JP4118375B2 - セメント混和剤およびそれを用いたセメント組成物並びにその調製方法 - Google Patents

セメント混和剤およびそれを用いたセメント組成物並びにその調製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメント混和剤およびそれを用いたセメント組成物並びにそのセメント組成物の調製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、セメント、骨材、水以外の材料であるセメント混和剤においては、セメントの水和硬化を制御したり、硬化体の性質を改良すべく、新たにセメント減水剤、高性能減水剤、流動化剤、増粘剤、AE剤、凝固遅延剤、硬化促進剤、水和熱抑制剤、乾燥収縮低減剤等の多種多様の混和剤の組成およびその作用効果に関し盛んに研究開発が行われている。
【0003】
こうした中で、これまでに各種の複合的な機能、性能を持たせた混和剤が提案されている。
【0004】
具体的には、セメント、水、高分子化合物からなるか、セメント、水、骨材、高分子化合物からなるセメント組成物において、上記高分子化合物として、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸を必須の単量体とする乳化共重合体を用いることを特徴とするセメント組成物が特開平3−131553号公報に記載されている。上記公報に記載のセメント組成物においては、アルカリ雰囲気下でゲル化することにより、極めて高い保水性を発揮し、加えて、その高保水性の作用により脱型時の型くずれやドライアウトなどのトラブルを解消することができるとすものである。
【0005】
また、ビニル高分子エマルションと水溶性ビニル共重合体殿水性混合物であって、液性がpH9以上の領域において、2倍以上になる水性混合物からなることを特徴とする高性能減水剤組成物が特開平9−71447号公報に記載されている。上記公報に記載の高性能減水剤組成物においては、該高性能減水剤組成物を用いて調製したセメント配合物に所期の通りの高い流動性および材料分離性を同時に付与できるとすものである。
【0006】
さらに、モノマー成分から得られた遊離カルボン酸基を高分子鎖中に有する共重合エマルションを含有してなる高流動コンクリート用混和剤が特開平8−225353号公報に記載されている。上記公報に記載の高流動コンクリート用混和剤の発明にあっては、流動性、充填性に優れ、かつ分離抵抗性にも優れた高流動コンクリートを調製できるとするものである。
【0007】
また、分子内にカルボキシル基を有し、かつアルカリ増粘性を有するアクリル系重合体のエマルジョンまたはこれとポリカルボン酸系重合体などの有機系混和剤を含有する地盤注入工法用混和剤が特開平8−157820号公報に開示されており、かかる合成例には、上記アクリル系重合体のエマルジョンとして、アクリル酸メチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸=24/36/40(重量%)の各単量体成分を重合してなる共重合体を用いることできることが例示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
こうした従来のセメント混和剤においては、セメント配合物に各種の複合的な機能、性能を持たせる上で直接的かつ重要な働きを担う主構成成分ではなく、むしろ任意的ないしは付随的に用いられるものとして、これら主構成成分と共重合可能な他の単量体中の1つとして、アクリル酸アルキルエステルが記載されている。しかしながら、これら他の単量体成分の1つに過ぎないアクリル酸アルキルエステルに関しては、主構成成分とは異なり、セメント配合物に対し如何なる作用効果をもたらし得るかについては、さほど重要視されておらず、わずかに特開平3−131553号公報の明細書中に、アクリル酸アルキルエステルのような水への溶解度の小さいものがよいとの記載がある程度であった。したがって、アクリル酸アルキルエステルの一具体例であるアクリル酸メチルに関して、そのものがセメント配合物に対し及ぼし得る特有な作用効果に関しては、何等の報告も成されていない。
【0009】
一方、こうした従来のセメント混和剤においては、各種の複合的な機能、性能を新たに付与させた新規な混和剤の開発に努力が払われ、実際にこうした混和物を用いてセメント組成物を調製する際の解決すべき技術課題である施工性、特にセメント組成物の混練時間の大幅な短縮化等といった点に、いかなる成分が有効に寄与するのかは何ら見出されていないのが現状である。
【0010】
そこで、本発明の目的は、セメント混和剤として、基本的に増粘剤としての働きを有し、さらに材料の分離低減性を備え、加えて施工性、特にセメント組成物の混練時間を大幅に短縮できる新規なセメント混和剤およびそれを用いてなるセメント組成物を提供するものである。
【0011】
また、本発明の目的は、新規なセメント混和剤を用いてセメント組成物を調製する上で、施工性、特にセメント組成物の混練時間を大幅に短縮することのできるセメント組成物の調製方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、上記諸目的を達成すべく、セメント混和剤およびそれを用いたセメント組成物並びにその調製方法に関し、鋭意検討した結果、アクリル酸メチルとその他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとからなる少なくとも2種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とし、かつ該アクリル酸メチルの量が、その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの量と等量以上である単量体成分を重合して得られる共重合体が、増粘剤と材料の分離低減剤の双方の機能を備えるとした本発明に特有の作用効果を奏するほか、該共重合体からなるセメント添加剤にセメント減水剤を併用し、少なくとも該セメント減水剤をあらかじめ練り水に溶解ないし分散させておき、これを混合系内に投入し混練する事により、さらに施工性の改善が促進されるという、さらなる特有の作用効果を発現し得ることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至ったものである。
【0013】
すなわち、本発明の第1の目的は、(1) アクリル酸メチルとその他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとからなる少なくとも2種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とし、
かつ該アクリル酸メチルの量が、その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの量と等量以上である単量体成分を重合して得られる共重合体からなるセメント添加剤を含有してなることを特徴とするセメント混和剤により達成される。
【0014】
また、本発明の第1の目的は、(2) 前記セメント添加剤が、アクリル酸メチルとその他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとからなる少なくとも2種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体と、(メタ)アクリル酸とを含む単量体成分を重合して得られる共重合体からなることを特徴とする上記(1)に記載のセメント混和剤によっても達成される。
【0015】
さらに、本発明の第1の目的は、(3) 上記(1)または(2)に記載のセメント添加剤とセメント減水剤とを含有してなることを特徴とするセメント混和剤により達成される。
【0016】
本発明の第2の目的は、(4) 上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のセメント混和剤、セメントおよび練り水を少なくとも含有してなるセメント組成物により達成される。
【0017】
本発明の第3の目的は、(5) 練り水の一部あるいは全量にセメント減水剤および上記(1)または(2)に記載のセメント添加剤を分散または溶解させて混合系内に投入して混練することを特徴とするセメント組成物の調製方法により達成される。
【0018】
また、本発明の第3の目的は、(6) 上記(1)または(2)に記載のセメント添加剤およびセメント減水剤をそれぞれ練り水の一部に分散または溶解させてなる上記(1)または(2)に記載のセメント添加剤含有液およびセメント減水剤含有液を同時に混合系内に投入して混練することを特徴とするセメント組成物の調製方法により達成される。
