JP4123200B2 - オーミック電極の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、III族元素としてガリウム,アルミニウム,ホウ素およびインジウムからなる群のうちの少なくとも1種と窒素とを含むp型化合物半導体層に対するオーミック電極の形成方法に関する。
GaN,AlGaN,InGaNまたはBAlGaInNなどの窒化物系III−V族半導体は、バンドギャップEgを1.8eVから6.2eVまで変化させることができることから、赤色ないし紫外線を発光可能な発光素子を構成する材料として有望視されている。また、ワイドギャップ半導体の性質を利用した耐環境素子としてのFET(Field Effect Transistor ;電界効果トランジスタ)を構成する材料としても注目されている。
これらの素子においては、安定した動作を確保する上でオーミック電極に関する技術がきわめて重要となる。例えば、p型のGaN層に対するオーミック電極としては、従来、ニッケル(Ni)と金(Au)とを積層したものが用いられていた(特許文献1参照)。
特開平6−275868号公報
しかしながら、従来のオーミック電極では、接触比抵抗の値が1×10-2Ωcm2 程度であり、他の一般的な半導体素子のオーミック電極における接触比抵抗の値(例えば、p型のGaAs層に対するオーミック電極においては1×10-5Ωcm2 程度)に比べてかなり大きいものであった。その上、従来のオーミック電極は、400℃以上の温度においてアニールすると接触比抵抗の値が大きくなってしまうという特性を有していた。そのため、これらの素子の駆動時に半導体層と金属層との接触部において発生するジュール熱や雰囲気温度の上昇により接触比抵抗の値が大きくなってしまい、素子特性が劣化してしまうという問題があった。
なお、p型のGaN層に対するオーミック電極における接触比抵抗の値が他の一般的な半導体素子のオーミック電極における接触比抵抗の値に比べて大きいのは、GaNの価電子帯の頂上と真空準位とのエネルギー差EV −φV (7.8eVatRT)が電極を構成する金属の仕事関数φ(例えば金は5.2eV)に比べて大きいために半導体層と金属層との界面に正孔に対する大きな障壁ができてしまうからであると考えられる。
また、従来のオーミック電極において高温のアニールにより接触比抵抗の値が大きくなるのは、アニールにより金がGaN層へ拡散することが原因の一つであると考えられる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、接触比抵抗が小さく、かつ熱的安定性が高く、素子を長期間に渡って安定動作させることができるオーミック電極の形成方法を提供することにある。
本発明に係るオーミック電極の形成方法は、III族元素としてガリウム,アルミニウム,ホウ素およびインジウムからなる群のうちの少なくとも1種と窒素とを含むp型化合物半導体層に対するオーミック電極を形成するものであって、p型化合物半導体層の上に、III族元素としてガリウム,アルミニウム,ホウ素およびインジウムからなる群のうちの少なくとも1種と窒素とを含むp型化合物半導体よりなるコンタクト層を形成する工程と、コンタクト層の上に、金および白金以外の遷移金属元素のうちの少なくとも1種を含む遷移金属層を形成し、その上に白金よりなる白金層を形成し、更にその上に金よりなる金層を形成する工程と、遷移金属層と白金層と金層とをそれぞれ形成したのちアニールすることにより、金と、白金と、金および白金以外の遷移金属元素のうちの少なくとも1種とを含む複合体よりなる電極層を形成する工程とを含むものである。
このようにして形成されたオーミック電極では、電極層を介してp型化合物半導体層に配線を接続する。この配線および電極層を介してp型化合物半導体層に電圧を印加すると正孔が電極層からp型化合物半導体層に注入される。ここにおいて、電極層とp型化合物半導体層との間では、電極層が金と白金と金および白金以外の遷移金属元素のうちの少なくとも1種とを含む複合体により形成されているので、正孔に対する障壁が小さくなり、接触比抵抗の値が小さくなる。
なお、本発明のオーミック電極の形成方法では、p型化合物半導体層の上に遷移金属層と白金層と金層とを順次形成したのちにアニールを行うが、このアニール処理により遷移金属層,白金層および金層のうちの一部において反応が起こり、遷移金属含有層,白金含有層および金含有層となる場合もある。このとき、白金含有層は金がp型化合物半導体層の方に拡散するのを防止し、また、遷移金属含有層は白金含有層をp型化合物半導体層に密着させる。
