は、基準データ入力DATAと、8分割/選択回路42から位相及び周波数検出器34のFB入力にフィードバックされた信号とを比較する。位相及び周波数検出器34は、DATAにおいて入力された信号と位相及び周波数検出器34へのFB入力との間の差に基づいて、アップUP及びダウンDN信号をそれぞれ出力する。充電ポンプ36は、LP2端子22における外部フィルタ・キャパシタ(例えば、図4に図解されているように、2次のローパス・フィルタとして実現されている)を、アップUP及びダウンDN信号に従って充電及び放電させる。
【0025】
電圧制御発振器38は、LP2端子22における電圧レベル(すなわち、充電レベル)をモニタするように接続されている。従って、外部フィルタ・キャパシタは、電圧制御発振器(VCO)38の制御入力LP2に供給される制御電圧を平滑化する平滑化キャパシタとして、効果的に作用する。電圧制御発振器38の出力は、バッファ40でバッファされた後に、所望の周波数(この例では、622MHz)を有する出力クロックCKOUT20として供給される。
【0026】
バッファ40の出力は、また、8分割/選択回路42にフィードバックされる。8分割/選択回路42の8分割機能は、入力12において供給されるハイであるMODEA信号によってイネーブルされる。これによって、622MHzの信号は8による除算がなされ、8分割/選択回路42のFB出力に77MHzの信号が生じ、これが、位相及び周波数検出器34のFB入力に与えられる。このようにして、VCO38は、基準周波数にロックされたCKOUT信号を発生することになる。
【0027】
第2の動作フェーズでは、回路は、622MHzのクロックに基づくが任意のビット長のランダムなデータ・パターンを受け取るように切り換わる。この場合には、比較するクロックが存在せず、従って、位相ロックを提供するためには、データ・エッジのフェージングを見る必要がある。位相ロックを提供するためには、従来型のHogge4回路(すなわち、4相のHogge回路)が用いられる。MODEA信号がローになると、マルチプレクサ30は、データDATAを、入力端子14からマルチプレクサ30の出力Zに与える。位相及び周波数検出器34と第1の充電ポンプ36とは、MODEA信号がローになるときにディセーブルされる。8分割/選択回路42の8分割機能は、622MHzのCK信号がHogge回路44への入力のためのFB信号を形成するように直接に送られるように、ディセーブルされる。Hogge回路44は、次に、MODEA信号がローになることによって、イネーブルされる。Hogge回路44は、既知の態様で動作し、そのDATA入力におけるデータとそのFB入力において供給される信号とを比較する。Hogge回路44は、訂正パルスP1、N1、P2、N2のシーケンスを、それらと同様の参照記号が付してある出力から、第2の充電ポンプ46の同じ参照記号の付された入力に、与える。P1、N1、P2、N2は、非常に高周波のパルスであり、僅かにナノ秒の長さを有する。第2の充電ポンプ46は、キャパシタ(図示せず)上に蓄積された電荷を端子LP2において制御する信号をLP1Bにおいて提供するように動作する2つのポンプ回路を含む。入力クロック周波数に僅かな変動がある場合には、蓄積装置であるキャパシタの充電レベルに変動が生じ、これは、電圧制御発振器へのLP2入力において供給される電圧に変化を生じさせ、従って、動作周波数の制御を提供する。平衡条件では、充電されたノードは、意図した平衡電位値を有しなければならない。この目的については、本発明の実施例による充電ポンプ46の例との関係で、後に説明する。また、図1に示すように、Hogge回路44の出力は、このHogge回路のDATA入力で受け取ったデータをDATAOUT端子24に送るように接続されている。
【0028】
充電されたノードLP2は意図される平衡電位を有さなければならないが、図1に示されたものと同様の構成を有するが本発明による充電ポンプを有していない(そして、図1に示されたCK入力も有していない)従来技術による位相ロック・ループでは、充電されたノードが意図された平衡点からドリフトする可能性があることがわかっている。
【0029】
図2は、図1に示された充電ポンプ36の回路図である。図2は、ポンプ回路の例示的な実現例を図解している。図2及び図3では、文字S、G及びDは、それぞれが、トランジスタのソース、ゲート及びドレインを示している。
