JP4116327B2 - ランプ点灯回路及びランプ点灯方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、所定のランプ及び他の負荷の電力供給源が同一とされる場合に、この電力供給源からの電源電圧を用いて、所定のPWM信号に基づくPWM制御によりランプを点灯駆動するランプ点灯回路及びそれに関連する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車は、定格12Vのバッテリを電源として、定格電圧が12V(エンジンオン時の自動車電圧は14V)であるランプやモーターを駆動していた。ところで、近年、空気調和機(エアコンディショナー)、ナビゲーションシステム及びオーディオシステムなどの種々の電装品の増加に加えて、将来技術として注目されているスタート&ストップシステムに対応するには、今まで以上に大電流供給が必要となる。この対策として、自動車電源電圧の36V化(エンジン回転時は42V)が進められている。このように高電圧化することによって、モーター系のエネルギー効率が向上し、消費電力の大きなファン関係の省エネが期待されている。
【0003】
ところが、負荷としてのランプを駆動する場合、定格42Vといった高電圧に対応するためには、フィラメントを細くするか長くするかして抵抗値を増大させる必要があるが、そのためには今まで以上にランプのフィラメントを細径化または長線化する必要がある。しかしながら、これ以上のフィラメントの細径化、長線化は、自動車の発進時/停止時の加速度変化でフィラメントが折れやすくなり、信頼性に問題が生じると考えられる。
【0004】
そこで現状有力なのが、ランプをパルス幅変調(PWM)制御することが検討されている。このように、PWM制御でランプを点灯駆動する場合、PWM信号のデューティー比を調整することで、ランプの調光も可能となる利点がある。
【0005】
ランプをPWM制御する場合、例えば図4の如く、電界効果型トランジスタ(パワーMOSFET:高速スイッチ)などの高速スイッチ1を用いて、例えば36Vの電力供給部(電力供給源)2から与えられる電源電圧を数十〜数百ヘルツで高速にオンオフスイッチングをさせ、これによりランプ3を駆動する。ここで、高速スイッチ1は所定の駆動回路4からのPWM信号Sに従って高速オンオフ動作を行う。
【0006】
自動車の電力供給部2は、エンジン回転を利用した発電器5とその発電器出力と並列に接続された蓄電池6とからなる。電力供給部2からの大電流で負荷がオンし、その消費電流が発電器5の出力を上回った場合でも、蓄電池6がその不足分を補い、この負荷の動きに支障がでないように考慮されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ランプとその他の負荷とが同一の電力供給部2から電力供給を受ける場合、ランプ3に印加される電源電圧が変動してしまう。そうすると、このわずかな電源電圧の変動がランプ3のちらつきとなって現れる。特に他の負荷が大電流消費型の場合には、電源電圧の変動が大きく、ランプ3のちらつきが顕著となる。
【0008】
そこで、この発明の課題は、ちらつきを容易に防止し得るランプ点灯回路及びそれに関連する技術を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、所定のランプ及び他の負荷の電力供給源が同一とされる場合に、前記電力供給源からの電源電圧を用いて、所定のPWM信号に基づくPWM制御により前記ランプを点灯駆動する際に、前記電力供給源からの前記電源電圧の変動に応じて、前記ランプの明るさを均一に維持するように前記PWM信号のデューティー比を変更するランプ点灯回路であって、前記電力供給源からの電源電圧を高速にオンオフして前記ランプを点灯駆動する高速スイッチと、前記高速スイッチにPWM信号を与えて当該高速スイッチを高速にオンオフさせる駆動回路と、前記PWM信号のデューティー比及び周波数を変更する制御部とを備え、前記制御部は、当該他の負荷の駆動が開始する前に、当該他の負荷の起動を指示する信号に基づいて、前記PWM信号の前記周波数を、定常時の前記PWM信号の第1の周波数より高い所定の第2の周波数に設定するものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のランプ点灯回路であって、前記第1の周波数が50Hzより大きく設定されるものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のランプ点灯回路であって、前記第1の周波数が80Hz以上である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