JP4117542B2 - 皮膚糸状菌に対するモノクローナル抗体,該抗体を産生するハイブリドーマおよび該抗体の生産方法 - Google Patents

皮膚糸状菌に対するモノクローナル抗体,該抗体を産生するハイブリドーマおよび該抗体の生産方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は皮膚糸状菌に対するモノクローナル抗体、該抗体を産生するハイブリドーマに関するもので、本抗体を用い皮膚糸状菌、特に白癬菌の新規な分離・検出手段を提供することができる。
【0002】
【従来の技術】
水虫は白癬菌と総称される皮膚糸状菌の皮膚角化層における感染・増殖による疾患である。白癬菌は主にトリコフィトン属の総称である。例えばTrichophyton rubrum(以下T.rubrum)、Trichophyton mentagrophytes(以下T.mentagrophytes)の2種で外来水虫患者の約99%を占めているとの報告がある(例えば、非特許文献1参照。)。また現在日本で水虫の原因となる白癬菌の種類は約10種類といわれており、T.rubrum、T.mentagrophytes以外にもMicrosporum canis(以下M.canis)、Epidermophyton floccosum(以下E.floccosum)などトリコフィトン属以外の皮膚糸状菌も含まれている。またネコ、ハムスターなど愛玩動物を介したM.canis、T.mentagrophytes感染より白癬になるケースも近年増えつつある。
【0003】
水虫は感染部に、炎症と激しい掻痒感を引き起こす。皮膚科外来の約10%が水虫の患者で占められている。菌の感染部は主に足の趾間であるが、陰部や体部などにも感染し、陰部白癬や体部白癬と呼ばれている。頻度は、足が全体の80%を占める。
【0004】
水虫の診断は、従来、10乃至20%水酸化カリウム溶液により患者皮膚より採取した角化層を溶解させ、顕微鏡下で菌糸を確認する方法により行われる。さらに同定する場合は適切な培地、例えばクロラムフェニコール加サブローブドウ糖寒天培地上で2〜3週間室温または30℃で培養の後、形態観察を行う。
【0005】
検査の分野では、抗体の抗原特異的に結合する性質を応用し多くの検査方法・検査手段・濃縮方法が考案・利用されている。例えば(1)ホルマリンなどで固定した組織切片に抗原特異抗体を作用させ、結合した該抗体を検出し組織中の抗原局在を調べる方法(免疫組織染色)(例えば、非特許文献2参照。)(2)血球やラテックス粒子に特異抗体を固定化し試料中の抗原存在有無を凝集有無により判別するもの(凝集法)や、(3)特異抗体を固定化した不溶性担体と抗原を含む液体試料とを一定時間反応させB/F分離し、さらに別の標識化抗体と一定時間反応させ形成した標識化抗体−抗原−固定化抗体複合体を検出するもの(サンドイッチイムノアッセイ)(例えば、非特許文献3参照。)(4)移動展開可能な多孔性担体上で標識化抗体と反応させた測定対象物―標識化抗体複合体を該多孔性担体移動展開層途中に設けられた固定化抗体層にて捕捉させ形成する標識化抗体−抗原−固定化抗体複合体を検出するもの(イムノクロマト法)(例えば、特許文献1参照。)(5)被検試料と特異抗体固定化粒子担体とを反応させて抗体と結合する菌を粒子担体上の一部位に濃縮捕捉するもの(例えば、特許文献2参照。)などが知られている。
【0006】
またそれら分析に使用するカンジダやアスペルギルス、サッカロマイセスなど真菌に対する抗体も種々作製されている(例えば、特許文献3〜5など参照。)。またカンジダやアスペルギルスの真菌細胞壁上に発現している(1→3)−β−D−グルカンを特異的に認識する抗体も作製されている(例えば、特許文献6参照。)。
【0007】
皮膚糸状菌に関するモノクローナル抗体が開示されている(例えば、非特許文献3参照。)。それによるとTrichophyton tonsuransアレルゲンIを抗原としてモノクローナル抗体を作成し、阻害イムノアッセイや2種の異なるモノクローナル抗体を使ったサンドイッチイムノアッセイを検討し、Trichophyton tonsurans(以下T.tonsurans)のみならずT.rubrumやT.mentagrophytesとの交差反応を認めたとの記載がある。また同様にT.tonsurans抽出物から精製されたProteinIVを抗原としてモノクローナル抗体を作製し、T.tonsuransのみならずT.rubrumやT.mentagrophytesの培地ろ過物中に反応するproteinIV成分を認められたことが開示されているが、その他Candida albicans、Aspergillus mixなどの皮膚テスト用抽出物中には認められなかったと開示されている(例えば、非特許文献4参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−35429号公報
【特許文献2】
米国特許第5695946号明細書
【特許文献3】
特開昭59−186925号公報
【特許文献4】
特開59−186926号公報
【特許文献5】
特開平07−250676号公報
【特許文献6】
特再平08−806858号公報
【非特許文献1】
日本医真菌学会疫学調査委員会,「1992年次皮膚真菌症疫学調査成績」,日本医真菌学会雑誌,1995年,第36巻,p.87−95
【非特許文献2】
福井三郎編,「モノクローナル抗体」(1986年3月10日第1刷発行),講談社サイエンティフィック,p.78
【非特許文献3】
Deuellら,「J.Immunol.」,1991年,第147巻,p.96−101
【非特許文献4】
Woodfolkら,「J.Immunol.」,1996年,第156巻,p.1695−1701
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
足の趾間の掻痒感と水泡形成などで患者自身の判断で水虫と判断して、市販の薬を使用することも多いと思われる。しかし、足の趾間にこのような掻痒感や炎症をきたす疾患は水虫だけではない。例えばアトピー性皮膚炎も水虫と似たような症状を引き起こす。重要な点はこのような疾患の治療は、水虫の治療とは全く異なっていることである。このため間違った自己診断に基づく治療により炎症がながびき、なかなか治らないケースも多い。
簡易に水虫かそれ以外の疾患かを区別できる方法が望まれるが白癬は上述のように皮膚科領域で非常に患者の多い病気にも関わらず、白癬原因菌の簡易検出によい方法はない。従来から行われている水酸化カリウム溶液により患者皮膚より採取した角化層を溶解させ、顕微鏡下で菌糸を確認する方法は顕微鏡と加熱用アルコールランプが備えた施設であれば検査できる方法であるが、熟練を必要とし、時として菌糸と塵との鑑別を見誤ると鏡検で菌を見逃すこともある。また培養検査法は見逃しの少ない方法であるが時間がかかるのが難点である。特異抗体を使わない水虫の検出法として特開2001−187750に硫酸銅溶液を用い水虫菌感染部位検知方法が記載されているが、我々が検討した範囲では爪白癬では健常者と有意差は認められなかった。
