JP4120320B2 - 加湿装置およびそれを用いた空気調和機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、加湿装置およびそれを用いた空気調和機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、加湿装置としては、加湿ロータと、上記加湿ロータを経由する吸着通路に設けられた吸着ファンと、上記加湿ロータを経由する加湿通路に設けられた加湿ファンと、上記加湿通路の加湿ロータよりも上流側に設けられたヒータとを備えものがある(特開2002−22246号公報参照)。この加湿装置は、室外において外気から加湿ロータに水分を吸着させた後、その加湿ロータから水分を脱着させて加湿した加湿空気を加湿ホースを通じて室内に供給する。そうすることにより、冬季の乾燥しやすい室内の湿度を調整して快適性を向上できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記加湿装置では、加湿ロータを一定回転数とし、吸着ファンの回転数制御によって加湿量の制御を行っている。この場合、加湿運転開始時に加湿ロータが急に一定回転数で回転を開始するため、加湿ロータに保水されていた水分が過剰に供給され、図5の上側に示すグラフの点線で囲まれた領域のように、加湿量のオーバーシュートが発生する。このような過剰な加湿により加湿ホース内に結露が発生し、その結露水により異音が発生して、ユーザーに不快感を与えるという問題がある。このとき、吸着ファンの回転数制御は、加湿ロータへの吸着通路の通風量を制御するようにしているため、既に加湿ロータに保水されている状態からの加湿運転開始時には、上記加湿量のオーバーシュートに対してはあまり有効でない。
【0004】
そこで、この発明の目的は、加湿運転開始時の加湿量のオーバーシュートを抑えて加湿ホース等の通路内の結露を防ぎ、通路内の結露水に起因する騒音の発生を防止することにより室内の快適性を向上できる加湿装置およびそれを用いた空気調和機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の加湿装置は、加湿ロータと、上記加湿ロータを経由する吸着通路に設けられた吸着ファンと、上記加湿ロータを経由する加湿通路に設けられた加湿ファンと、上記加湿通路の上記加湿ロータよりも上流側に設けられたヒータとを備えた加湿装置において、上記加湿通路の上記加湿ロータよりも下流側に設けられ、上記加湿ロータを通過した加湿空気の吹出温度を検出する吹出温度センサを備え、上記吹出温度センサにより検出された加湿空気の吹出温度が目標吹出温度になるように、上記加湿ロータの回転数をフィードバック制御する制御部を備え、上記制御部は、加湿運転開始時に上記加湿ロータを通常加湿運転時よりも低く設定された初期回転数で回転させた後、上記加湿ロータの回転数を上記初期回転数から徐々に上げることによって、上記吹出温度センサにより検出された加湿空気の吹出温度が上記目標吹出温度になるようにすることを特徴としている。
【0006】
上記請求項1の加湿装置によれば、上記加湿ロータの吸着通路に面する領域に、上記吸着通路に設けた吸着ファンにより外気を通過させ、加湿ロータの吸着通路に面する領域に外気から水分を吸着させる。そして、上記加湿ロータの吸着通路に面していた領域(水分を吸着した領域)は、加湿ロータの回転に伴って順に加湿通路に面して、上記加湿通路に設けた加湿ファンにより、ヒータで加熱された空気を加湿ロータの加湿通路に面する領域を通過させ、加湿ロータから水分を脱着させて空気を加湿する。このようにして、上記加湿ロータの回転に伴って吸着と脱着を繰り返し、加湿空気を室内に供給する。そして、上記加湿通路の加湿ロータよりも下流側に設けられた吹出温度センサにより検出された加湿空気の吹出温度が目標吹出温度になるように、上記制御部が加湿ロータの回転数をフィードバック制御する。すなわち、加湿空気の吹出温度と加湿量には相関関係があり、例えば目標加湿量に相当する吹出温度を上記目標吹出温度としてを設定することにより、加湿空気を吹出温度にすることにより目標加湿量が得られる。この場合、上記吹出温度が目標吹出温度よりも低いときは、加湿量が目標加湿量よりも低いということであるから、加湿ロータの回転数を上げて加湿能力を上げる一方、吹出温度が目標吹出温度よりも高いときは、加湿量が目標加湿量よりも低いということであるから、加湿ロータの回転数を下げて加湿能力を下げる。
