JP4115135B2 - 分散信号制御システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各交差点の信号制御機が隣接交差点の各信号制御機と相互に連携し、個々のサイクル長さ、スプリット、オフセットを自動的に決定する信号制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
交通信号の制御パラメータの最適化は、道路交通を円滑にする上で重要である。制御パラメータは、サイクル長さ、スプリット、オフセットの3つがある。サイクル長さは、信号表示の表示周期であり、東西方向から南北方向への信号表示が一周する時間を示す。交通量が多くなれば、サイクル長さを大きくしないと捌け残りが発生し渋滞の要因となる。逆に、サイクル長さが大きすぎれば、車両が通過しない無駄時間帯が増えるため、また遅れ時間が増えることになる。
【0003】
スプリットは、青時間のサイクル長さに占める割合である。スプリットも、それぞれの方向ごとに適切な青時間を与えなければ、無駄時間や遅れ時間が増加する。オフセットは、隣接する交差点とのあいだの青表示開始タイミングのずれであり、交差点で待ちや無駄な青時間が生じないよう、車両に走行に合わせ、時間をずらせて各交差点の青時間を順番に点灯していくことで、円滑に交通を流す効果を得ることができる。オフセットの時間設定や取るべき方向が、交通状況に則していなければ、オフセットによる効果が無いばかりか、逆に交通の流れを阻害し、大きな遅れ時間を生む要素になる。これら3つの制御パラメータを最適化し、車両の遅れ時間をより小さくしていくことが信号制御システムの目的である。
【0004】
信号制御システムの一つとして、制御領域内の全ての信号制御機と、交通量を計測する全ての感知器とを中央装置に接続し、計測された交通量を基に中央装置が各制御機の制御パラメータを決定し指示する方式がある。
【0005】
この方式では、制御パラメータの算出にあたり、まず制御領域全体を、交通の流れとして繋がりを持つ小規模な範囲に事前に分割している。分割された領域はサブエリアと呼ばれ、サブエリア内は共通のサイクル長さで運用する。共通サイクル長さは、あらかじめ選定された重要交差点の交流量を基に求めるのが一般的である。重要交差点は、国道が交差するなど、交通量が多いと想定される交差点が選ばれる。スプリットは、従来は人手による交通量調査結果を基に決めていたが、近年は交通量計測結果から、自動で算出するようになってきている。オフセットは、サブエリア内の主要路線に着目し、交通量に合わせていくつかのパターンを切換えて使用している。例えば、西向きの交通量が多い時間帯では東から西へオフセットを取ったパターンを、逆に東向きの交通量が多い時間帯では西から東へオフセットを取ったパターンを使用する。スプリットと同様、近年は交通量計測結果に基づき、自動でオフセットパターンを生成する研究がなされている。
【0006】
サブエリア内で共通サイクル長さを適用する上記方式では、重要交差点以外の交差点では交通量が少ないにも係わらず、重要交差点において求めたサイクル長さが適用されることになる。このため、無駄な青時間ができ、遅れ時間が生じている。また、主要路線に着目して作成したオフセットパターンや、予め選定したサブエリア、重要交差点は、時々刻々の実際の交通状況に則しているとは言えない。路線に建つ店舗の移り変わりやイベントの開催等に応じて見直す必要もある。
【0007】
中央装置が制御を実行する上記方式においても、交通状況に応じて自動的にサブエリアや重要交差点を選定し、制御パラメータを自動計算することは可能だが、制御する信号制御機が増えるに従い、中央装置の計算が膨大且つ複雑になるため現実には難しい。
【0008】
また、他の信号制御システムとして、各信号制御機が個々に制御を実行する分散方式の信号制御システムが考えられつつある。しかしながら、このような分散方式で、個々の信号制御機の制御で、制御領域全体を安定的にかつ最適に制御することは難しく、適切な方法が提案されていないのが現状である。あくまでも制御の主体は中央装置とし、各交差点の信号制御機で実行する制御は、中央装置が決定した制御パラメータを、その交差点の交通状況に応じて調整するだけにとどまっている場合が多い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、大規模な中央装置を持たずに、隣接交差点の各信号制御機と連絡し、交通状況の変化に応じて、各交差点の信号制御機が自動的に個々のサイクル長さ、スプリット、オフセットを算出し制御を行う分散信号制御システムを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、交通状況の変化に応じた制御パラメータを自動的に算出することにより、制御パラメータの算出や見直しにかかる運用費用および保守費用を大幅に低減できる信号制御システムを提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、集中型、分散型を問わず、既存の信号制御システムに存在する、最適な制御パラメータを決定するときに現れる、複数の最適点の極値に陥ることなく、真の最適点を選択する制御アルゴリズムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以下に[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応関係を明らかにするために付加されている。ただし、付加された番号・符号は、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0013】
本発明による分散信号制御システムは、複数の交差点(1〜1)のそれぞれに設けられた複数の信号制御機(2〜2)と、前記交差点(1〜1)のそれぞれの交通流量を計測する計測手段(4〜4)とを備えている。信号制御機(2〜2)のそれぞれは、それぞれが設けられた自交差点の交通流量と、前記自交差点に隣接する隣接交差点に設けられた隣接交差点信号制御装置から送られる情報とに基づいて、前記自交差点のサイクル長さ、スプリット、及び前記自交差点と前記隣接交差点との間のオフセットを決定する。
