JP4117203B2 - 耐食性亜鉛系めっき鋼板 - Google Patents

耐食性亜鉛系めっき鋼板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐食性亜鉛系めっき鋼板関する技術分野に属し、特には、クロム化合物を用いることなしに、優れた耐食性を有することのできる耐食性電気亜鉛めっき鋼板関する技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
クロム化合物を含まない耐食性亜鉛めっき鋼板に関しては、下記(1) 〜(6) のようなものが知られている。
【0003】
(1) 特開平10−60315号公報に記載されたもの。即ち、(a) 特定の官能基を有するエチレン性不飽和単量体とかかる官能基を有さないエチレン性不飽和単量体とを共重合させて得られる水系エマルジョンに、前記特定官能基と反応する官能基を有するシランカップリング剤および特定金属イオンを含有させた鋼材もしくは鋼構造物用表面処理剤、または、(b) カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体、この単量体以外のエチレン性不飽和単量体および特定官能基を有するシランカップリング剤を共重合させて得られる水系エマルジョンに、特定金属イオンを含有させた鋼材もしくは鋼構造物用表面処理剤。
【0004】
(2) 特開平11−333973号公報に記載されたもの。即ち、金属基体と、該金属基体の表面上に形成されたケイ酸化合物及び重量平均分子量1000〜100000である芳香族アミン系縮合物を含有する第1皮膜と、該第1被膜の上に形成されたケイ酸化合物を含有する第2皮膜とを有する積層構造。
【0005】
(3) 特開2001−107261号公報に記載されたもの。即ち、多価金属の第一リン酸塩 (例、リン酸アルミニウム) の水溶液に多価金属化合物 (例、水酸化マグネシウム) をキレート剤と一緒に添加して溶解させ、必要に応じて水性樹脂、ホウ酸、コロイダルシリカの1種もしくは2種以上を配合した処理液を電磁鋼板に塗布し、 200〜330 ℃の温度範囲で焼き付ける。処理液中および皮膜中の多価金属カチオンの価数×モル数の積の総和ΣMiとリンのモル数ΣPiとの関係が1≦ [ΣMi/ΣPi] ≦5となるようにするというもの。
【0006】
(4) 特開2001−170557号公報に記載されたもの。即ち、第1の表面処理液は、マンガン、マグネシウム、モリブデン、亜鉛、カルシウムまたはジルコニウムから選んだ1種または2種以上の金属のリン酸塩の処理液にオキシカルボン酸化合物を添加して、耐食性、塗膜密着性を向上させる。第2の表面処理液は、前記第1の表面処理液にシランカップリング剤とシリカゾルとを混合し、耐指紋性を更に向上させる。処理方法は、前記第1、第2の表面処理液をめっき鋼板表面にリン酸塩のP量が5〜200 mg/m2になるように塗布した後、水洗せず、板温80〜250 ℃で乾燥するというものである。
【0007】
(5) 特開2001−214283号公報に記載されたもの。即ち、亜鉛系めっき鋼板の表面に、(a) Mg、MnおよびAlの金属化合物であり、りん酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物およびフッ化物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物、(b) 水溶性有機樹脂、および、(c) 酸を含有する水性組成物を塗布して形成された皮膜層を有する表面処理亜鉛系めっき鋼板。
【0008】
(6) 特開2001−271175号公報に記載されたもの。即ち、亜鉛系めっき鋼板に、Mg、Mn、Alの化合物(リン酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物、フッ化物)と、2価以上の金属イオンに配位可能な有機酸を含有する水性組成物を、塗装し、硬化して皮膜を形成して課題を達成しようとするもの。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−60315号公報
