JP4120055B2 - 再生装置及び再生方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、MPEG方式等により圧縮された符号化データを再生する再生装置及び再生方法に関するものであり、より詳しくは、そのような再生装置及び再生方法における逆方向再生技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、動画像を複数フレームにわたる時間軸方向の相関を利用して圧縮する方式として、MPEG(Motion Picture Cording Experts Group)方式が広く用いられている。例えば、MPEG方式を採用したビデオに関して、ISO-13818-2において規格化されている。
【0003】
MPEG方式では、ランダムアクセスを可能とするために、画面内だけの閉じた情報による符号化画像であるフレーム内予測符号化画像を定期的に挿入し、このフレーム内予測符号化画像が少なくとも1枚入った画面群構造を持つようにしている。これをGOP(Group Of Pictures)と呼ぶ。
【0004】
このようなMPEG方式におけるGOPの構造について、GOP構造の一例を示す図7を参照して説明する。
【0005】
MPEG方式では、画像に、Iピクチャ、Pピクチャ、Bピクチャという3つのタイプを規定している。Iピクチャは、フレーム内予測符号化画像である。Pピクチャは、すでに符号化された時間的に前のフレームを参照して作られるフレーム間順方向予測符号化画像である。Bピクチャは、時間的に前後の2フレームを参照して予測する双方向予測符号化画像である。そして、MPEG方式において、1つのGOPには、少なくとも一つのIピクチャが含まれる。
【0006】
図7は、このようなGOPの構造の一例を示している。なお、図7(a)は、復号の処理順序(デコーディングオーダー)に従って各ピクチャが並んだGOPの構造を示しており、図7(b)は、原画面の順序(プレゼンテーションオーダー)に従って各ピクチャが並んだ状態を示している。
【0007】
図7の例において、1つのGOPは、15フレームで構成され、1枚のIピクチャと、4枚のPピクチャと、10枚のBピクチャとからなる。なお、図7において、ピクチャI,P,Bに付された添え字は、それらのピクチャのプレゼンテーションオーダーを示している。
【0008】
図7の例において、例えば、ピクチャI2は、それ単独で符号化されており、ピクチャP5は、ピクチャI2を参照してフレーム間予測符号化されており、ピクチャB3,B4は、ピクチャI2及びピクチャP5の2つを参照してフレーム間予測符号化されている。したがって、ピクチャI2は、それ単独で復号できるが、ピクチャP5の復号には、ピクチャI2を復号したデータが必要であり、ピクチャB3,B4の復号には、ピクチャI2及びピクチャP5を復号したデータが必要である。
【0009】
このように、MPEG方式では、双方向予測符号化画像であるBピクチャが存在するため、例えば図7(a)と図7(b)とに示すように、符号化処理や復号処理の処理順序と、原画面の順序とが異なるものとなる。すなわち、例えば図7(a)に示すような順序で復号された各ピクチャを、図7(b)のような適切な順序に並び替えて表示することで、もとの動画像が復元される。したがって、符号化されたフレームを復号するには、I,P,Bの各ピクチャの相関を考慮しながら、正しい順序で順次復号していく作業を必要とする。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のようなMPEG方式で符号化されたデータは、時間軸方向に対して逆方向の再生(以下、単に逆方向再生と称する。)を高速に行うことが難しいという問題があった。以下、この問題について説明する。
【0011】
例えば、図7の例において、ピクチャB12から逆方向再生する場合には、B12,P11,B10,B9,P8,B7,B6,P5,B4,B3,I2,B1,B0,・・・という順番でピクチャを表示しなければならない。
【0012】
しかし、上述したように、MPEG方式では、時間軸方向に従って順次復号していく必要があることから、例えばピクチャB12を復号するためには、I2,P5,P8,P11,P14をこの順に復号していかなければならない。そして、ピクチャB12の復号が完了し、次にピクチャP11を復号するためには、再度、I2,P5,P8を復号していかなければならない。
