JP4121044B2 - シアル酸誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シアル酸誘導体の製造方法に関する。詳しくは、本発明はシアル酸又はその誘導体を特定の条件下でベンジルエステル化、次いでアセチル化することにより医薬品合成中間体として有用なシアル酸誘導体を高収率で製造する方法に関する。
【0002】
シアル酸を含むスフィンゴ糖脂質のガングリオシドは、生体膜の構成成分であり、高等動物の脳に多く含まれている。ガングリオシドについては、近年種々の機能が報告されているが、特に神経系での役割が注目を集めている。シアル酸はガングリオシドの重要な構成成分であり、ガングリオシドとの関連により、また医薬品への応用の見地から各種誘導体の合成が行われている(特開昭55−89298号、特開昭61−243096号、特開昭61−282390号、特開昭63−41492号、特開昭63−41494号、特開昭63−63697号、特開昭63−68526号、特開昭64−52794号、特開平1−190693号及び特開平3−151398号各公報並びにWO93/10134号及びWO/94/03469号各明細書等)。
シアル酸誘導体化合物(1)、化合物(3)は、これら合成研究において重要な中間体となっている(特開昭62−221694号、特開昭63−44587号及び特開平7−228592号各公報並びに欧州特許出願公開第319253号明細書等)。
【0003】
【従来の技術】
化合物(1)の合成方法として、例えば化合物(2)のベンジルエステル化反応は一般にCs2 CO3 のような無機塩基を用いて反応が行われている(特開昭63−44587号公報)が、この方法では、出発物質の水溶液をCs2 CO3 を用いて中和し、塩とした後に十分乾燥させることが必要であり、工業的に行うには困難の伴う方法であった。また、フェニルジアゾメタンを用いる方法も知られている(特開昭62−221694号公報)が、工業的に実施するには危険が伴う。ベンジルエステル体化合物(3)のアセチル化反応を行う前に、これまでは、化合物(3)を単離する必要があった。この方法だと、工業的に行うには工程が煩雑となり、又、化合物(2)からの収率が低下するという欠点があった。
【0004】
更に、化合物(1)の合成方法としては、先ず、化合物(2)のアセチル化反応を行い下式(4)で表わされる化合物(4)を得た後、ベンジルエステル化して得る方法も知られているが、ピリジン/無水酢酸を用いる方法(Khim Prir.Soedn.vol3,No3,p191(1967),天然有機化合物討論会要旨集p441(1987))では、副生成物が多く化合物(4)の収率は低くなる。また、ピリジン/無水酢酸/4−ジメチルアミノピリジンを使用する方法では、反応終了後、イオン交換樹脂処理という煩雑な操作が必要である(欧州特許出願公開第319253号明細書)。更に、どちらの方法も、化合物(4)を一度、単離してから次の反応を実施する必要があり、工業的に行うには工程が煩雑となり、化合物(2)からの収率が低下するという欠点があった。
【0005】
【化6】
【0006】
また、ベンゼン中でDBU、BnBrを用いる、カルボン酸のベンジルエステル化法が知られている(Bull,Chem,Soc,Jpn.1978 51(8)p2401)が、ベンゼンはその健康に与える悪影響から工業的には使用を避けたい化合物である。また、化合物(2)の反応に使用するには、反応速度が遅いために高い反応温度が必要であり副生成物生成のために不都合と考えられた。更に化合物(2)及び反応生成物の溶解性が低く実施困難と考えられた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、従来の方法は、工程が長いとか、操作が煩雑であるとか或いは危険である等の、工業的に実施するにはいろいろ問題点がある。
本発明の課題は、短かい工程で、且つ簡便な操作によりしかも高収率で、工業的に利用出来るシアル酸誘導体の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために、化合物(2)から化合物(3)の合成法に関して鋭意検討を重ねた結果、化合物(2)の有機塩基を用いるベンジルエステル化反応では、溶媒の性状が反応速度に重要な影響を与えること、即ち、溶媒パラメーターの一種であるDN(ドナー数)(V.Gutmann,“Coordination Chemistry in Non−AqueousSolvents”(1968);V.Gutmann,Coord.Chem.Rev.,2,239(1967))を用いた場合、DN 26.6(DMF),27.3(NMP),27.5(ジメチルアセトアミド),29.8(DMSO)程度の化合物が反応速度が大きいことを見い出した。なお、これらより大きく外れるもの(ベンゼン、トルエンのDNは0.1)は反応速度が遅い。これらの結果を含めて化合物(2)から化合物(1)の合成に関して、溶媒及び使用する塩基について更に検討を重ねた結果、化合物(2)のベンジルエステル化反応では、副反応を抑えて、高収率で化合物(3)を与える方法を見い出し、また、化合物(3)を単離することなしに、高収率でアセチル化できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、
