JP4119517B2 - 冷間鍛造用鋼およびその製造方法 - Google Patents

冷間鍛造用鋼およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は圧延まま、または焼鈍の冷間鍛造に供する構造用鋼とその製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】
構造用部材に用いられる鋼は必要な特性を付与するために多くの加工工程を経るが、表層を硬化させる高周波焼入れもその一つである。このような部材は多くの場合、表層硬度だけ大きければよいため、そのために工程が増えることはコスト増の要因となり、従来から問題視されていた。従来構造用鋼の圧延まま材は冷却速度が遅いため、フェライト−パーライト組織を有することが多いが、表層硬度は低く、高周波焼入れレベルには到底到達しない。脱炭などの影響のため、内部硬度より軟質であることもしばしばである。一般の部材は必ずしも高周波焼入れによるC含有量に対応した最高硬さを必要としないが、焼準材以上の硬さを求める部材があるのも事実である。したがって、圧延ままでも内部より硬度の高い鋼を供給することが課題であった。
【0003】
また複雑な形状を必要とする場合には鍛造や切削工程を経る。熱間鍛造は鍛造時に加熱を必要とするうえ、加工精度に劣るため、より精度の良い冷間鍛造が指向されている。しかし従来の圧延まま材では硬度が大きすぎるため、冷間鍛造には不向きである。通常の冷間鍛造用鋼では通常セメンタイトを球状化することなどして軟質化することが一般的である。その焼鈍時間は20時間程度と非常に長い時間を要する。
【0004】
このように冷間鍛造に供する炭素鋼レベルの炭素量を有する鋼でも炭素を黒鉛化し、フェライト−グラファイトの2相組織とすることで、冷間加工性と被削性が向上することが、特開平3−140411などに見られる。しかし、そのような組織を実現するためにも長時間の焼鈍が必要であり、やはり生産能率とコストの点で問題があった。したがって焼鈍時間の短縮が課題であった。
【0005】
これまで黒鉛化焼鈍の時間を短縮するためにはBを添加し、BNを析出核として用いることが報告されている。しかしこのような特定の析出物を用いることは圧延、熱間鍛造などの焼鈍に至るまでの工程における温度履歴に非常に精密な制御を要した。すなわち、BNの析出温度は850〜900℃程度と考えられるが、実際の圧延や熱間鍛造は1000℃以上で行われることが多い。そのため、このような黒鉛を有する冷間鍛造用鋼を用いるにはその前工程の圧延や熱間鍛造を1000℃以下で行う必要があった。
【0006】
このような温度での熱間加工は、ロールやポンチなどの工具の寿命を低下させる。またこのように工程上の制限が多くなることは、製造上の効率を低下させるので、製造コストの点からも避けるべきことである。このような鋼材製造や冷間鍛造の前工程の熱間鍛造などの観点からは精密な温度制御を必要とせずに、短時間での焼鈍、軟化が可能な鋼材が要求されている。
【0007】
また短時間でグラファイトの含有量を抑制することで焼鈍時間を短縮させることも特開平2−111842などに見られる。しかし、結局グラファイト析出量が不足する場合には、残留したセメンタイト量に比例して冷間鍛造性や切削性が損なわれるので根本的な解決にはなっていなかった。
【0008】
このように従来の圧延まま材はそのまま使用するには表層硬度が不足し、冷間鍛造や切削に供するには硬度が高すぎるという中途半端の特性を有することがしばしばである。また製造する立場からはコスト低減のために極力鋼種を統合して製造するという基本的な課題がある。そのため、圧延まま材でも十分な表層硬度を有し、また冷間鍛造に供する場合にはその焼鈍時間を短縮するとともに、焼鈍後には優れた冷間鍛造性を示す素材を提供することが課題であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は鋼の化学成分とミクロ組織を調整することで、圧延ままで表層硬度に優れるとともに、冷間鍛造や切削加工前の極めて短い軟質化焼鈍時間で優れた冷間鍛造性を付与できる鋼とその製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するためになされ、その要旨は次のとおりである。