【0013】
更に表示が進み、ピクチャB1を復号する必要が生じた時点では、図7の例では、1つ前のGOPの最後のPピクチャがピクチャB1の復号に必要となっているので、1つ前のGOPのI2,P5,P8,P11,P14の各ピクチャを順次復号していかなければならない。
【0014】
このように、GOP先頭から順次復号していく処理は、逆方向再生時に、各ピクチャを表示する毎に行われる。そこで、各ピクチャの表示間隔を一定にするためには、復号過程に要する最大時間で律速する必要がある。このため、逆方向再生の速度に制限が加わり、従来は、逆方向再生を高速に行うことができなかった。
【0015】
なお、この問題は、MPEG方式で符号化されたデータを逆方向再生するときに限らず、複数フレームにわたる時間軸方向の相関を利用して圧縮された符号化データを逆方向再生するときに共通の問題である。
【0016】
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、MPEG方式等により画像データが圧縮されてなる符号化データの逆方向再生をより高速に行うことが可能な再生装置及び再生方法を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る再生装置は、画像データが複数フレームにわたる時間軸方向の相関を利用して圧縮された符号化データを再生する再生装置であって、符号化データを復号する復号手段と、復号手段によって復号された画面のデータが保存される少なくとも4つ以上のフレームメモリとを有する。そして、符号化データを時間軸方向に対して逆方向に再生する際に、下記の第1乃至第3の処理を順次繰り返し行う。
【0018】
(a)各画面の符号化データを順次復号して、復号した各画面のデータをフレームメモリに順次保存していくとともに、空いているフレームメモリがないときには、時間的に古い画面のデータが保存されているフレームメモリから順次上書きしていく第1の処理。
【0019】
(b)再生対象の画面まで復号が進み、再生対象の画面の復号が完了したら、再生対象の画面のデータをフレームメモリから読み出して、当該画面のデータを出力する第2の処理。
【0020】
(c)再生対象の画面のデータの出力がなされたら、出力の終わった画面のデータが保存されていたフレームメモリを空きとして、まだフレームメモリにデータが保存されている画面に連続する画面のデータを復号するために必要な画面のデータが復号されるように復号処理を行い空いている当該フレームメモリに保存する第3の処理。
【0022】
以上のような本発明に係る再生装置では、フレームメモリを用いて上記第1乃至第3の処理を順次繰り返し行うことで逆方向再生を行うようにしているので、逆方向再生時に繰り返し同じフレームを復号するという処理を削減することができる。すなわち、本発明に係る再生装置では、より少ない回数の復号処理にて、逆方向再生を行うことができる。
【0023】
また、本発明に係る再生方法は、画像データが複数フレームにわたる時間軸方向の相関を利用して圧縮された符号化データを、時間軸方向に対して逆方向に再生する再生方法であって、下記の第1乃至第3の処理を順次繰り返し行うことで、符号化データを時間軸方向に対して逆方向に順次再生する。
【0024】
(a)各画面の符号化データを順次復号して、復号した各画面のデータを少なくとも4つ以上のフレームメモリに順次保存していくとともに、空いているフレームメモリがないときには、最初に復号した画面のデータが保存されているフレームメモリから順次上書きしていく第1の処理。
【0025】
(b)再生対象の画面まで復号が進み、再生対象の画面の復号が完了したら、再生対象の画面のデータをフレームメモリから読み出して、当該画面のデータを出力する第2の処理。
【0026】
(c)再生対象の画面のデータの出力がなされたら、出力の終わった画面のデータが保存されていたフレームメモリを空きとして、まだフレームメモリにデータが保存されている画面に連続する画面のデータを復号するために必要な画面のデータが復号されるように復号処理を行い空いている当該フレームメモリに保存する第3の処理。
【0028】
