JP4116696B2 - 導電性ベルトおよび導電性ローラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、レーザープリンタ、普通紙ファクシミリ等の電子写真装置における導電性ベルト、および導電性ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、レーザープリンタ、普通紙ファクリミリ等の電子写真装置においては、静電力によって印刷紙を搬送するとともに、その搬送途中で、トナー像が形成された感光体の表面に印刷紙を接触させて、当該印刷紙の表面にトナー像を転写させる転写ベルトが知られている。この転写ベルトを用いると、印刷紙の種類や搬送速度等による影響を比較的受けることなく、トナー像の転写を良好に行うことができ、かつ転写後の印刷紙を強制的に感光体から分離させて、保持、搬送することができる。
【0003】
また、上記転写ベルトのほかに、トナー像が形成された感光体の表面に印刷紙を接触させて、印刷紙の表面にトナー像を転写接触させる転写ローラも知られている。
【0004】
上記転写ベルトおよび転写ローラは、トナー像の転写を良好なものにするという観点から、体積固有抵抗が106 〜1013Ω・cm程度の導電性を必要としている。体積固有抵抗が上記範囲を下回ると、転写時にリーク、紙汚れ等の画像上の問題が発生する。逆に、体積固有抵抗が上記の範囲を超えると転写効率が悪くなり、実用に適さなくなる。
【0005】
そこで従来は、導電性充填剤であるカーボンブラックを基材ゴムに配合し、こうして得られたゴム組成物を用いて導電性ベルトや導電性ローラを作製していた。なお、前記カーボンブラックは電圧をかけることによって電子が流れて導電性を示すことから、電子伝導型充填剤と呼ばれている。
【0006】
しかし、カーボンブラック等の電子伝導型導電性充填剤による電子伝導のみでゴムに導電性を付与する場合には、当該導電性充填剤の配合量のわずかな変化やゴム内部での分散状態によって、電気抵抗が大きくばらついたり、導電性が経時的に不安定になるなどの問題が生じ、安定した画像が得られないという問題があった。
【0007】
また、ゴムの導電性を上げるために導電性充填剤を多量に配合した場合には、電気抵抗の印加電圧への依存性が大きくなって、一定の電気抵抗を得るために精密な印加電圧制御装置が必要になることや、ゴム組成物の加工性が低下すること等の問題も生じる。
【0008】
そこで本出願人は、先に特願平8-235490号および特願平9−203451号において、イオンの作用によって導電性を示すいわゆるイオン伝導性の添加剤(例えば可塑剤、樹脂粉末等)を配合したり、重合開始剤や重合触媒に由来する金属イオン等が含まれていることからそれ自体がイオン伝導性を有する基材ゴムを使用することによって、イオン伝導単独で導電性を発現させたり、あるいはイオン伝導と電子伝導とを併用して導電性を発現させることにより、電気抵抗のバラツキを抑制しかつ経時変化を小さくすることを実現した導電性ベルトおよび導電性ローラを提案した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらイオン伝導により所望の導電性を得るには、導電性が比較的高い基材ゴムを選択して使用することが必要であって、コストがかかったり、場合によってはブリードし易くなるなどの問題が生じる。
【0010】
また、イオン伝導型の導電性付与剤として通常用いられる、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属およびそれらの塩、あるいはその他一般的な第四級アンモニウム塩等は、ゴムへの分散性を高めたり、金属塩を金属イオンとして安定化させる働きを有する可塑剤や界面活性剤との親和性が低い。このため、ゴム中に添加できるイオン伝導型導電性付与剤の量は、可塑剤をバインダーとして用いない場合は多くても2〜3phrで、通常は1phr以下に過ぎず、導電性を高める効果が不充分になる。導電性付与剤の配合量を多くして導電性を高めようとすれば、可塑剤の配合量も多くせざるを得ず、その結果、導電性ベルトや導電性ローラから可塑剤がブルームまたはブリードする問題があった。
【0011】
そこで本発明の目的は、イオン伝導型の導電性付与剤を使用して電気抵抗のバラツキや経時変化を抑制するとともに、可塑剤のブルームやブリードを生じることがなく、かつ優れた導電性を有する導電性ベルトおよび導電性ローラを提供することである。