(1)重量%で、
C:0.32〜1.0%
Si:0.35〜2.0%
Mn:0.01〜1.50%
P:0.005〜0.100%
S:0.003〜0.500%
を含み、sol.N:0.005%以下に制限し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、鋼中組織にしめるパーライトの比率(検鏡面におけるパーライト占有面積/検鏡面積)が120×(C%)%以下(但し、100%以下。以下同じ)、かつ最表層硬度がビッカース硬度HVで450×(C%)+90以上であることを特徴とする表層硬度と黒鉛化焼鈍による軟質化特性に優れた冷間鍛造用鋼。
(2)(1)記載の化学成分に加え、Cr:0.01〜0.70%、Mo:0.05〜0.50%のうち1種または2種を含み、鋼中組織にしめるパーライトの比率(検鏡面におけるパーライト占有面積/検鏡面積)が120×(C%)%以下、かつ最表層硬度がビッカース硬度HVで450×(C%)+90以上であることを特徴とする表層硬度と黒鉛化焼鈍による軟質化特性に優れた冷間鍛造用鋼。
(3)(1)または(2)に記載の化学成分に加え、Ti:0.01〜0.20%、V:0.05〜0.50%、Nb:0.01〜0.10%、Zr:0.01〜0.30%、Al:0.001〜0.050%のうち1種または2種以上を含み、鋼中組織にしめるパーライトの比率(検鏡面におけるパーライト占有面積/検鏡面積)が120×(C%)%以下、かつ最表層硬度がビッカース硬度HVで450×(C%)+90以上であることを特徴とする表層硬度と黒鉛化焼鈍による軟質化特性に優れた冷間鍛造用鋼。
(4)(1)ないし()のいずれかに記載の化学成分に加え、Pb:0.01〜0.30%を含み、鋼中組織にしめるパーライトの比率(検鏡面におけるパーライト占有面積/検鏡面積)が120×(C%)%以下、かつ最表層硬度がビッカース硬度HVで450×(C%)+90以上であることを特徴とする表層硬度と黒鉛化焼鈍による軟質化特性に優れた冷間鍛造用鋼。
(5)(1)ないし()のいずれかに記載の化学成分を有する鋼を、オーステナイト温度域またはオーステナイト−フェライト2相域で熱間圧延を終了し、その後直ちに3℃/秒以上で急冷し、復熱温度を650℃以下に制御して、鋼中組織にしめるパーライトの比率(検鏡面におけるパーライト占有面積/検鏡面積)が120×(C%)%以下、かつ最表層硬度がビッカース硬度HVで450×(C%)+90以上とすることを特徴とする表層硬度と黒鉛化焼鈍による軟質化特性に優れた冷間鍛造用鋼の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】
C含有量は焼入れ焼き戻し後、部品としての強度を確保するために0.32%以上でなければならない。上限値は焼き割れ発生を防止するために1.0%とした。
【0013】
Siは鋼中の炭素かつ量を大きくすることにより、黒鉛化を促進する作用がある。その下限値は黒鉛化の観点から0.35%以上が好ましい。また2.0%を越えると、フェライト硬さが大きくなったり、鋼の靱性が損なわれるなどの弊害が顕著となるので上限値を2.0%とした。
【0014】
Mnは鋼中硫黄をMnSとして固定・分散させるために必要な量及びマトリックスに固溶させて焼入れ後の強度を確保するために必要な量を加算した量が必要であり、その下限値は0.01%である。Mn量が大きくなると素地の硬さが大きくなり冷間加工性が低下する。またMnは軟質化焼鈍時の黒鉛化阻害元素であり、添加量が増えると焼鈍時間が長くなる傾向があるので上限を1.0%とした。
