JP4120932B2 - 積層体及び光学部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、積層体及び光学部材に関し、さらに詳しくは、積層体における層と層との界面で光が反射することによる透過光量のロス発生を低減したところの、光学部材として有用な積層体、及びこの積層体を有する光学部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
光を透過させる部材として、偏光板に使用されるハードコートフィルム及びディスプレイ保護用ハードコートフィルム等に代表される光学用途のハードコートフィルム、レンズ、プリズム、陰極線管、並びに液晶パネル等の光学部材がある。これらの光学部材は、光量をできるだけ減少させることなく、光を透過させることが必要であり、また、光学部材を構成する透明部材間での反射を少なくすることが必要である。
【0003】
例えば、陰極線管及び液晶パネル等の表面はガラス又はプラスチックであるので、空気との屈折率が大きく異なり、したがってこれらの表面に蛍光灯などの外光が映り込んでしまって視認性が良くない。例えば、液晶を透明電極層と透明な液晶セル基板とで挟み込んでなる液晶ディスプレイにおいては、透明電極層と液晶セル基板とで屈折率差が自ずと生じている。この液晶ディスプレイが透過型であると、前記屈折率差のために光ロスが大きくて画面が暗くなり、視認性が悪い。またこの液晶ディスプレイが反射型であると、前記屈折率差のために光のロスがさらに大きくなって視認性が大きく低下する。
【0004】
視認性を向上させるために反射防止フィルムが提案され、それは、「基材上に、無機誘電体から成る3層(積層)薄膜による反射防止膜を形成した反射防止フィルムであって、該3層薄膜の第1層(基材側の薄膜層)の屈折率が1.5以上、1.8以下で、かつ光学膜厚がλ/4(λは光の設計主波長)であり、第3層(第2層の上に設けられた薄膜層)の屈折率が1.25以上、1.5以下で、かつ光学膜厚がλ/4(λは光の設計主波長)であり、第2層の屈折率が以下のように膜厚方向に順次変化していることを特徴とする反射防止フィルム。
n2=(n23−n21)×(L/D2)x+n21
0≦L≦d2
1≦x≦4
1.6≦n21≦2.2
1.8≦n23≦2.4
1.05≦n23/n21≦1.2
ここで、n2、d2は第2層の屈折率、膜厚であり、n21は第2層の第1層と接する面の屈折率、Lは第2層の第1層から第3層への膜厚方向の位置である。」である(特許文献1)。この反射防止フィルムは、光学膜厚をλ/4に固定し、膜間の屈折率を特定の範囲に固定することを基本原理としている。
【0005】
傾斜材料を用いて反射防止膜などの用途に有用な有機−無機複合傾斜材料が提案されている(特許文献2及び特許文献3)。この有機−無機複合傾斜材料は、基板上に形成されたところの、金属系化合物の組成比が材料の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有することを特徴とする。しかしながら、この特許文献2には、屈折率の相違する複数の透明部材からなる積層体に入射する光が前記透明部材同士の界面で反射することにより出射光量の減少を防止することについては、何も触れるところがない。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−129101号公報(請求項1)
【特許文献2】
特開2001−89679(請求項1、[0009])
【特許文献3】
特開2000−336281(請求項1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、複数の屈折率の相違する透明部材の積層体であって、その積層体の一方から入射する光の量を低減させることなくその積層体の他方から出射することができる積層体を提供することを、その課題とする。この発明は、前記積層体を用いることによって、透過光量の減衰が少なくて視認性及びコントラストの良好な光学部材を提供することを、その課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、屈折率の異なる透明部材層Aと透明部材層Bとの間に透明中間層Cを有し、前記透明部材層Aの、前記透明中間層Cに向かう面イにおける屈折率nACと、前記透明中間層Cの、前記透明部材層Aに向かう面ロにおける屈折率nCAとの差、及び前記透明部材層Bの、前記透明中間層Cに向かう面ハにおける屈折率nBCと、前記透明中間層Cの、前記透明部材層Bに向かう面ニにおける屈折率nCBとの差が、いずれも大きくとも0.05であり、
前記透明中間層Cが、マトリックス成分Dと前記マトリックス成分Dの屈折率とは異なる屈折率を有する成分Eとから成り、
前記透明中間層C中の成分Eの含有率が前記透明中間層Cの深さ方向に連続的に、又は段階的に変化していて、
前記成分Eは、平均粒径が、大きくとも100nmである無機化合物の微粒子であり、
かつ前記透明中間層の屈折率が面ニから面ロに向けて厚み方向に連続的に、又は段階的に変化していることを特徴とする積層体であり、
請求項2は、前記透明部材層A及び前記透明部材層Bのいずれか一方の透明部材層が、透明導電性薄膜層である請求項1に記載の積層体であり、
請求項3は、表面ロの屈折率nCAと前記表面ニの屈折率nCBとの差(nCA−nCB)の絶対値が、小さくとも0.05である請求項1又は2に記載の積層体であり、
請求項4は、前記透明中間層Cが、粘着剤層又は接着剤層である請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体であり、
請求項5は、前記透明中間層Cが、多層構造である請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体であり、
請求項6は、前記マトリックス成分Dが、高分子化合物である請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体であり、
請求項7は、前記高分子化合物が、熱可塑性樹脂である請求項6に記載の積層体であり、
