JP4118964B2 - 消弧回路及び消弧方法 - Google Patents
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Description
本発明は、消弧回路に関し、特に、グロー放電を発生させる電源回路に適用した場合に、グロー放電中に生じたアーク放電を消弧できる消弧回路に関する。
背景技術
従来のグロー放電用電源回路は、直流電圧生成回路と、直流電圧生成回路の陽極、陰極にそれぞれ接続された陽極端子と陰極端子とを有している。このうち陰極端子をターゲットに接続し、陽極端子を基板ホルダーに接続し、基板ホルダーに基板を保持させ、低圧力雰囲気中でターゲットと基板の一面(以下で基板表面と称する。)を対向させた状態で、直流電圧生成回路を起動して直流電圧を陽極端子と陰極端子との間に印加させると、基板表面とターゲットとの間にグロー放電発生させ、ターゲットをスパッタリングさせて、基板表面に薄膜を成膜することができる。
しかしながら、グロー放電中に何らかの異常が生じると、アーク放電が生じてしまうことがある。アーク放電が生じると、ターゲットが局部的にスパッタリングされ、基板表面に不均一な薄膜が成膜されてしまう。場合によっては基板表面に成膜された薄膜が破壊されてしまうことがあった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、グロー放電を生じさせる電源回路に用いられ、アーク放電を確実に消弧できる消弧回路を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明の消弧回路は、制御端子と2つの入出力端子とを備え、前記制御端子に入力される電圧に基づいて、前記2つの入出力端子間が導通するように構成されたスイッチ素子と、一次巻線と電圧検出用コンデンサとの直列接続回路であって、一端が一方の入出力端子に接続され、他端が他方の入出力端子に接続された検出回路と、前記一次巻線と磁気結合され、一端が前記制御端子に接続され、他端が前記入出力端子のいずれか一方に接続された二次巻線とを有する。
本発明の消弧回路においては、前記一次巻線にトリガ電流が流れると、前記二次巻線に誘起された電圧で前記スイッチ素子が導通することにより、前記電圧検出用コンデンサが放電し、前記一次巻線に放電電流が流れると、前記放電電流は、前記トリガ電流と同じ向きで前記一次巻線に流れるように構成してもよい。
本発明の消弧回路においては、少なくとも1個のインダクタンス素子を有し、前記インダクタンス素子の一端は、前記入出力端子のいずれか一方又は両方に接続されるように構成してもよい。
本発明の他の消弧回路は、制御端子と2つの入出力端子とを備え、前記制御端子に入力される電圧に基づいて、前記2つの入出力端子間が導通するように構成されたスイッチ素子と、一次巻線と電圧検出用コンデンサとの直列接続回路であって、一端が一方の入出力端子に接続され、他端が他方の入出力端子に接続された検出回路と、前記一次巻線と磁気結合され、一端が前記制御端子に接続され、他端が前記入出力端子のいずれか一方に接続された二次巻線と、共振用インダクタンス素子と共振用コンデンサとの直列接続回路であって、一端が前記一方の入出力端子に接続され、他端が前記他方の入出力端子に接続された共振回路と、前記共振回路の一端と前記一方の入出力端子との間又は前記共振回路の他端と前記他方の入出力端子との間のいずれか一方又は両方に挿入されたダイオードとを有するように構成されている。
また、本発明の他の消弧回路においては、前記消弧回路は少なくとも1個のインダクタンス素子を有し、前記インダクタンス素子の一端は、前記共振用コンデンサの端子に接続されるように構成してもよい。
さらに、本発明の他の消弧回路においては、前記消弧回路は、電圧制限回路を有し、前記電圧制限回路は、前記電圧検出回路と並列に接続され、前記電圧検出回路の両端子間に、定常状態での極性と逆極性の電圧が生じたときに、前記電圧検出回路の両端子間に生じる電圧が、一定電圧以上に上昇しないように構成してもよい。
また、本発明の消弧方法は、定常状態において、第1、第2の出力端子から負荷に定電圧を供給する間に共振用コンデンサを予め充電しておき、負荷のインピーダンスが急減した場合には、前記インピーダンスの急減を検出し、前記第1、第2の出力端子間に接続されたスイッチ素子を導通状態にさせ、前記第1、第2の出力端子間を短絡させると共に、前記共振用コンデンサを放電させ、前記放電の電流を共振用インダクタンスに流し、前記共振用コンデンサと前記共振用インダクタンス素子に共振動作させ、該共振動作により、前記共振用コンデンサに前記定常状態での極性と逆向きの電圧を発生させ、前記逆向きの電圧によって、前記スイッチ素子を非導通状態にし、前記第1、第2の出力端子の間の電圧を前記定常状態に復帰させるように構成されている。
本発明の消弧方法においては、前記スイッチ素子が導通状態になり、前記第1、第2の出力端子間が短絡されたときに、該スイッチ素子を介して前記第1、第2の出力端子の間に流れる電流の経路中にダイオード素子を予め挿入しておき、前記スイッチ素子を介して前記第1、第2の出力端子の間に電流が流れたときに、前記共振用コンデンサに生じた前記定常状態とは逆向きの電圧により、前記ダイオード素子を逆バイアスさせ、前記共振動作を終了させるように構成してもよい。