【0030】
図2では、充電ポンプは、主たる(メインの)充電回路51とミラー回路55とを含む。充電ポンプ回路51は、位相及び周波数検出器34からUP信号を受け取るこの充電ポンプのP入力に接続されたPチャネル金属酸化物半導体(PMOS)スイッチング・トランジスタ52と、位相及び周波数検出器34からDN信号を受け取る充電ポンプ36のN入力に接続されたNチャネル金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタ54と、を含む。PMOSスイッチング・トランジスタ52とNMOSスイッチング・トランジスタ54とは、UP及びDN信号に応答して交互に動作し、充電ポンプ36の出力LP156を介して、端子LP2におけるフィルタ・キャパシタを充電及び放電する。PMOSスイッチング・トランジスタ52は、カスコード(cascode)構成に接続されているPMOSトランジスタ58及び60を含む定電流源を介して、電圧レールPLLVDDに接続されている。同様に、NMOSスイッチング・トランジスタ54は、カスコード構成に接続されているNMOSトランジスタ62及び64を含む定電流源を介して、電圧レールVSSに接続されている。
【0031】
基準回路55は、トランジスタ・スイッチ66においてイネーブル入力ENAを受け取る。トランジスタ52、54、58、60、62及び64は、それぞれが、基準回路55におけるトランジスタ68、70、72、74、76及び78によってミラーされ、スイッチング・トランジスタ52及び54のバイアシングを正確に定義する。主たるポンプ回路及び基準回路において複数のカスコード段を用いることによって、優れた線形性と電流制御とが得られる。図2に示された充電ポンプは、図1に示された本発明の実施例では、充電ポンプ36として用いることができる。
【0032】
図1に示された一般的な構造を有する(しかし、622MHzではなく155MHzでの動作のために設計されている)位相ロック・ループ回路に関する従来型の設計では、第2の充電ポンプ46のために図2に示されている2つの回路の使用が提案されている(ただし、図1に示された充電ポンプ24のCK入力へのフィードバックは、なし)。この2つの回路が必要である理由は、Hogge回路44から出力される4つの信号P1、N1、P2、N2による。しかし、既に述べたように、従来型の構成では、高周波の条件下で、所望の動作安定性を達成できないことがわかっている。プロセス特性を注意深く一致させ安定性を与える回路レイアウトを与えても、ある動作条件では、意図した平衡点からのドリフトが検出された。広範囲に調査を行った結果、可能性のある原因としては、PMOS及びNMOSトランジスタにおける電荷移動度(charge mobility)の内在的な差異であり得ると判断されている。これは、結果的に、プロセス特性が完全に一致するときであっても、異なる散乱特性(diffusion characteristics)を生じさせるものである。
【0033】
図3は、図1の充電ポンプ46として用いるための、本発明の実施例による充電ポンプの回路図である。図3に示されている充電ポンプ80の実施例では、基準段82と、第1の主たるポンプ回路84と、別の主たるポンプ回路86と、補助的なポンプ回路88と、が存在している。
【0034】
主たる充電ポンプ84は、Hogge回路44からP1及びN1信号をそれぞれ受け取るように接続されたPMOSスイッチング・トランジスタ152とNMOSスイッチング・トランジスタ154とを含む。第1及び第2のスイッチング・トランジスタ152及び154の間の共通点156が、図1の端子LP2(図示せず)におけるキャパシタに接続するために端子LPB1に接続されるスイッチングされた出力を形成する。
【0035】
PMOSトランジスタ158及び160を含む電流源は、電圧レールPLLVDDとPMOSスイッチング・トランジスタ152のソースとの間に接続されている。NMOSトランジスタ162及び164によって形成される電流源は、電圧レールVSSとNMOSスイッチング・トランジスタ154のソースとの間に接続されている。
【0036】
別の主たる充電ポンプ86は、Hogge回路44からP2及びN2信号をそれぞれ受け取るように接続されたPMOSスイッチング・トランジスタ252とNMOSスイッチング・トランジスタ254とを含む。第1及び第2のスイッチング・トランジスタ252及び254の間の共通点256が、図1の端子LP2(図示せず)におけるキャパシタに接続するために端子LPB1に接続されるスイッチングされた出力を形成する。