のランプ点灯回路であって、前記第1の周波数が100Hz以上である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、所定のランプ及び他の負荷の電力供給源が同一とされる場合に、前記電力供給源からの電源電圧を用いて、所定のPWM信号に基づくPWM制御により前記ランプを点灯駆動する際に、前記電力供給源からの前記電源電圧の変動に応じて、前記ランプの明るさを均一に維持するように前記PWM信号のデューティー比を変更するランプ点灯方法であって、当該他の負荷の駆動が開始する前に、当該他の負荷の起動を指示する信号に基づいて、前記PWM信号の前記周波数を、定常時の前記PWM信号の第1の周波数より高い所定の第2の周波数に設定する。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のランプ点灯方法であって、前記第1の周波数が50Hzより大きく設定される。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載のランプ点灯方法であって、前記第1の周波数が80Hz以上である。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項5に記載のランプ点灯方法であって、前記第1の周波数が100Hz以上である。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一の実施の形態に係るランプ点灯回路を示すブロック図である。尚、この実施の形態では、図4に示したランプ点灯回路内のものと同様の機能を奏する要素について同一符号を用いている。このランプ点灯回路は、図1の如く、自動車のランプ3及び他の負荷11の電力供給源が同一の電力供給部2であり、この電力供給部2から供給される電源電圧Vin(例えば42V)が、ランプ3の定格電圧(12V)よりも大きく設定されている場合に、電源電圧Vinを用いたPWM制御によりランプ3を点灯駆動するものであり、特に、他の負荷11が駆動を開始するなどの原因で電源電圧Vinに変動を来す際に、ランプ3のPWM制御のためのPWM信号Sの周波数を、定常状態より高くすることで、ランプ3の視認上のちらつきを防止する。
【0018】
具体的に、このランプ点灯回路は、図1の如く、電力供給部(電力供給源)2から出力される電源電圧Vinを制御部(マイクロコンピュータ)8で検出し、この制御部8において、検出された電源電圧Vinに適したデューティー比を計算し、この計算されたデューティー比でPWM信号Sのデューティー補正を行いながら、駆動回路4からPWM信号Sの次のパルスを出力する。これにより、ランプ3のちらつきを軽減できる。
【0019】
ところで上述したように、自動車には、ランプ3以外に、空気調和機(エアコンディショナー)、ナビゲーションシステム及びオーディオシステムなどの種々の負荷11が搭載されており、これらの負荷11とランプ3に対して、共に同一の電力供給部2から電力が供給される。したがって、種々の負荷11の稼動状態によって電力供給部2から与えられる電源電圧Vinが変動することがある。特に、空気調和機やエンジン始動時のクランキング運転など、瞬間的に消費電流が大きくなる負荷の影響から、電力供給部2からランプ3に与えられる電源電圧Vinが一時的に大きく変動することがある。
【0020】
このような場合において、駆動回路4から高速スイッチ1に出力されるPWM信号Sの周波数が小さすぎる(即ち、周期が長すぎる)と、電源電圧Vinの一時的な変動により制御部8がPWM信号Sのデューティー比を変更(デューティー補正)した後、即座に電源電圧Vinの変動が終了しても、既に変更されたデューティー比のままPWM信号Sが出力されることになる。この場合、計算されたデューティー比に補正したパルスが出力された時点で、既に最適なデューティー比が替わっている可能性があり、ランプ3の明るさが不均一になるとともに、PWM信号Sの周期が長いことから、PWM信号Sがオン状態となってランプ3が点灯する時間も長くなり、人が肉眼で視認した場合に、却ってランプ3のちらつきを増大させる原因となる。したがって、このような電源電圧Vinの変動に対しては、ランプ3をPWM制御するためのPWM信号Sの周波数を大きく設定することで、デューティー比の補正を素早く実行し、デューティー比の不安定状態を可及的に素早く解消すると同時に、人が肉眼で視認した場合にちらつきと感じる度合いを低減することが望ましい。
【0021】