本発明の消弧方法においては、電圧検出用コンデンサと一次巻線とが直列接続された回路を前記第1、第2の出力端子の間に接続し、前記定常状態で予め前記電圧検出用コンデンサを充電しておき、前記負荷のインピーダンスが急減したときに、前記電圧検出用コンデンサの放電によって前記一次巻線に電流を流し、前記一次巻線と磁気結合した二次巻線に電圧を誘起させ、前記二次巻線に誘起された電圧によって前記スイッチ素子を導通状態にするように構成してもよい。
本発明の消弧方法においては、前記電圧検出用コンデンサに、遅延回路を接続しておき、前記遅延回路で、前記電圧検出用コンデンサに充電を開始してから、前記電圧検出用コンデンサの両端子間の電圧が、定常状態における前記両端子間の電圧になるまでの時間を長くするように構成してもよい。
以上の構成を有する本発明にあっては、直流電圧を生成する直流電源の両端をそれぞれスイッチ素子の入出力端子に接続し、各入出力端子を第1、第2の出力端子とし、それぞれに真空雰囲気中におかれた電極を1個ずつ接続して、各電極を離間させた状態で直流電源を起動すると、電極間に高電圧が印加され、グロー放電が生じる。一方の電極にターゲットを、他方の電極に基板をそれぞれ接続し、ターゲットと基板とを対向配置しておくと、グロー放電によってターゲット材料をスパッタリングして基板表面に薄膜を成膜することができる。
本発明では、電圧検出用コンデンサと一次巻線が直列接続された電圧検出回路を有しており、予め定常状態で電圧検出用コンデンサを充電しておくと、その後何らかの異常によりアーク放電が生じて第1、第2の出力端子間の電位差が急減したときに、電圧検出用コンデンサから放電電流を一次巻線に供給し、一次巻線と磁気結合した二次巻線に電圧を誘起させることができる。
予め電圧検出用コンデンサに適当な値の電圧を充電しておくと、二次巻線に電圧が誘起されたときに、第1、第2の出力端子間に接続された非導通状態のスイッチ素子を導通状態にすることができ、第1、第2の出力端子間を短絡して、電極間を短絡させてアーク放電を消弧することができる。アーク放電は、生じてからごく短時間で消弧されるので、基板表面に成膜される薄膜の膜質が悪化することはない。
さらに、本発明の消弧回路において、一次巻線にトリガ電流が流れると、二次巻線に誘起された電圧でスイッチ素子が導通することにより、電圧検出用コンデンサが放電すると、一次巻線に、トリガ電流と同じ向きに放電電流が流れるように構成してもよい。
このように構成することにより、放電電流は、スイッチ素子を導通させるトリガ電流と同じ向きに流れるので、放電電流が流れている間はスイッチ素子の導通状態が維持され、電圧検出用コンデンサからの放電が終了するまで、スイッチ素子の導通状態を維持させることができる。
さらに又、本発明においてインダクタンス素子を設け、その一端が入出力端子のいずれか一方又は両方に接続されるように構成してもよい。
この場合には、何らかの異常でアーク放電が生じ、電極間に大電流が流れようとしても、インダクタンス素子により、電極間に流れる電流が制限されるので、電極間の電位差を急減させることができる。従って、アーク放電が生じたときに、予め充電されていた電圧検出用コンデンサを放電させ、放電電流でスイッチ素子を導通させてアーク放電を消弧することができる。
また、本発明の他の消弧回路では、共振回路を有している。このような構成では、定常状態で予め電圧検出用コンデンサと、共振用コンデンサとを充電しておく。その状態でアーク放電が生じると、スイッチ素子が導通して出力端子間が短絡するとともに、共振用コンデンサが放電され、放電電流が共振用インダクタンスに流れ、共振用コンデンサと共振用インダクタンス素子が共振動作をする。共振動作により、共振用コンデンサに定常状態での極性と逆向きの電圧を発生させることにより、スイッチ素子を非導通状態にすることができる。
一例として、第1、第2の出力端子間が短絡されたときに、該スイッチ素子を介して第1、第2の出力端子の間に流れる電流の経路中にダイオード素子を予め挿入しておくと、第1、第2の出力端子の間に電流が流れたときに、共振用コンデンサに生じた定常状態とは逆向きの電圧により、ダイオード素子を逆バイアスさせ、スイッチ素子を非導通状態にすることができる。
この場合には、電圧検出用コンデンサが放電を終了する前に非導通状態にすることができるので、スイッチ素子が非導通状態に復帰するまでの時間を短縮することができ、アーク放電を消弧した後に、再び定常状態に復帰させるまでの時間を短縮することができる。
このように共振回路を設けた場合に、共振動作で生じる逆向きの電圧が大きすぎると、第1、第2の出力端子間が短絡してアーク放電が消弧された直後に、第1、第2の出力端子間の電圧が過度に上昇して再びアーク放電可能な電圧になり、アーク放電が発生してしまうことがある。
そこで、本発明において、電圧検出回路と並列に電圧制限回路を接続している。この場合には、第1、第2の出力端子間の電圧が所定電圧以上に上昇しないようにすることができるため、所定電圧を適当な値に設定することにより、第1、第2の出力端子間の電圧が、アーク放電可能な電圧まで上昇しないようにすることができる。従って、第1、第2の出力端子間が短絡した直後に再びアーク放電が生じないようにすることができる。
