JP4123602B2 - 防火合わせガラス - Google Patents

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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
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    • C03C27/00Joining pieces of glass to pieces of other inorganic material; Joining glass to glass other than by fusing
    • C03C27/06Joining glass to glass by processes other than fusing
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明の防火合わせガラスは、建設省告示1125号による防火戸の試験時や、火災発生時にガラスが割れをなくして防火性能を発揮できる他、平常時にはJIS R3205に規定される合わせガラスとしての安全性能をも発揮できる防火合わせガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、防火戸に用いられる防火ガラスとしては、網入りガラスのほか、ホウケイ酸ガラスを特殊面取りした後に熱処理した低膨張防火ガラス、一般建築用ソーダライムガラスを特殊面取りした後に一般建築用の強化ガラスよりも高い表面圧縮応力を付与してなる耐熱強化ガラスや耐熱性結晶化ガラス等がある。
また、外力の作用によって破損することがあっても破片の大部分が飛び散らないようにした合わせガラスとして、複数枚のガラス板をポリビニルブチラールフィルムを用いて接着させたものが一般的に用いられている。
【0003】
一方、最近は、防火ガラスとしての性能と合わせガラスとしての性能を兼ね備えた防火安全ガラスが提案(特開平8−132560)されている。しかし、2枚の防火性ガラス板相互をテトラフルオロエチレン(以下、TFEという)/ヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPという)/フッ化ビニリデン(以下、VDFという)共重合体よりなるフッ素樹脂フィルムを介在させ一体に接合した防火安全ガラスは、建設省告示1125号による防火試験中に上記フッ素樹脂が発火する不都合があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ガラス板とフッ素樹脂フィルムとの接合力を強化し、建設省告示1125号による防火試験や、JIS R3205による耐衝撃試験やショットバッグ試験に、合格しうる防火合わせガラスを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、対面配置される複数枚の透明ガラス板相互が、架橋構造を有する含フッ素共重合体よりなるフッ素樹脂フィルムを介して一体に接合されてなり、前記透明ガラス板の少なくとも一枚が防火ガラス板であり、前記含フッ素共重合体が、テトラフルオロエチレン/プロピレン/1,4−ブタンジオールジビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/プロピレン/1,4−ブタンジオールジビニルエーテル共重合体、またはテトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/プロピレン/イソブチレン/1,4−ブタンジオールジビニルエーテル共重合体である防火合わせガラスを提供する
【0006】
本発明における防火性ガラスとしては、網入りガラス、ホウケイ酸ガラスを特殊面取りした後熱処理した低膨張防火ガラス、一般に建築に用いられるソーダライムガラスを特殊面取りした後一般に建築に用いられる強化ガラスよりも高い表面圧縮応力を付与してなる耐熱強化ガラス、耐熱性結晶化ガラス等が使用できる。
【0007】
一般に、樹脂材料はその分解温度に達すると樹脂材料は徐々に低分子物質に熱分解する。揮発性物質にまで分解すると、生成する揮発性物質が着火し、発火する。一方、樹脂材料は熱分解するとともに架橋反応や環化反応を起こして炭化することがあり、また分解生成物が生成してもそれが揮発しにくい場合には着火しにくい。熱分解時に架橋反応や環化反応を起こしやすい、または炭化しやすい分子構造の樹脂材料は、熱分解による揮発性物質の生成が抑制され、難燃性を有することは既知の事実である。
【0008】
本発明において、ガラス板を接合するために用いられる樹脂材料として、難燃性、耐熱性等に優れ、架橋構造を含有する含フッ素共重合体よりなるフッ素樹脂を用いる。この含フッ素共重合体は、一部の重合単位が架橋しているため熱分解時に揮発性物質にまで分解されにくく、フッ素樹脂フィルムの炭化が促進するものと考えられる。
【0013】
本発明における含フッ素共重合体は、TFE/プロピレン/1,4−ブタンジオールジビニルエーテル共重合体、TFE/VDF/プロピレン/1,4−ブタンジオールジビニルエーテル共重合体、またはTFE/VDF/プロピレン/イソブチレン/1,4−ブタンジオールジビニルエーテル共重合体である
【0014】
