JP4122650B2 - エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に装着されるエアバッグ装置に関し、詳しくは、エアバッグとインフレーターとを収納保持するケースと、エアバッグを覆って、エアバッグの膨張時に開く扉部を備えた蓋体と、を可撓性を有した締結部材で連結するエアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のエアバッグ装置では、特開平10−324211号公報等で知られているように、折り畳まれたエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、エアバッグとインフレーターとを収納保持するケースと、折り畳まれたエアバッグを覆って、エアバッグの膨張時に開く扉部を有した蓋体と、を備えて構成されていた。
【0003】
ケースは、上方を開口させた周壁を備え、蓋体は、扉部の周囲で下方へ延びて、ケースの周壁と連結される側壁部を備えていた。側壁部には、略水平方向に貫通する複数の係止孔が形成されていた。ケースには、蓋体側壁部の各係止孔に係止させる係止爪が形成されていた。さらに、ケースは、蓋体の側壁部を外方から覆う押え部材を、備えていた。
【0004】
ケースと蓋体との連結は、各係止孔に係止爪を挿入係止させるように、蓋体の側壁部をケースの周壁に外装し、その側壁部の外表面側に、押え部材を配置させて、押え部材をケースに連結固定することにより、行なっていた。
【0005】
なお、ケースと蓋体との連結は、エアバッグの膨張時に、その圧力を蓋体の扉部に的確に作用させて、扉部を円滑に開かせるために、行なわれていた。そして、係止孔周縁への係止爪の係止は、エアバッグ膨張時に、蓋体がケースの周壁部から上方へ外れないようにするためである。さらに、押え部材は、蓋体の側壁部が、エアバッグ膨張時に、圧力を受けて、係止孔の周縁を係止爪から離脱させないように、すなわち、側壁部がケース周壁から外方へ離れないようにするために、配置されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のケースと蓋体との連結には、押え部材を使用するとともに、押え部材をケース自体に連結するボルト・ナットを使用して、行なっていた。このボルトは、エアバッグをケースに連結させるリテーナに固着されたボルトを利用しているものの、ボルト自体の数が多く、対応するナットと併せて、エアバッグ装置の構成部品点数が増加していた。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、構成部品点数を低減させて、ケース周壁と蓋体側壁部とを連結可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るエアバッグ装置は、折り畳まれたエアバッグと、該エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、前記エアバッグと前記インフレーターとを収納保持するケースと、折り畳まれた前記エアバッグを覆って、前記エアバッグの膨張時に開く扉部を有した蓋体と、を備えて構成されるとともに、
前記ケースが、車両の前後左右に配置される4つの側壁から構成されて、上方を開口させた四角筒形状の周壁を備え、
前記蓋体が、前記扉部の周囲で下方へ延びて、前記ケースの周壁の上部外周面側に配置され、前記ケースの周壁と連結される四角筒形状の側壁部を備えて構成されるエアバッグ装置であって、
前記エアバッグが、膨張用ガスを流入させる長方形形状の開口を備えるとともに、該開口の周縁に、前記ケースを間にして前後左右で対向するように延び、前記側壁部の内側から外側に挿通させて、前後及び左右で対向する端部相互を、前記ケースを包むように前記ケースの下方で締結して、前記ケースに対して前記エアバッグを連結可能な連結片部を備えて構成され、
前記周壁と前記側壁部とが、
前記ケースの前後若しくは左右の少なくとも一方の両側で、上下方向への相対移動を規制するように、前記周壁と前記側壁部とに設けられた相互の係合部を係合させるとともに、
