JP4118417B2 - 構造物の免震装置における浮き上がり防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はローラベアリングを備えた免震装置において、該免震装置に一体的に組み込んでいる浮き上がり防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ローラベアリングの転動により免震を行う免震装置はボールベアリングからなる免震装置に比べて支持部材の変形が生じ難く且つ支持面積が広くなる等の利点を有することから、従来から種々の構造のものが開発されており、例えば、特開平10ー94444号公報や特公昭62ー32300号公報に記載しているように、対向面をローラベアリングの案内面に形成している上下支持部材間にローラベアリングを介在させてなる免震装置が知られている。そして、この免震装置を基礎や地下構造物等の下部構造物とこの下部構造物上に築造された上部構造物との間に介在させて地震発生時に震動する下部構造物の震動エネルギーをローラベアリングの転動によって吸収、減衰させ、上部構造物に地震波が伝達するのを抑制するように構成している。
【0003】
さらに、上下支持部材の対向面に設けているローラベアリング案内面が平坦な面である場合には、地震がおさまった時にローラベアリング自体で元の位置に復元することができないため、前者の免震装置においては、上下案内面のうち、少なくとも一方の案内面をローラベアリングの転動方向に沿って凹弧状曲面に形成することにより、地震がおさまった時にローラベアリングを該凹弧状曲面上の元の位置まで転動させるように構成している。
【0004】
一方、後者においては、ローラベアリングの案内面が平坦な面であるにもかかわらず、これらの案内面間に軸心が上下に偏心したローラ部を一体に設けてなるローラベアリングを介在させて中心が上側に偏心しているローラ部を下側支持部材の案内面に、中心が下側に偏心しているローラ部を上側支持部材の案内面にそれぞれ接して転動させて水平方向に震動する下側支持部材の震動をエネルギーをローラベアリングの転動によって吸収、減衰させ、地震がおさまった時にローラベアリングが元の位置に復帰させるように構成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記いずれの免震装置においても、上側支持部材と下側支持部材とは対向面にローラベアリングを介在させているだけで互いに連結していないため、上下方向の震動が発生した時に、基礎や設置面等の下部構造物に対して上部構造物が浮き上がり、上部構造物が展示ケースのような小形構造物の場合には転倒して内部の美術品等の展示物が破損する虞れがあり、また、免震装置全体が妄動して地震がおさまっても元の状態に復元することができず、構造物を安定的に支持することができなくなるという問題点がある。
【0006】
このような復元性や安定性の問題点は、上下構造物間に複数の免震装置を介在させた場合、或いは免震装置の上下支持部材の対向案内面間に複数個のローラベアリングを介在させた場合に一層顕著に生じるものであり、例えば、上下方向の震動による浮き上がりによって、各ローラベアリングが互いにその軸心方向や回転方向にズレが生じて免震機構としての機能を果たすことができなくなるという事態が生じるものである。
【0007】
このため、図16に示すように、基礎等の下部構造物Cと建物等の上部構造物Dとの間にゴムなどの弾性板と鉄板などの剛性板との積層体からなる免震機構aを介在させる一方、この免震機構aとは別に、上下構造物C、Dの対向面に係合金具b1、b2をそれぞれ固着して、常態においてはこれらの係合金具b1、b2の対向係合面を互いに一定間隔を存して離間させておき、地震によって上部構造物Dが上下方向に震動して浮き上がり現象が生じた場合に係合金具b1、b2を互いに係合させてその浮き上がりを抑制することも行われているが、これらの係合金具b1、b2は免震機構aの設置個所とは別な個所に配設しているために、地震発生時における構造物Dの浮き上がりが的確に防止し得る取付位置を設定しなければならず、その上、免震装置aとは別体のこのような係合金具b1、b2を作製することは高価について不経済であるばかりでなく、上下構造物C、D間にそれぞれ別々に設置しなければならないために施工作業に手間を要するという問題点があった。
【0008】
さらに、上記のような係合金具b1、b2を上述したローラベアリングによる免震装置に適用しようとしても、ローラベアリングは水平震動時においてローラベアリング案内面上を相対的に上下動しながら転動してローラベアリング案内面を設けている上下支持部材間の間隔が変動するため、係合金具b1、b2の対向係合面間に常に一定以上の間隔を設けた状態で装着しておく必要があり、これでは、上部構造物の浮き上がりを防止することができないという問題点が生じる。