また、本発明の消弧方法によれば、第1、第2の出力端子のそれぞれに真空雰囲気中におかれた電極を1個ずつ接続して、各電極を離間させた状態で直流電源を起動すると、電極間に高電圧が印加され、定常状態でグロー放電が生じる。
その後何らかの異常によりアーク放電が生じて電極間のインピーダンスが急減すると、その急減を検出して第1、第2の出力端子間に接続されたスイッチ素子を導通状態にさせると第1、第2の出力端子間が短絡し、電極間が短絡するので、アーク放電を消弧することができる。
スイッチ素子を導通させてアーク放電を消弧するとともに、定常状態で予め充電された共振用コンデンサを放電させ、放電の電流を共振用インダクタンスに流して、共振用コンデンサと共振用インダクタンス素子に共振動作させることにより、共振用コンデンサに定常状態での極性と逆向きの電圧を発生させ、逆向きの電圧によって、スイッチ素子を非導通状態にして、定常状態に復帰させることができる。
本発明の消弧方法においては、電圧検出用コンデンサと一次巻線とが直列接続された回路を第1、第2の出力端子の間に接続し、定常状態で予め電圧検出用コンデンサを充電しておき、負荷のインピーダンスが急減したときに、電圧検出用コンデンサの放電によって一次巻線に電流を流し、一次巻線と磁気結合した二次巻線に電圧を誘起させ、二次巻線に誘起された電圧によってスイッチ素子を導通状態にするように構成してもよい。
このように構成することにより、電圧検出用コンデンサの放電で負荷のインピーダンスの急減を検出し、放電電流を一次巻線に流してスイッチ素子を導通させることにより、第1、第2の出力端子間を短絡させて、アーク放電を消弧することが可能になる。
本発明の消弧方法においては、電圧検出用コンデンサに、遅延回路を接続しておき、遅延回路で、電圧検出用コンデンサに充電を開始してから、定常状態における両端の電圧になるまでの時間を長くしている。
このように構成することにより、第1、第2の出力端子間の電圧が定常状態における電圧に達し、グロー放電が可能な状態になる前に、電圧検出用コンデンサの両端の電圧が、一次巻線に電流を流して二次巻線に電圧を誘起させ、スイッチ素子を導通状態にできるだけの電圧に達しないようにすることができる。
従って、グロー放電が発生する前に、アーク放電が可能な状態になったときに、誤ってスイッチ素子を導通させ、第1、第2の出力端子を短絡させることができないようにすることができるので、グロー放電を確実に発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施形態の電源回路を示す回路図であり、第2図は、本発明の一実施形態の電源回路の動作を説明する第1の図である。第3図は、本発明の一実施形態の電源回路の動作を説明する第2の図であり、第4図は、本発明の一実施形態の電源回路の動作を説明する第3の図である。第5図は、本発明の一実施形態の電源回路の動作を説明する第4の図である。
また、第6図は本発明の一実施形態の電源回路の第1の変形例を示す回路図であり、第7図は本発明の一実施形態の電源回路の第2の変形例を示す回路図である。
さらに、第8図は本発明の他の実施形態の電源回路を示す回路図である。第9図は、本発明の他の実施形態の電源回路に流れる電流を示す第1の図であり、第10図は、本発明の他の実施形態の電源回路に流れる電流を示す第2の図である。
また、第11図は、本発明の他の実施形態の電源回路に流れる電流を示す第3の図であり、第12図は、本発明の他の実施形態の電源回路に流れる電流を示す第4の図である。第13図は本発明の他の実施形態の電源回路の動作を示す図である。
さらに、第14図は、本発明の他の実施形態の電源回路の第1の変形例を示す回路図であり、第15図は本発明の他の実施形態の電源回路の第2の変形例を示す回路図である。第16図は本発明の他の実施形態の電源回路の第2の変形例の動作を示す図である。第17図は本発明の電源回路を用いたスパッタリング装置の構成を示す断面図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、添付図面を参照して本発明に係る電源回路の好ましい実施の形態を詳細に説明する。
第1図の符号1に、本発明の一実施形態のグロー放電用電源回路を示す。この電源回路1は、直流電圧生成回路2と正極出力端子12と負極出力端子13とを有している。直流電圧生成回路2の正極は正極出力端子12に接続されて接地され、負極は後述する電流制限用コイル4を介して負極出力端子13に接続されており、直流電圧生成回路2を起動すると、負極出力端子13に、接地電位に対して負の直流電圧を印加できるように構成されている。
上述の電源回路1が設けられたスパッタリング装置を第17図の符号90に示す。このスパッタリング装置90は真空槽95と基板ホルダー92とターゲット93とを有しており、基板ホルダー92は真空槽95の内部底面に配置され、ターゲット93は基板ホルダー92と対向するように配置されている。基板ホルダー92には電源回路1の正極出力端子12が接続され、ターゲット93には負極出力端子13が接続されている。
予め、基板ホルダー92に基板91を保持させ、ターゲット93と基板91の一面(以下基板表面と称する。)を対向させて真空槽95内を真空排気しておく。
