JP4119032B2 - 涙液測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、涙液測定装置、更に詳細には、下眼瞼に溜まる涙液の物理量を非接触で簡易的に測定し、ドライアイの症状を定量的に測定することが可能な涙液測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、VDT(visual display terminal)作業者の増加や冷暖房による部屋の乾燥などによりドライアイ患者が増加している。ドライアイになると角膜上皮障害や結膜障害、その他にも種々の眼科疾患を併発するおそれがあり、ドライアイの診断は眼科診断の上で重要なテーマとなっている。
【0003】
従来は、細い綿糸を涙液貯留部に一定時間触れたことにより綿糸が濡れる長さが、涙液貯留量により変化するという原理により涙液測定が行なわれてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来方式では、接触式であるため、患者が痛みを感じるなどの問題があった。しかも5分近くの測定時間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、前眼部に溜まる涙液の物理量を非接触でかつ瞬時に定量的に測定しドライアイの症状を診断することが可能な涙液測定装置を提供することをその課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この課題を解決するために、被検眼の下眼瞼の涙液貯留部に光強度が均一な照明スポット光を照射する照明光学系と、前記スポット光で照射された下眼瞼の涙液貯留部からの鏡面反射光を受光する光電変換素子を備えた受光光学系と、前記鏡面反射光の受光量から貯留した涙液表面の幅を演算する演算手段と、を有する構成を採用した。
【0007】
ドライアイが進行して下眼瞼にたまる涙液量が減少すると、涙液表面の幅は、正常な眼の涙液表面の幅より小さくなり、光電変換素子からの受光量が少なくなる。本発明では、被検眼の涙液に光強度が均一な照明スポット光を照射し、その反射光を受光することにより涙液測定を行なっているので、簡単な構成で涙液量ないしそれに関連する物理量を求めることができ、涙液に関連した物理量を非接触でかつ瞬時に定量的に測定することが可能になる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0009】
図1には、本発明の一実施形態に係わる涙液測定装置が図示されている。この涙液測定装置は、小型で手持ち型に構成されており、装置の筐体1の上部1aには開口部1cと1dが形成され、筐体1の下部1bの部分を検者が手で把握できるようになっている。
【0010】
筐体1の上部1aには、被検眼20の前眼部21、特に下眼瞼近辺を照明するLED(発光ダイオード)2が収納され、その前部に、LED2の光強度が均一な部分のみをスポット光として射出させる絞り3が設けられる。絞り3から出るスポット光は、投影レンズ4によりほぼ平行光束とされ、所定方向に偏光軸を有する直線偏光板5を介して前眼部21の下眼瞼近辺に溜まる涙液22に投影される。
【0011】
上記照明光学系のスポット光で照射された涙液22の表面からの反射光は、ハーフミラー6を透過して接眼レンズ7を介して検者8に観察されるとともに、ハーフミラー6で反射され直線偏光板9を介して結像レンズ10により光電変換素子(PD)11上に結像される。直線偏光板9は、直線偏光板5の偏光軸と同方向に偏光軸を有し、直線偏光板5で偏光された光と同方向の偏光を通過させるものである。光電変換素子11の信号は、一旦A/D変換器12でデジタル信号に変換されてCPU13に入力される。
【0012】
筐体の下方部には測定ボタン15が設けられ、この測定ボタンが押されると、CPU13は、光電変換素子11の信号に基づき前眼部の下眼瞼に溜まる涙液の物理量を演算し、その結果を表示器14に表示する。また、筐体の下方部にはLED2をオンオフするスイッチ16が設けられ、このスイッチがオンになると、電源17の端子17aからLED2に給電が行われ、LED2が点灯されるように構成されている。
【0013】
ドライアイの進行状態は、下眼瞼にたまる涙液22の量に表れるので、涙液量を測ればドライアイの進行状況がわかる。涙液量と涙液22の表面(涙液メニスカス)の曲率半径の関係は、角膜及び瞼が曲面であるため、涙液量が増加すると曲率半径も大きくなり、その表面積も多くなる。また逆に、ドライアイが進行して涙液量が減少すると、曲率半径は小さくなり、その表面積は減少する。この状態が、図2に概略的に図示されており、図2(A)に示したように、正常な眼の涙液22の表面の幅D1は、図2(B)に示した、ドライアイが進行している眼の涙液22の表面の幅D2より大きくなっている。
【0014】
また、眼の涙液の表面は、鏡面反射の働きをするので、涙液表面が大きいと鏡面反射部が多くなり、また涙液表面が小さくなると、鏡面反射部は少なくなる。そこで、本発明は、涙液表面からの反射光量を測定することにより涙液量ないしそれに関連する物理量を定量的に測定するようにしている。
【0015】
この涙液測定のために、検者は、筐体の下方部1bを手で把握して、開口部1cを被検眼の方向に向け、スイッチ16を投入する。このスイッチ16の投入によりLED2が点灯し、絞り3で形成されたLEDのスポット光は、投影レンズ4によりほぼ平行光束とされ、直線偏光板5を介して前眼部21の下眼瞼に溜まっている涙液22に投影される。
【0016】
涙液表面は、鏡面反射するので、涙液22からの反射光は、ハーフミラー6を透過して検者8に観察されるとともに、ハーフミラー6で反射され直線偏光板9を介して結像レンズ10により光電変換素子11上に結像される。光電変換素子11からの信号は、A/D変換器12を介してCPU13に入力される。
【0017】
検者8は、その反射光量が最大となったと思われるところで測定ボタン15を操作する。CPU13は、光電変換素子11の受光量と涙液表面の幅がほぼ比例関係にあることから比例定数を用いて涙液22の表面の幅の近似値を演算する。そしてその演算結果を表示器14に表示させる。涙液量は受光量の2乗とほぼ比例関係にあることから、表示器に表示された表面の幅の値が所定の値より小さくなったときに、ドライアイであると判定することができる。
【0018】
なお、照明光学系において直線偏光板5を介してスポット光が投光され、また受光光学系において同じ偏光方向の直線偏光板9を介して反射光が受光されるので、涙液からの鏡面反射光のみを光電変換素子11に導くようにすることができる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、被検眼の下眼瞼に溜まる涙液に光強度が均一な照明スポット光を照射し、その鏡面反射光を受光して、その受光量から貯留した涙液表面の幅を演算することにより涙液測定を行なっているので、簡単な構成で涙液量ないしそれに関連する物理量を求めることができ、涙液に関連した物理量を非接触でかつ瞬時に定量的に測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の涙液測定装置の内部構成を示した構成図である。
【図2】被検眼の下眼瞼に溜まる涙液を示した説明図である。
【符号の説明】
2 LED
5、9 偏光板
8 検者
11 光電変換素子
13 CPU
14 表示器
15 測定スイッチ
20 被検眼
22 涙液
Claims (3)
- 被検眼の下眼瞼の涙液貯留部に光強度が均一な照明スポット光を照射する照明光学系と、
前記スポット光で照射された下眼瞼の涙液貯留部からの鏡面反射光を受光する光電変換素子を備えた受光光学系と、
前記鏡面反射光の受光量から貯留した涙液表面の幅を演算する演算手段と、
を有することを特徴とする涙液測定装置。 - 前記照明光学系並びに受光光学系が縦長の筐体の上部に収納され、筐体の下方部が手で把握できるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の涙液測定装置。
- 照明光学系と受光光学系にそれぞれ同一方向の偏光軸を有する偏光板を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の涙液測定装置。
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