【0037】
PMOSトランジスタ258及び260を含む電流源は、電圧レールPLLVDDとPMOSスイッチング・トランジスタ252のソースとの間に接続されている。NMOSトランジスタ262及び264によって形成される電流源は、電圧レールVSSとNMOSスイッチング・トランジスタ254のソースとの間に接続されている。
【0038】
図3の基準回路82は、図2の基準回路55と実質的に同じである。例えば、イネーブル信号ENAは、トランジスタ166において受け取られ、トランジスタ170、176及び178は、主たるポンプ回路のトランジスタ154、162及び161と別の主たるポンプ回路86のトランジスタ254、262及び264とに、電流ミラーを提供する。トランジスタ168、172及び174はまた、主たるポンプ回路84のトランジスタ152、158及び160と別の主たるポンプ回路86のトランジスタ252、258及び260とに、電流ミラーを提供する。
【0039】
しかし、図2ではPMOSトランジスタ58のゲートはPMOSトランジスタ72のゲートに接続されているが、図3の回路では、PMOSトランジスタ158及び258のゲートは、補助ポンプ回路88に接続されている。補助ポンプ回路88は、主たる及び別の主たるポンプ回路84及び86と同様の全体的構成を有している。特に、PMOSスイッチング・トランジスタ352とNMOSスイッチング・トランジスタ354とが存在している。PMOSスイッチング・トランジスタ352とNMOSスイッチング・トランジスタ354との間の共通点356は、主たる及び別の主たるポンプ回路84及び86のPMOSトランジスタ158及び258のゲートにそれぞれ接続されている。PMOSトランジスタ358及び360を含む電流源が、PMOSスイッチング・トランジスタ352のソースと電圧レールPLLVDDとの間に接続されている。NMOSトランジスタ362及び364を含む電流源が、NMOSスイッチング・トランジスタ354のソースと電圧レールVSSとの間に接続されている。
【0040】
NMOSトランジスタ362及び364によって形成される電流源は、主たるポンプ回路84の対応するトランジスタ162及び164と別の主たるポンプ回路86の対応するトランジスタ262及び264との場合と同じ態様で、基準回路82に接続されている。同様に、PMOSトランジスタ360は基準回路82に接続され、PMOSトランジスタ358のゲートは、補助ポンプ回路88のPMOSスイッチング・トランジスタ352とNMOSスイッチング・トランジスタ354との間の共通点356に接続されている。共通点356はまた、補助ポンプ回路88に対して基準キャパシタとして作用するトランジスタ380のゲートに、接続CAPを介して、接続されている。基準キャパシタンス・トランジスタ380のソース及びドレインは、共に、電圧供給レールVSSに接続されている。図3に示されているように、基準キャパシタンス・トランジスタ380は、充電ポンプと一体的な部分である。また、キャパシタンスは、ポンプ回路46から出力されるCAPを介して、外部的な基準キャパシタ/キャパシタンスとして提供することもできる。
【0041】
補助ポンプ回路88のPMOSスイッチング・トランジスタ352のゲートとNMOSスイッチング・トランジスタ354のゲートとは、ポンプ回路へのクロック信号入力CKに共通に接続されている。クロック信号入力CKは、図1の端子20において出力クロック信号CKOUTを受け取るように接続されている。従って、補助ポンプ回路は、その最大の予測される速度で動作して、それ自身のキャパシタ(例えば、図3において実現されているように、基準キャパシタンス・トランジスタ380)を充電及び放電する。
【0042】
電荷移動度が異なっていることの結果として、PMOSトランジスタの充電サイクルがNMOSトランジスタ354の放電サイクルによって用いられるほどの電荷を供給しない場合には、結果的に、基準キャパシタンス・トランジスタ380から電荷が失われることになる。これによって、共通基準点356での電圧は低下する傾向にある。基準点356における電圧降下は、PMOSトランジスタ358にが与える駆動を増加させ、これにより、PMOSスイッチング・トランジスタ352は、共通の基準点356を、意図した平衡電位に戻すように駆動することになる。