【0012】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために研究を重ねていく中で、ポリオレフィンからなる主鎖に、アルキレンオキサイド単位を1または2以上有する側鎖を複数本グラフトしたポリマー(以下、「変性ポリオレフィン」という場合がある。)と、アルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属に属する少なくとも1種の金属またはその塩と、を導電性付与剤として用いることが、上記課題を解決し、導電性に優れた導電性ベルトおよび導電性ローラを得る上で有効であるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明の導電性ベルトは、ポリオレフィンからなる主鎖に、アルキレンオキサイド単位を1または2以上有する側鎖を複数本グラフトしたポリマーと、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および遷移金属に属する少なくとも1種の金属またはその塩とを、導電性付与剤として含有することを特徴とするゴム組成物を用いて形成されている。
【0014】
また、本発明の導電性ローラは、ポリオレフィンからなる主鎖に、アルキレンオキサイド単位を1または2以上有する側鎖を複数本グラフトしたポリマーと、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および遷移金属に属する少なくとも1種の金属またはその塩と、を含有することを特徴とするゴム組成物を用いて形成されている。
【0015】
上記変性ポリオレフィンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属およびそれらの塩との親和性が高く、かつ導電性ベルトや導電性ローラに通常用いられる基材ゴムとの親和性も高い。従って、可塑剤や界面活性剤を多量に配合しなくても、変性ポリオレフィン、および上記金属またはその塩を導電性付与剤として基材ゴム中に充分に分散させることができる。
【0016】
また、上記導電性付与剤はゴムに導電性を付与する効果が高いことから、ベルトやローラに所望の導電性を付与するのに際して、従来の導電性物質よりも添加量を少なくすることができる。
【0017】
さらに本発明によれば、上記導電性付与剤を用いることによって、従来のイオン伝導型導電性付与剤では充分な導電性を付与することが困難であった、体積固有抵抗の高いポリマーをも基材ゴムとして使用できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の導電性ベルトおよび導電性ローラを形成するゴム組成物について詳細に説明する。
【0019】
前記ゴム組成物を構成する基材ゴムとしては、これに限定されないが、例えば天然ゴム(NR)、アクリルゴム、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、エピクロロヒドリンゴム(以下、エピクロロヒドリンの単独重合体をCO、エピクロロヒドリンとエチレンオキシドとの共重合体をECOという)、ウレタンゴム(U)、塩素化ポリエチレン(CPE)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用できるほか、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明においては、SBR、BR、IR、NR、EPDM、IIR、X−IIRのような体積固有抵抗が高いゴムも使用することができる。
【0020】
上記の中でも特に好適な基材ゴムとしては、例えばCR、CRとEPDMの混合物、NBR、NBRとEPDMの混合物、NBRとCRとEPDMの混合物、HNBR、HNBRとEPDMの混合物、HNBRとNBRの混合物、HNBRとNBRとEPDMの混合物、NBRとECOの混合物、CO、ECO、CRとCOの混合物、CRとECOの混合物、アクリルゴム、CPE、CPEとCOの混合物、CPEとECOの混合物等が挙げられる。
【0021】
本発明に用いられる基材ゴムは、例えば重合開始剤や重合触媒に由来する金属イオン等を含有して、それ自体がイオン伝導性を有するものであってもよい。
【0022】
上記例示の基材ゴムのうちNBRとしてはアクリロニトリル含量が15〜55%、好ましくは25〜45%のものが好適に使用される。
【0023】
HNBRとしては、例えば日本ゼオン(株)製のゼットポール1020、同2010、同2020等が挙げられる。
【0024】
EPDMとしては、ジエン成分がエチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン等であるものが好適に使用される。