【0007】
そうすることによって、加湿運転の開始時に、加湿ロータの回転数をフィードバック制御してハンチングを起さないで加湿量が目標加湿量になるようにすることによって、加湿運転開始時の加湿量のオーバーシュートを抑えて、加湿空気を室内に導く例えば加湿ホース内の結露を防ぐことが可能となると共に、加湿量をきめ細かく制御して、目標加湿量が安定して得られる加湿運転を行うことができる。したがって、加湿ホース内の結露水に起因する騒音の発生を防止することができ、室内の快適性を向上できる。
【0008】
【0009】
また、加湿運転開始時の加湿ロータの初期回転数を通常加湿運転時よりも低く設定することによって、加湿運転開始時の加湿量を少なくして加湿量のオーバーシュートを確実に抑え、加湿空気を室内に導く例えば加湿ホース内の結露を防ぐことができる。
【0010】
また、請求項の空気調和機は、請求項1の加湿装置を用いたことを特徴としている。
【0011】
上記請求項の空気調和機によれば、上記加湿装置を用いることによって、加湿運転開始時に、加湿空気を室内に導く例えば加湿ホース内の結露を防いで、加湿ホース内の結露水に起因する騒音の発生を防止することができると共に、加湿量をきめ細かく制御して、目標加湿量が安定して得られる加湿運転を行うことができ、快適性を向上できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の加湿装置およびそれを用いた空気調和機を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1はこの発明の第1実施形態の加湿装置を用いた空気調和機の概略ブロック図であり、1は室内ユニット、2は室外ユニット、3は上記室外ユニット2の上部に配置された加湿装置、4は上記室内ユニット1と加湿装置3とを接続する加湿ホースである。上記加湿装置3は、加湿運転を制御する制御部3aを有している。この空気調和機は、加湿装置3から加湿ホース4を介して室外ユニット1に加湿空気を供給して、室内を加湿する。
【0014】
また、図2は上記加湿装置3の要部のブロック図を示しており、この加湿装置3は、ケーシング10内に円板状の加湿ロータ11を配置している。上記加湿ロータ11は、吸着材を用いて例えばハニカム状または多孔多粒状に成形されており、加湿ロータ用モータ16によって軸11aを中心に回転する。また、上記ケーシング10内を仕切板15で仕切ることによって、加湿ロータ11をそれぞれ経由する吸着通路Aと加湿通路Bとを形成している。そして、上記加湿通路Bの加湿ロータ11の下流側に加湿ファン12を配置し、その加湿ファン12の下流側近傍に吹出温度センサ20を配置している。さらに、上記加湿通路Bの加湿ロータ11よりも上側の部分にヒータ14を設けている。また、上記吸着通路Aの加湿ロータ11よりも下流側に吸着ファン13を設けている。
【0015】
上記加湿ロータ用モータ16により回転する加湿ロータ11は、吸着ファン13により吸着通路Aの矢印方向に流れる空気から水分を吸着する一方、加湿通路Bの加湿ロータ11よりも下流側の加湿ファン12により、空気を矢印(加湿通路B)に示すように吸引して流すようにしている。このとき、ヒータ14で加熱された空気が加湿ロータ11を通り、加湿ロータ11によって加湿される(加湿ロータ11から水分を脱着する)。すなわち、上記加湿ロータ11が吸着した水分は、ヒータ14によって加熱された空気によって脱着されて、通過する空気を加湿する。そうして加湿された空気は、加湿ファン12によって図1に示す加湿ホース4を介して室内ユニット1に送られる。
【0016】
この加湿装置を用いた空気調和機は、加湿運転時、吸着ファン13,加湿ファン11の回転数を夫々一定にすると共に、ヒータ14の出力も一定にして、吹出温度と目標吹出温度との温度差を求めて、その温度差が小さくなるように、加湿ロータ11の回転数をフィードバック制御することによって、加湿量を制御する。
