JP4119048B2 - トランスポンダユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水又は油等の液体検知用として使用可能な複数のトランスポンダを一体化したトランスポンダユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、液体の漏洩或いは漏洩箇所を検出するために数々の工夫がなされている。このように液体の漏洩を検出しなければならないものとしては、例えば廃棄物等の埋立処理場、港のコンビナートと海上のタンカーとの間で重油等を移送する液体移送用ホースが挙げられる。
【0003】
廃棄物の埋立処理場では、廃棄物から流れ出る液体が地中に浸透するのを防ぐために、遮水シートと称されるシートを敷設した上に、廃棄物を埋め立てるようにしている。このように遮水シートを敷設することにより、雨水に溶けて廃棄物から流れ出た酸性、アルカリ性、或いは人体に有害な汚水が地中に染み込み、地下水に混入するのを防止すると共に下流側で集水処理して放流することができる。
【0004】
しかし、遮水シートが破砕した場合には汚水が地中に染み込んでしまうので、汚水の漏洩を検出するとともに破砕位置を特定する必要がある。
【0005】
このような遮水シートの破損を検出する手段の一例として、従来、特開平9−189636号に開示される漏洩検出方法が知られている。これは、遮水シートの下側に縦横の格子状に絶縁電線を配置し、その交点をダイオードと2個の電極で構成する電気伝導度センサで結び、格子の縦横を電気信号で操作することによって、遮水シートからの汚染水の漏洩とその場所を検出するものである。
【0006】
さらに、実際の被害を生じる前に漏洩を検出するために、シートを二重にしてこれらの2枚のシート間にバッファ領域を設ける工夫もなされている。
【0007】
また、タンカーから重油等が海上に流出して近海に大変な被害を与えた事故が報じられることがあるが、このような事故が起こらないようにするために、液体移送用ホースにおける液体漏洩の検出は非常に重要なことである。
【0008】
このため、液体移送用ホースとして、上記と同様にホースの本体耐圧コード層の外側に、さらに本体耐圧コード層から漏洩した液体が流入して対流する貯液緩衝層を介して、補助耐圧コード層が配置された構成となるダブルカーカスのホースも開発されている。これにより、本体耐圧コード層が破損した際に、本体耐圧コード層から漏洩した液体が補助耐圧コード層に遮られて貯液緩衝層に保持される。
【0009】
さらに、前述のように本体耐圧コード層が破損し、貯液緩衝層内に液体が流入した際のホースの外観変化を容易に目視できるようにしたホースが知られている。このホースは、特開平5−272678号公報に開示されるように、補助耐圧コード層に、貯液緩衝層内に流入した液体の圧力によって捩れ可能な非対称コード層を備え、ホースの外観を視認することにより漏洩を検知することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した2つの従来例において、前者の場合は検出対象となる範囲が広大な面積となり漏洩箇所の特定が非常に難しかった。さらに、絶縁電線を張り巡らせるのは非常に手間のかかることであった。
【0011】
また、後者の場合は、非対称コード層を有するホースであっても液体の圧送を停止して液圧の無い状態ではホースの捩れ等の外観の異常を認めることができなかった。さらに、液漏れの初期段階、即ち少量の液漏れが生じ始めた段階ではホースの外観を変化させるまでには至らず、液漏れ初期段階での異常発見は不可能であった。
【0012】
本発明の目的は上記の問題点に鑑み、離れた位置から容易に液体の漏洩を検出できるトランスポンダユニットを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するために請求項1では、所定周波数の電波を送受信し、前記周波数の電波を受信したときに応答信号を送信するトランスポンダを2つ以上備えてこれらを一体化したトランスポンダユニットであって、液体に接触すると発信特性が変化する第1のトランスポンダと、液体に接触したときも液体に接触していないときと同じ発信特性を維持して電波の送受信を行う第2のトランスポンダとを備えたトランスポンダユニットを提案する。
【0014】
該トランスポンダユニットによれば、第1のトランスポンダに水や油等の検知対象物が接触すると発信特性が変化するので、質問信号の電波を輻射してもトランスポンダとの間で通信を行うことができなくなる。これにより、応答信号を受信できない前記第1のトランスポンダが液体に接触していることを検知することができる。さらに、前記第2のトランスポンダは、液体に接触しても発信特性が変化せずに電波の送受信を行うことができるので、質問信号を受信したときには応答信号を送信し、通常の通信を行うことができる。これにより、第2のトランスポンダとの通信によって、トランスポンダユニットの設置位置を特定することができるとともに、第1のトランスポンダとの通信が行えないときにも、第2のトランスポンダによって必要な通信を行うことができる。