1,4−ブタンジオールジビニルエーテルに基づく重合単位を除いた含フッ素共重合体中、TFEに基づく重合単位/プロピレンに基づく重合単位/他のモノマーに基づく重合単位は40〜80/5〜40/0〜50(モル%)であることが好ましい。なお、他のモノマーに基づく重合単位は、1種のモノマーに基づく重合単位または2種以上のモノマーに基づく重合単位の合計である。
【0015】
含フッ素共重合体中の架橋構造を有する重合単位の割合は、共重合体をテトラヒドロフランに入れ10時間煮沸し、残存する不溶物重量のテトラヒドロフラン煮沸前の共重合体重量に対する割合によって評価できる。
含フッ素共重合体中の架橋構造を有する重合単位の割合は、10〜30重量%が好ましい。少なすぎると難燃性付与いう所期の目的を達成できにくく、多すぎると含フッ素共重合体の容量流速が小さくなり加工性が低下する。
【0016】
本発明におけるフッ素樹脂フィルムの厚さは50〜500μmが好ましい。薄すぎると合わせガラスとしての機能が低く、厚すぎるとガラス板とフィルムの加圧による接合力が向上しにくく、防火合わせガラスの透明性も低下しやすい。
【0017】
本発明において、ガラス板とフッ素樹脂フィルムとの間に、相互の接合力を強化、向上させるためシランカップリング剤を介在させることが好ましい。なお、シランカップリング剤として、アミン系、その他の接着強度が向上する化合物によっても目的を達成できるが、外観の透明性を得るためにエポキシ系化合物を用いることが好ましい。
【0018】
【実施例】
[共重合体1]
脱気した撹拌機付きの内容積1リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、脱イオン水615g、t−ブタノール30g、パーフルオロオクタン酸アンモニウム3g、TFE15.5g、VDF11.4g、プロピレン0.8g、イソブチレン1.0g、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル0.05gを仕込み、70℃に昇温した。30%過硫酸アンモニウム水溶液5mlを圧入し、重合を開始した。反応に伴い低下する圧力を補うために、TFE/VDF/プロピレン/イソブチレン組成比が55/25/10/10(モル比)の混合ガスを導入し、圧力17.3kg/cm2 Gにて6時間反応を続けた。
【0019】
反応終了後、未反応モノマーをパージし、共重合体分散液837gを得た。分散液に塩化カリウムを滴下して凝集させ、さらに洗浄、乾燥して共重合体1を115g得た。共重合体1は、組成がTFEに基づく重合単位/VDFに基づく重合単位/プロピレンに基づく重合単位/イソブチレンに基づく重合単位=56.3/23.8/10.2/9.7(モル比)、融点が103℃、容量流速が3.0mm3 /秒であった。また、架橋構造を有する重合単位の割合は16.8重量%であった。
【0020】
なお、各共重合体について、組成はNMRの測定によって求め、容量流速は高化式フローテスターを使用して200℃、7kg荷重下で、直径1mm、長さ2mmのノズルから単位時間に流出する含フッ素共重合体の容量で表される値(mm3 /秒)として求めた。また、含フッ素共重合体中の架橋構造を有する重合単位の割合は、金網(ステンレス鋼製、孔径10μm)に包んだ共重合体をテトラヒドロフラン300mlに入れ10時間煮沸し、金網中に残った不溶物重量のテトラヒドロフラン煮沸前の共重合体重量に対する割合として求めた。
【0021】
[共重合体2]
脱気した撹拌機付きの内容積1リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、脱イオン水635g、パーフルオロオクタン酸アンモニウム5g、TFE15.8g、プロピレン0.3g、VDF11.9g、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル1.5gを仕込み、70℃に昇温した。30%過硫酸アンモニウム水溶液5mlを圧入し、重合を開始した。反応に伴い低下する圧力を補うために、TFE/プロピレン/VDF組成比が45/45/10(モル比)の混合ガスを導入し、圧力16.7kg/cm2 Gにて7.2時間反応を続けた。
【0022】
反応終了後、未反応モノマーをパージし、共重合体分散液818gを得た。分散液に塩化アンモニウムを滴下して凝集させ、さらに洗浄、乾燥して共重合体2を137g得た。共重合体2は、組成がTFEに基づく重合単位/プロピレンに基づく重合単位/VDFに基づく重合単位=46.8/10.3/42.9(モル比)、融点が118℃、容量流速が4.9mm3 /秒、架橋構造を有する重合単位の割合が22.7重量%であった。
【0023】
[共重合体3]
脱気した撹拌機付きの内容積1リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、脱イオン水610g、パーフルオロオクタン酸アンモニウム3.6g、リン酸水素二ナトリウム12水和物14.8g、水酸化ナトリウム1.59g、過硫酸アンモニウム3g、硫酸鉄0.11g、エチレンジアミン四酢酸0.10g、2−ブタノール1.8gを仕込み、次にTFE52.3g、プロピレン1.2g、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル0.8gを仕込み、25℃に保持した。水10mlに対し水酸化ナトリウム1.76gとロンガリット0.29gとを溶解した溶液2mlを圧入し重合を開始した。反応に伴い低下する圧力を補うためにTFE/プロピレン組成比が75/25(モル比)の混合ガスを導入し、圧力20.3kg/cm2 Gにて11時間反応を続けた。
