JP4119886B2 - 光パルス試験器 - Google Patents

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Description

本発明は、OTDR(Optical Time Domain Reflectometry)法に基づいて被測定光ファイバの特性を測定する、すなわち光パルスを被測定光ファイバに入射し、その後方散乱及びフレネル反射に起因する戻り光を受光して被測定光ファイバの特性を測定する光パルス試験器に関し、特に被測定光ファイバとしての長距離光ファイバ及び短距離光ファイバの測定を可能にした光パルス試験器に関する。
従来、OTDR法に基づいて被測定光ファイバの特性を測定する光パルス試験器として、被測定光ファイバの各位置に対応した戻り光の光強度を検出しその光強度変化からファイバ特性を求めるアナログ的なパワー検出法(以下適宜光強度検出法という)を用いた光パルス試験器と、微弱光が発生する離散的パルス数(光子数)が光量に比例するということを利用して、被測定光ファイバの各位置に対応した戻り光の光強度に比例した光子数を計数しその発生確率からファイバ特性を求めるフォトンカウンティング法(以下適宜光子計数法という)の光パルス試験器があった。(例えば、特許文献1参照)
特開2004−219203号公報
光強度検出法(アナログ的なパワー検出法)の光パルス試験器は、光強度を検出する方式であるために、大きな光パワー(すなわち広いパルス幅の光パルス)を用いた広レベル範囲の光強度の検出が可能で、小さいレベルから大きいレベルまでの検出を必要とする長距離光ファイバ(例えば数百km)の測定には適しているが、高距離分解能を必要とする短距離光ファイバ(例えば数十m)の測定には向かなかった。すなわち、光強度の検出のために光電変換を行うが、その光電変換後の電気信号の処理を行うアナログ帯域、例えば増幅器等の帯域の影響によって、光の領域での距離分解能が維持されずに悪化し、短距離光ファイバの特性を高距離分解能で測定することができなかった。アナログ帯域での影響を具体的に示すと、約10cmの距離分解能を確保するために、測定する光パルスのパルス幅を1nsにしたとしても、光電変換後の増幅器の帯域が約100MHz程度であるために、距離分解能は、10nsのパルス幅の光パルスで測定したのと同等の約1mとなって悪化してしまった。
光子計数法(フォトンカウンティング法)の光パルス試験器は、光子数を計数する方式であるために、微弱光を用いなければならない必要性から、狭いパルス幅の光パルスを用いた高距離分解能の測定が可能で、高距離分解能を必要とする短距離光ファイバの測定には適しているが、逆に、そのために長距離光ファイバの測定には向かなかった。なお、上記において、大きな光パワーとは約−50dBm、微弱光とは約−70dBm、広いパルス幅とは約10ns、狭いパルス幅とは約100ps、高距離分解能とは約1cmを意味する。
したがって、従来、光強度検出法の光パルス試験器は主に長距離光ファイバの測定に用いられ、また光子計数法の光パルス試験器は主に短距離光ファイバの高距離分解能の測定に用いられており、いずれの方式の光パルス試験器も長距離光ファイバと短距離光ファイバの両方を、その1台の光パルス試験器で測定することが出来なかった。また、光子計数法の光パルス試験器の場合には、被測定光ファイバの端末や破断点でフレネル反射が生じて、そこの位置での光子の発生確率が高くなると、後方散乱光が発生する他の位置での発生確率が相対的に下がるために、フレネル反射がない場合に比べてフレネル反射がある場合の方が、測定時間が長くかかった。このために、被測定光ファイバの後方散乱光に基づく特性を測定したいような場合にも、測定時間が長くなってしまうという問題があった。