【0015】
また、請求項2では、請求項1に記載のトランスポンダユニットにおいて、前記第1のトランスポンダが液体中を透過するときに所定値以上の減衰を生ずる周波数の電波を送受信するトランスポンダであるトランスポンダユニットを提案する。
【0016】
該トランスポンダユニットによれば、前記第1のトランスポンダの送受信電波の周波数が、移送対象の液体中を透過するときに所定値以上の減衰を生じて発信特性が変化するため、液体の漏洩が生じたときにトランスポンダから応答信号を発信しても、応答信号電波の減衰が大きくなり、監視員はトランスポンダからの応答信号電波を受信できなくなる。これにより、前記検知対象物が接触したことを検出できる。
【0017】
また、請求項3では、請求項1に記載のトランスポンダユニットにおいて、前記第1のトランスポンダが液体に接触するとアンテナの共振周波数が変化するトランスポンダであるトランスポンダユニットを提案する。
【0018】
該トランスポンダユニットによれば、前記第1のトランスポンダに液体が接触すると、アンテナの共振周波数及び送信周波数が通常の周波数よりも上方或いは下方の周波数にずれる。このため、アンテナとトランスポンダ本体との間の整合状態が悪化して、アンテナから輻射される電波の到達距離が短くなり、トランスポンダに対して質問信号を送信してもトランスポンダからの応答信号を受信できなくなる。これにより、前記検知対象物が接触したことを検出できる。
【0019】
また、請求項4では、請求項3に記載のトランスポンダユニットにおいて、前記第1のトランスポンダは、絶縁性の板又はフィルムからなる基板と、該基板上に形成された帯状導体とからなり、帯状導体がその厚みに対して幅が極めて大きく設定されると共に、前記帯状導体の少なくとも一部が隣り合う該帯状導体の他の所定部分に対して所定距離以下の間隔をあけて接近して配置されているアンテナを備えているトランスポンダユニットを提案する。
【0020】
該トランスポンダユニットによれば、上記の構造とすることにより、水や油等の検知対象物が接触すると第1のトランスポンダのアンテナを構成する隣り合う帯状導体間に検知対象物によって静電容量が発生するので、アンテナの共振周波数及び送信周波数が通常の周波数よりも上方或いは下方の周波数にずれる。このため、第1のトランスポンダのアンテナとトランスポンダ本体との間の整合状態が悪化して、アンテナから輻射される電波の到達距離が短くなり、第1のトランスポンダに対して質問信号を送信しても第1のトランスポンダからの応答信号を受信できなくなる。さらに、上記の構造とすることにより、第1のトランスポンダのアンテナの周囲に発生する磁束密度が低くなるので、アンテナの“Q”を低い値、例えば約10前後の値に設定可能となる。
【0021】
また、請求項5では、請求項4に記載のトランスポンダユニットにおいて、前記帯状導体が渦巻状に形成されているトランスポンダユニットを提案する。
【0022】
該トランスポンダユニットによれば、前記第1のトランスポンダのアンテナにおける前記帯状導体を渦巻き状にすることによりトランスポンダ本体の送受信周波数に共振するようにしている。
【0023】
また、請求項6では、請求項4に記載のトランスポンダユニットにおいて、前記第1の トランスポンダのアンテナにおける前記基板の少なくとも前記帯状導体が形成された面には液体が浸透しやすい部材が設けられているトランスポンダユニットを提案する。
【0024】
該トランスポンダユニットによれば、検出対象となる液体が浸透しやすい部材を設けることにより、検出対象の液体の量が微量なときにも第1のトランスポンダのアンテナに液体を接触させることができるので、液体を容易に検知することができる。
【0025】
また、請求項7では、請求項6に記載のトランスポンダユニットにおいて、前記液体が浸透しやすい部材として不織布を用いたトランスポンダユニットを提案する。
【0026】
該トランスポンダユニットによれば、前記検出対象となる液体が浸透しやすい部材として不織布を用いたので、容易に入手可能でありコストも低く抑えることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。
【0028】
図1は本発明の第1参考例のトランスポンダを示す外観斜視図、図2はトランスポンダ素子を示す外観斜視図、図3はトランスポンダを示す平面図、図4は図3におけるA−A線矢視方向断面図である。
【0029】