請求項8は、前記無機化合物が、金属化合物である請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層体であり、
請求項9は、前記透明中間層Cが、多層コート法、又は多層押し出し法により製造された請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層体であり、
請求項10は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の積層体を有することを特徴とする光学部材である。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明に係る積層体は、たとえば図1に示されるように、屈折率の異なる透明部材層Aと透明部材層Bとの間に透明中間層Cを有する積層体であり、前記透明部材層Aの、前記透明中間層Cに向かう面イにおける屈折率nACと、前記透明中間層Cの、前記透明部材層Aに向かう面ロにおける屈折率nCAとの差、及び前記透明部材層Bの、前記透明中間層Cに向かう面ハにおける屈折率nBCと、前記透明中間層Cの、前記透明部材層Bに向かう面ニにおける屈折率nCBと差が、特定の値を有し、しかも、屈折率がこの透明中間層Cの深さ方向において連続的に、又は段階的に変化するという特殊の透明中間層Cを有して成る。この発明に係る積層体において、透明部材層Aの屈折率が透明部材層Bの屈折率よりも小さく設定されるときには、透明中間層Cの屈折率は、透明部材層A側から透明部材層B側へと漸次に連続的に、又は段階的に大きく変化し、透明部材層Aの屈折率が透明部材層Bの屈折率よりも大きく設定されるときには、透明中間層Cの屈折率は、透明部材層Aから透明部材層B側へと漸次に連続的に、又は段階的に小さく変化する。
【0010】
前記透明部材層A又は透明部材層Bを構成する材料としては、透明な膜に形成可能な素材である限り特に制限がなく、熱可塑性樹脂及び金属酸化物等を挙げることができる。この透明部材層A及び透明部材層Bは、その好ましい吸水率が大きくても0.5重量%、特に好ましい吸水率が大きくても0.1重量%、さらに好ましい吸水率が大きくても0.01重量%である。この透明部材層A及び透明部材層Bの吸水率が前記範囲内にあると、寸法安定性に優れるため、大きさの制約を受けない(大型化が容易)という利点がある。ここで、吸水率は、前記透明部材層A又は透明部材層Bを構成する素材で形成してなるフィルム状の試験片を一定温度の水中に一定時間浸漬し、増加した質量の浸漬前の試験片質量に対する百分率で表すことができる。通常の場合、吸水率は、23℃の水中に24時間、試験片を浸漬して測定されることができる。
【0011】
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、脂環式構造含有重合体、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルポリスルホン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリレート系樹脂等を挙げることができる。これら樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂、及び脂環式構造含有重合体が好ましく、特に脂環式構造含有重合体が成形性、透明性及び低複屈折に優れる点で好ましい。
【0012】
前記脂環式構造含有重合体は、繰り返し単位中に脂環式構造を含有する重合体であり、主鎖又は側鎖に脂環式構造を含有する重合体を挙げることができる。脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等を挙げることができるが、熱安定性の観点からシクロアルカン構造が好ましい。
【0013】
重合体中の脂環式構造を構成する炭化水素の炭素数に特に制限はないが、通常は4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは6〜15個である。炭素数がこのような範囲にあることにより、耐熱性及び柔軟性に優れた薄膜を得ることができる。
【0014】
繰り返し単位中に脂環式構造を有する重合体中のその繰り返し単位の割合は、この発明に係る積層体の使用態様に応じて適宜、決定されるが、通常は50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。この繰り返し単位の割合が過度に小さいときは、積層体の耐熱性が低下することがあるので望ましくない。なお、脂環式構造を含有する繰り返し単位以外の繰り返し単位の割合も、積層体の使用態様に応じて適宜、決定される。
【0015】
このような脂環式構造含有重合体の具体例としては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体及びこれら重合体の水素化物等を挙げることができる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体が好ましい。
【0016】
ノルボルネン系重合体としては、具体的には、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体およびそれらの水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体と共重合可能なその他の単量体との付加型共重合体等を挙げることができる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素添加物が最も好ましい。
【0017】
前記脂環式構造含有重合体樹脂は、例えば、特開2002−321302号公報等に開示されている公知の重合体を含む。
【0018】
この発明において好ましく用いられる脂環式構造含有重合体のガラス転移温度は、積層体の使用態様に応じて適宜、決定されるが、通常は80℃以上、好ましくは100〜250℃である。このようなガラス転移温度を有することにより、高温下の使用における変形や応力を生じることのない耐久性に優れた積層体とすることができる。また、脂環式構造含有重合体の分子量分布〔重量平均分子量(Mw)/数平均分子量〕(Mn) 〕に特に制限はないが、通常は1.0〜10.0、好ましくは1.1〜4.0、より好ましくは1.2〜3.5である。