本発明は、光強度検出法と光子計数法とを組み合わせてOTDR法に基づく測定を行うことによって、これらの課題を解決し、長距離光ファイバと短距離光ファイバの両方の測定を可能にした光パルス試験器を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の光パルス試験器では、所定のパルス幅及び所定の繰り返し周期を有するパルス信号を受け、該所定のパルス幅の光パルスを前記所定の繰り返し周期で発生して被測定光ファイバに出力する光パルス発生手段(1)と、前記光パルスが前記被測定光ファイバに入力される毎に当該被測定光ファイバの各位置から戻ってくる戻り光を受けて光電変換するAPD(3)と、該APDのブレークダウン電圧より小さい所定の第1のDC電圧と該APDのブレークダウン電圧より大きい所定の第2のDC電圧とを選択的に切り換えて該APDに供給するAPDバイアス電源(4)と、前記APDから出力される電気信号の振幅をディジタル値に変換し、該ディジタル値のデータ処理を行うことによって、前記被測定光ファイバの各位置に対応した前記戻り光の光強度から前記被測定光ファイバの特性を求める光強度検出処理手段(6)と、前記APDから出力される電気信号の振幅を波高弁別して計数し、その計数値のデータ処理を行うことによって、前記被測定光ファイバの各位置に対応した前記戻り光の光強度に比例した光子数の発生確率から前記被測定光ファイバの特性を求める光子計数処理手段(7)と、光強度検出モード及び光子計数モードのいずれか一方を指定するモード指定信号を受け、該モード指定信号が光強度検出モードを指定している場合には、前記APDバイアス電源によって前記第1のDC電圧が前記APDに供給されるようにするとともに前記光強度検出処理手段によって前記被測定光ファイバの特性が求められるようにし、かつ、前記モード指定信号が光子計数モードを指定している場合には、前記APDバイアス電源よって前記第2のDC電圧が前記APDに供給されるようにするとともに前記光子計数処理手段によって前記被測定光ファイバの特性が求められるようにする制御手段(9)とを備えた。
また、本発明の請求項2の光パルス試験器では、上述した請求項1の光パルス試験器において、前記制御手段は、前記被測定光ファイバの所望の2つの特定距離位置で表される特定距離データを受け、該特定距離データを前記2つの特定距離位置に対応する前記光パルスの前記所定の繰り返し周期に関連づけた2つの特定時間に変換し、変換した該2つの特定時間に挟まれた時間は、前記APDバイアス電源よって前記第2のDC電圧が前記APDに供給されるようにするとともに前記光子計数処理手段によって前記被測定光ファイバの特性が求められるようにし、かつ、前記2つの特定時間に挟まれた時間以外の時間は、前記APDバイアス電源によって前記第1のDC電圧が前記APDに供給されるようにするとともに前記光強度検出処理手段によって前記被測定光ファイバの特性が求められるようにした。
また、本発明の請求項3の光パルス試験器では、上述した請求項1の光パルス試験器において、前記制御手段は、前記パルス信号を発生して前記光パルス発生手段に出力するパルス信号発生手段(9a)と、前記パルス信号及び前記モード指定信号を受け、該モード指定信号が光強度検出モードを指定している場合には、前記第1のDC電圧が前記APDに供給され、かつ、前記モード指定信号が光子計数モードを指定している場合には、前記第2のDC電圧が前記APDに供給されるように、前記APDバイアス電源を前記パルス信号に基づいて制御するAPDバイアス切換手段(9b)と、前記パルス信号及び前記モード指定信号を受け、該モード指定信号が光強度検出モードを指定している場合には、前記光強度検出処理手段が前記被測定光ファイバの特性を求めるために必要な第1のタイミング信号を前記パルス信号に基づいて発生して該光強度検出処理手段に出力し、かつ、該モード指定信号が光子計数モードを指定している場合には、前記光子計数処理手段が前記被測定光ファイバの特性を求めるために必要な第2のタイミング信号を前記パルス信号に基づいて発生して該光子計数処理手段に出力するタイミング信号発生手段(9c)とを含むようにした。
また、本発明の請求項4の光パルス試験器では、上述した請求項3の光パルス試験器において、前記制御手段は、更に、前記パルス信号及び前記被測定光ファイバの所望の2つの特定距離位置で表される特定距離データを受け、該特定距離データを、前記パルス信号に基づいて、前記2つの特定距離位置に対応する前記光パルスの前記所定の繰り返し周期に関連づけた2つの特定時間に変換する特定距離/時間変換手段(9d)を含み、前記APDバイアス切換手段は、前記特定距離/時間変換手段から前記2つの特定時間の情報を受けた場合、該2つの特定時間に挟まれた時間は、前記第2のDC電圧が前記APDに供給され、かつ、前記2つの特定時間に挟まれた時間以外の時間は、前記第1のDC電圧が前記APDに供給されるように前記APDバイアス電源を制御し、前記タイミング信号発生手段は、前記特定距離/時間変換手段から前記2つの特定時間の情報を受けた場合、該2つの特定時間に挟まれた時間は、前記第2のタイミング信号を発生して前記光子計数処理手段に出力し、かつ、前記2つの特定時間に挟まれた時間以外の時間は、前記第1のタイミング信号を発生して前記光強度検出処理手段に出力するようにした。