前記ケースを包むように端部相互を締結させる可撓性を有した締結部材により、前記係合部の係合解除を規制可能に、前記係合部の近傍を押えられて、連結される構成とし、
前記周壁の係合部が、前記ケースの前後若しくは左右の少なくとも一方の両側に配置されて、側方の外向き方向へ突出する係止片部、から構成され、
前記側壁部の係合部が、前記各係止片部を前記側壁部の内側から挿入させて係止可能に、略水平方向に貫通する係止孔、から構成され、
前記締結部材が、前記ケースを間にして相互に対向して、前記各係止孔に挿通可能な前記連結片部、から構成され、
前記各係止孔に挿通可能な前記連結片部が、前記係止孔の近傍を押圧可能に、前記係止孔に対して、前記側壁部の内側から挿通されて、前記ケースの下方で、端部相互を締結させることにより、前記エアバッグを前記ケースに連結するとともに、前記周壁と前記側壁部とを連結していることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るエアバッグ装置では、ケース周壁と蓋体側壁部との係合部相互を係合させて、締結部材の端部相互を締結させ、ケースを包むように、係合部の近傍を押えれば、ケース周壁と蓋体側壁部とを連結させることができる。
【0012】
この連結状態では、ケース周壁と蓋体側壁部との係合部相互により、蓋体側壁部が、ケース周壁から上方へ抜けることが防止され、また、締結部材の締結により、係合部の近傍が押えられて、係合部の係合解除が防止されることから、エアバッグの膨張時に、蓋体側壁部がケース周壁から外れることを確実に防止することができる。
【0013】
そして、本発明に係るエアバッグ装置では、ケース周壁と蓋体側壁部との係合部相互の係合と締結部材の締結とによって、ケース周壁と蓋体側壁部とを連結する構成であって、従来のような押え部材や多数のボルト・ナットを使用しないことから、構成部品点数を低減させることができる。
【0014】
したがって、本発明に係るエアバッグ装置では、構成部品点数を低減させて、ケース周壁と蓋体側壁部とを連結することができる。
【0018】
また、本発明のエアバッグ装置では、締結部材が可撓性を有するエアバッグ自体から構成されているため、一層、構成部品点数を低減させることができ、さらに、重量も低減することができる。
【0019】
さらにまた、締結部材を構成するエアバッグの各連結片部を、係止孔の近傍を押圧可能に、係止孔に対して、側壁部の内側から挿通させて、ケースの下方で、端部相互を締結させることにより、周壁と側壁部とを連結している。
【0020】
すなわち、周壁と側壁部との連結時に、エアバッグの各連結片部が、ケースの下方で、端部相互を連結しているため、エアバッグ自体が、ケースの下方を包むように、ケースに対して連結されることとなって、エアバッグ単独でのケースへの連結作業が不要となり、エアバッグ装置の組付工数を低減させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
第1実施形態のエアバッグ装置M1は、図1・2に示すように、助手席前方のインストルメントパネル(以下、インパネと略す)Pの部位に配設されるものであり、折り畳まれたエアバッグ1と、エアバッグ1に膨張用ガスを供給するインフレーター4と、エアバッグ1・インフレーター4を保持するケース7と、折り畳まれたエアバッグ1を覆う蓋体19と、ケース7と蓋体19とを連結する締結部材25と、を備えて構成されている。
【0023】
エアバッグ1は、ポリエステル糸やポリアミド糸等の可撓性を有した織布から袋状に形成されており、下部には、長方形形状に開口した開口1aが設けられている。開口1aの周縁1bには、図1・2・4に示すように、ケース7の後述する連結部13の棒部13bをくるみ、縫合糸2で縫合してケース7に連結する複数の取付片部1cが形成されている。なお、エアバッグ1の内周面側には、耐熱性を向上させるために、必要により、シリコン等の耐熱性コーティング層が設けられている。
【0024】
インフレーター4は、図1・2に示すように、ガス吐出口4bを有した円柱状の本体4aと、本体4aの一方の端部に配置されて本体4aより大径のフランジ部4cと、本体4aの他方の端部に配置されたボルト部4dと、を備えて構成されている。
【0025】