【0019】
また、本発明の第3の目的は、(7) 上記(1)または(2)に記載のセメント添加剤を練り水の一部に分散または溶解させてなる上記(1)または(2)に記載のセメント添加剤含有液を混合系内に投入して混練し、
次いで、セメント減水剤を練り水の一部に分散または溶解させてなるセメント減水剤含有液を投入してさらに混練することを特徴とするセメント組成物の調製方法により達成される。
【0020】
また、本発明の第3の目的は、(8) 前記混合系内が、セメントを含有した状態、セメントおよび細骨材を含有した状態、セメント、細骨材および粗骨材を含有した状態またはセメント、細骨材および粗骨材のいずれも含有していない状態のいずれかであることを特徴とする上記(5)〜(7)のいずれか1つに記載のセメント組成物の調製方法により達成される。
【0021】
また、本発明の第3の目的は、(9) 前記混合系内が、セメントを含有した状態、セメントおよび細骨材を含有した状態またはセメント、細骨材および粗骨材を含有した状態の場合に、該混合系内の組成物成分が空練りされていることを特徴とする上記(8)に記載のセメント組成物の調製方法により達成される。
【0022】
また、本発明の第3の目的は、(10) 前記混合系内が、セメント、細骨材および粗骨材のいずれも含有していない状態の場合、
上記(5)〜(7)のいずれか1つに記載のセメント減水剤および上記(1)または(2)に記載のセメント添加剤を分散または溶解させた練り水、上記(1)または(2)に記載のセメント添加剤含有液およびセメント減水剤含有液、または上記(1)または(2)に記載のセメント添加剤含有液と、
セメント、細骨材および粗骨材の中の少なくともセメントとを、一度に該混合系内に投入して混練することを特徴とする上記(5)〜(7)のいずれか1つに記載のセメント組成物の調製方法により達成される。
【0023】
また、本発明の第3の目的は、(11) 前記混合系内に、セメント減水剤を除くセメント混和剤の少なくとも1種が含有されていることを特徴とする上記(5)〜(7)のいずれか1つに記載のセメント組成物の調製方法により達成される。
【0024】
また、本発明の第3の目的は、(12) 前記セメント減水剤を除くセメント混和剤が、固体の上記(1)または(2)に記載のセメント添加剤を含有することを特徴とする上記(11)に記載のセメント組成物の調製方法により達成される。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明のセメント混和剤は、アクリル酸メチルとその他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとからなる少なくとも2種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とし、かつ該アクリル酸メチルの量が、その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの量と等量以上である単量体成分を重合して得られる共重合体(以下、単に(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする共重合体とも略す)からなるセメント添加剤を含有してなることを特徴とするものであり、好ましくは、前記セメント添加剤が、アクリル酸メチルとその他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとからなる少なくとも2種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体と、(メタ)アクリル酸とを含む単量体成分とを重合して得られる共重合体(以下、単に(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体と(メタ)アクリル酸とを含む単量体成分を重合して得られる共重合体とも略す)からなることを特徴とするものである。
【0026】
上記アクリル酸メチルとその他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとからなる少なくとも2種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とし、かつ該アクリル酸メチルの量が、その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの量と等量以上である単量体成分を重合して得られる共重合体を重合する上で必須の単量体成分であるアクリル酸メチル以外のその他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとからなる少なくとも1種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体としては、特に制限されるものではないが、好ましくは、アクリル酸アルキルエステルのアルキル基が、炭素原子数2〜12のものまたはメタクリル酸アルキルエステルのアルキル基が、炭素原子数1〜12のものである。かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクリル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられる。
【0027】
上記アクリル酸メチルとその他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとからなる少なくとも2種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする共重合体において、アクリル酸メチルの量が、アクリル酸メチル以外のその他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの量の合計量と等量以上必要である。主成分であるアクリル酸メチルとその他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上含有するものが望ましい。その中でも特にアクリル酸メチルは30%以上含有する主成分組成が望ましい。単量体成分として、主成分であるアクリル酸メチルとその他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが50%未満の場合には、増粘剤と材料の分離低減剤の双方の機能を備え、さらに施工性に優れ、かつこれらの働きを保持した上で同一の作用効果を奏するための必要量の低減も図れるという、本発明に特有な作用効果を奏することができないため好ましくない。また、他の重合性単量体成分により異なる機能をもたせるには、一定の量以上を含有しなければ有効にその機能を発現させることができないとする観点から、好ましい範囲として、アクリル酸メチルとその他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの量を規定したものである。これは、好適なセメント組成物の流動性および分離抵抗性を示すためには、アクリル酸メチルが重要であり、他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルがアクリル酸メチルより多くなるとこれらの性能を低下させるものである。
【0028】
なぜ、アクリル酸メチルを主成分とする重合体が、これらの性能を発現できるかは、まだ解明されていないが、重合体中のアクリル酸メチル部がセメント組成物中などのアルカリ雰囲気下で、速やかに加水分解し、カルボキシル基を生成することが、セメント組成物の流動性や分離抵抗性に関係していることがわかっている。
【0029】
しかし、アクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを全く含まない場合は、アクリル酸メチルの加水分解をコントロールできず、経時的にセメント組成物の流動性が変化したり、流動性が極端に低下するため好ましくない。
【0030】