【0017】
図3は上記加湿運転開始時の初期保水量低減運転における加湿ロータの回転数と加湿量の時間変化を示している。図3に示すように、加湿運転開始時に加湿ロータ11の回転数を初期回転数に設定した後、上記フィードバック制御により、加湿ロータ11の回転数を初期回転数から徐々に上げて、加湿量を目標加湿量になるようにしている。図3では、加湿量と目標加湿量との差△H(目標加湿量−加湿量)>0であれば、加湿ロータ11の回転数を所定回転数上げる一方、加湿量と目標加湿量との差△Hが小さくなり、差△H<0となった場合は、加湿ロータ11の回転数を所定回転数下げている。
【0018】
上記加湿ファン11により吹き出す加湿空気の加湿量は、加湿空気の絶対湿度に比例し、その絶対湿度は、加湿空気の吹出温度に比例している。これは、ヒータ14による加熱量が加湿ロータ11からの水分脱着に使用される熱量に比例しており、脱着に使われなかった熱量が空気の温度上昇に寄与するためである。つまり、加湿ロータ11の初期回転数を通常加湿運転時よりも低く設定して低速回転とすることにより、加湿量が少ない状態から徐々に加湿量を上げていくことができるので、加湿運転開始時の加湿量のオーバーシュートを回避することができる。
【0019】
図4は吹出温度に応じて加湿ロータ11の回転数を制御する場合を示している。図4において、各ゾーン1〜4を定める温度差△T(=目標吹出温度−吹出温度)を、例えば、
HDHEAT1=3 [deg]
HDHEAT2=1 [deg]
HDHEAT3=−1[deg]
HDHEAT4=0 [deg]
HDHEAT5=2 [deg]
HDHEAT6=4 [deg]
としている。すなわち、温度差△Tが小さくなる方向では、HDHEAT1以上をゾーン1とし、HDHEAT1〜HDHEAT2をゾーン2とし、HDHEAT2〜HDHEAT3をゾーン3とし、HDHEAT4以下をゾーン4としている。そして、温度差△Tが大きくなる方向では、HDHEAT5以下をゾーン4とし、HDHEAT4〜HDHEAT5をゾーン3とし、HDHEAT5〜HDHEAT6をゾーン2とし、HDHEAT6以上をゾーン1としている。
【0020】
ここで、目標加湿量に相当する目標吹出温度の値は、予め実験により最適値を求めておく。そして、上記吹出温度センサ20により吹出温度を検出し、目標吹出温度との温度差△Tを、
△T = 目標吹出温度−吹出温度
により求める。
【0021】
この温度差△Tが0近傍になるのが理想的な状態(図4のゾーン3)であり、温度差△Tが+側の場合、吹出温度が目標吹出温度よりも低いので、加湿ロータ11の回転数を下げる補正(回転数ダウン)をして、加湿ロータ11の水分脱着量を抑えて、吹出温度を上げる。
【0022】
逆に、温度差△Tが−側の場合、吹出温度が目標吹出温度よりも高いので、加湿ロータ11の回転数を上げる補正(回転数アップ)をして、加湿ロータ11の水分脱着量を増やして、吹出温度を下げる。
【0023】
このように、上記第2実施形態の加湿装置を用いた空気調和機では、吹出温度センサ20により検出された加湿空気の吹出温度と目標吹出温度との温度差が小さくなるように、制御部3aにより加湿ロータ11の回転数を制御して、加湿空気の吹出温度が目標吹出温度になるようにすることによって、図5の下側のグラフに示すように、加湿運転開始時の加湿量のオーバーシュートを確実に抑えることができる。
【0024】
上記実施の形態では、加湿装置を用いた空気調和機について説明したが、加湿装置のみにこの発明を適用してもよいし、この発明の加湿装置を他の装置に用いてもよい。
【0025】
また、上記実施の形態では、加湿運転において、吸着ファン13,加湿ファン11の回転数を夫々一定にすると共に、ヒータ14の出力も一定にして、加湿ロータ11の回転数によって加湿量を制御したが、加湿ロータの回転数を制御するとき、吸着ファン,加湿ファンの回転数およびヒータの出力のうちの少なくとも1つを変化させる制御を行う加湿装置にこの発明を適用してもよい。