【0019】
この発明に係る積層体の一部を構成する透明部材A又は透明部材Bは、前記脂環式構造含有重合体をフィルム状、シート状又は板状の成形体に成形することによって得ることができる。この成形方法に特に制限はなく、例えば、加熱溶融成形法、溶液流延法等の通常の成形方法を採用することができる。中でも、成形体中の揮発性成分を低減させることのできる加熱溶融成形法が好ましい。
【0020】
加熱溶融成形法には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法等があり、これらの中でも、機械的強度及び表面精度等に優れるフィルムを得るためには、溶融押出成形法が好適である。
【0021】
成形条件は、成形方法によって一律ではないが、溶融押出成形法による場合のシリンダー温度は、好ましくは100〜600℃、より好ましくは150〜350℃である。
【0022】
得られる成形体の厚みは、積層体の使用態様等に応じて適宜、決定されるが、安定的に均質な成形体を得るためには、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜200μmである。
【0023】
透明部材A又は透明部材Bには、熱可塑性樹脂、特に脂環式構造含有重合体の他に、この発明の目的を阻害しない限り、可塑剤、劣化防止剤等の添加剤が加えられていてもよい。劣化防止剤としては、例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤等を挙げることができる。これら添加剤の添加量は、熱可塑性樹脂に対し、通常は0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%である。
【0024】
この発明に係る積層体を構成する透明部材層A又は透明部材層Bが熱可塑性樹脂で形成されている場合には、配向性を向上させるために、又は配向性を制御するために、延伸処理されていても良い。この延伸処理は、一軸延伸処理であってもよく、二軸延伸処理であってもよい。二軸延伸処理の場合は、同時二軸延伸処理及び逐次二軸延伸処理のいずれであってもよい。
【0025】
前記延伸処理における延伸倍率に特に制限はないが、通常は1.2〜3.0、好ましくは1.4〜2.0である。延伸処理に当たっては、通常の延伸方法を採用することができ、例えば、インフレーション法、Tダイ法等を挙げることができる。
【0026】
この発明における透明部材層A又は透明部材層Bは、透明な薄膜に形成可能な金属酸化物で構成することもできる。この金属酸化物としては、例えば、In2O3、SnO2、In2O3−SnO2、SnO2−Sb2O5等を挙げることができ、In2O3−SnO2が好ましい。これら金属酸化物は、透明電極とすることができる透明導電性薄膜に形成される。
【0027】
前記透明部材層A又は透明部材層Bを前記金属酸化物で形成する場合、その金属酸化物の層の厚みは、この積層体の用途に応じて適宜に決定されるのであり、その一例として通常1nm〜10μm、好ましくは10nm〜100nmである。
【0028】
透明部材層Aを前記金属酸化物で形成する場合、透明部材層Bの表面に形成された透明中間層Cの表面に、金属酸化物の膜を、蒸着法、スパッタリング法、ゾルゲル法、及びスプレー法等により、形成することができる。また透明部材層Bを前記金属酸化物で形成する場合についても、透明部材層Aの表面に形成された透明中間層Cの表面に、金属酸化物の膜を前記と同様の方法により形成することができる。
【0029】
透明中間層Cは、透明部材層Aと透明部材層Bとの間に形成される。この発明において重要なことの一つは、この透明中間層Cの、透明部材層Aに向かう表面ロの屈折率nCAと、前記透明部材層Aの、透明中間層Cに向かう表面イの屈折率nACとの差が大きくとも0.05であり、好ましくは大きくとも0.02であり、またこの透明中間層Cの、透明部材層Bに向かう表面ニの屈折率nCBと、前記透明部材層Bの、透明中間層Cに向かう表面ハの屈折率nBCとの差が大きくとも0.05であり、好ましくは大きくとも0.02である。
【0030】
前記屈折率の差が0.05よりも大きくなると、透明中間層Cと前記透明部材層A又は透明部材層Bとの界面における光の反射量が多くなり、この積層体の用途によっては視認性が不良となり、またコントラストが悪くなり、さらに光の透過率が低下するので輝度の低下が起こる。
【0031】
また、この発明における重要なことの一つは、透明中間層Cの屈折率が、厚み方向に連続的に、又は段階的に変化することである。例えば透明部材層Aの屈折率が透明部材層Bの屈折率よりも大きいときには、透明中間層Cの屈折率が、透明部材層Aから透明部材層Bに向かって連続的に、又は段階的に小さくなり、逆に、透明部材層Aの屈折率が透明部材層Bの屈折率よりも小さいときには、透明部材層Cの屈折率が、透明部材層Aから透明部材層Bに向かって連続的に、又は段階的に大きくなる。
【0032】
このように透明中間層Cにおける屈折率が、連続的に、又は段階的に変化することにより入射光の界面における反射が少なくなり、透過光量のロスが少なくなる。透過光量のロスが少ないと、積層体の背後から光を照射したときに、その積層体の正面からみると輝度の大きな画面として積層体を視認することができる。
【0033】
透明中間層Cにおける屈折率を漸次連続的に、又は段階的に変化させるには、透明中間層Cが、マトリックス成分Dと前記マトリックス成分Dの屈折率とは異なる屈折率を有する成分Eとを有し、前記成分Eの透明中間層Cにおける含有率がこの透明中間層Cの厚み方向において実質的に連続的に、又は段階的に変化するように透明中間層Cを構成するのが、好ましい。成分Eを有することにより、透明中間層Cにおける屈折率の調整が容易になり、屈折率が連続的又は段階的に変化する構造を作りやすくなる。具体的には、前記マトリックス成分Dの屈折率と成分Eの屈折率との差が、小さくても0.1(0.1以上)、特に小さくても0.3(0.3以上)であるように、マトリックス成分D及び成分Eの組合せを採用するのが、好ましい。前記マトリックス成分Dの屈折率と成分Eの屈折率との差が前記範囲内にあると、用いる成分Eの量を少なくすることができ、それによりマトリックス成分Eの物性の低下を抑えることができるので、一層好ましくなる。