【特許文献2】
特開平11−333973号公報
【特許文献3】
特開2001−107261号公報
【特許文献4】
特開2001−170557号公報
【特許文献5】
特開2001−214283号公報
【特許文献6】
特開2001−271175号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記公報に記載の技術(1) 〜(6) は、クロム化合物を含まない耐食性亜鉛めっき鋼板に関する従来技術である。これらの技術(1) 〜(6) には、それぞれ下記のような問題点もしくは欠点がある。
【0011】
(1) 特開平10−60315号公報に記載されたものにおいては、シランカップリング剤が不安定で取り扱いが難しい。
(2) 特開平11−333973号公報に記載されたものにおいては、芳香族アミンの臭気が問題となり、作業性がよくない。
(3) 特開2001−107261号公報に記載されたものにおいては、焼付け温度が200 〜330 ℃と高く、設備上の制限がある。
(4) 特開2001−170557号公報に記載されたものにおいては、処理液中の金属イオンは緻密な皮膜を形成するためにはやや不十分なものである。
(5) 特開2001−214283号公報や特開2001−271175号公報に記載されたものにおいては、Mn等は溶解度が低く不溶性皮膜形成に適しているために、これらを含有させて皮膜を形成させているが、Mn等重金属を含むため、使用が制限される。
【0012】
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、前記従来技術の場合のような問題点を解消し、クロム化合物を用いることなしに、クロメート処理した耐食性亜鉛めっき鋼板と同等もしくはそれ以上の優れた耐食性を有することのできる耐食性亜鉛めっき鋼板提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ね、その結果、アルミニウムイオン、クエン酸イオン、りん酸イオン、アンモニウムイオンおよびシリカを含有する溶液(処理液)により亜鉛系めっき鋼板を処理する(表面に塗布し乾燥させる)ことによって耐食性亜鉛めっき鋼板(クロメート処理した耐食性亜鉛めっき鋼板と同等もしくはそれ以上の優れた耐食性を有する)とすることができることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成した。
【0014】
このようにして完成されて上記目的を達成し得た本発明は、耐食性亜鉛系めっき鋼板係わり、これは請求項1〜3記載の耐食性亜鉛系めっき鋼板あり、それは次のような構成としたものである。
【0015】
即ち、請求項1記載の耐食性亜鉛系めっき鋼板は、アルミニウムイオン、クエン酸イオン、りん酸イオン、アンモニウムイオン及びシリカを含有する耐食性皮膜を有し、この皮膜中の成分が、
0.03<[Al量(質量%)]/[Si量(質量%)]<4.0 、かつ、
0.5 <[C6H5O7 3-量(質量%)]/[Al量(質量%)]<24、かつ、
0.8 <[PO4 3- 量(質量%)]/[NH4 + 量(質量%)]<25
の関係を満たすことを特徴とする耐食性亜鉛系めっき鋼板である(第1発明)。
ただし、上記 Al 量及び Si 量は蛍光X線分析で定量された値であり、 C 6 H 5 O 7 3- 量、 NH 4 + 量及び PO 4 3- 量はイオンクロマトグラフィーで定量された値である。
【0016】
請求項2記載の耐食性亜鉛系めっき鋼板は、前記皮膜中の成分の量が、SiO2:7〜180 mg/m2、クエン酸イオン:6〜90mg/m2、アンモニウムイオン:1〜15mg/m2、アルミニウムイオン:1〜15mg/m2、りん酸イオン:12〜160 mg/m2である請求項1記載の耐食性亜鉛系めっき鋼板である(第2発明)。
【0017】
請求項3記載の耐食性亜鉛系めっき鋼板は、前記皮膜の上層に更に樹脂皮膜を形成した請求項1記載の耐食性亜鉛系めっき鋼板である(第3発明)。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は例えば次のようにして実施する。
