JP4115630B2 - 位相差板および楕円偏光板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、傾斜配向性を有する側鎖型液晶ポリマーで形成したフィルムからなる位相差板、およびそれを用いた楕円偏光板に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイは表示性能の向上とともに電卓、時計といった小型モノクロ表示からノートパソコン、テレビ、モニター等の大型カラー表示へと応用商品領域を拡大してきた。最近では一部の特性、例えば精細度ではCRTを超えるものも現れている。
【0003】
しかしながら、液晶ディスプレイにはCRTに比べて視野角が狭いという短所がある。このため液晶ディスプレイの広視野角化技術として、これまでにいくつかの方式が提案されている。たとえば、配向分割法、ハーフトーン方式などの画素を液晶分子の配向方向が異なる複数の領域に分けて平均化する方法、IPS、MVA、OCBといった液晶動作モードの改良する方法、集光レンズや拡散レンズを用いる方法、視野角補償フィルムとなる位相差板を用いる方法などが提案されている。
【0004】
これらの方法の中で液晶動作モードを改良する方法と位相差板を用いる方法が実用化されている。特に、位相差板を用いる方法は、液晶パネルには変更を加えずに、液晶パネルに偏光板と位相差板を一体化したものを貼り合わせるだけで広視野角化が可能なため、液晶ディスプレイの製造ラインを変更する必要がなく、液晶モードを改良する方法に比べて、低コストである。
【0005】
このような位相差板としてはディスコチック液晶を傾斜させたものや棒状ネマチック液晶を傾斜させたものが知られており、いずれの場合にも液晶ポリマーを傾斜配向させたものが使用されている。傾斜配向させた液晶ポリマーよりなる位相差板に関しては、特開平8−5838号公報、特開平7−20434号公報などに種々の液晶ポリマーが開示されており、前者には主に側鎖型液晶ポリマーが、後者には主に主鎖型液晶ポリマーが開示されている。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、フィルム形成時にフィルム面に対し傾斜配向させることができる新たな側鎖型液晶ポリマーで形成したフィルムからなる位相差板、およびそれを用いた楕円偏光板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題解決のため鋭意検討を重ねた結果、以下に示す特定のモノマーユニットを含有する側鎖型液晶ポリマーから得られるフィルムが、フィルム面に対し傾斜配向することを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の位相差板は、側鎖型液晶ポリマーからなるフィルムであり、当該フィルムのフィルム面に対し、側鎖型液晶ポリマーの配向方向が傾斜しているフィルムを用いた位相差板であって、前記側鎖型液晶ポリマーは、液晶性側鎖を有するモノマーユニットで構成され、前記モノマーユニットとして、(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットを含み、そのモノマーユニットが、一般式(a1)で表されることを特徴とする。
【0010】
また、前記(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットを、前記液晶性側鎖を有するモノマーユニットの20〜50モル%含むことが好ましい。
【0011】
更に、前記液晶性の側鎖を有するモノマーユニットとして、後記の一般式(b1)で表される(b)末端にシアノ基を有するモノマーユニットを含有してなることが好ましい。
【0012】
また、本発明の側鎖型液晶ポリマーは、重量平均分子量が2千〜10万であることが好ましい。
【0014】
他方、本発明の楕円偏光板は上記位相差板を偏光板と積層一体化してなるものである。
【0015】
〔作用効果〕
本発明に用いられる側鎖型液晶ポリマーによると、実施例の結果が示すように、(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットを含むため、フィルム形成時にフィルム面に対し傾斜配向させることができる。従って、かかる液晶ポリマーを用いることにより、視野角補償に有効な、光軸が傾斜した位相差板および楕円偏光板を得ることができる。なお、本発明の側鎖型液晶ポリマーが傾斜配向性を有する理由の詳細は明らかでないが、製膜時に液晶性側鎖の末端水酸基が空気側界面に局在することで傾斜配向が生じると推測される。特に、前記(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットが、後記の一般式(a1)で表されるモノマーユニットであるため、側鎖型液晶ポリマーが傾斜配向性をより示し易くなる。そして、本発明の位相差板は、上記の如き側鎖型液晶ポリマーからなるため、視野角補償に有効な、光軸が傾斜した位相差板とすることができる。
【0017】