本発明に係るオーミック電極の形成方法によれば、p型化合物半導体層の上にコンタクト層を形成したのち、このコンタクト層上に遷移金属層,白金層,金層を順次形成し、そののちにアニール処理を施すことにより、金と、白金と、金および白金以外の遷移金属元素のうちの少なくとも1種とを含む複合体よりなる電極層を形成するようにしたので、白金層により金がp型化合物半導体層の方に拡散するのを防止しつつ、遷移金属層により白金層をp型化合物半導体層に密着させることができる。よって、接触比抵抗の値が小さく、熱的安定性の高いオーミック電極を得ることができ、素子を長期間に渡って安定動作させることが可能になる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係るオーミック電極の構成を表すものである。このオーミック電極は、III族元素としてガリウム(Ga),アルミニウム(Al),ホウ素(B)およびインジウム(In)からなる群のうちの少なくとも1種と窒素(N)とを含むp型化合物半導体層(例えばp型のGaN層)1に対してオーミック接触するためのものである。なお、このp型化合物半導体層1は、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition )法によって図示しない基板の上に形成されている。
このオーミック電極は、p型化合物半導体層1の上に形成されたコンタクト層2と、このコンタクト層2の上に形成された電極層3とから構成されている。
コンタクト層2は、成長時に水素ガス(H2 )を用いないMBE法により成長させたp型化合物半導体により形成されている。このp型化合物半導体は、III族元素としてガリウム,アルミニウム,ホウ素およびインジウムからなる群のうちの少なくとも1種と窒素とを含むものであり、p型化合物半導体層1の構成元素と同一となっている。例えば、p型化合物半導体層1がp型不純物としてマグネシウム(Mg)を添加したGaNにより形成されている場合には、コンタクト層2もp型不純物としてマグネシウムを添加したGaNにより形成される。
但し、コンタクト層2は成長時に水素ガスを用いないMBE法により形成されたものであるので水素(H)を含有していない。この点において、水素ガスを一般にキャリヤガスとして用いるMOCVD法により形成されたp型化合物半導体層1が水素を含有しているのとは異なる。p型の窒化物系III−V族半導体では水素が取り込まれるとアクセプタが補償されてしまうので、MOCVD法により形成した場合、形成した直後は抵抗値が大きく、電子線照射や熱アニールなどのキャリア活性化処理を行う必要がある(キャリア活性化処理についてはH. Amano et al., Jpn.J.Appl.Phys.28 (1989) L2112. ,S. Nakamura et al., Jpn.J.Appl.Phys. 31 (1992) L139.を参照)。従って、p型化合物半導体層1は、このようなキャリア活性化処理を行うことにより、はじめて1×1017〜1×1018cm-3程度の正孔濃度となる。
一方、MBE法においては一般に水素ガスを用いないので、MBE法により形成した場合にはキャリア活性化処理を行う必要がなく、正孔濃度もMOCVD法により形成した場合よりも高い1×1019cm-3程度の値が得られる(M.S. Brandt et al., Aool.Phys.Lett. 64 (1994) 2264. 参照)。本実施の形態におけるコンタクト層2も、p型化合物半導体層1に比べて高い正孔濃度(1×1019cm-3程度)を有している。
このように本実施の形態においては、p型化合物半導体層1よりも高い正孔濃度を有するコンタクト層2をp型化合物半導体層1と電極層3との間に設けることにより、接触比抵抗を小さくするようになっている。すなわち、電極層3からp型化合物半導体層1に流れる電流は主としてトンネル電流であることから、正孔濃度の高いコンタクト層2を介してp型化合物半導体層1と電極層3とを接続することによりその間の障壁を小さくしトンネル電流を流しやすくしているものである。
