JP4114342B2 - 角型リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、角型外装缶を使用した角型リチウムイオン二次電池に関し、特に角型外装缶が薄型であるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、リチウムイオン二次電池の外装缶は、ニッケル水素蓄電池などと同様に鉄ケースがよく使われていた。最近では、角型電池などで軽量化のためアルミケースが使われており、さらなる軽量化と高容量化のために、外装缶の板厚を薄くする検討が行なわれている。
【0003】
また、その外装缶は通常、数回の絞り加工工程としごき加工工程を経て製造される。特殊な工法としては、特公平7−99686号公報に記載されているように、絞り加工としごき加工を併用したDrawing and Ironing(DI)工法や、特開平10−5906号公報に記載されているように衝撃押し出し加工工程を数回の絞り加工工程としごき加工工程の中に含ませる工法などがある。
【0004】
リチウムイオン二次電池においては、サイクル使用時や高温保存時に、極板の膨潤やガス発生により、外装缶に内部からの圧力がかかる。その際、外装缶の強度が弱いと電池が大きく膨れて、電池特性が劣化したり、リチウムイオン二次電池を収めている電池パックが壊れたりするため、外装缶にはある程度の強度が必要であった。また、外装缶をアルミケースにしたり、薄肉化を進めると当然強度が弱くなるため、従来からさまざまな構成が提案されていた。
【0005】
例えば、特許第3096615号公報に記載されているようにアルミケースの材料にマンガン(Mn)を含むアルミニウム合金を使う等、材質を検討することが行なわれていた。また、特許第3114768号公報や、特許3015667号公報に記載されているように、外装缶の形状を最適化することも検討されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、以上のような構成では、外装缶の板厚が0.2mm以下になった場合、外装缶の実用上必要な強度が取れないので、サイクル使用時や高温保存時に電池が膨れてしまうという課題があった。本発明は、この課題を解決し、軽量薄肉化された外装缶を使用しつつ、サイクル使用時や高温保存時の電池膨れの少ないリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の電池は、角型外装缶の長側面の板厚が、0.14mm以上0.18mm以下であり、底側面に対する長側面の絞り率(ただし、絞り率=(底面板厚―側面板厚)÷底面板厚)が、0.5以上あり、短側面の板厚は、長側面の板厚より厚くて底面の板厚より薄いものであり、さらに、日本工業規格(JIS Z2244)に基づく試験荷重0.4903N時のビッカース硬度(HV0.05)が、前記底側面は62以上66以下であり、前記長側面および前記短側面は66以上75以下であることを特徴とするものである。この電池は、長側面の板厚が0.18mm以下と薄いのにも関わらず、強度が向上しており、サイクル使用時や高温保存時の電池膨れが少ない。
【0008】
さらに、外装缶は、Mnを0.5重量%以上2.5重量%以下含有し、マグネシウム(Mg)を0.2重量%以上1.3重量%以下含有するアルミニウム合金からなることが特に好ましい。
【0009】
以上のような構成にすることで、外装缶を薄肉化してもサイクル使用時や高温保存時の電池膨れの少ないリチウムイオン二次電池を提供することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、長側面、短側面および底面とからなる角型外装缶に電極群と非水電解液を収納し、封口板にて封口してなる角型リチウムイオン二次電池において、前記長側面の板厚が、0.14mm以上0.18mm以下であり、前記底側面に対する前記長側面の絞り率(ただし、絞り率=(底面板厚−側面板厚)÷底面板厚)が、0.5以上あり、前記短側面の板厚は、前記長側面の板厚より厚くて前記底面の板厚より薄いものであり、さらに、ビッカース硬度(HV0.05)が、前記底側面は62以上66以下であり、前記長側面および前記短側面は66以上75以下であることを特徴としたものである。
【0011】