前記(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットを、前記液晶性側鎖を有するモノマーユニットの20〜50モル%含む場合、側鎖型液晶ポリマーの配向の均一性を維持しつつ、好適な傾斜配向性を得ることができる。
【0018】
前記液晶性の側鎖を有するモノマーユニットとして、後記の一般式(b1)で表される(b)末端にシアノ基を有するモノマーユニットを含有してなる場合、(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットに類似する化学構造を有するため、上記の如き傾斜配向性をより確実に得ることができる。
【0019】
本発明の側鎖型液晶ポリマーの重量平均分子量が2千〜10万である場合、フィルムの成膜性を良好に維持しつつ、均一な配向を得ることができる。
【0021】
他方、本発明の楕円偏光板によると、上記の位相差板を偏光板に積層してなるため、液晶パネルに貼り合わせるだけで、好適に視野角補償を行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる側鎖型液晶ポリマーは、液晶性側鎖を有するモノマーユニットで構成される側鎖型液晶ポリマーであって、前記モノマーユニットとして、(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットを含むものである。
【0023】
(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットとしては、一般式(a1):
【化3】
(式中、R1 は水素原子またはメチル基を、X1 は−COO−基または−OCO−基を、mは1〜6の整数を、pとqはそれぞれ独立に1または2(ただし、p+q≦3を満足する。)を示す。)で表されるモノマーユニットが使用される。上記の一般式(a1)で表される(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットは、R1 が水素原子、X1 が−COO−基、mが2〜6の整数、pが1、qが2のものが好ましい。
【0024】
本発明の側鎖型液晶ポリマー中の(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットの割合は、側鎖型液晶ポリマーを構成する液晶性の側鎖を有するモノマーユニットの20〜50モル%である。(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットの割合が少なくなると側鎖型液晶ポリマーが傾斜配向を取り難くなる傾向があることから、(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットの割合は、35モル%以上とするのがより好ましい。一方、(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットの割合が多くなると側鎖型液晶ポリマーの配向性が低下し均一性を維持できなくなる傾向があることから、(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットの割合は、45モル%以下とするのがより好ましい。
【0025】
前記(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットとともに側鎖型液晶ポリマーを構成する液晶性の側鎖を有するモノマーユニットは、特に制限されないが、本発明の側鎖型液晶ポリマーは、正の誘電異方性を有するネマチック液晶性を示すことが好ましいため、液晶性の側鎖を有するモノマーユニットとしては、ネマチック液晶性を示すモノマーユニットが好ましい。ネマチック液晶性を示すモノマーユニットは、側鎖型液晶ポリマーを構成する液晶性の側鎖を有するモノマーユニットの50〜80モル%であり、(a)末端に水酸基を有するモノマーユニット以外のモノマーユニットを構成する。。
ネマチック液晶性を示すモノマーユニットとしては、特に、(b)末端にシアノ基を有するモノマーユニットが好ましい。なお、(b)末端にシアノ基を有するモノマーユニット以外のネマチック液晶性を示すモノマーユニットとしては、(c)光学活性基を有するモノマーユニットや(d)末端架橋基を有するモノマーユニツトがあげられ、これらのモノマーユニツトは、必要に応じて、側鎖型液晶ポリマーのモノマーユニツトの50モル%以下の範囲で使用するのが好ましい。
【0026】
前記(b)末端にシアノ基を有するモノマーユニットとしては、たとえば、一般式(b1):
【化4】
(式中、R2 は水素原子またはメチル基を、X2 は−COO−基または−OCO−基を、j は1〜6の整数を、sおよびtはそれぞれ独立に1または2(ただし、s+t≦3を満足する。)を示す)で表されるモノマーユニットがあげられる。
【0027】
また、(c)光学活性基を有するモノマーユニットとしては、たとえば、一般式(c1):
【化5】
(式中、R3 は水素原子またはメチル基を、R4 は
【化6】
(式中、R5 は
【化7】
を示す)を、X3 は−COO−基または−OCO−基を、kは1〜6の正の整数、を示す)で表されるモノマーユニットがあげられる。