アルミニウムイオン、クエン酸イオン、りん酸イオン、アンモニウムイオンおよびシリカを含有する処理液を調製し準備する。この処理液を亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布し、乾燥させる。そうすると、アルミニウムイオン、クエン酸イオン、りん酸イオン、アンモニウムイオン及びシリカを含有する耐食性皮膜を有する耐食性亜鉛系めっき鋼板が得られる。
【0020】
このとき、耐食性皮膜中の成分が、
0.03<[Al量(質量%)]/[Si量(質量%)]<4.0 、かつ、
0.5 <[C6H5O7 3-量(質量%)]/[Al量(質量%)]<24、かつ、
0.8 <[PO4 3- 量(質量%)]/[NH4 + 量(質量%)]<25
の関係を満たすようにする。そうすると、本発明に係る耐食性亜鉛系めっき鋼板が得られる。
【0021】
このような形態で本発明が実施される。以下、本発明について主にその作用効果(食性皮膜中の成分の影響等)を説明する。
【0022】
本発明に係る耐食性亜鉛系めっき鋼板の製造に際し、亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布する処理液に含まれるアルミニウムイオンは、りん酸イオンと結合してシリカと共に不溶性の皮膜(耐食性皮膜)をつくるため、亜鉛系めっき鋼板の耐食性を向上させる作用効果がある。しかし、アルミニウムイオンは加水分解を受けて処理液中に水酸化物等のアルミニウム化合物が沈殿することがあり、この点において適用しづらい面がある。そこで、この対策を検討したところ、クエン酸イオン(:C6H5O7 3-)を含有させることによって、アルミニウム化合物が自然に沈殿することを防止できることを見出した。また、上記皮膜を下地皮膜として用いる場合には、アルミニウムイオンが上塗りの水溶性樹脂を固化させる等の悪影響が時に見られるが、クエン酸イオンを添加することによりアルミニウムイオンを不活性化させ、その悪影響を除くことができる。このような作用効果を有効にするためには、皮膜中のC6H5O7 3-量(質量%)とAl量(質量%)の比が0.5 超24未満となるようにすること、即ち、0.5 <[C6H5O7 3-量(質量%)]/[Al量(質量%)]<24を満たすようにすることが必要である。この量的比率が0.5 未満の場合ではアルミニウムイオンの安定化が不十分となり、24超の場合では皮膜の溶解度が上昇して耐食性が劣化傾向となるからである。
【0023】
さらに耐食性を高めるため、アンモニウムイオンを皮膜に含ませた。これをりん酸イオンと共存させておけば、腐食初期に生ずる微量の亜鉛イオンと反応して溶解度の低い複塩(ZnNH4PO4・6H2O )すなわち難溶性亜鉛化合物が生ずるためである。このりん酸イオンとアンモニウムイオンとの量(質量%)の比率が0.8 超25未満となるようにすること、即ち、0.8 <[PO4 3- 量(質量%)]/[NH4 + 量(質量%)]<25を満たすようにすることが必要である。この比率が0.8 未満の場合にも、25超の場合にも、上記難溶性亜鉛化合物の生成が困難になるからである。
【0024】
耐食性は皮膜の緻密さに影響されるが、その緻密さは皮膜中のAl量(質量%)とSi量(質量%)の比、即ち、[Al量(質量%)]/[Si量(質量%)]の影響を受ける。その値は、0.03<[Al量(質量%)]/[Si量(質量%)]<4.0 とする必要がある。皮膜はシリカ粒子間の隙間をアルミニウム化合物が埋める構造をとっていると考えられ、このため、[Al量(質量%)]/[Si量(質量%)]が0.03未満の場合にはシリカ粒子間が埋まらず、耐食性が不十分となり、一方、この値が4.0 超の場合にはシリカによる防錆効果が不足し、耐食性が劣化するからである。シリカとしては、粒径1〜100mm のコロイダルシリカを用いることが望ましい。粒径1mm未満の場合にはゲル化しやすくなり、粒径100mm 超の場合にはシリカ自体の防錆作用が弱くなる傾向がある。
【0025】