また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする共重合体として好ましいものである、アクリル酸メチルとその他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとからなる少なくとも2種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体および(メタ)アクリル酸を含む単量体成分を重合して得られる共重合体においては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とすることは変わらないが、残る(メタ)アクリル酸単量体成分については、全単量体成分中0〜50重量%、好ましくは5〜40重量%含有されていることが好ましい。(メタ)アクリル酸が、50重量%を超える場合には、主成分である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの量が少なくなるため、充分な分離抵抗性が得られなかったり、セメント組成物の混練時間が極端に長くなるため好ましくない。
【0031】
なお、上記アクリル酸メチルとその他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとからなる少なくとも2種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体および(メタ)アクリル酸以外の重合性単量体成分としては、従来既知の様々な機能、性能を発現し得る各種の混和剤の組成成分の1つとして、その効果を発現することができるものなどが特に好適に利用できるものであるが、これらに限定されるものではなく、上記単量体成分と共重合可能な単量体を広く利用することができるものであり、例えば、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の(メタ)アクリル酸を除くカルボキシル基含有重合性単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基含有重合性単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスフェート等の酸性リン酸エステル系重合性単量体;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルメチルスチレン等のスチレン誘導体類;(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基含有重合性単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコールとのモノエステル等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;ポリエチレングリコール(メタ)アクリルエステル等のポリエチレングリコール鎖含有重合性単量体;酢酸ビニル;(メタ)アクリロニトリル;N−ビニルピロリドン;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基性重合性単量体類;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の架橋性(メタ)アクリルアミド類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン等の珪素原子に直結する加水分解性珪素基を有する重合性単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性単量体類;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニルオキサゾリン等のオキサゾリン基含有重合性単量体類;(メタ)アクリル酸−2−アジリジニルエチル、(メタ)アクリロイルアジリジン等のアジリジン基含有重合性単量体;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有重合性単量体;(メタ)アクリル酸とエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル化物等の分子内に重合性不飽和基を2個以上有する多官能(メタ)アクリル酸エステル類;メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の分子内に重合性不飽和基を2個以上有する多官能(メタ)アクリルアミド類;ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート等の分子内に重合性不飽和基を2個以上有する多官能アリル化合物;(メタ)アクリルアリル、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。アクリル酸メチルとその他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとからなる少なくとも2種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体および(メタ)アクリル酸単量体成分以外の重合性単量体成分としては、これらの1種または2種以上の重合性単量体、重合性多官能単量体を混合して使用することができる。
【0032】
また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする共重合体、さらに好ましいものである(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体と(メタ)アクリル酸とを含む単量体成分を重合して得られる共重合体を製造する方法としては、特に制限されるものではなく、その製造方法には、バルク、溶液、分散、懸濁などの公知の方法が適用できるが、なかでも、上述した割合のアクリル酸メチル、その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、さらには(メタ)アクリル酸、その他の単量体成分を、公知の乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤等を使用して従来既知の乳化重合法により共重合することにより容易に得ることができる。
【0033】
ここで、乳化剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤または高分子活性剤等あらゆる界面活性剤を用いることができるが、場合によっては、乳化剤を一切使わず重合してもよい。
【0034】
上記アニオン界面活性剤としては、例えば、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート等の如きアルキルサルフェート塩;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノエート;スルホン化パラフィン塩等の如きアルキルスルホネート;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等の如きアルキルスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアヒエート等の如き脂肪酸塩;ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩;コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等の如き二重結合を持った反応性アニオン乳化剤等が使用できる。
【0035】
また、上記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタン脂肪族エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル;グリセロールのモノラウレート等の如き脂肪族モノグリセライド;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体、エチレンオキサイドと脂肪族アミン、アミドまたは酸との縮合生成物等が使用できる。
【0036】
上記高分子界面活性剤としては、例えば、ポリビニルアルコールおよびその変性物;(メタ)アクリル酸系水溶性高分子;ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸系水溶性高分子;ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸系水溶性高分子;ポリビニルピロリドン等が使用できる。
【0037】
上記乳化剤を用いる場合、その使用量としては、エマルションの生成を助け、かつ生成したエマルションを安定化するとした所望の働きを発現することができればよく、上記アクリル酸メチル、その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、さらには(メタ)アクリル酸、その他の単量体成分の全単量体成分に対して、通常、0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。乳化剤の使用量が0.1重量%未満の場合には、乳化重合の安定性が著しく失われたり、凝集物が多量に発生したり、全体が凝集したりする。一方、乳化剤の使用量が10重量%を超える場合には、セメント組成物の硬化が遅れたり、過大な空気を連行したりする。