白癬原因菌に特異的な抗体を前述の従来技術に適用すれば、目的とする簡易検出は比較的容易と考えられるが、未だ実用に至っていない。白癬原因菌は主にトリコフィトン属であるが他の属の菌種も含まれており、これら属を横断的に反応しうる抗体は知られていない。一方単純に検出の菌種を広げるた目的で菌特異性の異なる複数の抗体を混合使用すれば特異性面は解決できるが、抗体それぞれで保存安定至適条件や抗体保存安定性が異なることが多く、製造後の経時変化により特性変化する可能性があり実際に製品化を考えた場合好ましいとはいえない。よって本発明の課題は、皮膚糸状菌の検出に有用な、とりわけ白癬原因菌の異なる属に渡る特異性を有するモノクローナル抗体を提供することにある。
【0010】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、トリコフィトンルブルムアレルゲンを抗原としてマウスを免疫し、脾臓細胞をマウスミエローマ細胞株と融合させてハイブリドーマを作製し、その中から免疫原に反応しかつ各種皮膚糸状菌に反応する抗体をスクリーニングしたところ、T.rubrum、T.mentagrophytesのみならず、M.canis、E.floccosumにも反応性を有するモノクローナル抗体の存在を初めて見い出し、本発明に到達した。
【0011】
即ち本発明は、以下の(1)から(4)に関する。
(1)以下に示す皮膚糸状菌のうち少なくとも3種以上と反応性を有することを特徴とするモノクローナル抗体。
Trichophyton rubrum
Trichophyton mentagrophytes
Microsporum canis
Epidermophyton floccosum
(2)上記(1)記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ
(3)受託番号FERM P-19057として寄託されている上記(2)のハイブリドーマ。
(4)上記(3)記載のハイブリドーマを利用して抗体あるいは抗体断片を得ることを特徴とする抗体生産方法
【0012】
本発明で記載した皮膚糸状菌は白癬の起因菌である。例えばTrichophyton rubrum、Trichophyton mentagrophytes、Trichophyton verrucosum、Trichophyton tonsurans、Trichophyton violaceum、Trichophyton glabrum、Trichophyton shoenleinii、Microsporum canis、Microsporum gypseum、Epidermophyton floccosum、Arthroderma vanbreuseghemii、Arthroderma simii、Arthroderma benhamiaeが挙げられる。
【0013】
本発明で記載した皮膚糸状菌T.rubrum、T.mentagrophytes、M.canis、E.floccosumは、患者や生活環境などから分離同定されたものでも、公的機関から入手したものでもよい。公的機関としてはたとえばアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)や独立行政法人製品評価技術基盤機構・生物遺伝資源センターが挙げられる。これら菌を増やすには適当な培地で培養する。培養に使用する培地は皮膚糸状菌で一般的に使用されているサブロー・ブドウ糖寒天培地を用いてもよいし、公的機関で公開されている該菌培養方法記載の培地に従ってもよい。培養温度は10乃至40℃好ましくは20乃至30℃であり、好気環境下静置して培養することが望ましい。菌の種類を同定は公知の分離同定方法、例えば カビの分離・培養と同定 宇田川俊一・室井哲夫/訳 1983年 医歯薬出版、真菌症遺伝子診断 槙村浩一/編 メジカルセンス 1997年 などに記載された方法により分離同定することができる。
【0014】
モノクローナル抗体作製に使用する免疫用抗原およびスクリーニング用抗原は、上記菌株を培養して得られた菌体で水性縣濁液を調製することにより得られる。縣濁に使用する液は特に限定しないがpH5〜9の範囲の緩衝液が好ましい。縣濁前か縣濁後に、安定化剤として例えばグリセロールやフェノールなどを適量添加してもよい。縣濁は菌体を適当な試験管中で物理的に十分振とうさせて分散させてもよいが、ホモジナイザーを使った方法や超音波破砕やビーズ破砕など従来から知られる方法により菌体を強制破砕してもよい。得られた縣濁液はそのまま免疫に供してもよいし、適当なメッシュのフィルターでろ過、あるいは遠心分離により調製したものを使用してもよい。また同様の調製方法で得られた上記菌の水性縣濁液であれば市販品、例えばT.rubrumアレルゲンやT.Mentagrophytesアレルゲンを抗原として利用してもよい。
【0015】
本発明のモノクローナル抗体およびハイブリドーマは、公知のモノクローナル抗体作成法(単クローン抗体実験マニュアル 富田朔ニ・安東民衛/編 講談社サイエンティフィク 1987年、免疫研究法ハンドブック 藤原大美・淀井淳司/編 中外医学社 1996年、組織培養の技術[第3版]応用編 日本組織培養学会/編 朝倉書店 1999年)に従い、例えば以下のような手順で作製することができる。
【0016】
動物の免疫に使用する被免疫動物としては、公知のハイブリドーマ作製法に用いられる哺乳動物を使用することができる。具体的には、例えばマウス、ラット、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマなどである。ただし摘出した抗体産生細胞と融合させるミエローマ細胞の入手容易性などの観点からは、マウスおよびラットを被免疫動物とするのが好ましい。また、実際に使用するマウスおよびラットの系統は特に制限はなく、マウスの場合には、例えば各系統A,AKR,BALB/c、BDP、BA、CE、C3H、57BL,C57BR、C57L、DBA、FL、HTH、HT−1、LP、NZB、NZW、RF、RIII、SJL、SWR、WB、129等が、またラットの場合には、たとえば、Low、Lewis、Spraque、Daweley、ACI、BN、Fischerなどを用いることができる。このうち、後述のミエローマ細胞との融合適用性を勘案すれば、マウスではBALB/c系統が、ラットではlow系統が被免疫動物として特に望ましい。なお、これらマウスまたはラットの免疫時の週令は5〜12週令が好ましい。
【0017】
動物の免疫は、免疫原である上記菌縣濁液を動物の皮内、腹腔内またはに投与することによって行うことができる(生体内免疫)。投与スケジュールは被免疫動物の種類、個体差により異なるが、一般には、抗原投与回数2〜6回、投与間隔1〜2週間が好ましい。また抗原の投与量は動物の種類、個体差等により異なる。一般には10―100μg/匹・回程度といわれているが、投与量を変えて免疫を実施し血清中や血漿中抗体価の最も高い被免疫動物を選択することもできる。投与する際はアジュバントとよばれる免疫活性化物質と共に投与してもよい。たとえばアジュバントとして、フロイント完全アジュバンド、フロイント不完全アジュバント、CpG DNA,ムラミルジペプジド、リポポリサッカライドなどが挙げられる。また動物の免疫法として上述の方法の代わりに生体外免疫法と呼ばれる方法、具体的にはあらかじめ脾臓細胞またはリンパ細胞を無菌的に取りだした後、アジュバンド物質、免疫原とともに動物培養用培地中炭酸ガス存在下で2〜7日間培養することで実施してもよい。