【0034】
前記マトリックス成分Dとしては、透明な高分子化合物特に熱可塑性樹脂を好適例として挙げることができる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、脂環式構造含有重合体、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルポリスルホン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリレート系樹脂等を挙げることができる。これら樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂、及び脂環式構造含有重合体が好ましく、特に脂環式構造含有重合体が成形性、透明性及び低複屈折に優れる点で好ましい。これらの中でも透明性などの観点から脂環式構造含有重合体、及びポリ(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0035】
ここで、前記マトリックス成分Dとして、脂環式構造含有重合体を用いる場合は、極性基を有するものであってもよい。極性基を有するものを用いることにより、成分D中の成分Eの分散性が良くなり、それによって、透明中間層Cのヘイズ値を向上させることができる。
【0036】
極性基の種類としては、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、珪素原子、ハロゲン原子などが挙げられるが、層状結晶化合物との分散性や他の樹脂との相溶性の観点から、酸素原子や窒素原子が好ましい。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、二トリル基、スルホン基、酸無水物残基などが挙げられる。
【0037】
極性基を有する脂環式構造含有重合体を得る方法としては、例えば、脂環式構造含有重合体がノルボルネン系重合体の場合に、(1)ノルボルネン系単量体の中で、極性基を有しないモノマーを重合して得られる未変性重合体に、極性基を有する化合物を反応(変性反応)させる方法、(2)ノルボルネン系単量体の中で、極性基を有しないノルボルネン系単量体と極性基を有するノルボルネン系単量体とを選んで、それらを重合する方法、(3)ノルボルネン系単量体の中で、極性基を有しないノルボルネン系単量体を重合して得られる重合体と、極性基を有するノルボルネン系単量体を重合して得られる重合体又は極性基を有しないノルボルネン系単量体を重合して得られる未変性重合体に極性基を有する化合物を反応(変性反応)させて得られた変性重合体とを混合する方法などが挙げられるが、特に制限されない。
【0038】
また、このマトリックス成分Dは、粘着剤又は接着剤であることも好ましい。マトリックス成分Dと成り得る粘着剤又は接着剤としては、熱可塑性樹脂系のものや熱硬化性樹脂系のものが挙げられる。
【0039】
熱可塑性樹脂系の粘着剤又は接着剤としては、酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルアセタール系、塩化ビニル系、アクリル系、ポリアミド系、ポリエチレン系、セルロース系などが挙げられる。中でも、アクリル系粘着剤又は接着剤が好ましい。アクリル系粘着剤又は接着剤における主成分としては、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等と、メタクリル酸エステル、スチレン、アクリロ二トリル、酢酸ビニル等との共重合体が、好適である。
【0040】
熱硬化性樹脂系の粘着剤又は接着剤としては、メラミン系、フェノール系、レゾルシノール系、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ポリアロマティック系などが挙げられる。中でも、ポリウレタン系粘着剤若しくは接着剤、又はエポキシ系粘着剤若しくは接着剤が好ましい。ポリウレタン系粘着剤若しくは接着剤は、イソシアネートとアルコールとをアルコール過剰で反応させたポリマーを主成分とし、ホットメルトとして又は溶剤溶解型として好適に使用される。ポリウレタン系粘着剤若しくは接着剤は、アミン硬化剤等の硬化剤を用いて常温下で、又は加熱により容易に硬化する。これら粘着剤または接着剤は、その使用形態としてフィルム、水溶液、エマルジョン等であってもよい。
【0041】
前記マトリックス成分Dの屈折率とは異なる屈折率を有する成分Eとしては、無機化合物の微粒子を挙げることができる。
【0042】
前記無機化合物としては、前記マトリックス成分Dに不溶性である限り各種の化合物を採用することができる。好適な無機化合物としては、金属化合物が挙げられ、具体的には、金属酸化物及び有機金属化合物を挙げることができる。前記金属酸化物としては、Mg、Al、Si、K、Ca、Ti、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Zr、Pd、Ag、Sn、Pt及びAuよりなる群から選ばれた少なくとも一種の金属の酸化物を好適例として挙げることができる。さらに好ましい金属酸化物としては、Al2O3、TiO2、SnO2、ZnO等を挙げることができる。前記有機金属化合物としては、Mg、Al、Si、K、Ca、Ti、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Zr、Pd、Ag、Sn、Pt及びAuよりなる群から選ばれた少なくとも一種の金属のアルコキシド、前記金属のアセチルアセトナート等を挙げることができる。前記有機金属化合物の中でも、前記金属のアルコキシドが好ましく、特にチタンアルコキシドが好ましく、就中チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシドが好ましい。