【0038】
上記重合開始剤としては、例えば、熱によって分解しラジカルを持つ分子を発生させる物質である、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ系化合物;過酸化水素などの熱分解系開始剤、および酸化剤と還元剤を組み合わせて酸化還元反応でラジカルを持つ分子を発生させる、過酸化水素とアスコルビン酸、t−ブチルヒドロパーオキサイドとロンガリット、過硫酸カリウムと金属塩、過硫酸アンモニウムと亜硫酸水素ナトリウム等のレドックス系重合開始剤などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を混合して使用することができる。
【0039】
上記重合開始剤の使用量としては、容易にフリーラジカルあるいはイオンを発生して、連鎖反応による重合を開始させるとした所望の働きを発現することができればよく、上記アクリル酸メチル、その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、さらには(メタ)アクリル酸、その他の単量体成分の全単量体成分に対して、通常、0.001〜1重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%である。重合開始剤の使用量が0.001重量%未満の場合には、重合が著しく遅くなったり、重合が開始しない。一方、重合開始剤の使用量が1重量%を超える場合には、重合が不安定となり、凝集物が増える。
【0040】
さらに、上記乳化重合の際、従来既知の各種の親水性溶媒や以下に説明するような添加剤を、必要に応じて適宜加えることは、物性に悪影響を及ぼさない範囲において可能である。乳化重合体を調製するに当たっては、分子量の調製のために、連鎖移動剤を用いてもよい。該連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン(1,1−ジメチルデカン−1−チオール)、1−ヘキサデカンチオール、1,10−デカンチオール、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、1,5,10−デカントリチオール、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、オクタン酸2−メルカプトエチルエステル、四塩化炭素、四臭化炭素、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、α−テルピネン、β−テルピネン、ジペンテン、アリルアルコール、2−アミノ−プロパノール等が挙げられる。また、乳化重合を促進させるためには、例えば、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、L−アスコルビン酸およびその塩等の還元剤や、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、グリシン等のキレート剤等を併用することもできる。このほかにも、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等の分散剤、塩化カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二アンモニウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の電解質、pH調整剤等を併用することもできる。これらの添加剤の配合量においても、物性に悪影響を及ぼさない範囲内で適宜添加すればよい。
【0041】
上記各種の単量体成分を重合反応系に添加する方法としては、特に制限されず、一括添加法、モノマー滴下法、プレエマルション法、パワーフィード法、シード法、多段添加法等の従来既知の任意の方法を用いることができる。
【0042】
上記乳化重合後の重合体エマルションの不揮発分は、60%以下であることが好ましい。不揮発分が60%を超える不揮発分にすると粘度が高すぎたり、分散安定性が保てず凝集する。また、上記乳化重合法により得られる重合体のGPC法による数平均分子量は、通常10万〜1000万、好ましくは50万〜200万である。数平均分子量が10万未満の場合には、セメント組成物の分離低減性が著しく低下し、一方、数平均分子量が1000万を超える場合には、セメント組成物の流動性が損なわれる。また、上記乳化重合法により得られる重合体が、エマルションの形態で保持される場合には、当該重合体のpHとしては、特に当該乳化安定性を考慮して、通常、1〜7に調整され、保持されるべきである。
【0043】
分散体の粒子径が、0.001μm未満のものは、粒子の表面積がかなり増大するため、大量の乳化剤が必要になったり、低固形分でエマルション自体の粘度がかなり高くなってしまうため、本用途には適さない。分散体が1μmを超えるものについては、通常の乳化重合で製造するのは難しく、また、エマルションとして安定に存在できず、粒子が沈降したりするため、本用途には適さない。
【0044】
一方、これらの方法で、重合した共重合体を乾燥粉砕法、塩析法、凝集沈降法、凍結乾燥法、凝集解砕法、スプレー−ドライ、ベルトドライヤーなどにより、乾燥粉末またはスラリーの形態でセメント混和剤の一種として用いてもよい。
【0045】
乾燥粉末またはスラリーなどの状態で用いる場合は、通常、1〜10000μm、好ましくは10〜1000μmの粒子径を形成させることが、適当である。粒子径が1μm未満の場合、粉末の嵩が、大きくなり大気中に飛散しやすくなるため、取り扱いが困難となる。また、スラリー状においてもスラリー自体の粘度が高くなりすぎゲル状に近くなるため、取り扱いが困難となる。
【0046】
粒径が、10000μmを超える場合は、速やかに溶解しないため、充分な粘度や分離抵抗性を得るのに長持間を要する。これにより、コンクリートの生産性が低下したり、添加量による流動性などの微調整がかなり難しくなる。
【0047】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする共重合体からなるセメント添加剤は、酸性または中性の水には溶解しないが、アルカリ水溶液やセメントペーストなどのアルカリ中で、重合体中のアクリル酸メチルが順次加水分解し、カルボキシル基を生成することによって、共重合体の一部ないし全部が溶解し、高粘度となることを特徴としている。好適なセメント組成物の流動性および分離抵抗性を示す(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする共重合体からなるセメント添加剤は、該セメント添加剤である共重合体1重量%を含む水において、pHが9の時に一部あるいは全部が溶解し、その溶解後の粘度が、50〜5000mPa・sを示すものが特に有効である。
【0048】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする共重合体からなるセメント添加剤の配合量としても、使用用途や用いる種類等によりその適正量が異なるため一律に規定することはできず、その使用目的である増粘作用、材料の分離低減作用等の諸特性を有用に発揮し、当該作用に加え、コンクリートやモルタル等のセメント組成物の調製時の施工性に優れるとした所望の作用効果を有用に発現し得る範囲内においてより効果のあがる量を配合すればよく、特に制限されるものではないが、使用するセメント重量に対し該(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする共重合体からなるセメント添加剤を乾燥樹脂ないし固形分換算で0.001%〜5%、好ましくは0.01〜1%含有しているのが望ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする共重合体からなるセメント添加剤の含有量が0.001%未満の場合、十分な分離抵抗性が得られなくなる。他方、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする共重合体からなるセメント添加剤の含有量が5%を超える場合には、コンクリート等のセメント組成物の流動性を阻害してしまう。
【0049】