【0043】
換言すると、PMOSの駆動が弱い場合には、キャパシタの基準電圧は低下し、その結果として、PMOSトランジスタ352により多くの駆動が与えられて、弱いPMOSトランジスタの効果を補償する。結果として、PMOS及びNMOSスイッチング・トランジスタ352及び354の効果を、動的な態様で一致させることができる。
【0044】
図3の回路から理解すべきことは、補助ポンプ回路88において提供されるフィードバック制御が主たる及び別の主たるポンプ回路84及び86にミラーされるということである。基準回路、主たるポンプ回路、別の主たるポンプ回路及び補助ポンプ回路の対応するトランジスタが共通のプロセスによって集積回路上に製造され、使用の際に同じ電圧及び温度変動を受ける場合には(これは、ディスクリートな素子のしsに対して達成しうる)、補助ポンプ回路88において提供されるフィーバック・ループが、主たる及び別の主たるポンプ回路84及び86のPMOSスイッチング・トランジスタ152及び252へのバイアシングを自動的に補償し、それぞれのポンプ回路のPMOS及びNMOSスイッチング・トランジスタの動作を一致させることができる。
【0045】
図4は、図1に示されている位相ロック・ループ10を含む集積回路400の実現例の概略的なブロック図である。この集積回路の、本発明のこの実現例を理解するのに関係する特徴だけが記載されている。この集積回路は、例えば、供給電圧や、他の処理回路への入力及び出力などの追加的な入力及び出力を、図4に示され手いる回路ブロック以外にも含むことを理解すべきである。
【0046】
図4に示されているように、図1の位相ロック・ループ10は、複数の入力/出力ピンに接続されている。位相ロック・ループ10のDATA入力14は、622MHzのデータ信号412のソースに接続するために、ピン410に接続されている。位相ロック・ループ10のREFIN入力16は、77MHzの水晶発振子416への接続のために、ピン414に接続されている。位相ロック・ループ10のLP2端子22は、主たる充電ポンプのための外部的な電荷蓄積装置を含む又は形成する2次のローパス・フィルタ420への接続のために、ピン418に接続されている。
【0047】
77MHzのピン414はまた、ロック検出器424の一方の入力に接続されている。ロック検出器424への他方の入力は、8分割回路422に接続されている。8分割回路422への入力は、位相ロック・ループのCKOUT端子20に接続されている。ロック検出器424は、8分割された位相ロック・ループの出力と77MHz発振器からのクロック信号との比較に基づいて、MODEA信号を制御する。ロックが見出されると、MODEA信号はローに設定され、その後では、位相ロック・ループ10は、622MHzのデータ信号に応答して、第2のモード又は動作フェーズで動作する。位相ロックが維持される場合には、ロック検出器は、MODEA信号をローに維持する。しかし、ロックが失われていることをロック検出器が検出するときには、MODEA信号はハイに設定され、位相ロック・ループ10は、ロックが再度確立されるまで、REFIN信号とフィードバックされたCK信号との比較に戻る。
【0048】
図4はまた、位相ロック・ループ10のDATAOUT及びCKOUT端子24及び20からデータ信号とクロック信号との両方を受け取るクロック及びデータ信号に依存する他の処理回路を示している。集積回路400は、また、データ及び/又はクロック信号(DATA及びCK)に依存しない他の回路(図示せず)を含むこともある。また、位相ロック・ループ10の端子と集積回路のピンとの間の直接の接続は示されていないが、他の中間的な回路を、適切なものとして提供することも可能である。
【0049】
従って、以上で、自己補償されるスイッチング駆動(ドライブ)を含む充電ポンプを説明した。主たるポンプ回路と共に補助ポンプ回路を用いることによって、主たるポンプ回路のスイッチング・トランジスタの動作の自動的なフィードバック制御を提供することができる。本発明の好適実施例では、補助ポンプ回路は、主たるポンプ回路と同じ集積回路の上に、主たるポンプ回路と隣接して構成されている。補助ポンプ回路は、主たるポンプ回路と、幾何学的配列及び構成において実質的に同じである。補助ポンプ回路は、補助キャパシタを充電するが、このキャパシタは、充電ポンプ構造の内部に集積されることも、外部的に提供されることも可能である。主たる充電ポンプは、位相ロック・ループ素子のループ・フィルタの一部を形成する外部的なキャパシタ及びそれ以外の素子を充電する。