この状態で直流電圧生成回路2を起動して、正極出力端子12と負極出力端子13との間に高電圧の直流電圧を印加すると、グロー放電が発生する。第1図の符号14は、放電時における正極出力端子12と負極出力端子13との間のインピーダンスを示す仮想的な負荷である。グロー放電が維持されている間は、負荷14は高インピーダンスになっている。
グロー放電が発生するとターゲット材料がスパッタリングされ、ターゲット材料からなる薄膜が基板表面に成膜される。
しかしながら、何らかの異常が生じると、グロー放電がアーク放電に移行してしまい、ターゲットが局部的にスパッタリングされ、基板表面に不均一な薄膜が成膜されてしまう。本発明の電源回路1には、その対策として消弧回路3が設けられている。
この消弧回路3は、電流制限用コイル4と、電圧検出回路5と、二次巻線8と、スイッチ素子9とを有している。
直流電圧生成回路2の負極と負極出力端子13との間には、電流制限用コイル4が挿入されており、直流電圧生成回路2が動作している間には、直流電圧生成回路2から負荷14には、電流制限用コイル4を介して、電流が供給されるように構成されている。
定常状態でグロー放電を発生させている間に、何らかの異常が生じてアーク放電が生じると、等価的な負荷14のインピーダンスが急減して、正極出力端子12と負極出力端子13との間に大電流が流れようとするが、電流制限コイル4により、流れる電流は制限されるから、正極出力端子12と負極出力端子13との間の電位差が小さくなる。
正極出力端子12と負極出力端子13との間には、上述した電圧検出回路5が設けられている。電圧検出回路5は電圧検出用コンデンサ6と一次巻線7とを有しており、電圧検出用コンデンサ6と一次巻線7とが直列接続されてなる。このうち、電圧検出用コンデンサ6は直流電圧生成回路2の負極側に配置され、一次巻線7は直流電圧生成回路2の負極側に配置されている。定常状態では、電圧検出用コンデンサ6は予め直流電圧生成回路2の両端子間の電圧で充電されており、一次巻線7には電流は流れないようにされている。このとき、電圧検出用コンデンサ6の負極側の端子には負極性の電圧が、正極側の端子には正極性の電圧がそれぞれ発生している。
正極出力端子12は接地されているので、正極出力端子12と負極出力端子13との電位差が小さくなると、電圧検出用コンデンサ6の負極側の端子の電位が急速に上昇する。負極側の端子の電位の上昇に伴って、電圧検出用コンデンサ6の正極側の端子の電位も上昇する。
正極側の端子には一次巻線7が接続されているので、正極側の端子の電位は接地電位よりも高くなり、電圧検出用コンデンサ6が放電し、第2図に示すように、電圧検出用コンデンサ6から一次巻線7へと放電電流I1が流れる。
上述の二次巻線8は、一次巻線7と磁気結合されており、一次巻線7に放電電流I1が流れると、二次巻線8の両端に電圧が誘起される。
上述したスイッチ素子9は、第1、第2の入出力端子9a、9b、制御端子9c及びNPN型のトランジスタ11を有しており、トランジスタ11のコレクタ端子、エミッタ端子がそれぞれ第1、第2の入出力端子9a、9bにされ、ベース端子が制御端子9cにされている。
制御端子9cは二次巻線8の一方の端子8aに接続され、第2の入出力端子9bは二次巻線8の他方の端子8bに接続されている。二次巻線8は、一次巻線7に放電電流I1が流れることにより、制御端子9c側の端子8aには正極性の電圧が生じ、第2の入出力端子側の端子8bには負極性の電圧が生じるように、一次巻線7と磁気結合されており、二次巻線8に電圧が誘起されると、制御端子9cには第2の入出力端子9bよりも高い電圧が印加される。制御端子9cに第2の入出力端子9bよりも高い電圧が印加されると、トランジスタ11のエミッタ−ベース間が順バイアスされる。
第1の入出力端子9aには正極出力端子12が接続され、第2の入出力端子9bには負極出力端子13が接続されており、第1の入出力端子9aには、第2の入出力端子9bからみて正電圧が印加されている。トランジスタ11のエミッタ−ベース間が順バイアスされるとスイッチ素子9が導通し、二次巻線の正極側端子8aからスイッチ素子9を介して二次巻線の負極側端子8bに電流I2が流れる。スイッチ素子9が導通すると、正極出力端子12と負極出力端子13との間が短絡する。
アーク放電が生じてから、スイッチ素子9が導通して正極出力端子12と負極出力端子13との間が短絡されるまでの時間はごく短時間(数μsec程度)であり、一旦生じたアーク放電は瞬間的に消弧される。
正極出力端子12と負極出力端子13との間が短絡すると、第4図に示すように、電圧検出用コンデンサ6から流れる放電電流I1は、一次巻線7bに流れ、一次巻線7bからスイッチ素子9を介して電圧検出用コンデンサ6へと帰還する。このとき放電電流I1は、スイッチ素子9を正極出力端子12側から負極出力端子13側へと流れ、他方、スイッチ素子9と逆方向に、一次巻線7を負極出力端子13側から正極出力端子12側へと流れる。
このような経路で放電電流I1が流れるとともに、直流電圧生成回路2の正極から、スイッチ素子9と電流制限用コイル4を介して直流電圧生成回路2の負極へと電流I3が流れる。