1.シアル酸又はその誘導体のエステル化及びアセチル化により次式(1)
【0010】
【化7】
【0011】
で表わされる化合物(1)を製造する方法において、次式(2)
【0012】
【化8】
【0013】
(式中、Rは水素原子又はアセチル基を表わし、それぞれ同一でも異っていてもよい。但し、Rの中、少なくとも一個は水素原子である)で表わされる化合物(2)を含窒素溶媒又は含硫黄溶媒中有機塩基の存在下ハロゲン化ベンジルと反応させることにより、次式(3)
【0014】
【化9】
【0015】
(式中、Rについては式(2)と同義である)
で表わされる化合物(3)を得、次いで有機塩基の存在下無水酢酸を用いてアセチル化することにより化合物(1)を得ることを特徴とするシアル酸誘導体の製造方法、
2.1項の方法において、ベンジルエステル化反応終了後、化合物(3)を単離することなく、得られた反応生成物にアセチル化反応を施し、化合物(1)を得る方法、
3.化合物(2)のRが全て水素原子である1又は2項に記載の方法、
4.含窒素溶媒としてN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドを用いる1ないし3項のいずれかに記載の方法、
5.含硫黄溶媒としてジメチルスルホキシドを用いる1ないし3項のいずれかに記載の方法、
6.ベンジルエステル化反応の際に有機塩基として1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン)、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン)、N,N−ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン又はベンジルトリメチルヒドロキシドを用いる1ないし5項のいずれかに記載の方法、
7.アセチル化反応の際に有機塩基として4−ジメチルアミノピリジン又はN−メチルイミダゾールを用いる1ないし6項のいずれかに記載の方法、
8.次式(2)
【0016】
【化10】
【0017】
(式中、Rは水素原子又はアセチル基を表わし、それぞれ同一でも異っていてもよい。但し、Rの中、少なくとも一個は水素原子である)で表わされる化合物(2)を含窒素溶媒又は含硫黄溶媒中有機塩基の存在下ハロゲン化ベンジルと反応させることにより、次式(3)
【0018】
【化11】
【0019】
(式中、Rについては式(2)と同義である)
で表わされる化合物(3)を得ることを特徴とするシアル酸誘導体の製造方法、にある。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0020】
【発明の実施の形態】
(1)ベンジルエステル化反応
ベンジルエステル化反応で原料として用いられる化合物(2)の中、Rが全て水素のものは市販されており、工業的に利用できる。また、Rが水素又はアセチル基で、Rの中、少なくとも一個は水素であるものは、Rが全て水素のもののアセチル化により合成することができる。
【0021】
もう一つの原料であるハロゲン化ベンジルとしては、例えば沃化ベンジル、臭化ベンジル、塩化ベンジル、フッ化ベンジルが使用できる。この中、反応速度の観点から、臭化ベンジルが好ましい。
ハロゲン化ベンジル/原料化合物(2)の当量比は、0.5〜100、好ましくは1.0〜10.0、より好ましくは1.0〜2.0である。
【0022】
この反応で用いられる含窒素溶媒としては、例えばホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルプロピオンアミド、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン(NMP)、ε−カプロラクタム、カルバミン酸エステル等が挙げられる。
含硫黄溶媒としては、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等が使用できる。良好な反応速度、副生成物抑制の観点から溶媒としては、NMP、DMF、DMACを使用することが好ましい。
溶媒/原料化合物(2)の重量比は、1〜100、好ましくは、1〜50、より好ましくは2〜10の範囲である。