【0015】
Pは鋼中において素地の硬さが大きくなり、冷間加工性が低下するので、その上限を0.1%にしなければならない。下限は現状の工業生産レベルでコストが大幅に上昇しない限界である0.005%とした。
SはMnと結合してMnS介在物として存在する。冷間加工性の点からその上限値を0.5%とした。下限は現状の工業生産レベルでコストが大幅に上昇しない限界である0.005%とした。
【0016】
窒化物として存在しない固溶窒素はセメンタイト中に溶け込み、セメンタイトの分解を阻害することから、黒鉛化阻害元素となる。そのため、本発明ではsol.Nによって規定する。すなわち、sol.Nが0.005%以上含まれると極端に黒鉛化に要する焼鈍時間が長くなるため、sol.Nの上限を0.005%とした。
【0017】
Crは焼入れ性向上元素であるが、同時に黒鉛化阻害元素である。そのため焼入れ性向上が必要な場合には0.01%以上の添加を必要とする。しかし多量に添加すると黒鉛化を阻害するので焼鈍時間が長くなるため、0.7%を上限とした。
Tiは鋼中でTiNを形成し、γ粒径を小さくする。黒鉛はγ粒界や析出物という、いわば格子の不均一部に析出する傾向にあり、Tiの炭窒化物は黒鉛の析出核としての役割と、γ粒径微細化による黒鉛析出核の創出という役割を担う。さらにNを窒化物として固定するために、sol.Nを低減させる。Tiが0.01%以下ではその効果が小さく、0.2%以上ではその効果が飽和するとともに、多くのTiNが析出して機械的性質を損なう。
【0018】
Vは炭窒化物を形成し、γ粒微細化と析出核の両面で黒鉛化焼鈍時間を短縮する。また窒化物生成時にsol.Nを低減させる。Vが0.05%以下ではその効果が小さく、0.5%以上ではその効果が飽和するとともに、多くの未溶解炭化物が残留するために機械的性質を損なう。
Nbは炭窒化物を形成し、γ粒微細化と析出核の両面で黒鉛化焼鈍時間を短縮する。また窒化物生成時にsol.Nを低減させる。Nbが0.01%以下ではその効果が小さく、0.1%以上ではその効果が飽和するとともに、多くの未溶解炭化物が残留するために機械的性質を損なう。
【0019】
Zrは酸化物、窒化物、炭化物、硫化物を形成する。それらは析出核として黒鉛化焼鈍時間を短縮する。また窒化物生成時にはsol.Nを低減させる。またMnSなどの硫化物の形状を球状化させ、機械的性質の圧延異方性を緩和することができる。さらに焼入れ性も向上させることができる。Zrが0.01%以下ではその効果が小さく、0.3%以上ではその効果が飽和するとともに、多くの未溶解炭化物が残留するために機械的性質を損なう。
【0020】
Moは焼入れ後の強度を増加させるが、炭化物を生じやすく炭素の活量を低下させる元素で黒鉛化を阻害する元素である。そこで黒鉛化阻害効果が顕著となる0.5%を上限とし、黒鉛の核生成を大きく阻害しない添加量にとどめた。ただし他の焼入れ性向上元素に比べ、黒鉛化阻害の程度が小さいので、焼入れ性を向上させるために限定した範囲内でMo添加量を多くすればよい。
【0021】
Alは鋼を脱酸して圧延時の表面きずを防止するために0.01%以上必要であり、脱酸の効果は0.05%で飽和し、アルミナ系介在物が増加するので上限を0.05%とした。またAlNとして析出した場合には黒鉛の析出核としての役割と、γ粒径微細化による黒鉛析出核の創出という役割を担う。さらにNを窒化物として固定するので、sol.Nを低減させる。
Pbは被削性向上元素である。被削性を必要とする場合には0.01%以上必要であり、0.3%以上では黒鉛化を阻害するとともに圧延きずなどの製造上の問題を生じるため、これを上限とした。
【0022】
表層は変態点以上の温度から急冷することによって硬度を増すことができるが、その硬度はC量の影響を受ける。その硬度が低すぎると表層硬度を必要とする鋼には使用できない。たとえば耐磨耗性を必要とする鋼では少なくとも一般焼準材よりも大きな硬度とする必要がある。本発明ではC量に応じてビッカース硬度HVで450×(C%)+90以上の硬さを有する鋼を提供できる。