また、本発明の請求項5の光パルス試験器では、上述した請求項3又は4の光パルス試験器において、前記制御手段は、更に、前記光パルス発生手段から出力される光パルスのピークレベルを可変する光パルスピークレベル設定手段(9e)を含むようにした。
本発明の請求項1及び3の光パルス試験器では、光強度検出モード及び光子計数モードのいずれか一方を指定するモード指定信号を設け、このモード指定信号が光強度検出モードを指定している場合には、APDのブレークダウン電圧より小さい所定の第1のDC電圧がAPDに供給されるようにするとともに光強度検出処理手段によって被測定光ファイバの特性が求められるようにし、かつ、そのモード指定信号が光子計数モードを指定している場合には、APDのブレークダウン電圧より大きい所定の第2のDC電圧がAPDに供給されるようにするとともに光子計数処理手段によって被測定光ファイバの特性が求められるようにしたので、光強度検出法と光子計数法とを切り換えてOTDR法に基づく測定を行うことができる。その結果、1台の光パルス試験器で長距離光ファイバと短距離光ファイバの両方を測定することができる。
本発明の請求項2及び4の光パルス試験器では、被測定光ファイバの所望の2つの特定距離位置で表される特定距離データを入力し、この特定距離データをその2つの特定距離位置に対応する光パルスの所定繰り返し周期に関連づけた2つの特定時間に変換し、変換したこの2つの特定時間に挟まれた時間は、APDのブレークダウン電圧より大きい所定の第2のDC電圧がAPDに供給されるようにするとともに光子計数処理手段によって被測定光ファイバの特性が求められるようにし、かつ、その2つの特定時間に挟まれた時間以外の時間は、APDのブレークダウン電圧より小さい所定の第1のDC電圧がAPDに供給されるようにするとともに光強度検出処理手段によって被測定光ファイバの特性が求められるようにしたので、光強度検出法と光子計数法とを組み合わせてOTDR法に基づく測定を行うことができる。したがって、それぞれの測定法が持っている短所(問題点)を互いに補完し合うことができる。
すなわち、光強度検出法で測定しているときに、アナログ帯域の影響を受けて、図4(a)に示すように、2つのフレネル反射光が重なって測定されるような場合、特定距離データとして距離L2、L3を入力して、この距離L2、L3の間のみを光子計数法に切り換えることによって、距離L2、L3の間から光強度検出法におけるアナログ帯域の影響を除き、図4(b)に示すように、フレネル反射光が2つに分離されて高距離分解能の測定ができる。
また、光子計数法で測定しているときに、図5(a)に示すような被測定光ファイバの端末や破断点におけるフレネル反射光の影響で測定時間が長くなるような場合、特定距離データとして距離L2、L3及び距離L4、L5を入力して、距離L1、L2の間、距離L3、L4の間、距離L5、L6の間をそれぞれ光強度検出法に切り換えることによって、図5(b)に示すように、フレネル反射光を除く後方散乱光のみを光子計数法で高距離分解能の測定ができ、測定時間を短くすることができる。
本発明の請求項5の光パルス試験器では、光パルス発生手段から出力される光パルスのピークレベルを可変できるようにしたので、短距離光ファイバのときはピークレベルを下げ、長距離光ファイバのときはピークレベルを上げて測定することができる。また、被測定光ファイバの近端を拡大して測定したい場合には、ピークレベルを下げることによって被測定光ファイバの入射端のフレネル反射を抑えることができ、その結果、被測定光ファイバの近端領域の測定が可能となる。