【0023】
この反応で用いられる有機塩基としては、例えば1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン(DBN)、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、N,N−ジイソプロピルアミン、ベンジルトリメチルヒドロキシド、2,4,6−コリジン、ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール等が挙げられる。
良好な反応速度、副生成物抑制の観点から、DBU、DBN、N,N−ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、ベンジルトリメチルヒドロキシドが好ましい。
有機塩基/原料化合物(2)の当量比は、0.5〜10.0、好ましくは1.0〜2.0、より好ましくは1.0〜1.5である。
反応温度は、0〜100℃で実施される。0〜60℃が好ましい。より好ましくは、5〜50℃である。
反応時間は一般に10分〜100時間程度である。
【0024】
(2)アセチル化反応
アセチル化反応の原料である化合物(3)は、前のベンジルエステル化反応の反応生成物から単離したものを用いてもよいし、単離せずに反応生成溶液に、有機塩基と無水酢酸を添加して直接アセチル化反応を行っても良い。化合物(3)の単離操作の煩雑さを省き操作数を減らすことができるために、化合物(3)を単離せずにアセチル化反応を行うことが好ましい。
アセチル化には無水酢酸を用いるのが便利である。この場合、アセチル化反応の無水酢酸/原料化合物(2)の当量比は1〜100、好ましくは、1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜10.0の範囲である。
【0025】
アセチル化反応で用いられる溶媒の中、含窒素溶媒としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルプロピオンアミド、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン(NMP)、ε−カプロラクタム、カルバミン酸エステル等が挙げられる。
含硫黄溶媒としては、ジメチルスルホキシド、スルホラン等が使用できる。
良好な反応速度、副生成物抑制の観点から溶媒としては、NMP、DMF、DMACを使用することが好ましい。
アセチル化反応の溶媒/原料化合物(2)の重量比は、1〜1000、好ましくは1〜50、より好ましくは2〜10の範囲である。
【0026】
アセチル化反応で用いられる有機塩基としては、例えば4−ジメチルアミノピリジン(4DMAP)、N−メチルイミダゾール、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。良好な反応速度、副生成物抑制の観点から、4−ジメチルアミノピリジン(4DMAP)、N−メチルイミダゾールが好ましい。有機塩基/原料化合物(2)の当量比は、0.001〜1000、好ましくは、0.01〜50、より好ましくは0.1〜5.0である。
【0027】
反応温度は、−30〜100℃である。−20〜50℃が好ましい。より好ましくは、−20〜40℃である。
反応時間は一般に10分〜100時間程度である。
アセチル化反応では、ピリジンのような塩基を反応系に共存させてもよいし、共存させなくてもよい。
反応終了後、化合物(1)は蒸留或いは抽出により溶媒等と分離し、晶析、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法で精製することができる。
【0028】
【実施例】
以下に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらの実施例により限定されるものではない。
【0029】
実施例1
化合物(2)(Rは全て水素)3.09g(無水換算)(10mmol)をNMP12.5mlに室温下溶解し、DBU1.57ml(10.5mmol)を滴下し1時間攪拌した。臭化ベンジル1.37ml(11.5mmol)を滴下し6時間室温で攪拌後、一晩放置した。
−15℃に冷却し、4DMAP1.83g(15mmol)を添加後、無水酢酸6.62ml(70mmol)を−15〜−5℃で滴下した。−15〜−5℃で2時間攪拌後、室温に戻し更に2時間攪拌した。
反応液を5℃の水に加え、0.5時間攪拌した後、酢酸エチル:トルエン1:1溶液50mlで抽出した。有機層を水12.5mlで4回洗浄後、全水層を混合し酢酸エチル:トルエン1:1溶液25mlで2回水層の再抽出を行った。水層の再抽出をした有機層を水12.5mlで4回洗浄した。