【0018】
細胞融合に際して、生体内免疫の場合では上記の抗原投与スケジュールの最終免疫日から1〜5日後に被免疫動物から抗体産生細胞を含む脾臓細胞またはリンパ細胞を無菌的に取り出す。これらの脾臓細胞またはリンパ細胞からの抗体産生細胞の分離は、公知の方法に従って行うことができる。生体外免疫の場合は免疫原と共に培養した細胞を引き続き用いることができる。
【0019】
細胞融合には上記の抗体産生細胞とミエローマ細胞を用いる。このミエローマ細胞には特段の制限はなく、公知の細胞株から適宜に選択して用いることができる。ただし、融合細胞からハイブリドーマを選択する際の利便性を考慮して、その選択手続きが確立しているHGPRT(Hypoxanthine-guanine phosphoribosyl transferase)欠損株を用いるのが好ましい。すなわち、マウス由来のX63-Ag8(X63),NS1-Ag4/1(NS-1),P3X63-Ag8.U1(P3U1),X63-Ag8.653(X63.653),SP2/0-Ag14(SP2/0), MPC11-45.6TG1.7(45.6TG),F0,S149/5XX0,BU.1等、ラット由来の210.RSY3.Ag.1.2.3(Y3)等、ヒト由来のU266AR(SK0-007),GM1500・GTG-A12(GM1500),UC729-6,LICR-LOW-Hmy2(Hmy2), 8226AR/NIP4-1(NP41)などである。
【0020】
抗体産生細胞とミエローマ細胞との融合は、公知の方法に従い、細胞の生存率を極度に低下させない程度の条件で適宜実施することができる。そのような方法は、例えば、ポリエチレングリコールなどの高濃度ポリマー溶液中で抗体産生細胞とミエローマ細胞とを混合する化学的方法、電気的刺激を利用する物理的方法などを用いることができる。
【0021】
融合細胞と非融合細胞の選択は、例えば、公知のHAT(ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン)選択法により行うのが好ましい。この方法は、アミノプテリン存在下で生存し得ないHGPRT欠損株のミエローマ細胞を用いて融合細胞を得る場合に有効である。すなわち、未融合細胞および融合細胞をHAT培地で培養することにより、アミノプテリンに対する耐性を持ち合わせた融合細胞のみを選択的に残存させ、かつ増殖させることができる。HAT培地や後述のクローニングなど細胞培養に使用する培地は、公知のものを使用すればよく、例えばRPMI1640、DMEM、eRDF、IMDMなどが使用できる。同時に動物血清や増殖因子、コンディションドメディウム、抗生物質等、蛋白質などを添加してもよいが、限界希釈などでクローニングを行う場合はこれらを組み合わせて添加することが好ましい。動物血清であれば例えばウシ胎児血清を1乃至20%添加してもよいし、増殖因子であれば例えばIL−6、インシュリン、エタノールアミン、セレン、2メルカプトエタノール、ピルビン酸、非必須アミノ酸類を添加してもよいし、コンデションメディウムであれば例えば胸腺細胞培養後の培養上清5%乃至20%を添加してもよいし、抗生物質であれば例えばゲンタマイシン、カナマイシン、ストレプトマイシン、ペニシリンを添加してもよいし、蛋白であれば例えばウシ血清アルブミン、カゼイン、トランスフェリンを添加してもよい。細胞を培養する温度は細胞が増殖する温度であればよいが例えば37℃でおこなうことができる。培地中に炭酸水素ナトリウムを加える場合には炭酸ガス存在下例えば培地中のpHが中性となる炭酸ガス5%乃至10%で培養するのが好ましい。
【0022】
目的とするモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞のスクリーニングは、公知の酵素免疫検定法(EIA:Enzyme Immunoassay)、放射線免疫検定法(RIA:Radio Immunoassay)、蛍光抗体法、免疫染色法などにより行うことができる。
【0023】
EIAやRIAでスクリーニングを実施する場合、スクリーニングに使用する抗原は免疫原として使用した菌水性縣濁液あるいはアレルゲン溶液を使用することができる。固相への抗原の固定化は公知の方法に従い、例えばダルベッコのリン酸生理緩衝液(PBS(−))や0.05M 炭酸緩衝液にて希釈した菌縣濁液を2〜40℃の範囲で30分ないし一晩固相と接触させてもよいし、グルタルアルデヒドやカルボジイミドといった架橋試薬を使用し共有結合的に固相表面の官能基と結合させてもよい。固相の材質は公知のものを使用することができ、例えばポリスチレン、ガラス、シリカ、セルロース、ポリビニル、ナイロン、ニトロセルロース、PVDFなどが挙げられる。抗原を結合後、非特異的な蛋白吸着を抑える目的で他の蛋白・界面活性剤やポリマー・血清などの含む溶液を固相に接触させるブロッキング工程を実施することが好ましい。ブロッキングに使用する蛋白質として、例えば牛血清アルブミン、カゼイン、ゼラチン、オボアルブミンが挙げられ、0.1乃至10%溶液を調製し使用することができる。ブロッキングに使用する界面活性剤やポリマーとして、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(TWEEN20)、ポリビニルアルコールなどが挙げられ、0.01乃至0.5%溶液を調製し使用することができる。ブロッキングに使用する血清として、例えば牛胎児血清、新生牛血清、ウマ血清、ヤギ血清、ウサギ血清、ラット血清、モルモット血清、ブタ血清、マウス血清が挙げられ、0.5%乃至100%溶液を使用することができる。血清や蛋白をブロッキングに使用する場合は免疫動物とスクリーニングに使用する特異抗体検出用ニ次抗体の交差特異性を考慮して選択使用することが好ましく、たとえばマウスモノクローナル抗体産生ハイブリドーマをスクリーニングする場合には牛血清アルブミン溶液などマウス由来でない蛋白含有溶液でブロッキングを実施し、ウシ抗体に交差反応性を示さないか、もしくはほとんど示さない2次抗体を使い検出することが好ましい。ブロッキングは例えば2℃乃至40℃の範囲で行うことができる。時間は例えば30分乃至1日間行うことができるが、ブロッキングに使用する溶液に適切な防腐剤、例えば0.05%アジ化ナトリウムを添加しておき、ブロッキング後にそのまま保存することもできる。
【0024】
蛍光抗体法や免疫染色法でスクリーニングに使用する標本は、あらかじめ菌を塗沫し、固定し、水洗後さらに必要に応じてブロッキングと洗浄を行ったスライドグラスを使用できる。また菌を塗布することなく培養菌塊をホリマリン固定パラフィン包埋し、公知の方法で組織標本切片を調製することもできる。
【0025】
複数種の菌に対する反応性を有する抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングは、確認したい各菌それぞれに反応する抗体産生の有無を検知して実施できる。