本発明の電池においては、電池内空間の体積に最も寄与し、外装缶における割合の大きな長側面の板厚が、0.18mm以下となっているため、電池内空間の増大による電池の高容量化と外装缶構成金属量の減少による軽量化が行なわれている。この作用効果は、板厚が薄くなればなるほど増すが、0.14mm未満になると強度の低下により外装缶の形成自体が難しくなる。底面の板厚は、外装缶全体の強度を上げるためにある程度の厚さが必要であり、絞り率は0.5以上あることが好ましい。同様に、短側面は、長側面を脇から支える役割を持つため、長側面の板厚より厚くて底面の板厚より薄いことが好ましい。
【0012】
さらに、外装缶の構成材の塑性加工強度が強すぎると、硬度が強くなるが靭性がなくなり、圧力に対する膨れは大きくなる。逆に、塑性加工強度が低すぎると、靭性は強くなるが硬度がなくなり、やはり圧力に対する膨れが大きくなる。本発明者は鋭意検討の結果、外装缶が膨れる時に最も変位の大きな長側面およびそれを脇から支える短側面のHV0.05は、66以上75以下であることが好ましく、板厚が厚くて変位の小さい底側面は、62以上66以下であることが好ましいことを見出した。
【0013】
以上のような構成にすることにより、従来の実用上の限界であった長側面が0.2mmの外装缶と同程度の耐膨れ性を持つ薄型外装缶を提供できる。
【0014】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1記載のリチウムイオン二次電池において、前記外装缶は、Mnを0.5重量%以上2.5重量%以下含有し、Mgを0.2重量%以上1.3重量%以下含有するアルミニウム合金からなるとしたものである。
【0015】
アルミニウム合金は、それに含まれる不純物により加工のしやすさや、塑性加工強度による硬度や靱性の変化が変わる。そのため、MnおよびMgを適当量含むことにより、原料のアルミ板から深絞り加工により請求項1に記載されている外装缶を製造することが容易に出来るようになる。このMnおよびMgの適当量は、本発明者の鋭意検討の結果、Mnを0.5重量%以上2.5重量%以下含有し、Mgを0.2重量%以上1.3重量%以下含有することが好ましいことを見出した。
【0016】
以上述べてきたように、本発明の角型外装缶は主たる構成材料はMnを0.5重量%以上2.5重量%以下含有し、Mgを0.2重量%以上1.3重量%以下含有するアルミニウム合金であることが好ましい。このようなアルミ系材料には、日本工業規格(JIS
H4000(1988)、JIS H4160(1994)等)に規定されているように、A3004、A3005、A3104及びA3105などの強度を強化したアルミニウム合金などがある。
【0017】
【実施例】
次に、実施例を用いて、本発明の具体例について説明する。
【0018】
図1は、本実施例において作成した外装缶の斜視図である。
【0019】
図1において外装缶のサイズは幅34mm、高さ49mmおよび厚み6.3mmであり、本実施例において作成した外装缶はすべて外形がこのサイズのものを作成した。
【0020】
ここで、1は長側面であり、外装缶における割合がもっとも大きい。長側面1を短側面2と底面3が支えることで、外装缶全体の強度を保っている。電池を作成する際には、外装缶内に電極群と非水電解液を収納した後、開口部4に封口板がレーザ溶接される。
【0021】
本実施例においては、以下に詳細に述べる各種の方法で、(表1)にまとめた板厚とビッカース硬度(HV0.05)をもつ外装缶を作成した。板厚に関しては、外装缶の各面の中心部付近を平板として切りだし、マイクロメータで測定した。ビッカース硬度に関しても、この切断後の平板を用い、日本工業規格(JIS Z2244)に準拠した測定法により、明石製作所製マイクロビッカース硬度計MVK−Eで測定した。測定荷重は、すべて50gf(0.4903N)で行なった。同じ方法及び同じ金型(パンチおよびダイス)で作成した外装缶は、同じ板厚およびHV0.05を持つことを確認した。
【0022】
<外装缶の作成>
(缶の製造法1)
従来公知の方法である深しぼり工法を用い、現在、実用に供されている外装缶の中では一番の薄型であり、長側面の板厚が0.2mmの比較例の外装缶(缶1)を作成した。図2に示すとおり、以下に述べる合計10工程での深絞り工法を行なった。
【0023】
(a)まず、厚さ0.6mmのMnを1.0から1.5重量%含むアルミニウム合金(A3003)の平板を円形に切り出した。
【0024】
(b)長円形のパンチとダイスにより絞り加工を行なった。この工程では、板厚は変化しない。
【0025】
(c)工程(b)で得られた中間成形体にさらに絞り加工を行ない長円性を増す再絞り工程を行なった。
【0026】
(d)さらに絞り加工を行なうと同時に略矩形状に形成した。矩形体の高さhは、この工程で約15mmになった。
【0027】