電圧検出用コンデンサ6の放電が終了し、一次巻線7に放電電流I1が供給されなくなると、二次巻線8に誘起されていた電圧が消滅するのでスイッチ素子9が非導通状態になり、第5図に示すように、直流電圧生成回路2の正極から一次巻線7を介して電圧検出コンデンサ6へ電流I4が流れ、電圧検出コンデンサ6が充電される。電圧検出コンデンサ6が充電されるとともに負極出力端子13の電位が低下し、負極出力端子13の電位が定常状態と同じ電位まで低下すると、グロー放電が可能な状態に復帰する。
以上説明したように、本発明の一実施形態の電源回路1によれば、アーク放電が発生しても、ごく短時間(数μsec程度)でアーク放電を消弧することができるので、グロー放電により基板表面にターゲット材料をスパッタリングさせて薄膜を成膜する場合に、アーク放電が長時間なされることで不均一な薄膜が成膜されたり、薄膜が破壊されることなく、均一な薄膜を成膜することができる。
なお、第1図〜第5図には、電流制限用コイル4が、負極出力端子13と直流電圧生成回路2の負極との間に設けられ、電圧検出用コンデンサ6が負極出力端子13側に配置された回路を示したが、本発明の構成はこれに限らず、第6図に示すように、電流制限用コイル4は負極出力端子13と直流電圧生成回路2の負極との間に設けられていてもよいし、電圧検出用コンデンサ6が正極出力端子12側に配置されていてもよい。
さらに、アーク放電が生じたときに負荷に流れる電流を制限する素子は、電流制限用コイル4に限られるものではない。
また、第1図〜第6図には、スイッチ素子9が、NPN型トランジスタ11を有する回路を示したが、本発明の構成はこれに限らず、第7図に示すように、スイッチ素子9がnチャネル型のIGBT(Insulated gate bipolar mode transistor)15を有する構成とし、IGBT15のゲート端子が制御端子9cにされ、コレクタ端子とエミッタ端子がそれぞれ第1、第2の入出力端子9a、9bにされるようにしてもよい。この場合には、IGBT15を保護するために、第2の制御端子9bと制御端子9cとの間に、電圧制限用のツェナーダイオード16を接続するとともに、一次巻線7と電圧検出用コンデンサ6との間に、電流制限用の抵抗17を設けておくとよい。さらにスイッチ素子9は、pチャネル型のIGBTを有するものとしてもよいし、PNP型のトランジスタを有するものとしてもよいし、MOSFETを有するものとしてもよい。
以下で、本発明の他の実施形態について説明する。第8図の符号21に、本発明の他の実施形態の電源回路を示す。
この電源回路21は、直流電圧生成回路22と、消弧回路23と、正極出力端子32と、負極出力端子33とを有している。このうち、第8図の直流電圧生成回路22、正極出力端子32、負極出力端子33は、それぞれ第7図の直流電圧生成回路2、正極出力端子12、負極出力端子13と同じものであるので説明を省略する。
第8図の消弧回路23は電流制限用コイル24と、電圧検出回路25と、二次巻線28と、スイッチ素子29と、電流制限用のツェナーダイオード36と逆流防止用ダイオード37と、共振回路38とを有している。このうち、電流制限用コイル24、電圧検出回路25、二次巻線28、スイッチ素子29及び電流制限用のツェナーダイオード36は、第7図に示した電流制限用コイル4、電圧検出回路5、二次巻線8、スイッチ素子9及び電流制限用のツェナーダイオード16とそれぞれ同じものであるため説明を省略する。電流制限用のツェナーダイオード36と逆流防止用ダイオード37との詳細については、後述する。
直流電圧生成回路22の負極と負極出力端子33とは、電流制限用コイル24と、後述する共振用コイル39とを介して接続されており、電流制限用コイル24と共振用コイル39との接続部には、後述する共振用コンデンサ40の一端が接続されている。共振用コンデンサ40の他端は、正極出力端子32に接続されており、共振用コイル39と共振用コンデンサ40とで共振回路38を構成している。
上述した電源回路21を用いて、スパッタリング法で基板表面に薄膜を成膜するには、予め、上述の正極出力端子32と負極出力端子33とを、それぞれ基板ホルダー92とターゲット93とに接続し、基板ホルダー92に基板91を保持させ、真空槽95内でターゲット93と基板91の表面とを対向させ、真空槽95内を真空排気しておく。
この状態で直流電圧生成回路22を起動して、正極出力端子32と負極出力端子33との間に高電圧の直流電圧を印加すると、正極出力端子32と負極出力端子33との間でグロー放電が発生する。第8図の符号34は、放電時における正極出力端子32と負極出力端子33との間のインピーダンスを示す仮想的な負荷である。グロー放電時には直流電圧生成回路22から負荷34に、電流制限用コイル24と共振用コイル39とを介して電流が供給される。グロー放電が維持されている間は、負荷34は高インピーダンスになっている。
グロー放電が発生するとターゲット材料がスパッタリングされ、ターゲット材料からなる薄膜が基板表面に成膜される。
グロー放電を発生させている間に、何らかの原因でアーク放電が発生すると、正極出力端子32から負極出力端子33へ大電流が流れようとするが、電流制限コイル24によって、正極出力端子32から負極出力端子33へ流れる電流は急増できないので、正極出力端子32と負極出力端子33との電位差が小さくなる。