【0026】
例えばRIAやEIAでスクリーニングを行うのであればT.rubrum、T.mentagrophytes、M.canis、E.floccosumの各種菌抗原をそれぞれ単独で固相化した固相を用意し、適度に希釈した同一ハイブリドーマ培養上清試料を同固相と反応させ、B/F分離後さらに標識ニ次抗体を反応させ、さらにB/F分離後固相に残った標識二次抗体を検出し、各抗原間の反応性を比較し3種類以上の菌と反応性が確認できたものを候補として選抜してもよい。また例えばT.rubrum、T.mentagrophytes、M.canis、E.floccosumのうち1種または2種以上の菌種抗原を固相化した抗原を用意し、適度に希釈した同一ハイブリドーマ培養上清試料を同固相と反応させ、B/F分離後さらに標識ニ次抗体を反応させ、さらにB/F分離後固相に残った標識二次抗体を検出し、反応性が確認できたものを第一スクリーニング候補として選抜し、その後選抜された集団の培養上清を試料としてEIA,RIA,蛍光抗体法、免疫染色法などの方法でT.rubrum、T.mentagrophytes、M.canis、E.floccosumとの反応性を検討し、二次スクリーニング選抜を行ってもよい。一次スクリーニングと二次スクリーニングは引き続き実施してもよいし、一次スクリーニングの後にクローニングを実施し、細胞として単一集団とした後に二次スクリーニングを実施してもよい。
【0027】
また例えば免疫染色法にてスクリーニングを行うのであればT.rubrum、T.mentagrophytes、M.canis、E.floccosumの各種菌をそれぞれ単独で固相化した標本を用意し、適度に希釈した同一ハイブリドーマ培養上清試料を同標本と一定時間反応させ、洗浄後さらに酵素標識ニ次抗体を反応させ、さらに洗浄後標本上に残った標識二次抗体の有無を色原体である酵素基質を標本上に接触させて標本上の染色性を各種菌に対する標本間で比較し3種類以上の菌で反応性が確認できたものを候補として選抜してもよい。
【0028】
スクリーニングにより選択されたハイブリドーマ細胞は、メチルセルロース法、軟アガロース法、限界希釈法などの公知の方法によりクローニングし、抗体産生に用いる。
【0029】
以上の通りの方法によって得たハイブリドーマ細胞は、液体窒素中または−80℃以下の冷凍庫中に凍結状態で保存することができる。細胞凍結時の細胞濃度は1x106/ml乃至1x107/mlの範囲が好ましく、凍結時安定化剤として培地に5乃至10%(v/v)ジメチルスルホキシドを添加してもよい。
【0030】
本発明の抗体生産方法は上記の方法で作製したハイブリドーマ細胞を公知の方法で培養することによって所望のモノクローナル抗体を得ることができる。例えばマウスに免疫して作成したハイブリドーマであれば、あらかじめプリスタン等の鉱物油を投与したマウスの腹腔に該細胞を移植すると1乃至3週間でモノクローナル抗体を含んだ腹水が得られる。また例えばハイブリドーマを培地中で培養するとハイブリドーマからモノクローナル抗体が分泌され、該抗体を含んだ培養上清が得られる。必要に応じて該抗体を含んだ腹水や培養上清は公知の抗体精製手法でより純度の高いモノクローナル抗体を得ることができる。
【0031】
また本発明の抗体生産方法は上述のハイブリドーマで発現している抗体をコードする遺伝子あるいは遺伝子断片を公知の技術で取得し、公知の遺伝子組換え技術により発現ベクターを組み込んだ形質転換体を培養することにより所望のモノクローナル抗体を得ることができる。抗体生産により抗体が形質転換体内に蓄積される場合は公知の方法により形質転換体を回収し破砕することにより抗体を含んだ破砕液が得られる。抗体生産により形質転換体を培養した培地中に抗体が分泌される場合には形質転換体培養により該抗体を含んだ培養上清が得られる。必要に応じて該抗体を含んだ破砕液や培養上清は公知の抗体精製方法でより純度の高いモノクローナル抗体を得ることができる。
また本発明の抗体生産方法は上述のハイブリドーマで発現している抗体をコードする遺伝子あるいは遺伝子断片を公知の技術で取得し、該抗体遺伝子あるいは遺伝子断片から結合活性を有する蛋白部分をコードするメッセンジャーRNAを公知の方法で合成し公知の無細胞蛋白合成方法により抗体生産することもできる。抗体生産により該抗体を含んだ蛋白合成反応液が得られる。必要に応じて該抗体を含んだ蛋白合成反応液は公知の抗体精製方法でより純度の高いモノクローナル抗体を得ることができる。
【0032】
抗体精製方法として例えば、硫安塩析、カラムクロマトが挙げられる。カラムクロマトに使用できる樹脂担体として例えば陰イオン交換樹脂やプロテインAやプロテインG、ProteinLなどのアフィニティクロマト樹脂、ハイドロキシアパタイト樹脂、疎水クロマト樹脂などの抗体吸着性のあるものや、架橋デキストラン樹脂やアガロース樹脂など分子量で樹脂内移動度の異なることを利用したゲルろ過担体が挙げられる。これら精製操作を行う前にモノクローナル抗体のサブタイプを調べておき適切な精製手段を選択することが望ましい。精製後の抗体は透析などの方法でpH中性の緩衝液にバッファー交換を行うことが好ましく、pH中性の緩衝液として例えば生理的食塩濃度のリン酸緩衝液(PBS(−))や生理的食塩濃度のトリス緩衝液(TBS)を用いることができる。本緩衝液のpHは5.5〜8.5の間が好ましい。
【0033】
このようにして得られたモノクローナル抗体は溶液状態や凍結状態で保存することができる。液状で保存する場合は防腐剤を添加したり、0.22μmメッシュの滅菌フィルターなどで無菌ろ過後滅菌容器中に保存することが好ましい。防腐剤として例えば0.05%アジ化ナトリウムを添加することができる。容器の滅菌方法は公知の方法で実施すればよく、例えばγ線照射滅菌、UV照射滅菌、オートクレーブ滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌などが挙げられる。保存容器は保存中抗体と反応しない不活性な素材を使用したものが使用でき、例えば、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレンである。抗体の結合活性を損なわない方法であれば保存容器表面に吸着しないよう表面加工を行った容器を使用してもよい。液状での保存温度は凍結しない温度であればよいが、蛋白変性を抑えるためできるだけ低温であることが好ましく、より好ましくは2乃至10℃である。また凍結を防止することのできる濃度で凍結防止剤を添加するとさらに低温で保存することもでき、例えば終濃度50%のグリセロールを添加すると−20℃でも凍結することなく液状で保存することができる。凍結状態で保存する場合は−20℃以下、より好ましくは−30℃以下で保存することが好ましい。保存時の抗体濃度は沈殿を生じない濃度で設定することができるが、好ましくは0.1乃至5mg/mlである。また安定化剤として蛋白質、水溶性ポリマー高分子、界面活性剤、糖類、糖アルコールを添加することもできる。安定化蛋白質の例としてウシ血清アルブミンやゼラチンなどが挙げられ、保存中沈殿が生じない濃度で添加することができる。濃度範囲としてより好ましくは0.1乃至5mg/mlである。