このことを考慮して、この実施の形態のランプ点灯回路では、ランプ3に与える電源電圧Vinに応じてPWM信号Sのデューティー比を変化させる場合に、PWM信号Sの周波数の制御を、他の負荷11の駆動タイミングを考慮して変化させている。即ち、電源電圧Vinの変化に対応してPWM信号Sのデューティー比を制御する場合、PWM信号Sの周波数を大きくすればするほど、電源電圧Vinの変化に即応して最適なデューティー比でランプ3のPWM制御を行うことができるが、常にPWM信号Sの周波数を大きく設定すると、高速スイッチ1の発熱が大きくなり、且つノイズ増大の原因となるので、他の負荷11の起動時に限ってPWM信号Sの周波数を大きくするよう制御する。これにより、他の負荷11の起動時に一瞬だけ電源電圧Vinが大きく変化した後に安定状態に復帰する場合に、PWM制御のデューティー比を高速で変化させて最適なランプ3のPWM制御を行う一方、電源電圧Vinの安定状態では、PWM信号Sの周波数を比較的小さくすることで、高速スイッチ1の発熱等の弊害を防止している。
【0022】
具体的に、本出願人は、電源電圧Vinを一定とした状態で、PWM信号Sの周波数を徐々に変更して、肉眼視した場合のランプのちらつき具合を調査した。ここで用いたPWM信号Sの波形は、図2の如く、一周期において1つのパルスを有しており、そのデューティー比は11%に設定されている。図2中のTはPWM信号Sの周期を意味している。
【0023】
尚、PWM信号Sのデューティー比が11%に設定される根拠は次の通りである。
【0024】
まず、ランプ3の明るさが一定であると言うことは、その内部のランプフィラメントの温度が同じことであると言い換えることができる。ここで、ランプフィラメントの電力消費量Pは、フィラメントにかかる電圧をV、フィラメント抵抗をRfとすると、次の(1)式で表すことができる。
【0025】
P = V2/Rf …(1)
ただし、PWM制御の場合、フィラメントでの平均消費電力Pavは、デューティー比をd(ただし、0<デューティー<1)とすると、次の(2)式で表される。
【0026】
Pav = d×P = d×V2/Rf …(2)
ここで、14Vの電源を用いてランプ3をDC駆動する場合と、電力供給部2からの42Vの電源電圧Vinを用いてランプ3をPWM駆動する場合とで、ランプ3内のフィラメント温度を同じにするためには、平均消費電力(供給電力量)Pavが同じでなければならない。14VでのDC駆動時と42VでのPWM駆動時の供給電力が同じである旨を数式化すると、次の(3)式のようになる。
【0027】
142/Rf = d×422/Rf …(3)
この(3)式より、次の(4)式が得られ、これによりデューティー比dは0.11と計算できる。
【0028】
d = 142/ 422 = 0.11(=11%) …(4)
かかるデューティー比dを適用して、上記の調査を行った結果、周波数が50Hzを下回ると、ランプ3を見てちらつきが判る人が現れ始め、40Hz以下では、多くの人がちらつきを感じることがわかった。この調査結果から、人が肉眼視した場合、50Hzより小さい周期数のパルスに関しては視認者が1つ1つのパルスを認識するおそれが高いと考えられる。
【0029】
このことから、電源電圧Vinが種々の要因により変動する場合のPWM制御(PWM補正)においては、PWM信号Sの周波数を少なくとも40Hzを越えた値に設定すれば、仮にランプ3の明るさが変動したとしても、これを人が肉眼で視認した場合にちらつきを感じる人が比較的少なく、50Hzを越えた値に設定すれば、ほとんどの人がちらつきを感じることがないことになる。
【0030】
実際の自動車においては、上述のように、空気調和機やラジエータファンなどの大電流消費型の負荷11を動作させることになるため、視認上のちらつきを完全に防止するためには、PWM信号Sの周波数が80Hz以上、さらに好ましくは100Hz以上に設定するのが望ましいことが判明した。
【0031】
また、エアコンやエンジン等(負荷11)の始動時におけるクランキング運転など、特に瞬間的に消費電流が大きくなる負荷11が接続されている場合には、このPWM信号Sの周波数を定常時の周波数と比べて更に大きくする。このことによって、デューティー補正をより早く実行することが可能となり、ランプ3のちらつきを確実に防止することが可能となる。
【0032】
この場合、まず、図3中のStep1のように、空気調和機やイグニション等の各種の負荷11が始動する旨の信号を制御部8に入力する。例えば、負荷11が空気調和機である場合、ブロアファンの起動スイッチ信号を制御部8のA/D入力端子に入力する。そして、Step2で制御部8が即座にPWM信号Sの周波数を変更する。しかる後、Step3で、ブロアファンの駆動を開始すればよい。
【0033】
尚、このようにPWM信号Sの周波数を大きく設定することは、高速スイッチ1の発熱量を増加させることになるが、必要なときにのみ周波数を大きくすることで、高速スイッチ1の発熱量を最小限に抑制できる。