本発明の実施形態の光パルス試験器の構成を図1に示す。光パルス発生手段1は、制御手段9から入力される所定のパルス幅と所定の繰り返し周期を有するパルス信号aによって連続光をパルス変調して発生する光パルスで、かつ、そのピークレベルが制御手段9から入力されるレベル設定信号eによって設定された光パルスを光カプラ2に出力する。具体的には、光パルス発生手段1は、例えば図2に示すように構成されており、半導体レーザ(LD)1aは所定波長の連続光を発振して可変減衰器1bに出力する。可変減衰器1bは、制御手段9から入力されるレベル設定信号eに基づいて、LD1aからの連続光を減衰して光スイッチ1cに出力する。光スイッチ1cは、制御手段9から入力されるパルス信号aによって、可変減衰器1bからの連続光をパルス変調し、得られた光パルスを光カプラ2に出力する。
光カプラ2は、光パルス発生手段1からの光パルスを受けて被測定光ファイバ10に出力し、そして、この被測定光ファイバ10の戻り光を受けて分岐し、アバランシェフォトダイオード(APD)3に出力する。APD3は、光パルスが所定の繰り返し周期で被測定光ファイバ10に入力される毎に、この被測定光ファイバ10の各位置から戻ってくる戻り光を受けて光電変換し、その電気信号を増幅器5に出力する。
APDバイアス電源4は、制御手段9から入力されるAPDバイアス切換信号bに基づいて、APD3のブレークダウン電圧(例えば65V)より小さい所定の第1のDC電圧(例えば55V)とAPD3のブレークダウン電圧より大きい所定の第2のDC電圧(例えば66V)とを選択的に切り換えてAPD3に供給する。なお、APD3においては、第1のDC電圧が供給されたときは、戻り光の光強度に比例した検波電流が流れ、また第2のDC電圧が供給されたときは、戻り光の光子(フォトン)によってなだれ電流が発生する。
増幅器5は、例えば約DC〜100MHzの帯域を有しており、APD3からの電気信号を増幅して光強度検出処理手段6及び光子計数処理手段7に出力する。増幅器5の帯域は、上述のように、OTDR法に基づく測定を光強度検出法(アナログ的なパワー検出法)で行う場合のアナログ帯域の一部を構成し、この帯域が広いほど測定の距離分解能を光の領域の距離分解能に近づけることができる。すなわち、高距離分解能にすることができる。なお、上述のOTDR法に基づく測定を光子計数法(フォトンカウンティング法)で行う場合には、増幅の対象が離散的パルスであるため、その帯域は距離分解能には影響しない。したがって、光の領域の距離分解能が維持される。
光強度検出処理手段6は、制御手段9から入力される第1のタイミング信号cに基づいて、増幅器5からの電気信号の振幅をディジタル値に変換し、このディジタル値のデータ処理、すなわち加算平均化処理、対数変換等を行って、被測定光ファイバ10の各位置に対応した戻り光の光強度から被測定光ファイバ10の特性を求める。なお、光強度検出処理手段6は、上述の光強度検出法(アナログ的なパワー検出法)で測定を行う場合の処理手段となる。
光子計数処理手段7は、制御手段9から入力される第2のタイミング信号dに基づいて、増幅器5からの電気信号の振幅を波高弁別して計数し、その計数値のデータ処理、すなわち加算平均化処理、対数変換等を行って、被測定光ファイバ10の各位置に対応した戻り光の光強度に比例した光子数の発生確率から被測定光ファイバ10の特性を求める。なお、光子計数処理手段7は、上述の光子計数法(フォトンカウンティング法)で行う場合の処理手段となる。そして、表示手段8は、光強度検出処理手段6及び光子計数処理手段7からの被測定光ファイバ10の特性を、横軸を距離、縦軸を損失(dB)として表示する。
制御手段9は、パルス信号発生手段9a、APDバイアス切換手段9b、タイミング信号発生手段9c、特定距離/時間変換手段9d及び光パルスピークレベル設定手段9eで構成されており、パルス信号a及びレベル設定信号eを発生して出力するとともに、操作部(図示しない)から入力されるモード指定信号(光強度検出モード又は光子計数モードを指定する)及び特定距離データ(被測定光ファイバ10の所望の2つの特定距離位置で表される)に基づいて、APDバイアス切換信号b、第1のタイミング信号c及び第2のタイミング信号dを発生して出力する。
すなわち、パルス信号発生手段9aは、被測定光ファイバ10の測定距離、測定の距離分解能等によってそれらの値が決められる、所定のパルス幅と所定の繰り返し周期を有するパルス信号aを発生して光パルス発生手段1に出力する。光パルスピークレベル設定手段9eは、光パルス発生手段1か出力される光パルスのピークレベルを設定するためのレベル設定信号eを発生して光パルス発生手段1に出力する。