【0028】
また、(d)末端架橋基を有するモノマーユニツトとしては、モノマーユニットの側鎖の末端にアクリロイル基やシクロヘキセン環等の不飽和二重結合を有するものがあげられる。
【0029】
側鎖型液晶ポリマーの調製は、前記各モノマーユニットに対応する各種アクリル系またはメタクリル系液晶モノマー(以下、これらを単に(メタ)アクリル系液晶モノマーという)を、例えばラジカル重合方式、カチオン重合方式、アニオン重合方式などの通例の(メタ)アクリル系液晶モノマーの重合方式に準じて共重合することにより行うことができる。ただし、(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットに対応する(メタ)アクリル系液晶モノマーの調製段階で、末端水酸基を保護する必要があるときは、水酸基を保護した形態の(メタ)アクリル系液晶モノマーを共重合して側鎖型液晶ポリマーを製造した後に、当該保護基の脱離をすることにより、(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットを側鎖型液晶ポリマーに導入することもできる。また、前記(d)末端架橋基を有するモノマーユニツトは、対応する(メタ)アクリル系液晶モノマーを重合すると末端架橋基も同時に重合するため、(メタ)アクリル系液晶モノマーを共重合して側鎖型液晶ポリマーを製造した後に、(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットの水酸基に塩化アクリロイル等を反応させることにより、側鎖型液晶ポリマー中に(d)末端架橋基を有するモノマーユニツトを導入するのが好ましい。
【0030】
なお、ラジカル重合方式を適用する場合、各種の重合開始剤を用いうるが、そのうちアゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイルなどの分解温度が高くもなく、かつ低くもない中間的温度で分解するものが好ましい。
【0031】
側鎖型液晶ポリマーの分子量は、通常、重量平均分子量に基づき2千〜10万程度とされる。また、重量平均分子量が過少では、位相差板を調製する際に基板上に形成される側鎖型液晶ポリマーからなるフィルムの成膜性が乏しくなることから、重量平均分子量は2.5千以上とするのが好ましい。一方、重量平均分子量が過多では液晶としての配向性、特にラビング配向膜等を介したモノドメイン化に乏しくなって均一な配向状態を形成しにくくなることから、重量平均分子量は5万以下とするのが好ましい。
【0032】
本発明の側鎖型液晶ポリマーから、得られるフィルム面に対し液晶ポリマーの配向方向が傾斜しているフィルムを形成する方法は、従来の配向処理に準じた方法を採用できる。
【0033】
かかる方法としては、たとえば、基板上にポリイミドやポリビニルアルコール等からなる配向膜を形成してそれをレーヨン布等でラビング処理した後、その上に液晶ポリマーを展開し、次いで液晶ポリマーのガラス転移温度以上、等方相転移温度未満に加熱して液晶ポリマーの分子を傾斜配向させた後、その傾斜配向した状態でガラス転移温度未満に冷却してガラス状態とし、当該液晶ポリマーの配向を固定化してフィルムを形成する方法等が挙げられる。かかる方法において配向処理効率の点から配向処理温度は、液晶ポリマーのガラス転移温度よりも30〜70℃、就中、約50℃高い温度に加熱してするのが好ましい。
【0034】
なお、前記基板としてはガラス板等の無機質材料や、プラスチックフィルム等の高分子材料を使用できる。プラスチック基板としては、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレートなどが好ましい。
【0035】
また、液晶ポリマーの配向処理方法としては、上記配向膜をラビングする方法の代わりに、延伸フィルムを配向膜として用いる方法や、シンナメートやアゾベンゼンを有するポリマーまたはポリイミドに偏光紫外線を照射して配向膜として用いる方法を採用することもできる。
【0036】
液晶ポリマーの基板上への展開は、加熱溶融方式によってもよいし、溶剤に溶解した溶液として展開することもできる。当該溶剤としては、例えば塩化メチレンやシクロヘキサノン、トリクロロエチレンやテトラクロロエタン、N−メチルピロリドンやテトラヒドロフラン,ジメチルホルムアミドなどを適宜に選択して使用できる。展開にあたっては、ノアーコーターやスピナー、ロールコーターなどの塗工機を適宜に使用することができる。
【0037】
なお、側鎖型液晶ポリマーをフィルム化し、次いで配向させたのち、必要に応じて、(d)末端架橋基を有するモノマーユニツトの末端架橋基を架橋させて、側鎖型液晶ポリマーの配向をさらに固定化することもできる。架橋させるにはUV、電子線などの電磁波が使用できる。特に電子線照射による架橋は、液晶ポリマーの配向性低下を招きやすい開始剤を必要としないので有利である。
【0038】
基板上に形成する液晶ポリマーからなるフィルムの厚さは、補償すべき液晶セルの特性によって適宜に調整すればよいが、通常0.1〜10μm程度、就中0.2〜3μmが好ましい。
【0039】