以上のような本発明に係る再生方法では、フレームメモリを用いて上記第1乃至第3の処理を順次繰り返し行うことで逆方向再生を行うようにしているので、逆方向再生時に繰り返し同じフレームを復号するという処理を削減することができる。すなわち、本発明に係る再生方法では、より少ない回数の復号処理にて、逆方向再生を行うことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
本発明を適用した再生装置の一構成例を図1に示す。この再生装置1は、逆方向再生機能を有しており、図1に示すように、ドライブ装置2と、RF処理部3と、デマルチプレクサ4と、ビデオバッファ5と、復号器6と、復号切替器7と、メモリ8と、表示切替器9と、ビデオデコーダ10と、表示装置11と、制御装置12とを備えている。
【0031】
ドライブ装置2は、光ディスク等の記録媒体20からデータを読み出して、RF信号として出力する。RF処理部3は、ドライブ装置2からRF信号を受け取り、当該RF信号に対して波形等化及び2値化等の所定の信号処理を施して再生データを生成し、当該再生データを出力する。
【0032】
デマルチプレクサ4は、RF処理部3から再生データを受け取り、当該再生データの多重化をほどき、MEPG方式のビデオデータとする。ビデオバッファ5は、デマルチプレクサ4からビデオデータを受け取り、当該ビデオデータを一時的に保存するとともに、当該ビデオデータを適切なタイミングにて復号器6に供給する。
【0033】
復号器6は、ビデオバッファ5からビデオデータを受け取り、当該ビデオデータを復号してもとのピクチャのデータとする。メモリ8は、5ピクチャ分のフレームメモリからなり、復号器6により復号されたピクチャのデータを受け取り、当該データをいずれかのフレームメモリに保存する。
【0034】
復号切替器7は、復号したピクチャのデータを、メモリ8のどのフレームメモリに保存するかの切替を行う。すなわち、復号切替器7は、復号したピクチャのデータをどのフレームメモリに保存するかを選択する機構として機能する。
【0035】
表示切替器9は、メモリ8に保存されたピクチャのデータのうち、どのフレームメモリからピクチャのデータを読み出すかを選択する。すなわち、表示切替器9は、どのフレームメモリからピクチャのデータを読み出して表示するかを選択する機構として機能する。
【0036】
ビデオデコーダ10は、表示切替器9により選択されたフレームメモリから読み出されたピクチャのデータを受け取り、当該データをビデオ信号に変換する。表示装置11は、ビデオデコーダ10からビデオ信号を受け取り、当該ビデオ信号に基づき映像を表示する。
【0037】
制御装置12は、以上のようなドライブ装置2、RF処理部3、デマルチプレクサ4、復号器6、復号切替器7、表示切替器9及びビデオデコーダ10の動作を制御する。
【0038】
つぎに、以上のような再生装置1による逆方向再生について説明する。
【0039】
この再生装置1では、5ピクチャ分のフレームメモリを用いて、復号手順を効率化することで、高速な逆方向再生が可能となっている。すなわち、この再生装置1は、逆方向再生を行う際に、下記の第1乃至第3の処理を順次繰り返し行う。
【0040】
(a)各ピクチャを順次復号して、復号した各ピクチャをフレームメモリに順次保存していくとともに、空いているフレームメモリがないときには、最初に復号したピクチャが保存されているフレームメモリから順次上書きしていく。
【0041】
(b)再生対象のピクチャまで復号が進み、再生対象のピクチャの復号が完了したら、そこで復号を一時停止して、再生対象のピクチャをフレームメモリから読み出して、当該ピクチャを表示装置11に表示する。
【0042】
(c)再生対象のピクチャの表示がなされたら、表示の終わったピクチャが保存されていたフレームメモリを空きとして、まだフレームメモリにデータが保存されているピクチャに連続するピクチャが復号されるように復号処理を再開する。
【0043】
このような逆方向再生を行うときの制御は、ピクチャの復号処理に関する制御(以下、復号処理制御と称する。)と、復号したピクチャの表示処理に関する制御(以下、表示処理制御と称する。)とに大別でき、これらが相互に関わり合って動作することで、上記のような逆方向再生が実現される。以下、復号処理制御と表示処理制御とについて、それぞれ説明する。
【0044】
まず、復号処理制御について説明する。
【0045】