特定距離/時間変換手段9dは、操作部(図示しない)から被測定光ファイバ10の所望の2つの特定距離位置で表される特定距離データが入力されたときは、この特定距離データを、パルス信号aに基づいて、上記2つの特定距離位置に対応する光パルスaの繰り返し周期(すなわちパルス信号aの繰り返し周期)に関連づけた2つの特定時間に変換して、APDバイアス切換手段9b、タイミング信号発生手段9cに出力する。具体的には、図3(a)に示す距離L2、L3を所望の2つの特定距離位置とすると、特定距離データとしてこの距離L2、L3を受けて、図3(b)に示すように、パルスのエッジを基準とした2つの特定時間t2、t3に変換して出力する。
APDバイアス切換手段9bは、操作部(図示しない)から光強度検出モードを指定するモード指定信号が入力されたときは、上述の第1のDC電圧がAPD3に供給され、また光子計数モードを指定するモード指定信号が入力されたときは、上述の第2のDC電圧がAPD3に供給されるように、APDバイアス電源4を制御するためのAPDバイアス切換信号bをパルス信号aに基づいて発生して出力する。
また、特定距離/時間変換手段9dから2つの特定時間(図3(b)に示すt2、t3)が入力されたときは、この2つの特定時間に挟まれた時間(図3(b)に示すt2〜t3)は、第2のDC電圧がAPD3に供給され、2つの特定時間に挟まれた時間以外の時間(図3(b)に示すt1〜t2、t3〜t4)は、第1のDC電圧がAPD3に供給されるように、APDバイアス電源4を制御するためのAPDバイアス切換信号bをパルス信号aに基づいて発生して出力する。
タイミング信号発生手段9cは、操作部(図示しない)から光強度検出モードを指定するモード指定信号が入力されたときは、光強度検出処理手段6が増幅器5からの電気信号を処理して被測定光ファイバ10の特性を求めるために必要な第1のタイミング信号cをパルス信号aに基づいて発生して光強度検出処理手段6に出力し、また光子計数モードを指定するモード指定信号が入力されたときは、光子計数処理手段7が増幅器5からの電気信号を処理して被測定光ファイバ10の特性を求めるために必要な第2のタイミング信号dをパルス信号aに基づいて発生して光子計数処理手段7に出力する。
また、特定距離/時間変換手段9dから2つの特定時間(図3(b)に示すt2、t3)が入力されたときは、この2つの特定時間に挟まれた時間(図3(b)に示すt2〜t3)は、第2のタイミング信号dを発生して光子計数処理手段7に出力し、2つの特定時間に挟まれた時間以外の時間(図3(b)に示すt1〜t2、t3〜t4)は、第1のタイミング信号cを発生して光強度検出処理手段6に出力する。
次に、OTDR法に基づく測定を光強度検出法(アナログ的なパワー検出法)、光子計数法(フォトンカウンティング法)を用いて行う場合の制御手段9の制御内容について説明する。
(1)光強度検出モードを指定するモード指定信号が入力された場合:
APD3にブレークダウン電圧より小さい所定の第1のDC電圧が供給されるようにAPDバイアス電源4を制御し、光強度検出処理手段6に第1のタイミング信号cを出力する。これによって光強度検出法の測定が行われる。
(2)光子計数モードを指定するモード指定信号が入力された場合:
APD3にブレークダウン電圧より大きい所定の第2のDC電圧が供給されるようにAPDバイアス電源4を制御し、光子計数処理手段7に第2のタイミング信号dを出力する。これによって光子計数法の測定が行われる。
(3)特定距離データ(2つの特定距離位置で表される)が入力された場合:
2つの特定距離位置を特定距離/時間変換手段9dで2つの特定時間に変換し、この2つの特定時間に挟まれた時間は、APD3にブレークダウン電圧より大きい所定の第2のDC電圧が供給されるようにAPDバイアス電源4を制御し、光子計数処理手段7に第2のタイミング信号dを出力する。これによって、この時間(距離)は光子計数法の測定が行われる。また、2つの特定時間に挟まれた時間以外の時間は、APD3にブレークダウン電圧より小さい所定の第1のDC電圧が供給されるようにAPDバイアス電源4を制御し、光強度検出処理手段6に第1のタイミング信号cを出力する。これによって、この時間(距離)は光強度検出法の測定が行われる。