電極層3は、金と、白金(Pt)と、金および白金以外の遷移金属元素のうちの少なくとも1種とを含む複合体により形成されている。この複合体としては、例えば、金および白金以外の遷移金属元素のうちの少なくとも1種を含む遷移金属層3aと、白金よりなる白金層3bと、金よりなる金層3cとがp型化合物半導体層1の側から順に積層された構造を有するものや、これらの遷移金属層3a,白金層3b,金層3cを順次積層したのちアニールしたものが好ましい。
なお、遷移金属層3a,白金層3bおよび金層3cは、アニールすることによりそれらの各層のうちの一部が反応すると考えられる。よって、ここでは、アニールした後の各層を、図示しないが金および白金以外の遷移金属元素のうちの少なくとも1種を含む遷移金属含有層,白金を含む白金含有層,金を含む金含有層として説明する。ちなみに、これら遷移金属含有層,白金含有層,金含有層は互いに反応が起こっていることもあるので、それぞれを明確に分離できるものではない。
遷移金属層3aは、例えばニッケルやパラジウム(Pd)やコバルト(Co)やチタン(Ti)やモリブデン(Mo)により形成されている。同様に、遷移金属含有層は、例えばニッケルやパラジウムやコバルトやチタンやモリブデンを含んでいる。これらの遷移金属層3aもしくは遷移金属含有層は、ニッケルなどの遷移元素が窒素と容易に反応して侵入型窒化物を形成するという特性を利用して、コンタクト層2と白金層3bもしくは白金含有層とを強く密着させ、これらの間に存在する正孔に対する障壁を小さくするようになっている。従って、遷移金属層3aの厚さは、例えば10nm程度と白金層3bや金層3cに比べて薄いものである。
また、ニッケルやパラジウムを遷移金属層3aもしくは遷移金属含有層に用いる場合には、ニッケルやパラジウムの仕事関数φは比較的大きいので、コンタクト層2の価電子帯との不連続を小さくすることができて好ましい。更に、パラジウムは水素を吸着する性質を有しているので、コンタクト層2を介さずにp型化合物半導体層1と電極層3とを直接接触させる場合には、p型化合物半導体層1の表面の水素を吸着して表面の正孔濃度を高くすることができて好ましい。
白金層3bもしくは白金含有層は、白金が高融点金属であることを利用して、温度の上昇により金がコンタクト層2へ拡散するのを抑制するためのものである。また、白金は伝導率の高い金属の中で最も大きな仕事関数φ(5.7eV;金の仕事関数5.2eVよりも大きい)を有しているので、コンタクト層2(すなわちP型化合物半導体)の価電子帯との不連続を最小限に抑えるようになっている。なお、白金層3bの厚さは例えば100nm程度である。
金層3cもしくは金含有層は、例えば金よりなる図示しない配線をボンディングにより電極層3に接合するためのものである。なお、金層3cの厚さは例えば200nm程度である。
このような構成を有するオーミック電極は次のようにして形成することができる。
まず、MOCVD法により形成され適宜なキャリア活性化処理がなされたp型化合物半導体層1の上に、MBE法によりp型化合物半導体層1と同一の構成元素のp型化合物半導体を成長させる。なお、このMBE法による成長においては水素ガスを用いないで行う。これにより、コンタクト層2が形成される。
次いで、このコンタクト層2の上に、金および白金以外の遷移金属を例えば10nm蒸着して遷移金属層3aを形成する。そののち、この遷移金属層3aの上に、白金を例えば100nm蒸着して白金層3bを形成する。更に、この白金層3bの上に、金を例えば200nm蒸着して金層3cを形成する。これにより、遷移金属層3aと白金層3bと金層3cとを順次積層した電極層3が形成される。
また、これらの各層を形成したのち、更にアニールを行ってもよい。これにより、遷移金属層3a,白金層3b,金層3cの各層は、それらのうちの一部が反応した遷移金属含有層,白金含有層,金含有層となる。
次に、上記オーミック電極の作用について説明する。
このオーミック電極では、コンタクト層2と電極層3を介してp型化合物半導体層1に配線を接続する。この配線および電極層3を介してp型化合物半導体層1に所定の電圧を印加すると正孔が電極層3からコンタクト層2を介してp型化合物半導体層1に注入される。すなわち、電流が電極層3からp型化合物半導体層1へ流れる。
ここにおいて、コンタクト層2と電極層3との界面では、コンタクト層2がp型化合物半導体層1よりも高い正孔濃度を有しているので、トンネル電流が流れやすくなっている。また、電極層3の遷移金属層3aもしくは遷移金属含有層によりコンタクト層2と白金層3bもしくは白金含有層とを強く密着させているので、正孔に対する障壁が小さくなっている。更に、白金層3bもしくは白金含有層を薄い遷移金属層3aもしくは遷移金属含有層を介してコンタクト層2に接続しているので、コンタクト層2の価電子帯との不連続が小さくなっている。すなわち、接触比抵抗は小さくなっている。