ケース7は、図1・2に示すように、板金製として、車両の前後左右に配置される4つの側壁8a・8b・8c・8bから構成されて上方を開口させた四角筒形状の周壁8と、周壁8の下部を塞ぐ底壁14と、から構成されている。各側壁8a・8b・8c・8dの上部には、周壁8の上部側を広くするように、段差12が形成され、段差12の上面側に、折り畳んだエアバッグ1が収納されることとなる。
【0026】
また、各側壁8a・8b・8c・8dの上端には、図3に示すように、上縁に沿って横方向に形成された連結孔13aを備えた連結部13が形成されている。各連結部13には、既述したように、連結孔13の上縁側の棒部13bをエアバッグ1の各取付片部1cがくるんで縫合されることにより、エアバッグ1が連結されることとなる。
【0027】
なお、実施形態の場合、ケース7は、段差12の部位までの下方を構成する本体16と、段差12の下面側で本体16に溶接され、連結部13を備えた四角環状の組付体17と、から構成されている。
【0028】
車両の左右方向の側壁8c・8dには、段差12の下方位置に、左右方向に貫通する大小の挿通孔10・11がそれぞれ形成されている。挿通孔10は、インフレーター4の本体4aを挿通可能としてフランジ部4cを挿通不能とする内径寸法とし、挿通孔11は、インフレーター4のボルト部4dを挿通可能な内径寸法としている。そして、インフレーター4は、ボルト部4dを、挿通孔10を経て挿通孔11から突出させるとともに、フランジ部4cを挿通孔10の周縁に当接させ、ボルト部4dにナット10を螺合させることにより、ケース7の下部に収納保持されている。
【0029】
そして、車両の前後方向の両側における側壁8a・8bには、図1・3・4に示すように、段差12の下面側で、開口9dをそれぞれ前後方向の側方における外向きに配置させた凹溝部9が、形成されている。各凹溝部9は、上下で対向する上壁部9a・下壁部9bと、上・下壁部9a・9b相互を連結する底壁部9cと、から構成され、蓋体19の後述する係合部としての嵌合部23を係合させるための係合部を構成することとなる。
【0030】
なお、ケース7には、車両に固定する際に使用する図示しない取付ブラケットが形成されている。
【0031】
蓋体19は、オレフィン系やスチレン系等の熱可塑性エラストマー等から形成され、折り畳まれたエアバッグ1を収納したケース7の上方を覆うように配置されている。蓋体19は、周囲に薄肉の破断予定部21を設けて、エアバッグ1の膨張時に開く2つの扉部20・20を備えて構成されている。実施形態の場合、破断予定部21は、上方から見てH字形状に配置されており、「H」字の横棒部位の前後に配置された扉部20・20が、エアバッグ1の膨張時、破断予定部21を破断させて、それぞれ、図1の二点鎖線で示すように、前後方向に開くこととなる。
【0032】
また、蓋体19には、破断予定部21の周囲から四角筒形状に下方へ延びて、ケース7における各側壁8a・8b・8c・8dの上部外周面側に配置される側壁部22が形成されている。
【0033】
側壁部22の車両前後方向の部位における下端には、図1・3・4に示すように、ケース周壁8の各凹溝部9に嵌合可能な嵌合部23が形成されている。各嵌合部23は、開口をそれぞれ前後方向の側方における外向きに配置させて、締結部材25を嵌合可能に車両の左右方向に延びる凹条23dを備えている。各嵌合部23は、凹溝部9への嵌合時に上壁部9a下面に当接する上壁部23aと、下壁部9bに当接する下壁部23bと、底壁部9cに当接する底壁部23cと、から構成され、さらに、嵌合時の凹条23dにおけるケース周壁8の軸方向に沿う高さ位置が、嵌合部23相互で一致するように、構成している。
【0034】
なお、実施形態の蓋体19は、インパネPと一体的に形成されている。そして、実施形態のインパネPは、ポリプロピレン等の剛性の高い合成樹脂製として、蓋体19の部位やその周縁を熱可塑性エラストマー製とした二色成形品としている。
【0035】
締結部材25は、可撓性を有したアラミド繊維等からなる帯状を含めた紐材や、あるいは、可撓性を有した帯状の鋼板等の金属板、鋼線等を撚って形成したワイヤ等から形成されている(実施形態では、アラミド繊維からなる紐材から形成されている)。
【0036】