具体例を示すと、光強度検出モード(すなわち光強度検出法)で測定して、図4(a)に示すような特性が得られ、距離L2、L3の間で2つのフレネル反射光が重なっているような場合には、特定距離データとして距離L2、L3を入力すると、この距離L2、L3の間以外の間(距離L1、L2の間及び距離L3、L4の間)は光強度検出法のままで、距離L2、L3の間が光子計数法に切り換えられて、図4(b)に示すような2つのフレネル反射光が分離された特性となって、距離L2、L3の間を高距離分解能で測定できる。
また、光子計数モード(すなわち光子計数法)で測定して、図5(a)に示すような特性が得られ、距離L1、L2の間、距離L3、L4の間、距離L5、L6の間でそれぞれフレネル反射光が発生して測定時間が長くなるような場合には、特定距離データとして距離L2、L3及び距離L4、L5を入力すると、この距離L2、L3の間及び距離L4、L5の間は光子計数法のままで、距離L1、L2の間、距離L3、L4の間、距離L5、L6の間がそれぞれ光強度検出法に切り換えられ、その結果、光子計数モードで光子数の発生確率を測定すると、図5(b)に示すようなフレネル反射光が除かれた特性となって、測定時間を短くすることができる。
なお、上記の実施形態では、操作部(図示しない)から特定距離データ(2つの特定距離位置で表される)が制御手段9に入力された場合、2つの特定距離位置を特定距離/時間変換手段9dで2つの特定時間に変換し、この2つの特定時間に挟まれた時間(すなわち2つの特定距離の間)を光子計数法で測定し、その2つの特定時間に挟まれた時間以外の時間(すなわち2つの特定距離の間以外の間)を光強度検出法で測定するようにしたが、これに限定されるわけではなく、2つの特定時間に挟まれた時間を光強度検出法で測定し、その2つの特定時間に挟まれた時間以外の時間を光子計数法で測定するようにしてもよい。すなわち、例えば、特定距離データとして、図4(a)に示す距離L1、L2及び距離L3、L4を入力し、この距離L1、L2の間及び距離L3、L4の間は光強度検出法で測定し、距離L2、L3の間を光子計数法で測定するようにする。
本発明の実施形態の構成を示す図 光パルス発生手段の構成を示す図 特定距離/時間変換手段を説明するための図 光強度検出法と特定距離データの関係を説明するための図 光子計数法と特定距離データの関係を説明するための図
符号の説明
1・・・光パルス発生手段、1a・・・半導体レーザ(LD)、1b・・・可変減衰器、1c・・・光スイッチ、2・・・光カプラ、3・・・アバランシェフォトダイオード(APD)、4・・・APDバイアス電源、5・・・増幅器、6・・・光強度検出処理手段、7・・・光子計数処理手段、8・・・表示手段、9・・・制御手段、9a・・・パルス信号発生手段、9b・・・APDバイアス切換手段、9c・・・タイミング信号発生手段、9d・・・特定距離/時間変換手段、9e・・・光パルスピークレベル設定手段。

Claims (5)

  1. 所定のパルス幅及び所定の繰り返し周期を有するパルス信号を受け、該所定のパルス幅の光パルスを前記所定の繰り返し周期で発生して被測定光ファイバに出力する光パルス発生手段(1)と、
    前記光パルスが前記被測定光ファイバに入力される毎に当該被測定光ファイバの各位置から戻ってくる戻り光を受けて光電変換するAPD(3)と、
    該APDのブレークダウン電圧より小さい所定の第1のDC電圧と該APDのブレークダウン電圧より大きい所定の第2のDC電圧とを選択的に切り換えて該APDに供給するAPDバイアス電源(4)と、
    前記APDから出力される電気信号の振幅をディジタル値に変換し、該ディジタル値のデータ処理を行うことによって、前記被測定光ファイバの各位置に対応した前記戻り光の光強度から前記被測定光ファイバの特性を求める光強度検出処理手段(6)と、
    前記APDから出力される電気信号の振幅を波高弁別して計数し、その計数値のデータ処理を行うことによって、前記被測定光ファイバの各位置に対応した前記戻り光の光強度に比例した光子数の発生確率から前記被測定光ファイバの特性を求める光子計数処理手段(7)と、