次に、本発明のセメント混和剤には、上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする共重合体からなるセメント添加剤以外にも、使用目的、用途等に応じて適当な混和剤を組み合わせて利用する事ができる。
【0050】
なかでも、本発明のセメント混和剤を用いてなるセメント組成物の調製方法において、優れた施工性を得るためには、増粘剤としての機能を有する上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする共重合体からなるセメント添加剤と、従来既知の任意のセメント減水剤とを併用し、後述するように少なくとも該セメント減水剤をあらかじめ練り水に分散または溶解させておき、これを投入し混練することが望ましいことがわかったのである。
【0051】
本発明のセメント混和剤の1種として配合することのできるセメント減水剤としては、特にその呼称に拘泥されるものではなく、セメントの粒子表面に吸着して相互間に反発作用を起こさせる表面活性剤で、この作用によりコンクリート等のセメント組成物の単位水量を減らし強度を高めることができるものであればよく、さらにこれに他の作用を持たせたもの、例えば、空気連行作用をも有するAE減水剤、水セメント比を大幅に低下させて高強度のコンクリート等のセメント組成物を得ることのできる高性能減水剤、かた練りのコンクリート等のセメント組成物の品質を保ったまま高いワーカビリティ(施工性)を一定時間維持させる効果を持つ流動化用コンクリート等のセメント組成物に使われる高性能減水剤である流動化剤等であってもよく、現在までに開発されてなる多種多様のセメント減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤ないしセメント分散剤と称されているもの、さらにはセメントまたはコンクリート用混和剤とだけ記されているような場合でもその構成要素から判断してセメント減水剤に含まれるものにつき広く適用することができるものであり、例えば、リグニンスルホン酸塩系、オキシカルボン酸塩系、ポリオール誘導体系、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物系、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物系、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物系、フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物系(特許公報第1097647号)、フェノールスルファニル酸ホルマリン縮合物系(特開平1ー113419号公報)、フェノールメラミンメチロール化スルホン酸ホルマリン縮合物系(特開昭56−13674号公報)、ポリカルボン酸系(特開平7−2677056号公報、特許公報第2508113号、特開昭62−216950号公報、特開平1−226757号公報、特公平5−36377号公報、特開平4−149056号公報、特開平5−170501号公報、特開平6−191918号公報、特開平5−43288号公報、特公昭58−38380号公報、特公昭59−18338号公報、特開昭62−119147号公報など)、ポリスチレンスルホン酸塩系(特開昭51−525号公報、特開昭56−41866号公報)などを挙げることができ、これらを1種若しくは2種以上適当に組み合わせて利用することができる。
【0052】
上記セメント減水剤の配合量としては、用いる種類等によりその適正量が異なるため一律に規定することはできず、その使用目的である減水作用を有用に発揮し、当該作用によりコンクリート等のセメント組成物の単位水量を減らし強度を高める効果を有用に発現し得る範囲内においてより効果のあがる量を配合すればよく、特に制限されるものではないが、セメント減水剤を固形分換算でセメント重量に対して0.01〜3%、好ましくは0.02〜2%、さらに好ましくは0.04〜1%含有し得るように配合されているのが、高減水率の達成、スランプロス防止性能の向上、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上等の各種の好ましい諸効果がもたらされるので望ましい。セメント減水剤の含有量がセメント重量に対して0.01%未満の場合、十分な減水作用を有用に発揮することができず、コンクリート等のセメント組成物の単位水量を減らすことができない。さらに、まだ固まらないコンクリート等のセメント組成物としてペーストの性状も十分に改善されず、流動性も改善できない。他方、セメント減水剤の含有量がセメント重量に対して3%を超えて多量に使用しても、その効果は実質上頭打ちとなり経済性の面から不利となる。
【0053】
さらに、セメント混和剤として、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする共重合体からなるセメント添加剤およびセメント減水剤以外にも、さらに必要に応じて、従来公知の混和剤を添加してもよく、かかる混和剤としては、例えば、空気連行剤、セメント湿潤剤、膨張剤、防水剤、遅延剤、急結剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、硬化促進剤、充填剤、消泡剤、発泡剤、着色剤、難燃剤、防腐剤、耐水化剤、老化防止剤、安定剤、加硫促進剤、帯電防止剤等が挙げられるほか、微粉末混和材料として、高炉スラグ、ポゾラン、フライアッシュ、シリカフューム、石灰石、CaOやC3 3 CaSO4 などの鉱物を主成分とする膨張材等も用いてもよい。これらの混和剤は、その添加の時期に関しては、特に制限されるものではなく、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする共重合体からなるセメント添加剤およびセメント減水剤のようにあらかじめ練り水に溶解ないし拡散しておく必要性は特になく、従来と同様にして、適宜添加すればよく、その添加量に関してもかかる混和剤の性能を有効に発現し得る範囲内であればよく、従来通りでよい。
【0054】
上述してなる本発明のセメント混和剤は、通常の一般的なモルタル、コンクリート以外にも、高流動コンクリート、水中不分離性コンクリート、吹き付けコンクリート、逆打ちコンクリート、地盤注入(改良)工法、コンクリート成型品、シールド工法などのセメント、モルタル、コンクリートなどに用いることができる。
【0055】
次に、本発明に係るセメント組成物は、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする共重合体からなるセメント添加剤、好ましくは該セメント混和剤およびセメント減水剤を含有するセメント混和剤、セメントおよび水を少なくとも含有してなるものである。なお、本発明に言うところのセメント組成物には、少なくとも、▲1▼上記セメント混和剤、セメントおよび水との配合物であるセメントペースト(本明細書中では、単に、ペーストとも称す)、▲2▼上記セメント混和剤、セメント、細骨材および水との配合物であるセメントモルタル(本明細書中では、単に、モルタルとも称す)、▲3▼上記セメント混和剤、セメント、骨材および水との配合物であって、該骨材として、少なくとも粗骨材を配合してばるもの(例えば、粗骨材を配合してなるものや細骨材と粗骨材の双方を配合してなるものが該当する)であるセメントコンクリート(本明細書中では、単に、コンクリートとも称す)を含むものと解されるのであって、これらに限定されるものではない。
【0056】
ここで、セメントとしては、セメント組成物、具体的にはペースト、モルタルやコンクリートに使用することができるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、普通、早強、超早強、中庸熱、白色等の各種ポルトランドセメント、ビーライト高含有セメント、アルミナセメント、フライアッシュセメント、高炉セメント、シリカセメント、各種混合セメント等が挙げられるほか、石膏などのセメント以外の水硬材料などをも含むものである。
【0057】
上記セメントの配合量としては、使用目的、用途等に応じて適宜決定されるものであるが、通常、コンクリート等のセメント組成物に一般的に望まれる流動性や均一性等の諸特性を具備するには、使用するセメント組成物1m3 あたり、セメントを150〜700kg/m3 、好ましくは200〜650kg/m3 、さらに好ましくは250〜600kg/m3 含有しているのが望ましい。セメントの含有量が150kg/m3 未満であると、セメントが少ないため十分な強度が出なくなる。他方、前記セメントの含有量が700kg/m3 を超える場合には、セメントによる強度はでるが、単位骨材料が減少するため、コンクリート等のセメント組成物全体の強度が十分でない結果となる。