加えて、金層3cもしくは金含有層とコンタクト層2との間に白金層3bもしくは白金含有層を挿入しているので、電圧の印加によりジュール熱が発生し温度が高くなっったり雰囲気温度が上昇しても金がコンタクト層2の方へ拡散するのを抑制する。よって、温度が高くなっても接触比抵抗が大きくなることが抑制される。
このように本実施の形態に係るオーミック電極によれば、コンタクト層2,遷移金属層3aもしくは遷移金属含有層および白金層3bもしくは白金含有層をp型化合物半導体層1の側から順に備えているので、接触比抵抗の値を小さくすることができる。また、遷移金属層3aもしくは遷移金属含有層および白金層3bもしくは白金含有層をp型化合物半導体層1の側から順に備えているので、熱的安定性を高くすることができる。よって、素子を長期間に渡って安定動作させることができる。
また、本実施の形態に係るオーミック電極の形成方法によれば、遷移金属含有層3a,白金層3b,金層3cを順次積層したのちアニールするようにしたので、白金層3bにより金がp型化合物半導体層1の方に拡散するのを防止しつつ、遷移金属層3aにより白金層3bをp型化合物半導体層1に密着させることができる。よって、本実施の形態に係るオーミック電極を実現することができる。
更に、具体的な実施例を挙げて本発明の効果を説明する。
(第1の実施例)
図2は第1の実施例において作製した試料の電極層13側から見た構成を表すものである。図3は図2に示した試料のA−A線に沿った断面構造を表すものである。なお、図2においては電極層13とp型化合物半導体層11とを区別するために電極層13の部分を斜線で表している。
この実施例では、まず、適宜なサファイア基板10の上にp型化合物半導体層11を形成したものを用意した。なお、このp型化合物半導体層11は、p型の不純物としてマグネシウムを添加したGaNをMOCVD成長により成長させて形成したものであり、成長させたのちに窒素ガス雰囲気中で800℃,10分間アニールしてキャリア活性化を行っってある。このp型化合物半導体層11の正孔濃度は4×1017cm-3であり、厚さは約2μmである。
次いで、電極層13を形成するに先立ち、このp型化合物半導体層11の上に図示しないフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィによって図3に示した電極層13の形状に対応するパターンを形成した。このパターンは、電極層13の一部を環状に除去して第1の電極14aに対する電極間の距離が異なる複数の第2の電極14bを形成するためのものである。そののち、p型化合物半導体の表面酸化膜をフッ化アンモニウムとフッ酸(HF)との混合液で除去したのち、さらに純水で洗浄した。
続いて、これを蒸着機に挿入し、1×10-4Pa程度の真空中でニッケルを10nm,白金を100nm,金を200nm続けて蒸着することにより、遷移金属層13aと白金層13bと金層13cとを積層した電極層13を形成した。そののち、図示しないフォトレジスト膜をその上に形成された遷移元素層13a,白金層13b,金層13cと共に除去し、図2および図3に示したように電極間の距離が4μm〜36μmの第1の電極14aと複数の第2の電極14bが形成された試料を作製した。
このようにして試料を作製したのち、各電極間の抵抗値をそれぞれ測定した。そののち、この試料を窒素ガス雰囲気中でアニールし、各電極間の抵抗値の変化をそれぞれ測定した。アニール温度は、200℃,300℃,400℃,500℃,600℃,700℃,800℃においてそれぞれ行った。アニール時間は、それぞれ30秒間とした。
電極間距離が24μmのものについての結果を従来例と比較して図4に示す。なお、従来例というのは、本実施例の白金層13bを除去し遷移金属層13aとしてNiを用いたものである。また、参照例としてp型化合物半導体層11の上にコバルト層のみを形成したものについても参照例として図4に示した。
ちなみに、ここにおける抵抗値は接触抵抗値とp型化合物半導体層11の抵抗値とを加えたものである。しかし、アニールをp型化合物半導体層11におけるキャリア活性化の際のアニール温度(800℃)以下で行っているので、p型化合物半導体層11の抵抗値の変化量は小さいものと考えられる。また、金属の拡散によって起こるp型化合物半導体層11の表面の変化は接触抵抗値の変化として考える。よって、図4に示した抵抗値の変化は接触比抵抗の変化と同視することができる。