第1実施形態のエアバッグ装置M1の組付けを説明すると、まず、エアバッグ1の各取付片部1cを、棒部13bにくるませ、縫合糸2で縫合して、ケース7の連結部13に連結し、その後、エアバッグ1を折り畳む。
【0037】
ついで、ケース7の挿通孔10側からボルト部4dを挿入させ、ボルト部4dを挿通孔11から突出させるとともに、フランジ部4cを挿通孔10周縁に当接させ、ボルト部4dにナット10を螺合させて、ケース7にインフレーター4を収納保持させる。なお、インフレーター4のケース7への組付けは、エアバッグ1をケース7に連結する前に行なっても良いし、後述する蓋体19のケース7ヘの連結後に行なっても良い。
【0038】
そして、図4に示すように、蓋体19の前後方向の側壁部22における嵌合部23を、相互に広げるようにして、折り畳んだエアバッグ1を連結済みのケース7の上部を、下方から蓋体19の側壁部22内に挿入し、広げた各嵌合部23を戻して、ケース周壁8の凹溝部9に嵌合させる。
【0039】
ついで、締結部材25を、各凹溝部9に嵌合された嵌合部23の凹条23dに嵌合させ、かつ、ケース周壁8を包むように周壁8の周囲に巻き、端部25a・25b相互を結んで締結させることにより、ケース周壁8と蓋体側壁部22とを連結すれば、エアバッグ装置M1の組付けが完了するとともに、エアバッグ装置M1をインパネPに組付けることができる。その後、インパネPを車両に組み付ければ、エアバッグ装置M1を車両に搭載することができる。
【0040】
エアバッグ装置M1の車両への装着後、インフレーター4が作動されてガス吐出口4bから膨張用ガスが吐出されれば、エアバッグ1が、膨張し、扉部20・20を開かせ、インパネPから大きく突出することとなる。
【0041】
なお、このエアバッグ装置M1では、ケース周壁8の各凹溝部9に蓋体側壁部22の嵌合部23が嵌合されて、各凹溝部9の上壁部9aと下壁部9bとが、各嵌合部23の上壁部23aと下壁部23bとの上下移動を規制することから、蓋体側壁部22のケース周壁8に対する上方への抜けや下方への移動が防止され、また、締結部材25の締結により、各嵌合部23がケース周壁8の内側方向へ押えられて、凹溝部9への嵌合部23の嵌合を解除することが防止されることから、エアバッグ1の膨張時に、蓋体側壁部22がケース周壁8から外れることを確実に防止でき、円滑に、蓋体19の扉部20・20を開かせることができる。
【0042】
そして、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、ケース周壁8と蓋体側壁部22との係合部9・23相互の係合と締結部材25の締結とによって、ケース周壁8と蓋体側壁部22とを連結する構成であることから、可撓性を有した締結部材25が1つ程度増えるものの、従来のような押え部材や多数のボルト・ナットを使用しないことから、構成部品点数を低減させることができる。
【0043】
したがって、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、構成部品点数を低減させて、ケース周壁8と蓋体側壁部22とを確実に連結することができる。
【0044】
さらに、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、締結部材25を、各凹溝部9に嵌合された嵌合部23の凹条23dに嵌合させ、かつ、ケース周壁8を包むように端部25a・25b相互を締結させて、周壁8と側壁部22とを連結する構成である。
【0045】
すなわち、締結部材25を、各嵌合部23の凹条23dに嵌めつつ、ケース周壁8の全周を単に巻くようにして、端部25a・25b相互を締結すれば、ケース周壁8と蓋体側壁部22とを連結することができて、締結部材25の締結作業が簡便に行なえる。勿論、締結部材25は、可撓性を有しているため、支障なく、折り曲げて締結することができる。
【0046】
なお、第1実施形態では、ケース周壁8の凹溝部9と蓋体側壁部22の嵌合部23とを、ケース7における車両の前後方向に設けた場合を示したが、ケース7の側壁8c・8d側に設けたり、周壁8の全周にわたって設けても良い。ちなみに、ケース7の両側の位置だけに、凹溝部9と嵌合部23とを設ける場合には、エアバッグ1の膨張時に開く扉部20のヒンジ部20a(図1参照)側となる位置に、配置させることが望ましい。破断予定部21を破断させて扉部20が開く際に、蓋体側壁部22のヒンジ部20aの配置部位に、特に上方への強い引張力が作用することから、凹溝部9と嵌合部23との係合によって、その引張力に対して効果的に対抗するためである。