【0023】
鋼中組織にしめるパーライトの比率(検鏡面におけるパーライト占有面積/検鏡面積)が120×(C%)%以下となるように規定した理由を述べる。本発明の成分系では鋼中の炭素が黒鉛化する場合、オーテナイト領域から大気放冷速度またはそれより早い速度で冷却すると、通常はセメンタイトを生成する。しかし焼鈍後に優れた冷間加工特性を付与するには、焼鈍によってCを黒鉛化する必要がある。焼鈍による黒鉛化の過程はセメンタイトの分解→Cの拡散→黒鉛核生成・成長の順と考えられる。その際、セメンタイトの分解の観点から、セメンタイトの大きさが大きく、かつエネルギー的に安定な形態、すなわちCがラメラ上のパーライトを生成すると、セメンタイトの分解に多くの時間を要し、焼鈍時間を短縮することができない。
【0024】
また黒鉛の成長の観点からはCの拡散によって黒鉛を生成する際、Cの拡散距離が短い場所の黒鉛が生成・成長する傾向にある。すなわち旧パーライト付近に黒鉛を生成する傾向にある。このことは生成した黒鉛が粗大かつ不均一に分散することを意味し、焼鈍後の破壊までの変形量を小さくしたり、高周波焼入れによる黒鉛の分解とCの拡散に時間がかかり、高周波焼入れによる硬化特性を低下させる。このように本発明の鋼では焼鈍の時間短縮と焼鈍後に優れた変形特性を付与できるよう、パーライトの生成を極力抑制することが必要である。
【0025】
次にパーライトの比率測定方法の概要を図1に示す。それによってパーライトの比率の算出方法は以下の式による。
【0026】
【数1】
Figure 0004119517
【0027】
ここでri =i・w+w/2、w=R/n
(P%):パーライトの比率
w:測定代表幅
n:分割数
(Pi%):測定場所のパーライトの比率
i :測定代表半径 i:分割時の引数
R:棒鋼または線材の半径
である。
【0028】
本方法は簡易的な方法であるが、分割数nが大きければwが小さくなるので、鋼のパーライトの比率を正確な面積率として算出できる。
本発明ではn≧5と規定する。具体的にはナイタールエッチングした断面方向研磨検鏡サンプルを倍率1000倍で光学顕微鏡にて1mmピッチで表層から中心まで観察する(20mm線材ではn=10)。視野内におけるパーライトを画像処理装置によって計測した面積率を測定し、その面積率を棒鋼または線材半径方向1mm幅の代表値wとして断面内のパーライト面積占有率を算出する。
【0029】
この際ナイタールによるエッチングによってラメラ組織が認められるものをパーライトとした。この面積率が120×(C%)%を越えると焼鈍時間が極端に長くなる。この焼鈍時間への影響は素材C量によって異なるが、C量が多く、パーライト面積占有率が120×(C%)%以上であればコスト的に実用化できない。したがって、パーライトの面積率の上限を120×(C%)%とした。但し、100%は超えない。
図2〜5にそれぞれC量の異なる場合の焼鈍前パーライト面積率と焼鈍時間の関係を示す。C量が低い方が容易に軟化するが、本発明の範囲外では極端に焼鈍時間が長くなることがわかる。
【0030】
製造方法であるが、鋼のオーステナイト温度領域で圧延した後、冷却速度が遅いとパーライトが多く生成し、軟化するまでの焼鈍時間が長くなる。また表層硬度の点でも十分な硬度を有さないので、直接使用するには軟らかく、冷間鍛造するには硬すぎるという中途半端な鋼になる。したがって、急冷することが望ましい。圧延終了から500℃までの表層冷却速度が3℃/s以上であれば、徐冷される内部より硬度を増すことができる。また、鋼断面のパーライトの面積率が120×(C%)%を超えないようにするためにも3℃/s以上の速度で冷却する必要がある。一度冷却した後、オーステナイト化温度まで再加熱して水冷するなどの手段によってパーライト量を減少させることもできるが、コストと手間の点で、オンラインで処理することが望ましい。