【0034】
【実施例】
以下に実施例を示してこの発明を詳細かつ具体的に説明するが、この発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1:抗皮膚糸状菌モノクローナル抗体の作成
(1)皮膚糸状菌の培養:財団法人発酵研究所より分与された皮膚糸状菌Trichophyton rubrum(IFO番号9185、32409)、Trichophyton mentagrophytes(IFO番号6202、32410)、Microsporum canis(IFO番号32463)、Epidermophyton floccosum(IFO番号32461)は所定の方法でアンプルから復元し、サブローデキストロース寒天スラント(ベクトンディキンソン社)に接種し、室温で1週間培養した。
(2)抗原溶液の調製:Trichophyton rubrumアレルゲン(20000PNU/ml:1PNU(PROTEIN NITROGEN UNIT)は1.0x10-6gのリンタングステン酸沈殿物を生ずるタンパク性窒素を示す。GREER LABORATORIES,INC社)をリン酸緩衝生理食塩水(以下 PBS(−))にて希釈し、10000PNU/ml抗原液(以下抗原液H)とと1000PNU/ml抗原液(以下抗原液L)を2種調製した。
(3)マウスの免疫:フロインド完全アジュバンド500μLに上記2種の抗原液それぞれで500μLを混合・エマルジョンとし、各エマルジョンを200μL/匹でBALB/cA ♀5週令2匹づつ計4匹腹腔に注射した。(この日を0日目とする。)14日目、21日目、28日目に上述と同様に各抗原液400μLとフロイント不完全アジュバンド400μLを混合・エマルジョンとし、そのうちの100μLをマウス腹腔に注射した。
(4)マウス血清の取得:32日目に生存していたマウス(抗原液Hで調製したエマルジョンを腹腔注射したマウス個体1匹(H−#1)、抗原液Lから調製したエマルジョンを腹腔注射したマウス個体2匹(L−#1、L−#2))から尾より血液を採取した。血液は室温30分放置後、凝固した血餅を3000RPM10分の遠心操作により分離し、血清を取得した。
(5)ELISAによる血清抗体価の確認:採取した血清はPBS(−)で1000倍希釈から128000倍希釈まで希釈を行い、試料として用いた。Trichophyton rubrumアレルゲンをPBS(−)で200PNU/mlとなるよう希釈し、96穴ELISAプレート(#9018 コーニング社)の各ウエルにに50μLづつ分注、室温1時間放置し、プレートに抗原を固相化した。ウエル内の液体を除去後、次いで蒸留水で4倍に希釈したブロックエース(雪印乳業)を300μLづつ各ウェルに分注し、室温1時間放置し、ブロッキングを行った。ウエル内の液体を除去し、次いで0.05%(w/v)TWEEN20含有PBS(以下 洗浄液)300μL分注・廃棄を3回繰り返して各ウエルを洗浄後、試料を50μLづつウェルに分注し固相抗原と1時間室温で反応させた。ウエル内の液体を除去し、次いで洗浄液300μL分注・廃棄を3回繰り返して各ウエルを洗浄後、蒸留水で10倍に希釈したブロックエースで2000倍に希釈した西洋わさびペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリン ウサギ抗体(DAKO社)を50μLづつウェルに分注し室温1時間反応させた。ウエル内の液体を除去し、次いで洗浄液300μL分注・廃棄を3回繰り返して各ウエルを洗浄後、3,3‘−5,5’−テトラメチルベンジジン(以下TMB)を含む西洋わさびペルオキシダーゼ基質液TMB+(DAKO社)を各ウエル50μLづつ分注し、室温遮光下反応させた。反応10分後1N硫酸を各ウエル50μLづつ分注し、酵素反応を止め、主波長450nm副波長650nmで各ウエルの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定を行った。対照として抗原を固相化していないプレートでも、ブロッキング以下同様の操作を実施した。測定した吸光度を表1に示す。
【0035】
【表1】
Figure 0004117542
【0036】
2000PNU−1000PNU/回注射した個体H−#1でL−#1,L−#2に比して著しく高い抗体価が見とめられ、マウス個体H−#1を使って細胞融合することとした。41日目、55日目、56日目、57日目にPBS(−)で2倍希釈したTrichophyton rubrumアレルゲン100μLを腹腔内に注射し、細胞融合に備えた。
(6)細胞融合:骨髄腫細胞Sp2/0−Ag14を10%(v/v)牛胎児血清を含むe−RDF培地(極東製薬)で37℃5%炭酸ガス濃度下で培養、継代した。58日目に個体H−#1から無菌的に脾臓を摘出し、e−RDF培地中で臓器をよく洗浄した。20mlのe−RDF培地を入れた10cmφシャーレ中に脾臓を入れ,クリーンベンチ内で滅菌ピンセットで脾臓に端を固定したまま22ゲージ注射針先端で切りこみを入れ、さらにしごくように脾臓から脾臓細胞を無菌的に押しだし、さらにピペット操作により細胞塊をよくほぐした。セルストレイナーを上部に装着した50ml遠心管に細胞縣濁液を移し、引き続いて200xg 10分遠心分離を行い、上清を廃棄した。20ml e−RDF培地を添加しピペット操作により沈降した細胞を縣濁させ、さらにもう1回遠心分離、上清廃棄、培地での細胞縣濁を実施した。血球計算盤にて細胞数をカウントしたところ、1.1x108個であった。得られた脾臓細胞の1/10量にあたる1.1x107個の骨髄腫細胞Sp2/0−Ag14を添加するため、e−RDF培地で細胞を洗浄した。すなわち10%(v/v)牛胎児血清を含むe−RDF培地(極東製薬)で培養した7x105/mlのSp2/0−Ag14細胞培養液20mlを150xg 5分遠心分離により細胞のみを分離し、上清を廃棄し、e−RDF培地20mlを加え、ピペット操作で細胞を縣濁し、さらに遠心分離、上清廃棄、培地での細胞縣濁の操作を2回繰り返し、最終的にe−RDF培地に縣濁されたSp2/0−Ag14を得た。1.1x107個のSp2/0−Ag14を脾臓細胞の入った50mlの遠心管に添加しピペット操作でよく混合した後、200xg 10分遠心分離を行った。上清廃棄後チューブごとタッピングして細胞塊をほぐした後、37℃環境下で50%ポリエチレングリコール1500液(ロシュ社)を1ml添加し細胞と混合、次いでe−RDF培地を1ml、3ml、10mlの順に添加した。150xg 5分遠心分離後、そのまま37℃で5分間放置し、その後上清を廃棄した。パスツールピペットを使って選択培養培地(100xHATサプリメント(GIBCO社)1/100容とCondimedH1(ロシュ社)1/10容、牛胎児血清1/10容を含むe−RDF培地)192mlに細胞全量を縣濁し、ふたつき96穴浮遊細胞培養用プレート(住友ベークライト社製)10枚に200μLづつ各ウェルに無菌的に分注した。37℃5%炭酸ガス条件下で9日間HAT選択培養を行った。