【0047】
また、第1実施形態では、締結部材25を結んで端部25a・25b相互を締結した場合を示したが、端部25a・25b相互を、縫合したり、接着させて、締結しても良い。あるいは、締結部材25として、ある程度の可撓性を有した塑性変形可能な帯状の金属板や金属ワイヤを使用する場合には、それらの端部相互を、塑性変形させるように、かしめて、締結させても良い。
【0048】
さらに、第1実施形態では、1つの締結部材25を使用するように構成したが、本発明の効果を著しく低減しない範囲で、ケース周壁8や蓋体側壁部22に設ける凹溝部9・嵌合部23を対応させて、締結部材25を複数使用するように、構成しても良い。
【0049】
第2実施形態のエアバッグ装置M2も、助手席前方に配置される助手席用のものであり、図5・6に示すように、折り畳まれたエアバッグ31と、エアバッグ31に膨張用ガスを供給するインフレーター4と、エアバッグ31・インフレーター4を保持するケース37と、折り畳まれたエアバッグ31を覆う蓋体49と、ケース37と蓋体49とを連結する締結部材58と、を備えて構成されている。
【0050】
エアバッグ31は、第1実施形態と同様に、ポリエステル糸やポリアミド糸等の可撓性を有した織布から袋状に形成されており、図5〜7に示すように、下部には、長方形形状に開口した開口31aが設けられている。開口31aの周縁31bにおける車両の前後方向の部位には、締結部材58を構成する帯状の連結片部31cが複数(実施形態では3個ずつ)形成されている。これらの連結片部31cは、ケース37を間にして対向する連結片部31cの端部58a・58a相互が、蓋体49の後述する係止孔53を挿通し、ケース37の下方で、縫合糸32を使用して縫合されて、締結されている。さらに、開口31aの周縁31bにおける車両の左右方向の部位にも、下方へ延びる連結片部31dが一対形成されている。これらの連結片部31dも、ケース37を間にして対向する連結片部31dの端部31e・31e相互が、蓋体49の後述する挿通孔55を挿通し、ケース37の下方で、縫合糸32を使用して縫合されて、締結されている。
【0051】
なお、各連結片部31c・31dの幅寸法は、各連結片部31c・31dが挿通する係止孔53や挿通孔55の幅寸法より僅かに小さい寸法に設定されている。
【0052】
インフレーター4は、第1実施形態のものと同様であり、ガス吐出口4bを有した円柱状の本体4aと、本体4aの一方の端部に配置されて本体4aより大径のフランジ部4cと、本体4aの他方の端部に配置されたボルト部4dと、を備えて構成されている。
【0053】
ケース37は、図5〜7に示すように、板金製として、車両の前後左右に配置される4つの側壁38a・38b・38c・38dから構成されて上方を開口させた四角筒形状の周壁38と、周壁38の下部を塞ぐ底壁42と、から構成されている。
【0054】
車両の左右方向の側壁38c・38dには、第1実施形態と同様に、インフレーター4をケース37に収納保持させるための左右方向に貫通する大小の挿通孔40・41が、それぞれ、形成されている。
【0055】
なお、第2実施形態の場合、ケース37は、図7に示すように、ケース37における側壁38a・38b及び底壁42を構成する断面U字形の本体44と、側壁38c・38dをそれぞれ構成する側板部45と、各側壁38a・38b・38c・38dの上部に溶接されて、インフレーター4からの膨張用ガスの流れを規制するための四角環状のディフューザー部46と、から構成されている。
【0056】
そして、車両の前後方向に配置される側壁38a・38bの上端には、側方の外方に突出する鍔部38eが設けられ、各鍔部の38eの先端から側方の外方に突出する係止片部39が、3つずつ形成されている。各係止片部39は、それぞれ、鍔部38eから側方に延びる横板部39aと、横板部39aの先端で下方へ屈曲するように延びる鉤片部39bと、から構成されている。これらの係止片部39は、蓋体49の後述する係合部としての係止孔53を係合させるための係合部を構成することとなる。また、各係止片部39の幅寸法は、エアバッグ31の連結片部31cの幅寸法と略等しく設定されている。