(e)さらに絞り加工と板厚を薄くするしごき加工を同時に行なった。この工程では深絞りになってきたので上部はみみ5となった。矩形体の高さhは、この工程で約25mmになった。長側面の板厚は約0.3mmぐらいになった。
【0028】
(f)もう一度、絞り加工と板厚を薄くするしごき加工を同時に行なった。矩形体の高さhは、この工程で約35mmになった。長側面の板厚も約0.24mmぐらいになった。
【0029】
(g)以上の工程では、絞り加工を行なってきたため、底面に丸みがあった。この工程では、底面をダイスにより平らにする底つぶし工程を行なった。矩形体の高さhは、この工程で約40mmになった。
【0030】
(h)さらに底面のコーナー部の曲率(R)を少なくし、矩形性を高めるために矩形状の凹部を持つダイスを用いて角出し工程を行った。矩形体の高さhは、この工程で約45mmになった。長側面の板厚も約0.22mmぐらいになる。
【0031】
(i)矩形体の高さが約43mmのところでみみ5を切り離す仮トリミング工程を行なった。
【0032】
(j)最後に、絞り加工で最終成形を行なった。矩形高さhは約53mmになっているので、クロスカットで所定の高さ(49mm)にした。
【0033】
板厚は、前述の測定方法で測定して、長側面が0.20mm、短側面が0.30mmおよび底面が0.40mmであり、したがって絞り率は0.50であった。HV0.05は、長側面が64、短側面が61および底面が57であった。
【0034】
(缶の製造法2)
缶1と同じ材質(A3003)および板厚(0.6mm)の平板を用い、缶1と同じ合計10工程の深絞り工法により、金型の短側面のクリアランスを調節して、缶1より短側面の板厚が厚く、底形成工程(gおよびh)のパンチ圧も調整して底面の板厚も厚い比較例の外装缶(缶2)を作成した。
【0035】
板厚は、長側面が0.20mm、短側面が0.35mmおよび底面が0.43mmであり、したがって絞り率は0.53であった。HV0.05は、長側面が65、短側面が58および底面が54であった。
【0036】
(缶の製造法3)
缶1と同じ材質(A3003)および板厚(0.6mm)の平板を用い、缶1と同じ合計10工程の深絞り工法により、金型の短側面のクリアランスを調節して、缶1より長側面の板厚が薄く、そのかわり、底形成工程(gおよびh)のパンチ圧も調整して底面の板厚が厚い比較例の外装缶(缶3)を作成した。
【0037】
板厚は、長側面が0.18mm、短側面が0.30mmおよび底面が0.50mmであり、したがって絞り率は0.64であった。HV0.05は、長側面が65、短側面が62および底面が52であった。
【0038】
(缶の製造法4)
缶1と同じ深絞り工法であるが、工程を11回に多段化して、本発明の実施例となる長側面の板厚が0.18mmの外装缶(缶4)を作成した。
【0039】
缶1と同じ材質(A3003)および板厚(0.6mm)の平板を用い、最初の5工程(aからeまで)は、缶1とまったく同じ工程で行なった。
【0040】
(f)金型のクリアランスを調節して、缶1よりやや強く絞った。長側面の板厚も約0.22mmぐらいになった。
【0041】
(g)缶1と同様に底つぶし工程を行なった。
【0042】
(h)缶1と同様に角出し工程を行なった。長側面の板厚も約0.20mmぐらいになった。
【0043】
(h’)仮トリミング工程(i)を行なう前に、絞り加工を行なった。長側面の板厚も約0.19mmぐらいになった。
【0044】
これ以後の、後工程は(iおよびj)は、缶1と同様に行った。
【0045】
板厚は、長側面が0.18mm、短側面が0.30mmおよび底面が0.50mmであり、したがって絞り率は0.64であった。HV0.05は、長側面が66、短側面が71および底面が62であった。
【0046】
(缶の製造法5)
厚さ0.6mmのMgを0.20から0.6重量%、Mnを1.0から1.5重量%含むアルミニウム合金(A3005)の平板に対し、缶4と同じ合計11工程の深絞り工法により、缶4と同じ金型を用いて缶4と同じ外形を持つ実施例の外装缶(缶2)を作成した。
【0047】
したがって板厚は、缶4と同じ長側面が0.18mm、短側面が0.30mmおよび底面が0.50mmであり、絞り率は0.64であった。HV0.05は、材質が違うため、長側面が68、短側面が72および底面が63であった。
【0048】
(缶の製造法6)
缶1および缶4と同じ深絞り工法であるが、工程を12回とさらに多段化して、本発明の実施例となる長側面の板厚が0.15mmの外装缶(缶6)を作成した。
【0049】
まず、缶5と同じ材質(A3005)および板厚(0.6mm)の平板を用い、最初の5工程(aからeまで)は、缶1とまったく同じ工程で行なった。