図4からわかるように、従来例ではアニールする前の抵抗値が一番小さかった。すなわち、従来例はアニールにより接触比抵抗が大きくなると考えられる。これに対して本実施例では、アニールすることで一時的に抵抗値が大きくなるが、700℃のアニールにより抵抗値が一番小さくなった。更に、800℃でアニールすると再び抵抗値が大きくなった。また、従来例のアニールする前の抵抗値と本実施例のアニールする前の抵抗値とでは本実施例の方が小さく、従来例で一番小さい抵抗値(アニールする前のもの)と本実施例で一番小さい抵抗値(700℃でアニールしたもの)とでも本実施例の方が小さかった。
また、700℃でアニールした時の接触比抵抗の値を見積もったところ、図5に示したように、3.2×10-2Ωcm2 と比較的小さい値であった。なお、接触比抵抗の見積もり方については、"G.S.Marlow et al., Solid State Electronics 25 (1982) 91" に示されている方法を用いた。ちなみに、この時のp型化合物半導体層11のシート抵抗値は14900Ω/□であった。
従って、本実施例によれば、ニッケルよりなる遷移金属層13aと白金層13bと金層13cとを順次積層した電極層13により、接触比抵抗の値を小さくすることができることがわかった。特に、700℃でアニールすれば、熱的安定性も高くできることがわかった。
(第2の実施例)
第2の実施例では、第1の実施例の遷移金属層13aをパラジウムにより形成したことを除き、他は第1の実施例と同様にして試料を作製した。そののち、第1の実施例と同様にして、アニールによる抵抗値の変化を調べた。なお、第1の実施例と比較するために、サファイア基板10の上に形成したp型化合物半導体層11は、第1の実施例と同一のウェハから切り出したものを用いた。
電極間距離が24μmのものについての結果を第1の実施例と同様に図4に示す。図4からわかるように、本実施例では、800℃のアニールにより抵抗値は小さくなるが、アニールする前の抵抗値が一番小さかった。また、従来例のアニールする前の抵抗値と本実施例のアニールする前の抵抗値とでは本実施例の方が小さかった。
従って、本実施例によれば、パラジウムよりなる遷移金属層13aと白金層13bと金層13cとを順次積層した電極層13により、接触比抵抗の値を小さくすることができることがわかった。
(第3の実施例)
第3の実施例では、第1の実施例の遷移金属層13aをコバルトにより形成したことを除き、他は第1の実施例と同様にして試料を作製した。そののち、第1の実施例と同様にして、アニールによる抵抗値の変化を調べた。なお、第1の実施例と比較するために、サファイア基板10の上に形成したp型化合物半導体層11は、第1の実施例と同一のウェハから切り出したものを用いた。
電極間距離が24μmのものについての結果を第1の実施例と同様に図4に示す。図4からわかるように、本実施例では、アニール前の抵抗値は比較的大きかったが、700℃のアニールにより抵抗値が一番小さくなった。また、従来例で一番小さい抵抗値(アニールする前のもの)と本実施例で一番小さい抵抗値(700℃でアニールしたもの)とでは本実施例の方が小さかった。
従って、本実施例によれば、コバルトよりなる遷移金属層13aと白金層13bと金層13cとを順次積層した電極層13を700℃でアニールすることにより、接触比抵抗の値を小さくすることができ、かつ熱的安定性も高くできることがわかった。
(第4の実施例)
第4の実施例では、第1の実施例の遷移金属層13aをチタンにより形成したことを除き、他は第1の実施例と同様にして試料を作製した。そののち、第1の実施例と同様にして、アニールによる抵抗値の変化を調べた。なお、第1の実施例と比較するために、サファイア基板10の上に形成したp型化合物半導体層11は、第1の実施例と同一のウェハから切り出したものを用いた。
電極間距離が24μmのものについての結果を第1の実施例と同様に図4に示す。図4からわかるように、本実施例では、アニール前の抵抗値は比較的大きかったが、800℃のアニールにより抵抗値が一番小さくなった。また、従来例で一番小さい抵抗値(アニールする前のもの)と本実施例で一番小さい抵抗値(800℃でアニールしたもの)とでは本実施例の方が小さかった。