【0025】
CRとEPDMとの併用系においては、両者の配合割合CR:EPDMが99.9:0.1〜60:40(重量比)であるのが好ましい。
【0026】
NBRとEPDMとの併用系においては、両者の配合割合NBR:EPDMが99.9:0.1〜60:40(重量比)であるのが好ましい。
【0027】
HNBRとEPDMとの併用系においては、両者の配合割合HNBR:EPDMが99.9:0.1〜50:50(重量比)であるのが好ましい。
【0028】
HNBRとNBRとの併用系においては、両者の配合割合HNBR:NBRが99.9:0.1〜20:80(重量比)であるのが好ましい。
【0029】
NBRとECOとの併用系においては、両者の配合割合NBR:ECOが99.9:0.1〜0.1:99.9(重量比)であるのが好ましい。
【0030】
NBRとCRとEPDMとの併用系においては、NBRとCRとの配合割合はNBR:CRが99.9:0.1〜10:70(重量比)であり、かつEPDMの配合割合が全体の0.1〜20重量%であるのが好ましい。
【0031】
HNBRとNBRとEPDMとの併用系においては、HNBRとNBRとの配合割合HNBR:NBRが99.9:0.1〜10:70(重量比)であり、かつEPDMの配合割合が全体の0.1〜20重量%であるのが好ましい。
【0032】
本発明における変性ポリオレフィンとしては、例えば主鎖がポリエチレン、ポリプロピレン等からなるものが挙げられる。
【0033】
また、前記変性ポリオレフィンにおける側鎖は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド単位が、1または2以上、好ましくは、3〜20、より好ましくは、6〜12、なかんずく、平均10程度含まれるものであって、前記主鎖にグラフトしたものである。なお、側鎖にはアルキレンオキシド以外の構造を含んでいたり、場合によってはさらに枝分かれしていてもよい。
【0034】
前記側鎖は主鎖中に複数本グラフトしており、具体的には、主鎖の繰り返しモノマー単位2〜20個、好ましくは4〜10個、より好ましくは7〜9個につき1本の割合でグラフトしている。さらに、側鎖の本数は変性ポリオレフィン1分子当り2〜20本、さらに好ましくは3〜12本となっている。言い換えれば、上記主鎖モノマー単位(繰り返し単位)に側鎖が1本ぶら下がった構造が2〜20、好ましくは3〜12繰り返した構造になっている。 このような変性ポリオレフィンの例としては、例えば住友化学(株)製の商品名「スミエード300」等が挙げられる。
【0035】
変性ポリオレフィン(例えば前出の「スミエード300」)にはアルカリ金属やアルカリ土類金属およびそれらの塩、また場合によっては遷移金属およびその塩を、通常の可塑剤や界面活性剤、オリゴマー等よりも多く添加できる。その一例として、前出の「スミエード300」には過塩素酸リチウムを全体の少なくとも10重量%程度添加することができる。
【0036】
本発明の導電性ベルトや導電性ローラを作製する場合には、「スミエード300」とアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属およびそれらの塩を、基材ゴムに対し、同時に添加することができる。また、あらかじめ前記金属や塩を分散または溶解させておいた「スミエード300」を、基材ゴムに添加することもできる。
【0037】
前記変性ポリオレフィンが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属およびそれらの塩を多く含有できるのは、分子中のアルキレンオキサイドの量が他のポリオキシアルキレン化合物より多く、また隣接するポリアルキレンオキシド鎖の距離が小さいため、リチウムイオン等のイオンを数多く内包することができる上に、分子内でリチウムイオン等が移動できる自由度、およびアルキレンオキサイド鎖による安定化度が大きくなることによると考えられる。
【0038】
本発明におけるアルカリ金属としては例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が;アルカリ土類金属としては例えばマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が;遷移金属としては例えばチタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、モリブデン、パラジウム、タングステン、オスミウム、銀等がそれぞれ挙げられる。また、これらの塩としては、例えば過塩素酸塩、チオシアン酸塩、トリフルオロスルホン酸塩、テトラフェニルホウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物等が挙げられる。