【0014】
前記信号制御機(2〜2)のそれぞれは、
(a)前記隣接交差点から前記自交差点に向かうリンクの交通流量の所定の期間における平均値である時間平均値を算出し、前記隣接交差点から前記自交差点までの距離と前記時間平均値とを使って、前記自交差点のサイクル長さ目標値、スプリット目標値、及び前記自交差点と前記隣接交差点との間のオフセット目標値を決定するステップと、
(b)前記サイクル長さ、前記スプリット、及び前記オフセットが、それぞれ、前記サイクル長さ目標値、前記スプリット目標値、前記オフセット目標値に段階的に近づくように、前記サイクル長さ、前記スプリット、及び前記オフセットを調整するステップ
とを実行することが好ましい。
【0015】
信号制御機(2〜2)のそれぞれは、前記自交差点の前記サイクル長さ目標値と、前記隣接交差点信号制御機が決定した前記隣接交差点の前記サイクル長さ目標値とが一致するとき、前記サイクル長さ目標値が一致する前記隣接交差点のうち前記自交差点への交通流量が最大であるものをオフセット協調交差点と定め、且つ、前記オフセット協調交差点の前記サイクル長さ目標値、及び前記スプリット目標値に基づいて、自交差点の前記オフセット目標値を決定することが好ましい。
【0016】
信号制御機(2〜2)のそれぞれが決定する前記サイクル長さ目標値は、所定の間隔に離散化されていることが好ましい。
【0017】
信号制御機(2〜2)のそれぞれは、
(c)前記サイクル長さ目標値が一致する前記隣接交差点から前記自交差点に走行する車両が前記自交差点において待たされる第1遅れ時間と、前記自交差点から前記隣接交差点に走行する車両が前記目標サイクル長さが一致する前記隣接交差点において待たされる第2遅れ時間との和である総遅れ時間を、下記で定義されるδ及びδの関数で表すステップと、
δ={(L/V)mod C}−O
δ={(L/V)mod C}−O
L:前記隣接交差点と前記自交差点との距離
V:所定の速度
C:前記自交差点と前記隣接交差点とで一致する前記サイクル長さ目標値
:前記隣接交差点からみた前記自交差点の前記オフセット目標値
:前記自交差点からみた前記隣接交差点の前記オフセット目標値
(d)前記δとδとの制約条件を求めるステップと、
(e)前記制約条件を満足し、且つ、前記総遅れ時間を最小にするδとδとを算出するステップと、
(f)前記総遅れ時間を最小にするδとδとに基づいて、前記オフセット目標値を算出するステップ
とを実行することが好ましい。
【0018】
信号制御機(2〜2)のそれぞれは、前記隣接交差点から前記自交差点までの前記距離と前記時間平均値とを使って、前記自交差点の暫定サイクル長さ目標値を決定し、且つ、前記自交差点の前記暫定サイクル長さ目標値と、前記隣接交差点の前記暫定サイクル長さ目標値とが一致しないとき、前記自交差点の前記サイクル長さ目標値を、前記自交差点の前記暫定サイクル長さ目標値と前記隣接交差点の前記暫定サイクル長さ目標値とのうちの、前記自交差点及び/又は前記隣接交差点において発生する遅れ時間が小さくなる方に一致するように定めることが好ましい。
【0019】
信号制御機(2〜2)のそれぞれは、前記時間平均値を、前記自交差点に接続するリンク以外のリンクから前記隣接交差点に流入する車両の交通流量の実測値の関数である時間平均値算出関数の関数値として算出することが好ましい。
【0020】
信号制御機(2〜2)のそれぞれは、前記時間平均値算出関数の関数パラメータを、前記流入リンクの実測の交通流量の時間平均値と前記関数値との誤差が小さくなるように前記関数パラメータを修正することが好ましい。
【0021】
信号制御機(2〜2)のそれぞれは、更に、
(g)前記サイクル長さ、前記スプリット、及び前記オフセットが、実質的に、前記サイクル長さ目標値、前記スプリット目標値、前記オフセット目標値にそれぞれ一致した後、前記スプリットと、前記オフセットとを前記時間平均値を用いて、所定の範囲内で調整変更するステップ
を実行することが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明による分散信号制御システムの実施の一形態を説明する。
【0023】
本発明による分散信号制御システムの実施の一形態では、図1に示されているように、各制御対象である交差点1A〜1Fのそれぞれに、信号制御機2A〜2Fが設けられる。交差点1A〜1Fは総称して交差点1と記載されることがあり、信号制御機2A〜2Fは総称して信号制御機2と記載されることがある。
【0024】
隣接する交差点の信号制御機は、通信回線によって相互に接続されている。即ち、信号制御機2Aは信号制御機2B〜2Eのそれぞれと通信回線により接続され、信号制御機2Bは信号制御機2Fと接続されている。図1では、各信号制御機間を1対1に接続する通信回線で示されているが、通信の形態はこの限りではなく、集積装置を用いた形態や無線を利用した形態でも構わない。
【0025】
交差点1のそれぞれには、図2に示されているように、感知器4〜4が設けられている。感知器4〜4は、それぞれ、交差点1に車両が流入する流入リンク3〜3に設けられている。感知器4〜4は、それぞれ、流入リンク3〜3を介して交差点1に流入してくる車両の交通流量q〜qを計測する。感知器4〜4は、超音波式や画像式など、現状で多用されているもので良い。
【0026】
まず、本発明による信号制御システムの制御方式の基本原理を説明する。
【0027】
図3は、ある交差点Aの、ある流入リンクから流入する車両の交通流量が時間平均で一定値avgM(台/分)である場合に、その流入路方向の赤時間長さredA(秒)、青時間長さgreenA(秒)、サイクル長さcycle(秒)によって、その交差点Aを通過する車両の累加台数がどのように変わるかを示している。交差点Aの信号表示が赤のあいだ停止させられていた車両は、信号表示が青に変わった後、飽和交通流率Msat(台/秒)で順次に交差点Aを通過していき、信号待ちしていた停止車両が全て無くなれば、交差点Aに流入する車両がそのまま交差点Aを通過できるようになる。
【0028】
結果として、交差点Aのこの流入路での遅れ時間は、1サイクル長さあたり図3の斜線部分の面積、