正極出力端子32は接地されているので、正極出力端子32と負極出力端子33との電位差が小さくなると、電圧検出用コンデンサ26の負極側の端子の電位が急速に上昇する。負極側の端子の電位の上昇に伴って、電圧検出用コンデンサ6の正極側の端子の電位も上昇する。正極側の端子には一次巻線27が接続されているので、正極側の端子の電位は接地電位よりも高くなる。
電圧検出コンデンサ26は、グロー放電が生じている定常状態では直流電圧生成回路22が生成する電圧で予め充電されており、電圧検出用コンデンサ26が放電し、第9図に示すように、電圧検出用コンデンサ26から一次巻線27へと放電電流I21が流れる。
放電電流I21が流れると、二次巻線28に電圧が誘起される。
スイッチ素子29の第1の入出力端子29aは正極出力端子32に接続され、第2の入出力端子29bは逆流防止用ダイオード37を介して負極出力端子33に接続されており、第1の入出力端子29aには、第2の入出力端子29bからみて正電圧が印加されている。このとき逆流防止用ダイオード37のカソードは第2の入出力端子29bに接続され、アノードは負極出力端子33に接続されている。
二次巻線28は、制御端子29c側の端子28aに正極性の電圧が誘起され、第2の入出力端子側の端子28bに負極性の電圧が誘起されるように構成されており、二次巻線28に電圧が誘起されると、スイッチ素子29の制御端子29cには、スイッチ素子29の第2の入出力端子29bより高い電圧が印加される。IGBT35のエミッタ−ゲート間がバイアスされ、スイッチ素子29が導通する。
スイッチ素子29が導通すると、負極出力端子33の電位が急速に上昇し、ほぼ接地電位に等しくなり、正極出力端子32と負極出力端子33との間が短絡する。負極出力端子33の電位の一例を第13図の曲線(B)に示す。第13図では、時刻t1に負極出力端子33の電位が急速に上昇して、接地電位とほぼ同電位になるものとしている。
アーク放電が生じてから、スイッチ素子29が導通して正極出力端子32と負極出力端子33との間が短絡されるまでの時間はごく短時間(数μsec)であり、一旦生じたアーク放電はほぼ瞬間的に消弧される。
スイッチ素子29が導通すると、アーク放電が消弧されるとともに、電圧検出用コンデンサ26の一方の端子から、電流制限抵抗31と、一次巻線27と、スイッチ素子29と、逆流防止用ダイオード37とを介して電圧検出用コンデンサ26の他方の端子へと放電電流I21が流れる。
上述した共振回路38中の共振用コンデンサ40は、定常状態では予め直流電圧生成回路22の両端子間の電圧で充電されており、正極出力端子側の端子40aには正極性の電圧が発生し、共振用コイル側の端子40bには負極性の電圧が発生している。スイッチ素子29が導通すると、共振用コンデンサ40の正極出力端子32側の端子40aから、スイッチ素子29と、逆流防止用ダイオード37と、共振用コイル39とを介して共振用コンデンサ40の共振用コイル39側の端子40bとが接続されて閉ループ(以下で共振閉ループと称する。)が形成される。
共振閉ループが形成されると、共振用コンデンサ40が放電を開始し、第11図に示すように、共振用コンデンサ40の正極側の端子40aから、スイッチ素子29と逆流防止用ダイオード37と共振用コイル39とを介して、共振用コンデンサ40の負極側の端子40bへと電流I23が流れる。第13図の曲線(A)に、共振用コイル39に流れる電流I23の波形の一例を示す。
共振用コンデンサ40が放電して電流I23が流れると、充電時に共振用コンデンサ40に蓄積されたエネルギーが共振用コイル39へと移動し、共振用コイル39に蓄積される。その結果共振用コンデンサ40に蓄積されていたエネルギーが0になると、共振用コンデンサ40は放電を終了する。
放電を終了した後には、共振用コイル39に移動したエネルギーが共振用コンデンサ40へと移動して、電流I23と同方向に電流が流れ続け、共振用コンデンサ40が定常状態と逆極性に充電される。
共振用コイル39に蓄積されたエネルギーが0になると、共振用コンデンサ40の充電が終了する。充電が終了したときには、共振用コンデンサ40の両端子間には、定常状態とほぼ同じ大きさで逆極性の電圧が生じ、共振用コンデンサ40が放電して、共振閉ループに電流I23と逆向きの電流を流そうとするが、電流I23と逆向きの電流の流れる方向は、逆流防止用ダイオード37の順方向と逆方向であって、逆流防止用ダイオード37には逆バイアスがかかり、電流I23と逆向きの電流は共振閉ループには流れない。
電流I23と逆向きの電流が共振閉ループに流れないので、共振用コイル39の両端子の電位はほぼ等しくなり、共振用コイル39の電流制限用コイル24側の端子Dの電位と、負極出力端子33の電位とがほぼ等しくなる。
共振用コイル39の電流制限用コイル24側の端子Dの電位の一例を第13図の曲線(C)に示す。第13図では、時刻t2で負極出力端子33の電位が端子Dの電位とほぼ同電位になるものとしている。
負極出力端子33が端子Dとほぼ同電位になると、負極出力端子33には、共振用コンデンサ40の負極側の端子に生じる正極性の電圧が印加され、正極出力端子32の接地電位よりも高くなるので、スイッチ素子29は強制的に非導通状態にされる。
スイッチ素子29が強制的に非導通状態にされると、第12図に示すように、一次巻線27と電流制限抵抗31とを介して電圧検出用コンデンサ26に電流が流れ、直流電圧生成回路22から電圧検出用コンデンサ26へ充電がなされはじめるので、第13図の時刻t2以降には、負極出力端子33の電位は低下する。負極出力端子33の電位が定常状態と同じ電位まで低下すると、グロー放電が可能になる。