(7)抗体産生ハイブリドーマのELISAによる一次スクリーニング:選択培養後の各ウェル培養上清50μLをPBS(−)200μLで希釈し、試料として用いた。Trichophyton rubrumアレルゲンをPBS(−)で200PNU/mlとなるよう希釈し、96穴ELISAプレート(#9018 コーニング社)の各ウエルにに50μLづつ分注、室温1時間放置し、プレートに抗原を固相化した。またTrichiphytonmentagrophytesアレルゲン(20000PNU/ml :GREER LABORATORIES,INC社)についてもPBS(−)で200PNU/mlとなるよう希釈し、96穴ELISAプレート(#9018 コーニング社)の各ウエルにに50μLづつ分注、室温1時間放置し、プレートに抗原を固相化した。ウェル内の液体を除去後、次いで蒸留水で4倍に希釈したブロックエース(雪印乳業)を300μLづつ各ウェルに分注し、室温1時間放置し、ブロッキングを行った。ウエル内の液体を除去し、次いで洗浄液300μL分注・廃棄を3回繰り返して各ウエルを洗浄後、試料を50μLづつウェルに分注し固相抗原と1時間室温で反応させた。ウエル内の液体を除去し、次いで洗浄液 300μL分注・廃棄を3回繰り返して各ウエルを洗浄後、蒸留水で10倍に希釈したブロックエースで2000倍に希釈した西洋わさびペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリン ウサギ抗体(DAKO社)を50μLづつウェルに分注し室温1時間反応させた。ウエル内の液体を除去し、次いで洗浄液 300μL分注・廃棄を3回繰り返して各ウエルを洗浄後、TMBを含む西洋わさびペルオキシダーゼ基質液TMB+(DAKO社)を各ウエル50μLづつ分注し、室温遮光下反応させた。反応10分後1N硫酸を各ウエル50μLづつ分注し、酵素反応を止め、主波長450nm副波長650nmで各ウエルの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定を行った。対照として抗原を固相化していないプレートでも、ブロッキング以下同様の操作を実施した。960ウェルの培養上清希釈液を測定し、5ウェルで抗原固相との反応性が認められた。
表2にELISAでの吸光度を示す。
【0037】
【表2】
Figure 0004117542
【0038】
ウェル番号0011、0014でT.rubrum抗原、T.Mentagrophytes抗原ともに反応性が認められた。1次スクリーニングとして本2ウェルを選抜し、引き続きクローニングを実施した。
ハイブリドーマのクローニング:限界希釈法によりクローニングを実施した。すなわちスクリーニングで選抜した各選択培養ウェルの細胞を100個となるよう無菌的にサンプリングし、それぞれクローニング培地(CondimedH1(ロシュ社)1/10容、牛胎児血清1/10容を含むe−RDF培地)20mlに対し、最終5個/mlになるよう縣濁し、ふたつき96穴浮遊細胞培養用プレート(住友ベークライト社製)各1枚96ウェルに200μLづつ無菌的に分注した。37℃5%炭酸ガス条件下で10日間培養を行った。各ウェルのクローニング培養後上清50μLをサンプリングし、PBS(−)200μLで希釈しELISA試料とし、1次スクリーニングと同様にTrichophyton rubrumアレルゲン、Trichiphyton mentagrophytesアレルゲン、固相抗原なしの3種の固相を用い、ELISAを実施し、T.rubrum抗原、T.Mentagrophytes抗原ともに反応性が認められた培養上清をサンプリングしたウェルから各1ウェル選抜し1次クローニング後のハイブリドーマ細胞を得た。ひきつづき同様の方法を繰り返し、二次クローニング、三次クローニングを実施し、最終的に抗体産生ハイブリドーマ0011,0014を得た。なお、本発明のハイブリドーマ0014は独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにFERM P−19057として寄託されている。
(8)得られたハイブリドーマは10%(v/v)牛胎児血清を含むe−RDF培地中で37℃5%炭酸ガス濃度下で培養、継代し、得られた細胞は最終10%(v/v)ジメチルスルホキシドと10%(v/v)牛胎児血清を添加したe−RDF培地1mlに5x106個を無菌的に縣濁し、2mlセラムチューブ(住友ベークライト)中で、氷中5分、−20℃50分、−80℃12時間保存し、最後に液体窒素中で保存した。
(9)各ハイブリドーマ培養上清の調製:液体窒素中で凍結保存されていたハイブリドーマ0011、0014の入ったチューブは−80℃1時間保存後、37℃の温湯中ですばやく融解させた。それぞれ10%(v/v)牛胎児血清を含むe−RDF培地10mlの入った遠心管中に全量入れ、ピペット操作で細胞縣濁した。150xg 5分遠心し、上清を廃棄後、5mlの10%(v/v)牛胎児血清を含むe−RDF培地にピペット操作で細胞を浮遊させ、底面積25cm2浮遊細胞培養用フラスコにそれぞれ播種した。37℃5%炭酸ガス濃度下で培養し2継代した後、培地15mlで細胞浮遊させ底面積75cm2浮遊細胞培養用フラスコで7日間培養を行い抗体を培地中に十分分泌させた。培養により得られた細胞培養液を50ml遠心管に移し700xg 10分遠心分離し、ハイブリドーマ培養上清を得た。5%(w/v)アジ化ナトリウム水溶液を各培養上清の1/100容添加し、0.22μmフィルターでろ過後、γ線滅菌されたポリプロピレン製チューブに分注し、−20℃で凍結保存した。
(10)モノクローナル抗体のサブタイピング:市販のイムノクロマト法を使ったサブタイピング試薬(イソストリップ:ロシュ社)を使い、PBS(−)で10倍希釈した培養上清希釈液150μLを試料として分析した。ハイブリドーマ0011の培養上清に含まれるモノクローナル抗体のサブタイプはIgM κ、ハイブリドーマ0014の培養上清に含まれるモノクローナル抗体のサブタイプはIgG1 κであった。
(11)二次スクリーニングに使用する皮膚糸状菌ホルマリン標本・塗沫標本の調製:皮膚糸状菌ホルマリン標本は以下のように調製した。サブローデキストロース寒天スラント上に増生した各種皮膚糸状菌の菌塊をそれぞれ培地と一緒に中性緩衝10%ホルマリン溶液で1日固定後、アルコール70%、80%、90%、100%、100%、100%、100%アルコール槽へ各2時間ずつ浸漬して脱水し、次にキシレン槽3槽に各2時間で浸漬し透徹を行った。次いでパラフィン槽4槽各2時間浸漬しパラフィンを浸透させ、さらに溶解したパラフィンをいれた包埋皿に菌と培地の塊を入れてパラフィンの固化を待ち、パラフィンブロックを作製した。次いで4μmに薄切して、スライドグラス上に皮膚糸状菌ホルマリン固定パラフィン標本を作成した。塗沫標本は以下のように調製した。滅菌生理的食塩水で少し濡らした清潔な綿棒でサブローデキストロース寒天スラント上に増生した各種皮膚糸状菌を擦り取るように採取し、スライドグラスに押しつけ、搾り出すように綿による摩擦面を転がす要領で塗沫し、すぐに95%エタノール液中で30分固定することにより作成した。