【0031】
鋼内部の組織については、通常の焼入れのように急冷によって硬度を大きくすることが主目的ではなく、焼鈍時に分解が容易なようにパーライトを生成させないことが目的であるため、冷却能力を無理に大きくする必要はない。実際の鋼材製造上は5〜150mmの直径で出荷されることが多いため、それらを対象にパーライトの生成を抑制すればよい。言い換えれば必ずしもマルテンサイト組織である必要はなく、ベイナイト組織でもフェライト、パーライト組織の鋼より軟化のための焼鈍時間が短くて済む。そのため具体的には、圧延直後の鋼材を圧延ライン最後部に設置したクーリングトラフや水槽などの冷却装置内を通過させることである。
【0032】
オンラインでは鋼材は冷却装置を通過した後、大気中で冷却される。ここで重要なことは、表層は一度冷却されても鋼材内部の熱により復熱することである。この復熱温度を650℃以下に抑制することが必要である。
復熱温度を650℃以上に復熱した場合、表層硬度は低下する。また一部では大気中での冷却中にパーライトを生成し、パーライト量を120×(C%)%にすることが困難になる。この冷却速度および復熱特性は圧延されている棒および線の直径の影響を大きく受けるが、冷却は水冷に限らず、油冷、風冷など冷却速度3℃/s以上、復熱650℃以下を実現できる冷却手段であればよい。
このように圧延後、圧延ライン中に取り付けた冷却装置によって直ちに冷却し、復熱温度を650℃以下に抑制することで、表層硬度を大きくし、さらにパーライト面積占有率を120×(C%)%以下にできる。
図6に復熱温度と表面硬度の関係を示す。復熱が大きくなると表面硬さを確保できない。図7に復熱温度とパーライト面積率を示す。復熱温度が高くなるとパーライト面積率が増大することがわかる。このように急冷し復熱温度を抑制することが重要である。
【0033】
【実施例】
表1〜8に示す化学成分を有する鋼を溶製した。発明例はオーステナイト温度域でφ50mmまたはφ20mmに圧延後、直ちに水冷した。圧延温度はオーステナイト温度域である800〜1100℃である。水冷には圧延ライン最後部に設置したクーリングトラフを用いた。比較例を含む一部の試験片については1200℃以上でφ50mmまたはφ20mmに圧延後、空冷した。
【0034】
それぞれの試験片から断面方向の光学顕微鏡用検鏡サンプルを採取し、鏡面に研磨した後ナイタールでエッチングした。1000倍の倍率でパーライトと他の組織を分離し、パーライトの面積率を画像処理装置によって定量化した。その際、対象とした視野数は50視野である。
【0035】
このような熱処理材を680℃で焼鈍した。焼鈍時間16時間までは4時間ごと、48時間までは8時間ごと、それ以上では24時間ごとに硬度を測定し、ビッカース硬度はHV130以下となるまでの焼鈍時間を測定した。また温度の測定は輻射温度計によって鋼材表面の温度を測定した。冷速は冷却直前と復熱後の温度差を復熱に要した時間で除することで求めた。
【0036】
表1〜6(実施例1〜9,11,15,16,18,20〜22,24,30〜35,37,41,42)に本発明例を、表7〜8(実施例43〜62)に比較例を示す。発明例はいずれも表層硬度が高く、軟化焼鈍時間も短い。しかし実施例43〜54(比較例)に示すように、sol.N量が規定範囲外であると軟質化のための焼鈍時間が長くなる。また実施例例55〜59では冷却速度が不足したためにパーライト分率が多くなり、焼鈍に時間がかかることがわかる。さらに実施例60〜62では復熱温度が高く、やはり焼鈍時間が長くなる。またこのように、冷速および復熱温度が規定外であると表層硬度が不足する。
【0037】
【表1】
Figure 0004119517
【0038】
【表2】
Figure 0004119517
【0039】
【表3】
Figure 0004119517
【0040】
【表4】
Figure 0004119517
【0041】
【表5】