復号処理制御において、再生装置1は、制御装置12により復号器6及び復号切替器7を制御することで、フレームメモリを許される限り使用して、ピクチャの復号を順次行う。このとき、フレームメモリを使い切ってもまだ再生対象のピクチャに到達しない場合には、最初に復号したピクチャが保存されているフレームメモリ(すなわち、時間的に後に表示されるピクチャが保存されているフレームメモリ)から順次上書きしていき、再生対象のピクチャが復号されるまで復号処理を順次進めていく。
【0046】
再生対象のピクチャまで復号が完了したら、一旦復号を停止し、表示処理制御によりフレームメモリに空きができるまで待つ。このとき、制御装置12は、ドライブ装置2やRF処理部3に、必要なデータを再度供給する準備をするように指示を出しておく。
【0047】
表示処理制御によって表示が進むと空きのフレームメモリができるが、この空きのフレームメモリができた段階で処理を再開し、前回の復号処理で復号されたピクチャに連続する一つ手前のピクチャを再生対象ピクチャとして、前回と同様に復号処理を順次進めていく。復号処理制御では、以上の動作を繰り返し行うことで、逆方向再生時に連続した復号処理を行う。
【0048】
このような復号処理制御の具体的な処理フローを図2に示す。
【0049】
図2に示すように、復号処理制御では、先ず、ステップS1−1において、空いているフレームメモリがあるかを判別する。空いているフレームメモリがある場合は、ステップS1−2へ進み、空いているフレームメモリがない場合は、ステップS1−3へ進む。
【0050】
ステップS1−2では、ピクチャの復号を行う。このときの復号処理は、現在、フレームメモリにあるピクチャに連続するピクチャが順次復号されるように行う。そして、1ピクチャ分の復号が完了したら、ステップS1−1へ戻って処理を繰り返す。
【0051】
ステップS1−3では、現在表示されているピクチャまでの連続したピクチャがフレームメモリ上にあるかを判別する。ある場合には、表示制御処理によりフレームメモリに空きができるまで、ステップS1−1へ戻って処理を繰り返し、ない場合には、ステップS1−4へ進む。
【0052】
ステップS1−4では、時間的に古いピクチャ(すなわち最初に復号したピクチャ)が保存されているフレームメモリを空きにする。そして、ステップS1−1へ戻って処理を繰り返す。
【0053】
以上のような処理フローに従って処理を行うことにより、復号処理制御がなされる。
【0054】
つぎに、表示処理制御について説明する。
【0055】
表示処理制御は、逆方向再生時に、再生対象のピクチャが復号された段階で、当該ピクチャの表示動作を開始する。そして、再生対象となるピクチャの復号が完了している限り、指定された表示間隔に従って、ピクチャの逆順での表示を順次進めていく。また、表示処理制御では、表示が終了したピクチャが保存されていたフレームメモリを順次空き領域としていく。表示処理制御では、以上の動作を繰り返し行うことで、連続した逆方向再生を行う。
【0056】
このような表示処理制御の具体的な処理フローを図3に示す。
【0057】
図3に示すように、表示処理制御では、先ず、ステップS2−1において、次に表示されるピクチャの復号が完了しているかを判別する。復号が完了していない場合は、復号処理制御により復号が完了するまで待ち状態となり、ステップS2−1の処理を繰り返す。一方、復号が完了している場合は、ステップS2−2へ進む。
【0058】
ステップS2−2では、ピクチャの表示を行う。次に、ステップS2−3において、表示を行ったピクチャが保存されていたフレームメモリを空きにする。次に、ステップS2−4において、指定された表示間隔に従って一定時間待った上で、ステップS2−1へ戻って処理を繰り返す。
【0059】
以上のような処理フローに従って処理を行うことにより、表示処理制御がなされる。
【0060】
以上のような復号処理制御及び表示処理制御を行うことによりなされる逆方向再生について、更に具体的な例を挙げて説明する。
【0061】
なお、ここでは、図4(a)に示すようなGOP構造を有する画像データを、図4(b)に示すように、ピクチャP14から逆方向に再生して表示していくとする。なお、図7のところで説明したように、Iピクチャはフレーム内予測符号化画像、Pピクチャはフレーム間順方向予測符号化画像、Bピクチャは双方向予測符号化画像である。
【0062】
図4(b)に示すように逆方向再生を行うときの、再生装置1のフレームメモリの使われ方を図5に示す。なお、図5は、5ピクチャ分のフレームメモリにピクチャが格納されていく様子を順次示している。