【0009】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ローラベアリングを用いた免震装置において、該免震装置に一体的に組み込んで上下方向の震動時における構造物の浮き上がりを確実に防止し得るようにした構造物の免震装置における浮き上がり防止装置を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の構造物の免震装置における浮き上がり防止装置は、請求項1に記載したように、上側支持板と下側支持板との対向面間に介在させたローラベアリングの転動により下側支持板の水平方向の振動を免震するように構成した構造物の免震装置において、上記ローラベアリングの一端面又は両端面に、上下端部にローラや車輪等の転動体を取付けている係合部材の中央部を回動自在に取付ける一方、上記上側支持板と下側支持板との端面に上記ローラベアリングの転動に従って上記係合部材の上下転動体を摺接させながら水平方向に案内する上ガイドと下ガイドをそれぞれ設けてなる構造としている。
【0011】
さらに、上記構造物の免震装置における浮き上がり防止装置において、免震装置として上下支持板の対向面における少なくとも一方の支持板の面を凹弧状曲面のローラベアリング案内面に形成し、これらの上下支持板の案内面間にローラベアリングを転動自在に介在させてなるものであり、この免震装置の一方の支持板の端面に上記案内面に平行するガイドを設けてこのガイドに上記係合部材の上下転動体における一方の転動体を回動自在に係合させ、他方の支持板の端面に上記凹弧状曲面のローラベアリング案内面上を転動するローラベアリングの転動方向に対して上記ガイドから法線方向に上下転動体間の間隔を存したガイドを設け、このガイドに他方の転動体を転動自在に係合させてなることを特徴としている。
【0012】
請求項2に係る発明は、上側支持板と下側支持板との対向面間に介在させたローラベアリングの転動により下側支持板の水平方向の振動を免震するように構成した構造物の免震装置において、上記上側支持板と下側支持板との対向面を平坦なローラベアリング案内面に形成していると共にこれらの案内面間に軸心が上下に偏心したローラ部を一体に設けてなるローラベアリングを介在させて中心が上側に偏心しているローラ部を下側支持板の案内面に、中心が下側に偏心しているローラ部を上側支持板の案内面にそれぞれ接して転動させるように構成してあり、さらに、上記ローラベアリングの上下に偏心したローラ部における一方のローラ部の中心に上下端部に転動体を取付けている係合部材を回動自在に枢着すると共に、該ローラ部が転動する支持板の端面にこの支持板の案内面に平行なガイドを設けて該ガイドに上記係合部材の一方の転動体を係合させてあり、他方の支持板の端面に上記一方のローラ部の転動方向に対して上記ガイドから法線方向に上下転動体間の間隔を存したガイドを設け、このガイドに他方の転動体を転動自在に係合させていることを特徴としている。
【0013】
上記請求項1及び請求項2に係る発明において、上下支持板間に中間支持板を配設し、この中間支持板と上側支持板間にローラベアリングを介在させると共に中間支持板と下側支持板間に上記ローラベアリングと直交する方向に向けてローラベアリングを介在させた構造、即ち、上記免震装置を互いに直交させて上下に積層した状態で上下構造物間に介在させ、下側の免震装置の上側支持板と上側免震装置の下側支持板とを1枚の中間支持板で兼用させ、前後左右方向の水平震動をこれらの上下免震装置によって免震させるように構成しておいてもよい。
【0014】
【作用】
上下支持板の対向案内面にローラベアリングを転動自在に介在させてなる上記免震装置を、基礎或いは床などの下部構造物と基礎上に築造される建物或いは床面上に設置される展示台等の上部構造物との間の複数個所に介装し、上側支持板を上部構造物の下面に固定する一方、下側支持板を下部構造物の上面に固定する。地震の発生により下部構造物が水平方向に震動すると、該下部構造物上に固定している下側支持板が一体に震動して上下支持板間に介在しているローラベアリングが震動方向に転動する。この際、下部支持板が上部支持板に対してローラベアリングの転動を介して水平方向に揺動して震動エネルギーを吸収し、上側支持板側には殆ど震動が伝達されない。
【0015】
また、ローラベアリングは転動時に、その端面に回動自在に枢着している係合部材の上下端部に取付けた上下転動体を上下支持板の端面に設けている上下ガイドに摺接させながら上下支持板の対向案内面上を転動するものであるから、上下方向の震動が生じた場合においても、その震動の大小にかかわらずローラベアリングが常に上下支持板の対向案内面に接した状態を維持し、上部構造物の浮き上がりを確実に阻止して常に円滑にして安定した免震機能を発揮するものである。
【0016】
さらに、免震装置として一方の支持板のローラベアリング案内面を凹弧状曲面に形成している場合には、地震がおさまった際にはローラベアリングが元の位置に復帰するものであり、上下支持板の対向案内面が平坦面であってもこれらの案内面間に軸心が上下に偏心したローラ部を一体に設けてなるローラベアリングを介在させて中心が上側に偏心しているローラ部を下側支持板の案内面に、中心が下側に偏心しているローラ部を上側支持板の案内面にそれぞれ接して転動させるように構成することにより、上記同様に地震がおさまった際にはローラベアリングを元の位置に復帰させることができる。
【0017】