【0058】
また、上記細骨材とは、10mm網ふるいを全部とおり、5mm網ふるいを85重量%以上とおる骨材をいい、具体的には、例えば、川砂、山砂、砕砂、海砂、フライアッシュ、人工軽量骨材等が挙げられ、これらを1種若しくは2種以上適当に組み合わせて利用することができる。
【0059】
上記細骨材の配合量としては、使用目的、用途等に応じて適宜決定されるものであるが、通常、モルタルやコンクリート等のセメント組成物に一般的に望まれる流動性や均一性等の諸特性を具備するには、使用するセメント組成物1m3 あたり、細骨材を500〜1500kg/m3 、好ましくは550〜1200kg/m3 、さらに好ましくは600〜1000kg/m3 含有しているのが望ましい。細骨材の含有量が500kg/m3 未満であると、粗骨材料が多くなり材料分離を起こしやすくなる。他方、前記細骨材の含有量が1500kg/m3 を超える場合には、分離抵抗性がでるため流動性を阻害することになり、また、単位骨材料が減少するため強度も低下することになる。
【0060】
上記粗骨材とは、5mm網ふるいに85重量%以上とまる骨材をいい、具体的には、例えば、川砂利、山砂利、砕石、海砂、栗石、高炉スラグ砕石のほか、天然軽量骨材としての軽砂利、人工軽量骨材等が挙げられ、これらを1種若しくは2種以上適当に組み合わせて利用することができる。
【0061】
上記粗骨材の配合量としては、使用目的、用途等に応じて適宜決定されるものであるが、通常、モルタルやコンクリート等のセメント組成物に一般的に望まれる流動性や均一性等の諸特性を具備するには、使用するセメント組成物1m3 あたり、粗骨材を500〜1500kg/m3 、好ましくは550〜1200kg/m3 、さらに好ましくは600〜1000kg/m3 含有しているのが望ましい。粗骨材の含有量が500kg/m3 未満であると、単位粗骨材料が少なくなり十分な強度がでなくなる。他方、前記粗骨材の含有量が1500kg/m3 を超える場合には、材料分離を起こしやすくなる。
【0062】
さらに、上記練り水の使用量、すなわち単位水量はとりたたて制限はないが、使用するコンクリート1m3 あたりの単位水量120〜200kg/m3 が推奨される。また、上記セメントと練り水の使用量は、水/セメント比=20〜70、好ましくは30〜60の範囲内で調整されることが望ましい。
【0063】
次に、本発明のセメント組成物の調整方法としては、特に制限されるものではなく、従来既知の調製方法が適用できる。具体例をあげれば、セメント組成物としてモルタルないしコンクリートを調製する場合には、例えば、通常、図1(a)に示すように、まず、(1)セメントおよび砂などの細骨材を適当なミキサーに投入して空練りする。これにより、細骨材とセメントとを均一に混合する。
【0064】
(2)次に、練り水、さらに上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする共重合体からなるセメント添加剤やセメント減水剤等を含有する本発明のセメント混和剤を前記(1)の空練りで調製した細骨材/セメントに投入して混練する。当該混練により、均一なモルタルを調製する。以上がモルタルの調製方法である。
【0065】
(3)さらに必要に応じて、砂利等の粗骨材を前記(2)の混練で調製したモルタルに投入してさらに混練することにより、コンクリートを調製することができるものである。
【0066】
本発明では、上述した図1(a)に示す手順によるセメント組成物の調製方法以外にも、セメントと、練り水と、さらに必要に応じて骨材とを練り混ぜた後のセメント配合物(ここでは、セメント混和物以外のセメント組成物を配合したものを指す)に、本発明のセメント混和剤を後添加する方法、混練に用いる練り水の全量または一部に本発明のセメント混和剤を分散または溶解させ、次いでセメント、骨材を混練する方法等を適用することができる。こうした、従来既知の調製方法でもかまわないが、施工性、特に混練時間の短縮を図る観点から、本発明者は、以下に示す調製方法が優れることを見出したものであり、これにつき以下に説明する。
【0067】
好適な本発明のセメント組成物の調製方法は、練り水の一部あるいは全量にセメント減水剤および上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする共重合体からなるセメント添加剤(以下、単にセメント添加剤または増粘剤ともいう)を分散または溶解させて混合系内に投入して混練することを特徴とする。
【0068】
本発明では、上記基本概念に基づき、その調製方法を適当に応用ないし変形することができる。すなわち、好適な本発明のセメント組成物の調製方法の他の実施の形態としては、セメント添加剤およびセメント減水剤をそれぞれ練り水の一部に分散または溶解させてなるセメント添加剤(増粘剤)含有液およびセメント減水剤含有液を同時に混合系内に投入して混練することを特徴とするものである。また本発明に係るセメント組成物の調製方法のさらに他の実施の形態としては、セメント添加剤(増粘剤)を練り水の一部に分散または溶解させてなるセメント添加剤(増粘剤)含有液を混合系内に投入して混練し、次いで、セメント減水剤を練り水の一部に分散または溶解させてなるセメント減水剤含有液を投入してさらに混練することを特徴とするものである。
【0069】
ここで、前記混合系内は、セメントを含有した状態、セメントおよび細骨材を含有した状態、セメント、細骨材および粗骨材を含有した状態またはセメント、細骨材および粗骨材のいずれも含有していない状態のいずれかであれることが望ましいが、これらに限定されるものではない。
【0070】
また、前記混合系内が、セメントを含有した状態、セメントおよび細骨材を含有した状態またはセメント、細骨材および粗骨材を含有した状態の場合には、必要に応じて、該混合系内のこれらの組成物成分を、練り水を該混合系内に投入する前に空練していてもよい。空練りする際には、これらの組成物成分を均一に混合することができればよく、空練りによりこれらの組成物成分を均一な混合物に調製するのに要する空練り時間は、使用する混合機の性能、セメント、骨材(細骨材、粗骨材)やセメント混和物の投入量等にもよるが、通常、5〜60秒程度あれば十分である。
【0071】
また、前記混合系内が、セメントを含有した状態、セメントおよび細骨材を含有した状態またはセメント、細骨材および粗骨材を含有した状態の場合には、さらに必要に応じて、セメント減水剤を除くセメント混和剤の少なくとも1種が混合系内に含有されていてもよい。特に好ましくはセメント減水剤を除くセメント混和剤が固体のセメント添加剤(増粘剤)を含有するセメント混和剤であることが望ましい。
【0072】
一方、前記混合系内が、セメント、細骨材および粗骨材のいずれも含有していない状態の場合には、混合系内に練り水(より具体的には、上記実施の形態に応じたセメント減水剤およびセメント添加剤(増粘剤)を分散または溶解させた練り水、セメント添加剤(増粘剤)含有液およびセメント減水剤含有液、またはセメント添加剤(増粘剤)含有液)と、セメント、細骨材および粗骨材の中の少なくともセメントとを一度に投入して混練することが望ましい。
【0073】
上記したように本発明のセメント組成物の調製方法では、あらかじめ練り水の一部あるいは全量にセメント減水剤、好ましくはセメント減水剤およびセメント添加剤(増粘剤)を分散または溶解させておき、該セメント減水剤(さらにはセメント添加剤(増粘剤))を含む練り水を混合系内に投入することで、非常に短い時間で混練できる点にその特徴を有するものであり、他の要件に関しては、従来既知の調製方法をそのまま適用することができるものである。
【0074】
以下、好適な本発明のセメント組成物の調製方法に関し、図1(b)〜(d)に示す本発明の調製方法の各実施態様の手順を概説した工程図を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれらの具体的な実施態様に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0075】
本発明に係るセメント組成物の調製方法の具体的な1つの実施態様としては、図1(b)に示すように、
(1)セメントおよび砂などの細骨材を適当な混合系内(例えば、ミキサー内)に投入して空練りする。これにより、細骨材とセメントとを均一に混合する。
【0076】
(2)一部あるいは全量にセメント減水剤およびセメント添加剤を分散または溶解させてなる練り水を前記(1)の空練りで調製した細骨材とセメントの混合物中に投入して混練する。当該混練により、均一なモルタルを調製する。