【0043】
前記成分Eは、平均粒径が大きくとも500nmであり、特に大きくとも100nmである微粒子が、好ましい。成分Eである微粒子の平均粒径が500nmよりも大きいと、マトリックス成分Dと微粒子との界面で光散乱が生じて透明性が低下するおそれを生じる。
【0044】
ここで、前記微粒子の平均粒径は、市販の粒度分布測定装置例えばレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD-70000)を用いて測定することができる。
【0045】
また、前記微粒子は、表面処理された粒子であることが望ましい。表面処理は、その微粒子がマトリックス成分Dに対する濡れ性を向上させ、マトリックス成分D中における微粒子の分散性を向上させるためである。このような表面処理としては、カップリング剤を用いた処理を挙げることができる。前記カップリング剤としては、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、アセトアルコキシアルミニウウジプロピオレレート等のアルミニウム系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート及びイソプロピルトリオクタノイルチタネート等のチタネート系カップリング剤等を挙げることができる。
【0046】
この透明中間層Cの屈折率がこの透明中間層Cの厚み方向に沿って連続的に、又は段階的に変化する、そのような透明中間層Cは、例えば、(1)多層コート法、(2)多層押出し法等により形成することができる。
【0047】
前記多層コート法は、透明部材層A又は透明部材層Bの表面に、成分Eの濃度が異なる透明中間層用塗工液を順次に塗工する方法である。さらに言うと、図2に示されるように、透明部材層A又は透明部材層Bの表面に、成分Eを所定濃度で含有する成分Eとマトリックス成分Dとの混合物である第1透明中間層用塗工液を、塗布して第1透明中間層塗工層1を形成し、次いで前記第1透明中間層用塗工液における濃度とは異なる濃度で含有される成分Eとマトリックス成分Dとの混合物である第2透明中間層用塗工液を、前記第1透明中間層用塗工層1の表面に塗布して第2透明中間塗工層2を形成し、次いで順次に同様にして前記透明部材層A又は透明部材層Bの表面に塗工された前記第(n−1)透明中間塗工層(n-1)の表面に前記第n透明中間層用塗工液を塗布して第n透明中間塗工層nを形成することにより、n層の透明中間塗工層から成る透明中間層Cが形成される。なお、前記nは整数を示す。
【0048】
この透明中間層用塗工液の塗布は、ロールコータ法、流延法、刷毛塗り法等により行うことができる。
【0049】
前記多層コート法において、例えば透明部材層Aの屈折率が透明部材層Bの屈折率よりも大きい場合には、第1透明中間層用塗工液における成分Eの濃度が第2透明中間層用塗工液における成分Eの濃度よりも大きく、第2透明中間層用塗工液における成分Eの濃度が第3透明中間層用塗工液における成分Eよりも大きくするというように、第(k−1)透明中間層用塗工液における成分Eの濃度を第k透明中間層用塗工液における成分Eの濃度よりも高く調整しておくことにより、透明中間層Cにおける成分Eの濃度を透明部材層A側から透明部材層B側に向かって段階的に又は連続的に漸次小さくしていく。なお、kは2以上n以下の整数である。
【0050】
前記多層コート法において、透明部材層Aの屈折率が透明部材層Bの屈折率よりも小さい場合は、前記と逆の態様となる。
【0051】
第k透明中間層用塗工液における成分Eの濃度は、この第k透明中間層用塗工液が乾燥して膜が形成されたときのその膜の屈折率が所望の値になるように、適宜に調節される。
【0052】
かくして例えば透明部材層Aの表面に、多層の透明中間層から成る透明中間層Cが形成されるので、この透明中間層Cの表面に、透明部材層Bを形成することによって、この発明に係る積層体が得られる。
【0053】
前記多層押出し法は、多層フィルムを成形する共押出し成形法の一種である。前記共押出し法は、Tダイ法及びインフレーション法のいずれであっても良い。図3に示されるように、この多層押出し法では、複数の押出しノズル3,4,5を有する複合押出しノズル装置6を用い、前記複数の押出しノズル3,4,5それぞれから、互いに異なる濃度で含有される成分Eとマトリックス成分Dとの混合物である透明中間層用樹脂液7,8,9を吐出して複合フィルム10が形成される。複合フィルムにおいては、例えば第1層目である第1透明中間層用フィルムにおける成分Eの濃度よりも、第2層目である第2透明中間層用フィルムにおける成分Eの濃度を小さく、第3層目である第3透明中間層用フィルムにおける成分Eの濃度を第2透明中間層用フィルムにおける成分Eの濃度よりも小さくし、このように順次に隣接する透明中間層用フィルムにおける成分Eの濃度を変化させる。その結果、n層からなる多層の複合フィルムからなる透明中間層Cが、この多層押出し法により、形成される。なお、図3においては、説明の便宜状3層の透明中間層が示されている。図3に示されるように、多層の複合フィルムである透明中間層Cを、透明部材層A又は透明部材層Bに圧着し、又は前記透明部材層Aと透明部材層Bとの間に介装し、熱圧着等により一体化すると、この発明に係る積層体が形成される。図3において、11及び12で示されるのは圧着ロールである。
【0054】
前記透明中間層Cを多層コート法及び多層押出し法のいずれによって形成するにしても、透明中間層Cの透明部材層A側の表面ロの屈折率nCAと前記透明中間層Cの透明部材層B側の表面ニの屈折率nCBとの差(nCA−nCB)の絶対値が、小さくとも0.05であるように、換言すると、|nCA−nCB|≧0.05の関係を満たすように、透明中間層Cにおける屈折率を調整するのが、好ましい。
【0055】