また、上記いずれの免震装置においても、一方の支持板の端面に設けているガイドの長さ方向の各点から法線方向にローラベアリングの端面に枢着している係合部材の上下転動体間の間隔を存して他方の支持板の端面にガイドを設け、これらの上下ガイドに係合部材の上下転動体をそれぞれ係合させているものであるから、ローラベアリングは水平震動時においてローラベアリング案内面上を相対的に上下動しながら転動してローラベアリング案内面を設けている上下支持板間の間隔が変動するにもかかわらず、ローラベアリングが常に上下支持板の対向案内面に接した状態を維持しながら転動し、上下震動が発生しても上部構造物の浮き上がりを確実に阻止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、まず、図1は本発明の実施例を説明するに際しての参考例を示すもので、平面方形状の一定厚みを有する金属板製の上側支持板1と下側支持板2との互いに水平方向に平行する上下対向面を金属製のローラベアリング3の転動案内面4、5にそれぞれ形成し、これらの転動案内面4、5間に左右或いは前後方向に所定間隔を存して互いに並設した2本のローラベアリング3を転動自在に介在させることにより免震装置Aを構成していると共に該免震装置Aに上側支持板2の浮き上がり防止装置Bを一体に組み込んであり、この浮き上がり防止装置Bを備えた免震装置Aをローラベアリング3の転動方向を直交させて上下に積み重ねて下段側の免震装置Aの下側支持板2を床面等の設置面を有する下部構造物C(図2に示す)上に固定し、上段側の免震装置Aの上側支持板1上に展示ケース等の上部構造物Dを載置してその下面を上側支持板1上に固定してなるものである。なお、下段側の免震装置Aの上側支持板1と上段側の免震装置Aの下側支持板2とは別体に形成しておいてもよいが、同図においてはこれらの支持板1、2を一枚の中間支持板1−2に兼用させている。
【0019】
上記浮き上がり防止装置Bの構造は、図2に示すように、各ローラベアリング3の両端面における回転中心に一定長さを有する棒状の係合部材6の長さ方向の中央部を軸7により回動自在に枢着すると共に該係合部材6の上下端部にローラ或いは転子からなる転動体8、9を回転自在に軸支し、さらに、このローラベアリング3の両端面が露出している側の上下支持板1、2の両端面にローラベアリング3の転動に従って上記係合部材6の上下端に軸支している転動体8、9をそれぞれ摺接させながら係合させた状態で水平方向に案内する上ガイド溝10と下ガイド溝11を設けてなり、係合部材6を垂直状態にして転動体8、9間の上下間隔を常に最小間隔に保持してこれらの転動体8、9を係合させている上下ガイド溝10、11間を離間する方向に移動するのを抑制しているものである。
【0020】
上記免震装置Aにおいて、ローラベアリング本体は図2、図3に示すように、小径の連結棒3aの両端部に該連結棒3aと同一軸心上にして大径のローラ部を一体に連結、固着した丸棒形状に形成され、この大径ローラ部をローラベアリング3に形成している一方、上下支持板1、2の両端部対向面をこれらのローラベアリング3、3が転動する上述した案内面4、5に形成してあり、さらに、ローラベアリング3の内端部にピニオン12を形成または固着して該ピニオン12を上下支持板1、2の案内面4、5の内端部に設けている直線状のラック13、14に噛合させてある。なお、ローラベアリング本体は上下支持板1、2間に2本、互いに平行に並設した状態にして介在させているが、必要に応じて2本以上介在させておいてもよい。
【0021】
このように構成したので、地震が発生して下部構造物Cが水平方向に揺れると該下部構造物Cと一体の下側支持板2が同一方向に一体的に震動する。この下側支持板2の震動によってローラベアリング3は該下側支持板2の水平震動方向に対してこの下側支持板2上の案内面5上を相対的に反対方向に転動すると共に上側支持板1の案内面4に対しては震動方向と同一方向に転動する。即ち、上側支持板1を固定状態にしてこの上側支持板1の案内面4をローラベアリング3が下側支持板2の水平震動方向に転動しながら移動することになり、従って、下側支持板2が水平方向に震動しても、ローラベアリング3がその震動エネルギーを転動しながら吸収して減衰させ、上側支持板1に殆ど伝達することはない。
【0022】
そしてこの免震装置Aを上述したように、ローラベアリング3の軸心方向を互いに直交させた状態で上下に組み合わせておくことにより、前後左右の水平方向の震動を減衰、免震することができるものである。なお、ローラベアリング3の転動は、該ローラベアリング3に固着しているピニオン12を上下支持板1、2の対向する案内面4、5に設けているラック13、14に噛合させながら行われ、従って、ローラベアリング3が案内面4、5に対してスリップすることなく、さらには、水平方向に傾くことなく、案内面4、5上を正確に転動することができる。
【0023】
また、ローラベアリング3の転動時には、該ローラベアリング3の端面に該ローラベアリング3の中心に対して相対的に回動自在に枢着している係合部材6がその上下端部に軸支している転動体8、9を上下支持板1、2の端面に設けている上下ガイド溝10、11にそれぞれ係合させた状態で転動しながらローラベアリング3と一体的に移動する。
【0024】