【0077】
(3)次いで、砂利等の粗骨材を混合系内(前記(2)の混練で調製したモルタル中)に投入してさらに混練する。当該混練により、均一なコンクリートを調製するものである。
【0078】
本実施態様は、(2)の混練工程において、一部あるいは全量にセメント減水剤およびセメント添加剤を練り水に分散または溶解させておき、セメント減水剤およびセメント添加剤を含む練り水を投入することで、非常に短い時間で混練できる点にその特徴を有するものの1例である。
【0079】
次に、本発明に係るセメント組成物の調製方法の他の1つの実施態様としては、図1(c)に示すように、
(1)セメントおよび砂などの細骨材を適当な混合系内(例えば、ミキサー内)に投入して空練りする。これにより、細骨材とセメントとを均一に混合する。
【0080】
(2)セメント添加剤、セメント減水剤をそれぞれ別々に分けて練り水の一部に分散または溶解させてなるセメント添加含有液、セメント減水剤含有液を前記(1)の空練りで調製した細骨材とセメントの混合物中に投入して混練する。当該混練により、均一なモルタルを調製する。
【0081】
(3)砂利等の粗骨材を混合系内(前記(2)の混練で調製したモルタル中)に投入してさらに混練する。当該混練により、均一なコンクリートを調製するものである。
【0082】
本実施態様は、(2)の混練において、セメント減水剤、セメント添加剤をそれぞれ練り水の一部に分散または溶解させておき、該セメント減水剤含有液とセメント添加剤含有液を投入することで、非常に短い時間で混練できる点にその特徴を有するものの1例である。
【0083】
次に、本発明に係るセメント組成物の調製方法のさらに他の1つの実施態様としては、
(1)セメント、砂などの細骨材および固体のセメント添加剤を含有するセメント混和物を適当な混合系内(例えば、ミキサー内)に投入して空練りする。これにより、セメントと細骨材と増粘剤とを均一に混合する。
【0084】
(2)一部あるいは全量にセメント減水剤を分散または溶解させてなる練り水を前記(1)の空練りで調製したセメントと細骨材と固体のセメント添加剤を含有するセメント混和物との混合物中に投入して混練する。当該混練により、均一なモルタルを調製する。
【0085】
(3)次いで、砂利等の粗骨材を混合系内(前記(2)の混練で調製したモルタル中)に投入してさらに混練する。当該混練により、均一なコンクリートを調製するものである。
【0086】
本実施態様は、(1)の空練りにおいて、混合系内にさらに固体のセメント添加剤を含有するセメント混和物を加えて均一なセメントと細骨材と固体のセメント添加剤を含有するセメント混和物との混合物を調製しておき、ここに(2)の混練において、セメント減水剤を練り水の一部あるいは全量に分散または溶解させておき、セメント減水剤を含有する練り水を投入することで、非常に短い時間で混練できる点にその特徴を有するものの1例である。
【0087】
次に、本発明に係るセメント組成物の調製方法の具体的なさらにまた他の1つの実施態様としては、図1(d)に示すように、
(1)セメントおよび砂などの細骨材を適当な混合系内(例えば、ミキサー内)に投入して空練りする。これにより、セメントと細骨材とを均一に混合する。
【0088】
(2)セメント添加剤を練り水の一部に分散または溶解させてなるセメント添加剤含有液を前記(1)の空練りで調製したセメントと細骨材との混合物中に投入して混練する。当該混練により、モルタルを調製する。
【0089】
(3)次いで、セメント減水剤を練り水の一部に分散または溶解させてなるセメント減水剤含有液を混合系内(前記(2)の混練で調製したモルタル中)に投入してさらに混練する。当該混練により、均一なモルタルを調製するものである。
【0090】
本実施態様は、(2)の混練において、セメント添加剤を練り水の一部に分散または溶解させてなるセメント添加剤含有液を投入して混練し、次いで(3)の混練において、セメント減水剤を練り水の一部に分散させてなるセメント減水剤含有液を投入することにより、短い時間で混練できる点にその特徴を有するものの1例である。
【0091】
本実施態様においては、(2)の混練工程でのセメント添加剤(増粘剤)含有液の投入から(3)の混練工程でのセメント減水剤含有液の投入までに要する時間としては、5〜30秒で行うことが望ましい。投入間隔が5秒未満の場合には、十分な混練が成されず、いわば上述の他の実施態様の調製方法と一致することになるものであり、30秒を超える場合には、混練時間、特に均一なモルタルを調製するまでの時間の短縮がわずかにとどまる結果となる。
【0092】
上記各実施態様により、混練時間を非常に短くできるとする作用原理は明らかではないが、上記で説明した図1(d)に示す実施態様とは逆に、(2)の混練において、あらかじめセメント減水剤を練り水の一部に分散または溶解させてなるセメント減水剤含有液を投入して混練し、続く(3)の混練において、あらかじめセメント添加剤(増粘剤)を練り水の一部に分散または溶解させなるセメント添加剤(増粘剤)含有液を投入し混練する場合には、上述したような混練時間、特に均一なモルタルを調製するまでの時間の短縮が図れない結果に鑑み、セメント粒子に先に吸着した分散剤を、後から添加したセメント添加剤(増粘剤)が置きかわると、モルタルが一気に増粘し、混練時間がかかると考えられる。
【0093】
次に、上述した各実施態様においては、空練り工程を行うことなく、混練工程を行う事もできるが、この場合には、あらかじめ混合系内(例えば、ミキサー内)にセメントや骨材など組成物成分を投入した後に、セメント減水剤等のセメント混和剤を含有する練り水を投入して混練してもよいほか、これらのセメントや骨材などの組成物と、セメント減水剤等のセメント混和剤を含有する練り水とを一度に混合系内(例えば、ミキサー内)に投入して混練してもよい。
【0094】
さらに、骨材として粗骨材と細骨材をあらかじめセメントと投入し、必要に応じて空練りし、これにセメント減水剤等のセメント混和剤を含有する練り水を投入して混練してもよい。これにより、上記各実施態様におけるモルタルの調製とコンクリートの調製とを1工程で行うことができ、工程の簡略化が図れる。とりわけ、用いる組成物成分の全て、すなわち、セメント、骨材(粗骨材と細骨材)やセメント減水剤を除くセメント混和剤等の組成物と、セメント減水剤等を含有する練り水とを一度に、セメント、細骨材および粗骨材のいずれも含有していない状態の混合系内(例えば、ミキサー内)に投入し混練することもでき、この場合には、1つの混練工程のみで所望のセメント組成物を調製することが可能であり、より工程の簡略化が図れる。
【0095】
また、本発明に係るセメント組成物の調製方法は、上述した図1(b)や(c)に示すようなコンクリートの調製のほか、図1(d)に示すモルタル、さらにはセメントペーストの調製にも適用する事ができる。この場合には、上述した図1(b)や(c)に示す各実施態様において、最終工程である、粗骨材をモルタルに投入して混練する工程を行わずに、その前段階であるモルタルの調製工程までを行うもの、さらには第1工程でセメントのみを用いて次工程の調製工程までを行うセメントペーストの調製にそれぞれ利用することができるものであって、その内容に関しては、既に説明したものより適宜選択できる。同様に図1(d)に示すモルタルやセメントの調製に加えて、た図1(b)や(c)に示す最終工程を適宜行うことで、コンクリートの調製を行うこともでき、その内容に関しては、既に説明したものより適宜選択できる。
【0096】
また、上記混合系内において、これらの組成物に練り水を投入して混練するための手段(装置)としては、セメントと骨材等を空練りし得る能力、さらにはこれら組成物成分にセメント減水剤やセメント添加剤などを含有してなる練り水や粗骨材等を投入して十分に混練し得る能力を有するものであれば、特に制限されるものではなく、従来よりこうしたコンクリート等のセメント組成物の調製に用いられている各種ミキサー(混合機)をそのまま適用することができるものであり、例えば、パン型強制練りミキサー、水平一軸型、水平二軸型、ドラム型、傾胴型、連続式ミキサー等を用いることができる。
【0097】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、これらは例示の目的で挙げたもので本発明の斑を制限するものではない。また、以下において部、%は、それぞれ重量部、重量%を表す。
【0098】
(1)セメント添加剤(増粘剤)の製法
実施例1