(1/2)×redA×avgM×cycle
となる。これを単位時間あたりの遅れ時間で表せば、
(1/2)×redA×avgM
となる。本制御方式では、遅れ時間をこのようにして算出して評価する。
【0029】
図3では、流入する交通流量が一定avgM(台/分)であるときの遅れ時間を説明したが、実際には隣接交差点での信号制御の影響で、一定の流れではない。しかしながら、その交差点Aに流入してくる交通流量にみあうサイクル長さとスプリットとを決めるためには、交通流量が時間平均値で一定であるとしても、実用上は十分である場合が多い。なぜなら、時刻tでの交通流量をM(t)として、1サイクルの青時間green(秒)の間に、その流量全てを捌くためには、ある一のサイクルにおいて、
【数1】
Figure 0004115135
…(1)
の関係が成立している。ここで、
【数2】
Figure 0004115135
は、ある一のサイクルの間におけるM(t)の時間積分であり、Msatは、飽和交通流率である。式(1)から理解されるように、交通流量の瞬時値M(t)を知らなくても、平均流量avgMが分かっていれば、必要なサイクル長さ、及びスプリットを求めることができる。
【0030】
図3に示されているように、交差点Aの信号制御の影響を受け、交差点Aを通過する累加台数のカーブは、サイクル毎の周期性をもつ階段状になる。図4を参照して、交差点Aに隣接する交差点をBとし、交差点Aと交差点Bとの間の距離をLとしたとき、交差点Aから距離Lを走行して交差点Bに現れる累加台数のカーブは、概ね、交差点Aを通過する累加台数のカーブを時間軸上でL/Vだけシフトしたカーブになる。ここで、Vは交差点Aから交差点Bに走行する車両の設定速度であり、所定の値に仮定されて定められる。現実には、距離Lを走行する間に車群の拡散があるので、交差点Aを通過した累加台数カーブが、そのまま同じ形で交差点Bへ流入する累加台数カーブにはならないが、その時間平均流量など基本的な値は保存されている。
【0031】
交差点A及び交差点Bのサイクル長さが共通である場合、下記のようにして、交差点Aからみた交差点Bのオフセットと、交差点Bからみた交差点Aのオフセットを定めることができる。
【0032】
交差点A及び交差点Bのサイクル長さがcycleで共通である場合、交差点Aの信号表示が赤から青に変わってから(L/V)mod cycleの時間が経過した時に交差点Bでの信号表示が赤から青に変われば、車群は交差点Bで遮られることなく通過できる。即ち、交差点Aから見た交差点Bのオフセットをoffset(A)が、
offset(A)=(L/V)mod cycle, …(2)
になるように定められていれば、車群は交差点Bで遮られることなく通過できる。言い換えれば、δt(A)を
δt(A)≡(L/V)mod cycle−offset(A),…(3)
で定義したとき、δt(A)=0であれば、交差点Aから見た交差点Bのオフセットが最適にとられていることになる。
【0033】
次に、δt(A)が、0でない場合を考える。δt(A)がプラスであるということは、交差点Aから交差点Bに向かう車群が到着する時刻のδt(A)だけ前の時刻に、交差点Bの信号表示が赤から青に変わることを意味している。逆に、δt(A)がマイナスのときは、交差点Aから交差点Bへの車群が、到着したδt(A)だけ後の時刻に、交差点Bの信号表示が赤から青に変わることを意味している。
【0034】
交差点Aから交差点Bへの方向について、δt(A)がプラスの場合の累加台数カーブを図5に、またマイナスの場合のそれを図6に示す。それぞれの図において、斜線部分の面積は、オフセットが最適な値からδt(A)だけずれたことによって交差点Bで生じる遅れ時間を表している。
【0035】
図5を使って、δt(A)がプラスの場合の遅れ時間を評価すると、δt(A)が0<δt(A)<greenAであるとき、交差点Bの単位時間あたりの遅れ時間delay(δt(A))は、
delay(δt(A))=δt(A)・(Msat−avgM), …(4)
になる。ここでgreenAは、交差点Aの青時間であり、avgMは、交差点Aから交差点Bに向かう車両の交通流量の時間平均値である。一方、δt(A)がgreenA<δt(A)<cycleでは、
delay(δt(A))=greenA・(Msat−avgM)・
{1−(δt(A)−greenA)/(cycle−greenA)},…(5)
となる。
【0036】
同じように、図6からδt(A)がマイナスの場合を評価すると、−redA<δt(A)<0であるときの交差点Bの単位時間あたりの遅れ時間delay(δt(A))は、
delay(δt(A))=−δt(A)・(−avgM), …(6)
−cycle<δt(A)<−redAでは,
delay(δt(A))=redA・avgM・
{1−(δt(A)+redA)/(−cycle+redA)},…(7)
となる。ここでredAは、交差点Aの赤時間である。
【0037】
図7は、横軸にδt(A)、縦軸に交差点Bでの単位時間あたりの遅れ時間delay(δt(A))をとってグラフに表したものである。δt(A)がgreenAおよび−redAの場合に、遅れ時間delay(δt(A))は最大値
delay(δt(A))max=cycle・(1−splitB)・avgM,…(8)
を取ることが分かる。ここで、splitBは交差点Bのスプリットであり、
splitB=greenB/cycle,
である。
【0038】
上述した内容は、交差点Aから交差点Bへの流れについて説明したが、逆に交差点Bから交差点Aへの流れについても同様の式が得られる。交差点Bから交差点Aへの時間平均流量をavgmとし、交差点Bから見た交差点Aのオフセットをoffset(B)とし、δt(B)を
δt(B)≡(L/V)mod cycle−offset(B),…(3)’
で定義すると、δt(B)がプラスの場合、0<δt(B)<greenBのときの交差点Aにおける単位時間あたりの遅れ時間delay(δt(B))は、
delay(δt(B))=δt(B)・(Msat−avgm), …(9)
となり、greenB<δt(B)<cycleのとき、