次に、地震の揺れが上下方向に生じた場合、上記浮き上がり防止装置Bが設けていないと、下部構造物Cと一体の下側支持板2に対して上側支持板1が躍動して浮き上がり、上下支持板1、2間に介在している複数本のローラベアリング3がこれらの支持板1、2の対向案内面4、5による挟持状態を解かれて妄動し、地震がおさまった時にはローラベアリング3が所定の配設形態に復帰しない場合が生じるが、上記のように免震装置Aに浮き上がり防止装置Bを一体的に組み込み、この浮き上がり防止装置Bによってこのような問題点を解消している。
【0025】
即ち、ローラベアリング3の端面に中央部を取付けている係合部材6は、上下支持板1、2の端面に設けている上ガイド溝10の下端内面と下ガイド溝11の上端内面とにその上下端部に軸支している上下転動体8、9をそれぞれ係合させ且つ該係合部材6が上下ガイド溝10、11に対して直交する垂直状態に配されているので、この係合部材6によって上下ガイド溝10、11間の距離が最小限に設定されていて上下支持板1、2は上下方向に離間することはなく、従って、上下方向の震動による上側支持板1が下側支持板2に対して浮き上がろうとしても、その浮き上がり力が係合部材6を介して該係合部材6の下側転動体9と下側支持板2のガイド溝11との係合力により阻止され、ローラベアリング3が常に上下支持板1、2の対向案内面4、5に接した状態を維持するものである。
【0026】
以上の例においては、ローラベアリング3を小径連結棒3aの両端に一体に連結、固着してなる形状のものを示したが、図5に示すように、単一のローラベアリング3を備えた免震装置Aに構成しておいてもよい。即ち、平面長方形状の上下支持板1、2の対向面を全長に亘ってローラベアリング案内面4、5に形成すると共に該案内面4、5の両側端にラック13、14をそれぞれ形成し、さらに、これらの上下支持板1、2の一方の端面に長さ方向に上下ガイド溝10、11を形成する一方、上下支持板1、2間にローラベアリング3を介在させて上下案内面4、5に転動自在に圧接させると共に該ローラベアリング3の両端部に一体に設けているピニオン12、12を上記ラック13、14に噛合させ、ローラベアリング3の一方の端面の中心部に係合部材6の中央部を回動自在に枢着してこの係合部材6の上下端部に軸支した転動体8、9を上記上下ガイド溝10、11に係合させてローラベアリング3の転動時に転動体8、9を上下ガイド溝10、11に常に係合させた状態でこれらの上下ガイド溝10、11に沿って転動させるようにしている。
【0027】
このように構成した浮き上がり防止装置Bを備えている単一構造の免震装置Aは、図4に示すように、下部構造物(図示せず)上に複数個所に全てのローラベアリング3を同一方向に向けて設置して各免震装置Aの下側支持板2を設置面に固定し、これらの免震装置Aの上側支持板1上に大版サイズの一定厚みを有する中間板15を覆うように架設、固定し、この中間板15上に上記免震装置Aのローラベアリング3に対して直交する方向に向けて複数個の免震装置Aを載置してその下側支持板2を中間板15に固定し、これらの上側免震装置Aによって上部構造物(図示せず)を支持した使用態様とするものである。そして、地震発生時における水平方向の震動を上述したように免震装置Aによって減衰、免震し、上下方向の震動による上側支持板1の浮き上がりを浮き上がり防止装置Bである係合部材6の上下端部に軸支しているローラからなる転動体8、9と上下支持板1、2の端面に設けている上下ガイド溝10、11との係合によって防止している。なお、中間板15は大版サイズではなく、4つに小分割して下段免震装置と上段免震装置を積層した構造であってもよい。
【0028】
上記いずれの参考例においても、上下支持板1、2のローラベアリング案内面4、5を平坦面に形成すると共にこれらの上下支持板1、2の端面に形成しているガイド溝10、11を水平な溝に形成しているが、ローラベアリングが接して転動する案内面を弧状に湾曲した面に形成してなる免震装置A1とこの免震装置A1に組み込んでいる浮き上がり防止装置B1についての本発明の実施例を次に説明する。
【0029】
図6、図7はその浮き上がり防止装置B1を備えた免震装置A1の一実施形態を示すもので、免震装置A1は金属板製の上側支持板1と下側支持板2間にローラベアリング3を介在させて該ローラベアリング3を上下支持板1、2の対向面に形成している弧状曲面のローラベアリング案内面4、5に接して転動させるようにしてなり、浮き上がり防止装置B1はローラベアリング3の端面中心に一定長さを有する棒状の係合部材6の長さ方向の中央部を軸7により回動自在に枢着すると共に該係合部材6の上下端部にローラ或いは転子からなる転動体8、9を回転自在に軸支し、さらに、このローラベアリング3の両端面が露出している側の上下支持板1、2の両端面にローラベアリング3の転動に従って上記係合部材6の上下端に軸支している転動体8、9をそれぞれ摺接させながら係合させた状態で水平方向に案内する弧状に湾曲した上ガイド溝10と下ガイド溝11を設けてなるものである。
【0030】