【0050】
発生した周波数に接続することによって、補助ポンプ段は、最大の動作周波数でスイッチングがなされる。補助キャパシタ上の電位は、動的に動作しているPMOS及びNMOSスイッチング・トランジスタの相対的な強度を示し、プロセス、電圧及び温度変動にさらされる。この電位は、フィードバックされ、システムを安定化するようにPMOSトランジスタをバイアスし、それによって、平衡点が得られる。この電位はまた、主たるポンプ回路のトランジスタを制御するのに用いられる。従って、主たる充電ポンプは、最適なレベルで動作するようになり、位相ロック・ループが機能するための正しい電位を維持する。補助キャパシタ上の電荷は、プロセス、電圧及び温度変動とは無関係に、システムの最大速度で充電パルスを提供するPMOS及びNMOSトランジスタの相対的な動的特性(dynamic characteristics)に比例する。
【0051】
本発明の特定の実施例について以上で説明したが、本発明の技術的範囲から逸脱することなく、多くの修正及び/又は追加をなすことができることを理解すべきである。例えば、集積回路に関する説明を行ったが、1又は複数のディスクリートな素子を用いる場合にも本発明は応用できる。上述した特定の実施例では主たる及び別の主たる充電ポンプ回路84及び86が提供されているが、別の実施例では、ただ1つの主たる充電ポンプ回路だけを提供することもできる(例えば、主たるポンプ回路84)。従って、例えば、図3に示した回路から別の主たるポンプ回路86を除いたものを用いて、図1の充電ポンプ35を実現することもできる。また、図1に示した位相ロック・ループ回路の別の実施例では、図1の4方向のHogge回路44の代わりに、2方向のHogge回路を用いてもよい。その場合には、2方向のHogge回路は、第1及び第2の出力だけを提供する(例えば、P1及びN1)。従って、充電ポンプ46の主たるポンプ回路84など、ただ1つの主たるポンプ回路を用いることが必要となるだけである。また、622MHzの周波数に対する本発明の実施例を説明したが、本発明は、それよりも低い周波数(例えば、155MHz)又はそれよりも高い周波数のための回路にも応用できる。
【0052】
本発明のこれ以外の実施例では別の電流源及び基準回路の構成を提供することができることを理解すべきである。また、本発明は、特にCMOS回路に関して説明したが、それ以外の回路技術にも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による充電ポンプの実施例を組み入れた位相ロック・ループの一例の概略的なブロック図である。
【図2】図1の位相ロック・ループの回路の一部で用いることができる従来型の充電ポンプの回路図である。
【図3】図1の位相ロック・ループの別の部分で用いることができる本発明による充電ポンプの実施例の回路図である。
【図4】図1の位相ロック・ループを含む集積回路の回路図である。
Claims (21)
- 主たる第1及び第2のスイッチング・トランジスタを有する主たるポンプ回路と、
クロック信号に応答して可変バイアスを増加させる第1の補助素子と前記クロック信号に応答して前記可変バイアスを減少させる第2の補助素子とを有する補助ポンプ回路と、
を備えており、前記補助ポンプ回路の動作に応答して、少なくとも前記主たる第1のスイッチング・トランジスタに前記可変バイアスを提供することを特徴とする充電ポンプ。 - 請求項1記載の充電ポンプにおいて、前記第1及び第2の補助素子は、補助的な第1及び第2のスイッチング・トランジスタを備えていることを特徴とする充電ポンプ。
- 請求項2記載の充電ポンプにおいて、前記補助的な第1及び第2のスイッチング・トランジスタは、電荷蓄積装置に結合されている又は結合可能であり、前記電荷蓄積装置の充電レベルを制御することを特徴とする充電ポンプ。
- 請求項3記載の充電ポンプにおいて、前記電荷蓄積装置は、1又は複数のトランジスタを備えていることを特徴とする充電ポンプ。
- 請求項3記載の充電ポンプにおいて、前記電荷蓄積装置は、1又は複数のキャパシタを備えていることを特徴とする充電ポンプ。
- 請求項1記載の充電ポンプにおいて、前記補助ポンプ回路は、自己調整フィードバック・ループを含むことを特徴とする充電ポンプ。