本発明において、亜鉛系めっき鋼板上に形成される皮膜(耐食性皮膜)量は、50〜250 mg/m2とすることが望ましい。50mg/m2未満の場合には、耐食性が低下して不足気味となり、250 mg/m2超の場合には、この耐食性皮膜の上層として樹脂皮膜を形成させた場合に該樹脂皮膜の密着性が低下する傾向がある。耐食性皮膜の膜厚としては、0.02〜0.1 μm とすることが望ましい。
【0026】
本発明に係る耐食性亜鉛系めっき鋼板において、耐食性皮膜中の成分の量が、SiO2:7〜180 mg/m2、クエン酸イオン:6〜90mg/m2、アンモニウムイオン:1〜15mg/m2、アルミニウムイオン:1〜15mg/m2、りん酸イオン:12〜160 mg/m2であることが望ましい(第2発明)。SiO2:7mg/m2未満、クエン酸イオン:6mg/m2未満、アンモニウムイオン:1mg/m2未満、アルミニウムイオン:1mg/m2未満、りん酸イオン:12mg/m2未満の1種以上の場合には、耐食性皮膜が製膜し難くなり、一方、SiO2:180 mg/m2超、クエン酸イオン:90mg/m2超、アンモニウムイオン:15mg/m2超、アルミニウムイオン:15mg/m2超、りん酸イオン:160 mg/m2超の1種以上の場合には、上塗り後の塗膜密着性が低下する傾向がある。なお、成分の量(mg/m2)は、亜鉛系めっき鋼板の表面積1m2あたり(即ち、耐食性皮膜の表面積1m2あたり)の成分の量(mg)である。
【0027】
本発明に係る耐食性亜鉛系めっき鋼板における耐食性皮膜は、アルミニウムイオン、クエン酸イオン、りん酸イオン、アンモニウムイオン及びシリカを含有するものであり、これらの成分のみを含むことに限定されず、これら以外に、必要に応じて他の成分を含むことができ、例えば、防錆剤であるチオ尿素ベンゾトリアゾールなどを含むことができる。
【0028】
本発明に係る耐食性亜鉛系めっき鋼板は、アルミニウムイオン、クエン酸イオン、りん酸イオン、アンモニウムイオンおよびシリカを含有する処理液を亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布し、乾燥させることにより、得ることができる即ち、本発明に係る耐食性亜鉛系めっき鋼板の耐食性皮膜は、上記処理液を亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布し、乾燥させることにより、形成させることができる。なお、上記処理液としては、上記成分のみを含むものには限定されず、上記成分以外に、必要に応じて他の成分を含むことができ、例えば、上記防錆剤や界面活性剤(カチオン、ノニオン、アニオン系)を含むことができる。
【0029】
上記耐食性皮膜の形成に際しては、処理液を塗布した後、50〜100 ℃の温度で10〜60秒の時間の程度で乾燥させることができる。
【0030】
処理液中の各成分は、アルミニウムイオンについては、例えば、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酸化アルミニウム、りん酸アルミニウム等のアルミニウム塩から供給することができ、りん酸イオンについては、例えば、りん酸二水素アルミニウム、りん酸のアルカリ金属塩等のりん酸塩や、りん酸から供給することができ、シリカについては、例えばシリカゾルとして供給することができ、クエン酸イオンについては、クエン酸、クエン酸のアルカリ金属塩から供給することができ、アンモニウムイオンについては、例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩や、アンモニア水から供給することができる。これらの中では、余計なイオンが混入せず、液調製が容易であることから、りん酸二水素アルミニウム、シリカゾル、クエン酸水素二アンモニウムを用いることが望ましい。処理液はこれらの化合物を合計で1〜10質量%程度の溶液として塗布する。
【0031】
前記耐食性皮膜の上層にさらに樹脂皮膜を形成することが、更なる耐食性の向上や潤滑性および外観の向上の点から望ましい(第3発明)。この樹脂皮膜の樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系の樹脂を用いることができる。樹脂皮膜の厚みは、0.05〜6μm とすることが望ましい。0.05μm 未満の場合には、用途によっては耐食性が不足気味になり、6μm 超の場合には、樹脂皮膜の密着性が低下する傾向がある。