【0057】
なお、ケース37には、車両に固定する際に使用する図示しない取付ブラケットが形成されている。
【0058】
蓋体49は、オレフィン系やスチレン系等の熱可塑性エラストマー等から形成され、折り畳まれたエアバッグ31を収納したケース37の上方を覆うように配置されている。蓋体49は、周囲に薄肉の破断予定部51を設けて、エアバッグ31の膨張時に開く2つの扉部50・50を備えて構成されている。破断予定部51は、第1実施形態と同様に、上方から見てH字形状に配置されており、「H」字の横棒部位の前後に配置された扉部50・50が、エアバッグ31の膨張時、破断予定部51を破断させて、それぞれ、図5の二点鎖線で示すように、前後方向に開くこととなる。
【0059】
また、蓋体49には、破断予定部51の周囲から四角筒形状に下方へ延びて、ケース37における各側壁38a・38b・38c・38dの上部外周面側に配置される側壁部52が形成されている。
【0060】
側壁部52の車両前後方向の部位における下端には、ケース周壁38の各係止片部39を挿入係止させるように、略水平方向に貫通された係止孔53が形成されている。なお、各係止片部39が係止孔53に挿入係止された際には、先端の鉤片部39bが、側壁部52の外表面側における各係止孔53の下縁周縁54を係止することとなる。
【0061】
また、側壁部52の車両左右方向の部位には、略水平方向に貫通された挿通孔55が形成されている。各挿通孔55には、エアバッグ31の連結片部31dが挿通されることとなる。
【0062】
なお、実施形態の蓋体49は、インパネと別体で形成されて、インパネに設けられた開口を塞ぐように配置されることとなる。
【0063】
第2実施形態のエアバッグ装置M2の組付けを説明すると、まず、予め、エアバッグ31を折り畳んでおく。
【0064】
また、ケース37の挿通孔40側からボルト部4dを挿入させ、ボルト部4dを挿通孔41から突出させるとともに、フランジ部4cを挿通孔40周縁に当接させ、ボルト部4dにナット5を螺合させて、ケース37にインフレーター4を収納保持させておく。なお、ケース37のインフレーター4の組付けは、後述する各係止片部39の係止孔53への挿入係止後に行なっても良い。
【0065】
そして、まず、図8に示すように、エアバッグ31を、蓋体49の側壁部52で囲まれた扉部50・50の下方部位に嵌め込むとともに、エアバッグ31の各連結片部31cを、内側から外側へ出すように、対応する係止孔53に挿通させる。また、各連結片部31bも、内側から外側に出すように、対応する挿通孔55に挿通させる。
【0066】
ついで、図8に示すように、インフレーター4を組み付けたケース37の各係止片部39を、対応する係止孔53に挿入係止させる。この時、ケース37の対向する側壁38a・38bの一方側の係止片部39を、対応する係止孔53に挿入係止させ、その後、蓋体49の側壁部52の内側寸法を広げるようにして、各係止片部39を、対応する係止孔53に挿入係止させることとなる。
【0067】
そして、各係止片部39を係止孔53に挿入係止させた後には、まず、ケース37を間にして対向する3組の連結片部31cを、ケース周壁38の前後両側の側壁38a・38bを覆うようにし、ケース37の下方で、対向する各組の連結片部31cの端部58a・58a相互を、それぞれ、縫合糸32を利用して締結すれば、ケース周壁38と蓋体側壁部52とを連結することができる。さらに、ケース37を間にして対向する連結片部31d・31dを、ケース周壁38の左右両側の側壁38c・38dを覆うようにし、ケース37の下方で、対向する各組の連結片部31dの端部31e相互を、縫合糸32を利用して締結すれば、エアバッグ装置M2を組み付けることができる。
【0068】
その後、インパネを車両に組み付けつつ、エアバッグ装置M2をインパネと車両とに組み付ければ、エアバッグ装置M2を車両に搭載することができる。
【0069】