従って、本実施例によれば、チタンよりなる遷移金属層13aと白金層13bと金層13cとを順次積層した電極層13を800℃でアニールすることにより、接触比抵抗の値を小さくすることができ、かつ熱的安定性も高くできることがわかった。
(図5の実施例)
図6は第5の実施例において作成した試料の構成を表すものである。この実施例では、まず、第1の実施例と同様にして、サファイア基板20の上にp型化合物半導体層21を形成したものを用意した。次いで、その表面に形成されている酸化膜をフッ化アンモニウムとフッ酸との混合液で除去し、更に純水で洗浄して乾燥させたのち、これをMBE成長装置の成長室に挿入した。
そののち、基板温度を850℃まで上昇させ、窒素プラズマにより表面を窒化してから、ガリウムビームと窒素プラズマとマグネシウムビームとを照射してGaNを成長させコンタクト層22を形成した。このとき、窒素は、ECR(Electron Cyclotron Resonance)セルまたはRF(Radio Frequency )セルによって励起させた。また、ガリウムのセル温度は900℃とし、マグネシウムのセル温度は200℃〜500℃とした。
このようにしてコンタクト層22を形成したのち、第1の実施例と同様にしてニッケルよりなる遷移金属層23aと白金層23bと金層23cとを順次積層し電極層23を形成した。
このようにして作製した試料について接触比抵抗を測定したところ、10-3Ωcm2 以下であった。すなわち、コンタクト層22をp型化合物半導体層21と電極層23との間に挿入することにより、接触比抵抗の値を小さくすることができることがわかった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態および実施例に限定されるものではなく、その均等の範囲で種々変形可能である。例えば、上記実施の形態においては、コンタクト層2をp型化合物半導体層1と電極層3との間に挿入するようにしたが、第1ないし第4の実施例からもわかるように挿入しなくともよい。
また、上記各実施例においては、遷移金属層13a,23aをニッケルやパラジウムなどの単体で形成するようにしたが、他の金属との合金により形成するようにしてもよい。
本発明の一実施の形態に係るオーミック電極を表す構成図である。 本発明の第1の実施例において作製した試料を電極層側から見た平面図である。 図2に示した試料の構成を表すA−A線に沿った断面図である。 本発明の実施例における電極間の抵抗値とアニール温度との関係を表す特性図である。 図2に示した試料における電極間の抵抗値と電極間距離との関係図である。 本発明の第5の実施例において作製した試料を表す構成図である。
符号の説明
1,11,21…p型化合物半導体層、2,22…コンタクト層、3,13,23…電極層、3a,13a,23a…遷移金属層、3b,13b,23b…白金層、3c,13c,23c…金層、10,20…サファイア基板、14a…第1の電極、14b…第2の電極

Claims (3)

  1. III族元素としてガリウム,アルミニウム,ホウ素およびインジウムからなる群のうちの少なくとも1種と窒素とを含むp型化合物半導体層に対してオーミック電極を形成する方法であって、
    前記p型化合物半導体層の上に、III族元素としてガリウム,アルミニウム,ホウ素およびインジウムからなる群のうちの少なくとも1種と窒素とを含むp型化合物半導体よりなるコンタクト層を形成する工程と、
    前記コンタクト層の上に、金および白金以外の遷移金属元素のうちの少なくとも1種を含む遷移金属層を形成し、その上に白金よりなる白金層を形成し、更にその上に金よりなる金層を形成する工程と、
    前記遷移金属層と前記白金層と前記金層とをそれぞれ形成したのちアニールすることにより、金と、白金と、金および白金以外の遷移金属元素のうちの少なくとも1種とを含む複合体よりなる電極層を形成する工程と
    を有することを特徴とするオーミック電極の形成方法。
  2. 前記遷移金属層をニッケル、パラジウム,コバルト,チタンおよびモリブデンのうちの少なくとも1種により形成する
    ことを特徴とする請求項1記載のオーミック電極の形成方法。
  3. 前記コンタクト層を分子線エピタキシー法により形成する
    ことを特徴とする請求項1記載のオーミック電極の形成方法。
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