- 請求項3記載の充電ポンプにおいて、補助的で制御可能な電流源が、前記補助的な第1のスイッチング・トランジスタと電圧供給線との間に接続されており、前記補助的で制御可能な電流源は、前記電荷蓄積装置の充電レベルに応答して、自己調整バイアスを前記補助的な第1のスイッチング・トランジスタに提供することを特徴とする充電ポンプ。
- 請求項7記載の充電ポンプにおいて、前記補助的で制御可能な電流源は、前記電荷蓄積装置の充電レベルに応答して自己調整バイアスを前記補助的な第1のスイッチング・トランジスタに提供するバイアス・トランジスタを備えていることを特徴とする充電ポンプ。
- 請求項1記載の充電ポンプにおいて、主たる制御可能な電流源が、前記主たる第1のスイッチング・トランジスタと電圧供給線との間に接続されており、前記主たる制御可能な電流源は、前記補助ポンプ回路の動作に応答することを特徴とする充電ポンプ。
- 請求項8記載の充電ポンプにおいて、主たる制御可能な電流源が、前記主たる第1のスイッチング・トランジスタと電圧供給線との間に接続されており、前記主たる制御可能な電流源は、前記電荷蓄積装置の充電レベルに応答して自己調整バイアスを前記主たる第1のスイッチング・トランジスタに提供するバイアス・トランジスタを備えていることを特徴とする充電ポンプ。
- 主たる第1及び第2のスイッチング・トランジスタを有する主たるポンプ回路と、
補助ポンプ回路と、
別の主たる第1及び第2のスイッチング・トランジスタを有する別の主たるポンプ回路と、
を備えており、前記補助ポンプ回路の動作に応答して可変バイアスを前記主たる第1のスイッチング・トランジスタと前記別の主たる第1のスイッチング・トランジスタとに少なくとも提供するように構成されていることを特徴とする充電ポンプ。 - 請求項9記載の充電ポンプにおいて、
別の主たる第1及び第2のスイッチング・トランジスタを有する別の主たるポンプ回路と、前記別の主たる第1のスイッチング・トランジスタと電圧供給線との間に接続された別の主たる制御可能な電流源と、
を備えており、前記別の主たる制御可能な電流源は、前記補助ポンプ回路の動作に応答することを特徴とする充電ポンプ。 - 請求項10記載の充電ポンプにおいて、
別の主たる第1及び第2のスイッチング・トランジスタを有する別の主たるポンプ回路と、
前記別の主たる第1のスイッチング・トランジスタと電圧供給線との間に接続された別の主たる制御可能な電流源と、
を備えており、前記別の主たる制御可能な電流源は、前記電荷蓄積装置の充電レベルに応答して自己調整バイアスを前記別の主たる第1のスイッチング・トランジスタに提供するバイアス・トランジスタを備えていることを特徴とする充電ポンプ。 - 請求項1記載の充電ポンプにおいて、前記第1のスイッチング・トランジスタはPMOSトランジスタであることを特徴とする充電ポンプ。
- 請求項1記載の充電ポンプにおいて、前記第2のスイッチング・トランジスタはNMOSトランジスタであることを特徴とする充電ポンプ。
- 請求項1記載の充電ポンプにおいて、前記補助ポンプ回路は、この充電ポンプの最大動作周波数で動作可能であるように構成されていることを特徴とする充電ポンプ。
- 充電ポンプであって、
主たる第1及び第2のスイッチング・トランジスタを有する主たるポンプ回路と、
この充電ポンプの最大動作周波数で動作可能であるように構成されている補助ポンプ回路と、
を備え、この充電ポンプは、前記補助ポンプ回路の動作に応答して少なくとも前記主たる第1のスイッチング・トランジスタに可変バイアスを提供するように構成され、
前記補助ポンプ回路の補助的な第1及び第2のスイッチング・トランジスタのゲートは、それぞれが、前記最大動作周波数に対応するクロック周波数によって駆動されることを特徴とする充電ポンプ。 - 請求項1記載の充電ポンプにおいて、前記主たるポンプ回路と前記補助ポンプ回路とはそれぞれが実質的に同じ幾何学的構造を有することを特徴とする充電ポンプ。
- 請求項1記載の充電ポンプにおいて、前記主たるポンプ回路に接続された電流ミラー基準回路を更に備えていることを特徴とする充電ポンプ。
- 請求項1記載の充電ポンプを備えていることを特徴とする位相ロック・ループ。
- 請求項1記載の充電ポンプを備えていることを特徴とする集積回路。
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