JP4120463B2 - 高周波デバイス用キャップ、高周波デバイス用パッケージ及びその製造方法 - Google Patents

高周波デバイス用キャップ、高周波デバイス用パッケージ及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高周波デバイス用キャップ、高周波デバイス用パッケージ及びその製造方法に関し、特に、ミリ波デバイスに使用される矩形型の高周波デバイス用キャップ、高周波デバイス用パッケージ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ミリ波等の高周波で使用されるデバイスは、使用環境により特性及び信頼性が大きく変化するため、パッケージの確実な内部空間形成及びその維持がミリ波デバイスの特性上重要な要素になっている。このため、ミリ波デバイス用のパッケージには、気密封止構造が要求されている。このミリ波デバイス用パッケージは、一般に、回路形成上の制約により矩形型が採用されている。
【0003】
図4は代表的な矩形型パッケージである矩形型ハーメチックパッケージの構造を示す斜視図であり、図5は従来の矩形型ハーメチックパッケージの構造を示す断面図であり、図4に示すA−A線による断面図に相当する。図4及び図5に示すように、ハーメチックパッケージは、金属からなるベース部52に複数個のインターフェースピン56が挿入されており、このインターフェースピン56はガラス端子55により固定されている。また、ベース部52の上面には金属製のキャップ部51が接合されている。
【0004】
このベース部52とキャップ部51とを接合する方法としては、パラレルギャプシーム溶接法及びレーザ溶接法が利用されている。しかしながら、これらの方法は肉薄の素材のみ適用可能な方法であり、接合箇所がベース部52側である等の制約がある。更に、接合部(溶接部53)に隙間が発生しやすいため、これらの方法によりミリ波デバイス用パッケージを接合すると、電気特性が不安定になるという問題がある。この隙間の発生を防ぐためには、多大な作業時間を必要とする。以上の理由から、パラレルギャプシーム溶接法及びレーザ溶接法をミリ波デバイス用パッケージの封止に適用することは困難であった。
【0005】
そこで、ベース部とキャップ部との接合に、プロジェクション溶接法の適用が検討されている(例えば、特許文献1及び2参照)。プロジェクション溶接法は抵抗溶接法の一形態であり、プロジェクション(突起)が形成されている被溶接材を平面電極で加圧しながら通電し、このプロジェクションに電流と圧力を集中させて、溶融又は塑性流動を生じさせることにより被溶接材を接合する方法である。このプロジェクション溶接法をパッケージに適用する場合は、一般に、突起はベース部に形成されている。
【0006】
【特許文献1】
実開平5-76672号公報 (第4−5頁、第1図)
【特許文献2】
特開2001-44311号公報 (第3−4頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の従来の技術には以下に示す問題がある。特許文献1に記載のパッケージは、溶接時に溶解した突起の破片が内部に入り込むことの防止を目的としているため、気密性に問題がある。また、特許文献2に記載のパッケージは、キャップ部の湾曲部に突起を形成することによりキャップ部とベース部との隙間をなくしたものであるが、電磁シールド性は考慮されていない。更に、プロジェクション溶接法は修正が不可能であり、加圧、通電及び冷却を連続で実施しなければならないが、ミリ波用デバイス用パッケージのような極端な矩形型のパッケージは、図6に示す丸形のパッケージに比べて作業性に問題がある。デバイスの使用周波数が高くなる程、パッケージ内の内部域54における導波管モードで伝搬する電磁波の帰還が抑制されるため、今後、ミリ波デバイス用パッケージは、幅が狭く且つ縦横比が大きくなる傾向にある。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、気密性及び電磁シールド性が優れた高周波デバイス用キャップ、高周波デバイス用パッケージ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願第1発明に係る高周波デバイス用キャップは、開口端部を有する中空のキャップ部と、このキャップ部の前記開口端部にこの開口端部から外側に広がるように形成されたフランジ部とを有し、ベースの凹面上に搭載された高周波デバイスを覆うように前記フランジ部で前記ベースの凸面上に接合される高周波デバイス用キャップにおいて、前記フランジ部における前記ベースに接合される面のフランジ内周部分には前記開口端部に沿って環状の凸部が形成され、前記フランジ部における前記ベースに接合される面には前記フランジ部の外周に沿う複数位置に複数個の突起が形成されており、前記凸部及び前記突起を前記ベース上面に溶着させることにより前記高周波デバイスを封止するものであることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、フランジ部の外周部分に複数個の突起を形成することにより、前記フランジ部がベースに接合される際に、前記複数個の突起が前記ベース上面に広がり、前記フランジ部の外周部分にアウターシールド部を形成するため、前記フランジ部と前記ベースとを均一に且つ隙間なく接合することができる。