【0034】
以上のように、42V化した自動車で定格12Vのランプ3を42Vの電力供給部2でPWM制御し、かつ電源電圧Vinの変動を制御部8で検出してデューティー比を制御してランプ照度の一定化を行う場合に、PWM周波数を80Hz以上、さらに好ましくは100Hz以上に設定することで、視認上のランプ3のちらつきを防止できる。
【0035】
さらに、エアコンブロアなどの大電流消費型の負荷11がオンするときに、その直前にランプ駆動用のPWM信号Sの周波数を大きくすることで、急峻な電圧変動に対しても、定常時よりも頻繁にデューティー補正を行うことができ、確実に視認上のランプ3のちらつきを防止できる。
【0036】
【発明の効果】
請求項1および請求項5に記載の発明によれば、当該他の負荷の駆動が開始する前に、当該他の負荷の起動を指示する信号に基づいて、PWM信号の周波数を、定常時のPWM信号の第1の周波数より高い所定の第2の周波数に設定するので、他の負荷の起動によりランプに与える電源電圧が変動した時点で、既に変更したデューティー比を適用してランプのPWM制御による点灯駆動を行うことができ、確実にランプのちらつきを防止できる。
【0037】
請求項2〜請求項4及び請求項6〜請求項8に記載の発明によれば、PWM信号の周波数を一定の値以上に設定することで、人が肉眼で視認した場合に、定常時と他の負荷の起動時のいずれにおいても、ランプのちらつきが気にならなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一の実施の形態に係るランプ点灯回路を示すブロック図である。
【図2】この発明の一の実施の形態に係るランプ点灯回路においてランプをPWM制御により点灯駆動する場合のPWM信号を示す波形図である。
【図3】この発明の一の実施の形態に係るランプ点灯方法を示すフローチャートである。
【図4】一般的なランプ点灯回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 高速スイッチ
2 電力供給部
3 ランプ
4 駆動回路
8 制御部
11 負荷
S PWM信号
Vin 電源電圧
Claims (8)
- 所定のランプ及び他の負荷の電力供給源が同一とされる場合に、前記電力供給源からの電源電圧を用いて、所定のPWM信号に基づくPWM制御により前記ランプを点灯駆動する際に、前記電力供給源からの前記電源電圧の変動に応じて、前記ランプの明るさを均一に維持するように前記PWM信号のデューティー比を変更するランプ点灯回路であって、
前記電力供給源からの電源電圧を高速にオンオフして前記ランプを点灯駆動する高速スイッチと、
前記高速スイッチにPWM信号を与えて当該高速スイッチを高速にオンオフさせる駆動回路と、
前記PWM信号のデューティー比及び周波数を変更する制御部と
を備え、
前記制御部は、当該他の負荷の駆動が開始する前に、当該他の負荷の起動を指示する信号に基づいて、前記PWM信号の前記周波数を、定常時の前記PWM信号の第1の周波数より高い所定の第2の周波数に設定することを特徴とするランプ点灯回路。 - 請求項1に記載のランプ点灯回路であって、
前記第1の周波数が50Hzより大きく設定されることを特徴とするランプ点灯回路。 - 請求項1に記載のランプ点灯回路であって、
前記第1の周波数が80Hz以上であることを特徴とするランプ点灯回路。 - 請求項1に記載のランプ点灯回路であって、
前記第1の周波数が100Hz以上であることを特徴とするランプ点灯回路。 - 所定のランプ及び他の負荷の電力供給源が同一とされる場合に、前記電力供給源からの電源電圧を用いて、所定のPWM信号に基づくPWM制御により前記ランプを点灯駆動する際に、前記電力供給源からの前記電源電圧の変動に応じて、前記ランプの明るさを均一に維持するように前記PWM信号のデューティー比を変更するランプ点灯方法であって、
当該他の負荷の駆動が開始する前に、当該他の負荷の起動を指示する信号に基づいて、前記PWM信号の前記周波数を、定常時の前記PWM信号の第1の周波数より高い所定の第2の周波数に設定することを特徴とするランプ点灯方法。 - 請求項5に記載のランプ点灯方法であって、
前記第1の周波数が50Hzより大きく設定されることを特徴とするランプ点灯方法。 - 請求項5に記載のランプ点灯方法であって、
前記第1の周波数が80Hz以上であることを特徴とするランプ点灯方法。 - 請求項5に記載のランプ点灯方法であって、
前記第1の周波数が100Hz以上であることを特徴とするランプ点灯方法。
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