delay(δt(B))=greenB・(Msat−avgm)・
{1−(δt(B)−greenB)/(cycle−greenB)},…(10)
となる。但し、greenBは、交差点Bの青時間である。一方、δt(B)がマイナスの場合、−redB<δt(B)<0のときの交差点Aにおける単位時間あたりの遅れ時間は、
delay(δt(B))=−δt(B)・avgm, …(11)
となり、−cycle<δt(B)<−redBでは、
delay(δt(B))=redB・avgm・
{1−(δt(B)+redB)/(−cycle+redB)},…(12)
となる。ここでredBは、交差点Aの赤時間である。
【0039】
図8は、交差点Aから交差点Bを見たときのオフセットoffset(A)と、交差点Bから交差点Aを見たときのオフセットoffset(B)の関係を表している。図8から分かるように、
offset(A)+offset(B)=cycle, …(13)
の関係があるから、δt(A)とδt(B)の関係も、
δt(A)≡(L/V)mod cycle−offset(A),
δt(B)≡(L/V)mod cycle−offset(B),
から、
δt(A)+δt(B)=2・{(L/V)mod cycle}−cycle,…(14)
となる。この式から、δt(A)とδt(B)とは、独立でなく、制約条件があることが分かる。
【0040】
図9は、交差点Bでの遅れ時間delay(δt(A))と、交差点Aでの遅れ時間delay(δt(B))とを示すグラフである。このとき、総遅れ時間delayA+Bを、
delayA+B=delay(δt(A))+delay(δt(B)),…(15)
で定義すると、総遅れ時間delayA+Bは、δt(A)とδt(B)との2変数関数である。図10は、総遅れ時間delayA+B(δt(A),δt(B))を図示している。ある座標点(δt(A),δt(B))における総遅れ時間delayA+Bは、その座標点を囲う菱形の線が太いほど大きな値を取る。点線11は、式(14)の制約条件の下、δt(A)とδt(B)とが取り得る値を示している。点線11の上にある座標点のうち、delayA+B(δt(A),δt(B))を最小にする座標点が、交差点A及び交差点Bで発生する遅れ時間の和を最小にするδt(A)及びδt(B)の組み合わせである。交差点A及び交差点Bで発生する遅れ時間の和を最小にするδt(A)及びδt(B)の組から、交差点Aから交差点Bを見たときのオフセットoffset(A)と、交差点Bから交差点Aを見たときのオフセットoffset(B)との最適値を求めることができる。
【0041】
図10から分かるように、δt(A)及びδt(B)が点線11上を移動していくと、関数値が極小値を取る座標がいくつか出てくる場合があり、微小な刻み幅で探索する方法では、delayA+Bの最小値を求めることが現実的には出来ない。そこで、従来の単純な数理計画法を適用するのではなく、まず図10に基づいて大まかにdelayA+Bに最小値の近似解を求め、次にその近似解の周辺で微小刻みの探索をする、2段階の探索が行われることが好ましい。
【0042】
本発明による信号制御システムの制御方式では、上述の基本原理が用いられる。より詳細には、本発明による信号制御システムの制御方式では、上述の基本原理を用いて制御パラメータの目標値を定める第1段階と、第1段階で定められた制御パラメータの目標値に応答して、信号灯器を制御する制御パラメータを定める第2段階とが実行される。
【0043】
第1段階:
第1段階では、交差点1A〜1Fの制御パラメータの目標値が、それぞれ信号制御機2A〜2Fによって定められる。即ち、信号制御機2A〜2Fは、それぞれ交差点1A〜1Fについて、サイクル長さの目標値であるサイクル長さ目標値、スプリットの目標値であるスプリット目標値、及び隣接する隣接交差点から自交差点をみたときのオフセットの目標値であるオフセット目標値を定める。後述されるように、各交差点1A〜1Fのサイクル長さ、スプリット、及びオフセットは、それぞれサイクル長さ目標値、スプリット目標値、及びオフセット目標値に近づくように制御されるため、サイクル長さ目標値、スプリット目標値、及びオフセット目標値を最適化することにより各交差点1A〜1Fにおいて発生する遅れ時間が最小化される。
【0044】
以下では、交差点1Aを例にとってサイクル長さ目標値、スプリット目標値、及びオフセット目標値の決定の過程を説明する。他の交差点1B〜1Fについても、交差点1Aと同様にしてサイクル長さ目標値、スプリット目標値、及びオフセット目標値が定められる。
【0045】
図11を参照して、交差点1Aに隣接する交差点1Bから交差点1Aに流入してくる車両の平均交通流量をavgMba、交差点1Eから交差点1Aに流入してくる車両の平均交通流量をavgMeaとすると、1サイクルのあいだに交差点1Bから交差点1Aに流入する車両の台数は、avgMba×cycle(台)であり、交差点1Eから交差点1Aに流入する車両の台数は、avgMea×cycle(台)である。交差点1Aでは、青時間cycle×sprit(BE)の間に、交差点1Bから交差点1Aに流入するavgMba×cycle(台)の車両と、交差点1Eから交差点1Aに流入するavgMea×cycle(台)の車両とが捌かれる必要がある。ここで、sprit(BE)は交差点1B,1A,1E方向に割り当てられるスプリットを表す。この必要条件を式に表現すると、
Max(avgMea,avgMea)<split(BE)・MsatBE…(16)
となる。ここで、MsatBEは交差点1B,1A,1E方向の飽和交通流率である。
【0046】
同様に、交差点1C,1A,1D方向での必要条件は、
Max(avgMca,avgMda)<split(CD)・MsatCD…(17)
となる。ここで、avgMcaは、交差点1Cから交差点1Aに流入してくる車両の平均交通流量であり、avgMdaは交差点1Dから交差点1Aに流入してくる車両の平均交通流量であり、split(CD)は、交差点1C,1A,1D方向に割り当てられるスプリットであり、またMsatCDは交差点1C,1A,1D方向の飽和交通流率である。