図において、10はトランスポンダで、トランスポンダ素子11とループ状のアンテナ12を2枚のフィルム13,14で挟み込むことにより構成されている。
【0030】
フィルム13,14は、例えば幅(W1)が30mm、長さ(L1)が100mmのポリイミドフィルムからなり、下側のフィルム13上にアンテナ12が印刷形成されている。また、トランスポンダ素子11及び2枚のフィルム13,14間は樹脂によって接着されている。
【0031】
トランスポンダ素子11は、図2に示すように、半導体チップからなるトランスポンダ素子本体15と、この周囲を覆う直方体形状の樹脂製パッケージ16から構成されている。
【0032】
また、アンテナ12は、図3及び図4に示すように、フィルム13に印刷形成されたコイル形状をなした導体12aからなり、その厚み(Th)は20μm、幅(W2)は2mmに設定され、長さは送受信周波数の13.56MHzに共振するように設定されている。また、アンテナ12は、導体12aを渦巻き状に配置して形成されており、導体12aは、その少なくとも一部が他の部分に対して所定距離以下の間隔をあけて接近して配置されている。
【0033】
アンテナ12の構造を上記のような構造とすることにより、アンテナ12の“Q”を低い値、例えば約10前後の値に設定している。この程度の低い“Q”を実現するには磁束密度が低くなる構造にする必要がある。このため、アンテナ12を形成する印刷配線導体12aの幅(W1)を厚み(Th)よりも大きく設定し、アンテナ12に発生する磁束が1ヶ所に集中しないようにしている。
【0034】
図5は、トランスポンダ10の電気系回路を示す構成図である。図において、10はトランスポンダで、アンテナ12、アンテナ切替器21、整流回路22、中央処理部23、記憶部24、発信部25、及び検波部26から構成されている。
【0035】
アンテナ切替器21は、例えば電子スイッチ等から構成され、整流回路22或いは発信部25の何れか一方をアンテナ12と接続するためのものであり、中央処理部23から出力される制御信号によって接続切替が行われる。また、アンテナ切替器21は、中央処理部23が非動作時にはアンテナ12と整流回路22とを接続し、中央処理部23の動作時にはアンテナ12と発信部25とを接続する。
【0036】
整流回路22は、ダイオード221,222、コンデンサ223、及び抵抗器224から構成され、周知の全波整流回路を形成している。この整流回路22の入力側にはアンテナ切替器21を介してアンテナ12が接続されている。整流回路22は、アンテナ12に誘起した高周波電流を整流して直流電流に変換し、これを中央処理部23、記憶部24及び発信部25の駆動電源として出力するものである。
【0037】
中央処理部23は、周知のCPU231及びディジタル/アナログ(以下、D/Aと称する)変換器232から構成されている。CPU231は、電源が供給されて駆動するとEEPROM等の半導体メモリからなる記憶部24内に記憶されている情報を読み出して、この情報をD/A変換器232を介して発信部25に出力する。
【0038】
発信部25は、発振回路251、変調回路252及び高周波増幅回路253から構成され、発振回路251によって発振された、例えば13.56MHzの搬送波を、中央処理部23から入力した情報信号に基づいて、変調回路252で変調し、これを高周波増幅回路253及びアンテナ切替器21を介してアンテナ12に供給する。
【0039】
検波部26はダイオード261とA/D変換器262からなり、ダイオード261のアノードはアンテナ12に接続され、カソードはA/D変換器262を介して中央処理部23のCPU231に接続されている。
【0040】
次に、前述の構成よりなるトランスポンダの動作を説明する。
【0041】
液体の漏洩が生じた際にこれを検出したい箇所、或いは範囲内に所定数の上記トランスポンダ10を設置しておく。これらのトランスポンダに対して送受信周波数が13.56MHzに設定されているスキャナ(質問信号発生及び応答信号受信機)を用いて質問信号を送信することにより、液体の漏洩検出を行うことができる。
【0042】
即ち、スキャナからトランスポンダ10に対して応答信号を要求する高周波信号(質問信号)の電磁波が輻射されると、この電磁波はトランスポンダ10のアンテナ12に入力され、アンテナ12に高周波電流が誘起する。
【0043】
アンテナ12に誘起した高周波電流は、整流回路22によって整流されてトランスポンダ10内部の中央処理部23、記憶部24及び発信部25に電源を供給する。
【0044】
これにより、CPU231が駆動を開始すると、アンテナ切替器21が送信可能状態に切り替えられ、CPU231は、予め設定されているプログラムに従って記憶部24内に記憶されている情報を読み出し、この情報を発信部25に出力する。
【0045】