(12)免疫染色によるモノクローナル抗体の二次スクリーニング:皮膚糸状菌のホルマリン固定パラフィン標本はあらかじめ脱パラフィン操作を実施し、免疫染色を実施した。0.3%過酸化水素加メタノールに30分浸漬し、水洗した後に10%(v/v)正常ウサギ血清を添加したPBSを切片上に滴下し、室温で30分置いた。PBSで洗浄後、ハイブリドーマ培養上清0011、0014はPBSで50倍希釈し、室温湿室内で1時間反応させた。PBS洗浄後、ENVISION+(ダコ社)を標本上に滴下し、室温湿室内で1時間反応させた。PBSで洗浄後、0.02%(w/v)3,3‘−ジアミノベンジジン(以下 DAB)と0.003%(w/v)過酸化水素を含むPBS中でときどき鏡検しながらおよそ5分発色させた。水洗後、エタノールにて脱水、キシレン透徹を順に実施し、嫌水性封入剤(ビオライト)を用いて封入を行った。鏡検は10x20倍と10x40倍で観察し、茶褐色か黄褐色に染色された部位が確認できた場合を陽性、わずかに染まったものを弱陽性、染色を確認できなかった場合を陰性と判定した。表3、表4に判定結果を示す。
【0039】
【表3】
Figure 0004117542
【0040】
【表4】
Figure 0004117542
【0041】
0011、0014いずれのハイブリドーマ培養上清も検討した全てのホルマリンおよび塗沫標本ともに弱陽性・陽性であり、これらハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体はTrichophyton rubrum、Trichophyton mentagrophytes、Microsporum canis、Epidermophyton floccosumの菌種すべてに反応性を有することが判った。
【0042】
実施例2:モノクローナル抗体と過ヨウ素酸処理したTrichophytonrubrumアレルゲンおよびTrichiphyton mentagrophytesアレルゲンとの結合性
上記実施例1(6)「抗体産生ハイブリドーマのELISAによる一次スクリーニング」で用いたものと同じTrichophyton rubrumアレルゲン吸着EIA用プレートまたはTrichiphyton mentagrophytesアレルゲン吸着EIA用プレートのウェルに、0.05Mメタ過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を50μl加え、4℃で一晩反応させ、抗原に含まれる糖を酸化した。PBSで洗浄し、蒸留水で4倍希釈したブロックエースを加え室温で1時間ブロッキングを行ったのち、前記実施例1(6)「抗体産生ハイブリドーマのELISAによる一次スクリーニング」に述べた方法と同様にして各モノクローナル抗体含有培養上清の結合性を調べた(図1、図2)。その結果、抗原を過ヨウ素酸処理するとモノクローナル抗体0011は、抗原を過ヨウ酸処理しても結合性が低下することは無かったが、モノクローナル抗体 0014は結合性を失った。
【0043】
実施例3:モノクローナル抗体とタンパク質分解酵素処理したTrichophyton rubrumアレルゲンおよびTrichiphyton mentagrophytesアレルゲンとの結合性
前記実施例1(6)「抗体産生ハイブリドーマのELISAによる一次スクリーニング」に述べた方法と同じTrichophyton rubrumアレルゲンまたはTrichiphyton mentagrophytesアレルゲンのウェルに100μg/mlのPronase(カルビオケム社、71000PUK/g、PBSで希釈)を50μl加え、37℃で2時間反応させ、抗原のタンパク質を分解した。PBSで洗浄し、蒸留水で4倍希釈したブロックエースを加え室温で1時間ブロッキングを行ったのち、前記実施例1(6)「抗体産生ハイブリドーマのELISAによる一次スクリーニング」に述べた方法に述べた方法と同様にして、各モノクローナル抗体含有培養上清の結合性を調べた(図3、図4)。その結果、モノクローナル抗体0011、0014ともに抗原のPronase処理によっても結合性に変化はなかった。
【0044】
実施例4:サンドイッチEIA法による菌検出
(1)菌試料の調製:皮膚糸状菌Trichophyton rubrum (T.r.と略記 IFO番号9185、32409)、Trichophyton mentagrophytes(T.m.と略記IFO番号6202、32410)、Microsporum canis(M.c.と略記IFO番号32463)、Epidermophyton floccosum(E.f.と略記 IFO番号32461)、Candida Albicans(C.a.と略記 ATCC番号90028)所定の方法でアンプルから復元し、サブローデキストロース寒天スラント(ベクトンディキンソン社)に接種し、室温で1週間培養した。またEscherichia coli(E.c.と略記 IFO番号13500)、Streptococcus faecalis(S.f.と略記 IFO番号12968)、Bacillus subtilis(B.s.と略記 IFO番号3026)は所定の方法でL−乾燥アンプルより復元し、LB寒天培地シャーレ(ポリペプトン10g酵母エキス5g塩化ナトリウム10g寒天末15gを1Lの精製水にて溶解後高圧滅菌し、10cmφ滅菌シャーレに無菌的に分注しゲル化させたもの)上で30℃1日間培養した。
得られた菌はそれぞれ滅菌された10μLディスポーザブルループで一掻き分採取し、蒸留水で10倍希釈したブロックエース(雪印乳業)5mlに十分縣濁し、さらに本菌縣濁液をそれぞれ5、25、125、625倍希釈したものをEIA試料として用いた。またT.rubrumアレルゲンを100PNU/mlになるよう同様に希釈した5、25、125、625倍希釈した試料も併せて用いた。
(2)0014培養上清の調製:液体窒素中で凍結保存されていたハイブリドーマ0014の入ったチューブは−80℃1時間保存後、37℃の温湯中ですばやく融解させた。それぞれ10%(v/v)牛胎児血清を含むe−RDF培地10mlの入った遠心管中に全量入れ、ピペット操作で細胞縣濁した。150xg 5分遠心し、上清を廃棄後、5mlの10%(v/v)牛胎児血清を含むe−RDF培地にピペット操作で細胞を浮遊させ、底面積25cm2浮遊細胞培養用フラスコにそれぞれ播種し37℃5%炭酸ガス濃度下で培養した。2継代同培地で培養後、L―グルタミン1.17g/Lを含むCD−Hybridoma Medium(インビトロジェン社)に培地を代えて馴化を行い、さらに3継代同培地で培養した。その後培地15mlで細胞浮遊させ底面積75cm2浮遊細胞培養用フラスコに継代培養し、次いで培地45mlで細胞浮遊させ底面積225cm2浮遊細胞培養用フラスコに継代培養し、最終培地200mlで細胞浮遊させ底面積225cm2浮遊細胞培養用フラスコ4個で7日間培養を行い抗体を培地中に十分分泌させた。培養により得られた細胞培養液を50ml遠心管4本に移し700xg 10分遠心分離し、ハイブリドーマ培養上清200mlを得た。