【0063】
先ず、図5(a)に示すように、ピクチャI2,P5,P8,P11,B9を順次復号し、フレームメモリに格納していく。ピクチャB9を復号した段階でフレームメモリに空きが無くなったが、まだ表示対象のピクチャP14に到達していないため、図5(b)に示すように、最初に復号したピクチャI2に、新たに復号したピクチャB10を上書きする。同様に、図5(c)に示すように、ピクチャP14,B12,B13を復号し、それらをピクチャP5,P8,B9にそれぞれ上書きする。
【0064】
これにより、図5(c)に示すように、表示開始可能なピクチャが連続して復号されたこととなる。すると、表示処理制御により、図5(c)の下段の番号の順に表示が開始される。すなわち、ピクチャP14,B13,B12,P11,B10が、この順にフレームメモリから読み出されて、順次表示される。
【0065】
このとき、表示はピクチャP14から開始されるが、ピクチャP14の表示が完了した段階で、図5(d)に示すように、ピクチャP14を保存していたフレームメモリは空きにする。フレームメモリに空きができたことで、復号処理制御により再び復号処理が開始される。このとき、フレームメモリ上には、ピクチャB13,B12,P11,B10が存在しており、次には、これらに連続するピクチャB9,P8,・・・を復号することが望まれる。
【0066】
そこで、ピクチャB9,P8,・・・を復号するために、改めてピクチャI2を復号し、復号したピクチャI2を空いているフレームメモリに保存する。以下同様に、ピクチャB13の表示が完了し、フレームメモリに空きができた段階で、そのフレームメモリにピクチャP5を復号して保存し、次に、ピクチャB12の表示が完了し、フレームメモリに空きができた段階で、そのフレームメモリにピクチャP8を復号して保存する。図5(e)は、ここまでのプロセスが行われた状態を示している。
【0067】
この段階ではまだピクチャB9に到達していないが、この段階でフレームメモリに空きが無くなったとする。この場合は、図5(f)に示すように、時間的に古いピクチャであるピクチャI2に、新たに復号したピクチャB9を上書きする。これにより、図5(f)に示すように、表示開始可能なピクチャが連続して復号されたこととなるので、表示処理制御により引き続き図5(f)の下段の番号の順に表示が継続して行われる。そして、以上の処理を連続して進めていくことにより逆方向再生が実現される。
【0068】
以上のように、逆方向再生を行うときに5枚のフレームメモリを有効に使用することで、逆方向再生時に繰り返し同じピクチャを復号するという処理を削減することが可能となり、少ない回数の復号処理にて、逆方向再生を行うことができる。したがって、以上のように逆方向再生を行うことで、高速な逆方向再生が可能となる。
【0069】
なお、以上の説明では、5ピクチャ分のフレームメモリを用いる場合を例に挙げたが、本発明では、4ピクチャ分以上のフレームメモリがあれば良く、上記の例に限定されるものでない。ただし、フレームメモリの数が多いほど、逆方向再生時に繰り返し同じピクチャを復号するという処理を減らすことができるので、より高速な逆方向再生が可能となる。
【0070】
そこで、以下に第2の例として、10ピクチャ分のフレームメモリがある場合について説明する。なお、本例でも、図4(a)に示すようなGOP構造を有する画像データを、図4(b)に示すように、ピクチャP14から逆方向に再生して表示していくものとする。
【0071】
先ず、図6(a)に示すように、ピクチャI2,P5,B3,B4,P8,B6,B7,P11,B9,B10を順次復号し、フレームメモリに格納していく。
【0072】
ピクチャB10を復号した段階でフレームメモリに空きが無くなったが、まだ表示対象のピクチャP14に到達していないため、図6(b)に示すように、最初に復号したピクチャI2に、新たに復号したピクチャP14を上書きする。これにより、最初に表示対象となるピクチャP14の復号が完了したが、この段階では、ピクチャP14に連続するピクチャの復号が完了していない。そこで、図6(c)に示すように、ピクチャB12,B13を復号し、それらをピクチャB3,B4が保存されていたフレームメモリに上書きする。
【0073】