また、前記フランジ部の内周側部分に環状の凸部を形成することにより、前記フランジ部がベースに接合される際に、前記凸部が前記フランジと前記ベースとの間を隙間なく埋めるため、前記キャップ部と前記ベースとで形成される内部域の電磁シールド性を確保することができ、更に内部域へ前記突起の破片が進入することを防ぐことができる。
【0011】
前記凸部及び前記複数個の突起は同等の高さを有することが好ましい。これにより、前記キャップがベース上に配置された際に、前記凸部と前記複数個の突起とが前記ベース上面に均一に接するため、前記ベースと前記フランジとを均一に接合することができる。また、前記キャップ部の横断面は、長円形状又は矩形にすることができる。
【0012】
本願第2発明に係る高周波デバイス用パッケージは、ベースと、このベースの凹面上に搭載された高周波デバイスと、前記高周波デバイスを覆うようにして前記ベースの凸面上に接合されるキャップと、を有し、前記キャップは、開口端部を有する中空のキャップ部と、このキャップ部の前記開口端部にこの開口端部から外側に広がるように形成され前記ベースの凸面に接合されフランジ部とを有し、前記フランジ部における前記ベースの凸面に接合された面には、そのフランジ内周部前記開口端部に沿って形成された環状の凸部が前記ベースの凸面に溶着されて形成されたインナーシールド部と、前記フランジ部の外周に沿う複数位置に形成された複数個の突起が前記ベース上面に溶着されて形成されたアウターシールド部と、が設けられており、これにより前記高周波デバイスが封止されていることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、前記凸部をベース上面に溶着させることにより前記フランジ内周側部分にインナーシールド部が形成され、前記複数個の突起を前記ベース上面に溶着させることにより前記フランジ部の外周側部分にアウターシールド部が形成されているため、内部域における気密性及び電磁シールド性の両方を確保することができる。
【0014】
前記凸部及び前記複数個の突起は、夫々同等の高さを有することが好ましい。これにより、キャップがベース上に配置された際に、前記凸部と前記複数個の突起とが前記ベース上面に均一に接するため、前記ベースと前記フランジとを均一に接合することができる。また、前記キャップ部の横断面は、例えば、長円形状又は矩形である。
【0015】
本願第3発明に係る高周波デバイス用パッケージの製造方法は、
ベースの凹面上に高周波デバイスを搭載する工程と、
開口端部を有する中空のキャップ部と、このキャップ部の前記開口端部にこの開口端部から外側に広がるように形成され前記ベースの凸面上に接合されるフランジ部とを有し、前記フランジ部における前記ベースの凸面に接合される面には、そのフランジ内周部前記開口に沿って形成された環状の凸部と、前記フランジ外周に沿う複数位置に形成された複数個の突起が形成されているキャップを、前記キャップ部が前記高周波デバイスを覆うように前記フランジ部を前記ベースの凸面上に重ねて配置する工程と、
前記フランジ部を加圧しながら前記ベース及び前記キャップに通電することにより前記凸部及び前記複数個の突起を前記ベースの凸面に溶着させて前記凸部によるインナーシールド部及び前記突起によるアウターシールド部により前記高周波デバイスを封止する工程と、
を有することを特徴とする。
【0016】
本発明においては、前記凸部により前記フランジ内周側部分にインナーシールド部が形成され、前記複数個の突起により前記フランジ部の外周側部分にアウターシールド部が形成されるため、内部域における気密性及び電磁シールド性の両方を兼ね備えるパッケージを製造することができる。
【0017】
前記封止する工程では、前記凸部以外の部分を加圧することが好ましい。これにより、これにより、前記複数個の突起は加圧されるため、隙間なく均一に溶着され、前記凸部は加圧されないため、ずれ及び変形がなく溶着される。その結果、内部域における気密性及び電磁シールド性を確保することができる。また、前記封止する工程は、プロジェクション溶接法により行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る高周波デバイス用パッケージについて添付の図面を参照して具体的に説明する。図1(a)は本実施形態の高周波デバイス用パッケージの構造を示す断面図であり、図1(b)はその封止後の状態を示す断面図である。図1(a)に示すように、本実施形態の高周波デバイス用パッケージは、金属からなるベース2にインターフェースピン6が挿入されており、このインターフェースピン6はガラス端子5により固定されている。ベース2の上面にはミリ波デバイス(図示せず)が配置され、インターフェースピン6に接続される。そして、このミリ波デバイスを覆うように、金属からなるキャップ1が配置される。