(3)0014精製抗体の調製:得られた培養上清はNaCl 35gと1M ホウ酸緩衝液 pH9を10ml加えて溶解混合し、0.8μmのフィルターろ過を行った。あらかじめ3M NaClを含む50mMホウ酸緩衝液(pH9:以下 結合緩衝液)で平衡化されたrProteinAセファロースFastFlow(アマシャムバイオシステムズ社製)をカラムに1ml充填し、培養上清全量を流速1ml/分でカラムに通液した。次いで5mlの結合緩衝液でカラム洗浄後、0.1Mクエン酸緩衝液(pH3)を同流速で通液してカラムより抗体を溶出させ、抗体を含む溶出液2mlを得た。ただちに1M トリス緩衝液(pH9) 0.4mlを加え、0.05%(w/v)アジ化ナトリウムを含むPBS 1Lに対して透析を実施した。OD280nmの吸収により蛋白量を算出した結果、得られた0014精製抗体は7.2mgであった。
(4)精製抗体の電気泳動分析:5%SDSおよび25%(v/v)グリセロールを含む0.156Mトリス−塩酸緩衝液(pH6.8)10容に2−メルカプトエタノール1容0.1%(w/v)ブロムフェノールブルー水溶液を1容加えてサンプル電気泳動用緩衝液とした。精製抗体1μlに精製水9μLとサンプル電気泳動用緩衝液10μL加え、95℃で5分処理した後、10−20%のポリアクリルアミドグラジエンドゲル中で電気泳動した。電気泳動後のゲルはクマジー染色を行ってゲル中の蛋白を可視化した。その結果、抗体の重鎖と軽鎖に相当するバンドのみが観察され、不純物に起因する他のバンドは含んでいないことが分かった。
(5)ビオチン化0014抗体の調製:2.8mg/mlの抗体液0.5mlに1M 炭酸水素ナトリウム溶液50μLを加え混合後、次いで蒸留水にて6.7mg/100μL濃度に溶解したBiotin−XX−Sulfosuccinimidyl ester(同仁化学)を1.5μL添加し、緩やかに攪拌しながら室温で4時間反応させた。あらかじめPBSにて平衡化しておいたNAP−5カラム(アマシャムバイオサイエンス社)に全量載せ、PBS1mlで試料を溶出させ、ビオチン化0014抗体1.2mgを得た。
(6)サンドイッチEIAによる菌縣濁試料の測定:0014精製抗体は50mM 炭酸緩衝液(pH9.6)で10μg/mlになるよう希釈し、96穴ELISAプレート(#9018 コーニング社)の各ウエルにに50μLづつ分注、室温1時間放置し、プレートに抗体を固相化した。ウエル内の液体を除去後、次いで蒸留水で4倍に希釈したブロックエース(雪印乳業)を300μLづつ各ウェルに分注し、室温1時間放置し、ブロッキングを行った。ウエル内の液体を除去し、次いで洗浄液 300μL分注・廃棄を3回繰り返して各ウエルを洗浄後、試料を50μLづつウェルに分注し固相抗体と1時間室温で反応させた。ウエル内の液体を除去し、次いで洗浄液 300μL分注・廃棄を3回繰り返して各ウエルを洗浄後、蒸留水で10倍に希釈したブロックエースで1μg/ml濃度に希釈したビオチン化0014抗体を50μLづつウェルに分注し室温1時間反応させた。ウエル内の液体を除去し、次いで洗浄液 300μL分注・廃棄を3回繰り返して各ウエルを洗浄後、蒸留水で10倍に希釈したブロックエースで5000倍に希釈した西洋わさびペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(KPL社)を50μLづつウェルに分注し室温1時間反応させた。ウエル内の液体を除去し、次いで洗浄液 300μL分注・廃棄を4回繰り返して各ウエルを洗浄後、3,3‘−5,5’−テトラメチルベンジジン(以下TMB)を含む西洋わさびペルオキシダーゼ基質液TMB+(DAKO社)を各ウエル50μLづつ分注し、室温遮光下反応させた。反応10分後1N硫酸を各ウエル50μLづつ分注し、酵素反応を止め、主波長450nm副波長650nmで各ウエルの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定を行った。結果を表5、表6に示す。
【0045】
【表5】
Figure 0004117542
【0046】
【表6】
Figure 0004117542
【0047】
皮膚糸状菌とT.r.アレルゲンを測定試料としたとき希釈系列でレスポンスが認められたが、他の菌では認められなかった。つまりTrichophytonrubrum、Trichophyton mentagrophytesのみならず、Microsporum canis、Epidermophyton floccosumで共通する抗原は本発明抗体を結合した担体上に捕捉可能であった。また、本発明抗体を使ったイムノアッセイでTrichophyton rubrum、Trichophyton mentagrophytesのみならず、Microsporum canis、Epidermophyton floccosumで共通している抗原の検出が可能であった。
【0048】
実施例5:爪白癬患者爪での免疫染色
爪白癬患者から採取された爪はホルマリン固定後、定法に従いパラフィン包埋し、3μm薄切後スライドグラス上に爪白癬パラフイン標本を作製した。免疫染色は実施例1(11)記載の方法で、ハイブリドーマ培養上清の代わりに実施例4(3)で調製した0014精製抗体を0.1%(w/v)牛血清アルブミン、0.05%(w/v)アジ化ナトリウムを含むPBS(−)で100μg/mlとなるよう調製した抗体液をPBSで5、10、25、50、100、200、500、1000倍希釈して用いて実施し、菌の染色像とそれ以外のバックグランドとの対比を行った。結果は表7に示す。染色性が認められないものは(−)、わずかに着色が認められるものは(±)、着色が認められるものは染色強度に応じ(+) < (++) < (+++)と3段階で表記した。抗体濃度1乃至20μg/mlでバックグランドと菌を識別することが可能であった。
【0049】
【表7】
Figure 0004117542
【0050】
【発明の効果】
本発明記載のモノクローナル抗体は皮膚糸状菌、とりわけ白癬原因菌の異なる属に渡る特異性を有している。本特性は白癬菌の分離・検出に有用で、白癬の診断・鑑別を迅速・簡易・高感度することが可能と考える。
【図面の簡単な説明】
【図1】0011モノクローナル抗体含有培養上清を、NaIO4処理抗原固相化プレートおよび処理なし抗原固相化プレートと作用させたときの反応性を調べたものである。
【図2】0014モノクローナル抗体含有培養上清を、NaIO4処理抗原固相化プレートおよび処理なし抗原固相化プレートと作用させたときの反応性を調べたものである。
【図3】0011モノクローナル抗体含有培養上清を、プロナーゼ処理抗原固相化プレートおよび処理なし抗原固相化プレートと作用させたときの反応性を調べたものである。
【図4】0011モノクローナル抗体含有培養上清を、プロナーゼ処理抗原固相化プレートおよび処理なし抗原固相化プレートと作用させたときの反応性を調べたものである。

Claims (3)

  1. 受託番号FERM P−19057として寄託されているハイブリドーマ
  2. 請求項1に記載のハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体。
  3. 請求項1に記載のハイブリドーマを培養して得られる培養上清を精製して抗体を得る工程を含む抗体生産方法
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