【0039】
本発明においては、上記例示のアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属およびそれらの塩の中でも、原子の大きさが小さいリチウムまたはその塩が好適であって、過塩素酸リチウムが最も好適である。
【0040】
前記ゴム組成物における導電性付与剤の添加量(変性ポリオレフィンと、アルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属に属する少なくとも1種の金属またはその塩と、の総量)は、所望の導電性の程度や基材ゴムの種類によって異なるため、特に限定されるものではないが、一般に、前記変性ポリオレフィンと基材ゴム100重量部に対して、0.2〜15重量部、好ましくは、2.5〜7.5重量部である。導電性付与剤の添加量が前記範囲を下回ると、充分な導電性が得られないおそれがある。逆に、添加量が前記範囲を超えると、導電性が大きくなりすぎたり、導電性付与剤のブルームが生じたりするおそれがある。また、導電性付与剤の添加量が多すぎる場合には、ブルームの発生の有無にかかわらず、複写機内で接触する感光体を汚染し、印刷物に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0041】
なお本発明においては、ゴム組成物中に配合してイオン導電性を付与する物質として、変性ポリオレフィンと、アルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属に属する少なくとも1種の金属またはその塩とともに、金属塩ドーピング可塑剤、過塩素酸リチウム、ポリエチレンオキサイド、第4級アンモニウム塩等をブルームが生じない程度に併用することができる。
【0042】
前記ゴム組成物には、導電性充填剤や種々の公知の添加剤を配合することができる。
導電性充填剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられ、中でも、導電性の付与効果が高いカーボンブラックや、添加量に応じて導電性が緩やかに変化するミディアムストラクチャーまたはローストラクチャーのカーボンブラックが好適である。
【0043】
カーボンブラックとしては、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等が挙げられ、その他カラーブラックも好適に用いられる。中でもアセチレンブラック;ファーネスブラックFEF、GPF、HAF、SRF;サーマルブラックMT、FT等が好適である。
【0044】
導電性充填剤としてカーボンブラックを用いる場合、その配合量は基材ゴム100重量部に対して5〜60重量部の割合で配合するのが好ましく、10〜50重量部の割合で配合するのがより好ましい。
【0045】
上記基材ゴムおよび導電性充填剤を含有するゴム組成物にはさらに、従来公知の種々の添加剤を配合することができる。
【0046】
公知の添加剤としては、例えば加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤,補強剤、充填剤、加工助剤等が挙げられる。
【0047】
このうち加硫剤としては、例えば硫黄、有機含硫黄化合物のほか、有機過酸化物等も使用可能である。有機含硫黄化合物としては、例えばテトラメチルチウラムジスルフィド、N,N'−ジチオビスモルホリンが挙げられる。また、有機過酸化物としては、例えばベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド等が挙げられる。加硫剤の添加量は、基材ゴム100重量部に対して0.3〜4重量部、好ましくは0.5〜3重量部であるのが適当である。 加硫促進剤としては、例えば消石灰、マグネシアMgO、リサージPbO等の無機促進剤、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド等のチウラム類;ジブチルジチオカーバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカーバミン酸亜鉛等のジチオカーバメート類;2−メルカプトベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のチアゾール類;トリメチルチオ尿素、N,N'−ジエチルチオ尿素等のチオウレア類等の有機促進剤が挙げられる。