このように配向処理して基板上に形成した液晶ポリマー組成物からなるフィルムは、液晶ポリマー組成物の配向方向がフィルム面に対し傾斜しており、液晶セルの視野角を補償するための位相差板として使用される。位相差板は液晶セルの片側または両側に配置される。また、複数の位相差板を積層した構造としてもよく、その場合、板面の遅相軸の方向をずらして積層してもよい(例えば2枚の位相差板を直交させる)。
【0040】
かかる位相差板は、単独で液晶セルに適用することもできるが、偏光板と貼り合わせ積層体とした楕円偏光板として使用することもできる。楕円偏光板の液晶セルに対する配置位置は特に制限されないが、位相差板が偏光板と液晶セルの間になるように配置するのが一般的である。
【0041】
偏光板としては、偏光機能を有するものを特に制限なく使用できる。具体的には、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等を吸収させ延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルム等にトリアセチルセルロース等の保護フィルム層を設けたものがあげられ、これらを適宜に選択して使用できる。偏光板の厚さは、特に制限されないが、通常100〜250μm程度とするのが好ましい。
【0042】
位相差板と偏光板と貼り合わせは、通常、当該位相差板を形成した配向膜に複屈折が生じている場合には、転写により、位相差板を偏光板に貼り合わせる。一方、位相差板を形成した配向膜がトリアセチルセルロース等のように複屈折が小さい基材の場合には、基材上に形成したフィルムをそのまま位相差板として、偏光板に貼り合わせて用いることもできる。位相差板とともに偏光板に貼り合わされたトリアセチルセルロース等の基板は偏光板の保護フィルムとして使用される。なお、楕円偏光板の作製にあたっての、偏光板と位相差板との貼り合わせ角度は任意に選ぶことができる。また、位相差板と偏光板との貼り合わせには、必要に応じて接着剤を使用できる。
【0043】
また、楕円偏光板は、偏光板に、直接、位相差板(傾斜配向したフィルム)を形成することにより作製することもできる。
【0044】
【実施例】
以下に、合成例および実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら各例に制限されるものではない。
【0045】
合成例
(1):(a)末端に水酸基を有するモノマーの合成
【化8】
3リットル容の3つ口フラスコ中で、4,4' −ビフェノール(200g,1.08モル)をテトラヒドロフラン(以下、THFという)2リットルに溶解させ、室温で攪拌しているところへ、12N塩酸を10滴加えた。そこへ、3,4−ジヒドロー2Hピラン(90.3g,1.08モル,式中のDHP)を45分かけて滴下し終夜攪拌した。次いで、反応溶液にトリエチルアミンを加えて、pH8程度に調製してから溶媒のTHFを4/5ほど留去した後、塩化メチレン2リットルを加えた。さらに、2N水酸化ナトリウム水溶液2リットルを加えて攪拌すると光沢のある白い沈殿が生じた。この沈殿を濾別し、再び塩化メチレンに分散させた後、酢酸30mlを加えて塩を中和させpH4にした。完全に溶解するように更に塩化メチレンとTHFを加えた後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水(各1リットル)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、4−(4' −ヒドロキシビフェニル)テトラヒドロピラニルエーテル(式中、THPはテトラヒドロピラニル基を示す)の白色粉末を得た(収量290.4g,収率58%,純度92%)。
【0046】
次いで、3リットル容のナスフラスコに、4−(4' −ヒドロキシビフェニル)テトラヒドロピラニルエーテル(170.7g,631ミリモル)、4−(2−プロペノイルオキシエトキシ)安息香酸(158.1g,669ミリモル)、ジメチルアミノピリジン(8.07g,66ミリモル,式中DMAP)、少量の重合禁止剤としてブチルヒドロキシトルエンおよび塩化メチレン2.5リットルを仕込んで溶液とした後、塩化メチレン150mlで希釈したジシクロヘキシルカルボジイミド(138.0g,669ミリモル、式中DCC)を少量ずつ加え終夜攪拌した。析出したDCウレアをろ別した後、塩化メチレンを加えて全量を1リットルにしてから、ろ液を0.5N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。粗生成物をイソプロピルアルコール2.5リットルとトルエン250mlからなる加熱した混合溶媒に溶解し、セライトろ過した後、室温に冷却させることで再結晶させて、化8に示す、末端水酸基をTHPで保護したモノマーの沈殿を得た(収量186.3g,収率57%,純度96%)
(2):(b)末端にシアノ基を有するモノマーの合成
【化9】