    光強度検出モード及び光子計数モードのいずれか一方を指定するモード指定信号を受け、該モード指定信号が光強度検出モードを指定している場合には、前記APDバイアス電源によって前記第1のDC電圧が前記APDに供給されるようにするとともに前記光強度検出処理手段によって前記被測定光ファイバの特性が求められるようにし、かつ、前記モード指定信号が光子計数モードを指定している場合には、前記APDバイアス電源よって前記第2のDC電圧が前記APDに供給されるようにするとともに前記光子計数処理手段によって前記被測定光ファイバの特性が求められるようにする制御手段(9)とを備えたことを特徴とする光パルス試験器。
  2. 前記制御手段は、前記被測定光ファイバの所望の2つの特定距離位置で表される特定距離データを受け、該特定距離データを前記2つの特定距離位置に対応する前記光パルスの前記所定の繰り返し周期に関連づけた2つの特定時間に変換し、変換した該2つの特定時間に挟まれた時間は、前記APDバイアス電源よって前記第2のDC電圧が前記APDに供給されるようにするとともに前記光子計数処理手段によって前記被測定光ファイバの特性が求められるようにし、かつ、前記2つの特定時間に挟まれた時間以外の時間は、前記APDバイアス電源によって前記第1のDC電圧が前記APDに供給されるようにするとともに前記光強度検出処理手段によって前記被測定光ファイバの特性が求められるようにすることを特徴とする請求項1に記載の光パルス試験器。
  3. 前記制御手段は、
    前記パルス信号を発生して前記光パルス発生手段に出力するパルス信号発生手段(9a)と、
    前記パルス信号及び前記モード指定信号を受け、該モード指定信号が光強度検出モードを指定している場合には、前記第1のDC電圧が前記APDに供給され、かつ、前記モード指定信号が光子計数モードを指定している場合には、前記第2のDC電圧が前記APDに供給されるように、前記APDバイアス電源を前記パルス信号に基づいて制御するAPDバイアス切換手段(9b)と、
    前記パルス信号及び前記モード指定信号を受け、該モード指定信号が光強度検出モードを指定している場合には、前記光強度検出処理手段が前記被測定光ファイバの特性を求めるために必要な第1のタイミング信号を前記パルス信号に基づいて発生して該光強度検出処理手段に出力し、かつ、該モード指定信号が光子計数モードを指定している場合には、前記光子計数処理手段が前記被測定光ファイバの特性を求めるために必要な第2のタイミング信号を前記パルス信号に基づいて発生して該光子計数処理手段に出力するタイミング信号発生手段(9c)とを含むことを特徴とする請求項1に記載の光パルス試験器。
  4. 前記制御手段は、更に、
    前記パルス信号及び前記被測定光ファイバの所望の2つの特定距離位置で表される特定距離データを受け、該特定距離データを、前記パルス信号に基づいて、前記2つの特定距離位置に対応する前記光パルスの前記所定の繰り返し周期に関連づけた2つの特定時間に変換する特定距離/時間変換手段(9d)を含み、
    前記APDバイアス切換手段は、前記特定距離/時間変換手段から前記2つの特定時間の情報を受けた場合、該2つの特定時間に挟まれた時間は、前記第2のDC電圧が前記APDに供給され、かつ、前記2つの特定時間に挟まれた時間以外の時間は、前記第1のDC電圧が前記APDに供給されるように前記APDバイアス電源を制御し、
    前記タイミング信号発生手段は、前記特定距離/時間変換手段から前記2つの特定時間の情報を受けた場合、該2つの特定時間に挟まれた時間は、前記第2のタイミング信号を発生して前記光子計数処理手段に出力し、かつ、前記2つの特定時間に挟まれた時間以外の時間は、前記第1のタイミング信号を発生して前記光強度検出処理手段に出力することを特徴とする請求項3に記載の光パルス試験器。
  5. 前記制御手段は、更に、
    前記光パルス発生手段から出力される光パルスのピークレベルを可変する光パルスピークレベル設定手段(9e)を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の光パルス試験器。
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