【0032】
皮膜中のAl、Siの定量は、蛍光X線分析によって行うクエン酸イオン、アンモニウムイオン、りん酸イオンの定量は、イオンクロマトグラフィーにより行うこれらの方法は、皮膜の上層に樹脂皮膜が形成された場合でも適用可能である。
【0033】
本発明に係る耐食性亜鉛系めっき鋼板は、以上のことからわかるように、アルミニウムイオン、クエン酸イオン、りん酸イオン、アンモニウムイオンおよびシリカを含有する処理液を亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布し乾燥させることにより得ることができるので、クロメート処理することなしに(即ち、クロム化合物を用いることなしに)得ることができる。そして、クロム化合物を含まないで(即ち、クロム化合物を用いることなしに)、クロメート処理した耐食性亜鉛系めっき鋼板と同等もしくはそれ以上の耐食性を有することができる。即ち、本発明によれば、クロメート処理することなしに(即ち、クロム化合物を用いることなしに)、クロメート処理した耐食性亜鉛系めっき鋼板と同等もしくはそれ以上の耐食性を有する耐食性亜鉛系めっき鋼板を得ることができる。
【0034】
本発明において、耐食性亜鉛系めっき鋼板の基材である亜鉛系めっき鋼板、即ち、処理液の塗布処理が施される亜鉛系めっき鋼板としては、電気亜鉛めっき鋼板の他、亜鉛浴に浸漬して得られる溶融亜鉛めっき鋼板等を使用することができる。
【0035】
【実施例】
本発明の実施例および比較例を以下説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0036】
表1に示す組成の水溶液を処理液とし、これを電気亜鉛めっき鋼板(板厚:0.8mm、Znめっき量:20g/m2)にロールコート塗布し、約 0.7μm の厚みの皮膜を形成した後、これを鋼板温度が20秒で50℃となるように加熱し乾燥させた。次に、この上層にポリエチレン系塗料をロールコート塗布し、鋼板温度が20秒で150 ℃になるように加熱し硬化させて、膜厚が0.05〜6μm の樹脂皮膜を形成させ、これにより試験片を作製した。
【0037】
このようにして作製された試験片(樹脂皮膜形成後のもの)を70×150mm の大きさに剪断後、端面部をシールし、耐食性試験として塩水噴霧試験(JIS Z−2371)を行い、各試験片表面の白錆発生面積に応じて下記の評価基準に従って評価した。即ち、白錆発生面積が50%超のものを×(耐食性不良)、20〜50%のものを△(×よりは良いものの耐食性不充分)、5〜20%のものを○(耐食性良好)、5%未満のものを◎(優:○よりも優れる)とした。なお、樹脂皮膜形成前の状態のものについても上記と同様の塩水噴霧試験を行った。この樹脂皮膜形成前のものについては塩水噴霧12時間(h)の時点で白錆発生面積率を評価し、前記樹脂皮膜形成後のものについては塩水噴霧240 時間(h)の時点で白錆発生面積率を評価した。
【0038】
また、前記試験片(樹脂皮膜形成後のもの)の皮膜中のAlおよびSiの定量を行った。この定量は、蛍光X線分析によって行った。更に、クエン酸イオン、アンモニウムイオン、りん酸イオンの定量を行った。この定量は、イオンクロマトグラフィーによって行った。
【0039】
上記耐食性試験(塩水噴霧試験)の結果を表2に示す。No.2〜8 、10〜17[本発明の実施例(発明例)]の場合は、耐食性は○(耐食性良好)または◎(優:○よりも優れる)であり、良好である。
【0040】
これに対し、No.1(比較例1)の場合は、[Al量(質量%)]/[Si量(質量%)](以下、[Al]/[Si]ともいう)が0.02と小さく(本発明に係る皮膜成分の下限値よりも小)、皮膜が緻密でないことに主に起因して、更には、[C6H5O7 3-量(質量%)]/[Al量(質量%)](以下、[C6H5O7 3- ] /[Al]ともいう)が34.5と大きく(本発明に係る皮膜成分の上限値よりも大)、又、[PO4 3- 量(質量%)]/[NH4 + 量(質量%)](以下、[PO4 3-] /[NH4 + ] ともいう)が0.6 と小さい(本発明に係る皮膜成分の下限値よりも小)ことにも起因して、耐食性が劣り、×(耐食性不良)である。