有機層を20.5gまで濃縮後、トルエン30mlを加え、攪拌下n−ヘプタン72mlを滴下し生成物結晶を得た。生成物を減圧下60℃で24時間乾燥した。収量5.34g(収率87.6%)の化合物(1)(Rは全て水素)が得られた(α:β=15:85)。得られた化合物(1)(Rは全て水素)の分析値を以下に示した。
【0030】
白色固体、融点108〜114℃、
元素分析
計算値 C 55.17 H 5.79 N 2.30
実測値 C 55.23 H 6.06 N 2.15
IR(KBr) 1748,1660,1543cm-1
1H−NNR(CDCl3 )
7.359(m,5H,芳香環のH(α,β)),5.376(dd,0.85H,J6,7 2.0Hz,J7,8 5.6Hz,H−7(β)),5.273(m,2.7H NH(β),PhCH(β),H−4(β)及びH−7(α)を含む),5.205(d,10.85,Jgem 12.0Hz,PhCH(β)),5.137(m,0.45H NH(α),PhCH(α)及びH−8(α)を含む),5.088(ddd,0.85H,J8,9a,2.6Hz,J8,9b,6.5Hz,H−8(β)),4.973(ddd,0.15H,J3e,4 4.6Hz,J4,5 10.4Hz,J3a,4 11.6Hz,H−4(α)),4.771(dd,0.15H,J5,6 11.0Hz,H−6(α)),4.450(dd,0.85H,J9a,9b 13.0Hz,H−9a(β)),4.376(dd,0.15H,J8,9a 2.7Hz,J9a,9b 12.5Hz,H−9a(α)),4.125(m,2.55H H−5,H−6及びH−9b(β)を含む),4.067(m,1H,H−5(α)及びH−9b(α)),2.551(dd,1H,J3e,4 5.0Hz,J3e,3a 13.5Hz,H−3e(β)及びH−3e(α)を含む),2.131(β),2.116(β),2.107(α),2.098(α),2.063(α),2.053(α),2.043(α),2.026(β),2.012(α),1.895(β)(19H,5OAc,1NAc,H−3a)。
【0031】
実施例2
溶媒をDMFに変えた以外は実施例1と同様の反応を行った。収量5.11g(収率83.8%)の化合物(1)(Rは全て水素)が得られた。
【0032】
実施例3
溶媒をDMSOに変え、4DMAPを10℃で添加し無水酢酸を10〜20℃で滴下し、滴下終了後室温下2時間攪拌した以外は実施例1と同様の操作を行った。収量4.42g(収率72.5%)の化合物(1)(Rは全て水素)が得られた。
【0033】
実施例4
DBU1.57ml(10.5mmol)をDBN1.25ml(10.5mmol)に変えた以外は実施例1と同様の操作を行った。収量5.37g(収率88.1%)の化合物(1)(Rは全て水素)が得られた。
【0034】
実施例5
DBU1.57ml(10.5mmol)をトリエチルアミン1.43ml(10.5mmol)に変えた以外は実施例1と同様の操作を行った。収量4.16g(収率68.2%)化合物(1)(Rは全て水素)が得られた。
【0035】
実施例6
4DMAP1.83g(15mmol)をN−メチルイミダゾール1.19ml(15mmol)に変えた以外は実施例1と同様の操作を行った。粗収量5.16g(収率84.6%)の化合物(1)(Rは全て水素)が得られた。
【0036】
実施例7
化合物(2)(Rは全て水素)5.00g(無水換算)(16.2mmol)をメタノール50mlに懸濁し、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドの40%のメタノール溶液を6.759g(16.2mmol)加えて、溶解、均一になるまで攪拌後、メタノールを留去した。残渣にDMF35mlを加えて溶解し、臭化ベンジル2.11ml(17.8mmol)を添加し20時間室温で攪拌した。反応液にピリジン19.6ml(242.2mmol)と4−ジメチルアミノピリジン1.97g(16.2mmol)を加え、氷冷下、無水酢酸、11.46mmol(121.2mmol)を滴下後、1時間かけて室温にし、更に1時間攪拌した。反応終了後、反応液を水130mlに注ぎ、トルエンで2回抽出後(260ml及び170ml)塩酸水(0.2N)、水で順次洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、得られた固体をトルエン20mlとヘキサン50mlで結晶化し、減圧乾燥して化合物(1)(Rは全て水素)を7.73g(収率78%)で得た。
【0037】
実施例8