これにより、図6(c)に示すように、表示開始可能なピクチャが連続して復号されたこととなる。すると、表示処理制御により、図6(c)の下段の番号の順に表示が開始される。すなわち、ピクチャP14,B13,B12,P11,B10,B9,・・・が、この順にフレームメモリから読み出されて、順次表示される。このとき、表示はピクチャP14から開始されるが、ピクチャP14の表示が完了した段階で、図6(d)に示すように、ピクチャP14を保存していたフレームメモリは空きにする。
【0074】
フレームメモリに空きができたことで、復号処理制御により再び復号処理が開始される。このとき、フレームメモリ上には、ピクチャB13,B12,P11,B10,B9,P8,B7,B6,P5までが存在しており、次には、これらに連続するピクチャB4,B3,・・・を復号することが望まれる。
【0075】
そこで、ピクチャB4,B3,・・・を復号するために、改めてピクチャI2を復号し、復号したピクチャI2を空いているフレームメモリに保存する。以下同様に、ピクチャB13の表示が完了し、フレームメモリに空きができた段階で、そのフレームメモリにピクチャB3を復号して保存し、次に、ピクチャB12の表示が完了し、フレームメモリに空きができた段階で、そのフレームメモリにピクチャB4を復号して保存する。図6(e)は、ここまでのプロセスが行われた状態を示している。
【0076】
さらに表示が進み、フレームメモリに空きができると、次は、ピクチャB1,B0を復号する必要があるが、ここで、ピクチャB1,B0の復号には、ピクチャI2と、一つ前のGOPのピクチャP’14とが必要であるとする。この場合、一つ前のGOPのピクチャI’2から復号を開始していき、ピクチャP’14まで復号し、ピクチャP’14まで復号が完了したら、ピクチャB1,B0の復号を開始する。
【0077】
図6(f)及び図6(g)は、このようなピクチャB0,B1の復号に至るプロセスを示している。図6(f)は、ピクチャP8までの表示が完了し、ピクチャP11,B10,B9,P8が保存されていた各フレームメモリに、一つ前のGOPのピクチャI’2,P’5,P’8,P’11をそれぞれ上書きした状態を示している。また、図6()は、一つ前のGOPのピクチャI’2が保存されていたフレームメモリにピクチャP’14を上書きし、それを受けて、ピクチャB1,B0を復号し、復号したピクチャB1,B0を、一つ前のGOPのピクチャP’5,P’8が保存されていたフレームメモリに上書きした状態を示している。
【0078】
なお、このように一つ前のGOPのピクチャを復号していくとき、一つ前のGOPの始めの方にあるピクチャB’3,B’4は、フレームメモリが10ピクチャ分であることから判断して、ピクチャB1,B0を復号する段階で復号したとしても、明らかに後から上書きされることとなる。そこで、このように一つ前のGOPのピクチャを復号していくときには、一つ前のGOPの始めの方にあるピクチャB’3,B’4は、この段階では復号処理を行わないようにする。このように、Bピクチャの一部を飛ばして復号処理を進めていくことで、不要な復号処理を削減して、逆方向再生を更に高速化することができる。
【0079】
以上のような処理を連続して進めていくことにより、10ピクチャ分のフレームメモリを用いての逆方向再生が実現される。 そして、以上のように、より多くのフレームメモリを用いることで、逆方向再生時に繰り返し同じピクチャを復号するという処理を更に削減することが可能となり、より少ない回数の復号処理にて、逆方向再生を行うことができる。したがって、以上のように、より多くのフレームメモリを用いて逆方向再生を行うことで、画期的に高速な逆方向再生が可能となる。
【0080】
なお、逆方向再生時に繰り返し同じピクチャを復号するという処理を削減するという観点から言えば、フレームメモリを増やすとしても、1つのGOPに含まれるピクチャ分のフレームメモリがあれば十分である。すなわち、本例では、最大でも15ピクチャ分のフレームメモリがあれば十分であり、15ピクチャ分のフレームメモリがあれば、繰り返し同じピクチャを復号するという処理を全く行うことなく、逆方向再生を非常に高速に行うことができる。
【0081】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、MPEG方式等により画像データが圧縮されてなる符号化データの逆方向再生をより高速に行うことが可能となる。
【0082】