【0041】
No.9(比較例9)の場合には、[Al]/[Si]が6.3 と大きく(本発明に係る皮膜成分の上限値よりも大)、シリカの防錆効果が不十分なために、耐食性が劣り、△(×よりは良いものの耐食性不充分)である。
【0042】
No.18(比較例18)の場合には、[C6H5O7 3- ] /[Al]が小さい(本発明に係る皮膜成分の下限値よりも小さい)ことに主に起因し、更には、[PO4 3-] /[NH4 + ] が40.6と大きい(本発明に係る皮膜成分の上限値よりも大)ことにも起因して、耐食性が劣り、△(耐食性不充分)である。
【0043】
No.19 (比較例19)の場合は、[C6H5O7 3- ] /[Al]が大きい(本発明に係る皮膜成分の上限値よりも大きい)ことに主に起因して、更には[PO4 3-] /[NH4 + ] が小さい(本発明に係る皮膜成分の下限値よりも小さい)ことにも起因して、耐食性が劣り、×(耐食性不良)である。
【0044】
No.20 (比較例20)の場合には、[PO4 3-] /[NH4 + ] が小さい(本発明に係る皮膜成分の下限値よりも小さい)ことに起因して、更には、[C6H5O7 3- ] /[Al]が大きい(本発明に係る皮膜成分の上限値よりも大きい)ことにも起因して、耐食性が劣り、×(耐食性不良)である。
【0045】
No.21 (比較例21)の場合には、[PO4 3-] /[NH4 + ] が大きすぎる(本発明に係る皮膜成分の上限値よりも大きすぎる)ために、耐食性が劣り、×(耐食性不良)である。
【0046】
No.22 (比較例22)の場合には、アンモニウムイオンおよびシリカを含有しないため、アンモニウムイオンやシリカによる防錆効果がないこと、及び、含有する金属イオンがマグネシウムであり、Alを含有しないことに起因して、耐食性が劣り、×(耐食性不良)である。
【0047】
【表1】
Figure 0004117203
【0048】
【表2】
Figure 0004117203
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、クロメート処理することなしに(即ち、クロム化合物を用いることなしに)、クロメート処理した耐食性亜鉛系めっき鋼板と同等もしくはそれ以上の耐食性を有する耐食性亜鉛系めっき鋼板を得ることができる。この耐食性亜鉛系めっき鋼板は、クロム化合物を含まないで(即ち、クロム化合物を用いることなしに)、クロメート処理した耐食性亜鉛系めっき鋼板と同等もしくはそれ以上の耐食性を有することができる。

Claims (3)

  1. アルミニウムイオン、クエン酸イオン、りん酸イオン、アンモニウムイオン及びシリカを含有する耐食性皮膜を有し、この皮膜中の成分が、
    0.03<[Al量(質量%)]/[Si量(質量%)]<4.0 、かつ、
    0.5 <[C6H5O7 3-量(質量%)]/[Al量(質量%)]<24、かつ、
    0.8 <[PO4 3- 量(質量%)]/[NH4 + 量(質量%)]<25
    の関係を満たすことを特徴とする耐食性亜鉛系めっき鋼板。
    ただし、上記 Al 量及び Si 量は蛍光X線分析で定量された値であり、 C 6 H 5 O 7 3- 量、 NH 4 + 量及び PO 4 3- 量はイオンクロマトグラフィーで定量された値である。
  2. 前記皮膜中の成分の量が、SiO2:7〜180 mg/m2、クエン酸イオン:6〜90mg/m2、アンモニウムイオン:1〜15mg/m2、アルミニウムイオン:1〜15mg/m2、りん酸イオン:12〜160 mg/m2である請求項1記載の耐食性亜鉛系めっき鋼板。
  3. 前記皮膜の上層に更に樹脂皮膜を形成した請求項1記載の耐食性亜鉛系めっき鋼板。
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