水酸化カリウムアルコール性水溶液(水酸化カリウム300g,エタノール700ml,水300ml)に、4−ヒドロキシ安息香酸(276g,2モル)と触媒量の沃化カリウムを加えて溶解した。加温状態でエチレンクロロヒドリン(177g,2.2モル)をゆっくり加えて、約15時間還流した。反応とともに塩化カリウムが析出した。反応終了後、エタノールを留去し、水2リットル中に反応溶液を加えた。この反応水溶液をジエチルエーテルで2回洗浄後、水層を4N塩酸で酸性とした。得られた沈殿物をろ過、乾燥後、エタノールで再結晶し、4−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸(収量290g,収率82%,純度98%)を得た。
【0047】
次いで、4−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸(182g,1モル)、ヒドロキノン(40g)、p−トルエンスルホン酸(40g)およびアクリル酸(600ml)をベンゼン/トルエンの1/1混合溶媒(600ml)に溶解した溶液を、Dean−Stark管を用いて理論量の水が分離されるまで還流(約15時間)した。反応溶液をジエチルエーテル4リットルに入れ、温水洗浄を行なった。さらに飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた固体をアセトン/ヘキサンで再結晶し、4−(2−プロペノイルオキシエトキシ)安息香酸(収量153g,収率65%,純度97%)を得た。
【0048】
次いで、4−(2−プロペノイルオキシエトキシ)安息香酸(23.6g,0.1モル)にアセトン400mlに加えて溶解した後、さらにトリフルオロ酢酸無水物(20.8ml,0.15モル)を加えて攪拌した。当該反応溶液に、4−シアノ−4' −ヒドロキシビフェニル(19.5g,0.1モル)を加え室温で6時間反応させた。反応溶液からアセトンを留去し、ジエチルエーテルを加えて溶解した後、水、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び飽和食塩水で洗浄してから、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた固体をアセトニトリル600mlで再結晶し、化9に示す、末端にシアノ基を有するモノマー(収量29.3g,収率71%,純度99%)を得た。
【0049】
実施例
(1)側鎖型液晶ポリマーの合成
【化10】
合成例(1)で得られた末端水酸基をTHPで保護したモノマー(21.9g,43ミリモル)と合成例(2)で得られた末端にシアノ基を有するモノマー(26.7g,62ミリモル)をTHF900mlに加え、窒素気流下で還流攪拌して各モノマーをTHFに完全に溶解した。そこへ、少量のTHFに溶解したアゾビスイソブチロニトリル(1.76g,式中AIBN)を滴下した。4時間還流した後、p−トルエンスルホン酸一水和物(10g,式中p−TsOH)を加え、さらに1時間還流した。加熱を止め反応溶液を室温に戻した後、メタノール3.6リットル中へ、反応溶液を滴下してポリマーを再沈殿させた。ポリマーをろ別し、メタノール/THF=3/2(重量比)の混合溶媒250mlで2回洗浄した後、乾燥して、化10(なお、化10は便宜的にブロック体として記載したものである)に示す、目的とする側鎖型液晶ポリマーを得た(収量37.5g,収率77%,重量平均分子量4300)。
【0050】
(2)傾斜配向位相差板の調製
ガラス基板上に、ポリビニルアルコール(日本合成化学(株)製,商品名:NH−18)の5%水溶液を2000rpm、20秒の条件でスピンコートし、150℃で30分加熱した後、ラビングして配向膜を形成した。前記(1)で得られて液晶ポリマーのテトラクロロエタン溶液(20重量%)を、配向膜上にスピンコートし、160℃で5分加熱して、液晶ポリマーを配向させたフィルムを得た。液晶ポリマーを配向させたフィルムの膜厚は2.2μmであった。
【0051】
比較例
実施例(2)において、実施例(1)で得られた側鎖型液晶ポリマーの代わりに、合成例(2)で得られた末端にシアノ基を有するモノマーを重合して得たホモポリマーを用いた以外は実施例1(2)と同様にして液晶ポリマーを配向させたフィルムを得た。
【0052】
試験例(位相差測定)
実施例および比較例で得られた液晶ポリマーを配向させたフィルムの位相差の視角依存性を評価した。評価は、液晶ポリマーの傾斜度を下記式で算出し、傾斜度合いの指標とした。評価結果を表1に示す。なお、正面の位相差を△nd(0)、遅相軸方向に±30°傾斜したときの位相差をそれぞれ△nd(+30)、△nd(−30)とした。
【0053】
傾斜度=(△nd(−30)−△nd(+30))/△nd(0)
傾斜していない水平配向のとき、傾斜度=0となる。
【0054】
【表1】
Claims (5)
- 前記(a)末端に水酸基を有するモノマーユニットを、前記液晶性側鎖を有するモノマーユニットの20〜50モル%含む請求項1記載の位相差板。
- 前記側鎖型液晶ポリマーの重量平均分子量が2千〜10万である請求項1〜3いずれかに記載の位相差板。
- 請求項1〜4いずれかに記載の位相差板を、偏光板と積層一体化してなる楕円偏光板。
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