上記上下支持板1、2のローラベアリング案内面4、5は、上側支持板1においては長さ方向の両端部から中央部に向かって上方に凹弧状に湾曲した曲面の案内面4に形成している一方、下側支持板2においては長さ方向の両端部から中央部に向かって下方に凹弧状に湾曲した曲面の案内面5に形成されている。なお、これらの案内面4、5は、該凹弧状曲面の両端部に凸弧状曲面を連続的に設けてなるコサインカーブに形成されている。ローラベアリング3は上下支持板1、2間に該支持板の幅に略等しい長さのものを介在させておいてもよいが、図6に示すように、上下支持板1、2の両側端部間に2個のローラベアリング3、3をそれぞれ介在させ、これらの支持板1、2の側端面間からそれぞれ露出しているローラベアリング3、3の端面に係合部材6を設けてその上下転動体8、9を上下支持板1、2の両側の端面に形成している上記ガイド溝10、11に転動自在に係合させた構造としている。
【0031】
さらに、下側支持板2の両側の端面に板長方向に形成されているガイド溝はこの下側支持板2に形成している凹弧状の案内面5と同一湾曲形状の凹弧状ガイド溝11に形成されている。一方、上側支持板2の両側の端面に板長方向に形成されているガイド溝10は、図8に示すように、ローラベアリング3が上下支持板1、2の凹弧状案内面4、5に接して転動してこれらの上下支持板1、2が互いに相反する方向に移動した場合、下側支持板2の凹弧状ガイド溝11に係止しながら移動する係合部材6の下側転動体9の各移動点から該凹弧状ガイド溝11の法線方向、即ち、凹弧状ガイド溝11に接するローラベアリング3の接点からローラベアリング3の直径方向(係合部材6の長さ方向)に上下転動体8、9間の間隔を存した部分に設けられ、上向き凹円弧状のガイド溝10に形成されている。
【0032】
このように構成した浮き上がり防止装置B1付き免震装置A1は、上記同様に基礎又は地下構造物或いは床等の下部構造物と建物或いは展示ケースなどの上部構造物との間の複数個所に介装する。この場合、中間板を介して上段と下段に複数個ずつ、上段側の免震装置A1のローラベアリング転動方向に対して下段側の免震装置A1の転動方向を直交するように配設する。
【0033】
地震が発生すれば、下側支持板2が下部構造物と一体的に水平方向に揺れ、該下側支持板2の案内面5の凹弧状曲面の最も低位置の中央部上で静止していたローラベアリング3がこの凹弧状曲面の上向き傾斜曲面上を転動し、その転動によって上側支持板1がローラベアリング3の転動距離だけ下側支持板2に対して反対方向に相対移動し、上部構造物は上下凹弧状案内面4、5の曲面高さの和に相当する高さだけ持ち上げられる。なお、案内面4、5のローラベアリング転動方向の長さは、地震時の想定最大水平振幅(例えば30cm) を考慮して設定すればよい。
【0034】
ローラベアリング3が下側支持板2の凹弧状案内面5の中央上から端部上にまで転動する時に、上下凹弧状案内面4、5は上記のように凹弧状曲面の両端部延長部分に凸弧状曲面を形成している場合、ローラベアリング3が上記静止位置から或る距離だけ転動すると、その間における上部構造物の復元力は非線形の湾曲線となり、従って、ローラベアリング3の支承部のバネ定数(復元特性)が該ローラベアリング3の転動に従って変化すると共にその変化に応じて免震機構A1の固有震動数が変化して種々の震動波に対しても殆ど共振することがなく、免震作用を奏することができる。
【0035】
また、ローラベアリング3の転動時には、該ローラベアリング3の端面に該ローラベアリング3の中心に対して相対的に回動自在に枢着している係合部材6がその上下端部に軸支している転動体8、9を上下支持板1、2の端面に設けている上下ガイド溝10、11の内側面にそれぞれ係合させた状態で転動しながらローラベアリング3と一体的に移動する。
【0036】
即ち、上下支持板1、2の対向案内面4、5に接してローラベアリング3が転動すると、係合部材6はローラベアリング3と下側凹弧状案内面5との接点と、下側凹弧状ガイド溝11の内面と下側転動体9との接点とで支持されているので、その長さ方向をローラベアリング3と接する下側凹弧状案内面5に対して常に法線方向に向けた状態でローラベアリング3と共に移動し、上下支持板1、2の凹弧状ガイド溝10、11に係合しながら移動する上下転動体8、9を有するこの係合部材6によって上側支持板2の凹弧状案内面4を常にローラベアリング3に押しつけた状態に維持して上下支持板1、2は上下方向に離間することはなく、従って、上下方向の震動により上側支持板1が下側支持板2に対して浮き上がろうとしても、その浮き上がり力が係合部材6を介して該係合部材6の下側転動体9と下側支持板2のガイド溝11との係合力により阻止されるものである。また、地震が収まると、ローラベアリング3が上下凹弧状案内面4、5の中央部にまでこれらの案内面4、5の凹弧状曲面に接して移動して元の位置まで復帰する。
【0037】
この実施例においては、下側支持板2の凹弧状ガイド溝11を下側凹弧状案内面5と同一凹弧状曲線の溝に形成したが、上側支持板1側の凹弧状ガイド溝10を上側凹弧状案内面4と同一凹弧状曲線に形成して該凹弧状ガイド溝10に対して法線方向に係合部材6の長さ方向に向けてローラベアリング3と一体的に係合部材6を移動させ、この係合部材6の下側転動体9が係合する下側支持板2のガイド溝11を上記実施例における上側のガイド溝と対称形状の凹弧状ガイド溝に形成してもよい。
【0038】