【0048】
加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華等の金属酸化物、ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸のほか、その他の従来公知の加硫促進助剤が挙げられる。
【0049】
老化防止剤としては、例えば2−メルカプトベンゾイミダゾール等のイミダゾール類;フェニル−α−ナフチルアミン、N,N'−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン等のアミン類;ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、スチレン化フェノール等のフェノール類等が挙げられる。
【0050】
軟化剤としては、例えばステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸、綿実油、トール油、アスファルト物質、パラフィンワックス等の、植物油系、鉱物油系、および合成系の各種軟化剤が挙げられる。
【0051】
可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート等が挙げられ、導電性を有するものも使用することができる。
【0052】
補強剤としては、前述のようにカーボンブラックが代表例として挙げられるが、他の補強剤として例えばシリカ系あるいはケイ酸塩系のホワイトカーボン、亜鉛華、表面処理沈降性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー等の無機補強剤や、クマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、ハイスチレン樹脂(スチレン含有量の多いスチレン−ブタジエン共重合体)等の有機補強剤も使用できる。
【0053】
充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、ケイ藻土等が挙げられる。
【0054】
加工助剤としては、例えば脂肪酸の金属塩や脂肪酸のエステル等が挙げられる。
【0055】
次に、本発明の導電性ベルトについて詳細に説明する。
【0056】
本発明の導電性ベルトは次のようにして製造される。まず、導電性ベルトの原料であるゴム組成物を構成する各成分を所定量配合し、混練してゴム組成物を製造した後、このゴム組成物をベルト状、好ましくはエンドレスベルト状に押出成形または射出成形し、次いで加硫を行う。加硫は缶加硫が好適であるが、その他の加硫方法であってもよい。加硫条件は、使用する基材ゴムや各成分の配合量に応じて変化するが、通常は140〜170℃で0.2〜6時間程度行うのが好ましい。加硫し、放冷した後、ベルトを所定のゴム厚みに合せて研磨する。
さらに必要な場合、例えば導電性ベルトを転写ベルトとして用いるときは、トナーの付着によるベルト表面の汚れを防止し、表面抵抗率を安定させるために、研磨後の表面にウレタン樹脂等のコート剤をスプレーしたり、あるいはディップ等の方法で塗布して、乾燥固化の後加熱硬化させてもよい。
【0057】
本発明の導電性ベルトを、電子写真装置の転写ベルトとして使用する場合の一例を、図1に基いて説明する。
【0058】
図1に示すように、電子写真装置においては、まず帯電チャージャー4によってあらかじめ表面が帯電された感光体5の表面に、露光部Aでの露光によって静電潜像が形成される。次いで、この静電潜像が現像ローラ6によってトナー像に顕像化される。
【0059】
一方、印刷紙8は、給紙ローラ7から転写ベルト3によって転写部Bに搬送される。そして転写部Bにて、背面の転写チャージャー9の作用によって、感光体5上のトナー像が印刷紙8上に転写され、転写後の印刷紙8'は、引続き転写ベルト3によって定着ローラ10に搬送されて定着処理される。
【0060】
なお図1中、符号7は転写ベルト3に印刷紙8を供給するローラ、11は転写ベルト3上に付着したトナーを除去するクリーニングブレード、12は転写ベルト3を駆動するためのローラをそれぞれ示す。
【0061】
上記の構成において転写ベルト3は、転写チャージャー9の作用によりチャージを有するため、印刷紙8を静電吸着することができ、トナー像の転写だけでなく、印刷紙8の感光体5からの分離や搬送も併せて行うことができる。すなわち上記の構成では、転写と搬送の過程を一体化できることから、電子写真装置を小型化できる。