エアバッグ装置M2の車両への装着後、インフレーター4が作動されてガス吐出口4bから膨張用ガスが吐出されれば、エアバッグ31が、膨張し、扉部50・50を開かせ、インパネから大きく突出することとなる。
【0070】
なお、このエアバッグ装置M2では、ケース周壁38の各係止片部39が蓋体側壁部52の係止孔53に挿入係止されて、蓋体側壁部52のケース周壁38に対する上方への抜けや下方への移動が防止され、また、締結部材58としての各連結片部31cの端部58a相互の締結により、各係止片部39を係止している係止孔53の近傍の周縁54がケース周壁38の内側方向へ押えられて、各係止片部39の係止孔53への係止を解除することが防止されることから、エアバッグ31の膨張時に、蓋体側壁部52がケース周壁38から外れることを確実に防止でき、円滑に、蓋体49の扉部50・50を開かせることができる。
【0071】
そして、第2実施形態のエアバッグ装置M2では、ケース周壁38と蓋体側壁部52との係合部39・53相互の係合と締結部材58の締結とによって、ケース周壁38と蓋体側壁部52とを連結する構成であって、従来のような押え部材や多数のボルト・ナットを全く使用せず、さらに、締結部材58が可撓性を有したエアバッグ31自体の連結片部31cから構成されているため、一層、構成部品点数を低減させることができ、さらに、重量も低減することができる。
【0072】
また、締結部材58を構成するエアバッグ31の各連結片部31cを、各係止片部31cを挿入係止させた係止孔53に、側壁部52の内側から挿通して、ケース37の下方で、端部58a・58a相互を締結させていることから、エアバッグ31自体が、ケース57の下方を包むように、ケース57に対して連結されることとなって、エアバッグ単独でのケース37への連結作業が不要となり、エアバッグ装置M2の組付工数を低減させることができる。
【0073】
なお、第2実施形態では、係止孔53を有さない蓋体側壁部52における車両の左右方向の部位でも、挿通孔55を設けて、エアバッグ31の開口周縁31bにおける連結片部31d・31dを、それぞれ、それらの挿通孔55を内側から挿通させて、端部31e・31e相互を、ケース37の下方でも締結していることから、一層、エアバッグ31自体のケース37への連結強度を向上させることができ、また、連結片部31dによって、挿通孔55の近傍の周縁56をケース周壁(側壁38c・38d)38側に押えることができるため、ケース周壁38と蓋体側壁部52との密着度を高めて気密性を向上させることができる。勿論、挿通孔55に挿入係止可能な係止片部を、ケース周壁38の側壁38c・38dに設けて、ケース側壁38c・38dの部位でも、蓋体側壁部52に係合させても良い。
【0074】
また、第2実施形態では、係合部としての係止片部39と係止孔53とを6組形成した場合を示したが、係止片部39を幅広にすれば、ケース37の両側で、係止片部39と係止孔53とを1組ずつ形成しても良い。
【0075】
さらに、第2実施形態では、ケース周壁38の係止片部39と蓋体側壁部52の係止孔53とを、ケース37における車両の前後方向に設けた場合を示したが、ケース37の側壁38c・38d側に設けても良い。但し、ケース37の両側の位置だけに、係止片部39と係止孔53とを設ける場合には、破断予定部51を破断させて扉部50が開く際に、蓋体側壁部52のヒンジ部50a(図5参照)の部位に上方への強い引張力が作用することから、その引張力に対抗できるように、第2実施形態と同様に、扉部50のヒンジ部50a側となる位置に、係止片部39と係止孔53とを配置させることが望ましい。
【0076】
さらにまた、第2実施形態では、締結部材58としての連結片部31cの端部58a相互を縫合して締結した場合を示したが、端部58a・58a相互を、接着や溶着を利用して、締結させたり、あるいは、結んで締結しても良い。
【0077】
さらに、第2実施形態では、エアバッグ31の連結片部31cを、蓋体側壁部52の係合部である係止孔53に挿入させた場合を示したが、係止孔53の近傍に、連結片部31cを挿通可能な挿通孔を設けて、それらの挿通孔に連結片部31cを挿通させて、端部58a相互を締結しても良い。ちなみに、第2実施形態のように、係止孔53に連結片部31cを挿通させる場合には、既述の連結片部31cだけを挿通させる挿通孔を設けなくとも良く、蓋体側壁部52に設ける穴明け加工の加工工数を低減でき、また、側壁部52自体の引張強度の低下を抑えることができる。