前記屈折率の差の絶対値(|nCA−nCB|)が、小さくとも0.05であるとこの発明の目的をよく達成することができる。また、透明中間層Cの透明部材層A側の表面ロの屈折率nCA、及び前記透明中間層Cの透明部材層B側の表面ニの屈折率nCBは、マトリックス成分D及び成分Eの種類、並びに成分Eの濃度を適切に設定することにより調整することができる。
【0056】
なお、この発明において屈折率は屈折計により測定した値である。この屈折計は、J.A.Woollam社製、「U-2000」である。透明中間層Cの厚さは、通常、0.1〜200μm、好ましくは、1〜60μmである。
【0057】
このようにして得られる積層体は、例えばプラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ(OELD)、及びフィールドエミッションディスプレイ(FED)等の自発光型ディスプレイ、並びに、透過型又は反射型の液晶ディスプレイ(LCD)及びデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)等の受光型ディスプレイ等に採用することができ、特にタッチパネル機能を有する表示素子に好適に採用することができる。積層体の厚さは、上記用途に応じて適宜選択され、10μm〜1mm、好ましくは30μm〜300μmである。
【0058】
これらディスプレイ等の光学部材にこの発明に係る積層体を利用すると、透過光光量のロスがなく、したがってコントラストの良好な画像を表示することができ、また光の反射が少ないので画像を視認性よく観察することができる。
【0059】
【実施例】
以下に、実施例を挙げてこの発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例によってこの発明はなんら限定されるものではない。なお、以下、「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
【0060】
(実施例1)
アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールBR102)をメチルセロソルブに、前記アクリル樹脂の固形分濃度が30質量%になるように、溶解してマトリックス成分D液を調製した。
【0061】
チタンテトラブトキシドをブタノールに、チタンテトラブトキシドの固形分濃度が30質量%になるように、混合して成分E液を調製した。
【0062】
前記マトリックス成分D液と前記成分E液とを混合し、固形分濃度が10質量%に成るようにさらにメチルセロソルブを加えて、表1に示されるような屈折率を有する第1〜10透明中間層と成り得る塗布液1〜塗布液10を調製した。
【0063】
透明部材層Aを構成する材料としてノルボルネン系重合体(1)(日本ゼオン(株)製、商品名:ZEONOR1420R、吸水率0.01質量%以下、屈折率1.53)を採用した。溶融押し出し法により得た厚み188μmのフィルムである透明部材層Aの表面に、ロールコータにより、前記塗布液1を塗工し、100℃の乾燥器内を10m/秒の速度で2分間通過させて塗布層を乾燥した。これによって透明部材層Aの表面に第1透明中間層が形成された。
【0064】
乾燥後、前記第1透明中間層の表面に、ロールコータにより、前記塗布液2を塗工し、100℃の乾燥器内を10m/秒の速度で2分間通過させて塗布層を乾燥した。これによって第1透明中間層の表面に第2透明中間層が形成された。
【0065】
以後同様にして、透明部材層Aの表面に、第1透明中間層〜第10透明中間層をこの順に積層することにより、透明中間層Cを形成した。この透明中間層Cの厚さは11μmであった。
【0066】
次いで、酸化インジウム90質量%及び酸化第二錫10質量%から成る酸化物をターゲットにし、アルゴン及び酸素の混合ガス(アルゴンと酸素との容積比;99:1)雰囲気下に、スパッタ装置にて、ITOから成る厚み100nmの透明導電性薄膜を透明部材層Bとして、前記第10透明中間層の表面に形成することにより、透明な積層体(1)を製造した。
【0067】
微細プリズム構造を形成してなる導光板の側面に、直径3mmの冷陰極管を配置し、銀を蒸着してなるポリエステルフィルムから成る光源ホルダで冷陰極管を包囲し、銀を蒸着してなるポリエステルフィルムから成る反射シートを導光板の下面に配置して成るサイドライト型面光源装置を用意した。次いで、この面光源装置の導光板上面に、シリカ粒子を含有すると共に表面が微細凹凸構造を有する拡散シートを配置し、その上にさらに、前記積層体(1)を載置することによりバックライト装置を構成した。
【0068】
このバックライト装置を点灯したときの輝度を、輝度測定装置(ミノルタカメラLS110型)で測定した。測定された輝度を表2に示した。
【0069】
(実施例2)
前記実施例1と同様にしてマトリックス成分D液を調製した。チタンテトラブトキシドの代わりにトリ−n−ブトキシアルミニウムを使用した外は前記実施例1と同様にして、トリ−n−ブトキシアルミニウムの固形分濃度が30質量%である成分E液を調製した。
【0070】
前記マトリックス成分D液と前記成分E液とを混合し、固形分濃度が10質量%に成るようにさらにメチルセロソルブを加えて、表1に示されるような屈折率を有する第1〜10透明中間層と成り得る塗布液1〜塗布液10を調製した。
【0071】
実施例1におけるのと同じ透明部材層Aの表面に、前記実施例1におけるのと同様にして、第1透明中間層〜第10透明中間層をこの順に積層することにより、透明中間層Cを形成した。この透明中間層Cの厚さは10μmであった。
【0072】
次いで、前記実施例1と同様にして、透明部材層Bとして、前記実施例1におけるのと同様の透明導電性薄膜を前記第10透明中間層の表面に形成することにより、透明な積層体(2)を製造した。
【0073】
この積層体(2)を前記実施例1と同様にしてバックライト装置に装着し、前記実施例1と同様にして輝度を測定した。測定結果を表1に示した。
【0074】
(実施例3)