【0050】
(f)金型のクリアランスを調節して、缶1や缶4よりやや強く絞った。長側面の板厚も約0.20mmぐらいになった。
【0051】
(f’)底つぶし工程(g)を行なう前に、さらに絞り加工を行なった。長側面の板厚も約0.18mmぐらいになった。
【0052】
(g)缶1と同様に底つぶし工程を行なった。
【0053】
(h)缶1と同様に角出し工程を行なった。長側面の板厚も約0.17mmぐらいになった。
【0054】
(h’)缶4と同様に仮トリミング工程(i)を行なう前に、絞り加工を行なった。長側面の板厚も約0.16mmぐらいになった。
【0055】
これ以後の、後工程は(iおよびj)は、缶1と同様に行った。
【0056】
板厚は、長側面が0.15mm、短側面が0.28mmおよび底面が0.40mmであり、したがって絞り率は0.63であった。HV0.05は、長側面が69、短側面が74および底面が64であった。
【0057】
(缶の製造法7)
厚さ0.6mmのMgを0.8から1.3重量%、Mnを1.0から1.5重量%含むアルミニウム合金(A3004)の平板に対し、缶6と同じ合計12工程の深絞り工法により、缶6と同じ金型を用いて缶6と同じ外形を持つ実施例の外装缶(缶7)を作成した。
【0058】
したがって板厚は、缶6と同じ長側面が0.15mm、短側面が0.28mmおよび底面が0.40mmであり、絞り率は0.63であった。HV0.05は、材質が違うため、長側面が70、短側面が74および底面が65であった。
【0059】
(缶の製造法8)
缶6と同じ材質(A3005)および板厚(0.6mm)の平板を用い、缶6と同じ合計12工程の深絞り工法により、金型の長側面のクリアランスを調節して、缶1より長側面の板厚が薄い実施例の外装缶(缶8)を作成した。
【0060】
板厚は、長側面が0.14mm、短側面が0.28mmおよび底面が0.40mmであり、したがって絞り率は0.65であった。HV0.05は、長側面が72、短側面が75および底面が66であった。
【0061】
(缶の製造法9)
缶6と同じ材質(A3005)および板厚(0.6mm)の平板を用い、缶6と同じ合計12工程の深絞り工法であるが、しごき加工の際のしごき方を変えて実施例の外装缶(缶9)を作成した。
【0062】
まず、最初の4工程(aからdまで)は、缶1とまったく同じ工程で行なった。
【0063】
(e)金型のクリアランスを調節して、缶1や缶4よりやや強く絞った。長側面の板厚も約0.22mmぐらいになった。本製造法においても、この工程で上部はみみ5となった。
【0064】
(f)さらに絞り加工と板厚を薄くするしごき加工を同時に行なった。長側面の板厚も約0.21mmぐらいになった。
【0065】
(f’)底つぶし工程(g)を行なう前に、さらに絞り加工を行なった。長側面の板厚も約0.20mmぐらいになった。
【0066】
(g)缶1と同様に底つぶし工程を行なった。
【0067】
(h)缶1と同様に角出し工程を行なった。長側面の板厚も約0.19mmぐらいになった。
【0068】
(h’)缶4と同様に仮トリミング工程(i)を行なう前に、絞り加工を行なった。長側面の板厚も約0.17mmぐらいになった。
【0069】
これ以後の、後工程は(iおよびj)は、缶1と同様に行った。
【0070】
板厚は、長側面が0.15mm、短側面が0.30mmおよび底面が0.40mmであり、したがって絞り率は0.63であった。HV0.05は、長側面が75、短側面が68および底面が65であった。
【0071】
(缶の製造法10)
缶6と同じ材質(A3005)および板厚(0.6mm)の平板を用い、衝撃押し出し加工とDI工法を併用して比較例の外装缶(缶10)を作成した。
【0072】
まず、A3005のペレットを用いて衝撃押し出し加工を行なった。この中間成形体に一つのパンチで三つのダイスを連続的に通すDI加工を行ないほぼ最終の形状である角型にした後、缶1と同様に底面のコーナー部の曲率(R)を少なくし、矩形性を高めるために矩形状の凹部を持つダイスを用いて、底形成工程を行なった。
【0073】
板厚は、長側面が0.15mm、短側面が0.28mmおよび底面が0.35mmであり、したがって絞り率は0.57であった。HV0.05は、長側面が80、短側面が78および底面が70であった。
【0074】
<外装缶の評価>
以上述べた缶の製造法1から10で製造した缶1から10を外装缶が空の状態で開口部4を、封口板の代わりとして厚さ0.6mmの外装缶と同じ材質のアルミニウム合金の平板でレーザ溶接封口した。そして、底面3に穴をあけて金属管を溶接し、その金属管から圧縮空気を送り込み、その膨れをレーザ変位測定器で測定した。缶内の圧縮空気が、0.1および0.5kgf/cm2の時の片側膨れ量を(表1)にまとめて示す。