発信部25では読み出された情報に基づいて搬送波を変調し、変調された搬送波、即ち高周波信号をアンテナ12に供給する。これにより、アンテナ12から応答信号の電磁波が輻射される。
【0046】
これにより、スキャナはトランスポンダ10から輻射された電磁波(応答信号)を受信することができ、トランスポンダ10に液体が接触していないことが分かる。
【0047】
このように、上記構成のトランスポンダ10は、液体に接触していないときは通常の通信を行う。
【0048】
一方、トランスポンダ10に液体が接触すると、図6に示すように、アンテナ12を構成する隣り合う導体12a間に液体によって静電容量C1が発生するので、アンテナ12の共振周波数及び送信周波数が13.56MHzよりも上方或いは下方の周波数にずれる。このため、アンテナ12と発信部25との間の整合状態が悪化し、アンテナ12から輻射される電波の到達距離が短くなり、スキャナはトランスポンダ10からの応答信号を受信できなくなる。これにより検出対象の液体がトランスポンダに接触していること、即ち液体の漏洩が生じていることを検知することができる。
【0049】
尚、ここに挙げた13.56MHzという送受信周波数及びアンテナ12の寸法は一例であって、これらの値に限定されることはなく、液体に接触すると発信特性(アンテナの共振周波数)が変化すれば良い。
【0050】
また、トランスポンダ10に接触する液体の種類によってトランスポンダ10のアンテナ12の共振周波数及び送信周波数のずれが異なる。例えば液体が重油のときは周波数が高い方にずれて、液体が水や海水のときは周波数が低い方にずれる。この送信周波数のずれを検知することにより液体の種類を検出することも可能になる。
【0051】
次に、本発明の第2参考例を説明する。
【0052】
第2参考例は、第1参考例のトランスポンダ10を不織布で覆ったものである。図7は第2参考例のトランスポンダ30を示す断面図であり、第1参考例における図4と同様の図である。図において、前述した第1参考例と同一構成部分は同一符号を持って表しその説明を省略する。また、第1参考例と第2参考例との相違点は、アンテナ12の全体を覆うようにフィルム13,14上に不織布31を設けたことである。
【0053】
不織布31は、検出対象となる液体が浸透しやすい部材であるため、漏洩した液体(検出対象の液体)の量が微量なときにもアンテナに液体を接触させることができるので、液体を容易に検知することができる。また、不織布31は容易に入手可能でありコストも低く抑えることができる。
【0054】
尚、上記参考例では液体が浸透しやすい部材として不織布を用いたが、不織布以外の部材を用いても良い。
【0055】
次に、本発明の第1実施形態を説明する。
【0056】
図8は第1実施形態のトランスポンダユニットを示す外観斜視図、図9は平面図、図10は図9におけるA−A線矢視方向の部分断面図である。
【0057】
図において、40はトランスポンダユニットで、第1のトランスポンダ41と第2のトランスポンダ42をフィルム43,44で挟み込んで一体化したものである。
【0058】
フィルム43,44は、例えば幅(W2)が100mm、長さ(L2)が100mmのポリイミドフィルムからなり、上下のフィルム43,44の間にトランスポンダ41,42を挟んで樹脂によって接着されている。
【0059】
トランスポンダ41は、前述した第1参考例とほぼ同様の構成をなし、トランスポンダ素子11とループ状のアンテナ12から構成されている。
【0060】
トランスポンダ42は、半導体チップからなるトランスポンダ素子51とアンテナ線52から構成されている。
【0061】
また、トランスポンダ素子51に形成されている電子回路の構成は、前述した第1参考例と同様であり、送受信周波数も13.56MHzである。
【0062】
これら2つのトランスポンダ41,42は、それぞれに固有の識別情報(ID)を用いて識別できるようになっている。
【0063】
また、第2のトランスポンダ42のアンテナ線52は、図9及び図10に示すように、絶縁被覆された直径0.2mmの導線をループ状に束ねたもので、その長さは送受信周波数の13.56MHzに共振するように設定されている。
【0064】
アンテナ線52の構造を上記のような構造とすることにより、アンテナ線52の“Q”を高い値、例えば約100前後の値に設定している。この程度の高い“Q”を実現するには磁束が1ヶ所に集中し磁束密度が高くなる構造にすれば良い。
【0065】
上記構成のトランスポンダ42は、検出対象となる液体に接触していないときはスキャナとの間で通常の通信を行う。また、トランスポンダ42に移送対象となる液体が接触しても、ループ状に巻回されたアンテナ線52の隣り合う導体間には接触した液体によって殆ど静電容量が発生しないので、アンテナ線52の共振周波数は13.56MHzから殆どずれることがない。さらに、周波数が13.56MHzの通信電波の液体による減衰は、小さい(液体が重油の場合、減衰率は約20dB)ので、トランスポンダ42が液体に覆われても通常と変わらぬ通信を行うことができる。