また、上記実施例においては上下支持板1、2の対向案内面4、5を凹円弧状曲面に形成したが、図9に示すようにいずれか一方を水平な平坦面4Aに、他方を凹弧状案内面5(両端延長部が凸弧状に湾曲してなる案内面を含む)に形成しておいてもよい。この場合、凹弧状案内面5を設けている一方の支持板(下側の支持板2とする)側のガイド溝を該凹弧状案内面5から一定間隔を存してこの凹弧状案内面5に沿った凹弧状ガイド溝11に形成し、他方の支持板(上側の支持板1とする)の端面には、ローラベアリング3が対向案内面4A、5に接して転動した時に、支持板2の凹弧状ガイド溝11に係止しながら移動する係合部材6の転動体9の各移動点から該凹弧状ガイド溝11の法線方向、即ち、凹弧状案内面5に接するローラベアリング3の接点からローラベアリング3の直径方向(係合部材6の長さ方向)に上下転動体8、9間の間隔を存した部分に設けられ、同図に示すように、中央部が上向き凹弧状曲面で両端部が下向き凹弧状曲面のガイド溝10に形成されている。
【0039】
図10は図9で示した免震装置の変形例であって、平坦なローラベアリング案内面4Aに形成している一方支持板1(上側支持板とする)の端面に水平方向に直線状のガイド溝10を設け、このガイド溝10に対して凹弧状案内面5を有する他方の支持板2(下側の支持板とする)の端面に凹弧状のガイド溝11を形成してなるものである。即ち、ローラベアリング3が対向案内面4A、5に接して転動した時に、上側支持板1の直線状ガイド溝10に係止しながら移動する係合部材6の上側転動体9の各移動点から該直線状ガイド溝10の法線方向、即ち、平坦な案内面4Aに接するローラベアリング3の接点からローラベアリング3の直径方向(係合部材6の長さ方向)に上下転動体8、9間の間隔を存した部分に設けられ、同図に示すように、中央部が下向きの凹弧状曲面のガイド溝11に形成されている。
【0040】
上記図9、図10に示した浮き上がり防止装置付き免震装置においても、基礎又は地下構造物或いは床等の下部構造物と建物或いは展示ケースなどの上部構造物との間の中間板を介して上段と下段に複数個ずつ、上段側の免震装置のローラベアリング転動方向に対して下段側の免震装置の転動方向を直交するように配設される。そして、地震が発生すれば、下側支持板2が下部構造物と一体的に水平方向に揺れ、該下側支持板2の案内面5の凹弧状曲面の最も低位置の中央部上で静止していたローラベアリング3がこの凹弧状曲面の上向き傾斜曲面上を転動し、その転動によって上側支持板1がローラベアリング3の転動距離だけ下側支持板2に対して反対方向に相対移動して震動エネルギーを減衰させ、免震作用を奏するものであり、地震がおさまると元の状態に復帰するものである。
【0041】
また、上下支持板1、2の対向案内面4A、5に接してローラベアリング3が転動すると、係合部材6は、図8、図9においては下側支持板2の凹弧状案内面5に対して、図10においては上側支持板1の平坦な案内面4Aに対して常に法線方向に向けた状態でローラベアリング3と共に移動し、上下支持板1、2のガイド溝10、11に係合しながら移動する上下転動体8、9を有するこの係合部材6によって上下支持板1、2の対向案内面4A、5を常にローラベアリング3に押しつけた状態に維持して上下支持板1、2は上下方向に離間することはなく、従って、上下方向の震動による上側支持板1の浮き上がりを防止するものである。
【0042】
図11、図12は本発明の浮き上がり防止装置付き免震装置の別な実施例を示すもので、免震装置A2は、上下支持板1、2の対向案内面4、5を互いに平行する水平な平坦面に形成していると共にこれらの案内面4、5間に転動自在に介在しているローラベアリング3を中心が互いに上下に偏心させた大小径(大小径でなくてもよい)のローラ部3a、3bを一体に形成してなる構造とし、中心が上側に偏心しているローラ部3a(小径ローラ部とする) を下側支持板2の平坦な案内面5に接し、中心が下側に偏心しているローラ部3b(大径ローラ部とする) を上側支持板1の平坦な案内面4に接して転動させるようにしている。なお、下側支持板2には大径ローラ部3bの下周部の逃げ溝16を形成している。
【0043】
浮き上がり防止装置B2は、上下支持板1、2の端面に露出しているローラベアリング3における一方のローラ部(図においては、小径ローラ部3a) の中心に一定長さを有する棒状の係合部材6の長さ方向の中央部を軸7により回動自在に枢着すると共に該係合部材6の上下端部にローラ或いは転子からなる転動体8、9を回転自在に軸支し、さらに、小径ローラ部3aの端面が露出している側の上下支持板1、2の両端面にローラベアリング3の転動に従って上記係合部材6の上下端に軸支している転動体8、9をそれぞれ摺接させながら係合させた状態で水平方向に案内する上ガイド溝10と下ガイド溝11を設けてなり、係合部材6を垂直状態にして転動体8、9間の上下間隔を常に最小間隔に保持してこれらの転動8、9を係合させている上下ガイド溝10、11間を離間する方向に移動するのを抑制しているものである。
【0044】