実施例1における成分E液の代わりに、表面をイソプロピルトリイソステアロイルチタネートで表面処理をした酸化チタン微粒子(平均粒径:30nm、屈折率2.70)をメチルエチルケトンに分散してなる酸化チタン微粒子含有液を成分E液とした。前記実施例1におけるのと同じマトリックス成分D液と前記成分E液とを混合し、固形分濃度が10質量%に成るようにさらにメチルセロソルブを加えて、表1に示されるような屈折率を有する第1〜10透明中間層と成り得る塗布液1〜塗布液10を調製した。
【0075】
前記実施例1におけるのと同じ透明部材層Aの表面に、前記実施例1におけるのと同様にして、第1〜10透明中間層を積層形成することにより、透明部材層Aの表面に透明中間層Cを形成した。この透明中間層Cの厚さは10μmであった。
【0076】
この透明中間層Cの表面に、前記実施例1と同様にして、透明部材層Bとして、前記実施例1と同様の透明導電性薄膜を形成することにより、透明な積層体(3)を製造した。
【0077】
得られた透明な積層体(3)につき、前記実施例1と同様にして輝度の測定を行い、その結果を表2に示した。
【0078】
(実施例4)
攪拌機及び三方コックを装着した1リットルのフラスコに、ノルボルネン系重合体(2)(日本ゼオン株式会社製、商品名:ZEONEX480R)240部と無水マレイン酸35.8部とtert-ブチルベンゼン562部とをこの順に仕込み、室温にて撹拌し、次いで系内を窒素置換した。その後、130℃に昇温し、前記ノルボルネン系重合体(2)及び無水マレイン酸を完全に溶解した。ジクミルパーオキサイド16.2部をシクロヘキサノン137部に溶解した溶液を滴下ロートにて前記フラスコ内に滴下した。130℃で4時間、前記フラスコの内容物を撹拌した。次いで室温にまで冷却し、大量のアセトン中に、前記フラスコ内の内容物を加え、生成した樹脂を凝固させた。この樹脂を濾別し、乾燥することにより、マレイン酸変性重合体(2)273部を得た。
【0079】
このマレイン酸変性重合体(2)(屈折率1.53)を、固形分濃度が30質量%に成るように、トルエンに溶解することにより、マトリックス成分D液を調製した。
【0080】
このマトリックス成分D液と前記実施例3における成分E液とを用いて、前記実施例3におけるのと同様にして、表1に示されるような屈折率を有する第1〜10透明中間層となり得る塗布液1〜塗布液10を調製した。
【0081】
実施例1におけるのと同じ透明部材層Aの表面に、前記実施例1におけるのと同様にして、第1透明中間層〜第10透明中間層をこの順に積層することにより、透明中間層Cを形成した。この透明中間層Cの厚さは11μmであった。
【0082】
前記実施例1と同様にして、透明部材層Bとして、前記実施例1におけるのと同様の透明導電性薄膜を前記第10透明中間層の表面に形成することにより、透明な積層体(4)を製造した。
【0083】
この積層体(4)を前記実施例1と同様にしてバックライト装置に装着し、前記実施例1と同様にして輝度を測定した。測定結果を表1に示した。
【0084】
(実施例5)
ノルボルネン系重合体(1)(日本ゼオン(株)製、商品名:ZEONOR 1420R)を、トルエンとシクロヘキサンとの混合比率が50:50であるトルエン/シクロヘキサン混合溶媒に、前記ノルボルネン系重合体(1)の固形分濃度が30質量%になるように、溶解してマトリックス成分D液を調製した。
【0085】
成分E液として、表面をγ−クロロプロピルトリメトキシシランで表面処理をした酸化亜鉛微粒子(平均粒径:34nm、屈折率2.01)をメチルエチルケトンに分散してなる酸化亜鉛微粒子含有液を調製した。前記マトリックス成分D液と前記成分E液とを混合し、固形分濃度が10質量%に成るようにさらにメチルセロソルブを加えて、表1に示されるような屈折率を有する第1〜10透明中間層と成り得る塗布液1〜塗布液10を調製した。
【0086】
実施例1におけるのと同じ透明部材層Aの表面に、前記実施例1におけるのと同様にして、第1透明中間層〜第10透明中間層をこの順に積層することにより、透明中間層Cを形成した。この透明中間層Cの厚さは12μmであった。
【0087】
前記実施例1と同様にして、透明部材層Bとして、前記実施例1におけるのと同様の透明導電性薄膜を前記第10透明中間層の表面に形成することにより、透明な積層体(5)を製造した。
【0088】
この積層体(5)を前記実施例1と同様にしてバックライト装置に装着し、前記実施例1と同様にして輝度を測定した。測定結果を表1に示した。
【0089】
(実施例6)
市販のポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン(株)製、商品名:WWA-6085)を主剤とし、市販のポリイソシアナート(日本ポリウレタン(株)製、HARDNER110)を硬化剤とし、この主剤と硬化剤とを100対10の混合比で混合し、固形分濃度が30質量%になるように酢酸エチルで稀釈することにより、マトリックス成分D液を調製した。
【0090】
前記マトリックス成分D液と前記実施例3におけるのと同じ成分E液とを混合し、固形分濃度が10質量%に成るようにさらに酢酸エチルを加えて、表1に示されるような屈折率を有する第1〜10透明中間層と成り得る塗布液1〜塗布液10を調製した。
【0091】
前記実施例1におけるのと同じ透明部材層Aの表面に、前記実施例1におけるのと同様にして、第1〜10透明中間層を積層形成することにより、透明部材層Aの表面に透明中間層Cを形成した。この透明中間層Cの厚さは9μmであった。
【0092】
この透明中間層Cの表面に、前記実施例1と同様にして、透明部材層Bとして、前記実施例1と同様の透明導電性薄膜を形成することにより、透明な積層体(6)を製造した。
【0093】
得られた透明な積層体(6)につき、前記実施例1と同様にして輝度の測定を行い、その結果を表2に示した。
【0094】
(実施例7)
エポキシ系接着剤(味の素ファインテクノ(株)製、商品名:ブレーンセットAE−10)を、メチルエチルケトンに、前記エポキシ系接着剤の固形分濃度が30質量%になるように、溶解してマトリックス成分D液を調製した。
【0095】
前記マトリックス成分D液と前記実施例3におけるのと同じ成分E液とを混合し、固形分濃度が10質量%に成るようにさらにトルエンを加えて、表1に示されるような屈折率を有する第1〜10透明中間層と成り得る塗布液1〜塗布液10を調製した。