【0019】
本実施形態のキャップ1には、開口端部を有する中空のキャップ部1aと、このキャップ部の前記開口端部に形成されたフランジ部1bとが設けられている。このフランジ部1b内周側部分は、前記開口に沿ってベース2の方向に突出している(凸部3)。また、ベース2側の面の外周部分には、フランジ部1bの外周に沿って複数個の突起(プロジェクション部4)が形成されている。この凸部3とプロジェクション部4とは、高さが同等になるように形成されており、これらはキャップ1を成型する際に一体成形により形成される。そして、図1(b)に示すように、、凸部3及びプロジェクション部4がベース2の上面に溶着されて、インナーシールド部3a及びプロジェクション部4aが形成され、このインナーシールド部3a及びプロジェクション部4aにより、ミリ波デバイスが封止される。
【0020】
本実施形態の高周波デバイス用パッケージにおいては、アウターシールド部4aにより気密性が確保されるため、搭載される高周波デバイスの電気的特性を安定させることができる。また、インナーシールド部3aにより内部域7の電磁シールド性が確保されるため、キャプ部1bの内面とベース2の上面により確実な導波管構造を形成することができる。更に、インターフェース端子を持つピンヘッダー側の内壁に接触又は接合する構造にした場合、部品製造に関するコストが増加するが、本実施形態の高周波デバイスパッケージは、キャップ1に凸部3及びプロジェクション部4を形成しているため、従来製造技術の延長上にてミリ波帯まで対応することが可能である。更にまた、設計時における形状の自由度の拡大、生産時の原価低減及び歩留まり向上等の効果も期待できる。
【0021】
次に、本実施形態の高周波デバイス用パッケージの封止工程について説明する。本実施形態の高周波デバイスパッケージは、既存のプロジェクション溶接法を適用することができる。図2(a)乃至(f)は本実施形態の高周波デバイス用パッケージの封止方法をその工程順に示す断面図である。また、図3はその際使用される電極を示す分解斜視図である。
【0022】
先ず、図2(a)に示すように、ミリ波デバイス8が搭載されたベース2を下部電極9aの所定の位置に配置し、キャップ部1aがミリ波デバイス9を覆うようにキャップ1をベース2上に配置する。このとき、ベース2の上面に接しているのは、凸部3及びプロジェクション部4のみである。次に、図2(b)に示すように、フランジ部1bにおけるプロジェクション部4を含む部分(溶接部10)を上部電極9bで加圧する。但し、凸部3及びその近傍は加圧しない。そして、図2(c)に示すように、溶接部10を加圧した状態で所定の時間保持する。次に、図2(d)に示すように、溶接部10を加圧した状態でキャプ1及びベース2に通電する。このとき、フランジ部1bに形成された凸部3及びプロジェクション部4に電流が集中する。これにより、インナーシールド部3及びプロジェクション部4が発熱して溶融し、ベース2の上面に溶着する。次に、図2(e)に示すように、通電を解除した後、図2(f)に示すように、加圧を解除する。
【0023】
前述の封止工程においては、プロジェクション部4を加圧しながら溶接することにより、プロジェクション部4が変形してその周囲に広がり、アウターシールド部4aを形成するため、フランジ部1bとベース2とを均一に且つ隙間なく接合することができる。その結果、パッケージ内部における気密性が向上する。また、凸部3及びその近傍は加圧せずに溶接するため、凸部3は変形及びずれが発生せず、インナーシールド部3aを形成する。これにより、内部域7に導波管構造を形成することができる。更に、インナーシールド部3aはフランジ部1bの内縁部の全周に形成されているため、フランジ部1bとベース2とが隙間なく接合される。これにより、内部域7における電磁シールド性が確保され、更にプロジェクション部4の破片が内部域7に進入することを防ぐことができる。
【0024】
なお、本実施形態においては、凸部3及びプロジェクション部4をキャップ1との一体成型にて形成した場合について述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、キャップ1と同材質の金属を肉盛りすることにより形成したり、インナーシールド部及びプロジェクション部を別部材として作製して溶接、ろう付け、メッキ又は接着等によりフランジ部に接合したりすることもできる。