【0047】
交差点1B,1A,1E方向の青時間は、そのときに歩行者が道路を横断できる歩行者青時間長さped_timeBEを保証する必要があり、同様に交差点1C,1A,1D方向の青時間についても歩行者が道路を横断できる歩行者青時間長さped_timeCDを保証する必要がある。したがって、以下の関係式も必要条件である。
cycle×sprit(BE)>ped_timeBE, …(18)
cycle×sprit(CD)>ped_timeCD. …(19)
【0048】
更に、サイクル長さcycleは、交差点1B,1A,1E方向、あるいは交差点1C,1A,1D方向のいずれにも割り当てられない損失時間λ、即ち、全方向に赤表示をする時間が必要であることを考慮して定められる必要がある。
【0049】
以上を纏めると、交差点1Aのスプリットsplit(BE)、及びsplit(CD)は以下の式で表される条件を満足する必要がある。
split(BE)>Max{Max(avgMba,avgMea)/MsatBE,ped_timeBE/cycle}, …(20)
split(CD)>Max{Max(avgMca,avgMda)/MsatCD,ped_timeCD/cycle}, …(21)
cycle=λ/(1−split(BE)−split(CD)).…(22)
交差点1Aに設けられた信号制御機2Aは、式(20)〜(22)を満足するように、交差点1B,1A,1E方向のスプリット目標値splitBEA(BE)、交差点1C,1A,1D方向のスプリット目標値splitCAD(CD)及び、サイクル長さ目標値cycleを求める。
【0050】
実用上は式(22)により算出したサイクル長さ目標値cycleを、たとえば2秒の整数倍の値に繰り上げて使用する。従って、サイクル長さ目標値cycleは、所定の間隔に離散化されている。サイクル長さ目標値cycleの離散化の際、スプリット目標値splitBEA(BE)及びsplitCA (CD)は、式(22)が依然として成立するように、元の値から比例配分で増やされる。ここまでの手続きが、第1段階でのサイクル目標値、スプリット目標値の算出の出発点となる。
【0051】
交差点1Aの以外の交差点1B〜1Fに設けられた信号制御機2B〜2Fでも同様にして、サイクル目標値、スプリット目標値の計算が行われる。
【0052】
更に、信号制御機2A〜2Fのそれぞれは、自己が設けられた自交差点に隣接する隣接交差点に設けられた信号制御機に、自己が定めたサイクル目標値、及びスプリット目標値を送信し、且つ、隣接交差点に設けられた信号制御機のそれぞれから、サイクル目標値、及びスプリット目標値を受信する。即ち、交差点1Aに設けられた信号制御機2Aは、交差点1Aの隣接交差点1B〜1Eに設けられた信号制御機2B〜2Eが算出したサイクル長さ目標値およびスプリット目標値を、通信回線経由で受信する。
【0053】
信号制御機2Aは、自交差点である交差点1Aに隣接する交差点(即ち、交差点1B〜1E)のなかに同じサイクル長さ目標値が定めされた交差点があるか否かを判断する。同じサイクル長さ目標値が定めされた交差点がある場合、信号制御機2Aは、同じサイクル長さ目標値が定めされた交差点のうち、交差点1Aへの平均交通流量が最大であるものをオフセット協調交差点と定める。信号制御機2Aは、オフセット協調交差点からみた自交差点(交差点1A)のオフセット目標値を、上述の基本原理と同様にして定める。
【0054】
即ち、まず、δt(A)とδt(B)とが
δt(A)≡(L/V)mod cycle−offset(A)、…(23)
δt(B)≡(L/V)mod cycle−offset(B)、…(24)
L:オフセット協調交差点と交差点1Aとの距離、
V:オフセット協調交差点と交差点1Aとの間のリンクの設定速度、
cycle:交差点1Aのサイクル長さ目標値(=オフセット協調交差点のサイクル長さ目標値)
offset(A):交差点1Aからみたオフセット協調交差点のオフセット目標値
offset(B):オフセット協調交差点からみた交差点1Aのオフセット目標値
と定義される。ここで、
offset(A)+offset(B)=cycle, …(25)
が成立する。
【0055】
更に、交差点1Aからオフセット協調交差点に向かう車両が、オフセット協調交差点において待たされる遅れ時間delay(δt(A))の算出式が、式(4)〜(7)に従って決定される。このとき、式(4)〜(7)に含まれる青時間greenA及び赤時間RedAとは、交差点1Aのサイクル長さ目標値とスプリット目標値とから算出され、式(4)〜(7)に含まれるavgMとしては、交差点1Aからオフセット協調交差点に向かう車両の平均交通流量が使用される。
【0056】
同様に、オフセット協調交差点から交差点1Aに向かう車両が、交差点1Aにおいて待たされる遅れ時間delay(δt(B))の算出式が、式(9)〜(12)に従って決定される。このとき、式(9)〜(12)の青時間greenB及び赤時間RedBとは、オフセット協調交差点のサイクル長さ目標値とスプリット目標値とから算出され、式(9)〜(12)に含まれるavgmとしては、オフセット協調交差点から交差点1Aに向かう車両の平均交通流量が使用される。青時間greenB及び赤時間RedBの算出のために、信号制御機2Aは、オフセット協調交差点を制御する信号制御機からオフセット協調交差点のサイクル長さ目標値とスプリット目標値とを受け取る。
【0057】
これにより、総遅れ時間delayA+B{≡delay(δt(A))+delay(δt(B))}の関数式が決定される。
【0058】
続いて、制約条件:
δt(A)+δt(B)=2・{(L/V)mod cycle}−cycle, …(26)
の下、総遅れ時間delayA+Bを最小にするδt(A)とδt(B)とが決定される。信号制御器2Aは、決定されたδt(A)とδt(B)とから、式(24)を用いてオフセット協調交差点からみた交差点1Aのオフセット目標値offset(B)を決定する。
【0059】