上記上下ガイド溝10、11において、一方のガイド溝(例えば、下側ガイド溝11とする)は案内面5と平行する水平直線状の溝に形成してあり、他方のガイド溝(例えば、上側のガイド溝10とする)は、図12、図14に示すように、下側の案内面5上を転動するローラベアリング3の小径ローラ部3aが下側支持板2の案内面5上に接して転動して上下支持板1、2が互いに相反する方向に移動する場合、下側支持板2の直線状ガイド溝11に係止しながら移動する係合部材6の下側転動体9の各移動点から該直線状ガイド溝11の法線方向、即ち、直線状ガイド溝11に接するローラベアリング3の接点から小径ローラ部3aの直径方向(係合部材6の長さ方向)に上下転動体8、9間の間隔を存した部分に設けられ、上向き凹円弧状のガイド溝10に形成されている。なお、上記上下支持板1、2を反転させた構造、即ち、上側ガイド溝10を直線状に、下側ガイド溝11を凹弧状のガイド溝に形成することもできる。
【0045】
このように構成した浮き上がり防止装置付き免震装置においても、基礎又は地下構造物或いは床等の下部構造物と建物或いは展示ケースなどの上部構造物との間の中間板を介して上段と下段に複数個ずつ、上段側の免震装置のローラベアリング転動方向に対して下段側の免震装置の転動方向を直交するように配設される。そして、地震が発生すれば下側支持板2が水平方向に揺動する。この下側支持板2の揺動によって該下側支持板2に接しているローラベアリング3の小径ローラ部3aが該下側支持板2の案内面5上を相対的に反対方向に転動すると共に大径ローラ部3bが上側支持板1の案内面4に接しながら一体的に同一方向に転動する。従って、下側支持板2が揺動してもその揺動作用力、即ち、震動エネルギーがローラベアリング3の転動によって吸収されて上側支持板1には殆ど伝達されないものである。
【0046】
さらに、下側支持板2上に接している小径ローラ部3aの回転中心がローラベアリング4の軸心に対して上側に偏心している一方、上側支持板1の案内面4に接している大径ローラ部3bの回転中心がローラベアリング3の軸心に対して下側に偏心しているので、ローラベアリング3が転動すると、これらの偏心ローラ部3a、3bの転動面に対する回転半径が徐々に大きくなって該ローラベアリング3の転動を阻止する作用力が発生すると共に上側支持板1上の載荷重によってその作用力が更に増大しながら震動エネルギーを吸収する一方、予め、上部構造物の固有振動周期に同調するようにローラベアリング3の偏心ローラ部3a、3bの偏心量及び径を設定しておくことにより、ローラベアリング3が180 度以下の最大回転角度に達する前に下側支持板2が逆方向に揺動し、上側支持板1に下側支持板2の揺れが伝達するのをローラベアリング3の転動によって減衰するものである。
【0047】
また、上下支持板1、2の対向案内面4、5に接してローラベアリング3が転動すると、係合部材6は下側支持板2の直線状案内面5に対して常に法線方向に向けた状態でローラベアリング3と共に移動し、上下支持板1、2のガイド溝10、11に係合しながら移動する上下転動体8、9を有するこの係合部材6によって上下支持板1、2の対向案内面4、5を常にローラベアリング3に押しつけた状態に維持して上下支持板1、2は上下方向に離間することはなく、従って、上下方向の震動による上側支持板1の浮き上がりを防止するものである。
【0048】
なお、以上の各実施例においては、上下支持板1、2の端面に設けているガイドとして該端面から内側に向かって一定の上下幅を有するガイド溝10、11に形成しているが、図15に示すようにガイドレール10' 、11' であってもよく、この場合には該ガイドレール10' 、11' を上下支持板1、2の端面に固着し、一方、ローラベアリング3の端面中心に回動自在に設けている係合部材6の上下転動体として車輪8'、9'を用い、この車輪8'、9'を上側ガイドレール10' の上面溝底と下側ガイドレール11' の下面溝底に転動自在に係合させた構造としておけばよい。
【0049】
【発明の効果】
以上のように本発明の構造物の免震装置における浮き上がり防止装置によれば、上側支持板と下側支持板との対向面間に介在させたローラベアリングの転動により下側支持板の水平方向の振動を免震するように構成した構造物の免震装置において、上記ローラベアリングの端面に係合部材の中央部を回動自在に取付けると共に該係合部材の上下端部に転動体を取付ける一方、上記上側支持板と下側支持板との端面に上記ローラベアリングの転動に従って上記係合部材の上下転動体を摺接させながら水平方向に案内する上ガイドと下ガイドをそれぞれ設けているので、浮き上がり防止装置を一体に組み込んでいる構造が簡単な免震装置を提供することができ、製作が容易でコストを低減し得ると共に良好な取扱性と正確にして能率のよい施工が可能となるものである。
【0050】
さらに、地震が発生した場合、上下支持板間に介在しているローラベアリングの転動によって震動エネルギーを吸収し、水平方向の揺れを確実に減衰させることができるものであり、その上、ローラベアリングは転動時には該ローラベアリングの端面に回動自在に枢着している係合部材の上下端部に取付けた上下転動体が上下支持板の端面に設けている上下ガイドに摺接しながらローラベアリングと一体的に移動するものであるから、上下方向の震動が生じた場合においても、その震動の大小にかかわらずローラベアリングを常に上下支持板の対向案内面に接した状態に維持することができ、上部構造体の浮き上がりを確実に阻止して常に円滑にして安定した免震機能を発揮するものである。