【0066】
従って、第1実施形態では、第1参考例と同様に第1のトランスポンダ41との通信によってトランスポンダ41に液体が接触したことを検知することができる。さらに、第2のトランスポンダ42との通信によって、トランスポンダユニット40が設置してある位置を特定することができると共に、トランスポンダユニット40が液体に覆われて、第1のトランスポンダ41との通信が途絶えても、第2のトランスポンダ42のメモリ内の情報をアクセスすることができる。
【0067】
尚、第2のトランスポンダ42の送受信周波数13.56MHz及びアンテナ線52の構成は一例であって、これらに限定されることはなく、第2のトランスポンダ42が液体に接触しても通常と変わらぬ通信を行えれば良い。
【0068】
また、第1のトランスポンダ41を覆うように不織布等の液体が浸透しやすい部材を設けることにより、前述した第2参考例と同様に漏洩した液体(検出対象の液体)の量が微量なときにもアンテナに液体を接触させることができるので、液体を容易に検知することができる。
【0069】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
【0070】
図11は、第2実施形態のトランスポンダユニット60を示す外観斜視図である。図において、前述した第1実施形態と同一構成部分は同一符号を持って表しその説明を省略する。また、第1実施形態と第2実施形態との相違点は、第1のトランスポンダ41に代えて送受信周波数が2GHzのトランスポンダ70を用いたことである。
【0071】
第1のトランスポンダ70は、前述した第1参考例とほぼ同様の構成をなし、半導体チップからなるトランスポンダ素子71とループ状のアンテナ72から構成されている。
【0072】
また、トランスポンダ素子71に形成されている電子回路の構成は、前述した第1参考例と同様であり、相違点は送受信周波数が2GHzに設定されていることである。
【0073】
これら2つのトランスポンダ42,70は、それぞれに固有の識別情報(ID)を用いて識別できるようになっている。
【0074】
前述の構成における第1のトランスポンダ70の送受信周波数は次の理由によって2GHzに設定されている。即ち、第1のトランスポンダ70が液体に接触していない正常な状態では、スキャナから送信された2GHzの電波はトランスポンダ70に至る。この結果、トランスポンダ70はこの電波を受信することができると共に、スキャナはトランスポンダ70から送信された応答信号を受信することができる。
【0075】
また、第1のトランスポンダ70が検出対象となる液体(例えば、重油)によって覆われたときには、図12に示すように、2GHzの電波(高周波)はこの液体を透過するときに−6dB以上の減衰を受ける。図12は重油の高周波減衰率を示す図であり、横軸に通信周波数、縦軸に減衰率を示している。
【0076】
これにより、トランスポンダ70が重油に覆われたときは、スキャナから輻射された質問信号の電波は重油によって減衰され、第1のトランスポンダ70に至らないか或いは至ったとしても極めて弱い電波となり、第1のトランスポンダ70を駆動するエネルギーを与えることができなくなる。また、かろうじて第1のトランスポンダ70に駆動エネルギーを与えることができたとしても、第1のトランスポンダ70からの応答信号が重油によって減衰されてスキャナまで到達することが不可能になり、スキャナは応答信号を受信できない。これらのことから第1のトランスポンダ70の送受信周波数は2GHzに設定されている。
【0077】
従って、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1のトランスポンダ70との通信によってトランスポンダ70に液体が接触したことを検知することができる。さらに、第2のトランスポンダ42との通信によって、トランスポンダユニット60が設置してある位置を特定することができると共に、トランスポンダユニット60が液体に覆われて、第1のトランスポンダ70との通信が途絶えても、第2のトランスポンダ42のメモリ内の情報をアクセスすることができる。
【0078】
尚、ここに挙げた2GHzという送受信周波数は一例であって、検出対象となる液体の種類によって適宜設定することが好ましく、検出対象となる液体によって−4dB以上、好ましくは−6dB以上の減衰が得られる周波数を設定することが望ましい。
【0079】