例えば、交差点1B、1C、1Dについて定められたサイクル長さ目標値が、交差点Aと同じであり、かつ交差点1Bから交差点1Aに向かう車両の平均交通流量が最大であるとする。この場合、信号制御機2Aは、交差点1Bがオフセット協調交差点であると判断する。信号制御器2Aは、上述のようにしてオフセット協調交差点からみた交差点1Aのオフセット目標値offset(B)を決定する。
【0060】
交差点1Aの隣接交差点で、同じサイクル長さ目標値が定められた交差点であっても、交差点1Aへの平均交通流量が最大でない場合にはオフセット目標値は協調して定められない。信号制御機2Aは、他の信号制御機と独立してオフセット目標値を定める。このとき、例えば、交差点1A、1B間でオフセット目標値が協調して決定されない場合には、交差点1A及び1Bでの総遅れ時間は最悪で、
red×(avgMab+avgMba)
となる。但し、avgMabは、交差点1Aから交差点1Bに向かう車両の平均交通流量であり、avgMbaは、交差点1Bから交差点1Aに向かう車両の平均交通流量である。
【0061】
上述のようにサイクル長さ目標値が所定の間隔に離散化されていることは、オフセット協調交差点の決定の際に重要である。サイクル長さ目標値が離散化されていない場合、隣接している交差点同士で極めて近いサイクル長さ目標値が決定されることはあっても、一致するのサイクル長さ目標値が決定されることはほぼあり得ない。そこで、サイクル長さ目標値が所定の間隔に離散化され、サイクル長さ目標値が一致しやすくされている。
【0062】
つぎに、交差点1Aが算出したサイクル長さ目標値よりも長いサイクル長さ目標値が隣接交差点1B〜1Eに対して定められた場合は、信号制御機2Aは、そのなかで自己が決定したサイクル長さ目標値に近い最寄りのサイクル長さ目標値を選び、自己が決定したサイクル長さ目標値を、あるいはその最寄りのサイクル目標値に合わせて変更するか、そのままに維持するを判断する。
【0063】
自身のサイクル長さ目標値を最寄りのサイクル長さ目標値に合わせて長くしたときは、オフセットを選択できるので遅れ時間を小さくできる望ましい部分と、サイクル長さ目標値を長くすることで自身の交差点で無駄時間が発生し遅れ時間が大きくなる、およびサイクル目標値変更によりそれまでのオフセット効果を失い結果的に遅れ時間が大きくなる部分との、得失を比較することになる。比較の結果、サイクル長さ目標値変更の可否を判定する。
【0064】
サイクル長さ目標値変更の可否を判定する具体例を説明する。図11を参照して、互いに隣接する交差点1A,1Bについて、交差点1Aから交差点1Bに向かう車両の平均交通流量をavgMab、また交差点1Bから交差点1Aに向かう車両の平均交通流量をavgMbaとする。交差点1A、1B間でサイクル長さ目標値が異なるときに、交差点1A、1Bでの総遅れ時間delayは、図12に示されているように、
delay=(1/2)×(redA+redB)×
(avgMab+avgMba), …(27)
で求められる。
【0065】
一方、交差点1Aの隣接交差点1B〜1Eについて異なるサイクル長さ目標値が算出されている場合、交差点1Aを制御する信号制御機2Aは、交差点1Aのサイクル長さ目標値を、隣接交差点1B〜1Eについて定められたサイクル長さ目標値のうち交差点1Aのサイクル長さ目標値より長く、かつ最寄りの値であるサイクル長さ目標値に合わせるかどうかを判定する。交差点1Aのサイクル長さ目標値より長く、かつ最寄りの値であるサイクル長さ目標値が算出された隣接交差点が交差点1Bであるとする。図13は、交差点1Aのサイクル長さ目標値Caを交差点1BのサイクルCbに合わせるかどうかを判定するための比較表の例を示している。図13では、交差点1Aに隣接するすべての交差点とのあいだで、サイクル長さ目標値変更による遅れ時間の得失を比較している。
【0066】
以上の結果、サイクル目標値、スプリット目標値、オフセット目標値が決定される。上述の第1段階は、周期的に行われる。交差点1Aを制御する信号制御機2Aは、隣接交差点1B〜1Eを制御する信号とサイクル長さ目標値、スプリット目標値を情報交換し、上記の計算を繰り返して行う。一旦、サイクル目標値、スプリット目標値、及びオフセット目標値が算出された後、再びサイクル目標値、スプリット目標値、及びオフセット目標値が算出されるまでの間、以下に述べられる第2段階が行われる。
【0067】
第2段階:
第2段階では、実行中の制御パラメータが目標値にむかって徐々に変更される。即ち、各信号制御機2は、自己が設けられた自交差点のサイクル長さ、スプリット、及び自交差点と隣接交差点との間のオフセットを、第1段階において算出されたサイクル長さ目標値、スプリット目標値、及びオフセット目標値に段階的に近づける。
【0068】
自交差点のサイクル長さ、スプリット、及び自交差点と隣接交差点との間のオフセットが、それぞれ、サイクル長さ目標値、スプリット目標値、及びオフセット目標値に到達した後は、各信号制御機2は、現実の交通状況に合わせて、自交差点のスプリット、及びオフセットを所定の範囲内で調整する。スプリット、及びオフセットの調整は、スプリット、及びオフセットをプラス・マイナス一定刻みで変更した遅れ時間の実測値を小さくできるかどうかを基準として行われる。
【0069】
ただし、サイクル長さ、スプリット、及びオフセットが、サイクル長さ目標値、スプリット目標値、及びオフセット目標値に到達していない時点で、スプリット、及びオフセットの調整を行うと、逆効果となって遅れ時間が増える場合も考えられる。そこで、各目標値への移行途中では、スプリット、及びオフセットの調整は行われない。
【0070】
上述の第1段階において、それぞれの交差点に流入してくる車両の平均交通流量の実測値で、サイクル長さ目標値、及びスプリット目標値を決定していく方法では、制御遅れが顕著になる可能性がある。その結果、交通変動に対する応答性が悪化することがある。これに対応するため、図14に示されているように、ある交差点Aの流入リンクの平均交通流量avgMを、その流入リンクに接続する隣接交差点Bへ流入するリンクのそれぞれで実測した交通流量の線形関数によって算出することが好ましい。例えば、以下のような形が考えられる。
avgM=a1(t,week)×M1(t)+
a2(t,week)×M2(t)+
a3(t,week)×M3(t).