化合物(2)(Rは全て水素)7.732g(無水換算)(25mmol)をNMP31mlに室温下溶解し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン6.55ml(37.5mmol)を滴下し1時間撹拌した。臭化ベンジル3.45ml(28.8mmol)を滴下し、4時間室温で撹拌後、1晩放置した。室温で5時間撹拌後、−15℃に冷却し、4DMAP4.58g(37.5mmol)を添加後、無水酢酸16.6ml(175mmol)を−15〜−5℃で滴下した。−15〜−5℃で1時間撹拌後、室温に戻して、さらに2時間撹拌後1晩放置した。
【0038】
反応液を2℃の水115mlに加え、0.5時間撹拌後、酢酸エチル:トルエン(1:1)溶液116mlで抽出した。有機層を水30mlで4回洗浄後、全水層を混合し酢酸エチル:トルエン(1:1)溶液60mlで2回水層の再抽出を行った。水層の再抽出をした有機層を水30mlで4回洗浄した。有機層を50gまで濃縮後、トルエン76mlを加え、撹拌下n−ヘプタン174mlを滴下し生成物結晶を得た。生成物を減圧下60℃で24時間乾燥した。収量12.83g(収率84.2%)の化合物(1)(Rは全て水素)が得られた。
【0039】
比較例1
化合物(2)(Rは全て水素)30.3g(無水換算)(98mmol)を水に溶かし、氷冷下、炭酸セシウム16.8gを水30mlに溶解して滴下した。エバポレーターで濃縮乾固させた。DMF400mlを加え攪拌後、氷冷下臭化ベンジル17.5ml(147mmol)を滴下し一昼夜攪拌し、析出物を濾過除去後、エバポレーターで濃縮し溶媒の2/3を留去したところで、イソプロピルアルコール500mlを加えて再結晶を行った。析出した結晶を濾取後、取得固体を減圧下60℃で24時間乾燥した。収量24.59g(収率62.8%)の化合物(3)(Rは全て水素)が得られた。
【0040】
比較例2
化合物(3)(Rは全て水素)47.7g(119mmol)をピリジン1Lに溶解して、氷冷下、4−ジメチルアミノピリジン1.45g(11.9mmol)を加え、無水酢酸84.7ml(896mmol)を滴下した。室温に戻して、18時間攪拌した。反応終了後、再び氷冷下、メタノール50mlを加え30分攪拌した。溶媒を減圧下留去し残渣をクロロホルム800mlに溶解し、塩酸水(0.1N)、水、飽和炭酸ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた固体を酢酸エチル200ml、ヘキサン500mlを用いて再結晶して精製し、減圧乾燥して化合物(1)(Rは全て水素)を49g(収率67.3%)得た。
比較例1の結果と合わせると、化合物(2)(Rは全て水素)から化合物(1)(Rは全て水素)を得た収率は42.3%であった。
【0041】
比較例3
化合物(2)(Rは全て水素)1.0g(無水換算)(3.23mmol)をトルエン7mlに室温下攪拌しながら添加し、DBU0.49ml(3.30mmol)を滴下し40分攪拌した。臭化ベンジル0.42ml(3.55mmol)を滴下したところ、白色、高粘性固体が生成し攪拌不可能となり、反応を中止した。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、短かい工程で、且つ簡便な操作によりしかも高収率でシアル酸誘導体を製造することができる。
Claims (8)
- 請求項1の方法において、ベンジルエステル化反応終了後、化合物(3)を単離することなく、得られた反応生成物にアセチル化反応を施し、化合物(1)を得る方法。
- 化合物(2)のRが全て水素原子である請求項1又は2に記載の方法。
- 含窒素溶媒としてN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドを用いる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
- 含硫黄溶媒としてジメチルスルホキシドを用いる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
- ベンジルエステル化反応の際に有機塩基として1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン)、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン又はベンジルトリメチルヒドロキシドを用いる請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
- アセチル化反応の際に有機塩基として4−ジメチルアミノピリジン又はN−メチルイミダゾールを用いる請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
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