【0062】
また、印刷紙8が転写ベルト3上に静電吸着して搬送されることから、印刷紙8の位置がずれるおそれが少なく、かかる転写ベルト3として、前述したように体積固有抵抗Rが106 〜1013Ω・cmであって高い転写効率を有する本発明の導電性ベルトを使用していることと相まって、良好なトナー像の転写を行うことができる。
【0063】
なお、本発明の導電性ベルトは、上記転写ベルト以外にも例えば、転写の機能のない、印刷紙を搬送する機能のみを有する通常の搬送ベルト等にも使用することができる。
【0064】
次に、本発明の導電性ローラについて詳細に説明する。
【0065】
本発明の導電性ローラ21は、例えば図2にその一例を示すように、導電性を有するゴムチューブ22に導電性シャフト23を挿入したものである。
【0066】
本発明の導電性ローラ21は次のようにして製造される。まず、導電性ローラのゴムチューブ22の原料であるゴム組成物を構成する核成分を所定量配合し、混練してゴム組成物を製造した後、このゴム組成物をチューブ状に押出成形または射出成形し、次いで加硫を行う。加硫は缶加硫が好適であるが、その他の加硫方法であってもよい。加硫条件は使用する基材ゴムや各成分の配合量に応じて変化するが、通常は140〜170℃で0.2〜6時間程度行うのが好ましい。加硫し、放冷した後、ゴムチューブ22を所定の長さにカットし、導電性シャフト3を挿入して、さらにゴムチューブ22の表面を所定のローラの直径に合せて研磨する。
【0067】
導電性シャフトと23としては、従来用いられているものがいずれも使用可能である。具体的には、銅、アルミニウム、炭素鋼、ステンレス等の金属シャフトが挙げられる。
【0068】
本発明の導電性ローラは、例えば電子写真複写装置における感光体表面の帯電または放電の用途に用いられるほか、前述の転写ベルトのように感光体表面のトナー像を転写する機能を付与した転写ローラや、印刷紙を搬送する機能のみを有する通常のローラとしても使用することができる。
【0069】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例に基いて説明する。
【0070】
各実施例および比較例で使用した材料は以下のとおりである。
【0071】
NBRには、日本ゼオン(株)製の「ニッポール1032」を用いた。
【0072】
EPDMには、三井石油化学工業(株)製の「EPT4021」を用いた。
【0073】
ECOには、ダイソー(株)製の「CG104」を用いた。
【0074】
CRには、昭和電工・デュポン社製の「ネオプレンWRT」を用いた。
【0075】
NRには「RSS3」を用いた。
【0076】
SBRには、日本合成ゴム(株)製の「SBR1500」を用いた。
【0077】
導電性充填剤には、三菱化学(株)製のカラーブラック「#25」を用いた。
【0078】
導電性付与剤には、(1) 前出の変性ポリオレフィン〔住友化学(株)製の商品名「スミエード300」〕、(2) 前記「スミエード300」に10重量%の過塩素酸リチウム(LiClO4 )を含有させたもの〔以下、「スミエード300+LiClO4 」で示す。〕、および三建加工社製の導電性可塑剤(含過塩素酸リチウムのエステル系可塑剤、商品名「US70(改2)」)を用いた。
【0079】
加硫促進剤には、大内新興化学工業(株)製のN―シクロへキシル―2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(商品名「ノクセラーCZ」)、同社製のN−tert―ブチル―2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド(商品名「ノクセラーNS」)、同社製のテトラメチルチウラムモノスルフィド(商品名「ノクセラーTS」)、同社製のジベンゾチアジルジスルフィド(商品名「ノクセラーDM」)、同社製のジ−オルト−トリルグアニジン(商品名ノクセラー「DT」)、同社製の商品名「ノクセラーEP−55」、および同社製のジフェニルグアニジン(商品名「ノクセラーD」)を用いた。
【0080】
亜鉛華には、東邦亜鉛社製の「#1」を用いた。
【0081】
ステアリン酸には、ユニケマオーストラリア社製の「4931」を用いた。
【0082】
シリカには、日本シリカ社製の「ニップシールER−R」を用いた。
【0083】
加工助剤には、TECHNICAL P.社製の「TE−80」を用いた。
【0084】
硫黄には、鶴見化学社製の粉末硫黄を用いた。
【0085】
(導電性ベルトの製造)
実施例1〜10、比較例1〜11