滴下ロート2基、攪拌機、窒素導入管、温度計および冷却器を備えたフラスコに、イオン交換水327部、ハイテノールN−08(第一工業製薬株式会社製)4部を仕込み、攪拌下、72℃でハイテノールN−08を完全に溶解させた。内温72℃のまま窒素を緩やかに流し、フラスコ内を窒素置換した。充分に窒素置換した後、滴下ロートより、予め調製しておいたメタクリル酸105部、アクリル酸メチル97.5部、アクリル酸エチル97.5部、1.6%ハイテノールN−08水溶液300部を強撹拌して得たプレエマルション混合物中の30部を投入し、5分撹拌した。次いで、5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液1部および1%過硫酸アンモニウム水溶液4部を投入し、内温72℃のまま20分間撹拌を続け初期重合を行った。これに上記プレエマルション混合物の残り570部と1%過硫酸アンモニウム64部を2時間にわたって滴下した。滴下終了後、温度を80℃に上げ1時間撹拌を続けた後、冷却して重合を完了し、不揮発分濃度30.8%の水性樹脂分散体(1)を得た。
【0099】
実施例2
実施例1に記載のプレエマルション混合物に代えて、メタクリル酸75部、アクリル酸メチル120部、アクリル酸エチル105部、1.6%ハイテノールN−08水溶液300部を強撹拌して得たプレエマルション混合物を用いる以外は実施例1と同様の操作で不揮発分濃度30.9%の水性樹脂分散体(2)を得た。
【0100】
比較例1
滴下ロート2基、攪拌機、窒素導入管、温度計および冷却器を備えたフラスコに、イオン交換水327部、ハイテノールN−08(第一工業製薬株式会社製)4部を仕込み、攪拌下、72℃でハイテノールN−08を完全に溶解させた。内温72℃のまま窒素を緩やかに流し、フラスコ内を窒素置換した。充分に窒素置換した後、滴下ロートより、予め調製しておいたメタクリル酸105部、アクリル酸エチル195部、1.6%ハイテノールN−08水溶液300部を強撹拌して得たプレエマルション混合物中の30部を投入し、5分撹拌した。次いで、5%亜硫酸水素ナトリルム水溶液1部および1%過硫酸アンモニウム水溶液4部を投入し、内温72℃のまま20分間撹拌を続け初期重合を行った。これに上記プレエマルション混合物の残り570部と1%過硫酸アンモニウム64部を2時間にわたって滴下した。滴下終了後、温度を80℃に上げ1時間撹拌を続けた後冷却して重合を完了し、不揮発分濃度30.8%の比較水性樹脂分散体(1)を得た。
【0101】
比較例2
比較例1に記載のプレエマルション混合物に代えて、メタクリル酸120部、アクリル酸メチル72部、アクリル酸エチル108部、1.6%ハイテノールN−08水溶液300部を強撹拌して得たプレエマルション混合物を用いる以外は比較例1と同様の操作で不揮発分濃度30.8%の比較水性樹脂分散体(2)を得た。
【0102】
尚、下記表1に、確認のため、上記実施例1〜2および比較例1〜2で得られた水性樹脂分散体および比較水性樹脂分散体の製造に用いたモノマー組成につき、簡単にまとめて表示した。
【0103】
【表1】
Figure 0004118375
【0104】
(2)上記(1)で得られたセメント添加剤を含有するセメント混和剤を用いたセメント組成物(コンクリート)の調製方法
実施例3〜4および比較例3〜4
セメントとして普通ポルトランドセメント(秩父小野田セメント、比重3.16)、細骨材として大井川系産陸砂(比重2.62、FM2.71)、粗骨材として青梅産硬質砂岩砕石(比重2.64、MS20mm)を用いた。
【0105】
セメント減水剤としては、セメント分散剤として市販されているナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(花王株式会社製、マイティー150)を1.2重量%対セメント重量を固定して用い、セメント添加剤(以下、増粘剤ともいう)としては、上記実施例1〜2および比較例1〜2で得られた水性樹脂分散体(1)〜(2)および比較水性樹脂分散体(1)〜(2)をそれぞれ用いた。また、空気量を調整するために、市販の消泡剤を用いた。
【0106】
セメント組成物(ここでは、コンクリート)の配合条件は、単位セメント量500kg/m3 、単位水量165kg/m3 および細骨材率45%とした。
【0107】
上記の原材料およびセメント組成物(ここでは、コンクリート)の配合条件下に、下記の手順にしたがって、それぞれコンクリートを調製した。
【0108】
(1) 細骨材44.2kgおよび普通ポルトランドセメント25.0kgを50リットルのパン型強制練りミキサーに投入し10秒間空練りした。
【0109】
(2) 下記表2に示した添加量のセメント分散剤、セメント添加剤(増粘剤)を含む練り水8.11kgを上記(1)で調製した細骨材/セメントに投入し混練を行って、モルタルが均一になるまでの時間を測定した。それぞれ下記表2に示す混練時間でモルタルが均一になった。モルタルが均一になった後さらに継続してそれぞれ30秒混練を行った。
【0110】
(3) その後、粗骨材44.2kgを上記(2)で調製したモルタルに投入し、さらに90秒混練を行い、それぞれのコンクリートを製造した。
【0111】
(3)コンクリートの性能評価
上記コンクリートの調製方法の(1)〜(3)に示す手順により製造したそれぞれのコンクリートにつき、スランプ値及びフロー値を測定した。
【0112】
−測定方法−
スランプ値およびフロー値の測定は、日本工業規格(JIS A 1101、1128)に準拠して行なった。結果を表2に示す。
【0113】
【表2】
Figure 0004118375
【0114】
上記実施例1〜2および比較例1〜2からそれぞれ得られた水性樹脂分散体(1)〜(2)と比較水性樹脂分散体(1)〜(2)を比較すると、モルタル混練時間において、比較水性樹脂分散体(1)を用いた比較例3では147秒、比較水性樹脂分散体(2)を用いた比較例4では165秒であるのに対して、水性樹脂分散体(1)を用いた実施例3では25秒、水性樹脂分散体(2)を用いた実施例4では58秒と、その混練時間を大幅に低減できることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るセメント組成物の調製方法に関する手順を概説した工程図である。このうち、図1(a)および図1(e)は、従来既知のコンクリートないしモルタルの代表的な調製方法を適用した場合の各実施態様ごとの手順を概説した工程図であり、図1(b)〜(d)は、本発明に係るセメント組成物の調製方法を適用した場合の各実施態様ごとの手順を概説した工程図である。

Claims (5)

  1. アクリル酸メチルと、アクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとからなる少なくとも2種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を、全単量体中に50重量%以上含有する単量体成分であって、
    前記アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素原子数が2〜12のもの、または前記メタクリルアルキルエステルのアルキル基の炭素原子数が1〜12のものであって、
    かつ該アクリル酸メチルの量が、アクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの量と等量以上である単量体成分を重合して得られる、GPC法による数平均分子量10万〜1000万の共重合体からなるセメント添加剤
  2. 前記セメント添加剤が、アクリル酸メチルと、アクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとからなる少なくとも2種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体と、(メタ)アクリル酸とを含み、該(メタ)アクリル酸が全単量体中に0〜50重量%含有する単量体成分を重合して得られる請求項1に記載のセメント添加剤
  3. 前記共重合体が、乳化重合により得られたものである請求項1または2記載のセメント添加剤。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のセメント添加剤とセメント減水剤とを含有してなることを特徴とするセメント混和剤。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載のセメント添加剤、セメントおよび練り水を少なくとも含有してなるセメント組成物であって、
    前記セメント添加剤を前記セメント重量に対して乾燥樹脂ないし固形分換算で0.001〜5%含有してなるセメント組成物
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