【0075】
【表1】
【0076】
(表1)からわかるとおり、従来の比較例の缶1および2では、長側面の板厚が0.2mmあるため、片側膨れ量が、出荷時の基準である0.1kgf/cm2で0.1から0.2mmの範囲にあり、サイクル使用時の基準である0.5kgf/cm2で0.5から0.6mmの範囲にあり、実用上問題のない強度がある。しかし、長側面の厚さが0.18mmである缶3になると、底面の板厚を厚くしても、つまり絞り率を高くしても、底面の厚さは缶自体の強度にほとんど影響を与えないので、膨れ量は大きくなってしまう。
【0077】
本発明の実施例の缶4と比較例の缶3を比べてみると、材質および外装缶の寸法が全く同じでも、ビッカース硬度が好適な範囲にあるため、強度つまり膨れ量が0.1kgf/cm2で10%、0.5kgf/cm2で40%向上している。
【0078】
また、外装缶の寸法が同じで材質のみが違う缶4と缶5を比べてみると、ビッカース硬度も同程度であるが、材質は、マンガンを0.5重量%以上2.5重量%以下含有し、マグネシウムを0.2重量%以上1.3重量%以下含有するアルミニウム合金からなることが好ましいことがわかる。
【0079】
缶6、缶7および缶8から本発明の外装缶では、長側面の板厚が0.14mmでも充分な強度があり、0.15mmでは優れた強度を持つことがわかる。長側面の板厚が0.2mmから0.15mmになると、例えば本実施例の外装缶のサイズの幅34mm、高さ49mmおよび厚み6.3mmで、電池内容積が約7%外装缶重量で約17%向上する。
【0080】
缶6および缶7と、缶9を比べてみると、いずれもビッカース硬度が好適な範囲にあり、十分な強度があるが、長側面のビッカース硬度より短側面のビッカース硬度が大きいことが好ましいことがわかる。通常、加工度が高くなるほど、硬度が大きくなるので、比較例の缶1から缶3のように長側面の硬度が大きくなるが、絞り方を工夫することにより、缶4から缶8のように短側面の硬度を大きくすることが出来る。
【0081】
加工度を大きくすると、比較例の缶10のようにビッカース硬度は、かなり大きくなるが、このように硬度が大きすぎると、膨れ量、特に初期の0.1kgf/cm2の膨れ量が大きくなり不適である。したがって、ビッカース硬度には、最適な範囲があり、ビッカース硬度(HV0.05)が、前記底側面は62以上66以下であり、前記長側面および前記短側面は66以上75以下であることが好ましいことがわかる。
【0082】
【発明の効果】
以上述べたとおり、本発明の角型リチウムイオン二次電池を使用すれば、サイクル使用時や高温保存時の電池膨れなどに強く相関する外装缶の強度は、従来の角型リチウム二次電池と同等に保ちつつ、外装缶が薄型であるため、電池内容積が大きく取れるため高容量化と軽量化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例において作成した外装缶の斜視図
【図2】本実施例において作成した外装缶の製造方法を示す説明図
【符号の説明】
1 長側面
2 短側面
3 底面
4 開口部
5 みみ
h 矩形部高さ
Claims (2)
- 長側面、短側面および底面とからなる角型外装缶に電極群と非水電解液を収納し、封口板にて封口してなる角型リチウムイオン二次電池において、前記外装缶は、マンガンを0.5重量%以上2.5重量%以下含有し、マグネシウムを0.2重量%以上1.3重量%以下含有するアルミニウム合金からなり、絞り加工を含む工程としごき加工を含む工程と底つぶし工程と角出し工程とを少なくとも含む深絞り工法により、前記長側面の板厚が、0.14mm以上0.18mm以下であり、前記底側面に対する前記長側面の絞り率(ただし、絞り率=(底面板厚−側面板厚)÷底面板厚)が、0.5以上あり、前記短側面の板厚は、前記長側面の板厚より厚くて前記底面の板厚より薄いものであり、さらに、日本工業規格(JIS Z2244(1992))に基づく試験荷重0.4903N時のビッカース硬度が、前記底側面は62以上66以下であり、前記長側面および前記短側面は66以上75以下にしたものであることを特徴とする角型リチウムイオン二次電池。
- 前記短側面のビッカース硬度は前記長側面のビッカース硬度より大きいことを特徴とする請求項1記載の角型リチウムイオン二次電池。
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