以上説明したように、第8図の電源回路21には共振回路38が設けられているので、スイッチ素子29を導通させてアーク放電を消弧した後には、電圧検出用コンデンサ26から一次巻線27に放電電流I21が供給されていても、共振回路39によってスイッチ素子29を強制的に非導通状態にすることができる。
従って、電圧検出用コンデンサ6が放電電流I1の供給を停止するまでスイッチ素子29を非導通状態にすることができなかった図1の電源回路1に比して、スイッチ素子29を非導通状態にするまでの時間を短縮することができるので、アーク放電を消弧してから、定常状態に復帰するまでの時間を短縮することができる。
なお、第14図の符号41に示す電源回路のように、第8図に示す電源回路21に、さらに電圧制限回路50を設けてもよい。この電圧制限回路50は定電圧回路51とダイオード52とが互いに逆向きに直列接続されてなる回路であって、正極出力端子32と負極出力端子33との間に、電圧検出回路25と並列に接続されている。
ダイオード52はアノードが正極出力端子32に接続されており、定常状態では逆バイアスされるように構成されている。定電圧回路51は、ダイオード52が順バイアスされる極性の電圧が両端に印加されると導通し、導通したときに定電圧回路51及びダイオード52に電流が流れ、電流が流れたときに、両端の電圧が所定電圧の導通電圧で維持されるように構成されている。
定常状態では、ダイオード52が逆バイアスされるため電圧制限回路50には電流は流れない。
他方、アークが消弧された後、共振用コンデンサ40が、定常状態とほぼ同じ大きさで逆極性の電圧に充電されると、負極性出力端子33の電位は上昇するものの、定電圧回路51の両端の電圧は導通電圧で維持されて、導通電圧以上には上昇しないので、正極出力端子32と負極出力端子33との間の電圧もまた、導通電圧以上には上昇しない。
電圧制限回路50が設けられていない場合には、アーク放電が消弧され、負極出力端子33の電位が正電圧側で過度に上昇すると、接地電位にある正極出力端子32と正電圧にある負極出力端子33との間の電圧が、アーク放電可能な電圧になってしまい、再びアーク放電が発生してしまうことがあった。
しかしながら、第14図の電源回路41では、電圧制限回路50を設ける場合には、逆流防止用ダイオード37に逆バイアスがかかった場合でも、正極出力端子32と負極出力端子33との間の電圧は、定電圧回路51の導通電圧以上には上昇しない。
このため、導通電圧を適当に設定することにより、正極出力端子32と正電圧にある負極出力端子33との間の電圧が、アーク放電可能な電圧にまで達しないようにすることができる。
従って、逆流防止用ダイオード37に逆バイアスがかかった後に、消弧されたアーク放電が再び発生しないようにすることができる。
第8図の電源回路21では、直流電圧生成回路22を起動してから定常状態に至ってグロー放電をするまでの間に、電圧検出用コンデンサ26が充電され、負極出力端子33の電位が変動したときにスイッチ素子29を導通できる状態になっていると、グロー放電が発生する直前にアーク放電可能な状態になったときに、消弧回路23が動作して正極出力端子32と負極出力端子33との間を短絡させてしまい、グロー放電を発生させることができなくなってしまうことがあった。
そこで、第15図に示すような電源回路61が提案された。この電源回路61は、第8図の電源回路21に遅延回路81が更に設けられることで構成されている。遅延回路81は、2つの遅延用抵抗83、84と、遅延用コンデンサ82とを有し、一方の遅延用抵抗84と遅延用コンデンサ82とは直列接続されており、遅延用コンデンサ82の一端が正極出力端子32に接続され、一方の遅延用抵抗84の一端がダイオード86を介して負極出力端子33に接続されている。他方の遅延用抵抗83の一端は、一次巻線27の負極側の端子27bに接続され、他端は一方の遅延用抵抗84と遅延用コンデンサ82との接続部に接続されている。
このような電源回路61で、直流電圧生成回路22を起動すると、第16図に示すように、直流電圧生成回路22の正極から、電圧検出用コンデンサ26と、一次巻線27と、一方の遅延用抵抗83と、他方の遅延用抵抗84と、ダイオード86とを介して負極出力端子33へ電流I31が流れ、電圧検出用コンデンサ26に充電がなされるとともに、直流電圧生成回路22の正極から、遅延用コンデンサ82と、他方の遅延用抵抗84と、ダイオード86を介して負極出力端子32へ電流I32が流れて遅延コンデンサ82に充電されるので、電圧検出用コンデンサ26が充電され、電圧検出用コンデンサ26の両端子間の電圧が一定電圧になるまでの時間が長くなる。
従って、正極出力端子32と負極出力端子33との間がグロー放電を発生可能な電位差になる前に、電圧検出用コンデンサ26の両端子間の電圧が、一次巻線27に電流を流し、スイッチ素子29を導通させられるだけの電圧に達しないようにすることができる。
これにより、グロー放電が発生する直前に、アーク放電可能な状態になったときに、消弧回路23が誤動作し、正極出力端子32と負極出力端子33との間が短絡しないようにすることができ、グロー放電を確実に発生させることができる。