【0096】
前記実施例1におけるのと同じ透明部材Aの表面に、前記実施例1におけるのと同様にして、第1〜10透明中間層を積層形成することにより、透明部材Aの表面に透明中間層Cを形成した。この透明中間層Cの厚さは10μmであった。
【0097】
この透明中間層Cの表面に、透明部材層Bとして、前記実施例1と同様にして、前記実施例1と同様の透明導電性薄膜を形成することにより、透明な積層体(7)を製造した。
【0098】
得られた透明な積層体(7)につき、前記実施例1と同様にして輝度の測定を行い、その結果を表2に示した。
【0099】
(比較例1)
アクリル樹脂の固形分濃度が20質量%になるようにした外は前記実施例1と同様にしてマトリックス成分D液を調製した。
【0100】
前記実施例1におけるのと同様の透明部材層Aの表面に、ロールコータにより、前記マトリックス成分D液を塗工し、100℃の乾燥器内を10m/秒の速度で5分間通過させて塗布層を乾燥した。これによって透明部材層Aの表面に一層の透明中間層が形成された。この透明中間層Cの厚さは10μmであった。
【0101】
この透明中間層の表面に、前記実施例1におけるのと同様にして、透明部材層Bとして、前記実施例1と同様の透明導電性薄膜を形成することにより、透明な積層体(8)を製造した。
【0102】
得られた透明な積層体(8)につき、前記実施例1と同様にして輝度の測定を行い、その結果を表2に示した。
【0103】
(比較例2)
前記実施例1におけるのと同様の透明部材層Aの表面に、ロールコータにより、前記実施例3におけるのと同様の塗布液5を塗工し、100℃の乾燥器内を10m/秒の速度で5分間通過させて塗布層を乾燥した。これによって透明部材層Aの表面に一層の透明中間層が形成された。この透明中間層の厚さは11μmであった。
【0104】
この透明中間層の表面に、透明部材層Bとして、前記実施例1におけるのと同様にして、前記実施例1と同様の透明導電性薄膜を形成することにより、透明な積層体(9)を製造した。
【0105】
得られた透明な積層体(9)につき、前記実施例1と同様にして輝度の測定を行い、その結果を表2に示した。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
【発明の効果】
この発明によると、複数の屈折率の相違する透明部材の積層体であって、その積層体の一方から入射する光の量を低減させることなくその積層体の他方から出射することができる積層体を提供することができる。この発明は、前記積層体を用いることによって、透過光量の減衰が少なくて視認性及びコントラストの良好な光学部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の一例である積層体を示す断面図である。
【図2】図2は、この発明の一例である積層体を製造する方法の一例である多層コート法を示す説明図である。
【図3】図3は、この発明の一例である積層体を製造する方法の他の例である多層押出し法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
A・・・透明部材層、B・・・透明部材層、C・・・透明中間層、1・・・第1透明中間塗工層、2・・・第2透明中間塗工層、n−1・・・第(n−1)透明中間塗工層、n・・・第n透明中間塗工層、3,4,5・・・押出しノズル、6・・・押出しノズル装置、7,8,9・・・透明中間層用樹脂液、10,11・・・圧着ロール
Claims (10)
- 屈折率の異なる透明部材層Aと透明部材層Bとの間に透明中間層Cを有し、前記透明部材層Aの、前記透明中間層Cに向かう面イにおける屈折率nACと、前記透明中間層Cの、前記透明部材層Aに向かう面ロにおける屈折率nCAとの差、及び前記透明部材層Bの、前記透明中間層Cに向かう面ハにおける屈折率nBCと、前記透明中間層Cの、前記透明部材層Bに向かう面ニにおける屈折率nCBとの差が、いずれも大きくとも0.05であり、
前記透明中間層Cが、マトリックス成分Dと前記マトリックス成分Dの屈折率とは異なる屈折率を有する成分Eとから成り、
前記透明中間層C中の成分Eの含有率が前記透明中間層Cの深さ方向に連続的に、又は段階的に変化していて、
前記成分Eは、平均粒径が、大きくとも100nmである無機化合物の微粒子であり、
かつ前記透明中間層の屈折率が面ニから面ロに向けて厚み方向に連続的に、又は段階的に変化していることを特徴とする積層体。 - 前記透明部材層A及び前記透明部材層Bのいずれか一方の透明部材層が、透明導電性薄膜層である請求項1に記載の積層体。
- 表面ロの屈折率nCAと前記表面ニの屈折率nCBとの差(nCA−nCB)の絶対値が、小さくとも0.05である請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記透明中間層Cが、粘着剤層又は接着剤層である請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記透明中間層Cが、多層構造である請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記マトリックス成分Dが、高分子化合物である請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記高分子化合物が、熱可塑性樹脂である請求項6に記載の積層体。
- 前記無機化合物が、金属化合物である請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記透明中間層Cが、多層コート法、又は多層押し出し法により製造された請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層体。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の積層体を有することを特徴とする光学部材。
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