【0051】
また、請求項1に係る発明によれば、免震装置としての一方の支持板のローラベアリング案内面を凹弧状曲面に形成しているので、地震がおさまった際にはローラベアリングを元の位置に確実に復帰させることができるものであり、上下支持板の対向案内面が平坦面であっても請求項2に記載したように、これらの案内面間に軸心が上下に偏心したローラ部を一体に設けてなるローラベアリングを介在させて中心が上側に偏心しているローラ部を下側支持板の案内面に、中心が下側に偏心しているローラ部を上側支持板の案内面にそれぞれ接して転動させるように構成することにより、上記同様に地震がおさまった際にはローラベアリングを元の位置に復帰させることができる。
【0052】
さらに、請求項1及び請求項2に係る発明によれば、一方の支持板の端面に設けているガイドの長さ方向の各点から法線方向にローラベアリングの端面に枢着している係合部材の上下転動体間の間隔を存して他方の支持板の端面にガイドを設け、これらの上下ガイドに係合部材の上下転動体をそれぞれ係合させているものであるから、水平震動時にはローラベアリングがローラベアリング案内面上を相対的に上下動しながら転動してローラベアリング案内面を設けている上下支持板間の間隔が変動するにもかかわらず、ローラベアリングを常に上下支持板の対向案内面に接した状態に維持しながら転動させることができ、上下震動が発生しても上部構造体の浮き上がりを確実に阻止することができる。
【0053】
さらにまた、上部構造体と下部構造体との間に上記浮き上がり防止装置付き免震装置を複数個ずつ、上側の免震装置のローラベアリング転動方向に対して下側の免震装置のローラベアリング転動方向が直交するように配設しておくことにより、地震が発生した場合には、前後左右方向の揺れを確実に吸収、減衰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】免震装置の設置状態を示す簡略斜視図、
【図2】その要部の一部を縦断した正面図、
【図3】ローラベアリング部分と支持板部分との横断面図、
【図4】複数個の免震装置を配設した構造体の簡略横断面図、
【図5】その免震装置の縦断正面図、
【図6】本発明の別な実施例を示す縦断正面図、
【図7】その簡略側面図、
【図8】ガイド溝の形成方法を説明するための簡略側面図、
【図9】別なガイド溝の形成方法を説明するための簡略側面図、
【図10】さらに別なガイド溝の形成方法を説明するための簡略側面図、
【図11】本発明のさらに別な実施例を示す簡略縦断正面図、
【図12】その簡略側面図、
【図13】ローラベアリングが転動した状態の簡略側面図、
【図14】この装置のガイド溝形成方法を説明するための簡略側面図、
【図15】浮き上がり防止装置の変形例を示す要部の縦断正面図、
【図16】従来例を示す簡略正面図。
【符号の説明】
1 下側支持板
2 下側支持板
3 ローラベアリング
4、5 案内面
6 係合部材
8、9 転動体
10、11 上下ガイド溝
A 免震装置
B 浮き上がり防止装置
Claims (2)
- 上側支持板と下側支持板との対向面間に介在させたローラベアリングの転動により下側支持板の水平方向の振動を免震するように構成した構造物の免震装置において、上記ローラベアリングの端面に係合部材の中央部を回動自在に取付けると共に該係合部材の上下端部に転動体を取付け、さらに、上記上下支持板の対向面における少なくとも一方の支持板の面を凹弧状曲面のローラベアリング案内面に形成すると共にこの支持板の端面に上記案内面に平行するガイドを設けてこのガイドに上記係合部材の上下転動体における一方の転動体を回動自在に係合させ、他方の支持板の端面に上記凹弧状曲面のローラベアリング案内面上を転動するローラベアリングの転動方向に対して上記ガイドから法線方向に上下転動体間の間隔を存したガイドを設け、このガイドに他方の転動体を転動自在に係合させていることを特徴とする免震装置における浮き上がり防止装置。
- 上側支持板と下側支持板との対向面間に介在させたローラベアリングの転動により下側支持板の水平方向の振動を免震するように構成した構造物の免震装置において、上記上側支持板と下側支持板との対向面を平坦なローラベアリング案内面に形成していると共にこれらの案内面間に軸心が上下に偏心したローラ部を一体に設けてなるローラベアリングを介在させて中心が上側に偏心しているローラ部を下側支持板の案内面に、中心が下側に偏心しているローラ部を上側支持板の案内面にそれぞれ接して転動させるように構成してあり、さらに、ローラベアリングの上下に偏心したローラ部における一方のローラ部の中心に上下端部に転動体を取付けている係合部材を回動自在に枢着すると共に、該ローラ部が転動する支持板の端面にこの支持板の案内面に平行なガイドを設けて該ガイドに上記係合部材の一方の転動体を係合させてあり、他方の支持板の端面に上記一方のローラ部の転動方向に対して上記ガイドから法線方向に上下転動体間の間隔を存したガイドを設け、このガイドに他方の転動体を転動自在に係合させていることを特徴とする免震装置における浮き上がり防止装置。
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