なお、第8図〜第16図では、スイッチ素子29が、nチャネル型のIGBTを有するものとしているが、本発明のスイッチ素子29はこれに限らず、pチャネル型のIGBTや、NPN型トランジスタや、PNP型トランジスタやMOSFETを有するものとしてもよい。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明による電源回路は、グロー放電を安定して発生させるための電源回路として有用であり、特にスパッタリング装置などの成膜装置に用いるものとして適したものである。
Claims (10)
- 制御端子と2つの入出力端子とを備え、前記制御端子に入力される電圧に基づいて、前記2つの入出力端子間が導通するように構成されたスイッチ素子と、
一次巻線と電圧検出用コンデンサとの直列接続回路であって、一端が一方の入出力端子に接続され、他端が他方の入出力端子に接続された検出回路と、
前記一次巻線と磁気結合され、一端が前記制御端子に接続され、他端が前記入出力端子のいずれか一方に接続された二次巻線とを有する消弧回路。 - 前記一次巻線にトリガ電流が流れると、前記二次巻線に誘起された電圧で前記スイッチ素子が導通することにより、前記電圧検出用コンデンサが放電し、前記一次巻線に放電電流が流れると、
前記放電電流は、前記トリガ電流と同じ向きで前記一次巻線に流れるように構成された請求の範囲第1項記載の消弧回路。 - 前記消弧回路は、少なくとも1個のインダクタンス素子を有し、前記インダクタンス素子の一端は、前記入出力端子のいずれか一方又は両方に接続されたことを特徴とする請求の範囲第1項記載の消弧回路。
- 制御端子と2つの入出力端子とを備え、前記制御端子に入力される電圧に基づいて、前記2つの入出力端子間が導通するように構成されたスイッチ素子と、
一次巻線と電圧検出用コンデンサとの直列接続回路であって、一端が一方の入出力端子に接続され、他端が他方の入出力端子に接続された検出回路と、
前記一次巻線と磁気結合され、一端が前記制御端子に接続され、他端が前記入出力端子のいずれか一方に接続された二次巻線と、
共振用インダクタンス素子と共振用コンデンサとの直列接続回路であって、
一端が前記一方の入出力端子に接続され、他端が前記他方の入出力端子に接続された共振回路と、
前記共振回路の一端と前記一方の入出力端子との間又は前記共振回路の他端と前記他方の入出力端子との間のいずれか一方又は両方に挿入されたダイオードとを有することを特徴とする消弧回路。 - 前記消弧回路は、少なくとも1個のインダクタンス素子を有し、
前記インダクタンス素子の一端は、前記共振用コンデンサの端子に接続されたことを特徴とする請求の範囲第4項記載の消弧回路。 - 前記消弧回路は、電圧制限回路を有し、
前記電圧制限回路は、前記電圧検出回路と並列に接続され、前記共振用コンデンサの両端子間に、定常状態での極性と逆極性の電圧が生じたときに、
前記電圧検出回路の両端子間に生じた電圧が、一定電圧以上に上昇しないように構成されたことを特徴とする請求の範囲第5項記載の消弧回路。 - 定常状態において、第1、第2の出力端子から負荷に定電圧を供給する間に共振用コンデンサを予め充電しておき、
負荷のインピーダンスが急減した場合には、前記インピーダンスの急減を検出し、前記第1、第2の出力端子間に接続されたスイッチ素子を導通状態にさせ、前記第1、第2の出力端子間を短絡させると共に、前記共振用コンデンサを放電させ、
前記放電の電流を共振用インダクタンスに流し、前記共振用コンデンサと前記共振用インダクタンス素子に共振動作させ、
該共振動作により、前記共振用コンデンサに前記定常状態での極性と逆向きの電圧を発生させ、
前記逆向きの電圧によって、前記スイッチ素子を非導通状態にし、前記第1、第2の出力端子の間の電圧を前記定常状態に復帰させることを特徴とする消弧方法。 - 前記スイッチ素子が導通状態になり、前記第1、第2の出力端子間が短絡されたときに、該スイッチ素子を介して前記第1、第2の出力端子の間に流れる電流の経路中にダイオード素子を予め挿入しておき、
前記スイッチ素子を介して前記第1、第2の出力端子の間に電流が流れたときに、前記共振用コンデンサに生じた前記定常状態とは逆向きの電圧により、前記ダイオード素子を逆バイアスさせ、前記共振動作を終了させることを特徴とする請求の範囲第7項記載の消弧方法。 - 電圧検出用コンデンサと一次巻線とが直列接続された回路を前記第1、第2の出力端子の間に接続し、前記定常状態で予め前記電圧検出用コンデンサを充電しておき、
前記負荷のインピーダンスが急減したときに、前記電圧検出用コンデンサの放電によって前記一次巻線に電流を流し、前記一次巻線と磁気結合した二次巻線に電圧を誘起させ、前記二次巻線に誘起された電圧によって前記スイッチ素子を導通状態にすることを特徴とする請求の範囲第8項記載の消弧方法。 - 前記電圧検出用コンデンサに、遅延回路を接続しておき、
前記遅延回路で、前記電圧検出用コンデンサに充電を開始してから、前記電圧検出用コンデンサの両端間の電圧が、定常状態における前記両端間の電圧になるまでの時間を長くすることを特徴とする請求の範囲第9項記載の消弧方法。
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