【0078】
さらにまた、第1・2実施形態では、助手席用のエアバッグ装置について例示したが、エアバッグをケースに取り付けるエアバッグ装置であれば、本発明を実施することができることから、ステアリングホイールのエアバッグ装置、車両のシートに設けるエアバッグ装置、車両の車内側の内壁部位に設けるエアバッグ装置等に、本発明を応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示すエアバッグ装置の縦断面図である。
【図2】同実施形態の縦断面図であり、図1のII−II部位に対応する。
【図3】同実施形態の蓋体の側壁部とケースの周壁との分解部分斜視図である。
【図4】同実施形態の蓋体側壁部をケース周壁に連結させる作業を示す部分断面図である。
【図5】第2実施形態を示すエアバッグ装置の縦断面図である。
【図6】同実施形態の縦断面図であり、図5のVI−VI部位に対応する。
【図7】同実施形態の蓋体の側壁部、エアバッグの連結片部、及び、ケースの構成部品の分解部分斜視図である。
【図8】同実施形態の蓋体側壁部をケース周壁に連結させる作業を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1・31…エアバッグ、
4…インフレーター、
7・37…ケース、
8・38…周壁、
9…(係合部)凹溝部、
19・49…蓋体、
22・52…側壁部、
23…(係合部)嵌合部、
23d…凹条、
25・58…締結部材、
25a・25b・58a…端部、
31c…連結片部、
39…(係合部)係止片部、
53…(係合部)係止孔、
M1・M2…エアバッグ装置。
Claims (1)
- 折り畳まれたエアバッグと、該エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、前記エアバッグと前記インフレーターとを収納保持するケースと、折り畳まれた前記エアバッグを覆って、前記エアバッグの膨張時に開く扉部を有した蓋体と、を備えて構成されるとともに、
前記ケースが、車両の前後左右に配置される4つの側壁から構成されて、上方を開口させた四角筒形状の周壁を備え、
前記蓋体が、前記扉部の周囲で下方へ延びて、前記ケースの周壁の上部外周面側に配置され、前記ケースの周壁と連結される四角筒形状の側壁部を備えて構成されるエアバッグ装置であって、
前記エアバッグが、膨張用ガスを流入させる長方形形状の開口を備えるとともに、該開口の周縁に、前記ケースを間にして前後左右で対向するように延び、前記側壁部の内側から外側に挿通させて、前後及び左右で対向する端部相互を、前記ケースを包むように前記ケースの下方で締結して、前記ケースに対して前記エアバッグを連結可能な連結片部を備えて構成され、
前記周壁と前記側壁部とが、
前記ケースの前後若しくは左右の少なくとも一方の両側で、上下方向への相対移動を規制するように、前記周壁と前記側壁部とに設けられた相互の係合部を係合させるとともに、
前記ケースを包むように端部相互を締結させる可撓性を有した締結部材により、前記係合部の係合解除を規制可能に、前記係合部の近傍を押えられて、連結される構成とし、
前記周壁の係合部が、前記ケースの前後若しくは左右の少なくとも一方の両側に配置されて、側方の外向き方向へ突出する係止片部、から構成され、
前記側壁部の係合部が、前記各係止片部を前記側壁部の内側から挿入させて係止可能に、略水平方向に貫通する係止孔、から構成され、
前記締結部材が、前記ケースを間にして相互に対向して、前記各係止孔に挿通可能な前記連結片部、から構成され、
前記各係止孔に挿通可能な前記連結片部が、前記係止孔の近傍を押圧可能に、前記係止孔に対して、前記側壁部の内側から挿通されて、前記ケースの下方で、端部相互を締結させることにより、前記エアバッグを前記ケースに連結するとともに、前記周壁と前記側壁部とを連結していることを特徴とするエアバッグ装置。
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