M1(t)、M2(t)、及びM3(t)は、ある交差点Aの上流の隣接交差点Bの各流入リンクから流入する車両の交通流量の実測値である。隣接交差点Bに流入した車両のうちの一部が交差点Aに流入してくることになる。a1(t,week),a2(t,week),a3(t,week)は線形関数の係数である。a1(t,week),a2(t,week),a3(t,week)は、時刻tや曜日week、及び交差点ごとに異なるので、各交差点の平均交通流量を実測して、それとの誤差を小さくするように線形関数の係数を学習させていく。学習の手法は、例えばARMA(自己回帰モデル)、ニューロ、強化学習などを用いればよい。
【0071】
図15は、上述の制御方法を実現するための信号制御機2のソフトウェアモジュール構成例を示す。
【0072】
交通流量計測モジュール6は、感知器4〜4から交通流量を計測する。
【0073】
通信モジュール6は、隣接の交差点と通信回線を介して接続し情報交換を行う。
【0074】
サイクル/スプリット計画モジュール6は、実測した交通流量を基に、上述の制御方法に従ってサイクル長さ目標値、スプリット目標値を算出する機能を実現する。
【0075】
オフセット計画モジュール6は、上述の制御方法に従って隣接交差点とのあいだの最適なオフセット目標値を算出する。このオフセット計画モジュール6と、上述のサイクル/スプリット計画モジュール6とにより、上述の第一段階が実行される。
【0076】
制御実行モジュール6は、上述の第2段階を実行するために設けられている。制御実行モジュール6は、第1段階で算出された制御パラメータの目標値にあわせ、実際に信号灯器を制御する。制御実行モジュール6は一旦目標値に到達した後は、そのときの交通状況に合わせて、スプリット、オフセットを調整変更する。
【0077】
【発明の効果】
本発明により、大規模な中央装置を持たずに、隣接交差点の各信号制御機と連絡し、交通状況の変化に応じて、各交差点の信号制御機が自動的に個々のサイクル、スプリット、オフセットを算出し制御を行う分散信号制御システムが提供される。すなわち、予めサブエリアなどの制御範囲を決め、その中で共通のサイクルを適用するのではなく、遅れ時間を評価しながら、交通状況に応じて制御範囲が自動的に形成される信号制御システムが提供される。さらに、サブエリア内でパターン化されたオフセットを適用するのではなく、各信号制御機が交通量の多い方向に、自動的にオフセットが生成される信号制御システムが提供される。
【0078】
また、本発明により、交通状況の変化に応じた制御パラメータが自動的に算出されることにより、制御パラメータの算出や見直しにかかる運用費用および保守費用を大幅に低減できる分散信号制御システムが提供される。
【0079】
また、本発明により、中央装置による集中型の信号制御システムがもつ、膨大で複雑化するシステムの問題と、分散型の信号制御システムがもつ、極値に嵌って大局的最適化へ向かっていきにくい問題を、ともに解消する分散信号制御システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による信号制御システムの実施の一形態を示す。
【図2】図2は、交差点1の近傍の詳細図である。
【図3】図3は、一つの交差点での累加台数カーブであり、信号制御により生ずる遅れ時間を説明する図である。
【図4】図4は、2交差点間の関係を示した図である。
【図5】図5は、δt(A)が正の時の、2交差点間での累加台数カーブと遅れ時間を表す図である。
【図6】図6は、δt(A)が負の時の2交差点間での累加台数カーブと遅れ時間を表す図である。
【図7】図7は、交差点1Bでの遅れ時間delay(δt(A))を示す。
【図8】図8は、2交差点間のオフセットを示したものである。
【図9】図9は、図7で表した遅れ時間を、2交差点それぞれについて表したものである。
【図10】図10は、図9の遅れ時間を、一つのグラフで表現した図である。
【図11】図11は、交差点の交通流量を説明するための図である。
【図12】図12は、オフセットが異なる2交差点での累加台数カーブと遅れ時間を表す。
【図13】図13は、交差点のサイクルを独自に用いる場合と、隣接の交差点に合わせた場合の遅れ時間の増減を比較した図である。
【図14】図14は、上流交差点の交通流量を説明するための図である。
【図15】図15は、本発明による信号制御機を構成するソフトウェアモジュールを示す。
【符号の説明】
〜1:交差点
〜2:信号制御機
〜3:交差点への流入路
〜4:感知器
〜6:信号制御機を構成するソフトウェアモジュール

Claims (7)

  1. 複数の交差点のそれぞれに設けられた複数の信号制御機と、
    前記交差点のそれぞれの交通流量を計測する計測手段
    とを備え、
    前記信号制御機のそれぞれは、
    (a)それぞれが設けられた自交差点の交通流量と、前記自交差点に隣接する隣接交差点に設けられ信号制御から送られる情報とに基づいて、前記隣接交差点から前記自交差点に向かうリンクの交通流量の所定の期間における平均値である時間平均値を算出し、前記隣接交差点から前記自交差点までの距離と前記時間平均値とを使って、前記自交差点のサイクル長さ目標値、スプリット目標値、及び前記自交差点と前記隣接交差点のそれぞれとの間のオフセット目標値を決定するステップと、