Figure 0004119517
【0042】
【表6】
Figure 0004119517
【0043】
【表7】
Figure 0004119517
【0044】
【表8】
Figure 0004119517
【0045】
【発明の効果】
本発明の鋼は優れた表層硬度に優れるとともに、焼鈍に供する場合は焼鈍時間を非常に短くできるので、用途の広い構造用鋼として安価かつ高性能な鋼を供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パーライトの比率測定方法の概要を示す図
【図2】 0.20%クラスの実施例におけるパーライト面積率と軟化までの焼鈍時間の関係を示す図
【図3】 0.35%クラスの実施例におけるパーライト面積率と軟化までの焼鈍時間の関係を示す図
【図4】 0.45%クラスの実施例におけるパーライト面積率と軟化までの焼鈍時間の関係を示す図
【図5】 0.55%クラスの実施例におけるパーライト面積率と軟化までの焼鈍時間の関係を示す図
【図6】 復熱温度と表層硬度の関係を示す図
【図7】 復熱温度とパーライト面積率の関係を示す図

Claims (5)

  1. 重量%で、
    C:0.32〜1.0%
    Si:0.35〜2.0%
    Mn:0.01〜1.50%
    P:0.005〜0.100%
    S:0.003〜0.500%
    を含み、sol.N:0.005%以下に制限し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、鋼中組織にしめるパーライトの比率(検鏡面におけるパーライト占有面積/検鏡面積)が120×(C%)%以下(但し、100%以下。以下同じ)、かつ最表層硬度がビッカース硬度HVで450×(C%)+90以上であることを特徴とする表層硬度と黒鉛化焼鈍による軟質化特性に優れた冷間鍛造用鋼。
  2. 請求項1記載の化学成分に加え、Cr:0.01〜0.70%、Mo:0.05〜0.50%のうち1種または2種を含み、鋼中組織にしめるパーライトの比率(検鏡面におけるパーライト占有面積/検鏡面積)が120×(C%)%以下、かつ最表層硬度がビッカース硬度HVで450×(C%)+90以上であることを特徴とする表層硬度と黒鉛化焼鈍による軟質化特性に優れた冷間鍛造用鋼。
  3. 請求項1または請求項2に記載の化学成分に加え、Ti:0.01〜0.20%、V:0.05〜0.50%、Nb:0.01〜0.10%、Zr:0.01〜0.30%、Al:0.001〜0.050%のうち1種または2種以上を含み、鋼中組織にしめるパーライトの比率(検鏡面におけるパーライト占有面積/検鏡面積)が120×(C%)%以下、かつ最表層硬度がビッカース硬度HVで450×(C%)+90以上であることを特徴とする表層硬度と黒鉛化焼鈍による軟質化特性に優れた冷間鍛造用鋼。
  4. 請求項1ないし請求項のいずれかに記載の化学成分に加え、Pb:0.01〜0.30%を含み、鋼中組織にしめるパーライトの比率(検鏡面におけるパーライト占有面積/検鏡面積)が120×(C%)%以下、かつ最表層硬度がビッカース硬度HVで450×(C%)+90以上であることを特徴とする表層硬度と黒鉛化焼鈍による軟質化特性に優れた冷間鍛造用鋼。
  5. 請求項1ないし請求項のいずれかに記載の化学成分を有する鋼を、オーステナイト温度域またはオーステナイト−フェライト2相域で熱間圧延を終了し、その後直ちに3℃/秒以上で急冷し、復熱温度を650℃以下に制御して、鋼中組織にしめるパーライトの比率(検鏡面におけるパーライト占有面積/検鏡面積)が120×(C%)%以下、かつ最表層硬度がビッカース硬度HVで450×(C%)+90以上とすることを特徴とする表層硬度と黒鉛化焼鈍による軟質化特性に優れた冷間鍛造用鋼の製造方法。
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