【0024】
反応終了後、未反応モノマーをパージし、共重合体分散液827gを得た。分散液に塩化カリウムを滴下して凝集させ、さらに洗浄、乾燥して共重合体3を174g得た。共重合体3は、組成がTFEに基づく重合単位/プロピレンに基づく重合単位=73.9/26.4(モル比)、融点が147℃、容量流速が6.4mm3 /秒、架橋構造を有する重合単位の割合が28.9重量%であった。
【0025】
[共重合体4]
脱気した撹拌機付きの内容積1リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、脱イオン水635g、パーフルオロオクタン酸アンモニウム5g、TFE7.0g、HFP36.8g、VDF2.2gを仕込み、70℃に昇温した。10%過硫酸アンモニウム水溶液5mlを圧入し、重合を開始した。反応に伴い低下する圧力を補うために、TFE/HFP/VDF組成比が40/10/50(モル比)の混合ガスを導入し、圧力14.8kg/cm2 Gにて6.3時間反応を続けた。
【0026】
反応終了後、未反応モノマーをパージし、共重合体分散液863gを得た。分散液に塩化アンモニウムを滴下して凝集させ、さらに洗浄、乾燥して共重合体4を149g得た。共重合体4は、組成がTFEに基づく重合単位/HFPに基づく重合単位/VDFに基づく重合単位=41.2/11.3/47.5(モル比)、融点が123℃、容量流速が13.7mm3 /秒、架橋構造を有する重合単位の割合が0.1重量%であった。
【0027】
架橋構造を有さない共重合体4はほとんど不溶物を含まなかったことから、共重合体1、2および3の不溶物は架橋構造を有する重合単位に相当すると推測される。
【0028】
[例1]
1200×1700mmの寸法で板厚が6.8mmの網入りガラス板(ヒシワイヤ、旭硝子製)と同寸法で板厚が5mmのフロートガラス板(旭硝子製)との間に、共重合体1を押出成形して得た厚さ250μmのフィルムを挟み、140℃で加圧接着して防火合わせガラスを得た。
【0029】
この防火合わせガラスついて、建設省告示1125号による乙種防火戸試験を網入りガラス面を加熱面として実施したところ、発炎が非加熱面に確認されず合格であった。また、上記防火合わせガラスについてJIS R3205に規定されている試験を実施したところ、外観、反り、ショットバッグ試験、落球衝撃試験、耐熱試験、耐光試験に合格であった。
【0030】
[例2]
共重合体1を押出成形して得た厚さ250μmのフィルムのかわりに、共重合体2を押出成形して得た厚さ220μmのフィルムを用いた他は例1と同様にして防火合わせガラス得た。
この防火合わせガラスについて例1と同じ試験を実施したところ、発炎が非加熱面に確認されず合格であった。所定寸法のガラスを製作し、JIS R3205に規定されている試験を実施したところ、外観、反り、ショットバッグ試験、落球衝撃試験、耐熱試験、耐光試験に合格であった。
【0031】
[例3]
共重合体1を押出成形して得た厚さ250μmのフィルムのかわりに、共重合体3を押出成形して得た厚さ200μmのフィルムを用いた他は例1と同様にして防火合わせガラス得た。
この防火合わせガラスについて例1と同じ試験を実施したところ、発炎が非加熱面に確認されず合格であった。所定寸法のガラスを製作し、JIS R3205に規定されている試験を実施したところ、外観、反り、ショットバッグ試験、落球衝撃試験、耐熱試験、耐光試験に合格であった。
【0032】
[例4(比較例)]
共重合体1を押出成形して得た厚さ250μmのフィルムのかわりに、共重合体4を押出成形して得た厚さ250μmのフィルムを用いた他は例1と同様にして防火合わせガラスを得た。
この防火合わせガラスについて例1と同じ試験を実施したところ、試験開始13分でフィルムとフロートガラスが剥離し、15分にフィルムによる発炎が非加熱面に確認され不合格となった。
【0033】
【発明の効果】
本発明の防火合わせガラスは、建設省告示1125号による防火戸の試験時、または、火災発生時にガラスが割れずに防火性能を発揮できる他、平常時にはJIS R3205に規定される合わせガラスとしての安全性能をも発揮できる。

Claims (1)

  1. 対面配置される複数枚の透明ガラス板相互が、架橋構造を有する含フッ素共重合体よりなるフッ素樹脂フィルムを介して一体に接合されてなり、前記透明ガラス板の少なくとも一枚が防火ガラス板であり、前記含フッ素共重合体が、テトラフルオロエチレン/プロピレン/1,4−ブタンジオールジビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/プロピレン/1,4−ブタンジオールジビニルエーテル共重合体、またはテトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/プロピレン/イソブチレン/1,4−ブタンジオールジビニルエーテル共重合体である防火合わせガラス。
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