【0025】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、フランジ部におけるベースに接合される面の内周部側部分にキャップ部の開口に沿って凸部が形成され、外周部側部分には複数個の突起であるプロジェクション部が形成されたキャップを使用することにより、前記キャップとベースとの間にインナーシールド部及びアウターシールド部が形成されるため、優れた気密性及び電磁シールド性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本実施形態の高周波デバイス用パッケージの構造を示す断面図であり、図1(b)はその封止後の状態を示す断面図である。
【図2】(a)乃至(f)は本実施形態の高周波デバイス用パッケージの封止方法をその工程順に示す断面図である。
【図3】本実施形態の高周波デバイス用パッケージを封止する際に使用される電極を示す分解斜視図である。
【図4】矩形型ハーメチックパッケージの構造を示す斜視図である。
【図5】従来の矩形型ハーメチックパッケージの構造を示す断面図であり、図4に示すA−A線による断面図に相当する。
【図6】丸形のパッケージの構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1、51;キャップ
1a;キャップ部
1b;フランジ部
2、52;ベース
3;凸部
3a;インナーシールド部
4;プロジェクション部
4a;アウターシールド部
5、55;ガラス端子
6、56;インターフェースピン
7、54;内部域
8;ミリ波デバイス
9a;下部電極
9b;上部電極
10、53;溶接部

Claims (9)

  1. 開口端部を有する中空のキャップ部と、このキャップ部の前記開口端部にこの開口端部から外側に広がるように形成されたフランジ部とを有し、ベースの凹面上に搭載された高周波デバイスを覆うように前記フランジ部で前記ベースの凸面上に接合される高周波デバイス用キャップにおいて、前記フランジ部における前記ベースに接合される面のフランジ内周部分には前記開口端部に沿って環状の凸部が形成され、前記フランジ部における前記ベースに接合される面には前記フランジ部の外周に沿う複数位置に複数個の突起が形成されており、前記凸部及び前記突起を前記ベース上面に溶着させることにより前記高周波デバイスを封止するものであることを特徴とする高周波デバイス用キャップ。
  2. 前記凸部及び前記複数個の突起は同等の高さを有することを特徴とする請求項1に記載の高周波デバイス用キャップ。
  3. 前記キャップ部の横断面が長円形状又は矩形であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波デバイス用キャップ。
  4. ベースと、このベースの凹面上に搭載された高周波デバイスと、前記高周波デバイスを覆うようにして前記ベースの凸面上に接合されるキャップと、を有し、前記キャップは、開口端部を有する中空のキャップ部と、このキャップ部の前記開口端部にこの開口端部から外側に広がるように形成され前記ベースの凸面に接合されフランジ部とを有し、前記フランジ部における前記ベースの凸面に接合された面には、そのフランジ内周部前記開口端部に沿って形成された環状の凸部が前記ベースの凸面に溶着されて形成されたインナーシールド部と、前記フランジ部の外周に沿う複数位置に形成された複数個の突起が前記ベース上面に溶着されて形成されたアウターシールド部と、が設けられており、これにより前記高周波デバイスが封止されていることを特徴とする高周波デバイス用パッケージ。
  5. 前記凸部及び前記複数個の突起は同等の高さを有することを特徴とする請求項4に記載の高周波デバイス用パッケージ。
  6. 前記キャップ部の横断面が長円形状又は矩形であることを特徴とする請求項4又は5に記載の高周波デバイス用パッケージ。
  7. ベースの凹面上に高周波デバイスを搭載する工程と、
    開口端部を有する中空のキャップ部と、このキャップ部の前記開口端部にこの開口端部から外側に広がるように形成され前記ベースの凸面上に接合されるフランジ部とを有し、前記フランジ部における前記ベースの凸面に接合される面には、そのフランジ内周部前記開口に沿って形成された環状の凸部と、前記フランジ外周に沿う複数位置に形成された複数個の突起が形成されているキャップを、前記キャップ部が前記高周波デバイスを覆うように前記フランジ部を前記ベースの凸面上に重ねて配置する工程と、
    前記フランジ部を加圧しながら前記ベース及び前記キャップに通電することにより前記凸部及び前記複数個の突起を前記ベースの凸面に溶着させて前記凸部によるインナーシールド部及び前記突起によるアウターシールド部により前記高周波デバイスを封止する工程と、
    を有することを特徴とする高周波デバイス用パッケージの製造方法。
  8. 前記封止する工程では、前記凸部以外の部分を加圧することを特徴とする請求項7に記載の高周波デバイス用パッケージの製造方法。
  9. 前記封止する工程がプロジェクション溶接法により行われることを特徴とする請求項7又は8に記載の高周波デバイス用パッケージの製造方法。
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