    (h)前記自交差点のサイクル長さ目標値を、前記隣接交差点に設けられた前記信号制御機のそれぞれが決定した前記サイクル長さ目標値のいずれかに一致させるべきか、それとも一致させるべきでないかを、自交差点の遅れ時間の得失を比較することにより決定するステップと、
    (b)前記サイクル長さ、前記スプリット、及び前記オフセットを、それぞれ、前記サイクル長さ目標値、前記スプリット目標値、前記オフセット目標値に段階的に近づくように調整するステップ
    とを実行する
    分散信号制御システム。
  2. 請求項1に記載の分散信号制御システムにおいて、
    前記信号制御機のそれぞれは、前記自交差点の前記サイクル長さ目標値と、前記隣接交差点に設けられた前記信号制御機が決定した前記隣接交差点の前記サイクル長さ目標値とが一致するとき、前記サイクル長さ目標値が一致する前記隣接交差点のうち前記自交差点への交通流量が最大である交差点とのあいだで、
    前記自交差点までの距離と前記交通流量の前記時間平均値と前記スプリット目標値とに基づいて、自交差点の前記オフセット目標値を決定する
    分散信号制御システム。
  3. 複数の交差点のそれぞれに設けられた複数の信号制御機と、
    前記交差点のそれぞれの交通流量を計測する計測手段
    とを備え、
    前記信号制御機のそれぞれは、
    (a)それぞれが設けられた自交差点の交通流量と、前記自交差点に隣接する隣接交差点に設けられた信号制御機から送られる情報とに基づいて、前記隣接交差点から前記自交差点に向かうリンクの交通流量の所定の期間における平均値である時間平均値を算出し、前記隣接交差点から前記自交差点までの距離と前記時間平均値とを使って、前記自交差点のサイクル長さ目標値、スプリット目標値、及び前記自交差点と前記隣接交差点のそれぞれとの間のオフセット目標値を決定するステップと、
    (b)前記サイクル長さ、前記スプリット、及び前記オフセットを、それぞれ、前記サイクル長さ目標値、前記スプリット目標値、前記オフセット目標値に段階的に近づくように調整するステップ
    とを実行し、
    更に、前記信号制御機のそれぞれは、前記自交差点の前記サイクル長さ目標値と、前記隣接交差点に設けられた前記信号制御機が決定した前記隣接交差点の前記サイクル長さ目標値とが一致するとき、前記サイクル長さ目標値が一致する前記隣接交差点のうち前記自交差点への交通流量が最大である差点とのあいだで、前記自交差点までの距離と前記交通流量の前記時間平均値と前記スプリット目標値に基づいて、自交差点の前記オフセット目標値を決定する
    分散信号制御システム。
  4. 請求項2又は3に記載の分散信号制御システムにおいて、
    前記信号制御機のそれぞれは、
    (c)前記サイクル長さ目標値が一致する前記隣接交差点から前記自交差点に走行する車両が前記自交差点において待たされる第1遅れ時間と、前記自交差点から前記隣接交差点に走行する車両が前記目標サイクル長さが一致する前記隣接
    交差点において待たされる第2遅れ時間との和である総遅れ時間を、下記で定義されるδ及びδの関数で表すステップと、
    δ={(L/V)mod C}−O
    δ={(L/V)mod C}−O
    L:前記隣接交差点と前記自交差点との距離
    V:所定の速度
    C:前記自交差点と前記隣接交差点とで一致する前記サイクル長さ目標値
    :前記隣接交差点からみた前記自交差点の前記オフセット目標値
    :前記自交差点からみた前記隣接交差点の前記オフセット目標値
    (d)前記δとδとの制約条件を求めるステップと、
    (e)前記制約条件を満足し、且つ、前記総遅れ時間を最小にするδとδとを算出するステップと、
    (f)前記総遅れ時間を最小にするδとδとに基づいて、前記オフセット目標値を算出するステップ
    とを実行する
    分散信号制御システム。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載の分散信号制御システムにおいて、
    前記信号制御機のそれぞれは、前記時間平均値を、前記自交差点に接続するリンク以外のリンクから前記隣接交差点に流入する車両の交通流量の実測値の関数である時間平均値算出関数の関数値として算出する
    分散信号制御システム。
  6. 請求項に記載の分散信号制御システムにおいて、
    前記信号制御機のそれぞれは、前記時間平均値算出関数の関数パラメータを、前記流入リンクの実測の交通流量の時間平均値と前記関数値との誤差が小さくなるように前記関数パラメータを修正する
    分散信号制御システム。
  7. 請求項1乃至3のいずれかに記載の分散信号制御システムにおいて、
    前記信号制御機のそれぞれは、更に、
    (g)前記サイクル長さ、前記スプリット、及び前記オフセットが前記前記サイクル長さ目標値、前記スプリット目標値、前記オフセット目標値に到達した後、前記サイクル長さ、前記スプリット、及び前記オフセットを予め決められた範囲内で調節するステップ
    を実行する
    分散信号制御システム。
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