しかも、本発明は、単純にフレームメモリを増やすだけで、逆方向再生を高速化することができる。すなわち、本発明によれば、コストの増加を最小限に抑えつつ、逆方向再生の高速を図ることができる。
【0083】
また、例えば、本発明を画像データの編集機能を備えた再生装置に適用すれば、編集時の操作性が画期的に向上し、編集に要する時間を大幅に短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した再生装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】復号処理制御の処理フローを示す図である。
【図3】表示処理制御の処理フローを示す図である。
【図4】GOP(Group Of Pictures)の構造の一例を示す図であり、(a)は復号処理順序に従って各ピクチャが並んだGOPの構造を示す図、(b)は逆方向再生を行うときの各画面の表示順序を示す図である。
【図5】本発明を適用して行われる逆方向再生の具体例を説明するための図であり、5ピクチャ分のフレームメモリを用いた場合の処理の一例を示す図である。
【図6】本発明を適用して行われる逆方向再生の具体例を説明するための図であり、10ピクチャ分のフレームメモリを用いた場合の処理の一例を示す図である。
【図7】GOP(Group Of Pictures)の構造の一例を示す図であり、(a)は復号の処理順序(デコーディングオーダー)に従って各ピクチャが並んだGOPの構造を示す図、(b)は原画面の順序(プレゼンテーションオーダー)に従って各ピクチャが並んだ状態を示す図である。
【符号の説明】
1 再生装置、 2 ドライブ装置、 3 RF処理部、 4 デマルチプレクサ、 5 ビデオバッファ、 6 復号器、 7 復号切替器、 8 メモリ、 9 表示切替器、 10 ビデオデコーダ、 11 表示装置、 12 制御装置、 20 記録媒体

Claims (2)

  1. 画像データが複数フレームにわたる時間軸方向の相関を利用して圧縮された符号化データを再生する再生装置であって、
    符号化データを復号する復号手段と、
    上記復号手段によって復号された画面のデータが保存されるフレームメモリを少なくとも4つ以上を有し、
    符号化データを時間軸方向に対して逆方向に再生する際に、各画面の符号化データを順次復号して、復号した各画面のデータをフレームメモリに順次保存していくとともに、空いているフレームメモリがないときには、時間的に古い画面のデータが保存されているフレームメモリから順次上書きしていく第1の処理と、
    再生対象の画面まで復号が進み、再生対象の画面の復号が完了したら、再生対象の画面のデータをフレームメモリから読み出して、当該画面のデータを出力する第2の処理と、
    再生対象の画面のデータの出力がなされたら、出力の終わった画面のデータが保存されていたフレームメモリを空きとして、まだフレームメモリにデータが保存されている画面に連続する画面のデータを復号するために必要な画面のデータが復号されるように復号処理を行い空いている当該フレームメモリに保存する第3の処理と、
    を順次繰り返し行うことを特徴とする再生装置。
  2. 画像データが複数フレームにわたる時間軸方向の相関を利用して圧縮された符号化データを、時間軸方向に対して逆方向に再生する再生方法であって、
    各画面の符号化データを順次復号して、復号した各画面のデータを少なくとも4つ以上のフレームメモリに順次保存していくとともに、空いているフレームメモリがないときには、時間的に古い画面のデータが保存されているフレームメモリから順次上書きしていく第1の処理と、
    再生対象の画面まで復号が進み、再生対象の画面の復号が完了したら、再生対象の画面のデータをフレームメモリから読み出して、当該画面のデータを出力する第2の処理と、
    再生対象の画面のデータの出力がなされたら、出力の終わった画面のデータが保存されていたフレームメモリを空きとして、まだフレームメモリにデータが保存されている画面に連続する画面のデータを復号するために必要な画面のデータが復号されるように復号処理を行い空いている当該フレームメモリに保存する第3の処理と、
    を順次繰り返し行うことで、符号化データを時間軸方向に対して逆方向に順次再生することを特徴とする再生方法。
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