基材ゴム、導電性付与剤および各種添加剤を表1〜4に示す配合量で配合し、密閉式混練機で素練り、混練した。こうして得られたゴム組成物を、押出機を用いてエンドレスベルト状に押出成形し、次いで加硫缶に入れて、160℃で0.5時間加熱して加硫を行った。さらに、ベルトのゴム厚みが0.50±0.05mmとなるように、その表面を研磨してベルトを得た。この研磨した表面に厚み約10μmになるようにウレタン樹脂を塗布して導電性ベルトを得た。
【0086】
(体積固有抵抗logRの測定方法)
得られた各導電性ベルトについて、体積固有抵抗logRを測定した。体積固有抵抗Rの測定は、前述の条件で、JIS K6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に記載の抵抗率の測定方法に準拠して行い、印加電圧はすべて100Vとした。
【0087】
(感光体汚染の有無の試験方法)
感光体に導電性ベルトを温度40℃で、相対湿度85%以下の条件で押し付けた状態で1週間接触させ、その後感光体から導電性ベルトを除去し、当該感光体と導電性ベルトを用いて、プリンタ〔キャノン(株)製のレーザーショットA404型〕で黒ベタの印刷を行い、印刷物に汚れが生じないかを次の基準で調査した。
◎:汚染がみられなかった。
○:軽度の汚染がみられたが、2枚以内の刷込みにより取れる程度であって、実用上問題がなかった。
×:重度の汚染がみられた(3枚以上刷込んでも取ることのできない汚染であった)。
【0088】
上記各試験の結果を、各成分の配合割合とともに表1〜4に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
表1より明らかなように、アルカリ金属塩である過塩素酸リチウムを10%含む変性ポリオレフィン(「スミエード300」)を導電性付与剤として添加した実施例1〜4のlogRと、導電性付与剤を添加していない比較例1のlogRとを比較すると、「スミエード300+LiClO4」を2.5phr添加した実施例1でlogRが1.4低下、5phr添加した実施例2でlogRが2.3低下、10phr添加した実施例3でlogRが2.9低下、15phr添加した実施例4でlogRが3.6低下、というように、いずれの実施例もlogRが大幅に低下した(比較例1のlogRとの差が大きかった)。なお、この傾向は、表2〜4より明らかなように、基材ゴムが異なる実施例5〜10でも同様であった。
【0093】
これに対し、従来の導電性付与剤である「US70(改2)」を添加した比較例と、導電性付与剤を添加していない比較例1のlogRとを比較すると、表1より明らかなように、5phr添加した比較例4でlogRが1.2の低下、20phr添加した比較例5でlogRが2.5の低下に過ぎない上、比較例5ではブリードの発生が著しかった。なお、この傾向は、表2〜4より明らかなように、基材ゴムが異なる比較例7、9および11でも同様であった。
【0094】
また、「スミエード300」のみでアルカリ金属を含まない場合は、「スミエード300」を20phr添加した比較例3においても、比較例1のlogRとの差は、0.9を示すだけであった。
【0095】
【発明の効果】
本発明の導電性ベルトおよび導電性ローラは、ブリードまたはブルームすることなしに高い導電性が得られ、しかも、感光体を汚染することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性ベルトの一例を示す説明図である。
【図2】本発明の導電性ローラの一例を示す説明図である。
Claims (2)
- ポリオレフィンからなる主鎖に、アルキレンオキサイド単位を1または2以上有する側鎖を複数本グラフトしたポリマーと、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および遷移金属に属する少なくとも1種の金属またはその塩とを、導電性付与剤として含有することを特徴とするゴム組成物を用いて形成したことを特徴とする導電性ベルト。
- ポリオレフィンからなる主鎖に、アルキレンオキサイド単位を1または2以上有する側鎖を複数本グラフトしたポリマーと、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および遷移金属に属する少なくとも1種の金属またはその塩とを、導電性付与剤として含有することを特徴とするゴム組成物を用いて形成したことを特徴とする導電性ローラ。
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