また、トランスポンダ70のアンテナ72を液体が浸透しやすい部材、例えば不織布等で覆うことにより、前述した第2参考例と同様に漏洩した液体(検出対象の液体)の量が微量なときにもアンテナに液体を接触させることができるので、液体を容易に検知することができる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1乃至請求項7記載のトランスポンダユニットによれば、第1のトランスポンダとの通信が不能になることによって、第1のトランスポンダに水や油等の検知対象物が接触したことを検知することができる。さらに、液体が接触しても通常の通信を行える第2のトランスポンダとの通信によって、トランスポンダユニットの設置位置を特定することができるとともに、第1のトランスポンダとの通信が行えないときにも、第2のトランスポンダによって必要な通信を行うことができる。
【0081】
また、請求項4に記載のトランスポンダユニットによれば、上記の効果に加えて、最小限の面積或いは体積で送受信周波数に共振したアンテナを構成することができる。
【0082】
また、請求項5に記載のトランスポンダユニットによれば、上記の効果に加えて、上記の特性を変えることなく帯状導体の劣化を防止することができる。
【0083】
また、請求項6及び請求項7に記載のトランスポンダユニットによれば、上記の効果に加えて、前記液体が微少量であっても容易に検知可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1参考例のトランスポンダを示す外観斜視図
【図2】 本発明の第1参考例のトランスポンダ素子を示す外観斜視図
【図3】 本発明の第1参考例のトランスポンダを示す平面図
【図4】 図3におけるA−A線矢視方向断面図
【図5】 本発明の第1参考例におけるトランスポンダの電気系回路を示す構成図
【図6】 本発明の第1参考例における検出動作を説明する図
【図7】 本発明の第2参考例のトランスポンダを示す断面図
【図8】 本発明の第1実施形態のトランスポンダユニットを示す外観斜視図
【図9】 本発明の第1実施形態のトランスポンダユニットを示す平面図
【図10】 図9におけるA−A線矢視方向断面図
【図11】 本発明の第2実施形態のトランスポンダユニットを示す外観斜視図
【図12】 本発明に係る重油の高周波減衰率を示す周波数特性図
【符号の説明】
10…トランスポンダ、11…トランスポンダ素子、12…アンテナ、12a…導体、13,14…フィルム、15…トランスポンダ素子本体、16…パッケージ、21…送受信用アンテナ、21…アンテナ切替器、22…整流回路、23…中央処理部、24…記憶部、25…発信部、26…検波部、30…トランスポンダ、31…不織布、40…トランスポンダユニット、41…第1のトランスポンダ、42…第2のトランスポンダ、43,44…フィルム、51…トランスポンダ素子、52…アンテナ線、60…トランスポンダユニット、70…第1のトランスポンダ、71…トランスポンダ素子、72…アンテナ。
Claims (7)
- 所定周波数の電波を送受信し、前記周波数の電波を受信したときに応答信号を送信するトランスポンダを2つ以上備えてこれらを一体化したトランスポンダユニットであって、
液体に接触すると発信特性が変化する第1のトランスポンダと、
液体に接触したときも液体に接触していないときと同じ発信特性を維持して電波の送受信を行う第2のトランスポンダとを備えた
ことを特徴とするトランスポンダユニット。 - 前記第1のトランスポンダは液体中を透過するときに所定値以上の減衰を生ずる周波数の電波を送受信するトランスポンダであることを特徴とする請求項1に記載のトランスポンダユニット。
- 前記第1のトランスポンダは液体に接触するとアンテナの共振周波数が変化するトランスポンダであることを特徴とする請求項1に記載のトランスポンダユニット。
- 前記第1のトランスポンダは、絶縁性の板又はフィルムからなる基板と、該基板上に形成された帯状導体とからなり、帯状導体がその厚みに対して幅が極めて大きく設定されると共に、前記帯状導体の少なくとも一部が隣り合う該帯状導体の他の所定部分に対して所定距離以下の間隔をあけて接近して配置されているアンテナを備えていることを特徴とする請求項3に記載のトランスポンダユニット。
- 前記帯状導体が渦巻き状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のトランスポンダユニット。
- 前記基板の少なくとも前記帯状導体が形成された面には液体が浸透しやすい部材が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のトランスポンダユニット。
- 前記液体が浸透しやすい部材として不織布を用いたことを特徴とする請求項6に記載のトランスポンダユニット。
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