【0026】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1の発明の加湿装置は、加湿ロータと、上記加湿ロータを経由する吸着通路に設けられた吸着ファンと、上記加湿ロータを経由する加湿通路に設けられた加湿ファンと、上記加湿通路の加湿ロータよりも上流側に設けられたヒータとを備えた加湿装置において、上記加湿通路の加湿ロータよりも下流側に設けられ、加湿ロータを通過した加湿空気の吹出温度を検出する吹出温度センサを備え、上記吹出温度センサにより検出された加湿空気の吹出温度が目標吹出温度になるように、加湿ロータの回転数をフィードバック制御する制御部を備え、上記制御部は、加湿運転開始時に加湿ロータを通常加湿運転時よりも低く設定された初期回転数で回転させた後、加湿ロータの回転数 を初期回転数から徐々に上げることによって、吹出温度センサにより検出された加湿空気の吹出温度が目標吹出温度になるようにするものである。
【0027】
したがって、請求項1の発明の加湿装置によれば、加湿運転の開始時に、例えば加湿ロータの回転数を通常加湿運転時の回転数よりも下げることによって、加湿運転開始時の加湿量のオーバーシュートを抑えて、加湿空気を室内に導く例えば加湿ホース内の結露を防ぐことが可能となると共に、加湿量をきめ細かく制御して、目標加湿量が安定して得られる加湿運転を行うことができる。したがって、加湿ホース内の結露水に起因する騒音の発生を防止することができ、室内のユーザーに不快感を与えることなく快適性を向上できる。
【0028】
また、加湿運転開始時の加湿ロータの初期回転数を通常加湿運転時よりも低く設定することによって、加湿運転開始時の加湿量を少なくして加湿量のオーバーシュートを確実に抑え、加湿空気を室内に導く例えば加湿ホース内の結露を防ぐことができる。
【0029】
また、請求項の発明の空気調和機は、上記加湿装置を用いることによって、加湿運転開始時に、加湿空気を室内に導く例えば加湿ホース内の結露を防いで、加湿ホース内の結露水に起因する騒音の発生を防止することができると共に、加湿量をきめ細かく制御して、目標加湿量が安定して得られる加湿運転を行うことができ、快適性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はこの発明の一実施の形態の加湿装置を用いた空気調和機の概略ブロック図である。
【図2】 図2は上記加湿装置の要部の構成図である。
【図3】 図3は加湿ロータの回転数と加湿量の時間変化を示す図である。
【図4】 図4はフィードバック制御を説明するための図である。
【図5】 図5は加湿運転開始時の加湿量の変化を示す図である。
【符号の説明】
1…室内ユニット、
2…室外ユニット、
3…加湿装置、
3a…制御部、
4…加湿ホース、
10…ケーシング、
11…加湿ロータ、
12…加湿ファン、
13…吸着ファン、
14…ヒータ、
15…仕切板、
16…加湿ロータ用モータ、
20…吹出温度センサ。

Claims (2)

  1. 加湿ロータ(11)と、上記加湿ロータ(11)を経由する吸着通路に設けられた吸着ファン(13)と、上記加湿ロータ(11)を経由する加湿通路に設けられた加湿ファン(12)と、上記加湿通路の上記加湿ロータ(11)よりも上流側に設けられたヒータ(14)とを備えた加湿装置において、
    上記加湿通路の上記加湿ロータ(11)よりも下流側に設けられ、上記加湿ロータ(11)を通過した加湿空気の吹出温度を検出する吹出温度センサ(20)を備え、
    上記吹出温度センサ(20)により検出された加湿空気の吹出温度が目標吹出温度になるように、上記加湿ロータ(11)の回転数をフィードバック制御する制御部(3a)を備え
    上記制御部 ( a) は、加湿運転開始時に上記加湿ロータ ( 11 ) を通常加湿運転時よりも低く設定された初期回転数で回転させた後、上記加湿ロータ ( 11 ) の回転数を上記初期回転数から徐々に上げることによって、上記吹出温度センサ ( 20 ) により検出された加湿空気の吹出温度が上記目標吹出温度になるようにすることを特徴とする加湿装置。
  2. 請求項1に記載の加湿装置を用いたことを特徴とする空気調和機。
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